JPH10297479A - 吊り下げ搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドライブシャフトによる吊り下げ搬送装置の
機構については一切手を加えず、水平方向だけではな
く、傾斜方向（登坂や下降）の搬送をも可能にする。 【解決手段】 搬送経路に沿って水平及び傾斜方向に架
設され軸線まわりに回転駆動可能なドライブシャフト
１、１ａ、１ｂと、ドライブシャフトの回転方向に対し
て斜めの角度をもって当接する走行ホイール１７を介し
てドライブシャフト１、１ａ、１ｂに懸架されたトロリ
ー２と、トロリー２に吊支された搬送物支持用キャリヤ
１６とからなり、ドライブシャフトの回転駆動により搬
送物支持用キャリヤ１６をドライブシャフトに沿って推
進させるようにした吊り下げ搬送装置において、傾斜方
向に架設されたドライブシャフト１ａ、１ｂの表面を摩
擦係数の高いものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、工場、倉庫等にお
いて、多数の搬送物を搬送するために使用される吊り下
げ式搬送装置、いわゆるオーバーヘッドコンベヤに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種吊り下げ搬送装置は、無端
チェーンを空中に巡回させ、このチェーンに搬送物を引
っかける方式が一般的である。しかし、このような従来
の吊り下げ搬送装置には、運転音がうるさい、搬送物を
所定間隔でしか吊り下げられない、チェーンの定期的な
メンテナンス（調整、給油）が必要である。給油のため
清潔な環境を要する場には適しない、などの欠点があっ
た。このため、本出願人は、搬送経路に沿って架設さ
れ、軸線まわりに回転駆動されるドライブシャフトと、
ドライブシャフトの回転方向に対して斜めの角度をもっ
て当接するホイールを介して、該ドライブシャフトに懸
架されたトロリーと、該トロリーに吊支された搬送物支
持用キャリヤとからなり、前記ドライブシャフトの回転
駆動により、前記搬送物支持用キャリヤを前記ドライブ
シャフトに沿って推進させるようにした吊り下げ搬送装
置を、本出願と同日付の別途出願において提案してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この提案の吊り下げ搬
送装置は、前述の従来の搬送装置の諸欠点を解決するも
のの、水平方向の搬送には最適であるが、傾斜方向（登
坂や下降）のトロリーの走行には、その機構上スリップ
が生じるおそれがある。

【０００４】本発明は、このドライブシャフトによる吊
り下げ搬送装置の機構については一切手を加えず、水平
方向だけではなく、傾斜方向（登坂や下降）の搬送をも
可能にすることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、次のようにして解決される。 (１) 搬送経路に沿って架設され、軸線まわりに駆動回
転されるドライブシャフトと、ドライブシャフトの回転
方向に対して斜めの角度をもって当接する走行ホイール
を介して、該ドライブシャフトに懸架されたトロリー
と、該トロリーに吊支された搬送物支持用キャリヤとか
らなり、前記ドライブシャフトの駆動回転により、前記
搬送物支持用キャリヤを前記ドライブシャフトに沿って
推進させるようにした吊り下げ搬送装置において、前記
ドライブシャフトの表面を、ドライブシャフト自身に比
して、摩擦係数の高いものする。

【０００６】(２) 上記(１)項において、傾斜方向に架
設されたドライブシャフトの表面を、ドライブシャフト
自身に比して、摩擦係数の高いものとする。

【０００７】(３) 上記(１)または(２)項において、ド
ライブシャフトの表面を、粗面加工する。

【０００８】(４) 上記(１)または(２)項において、ド
ライブシャフトの表面を、細かい多数の溝を有する。

【０００９】(５) 上記(１)または(２)項において、ド
ライブシャフトの表面を、弾性材料により被覆する。

【００１０】(６) 上記(２)〜(５)項のいずれかにおい
て、傾斜方向に架設されたドライブシャフトを駆動する
回転駆動装置を、ブレーキ付きの回転駆動装置とする。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の吊り下げ搬送装
置の一実施例であるオーバーヘッドコンベヤシステムの
一部分の概念図であり、搬送路を形成する水平のドライ
ブシャフト(１)からトロリー(２)を、上向きの傾斜ドラ
イブシャフト(1a)を介し一時的に分岐ライン上のワーク
ステーション(３)へ下ろして、ここで搬送物(４)に対す
る作業を行い、再び本線の下向きの傾斜ドライブシャフ
ト(1b)に載せて搬送するようになっている。

【００１２】ドライブシャフト(１)は、ベルト式の回転
駆動装置(５)により、また、傾斜ドライブシャフト(1a)
(1b)は、ブレーキ付きのベルト式の回転駆動装置(24)に
より、軸線まわりに回転駆動される。

【００１３】ドライブシャフト(１)に沿って、グラビテ
ィラインと呼ばれる分岐レール(６)が配設されている。

【００１４】トロリー(２)の上部には、グラビティライ
ン用ホイールまたは分離ホイール(７)が配設されてお
り、この分離ホイール(７)は、分岐レール(６)の前部可
動部(6a)に乗り上げるようになっている。

【００１５】乗り上げた状態から、前部可動部(6a)を昇
降装置(８)により持ち上げると、傾斜を利用して、分離
ホイール(６)従ってトロリー(２)は、ワークステーショ
ン(３)に下ろされる。分岐レール(６)の後部可動部(6b)
を昇降させるのが、昇降装置(９)であり、トロリー(２)
は、後部可動部(6b)を昇降装置(９)により持ち上げてレ
ール(6c)に送ることにより、再びドライブシャフト(１)
上に戻され、走行を続ける。

【００１６】ドライブシャフト(１)及び傾斜ドライブシ
ャフト(1a)(1b)は、中空のアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金製の最大長さ２０ｍ程度のチューブであり、図
２ないし図４、殊に図４に示すビーム(10)内に収容され
ている。

【００１７】傾斜ドライブシャフト(1a)(1b)は、図６に
示すように、その表面を、例えばサンドブラスト等によ
り粗面(21)に加工したり、図７に示すように、細かい溝
(22)を全面に施したり、さらには、図８に示すように、
例えばゴムのような弾性材料(23)を被覆して摩擦係数を
高めてある。

【００１８】ビーム(10)は、おおよそ樋状にアルミニウ
ムを引き抜き成形したもので、搬送経路に沿って工場等
の天井から、図示しない支持材により吊り下げ支持され
ている。このビーム(10)の中に、ドライブシャフト(１)
がその軸線を中心に回転可能に設けられている。

【００１９】回転駆動装置(５)は、搬送経路に沿って、
ドライブシャフト(１)、傾斜ドライブシャフト(1a)の長
さに応じて複数箇所に配設されており、図２に示すよう
に、電動機(5a)の出力軸(5b)に、４本のベルト(11)を掛
け、これらのベルト(11)の他端を、ドライブシャフト
(１)、傾斜ドライブシャフト(1a)に掛け回して、ドライ
ブシャフト(１)を回転駆動するものである。回転駆動装
置(24)も同様な構造であるが、前述のように、ブレーキ
機能を有するものであることだけが異なっている。

【００２０】ドライブシャフト(１)、傾斜ドライブシャ
フト(1a)に掛け回されたベルト(11)の上面は、ドライブ
シャフト(１)の上部においては、ドライブシャフト面と
同一面となっており、後述するトロリー(２)の走行を妨
げることはない。

【００２１】図３に示すように、トロリー(２)は、樹脂
成型またはアルミダイキャスト製の部材であり、懸架部
(12)と、懸架部(12)の下部に水平軸(13)（図４）により
軸支された吊り下げ部(14)と、吊り下げ部(14)の下部に
垂直軸(15)により軸支された搬送物支持用キャリヤ(16)
とからなっている。

【００２２】懸架部(12)には、その上部に前述の分離ホ
イール(７)が、水平軸線を中心として回転自在に装架さ
れており、下部には、ドライブシャフト(１)の上方に延
びる腕部(12a)が形成されている。

【００２３】腕部(12a)の下面には、４個の走行ホイー
ル(17)が、その軸(18)がドライブシャフト(１)の軸線に
対して、垂直面及び水平面の両方において斜交するよう
に、かつドライブシャフト(１)の両側にあるものが、水
平面においては互いに同一方向で、垂直面においては互
いに反対方向を指向するように、軸(19)によって取り付
けられている。この関係は、図５の説明図によく示され
ている。

【００２４】図３及び図４に示す駒(20)は、アドレス用
の部材であり、複数個の駒(20)を、アドレスにしたがっ
て設定し、搬送路の分岐ポイント等に配設されたアドレ
スリーダーよりその指示内容を読み取って、トロリーを
目的の場所に搬送するためのものである。

【００２５】次に、トロリー(２)の走行の原理を説明す
る。回転駆動装置(５)(24)により軸線まわりに回転され
ているドライブシャフト(１)に懸架されたトロリー(２)
の走行ホイール(17)には、トロリー(２)の全荷重が加わ
って、ドライブシャフト(１)に圧接している。走行ホイ
ール(17)は、図５に示すように、ドライブシャフト(１)
の回転（図５の丸い矢印）により走行ホイール(17)が回
転させられる際に、ドライブシャフト(１)の軸線に沿う
方向の分力（図５の直線状の矢印）を生じ、これによっ
て、走行ホイール(17)を支持するトロリー(２)は前方に
推進される。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、ドライブシャフト方式
の搬送装置において、ドライブシャフトと走行ホイール
との間にスリップが生じにくく、トロリーを確実に推進
することができる。

【００２７】請求項２記載の発明のように、傾斜方向に
架設されたドライブシャフトの表面を摩擦係数の高いも
のとすると、登坂や下降の傾斜方向への搬送を、機構を
全く変えることなく可能になる。

【００２８】請求項３記載の発明のように、ドライブシ
ャフトの表面を粗面加工すると、簡単な加工で、トロリ
ーの走行ホイールのスリップが阻止され、トロリーの登
坂が可能となる。

【００２９】請求項４記載の発明のように、ドライブシ
ャフトの表面に細かい多数の溝を設けると、トロリーの
走行ホイールとの摩擦接触がより確実となり、スリップ
を有効に阻止できる。

【００３０】請求項５記載の発明のように、ドライブシ
ャフトの表面を弾性材料により被覆すると、トロリーの
走行ホイールとの係合に伴い、ドライブシャフトの表面
が弾性変形するので、形状的にも摩擦接触が高まり、ス
リップが有効に阻止できる。

【００３１】請求項６記載の発明のように、傾斜方向の
ドライブシャフトを駆動する回転駆動装置を、ブレーキ
付きの回転駆動装置とすると、回転を停止させても、ト
ロリーが下に降りようとする力によってドライブシャフ
トが逆に廻されることがなく、トロリーはその位置を保
つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明吊り下げ搬送装置の一実施例のワークス
テーション付近を示す略図である。

【図２】図１に示すドライブシャフトを駆動する回転駆
動装置の斜視図である。

【図３】ドライブシャフトに懸架したトロリーを斜め上
方から見た斜視図である。

【図４】ドライブシャフトに懸架したトロリーの上部を
前方から見た斜視図である。

【図５】トロリーの走行ホイールとドライブシャフトと
の関係を示す概念的な拡大平面図である。

【図６】粗面加工した傾斜ドライブシャフトの斜視図で
ある。

【図７】溝加工した傾斜ドライブシャフトの斜視図であ
る。

【図８】弾性材料を被覆した傾斜ドライブシャフトの斜
視図である。

【符号の説明】

(１)ドライブシャフト (1a)傾斜ドライブシャフト (２)トロリー (３)ワークステーション (４)搬送物 (５)回転駆動装置 (5a)電動機 (5b)出力軸 (６)グラビティラインまたは分岐レール (6a)前部可動部 (6b)後部可動部 (6c)レール (７)グラビティレール用ホイールまたは分離ホイール (８)(９)昇降装置 (10)ビーム (11)ベルト (12)懸架部 (12a)腕部 (13)水平軸 (14)吊り下げ部 (15)垂直軸 (16)搬送物支持用キャリヤ (17)走行ホイール (18)(19)軸 (20)駒 (21)粗面 (22)溝 (23)弾性材料 (24)ブレーキ付き回転駆動装置

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 搬送経路に沿って架設され、軸線まわり
   に駆動回転されるドライブシャフトと、ドライブシャフ
   トの回転方向に対して斜めの角度をもって当接する走行
   ホイールを介して、該ドライブシャフトに懸架されたト
   ロリーと、該トロリーに吊支された搬送物支持用キャリ
   ヤとからなり、前記ドライブシャフトの駆動回転によ
   り、前記搬送物支持用キャリヤを前記ドライブシャフト
   に沿って推進させるようにした吊り下げ搬送装置におい
   て、 前記ドライブシャフトの表面を、ドライブシャフト自身
   に比して、摩擦係数の高いものとしたことを特徴とする
   吊り下げ搬送装置。
2. 【請求項２】 傾斜方向に架設されたドライブシャフト
   の表面を、ドライブシャフト自身に比して、摩擦係数の
   高いものとした請求項１に記載の吊り下げ搬送装置。
3. 【請求項３】 ドライブシャフトの表面を、粗面加工し
   た請求項１または２記載の吊り下げ搬送装置。
4. 【請求項４】 ドライブシャフトの表面を、細かい多数
   の溝を有するものとした請求項１または２記載の吊り下
   げ搬送装置。
5. 【請求項５】 ドライブシャフトの表面を、弾性材料に
   より被覆した請求項１または２記載の吊り下げ搬送装
   置。
6. 【請求項６】 傾斜方向に架設されたドライブシャフト
   を駆動する回転駆動装置を、ブレーキ付きの回転駆動装
   置とした請求項２〜５のいずれかに記載の吊り下げ搬送
   装置。