JPH10292270A - 積層布帛の製造方法及び繊維製品 - Google Patents

積層布帛の製造方法及び繊維製品

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JPH10292270A
JPH10292270A JP2555698A JP2555698A JPH10292270A JP H10292270 A JPH10292270 A JP H10292270A JP 2555698 A JP2555698 A JP 2555698A JP 2555698 A JP2555698 A JP 2555698A JP H10292270 A JPH10292270 A JP H10292270A
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cloth
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Abstract

(57)【要約】 【課題】積層布帛からなる安価なカーペットまたは自動
車用内装材とその製造方法に関する。 【課題を解決するための手段】 二層以上の生地を貼り
合わせて積層布帛を製造するに際し、生地Aとして、主
体繊維と該主体繊維よりも20℃以上低い融点又は軟化
点を有するポリマーを少なくとも表面成分とする熱接着
性繊維とからなり、該熱接着性繊維を10〜50重量%
含有する混綿糸からなる生地を用い、該生地A表面を火
炎又は電熱ヒーターにより直接加熱せしめ、ただちに別
の生地Bと重ね合わせて常温又は低温で加圧し、貼り合
わせを行う積層布帛の製造方法並びに、該生地Aの上
に、熱接着性繊維からなる20〜50g/m2の不織布
又は粉末を固定化し、該生地Aを火炎又は電熱ヒーター
により直接加熱し、生地Aと生地Bとの接着性をより強
化する製造方法と、該方法により得られる積層布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安価な積層布帛
と、その製造方法に関し、更には、構成素材を単一化する
ことによりリサイクルが可能なカーペットまたは自動車
用内装材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カーペットや自動車用内装材のよ
うな面積が大きい大型商品は、表面に使用する素材と裏
面に使用する素材とが異なり、しかもラテックスや塩化
ビニルまたは発泡ウレタンのような簡単には焼却出来な
いものが表地と一体化されているため、更にこれらを分
離または分割することが容易ではないため、リサイクル
して再利用することは大変困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点を解決し、リサイクル可能な積層繊維製品を提供
することを目的とするものである。 本願出願人は、既にリサイクル可能なオールポリエステ
ルカーペットに関し、(特開平7−310275号公報、
特開平8−224158号、実開平7−6293号公
報)を提案している。 カーペットのパイルを含有する第一基布とバッキング材
を含有する第二基布とを接着剤を用いて接着する方法で
は、接着剤として水溶性のポリエステル樹脂が使用され
るが、十分な接着性を得るためには、ポリエステルの微
粉末を併用する必要があり、接着方法として、一旦水を
蒸発させ、その後ポリエステル樹脂を溶融して両基布を
接着することになる。これは、接着加工に長時間と多大
の熱エネルギーを必要とし、さらに水溶性のポリエステ
ル樹脂を塗布する時に、ポリエステル樹脂の一部が第一
基布又は第二基布に吸収され、有効な接着力を出すため
には、かなり大量の水溶性ポリエステル樹脂を必要とす
る。これらが、十分になされていないと、接着性が不十
分で、すぐに剥離してしまうことが判った。本発明者ら
は、従来の水溶性ポリエステル樹脂を使用する方法より
も簡単で、しかも高速で接着加工ができないかを鋭意検
討し、本発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、二層以
上の生地を貼り合わせて積層布帛を製造するに際し、少
なくとも一層の生地として、主体繊維と該主体繊維より
も20℃以上低い融点又は軟化点を有するポリマーを少
なくとも表面成分とする熱接着性繊維とからなり、該熱
接着性繊維を10〜50重量%含有する混綿糸からなる
生地を用い、該生地表面を火炎又は電熱ヒーターにより
直接加熱せしめ、ただちに別の生地と重ね合わせて常温
又は低温で加圧することにより、貼り合わせを行うこと
を特徴とする積層布帛の製造方法であり、かかる製造方
法により得られる積層布帛である。また本発明は、二層
以上の生地を貼り合わせて積層布帛を製造するに際し、
その少なくとも一層の生地として、該生地の表面部分
が、該生地の主体繊維よりも20℃以上低い融点又は軟
化点を有するポリマーを少なくとも表面側成分とする熱
接着性繊維を、該生地に対して10〜50重量%の高配
合で偏在化させて含有する生地を用い、該生地表面を火
炎又は電熱ヒーターにより直接加熱せしめ、ただちに別
の生地と重ね合わせて常温又は低温で加圧することによ
り、貼り合わせを行うことを特徴とする積層布帛の製造
方法であり、かかる製造方法により得られる積層布帛で
ある。更に本発明は、二層以上の生地を貼り合わせて積
層布帛を製造するに際し、その少なくとも一層の生地表
面に、該生地の主体繊維よりも20℃以上低い融点又は
軟化点を有するポリマーを少なくとも表面側成分とする
熱接着性繊維からなる20〜50g/m2の不織布又は
粉末を固定化し、該生地をその接着用不織布又は粉末上
から火炎又は電熱ヒーターにより直接加熱せしめ、ただ
ちに別の生地と重ね合わせて常温又は低温で加圧するこ
とにより、貼り合わせを行うことを特徴とする積層布帛
の製造方法であり、かかる製造方法により得られる積層
布帛である。更に又本発明は、上記製造方法並びに該製
造方法により得られる積層布帛が、表面材としての第一
生地と、熱接着性繊維、不織布、又は樹脂粉末を含有す
る不織布の裏貼り材としての第二生地からなるカーペッ
ト又は自動車用内装材並びにその製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明における積層布帛の製造方
法は、少なくとも一層の生地として、主体繊維よりも2
0℃以上低い融点又は軟化点を有するポリマーを少なく
とも表面成分とする熱接着性繊維を、混綿繊維の状態で
含有する生地を使用するか、又は該熱接着性繊維を生地
表面部位に高配合で存在させた生地を使用するか、或い
は又該熱接着性繊維、熱接着性樹脂粉末を二層の生地の
中間接着層として使用し上記のような方法で製造される
ものであれば、各種衣料用布帛、リビング資材用布帛、
産業資材用布帛の製造に適用が可能である。使用される
生地は、いかなる繊維素材から構成されていてもよい
が、熱接着性繊維との接合において、生地間の接着性を
良好ならしめるためには、熱接着性繊維のポリマー素材
と他方の生地を構成する繊維素材との親和性が良好な組
み合せを採用することが好ましい。このような組み合せ
としては、合成繊維生地を使用する場合は同種のポリマ
ーからなる繊維を組み合わせることが好ましい。同種の
ポリマーを採用する利点は、生地間の接着性が良好であ
るとともに積層布帛をリサイクルする上でも意義のある
ことである。
【0006】次ぎに積層布帛としてカーペットを例に挙
げて本発明を詳細に説明する。カーペットの第一基布
(生地)としては、例えばポリエステル繊維からなる基
布(生地)の上に同じくポリエステルパイル糸をタフト
等で植毛したリサイクル可能な基布(生地)を使用する
ことができる。 該第一基布(生地)は、用途や好みに応
じてパイルを有する生地であっても、パイルを有しない
織物や編物などでもよい。
【0007】第一基布(生地)に積層される第二基布
(生地)としては、本発明の特長を発揮するために幾つ
かの工夫が必要である。第二基布には、主体繊維と、当
該繊維素材より融点又は軟化点が20℃以上低いポリマ
ーを少なくとも表面成分とする熱接着性繊維が10〜5
0重量%含まれていることが必要である。熱接着性を示
すポリマー素材としては、主体繊維との関係が上記を満
たす熱可塑性のポリマーなら特に制限されないが、リサ
イクルを考えると、ポリエステル系や、ポリオレフィン
系のポリマー素材が好ましく使用される。そして、熱接
着性繊維の含有率が10重量%未満では、生地間に強固
な接着状態を付与できないので、好ましくは20重量%
以上含有されていることが望まれる。一方、熱接着性繊維
の含有率が50重量%を超えていると、生地が硬くな
り、カーペットなどとして実用面で好ましくない。
【0008】また、本発明で使用される熱接着性繊維
は、上記の融点又は軟化点を有するポリマー単独からな
る繊維であってもよいし、かかるポリマーを少なくとも
表面成分とする芯鞘型、サイドバイサイド型の複合繊維
であってもよい。
【0009】本発明においては、生地同士を貼り合せる
に際し、熱接着性繊維を含む少なくとも第二生地の表面
が火炎などで直接加熱され、十分に溶融している状態で
第一基布(生地)と貼り合せられる。このため、第一基
布に対して予備的な加熱をする必要もなく、さらに厳し
い条件で圧力を掛ける必要もなく、常温程度の比較的低
温条件下で積層物を加圧するだけで強固な接着状態が得
られる。従って、従来のように接着時に生地に対し過酷
な加熱圧着を施す必要がないので、加熱圧着による第一
基布のパイル倒れがなく、パイルを有する商品を製造す
るにあたり、本発明の特長が最大に発揮できる。
【0010】即ち、本発明の積層布帛の製造方法におい
て最も特徴的な点は、少なくとも熱接着性繊維を含有す
る生地(第二基布)の一面をガスバーナーなどの火炎や
電熱ヒーターを用いて直接加熱することである。この
時、主体繊維より少し早く熱接着性繊維が溶融するの
で、主体繊維への熱の影響が少ないように加熱時間や加
熱程度を決定することが好ましい。そして、熱接着性繊
維が軟化・溶融した時点で、直ちに別の生地(第一基
布)の裏面(パイル、柄等の意匠性のない面)を重ね合
わせた状態で例えば、常温または低温の加圧ロールなど
により軽く圧縮することにより貼り合せを完了させるこ
とができる。
【0011】第一基布の裏面は加熱する必要がなく、む
しろ、裏面が常温又は低温であることにより、重ね合わ
されると同時に、溶融部分が接着しながら冷やされて、
効率的に貼り合せが行われる。 また、パイルなどを有する第一基布に加熱加圧が掛から
ない状態で貼り合せが完了するので、従来のボンディン
グ加工されたパイル製品に見られるパイル倒れもなく、
外観の良好なカーペットを得る事ができる。
【0012】熱接着性繊維を含む生地(第二基布)の表
面を溶融するのに要する時間は、火炎の温度やヒーター
の加熱容量にもよるが、概ね数秒(1〜2秒程度)でよ
く、貼り合わせに要する時間は、従来の接着剤を使用し
た場合に比べ約1/10〜1/20で済む。
【0013】ところで、通常の積層布帛においては、上
記のように第二基布の生地が熱接着性繊維を含有する生
地を用いて直接加熱し第一基布と貼り合わせれば、該二
層が接着した積層布帛となるが、該積層布帛が、例えば
“モミ”の如き力が繰り返し加わる用途、例えば自動車
用のクッションシートの表面材といった用途に使用され
る場合には、より一段の接着力が向上した積層布帛が要
請される。そのような、より強固な接着接合化という課
題に対しては、熱接着性繊維を含有するか、または含有
しない第二基布の表面部分又は表面上に、低融点又は低
軟化点の接着性繊維、不織布又は樹脂粉末を固定化して
おき、この基布の上から該固定した接着性繊維、不織布
又は樹脂粉末を直接加熱することによって、該介在させ
た繊維、不織布又は樹脂粉末の溶融とにより、繰り返し
応力に対しても分離することのない、より強固な接着
を、他の一層第一基布とさせることができる。
【0014】即ち本発明は、該第二基布として、生地の
表面部分に熱接着性繊維をリッチに存在させた生地を用
いても、上記と同様の直接加熱を行うことができ、上記
の熱接着性繊維混入生地の場合より、より強固に接着し
た積層布帛を得ることができる。なお、生地の表面部分
に熱接着性繊維をリッチに存在させた生地とする方法の
一例としては、生地を複数層の生地から構成し、しかも
その表面層側の生地に熱接着性繊維が高配合率で配合さ
せたものとし、これを結合したものとすればよい。
【0015】また第二基布は、それが不織布で構成され
る場合、熱接着性繊維を含有するものであれば、該熱接
着性繊維が不織布単繊維間の結合を助けるバインダーと
しての機能を奏する上で好ましいが、さらにその熱接着
性繊維が存在することによって、生地表面部分に存在さ
せた熱接着性繊維と接合することともなり、生地の強度
を高めかつ接着強度をも高めることとなるのでより好ま
しい。しかしこの熱接着性繊維を含有することは、必ず
しも必須ではない。
【0016】この生地表面部分に存在させる熱接着性繊
維は、前記第二基布に混入する場合の熱接着性繊維と同
成分からなるものであっても、又異なる成分からなるも
のであってもよいが、その接着性並びにリサイクル性を
考慮すれば、同成分、同種ポリマー成分の、同程度の低
溶融点又は低軟化点を有するものであることが好まし
い。
【0017】又その使用量は、第二基布に対して20〜
50g/m2の量が好ましい。この使用量が20g/m2
未満となると、求める、より強力な接合が望めなくな
る。より好ましくは30g/m2以上である。しかし5
0g/m2より多くなるとその強固な接合部分の増加に
より接合布帛の風合いが固いものとなるので好ましくな
い。
【0018】又本発明においては、第二基布として、生
地の表面部分に前記熱接着性繊維からなる不織布を打込
み等で固定化した生地を用いても、前記熱接着性繊維混
入生地の場合より、より強固に接着した積層布帛を得る
ことができる。
【0019】ここで用いることができる熱接着性繊維か
らなる不織布は、通常繊度の熱接着性繊維からなる乾・
湿式不織布であっても、また極細繊度の熱接着性繊維か
らなるメルトブローン不織布であってもよい。後者メル
トブローン不織布使用の場合は、その繊度が微細でその
分散が均一な点で、加熱溶融し均一な接合を行わせるた
めにはより好ましい。
【0020】この熱接着性不織布は、前記第二基布に混
入する場合の熱接着性繊維と同成分からなるものであっ
ても、又異なる成分からなるものであってもよいが、そ
の接着性並びにリサイクル性を考慮すれば、同成分、同
種ポリマー成分の、同程度の低溶融点又は低軟化点を有
するものであることが好ましい。
【0021】又その使用量は、第二基布に対して20〜
50g/m2の量が好ましい。この使用量が20g/m2
未満となると、求める、より強力な接合が望めなくな
る。より好ましくは30g/m2以上である。しかし5
0g/m2より多くなるとその強固な接合部分の増加に
より接合布帛の風合いが固いものとなるので好ましくな
い。
【0022】この熱接着性不織布は、それを第二基布表
面上に載せたままで前記直接加熱を行うことも可能であ
るが、その加熱溶融時直前でその都度該不織布を第二基
布表面上に正確に載せる操作は、その実施上あまり好ま
しいものではない。熱接着性不織布を第二基布表面上に
載せ、該不織布側から、いわゆるニードルパンチ等の打
込みを行って、第二基布表面上に熱接着性不織布が固定
化された基布を予め作成しておけば、この基布を、第一
基布と共に加熱処理工程にスムースに導入し処理するこ
とができ、容易な実施を行うことができる。
【0023】更に又本発明においては、第二基布とし
て、上記熱接着性不織布に代えて、第二基布の主体繊維
よりも20℃以上低い融点又は軟化点を有する熱融着成
分からなる樹脂粉末を用い、これを熱セットにより固定
化した生地を用いることもできる。
【0024】この場合の樹脂粉末は、前記第二基布に混
入する熱接着性繊維と同成分からなるものであっても、
又異なる成分からなるものであってもよいが、その接着
性並びにリサイクル性を考慮すれば、同成分、同種ポリ
マー成分の、同程度の低溶融点又は低軟化点を有するも
のであることが好ましい。
【0025】又この場合の樹脂粉末の使用量は、第二基
布に対して20〜50g/m2の量が好ましい。この使
用量が20g/m2未満となると、求める、より強力な
接合が望めなくなる。より好ましくは30g/m2以上
である。しかし50g/m2より多くなるとその強固な
接合部分の増加により接合布帛の風合いが固いものとな
るので好ましくない。
【0026】第二基布は、それを不織布で構成すればウ
レタン代替層として用いることができる。このことは、
パイルを植毛した第一基布表面材に対して第二基布が裏
貼り材となるカーペット、更には自動車用内装材、特に
そのクッションシートが、容易かつ安価に製作できるこ
と、且つ又その素材を単一素材化できるので、ウレタン
裏貼り材使用の場合でのカーペット、クッションシート
のリサイクルの困難さを解消できる大きな特徴点を有す
ること、を意味する。
【0027】なお第二基布を不織布で構成した積層布帛
を構成し、それを例えばクッションシートとして用いた
場合には、該シートに座る際、その裏貼り材として使用
している不織布の繊維間の圧縮によって、当初には、該
繊維間での“泣き”と称されるがごとき摩擦音を発する
場合がある。この摩擦音は必ずしも不快なものではなく
座る人の個人差にかかる問題ではあるが、この摩擦音を
減少させるためには、前記第二基布の直接加熱と該第二
基布と第一基布との低温条件下での加圧後(即ち接着
後)に、さらに50%以上の圧縮が施されるように加圧
処理を行えばよい。
【0028】
【実施例】以下本発明を図および実施例によってさらに
説明するが、本発明はこれら図および実施例に限定され
るものではない。
【0029】実施例1;この例は、裏貼り材として低融
点接着性繊維を含む不織布を用い、本発明法での直接加
熱法により、主としてカーペットのごとき繰り返しの揉
み操作をそれほど受けない積層物を製造簡略化して得る
例である。 <第一基布の作成>パイル・ヤーンとして、ポリエステ
ル加工糸1000デニール/50フィラメントの糸を使
用し、パイルを植毛する基布としてポリエステルからな
るスパンボンド不織布を使用して、タフト機により、1
/10ゲージ、パイル高さ=7mmの生地(第一基布)
を作った。 <第二基布の作成>主体繊維としてポリエステル繊維
(融点=260℃)15デニール×64mmの原綿を7
0%、熱接着性繊維として低融点ポリエステル繊維(軟
化点=110℃)、6デニール×64mmを30%混綿
し、カードによりウェブを紡出し、ニードルパンチして
目付500g/m2の不織布を作った。次にこの不織布
を190℃で1分間乾熱処理し前記主体繊維間を熱接着
繊維で融着させた不織布(第二基布)とした。 <積層布帛の作成>第二基布の片面を、ガス・バーナー
の炎に直接曝し表面を部分溶融した。約2秒の接炎で丁
度良い溶融状態になり、別の所から導いた第一基布の裏
面(パイルを有しない方の面)を、片面が溶融した第二
基布に重ね合わせ、直ちに加圧ロールにて軽く圧縮し、
冷却しながら接着処理を行った。この時の加工スピード
は、20m/分であった。得られたカーペットはパイル
の倒れのない優れたものであり、かつ上記工程で理解さ
れるように、その製造工程が簡潔単純で工業的生産に優
れている。
【0030】実施例2;この例は、その表面位置に熱接
着性繊維を偏在させた第二基布を用い、直接加熱法によ
り、主としてクッションシートのごとき繰り返しの揉み
操作を受ける積層物を製造簡略化して得る例である。 <第一基布の作成>スリー(3)バー・トリコット編機
を用いて、フロント糸としてポリエステル製150デニ
ール/72フィラメントの糸を使用し、ミドル糸および
バック糸としてポリエステル製75デニール/24フィ
ラメントの糸を用いてパイル高さが3mmのフルカット
生地(第一基布)を作った。 <第二基布の作成>主体繊維としてポリエステル繊維
(融点=260℃)15デニール×64mmの原綿を9
0%、熱接着性繊維として低融点ポリエステル繊維(軟
化点=110℃)、6デニール×64mmを10%混綿
し、カードにより第一ウェブを紡出した。次に上記主体
繊維および熱接着性繊維を、前者が70%、後者が30
%の配合で混綿し、同様にカードにより第二ウェブを紡
出し、これを前記第一ウェブに積層した。次にこの積層
ウェブを第二ウェブ側からニードルパンチして目付25
0g/m2の不織布を作り、さらにこの不織布を190
℃で1分間乾熱処理して第一ウェブおよび第二ウェブの
前記主体繊維間を熱接着繊維で融着させると共に、両者
ウェブ間を融着した不織布(第二基布)とした。 <積層布帛の作成>第二基布の第二ウェブ側を、実施例
1と同様、ガス・バーナーの炎に直接曝し表面を部分溶
融し、同時に第一基布を別の所から導き、この第一基布
の裏面(パイルを有しない方の面)を、上記第二基布の
溶融面に重ね合わせ、直ちに加圧ロールにて軽く圧縮
し、冷却しながら接着処理を行った。この時の加工スピ
ードは、20m/分であった。得られた積層物は、その
積層物の層間剥離のない優れたものであり、かつ上記工
程で理解されるように、その製造工程が簡潔単純で工業
的生産に優れている。
【0031】実施例3;この例は、第一基布と第二基布
との間に熱接着性不織布を介在させ、それを直接加熱法
により熱溶融させ両者基布を強固に接着する、繰り返し
の揉み作用にも安定な、主として自動車用等クッション
シートとして好適な積層物を得る例である。 <第一基布>パイルを植毛した第一基布として、実施例
2の第一基布を使用した。 <第二基布の作成>主体繊維としてポリエステル繊維
(融点=260℃)15デニール×64mmの原綿を9
0%、熱融着繊維として低融点ポリエステル繊維(融点
=110℃)6デニール×64mmを10%混入し、カ
ードによりウェブを紡出し、これにニードルパンチを行
い、不織布(第二基布)を製造した。 <熱接着性不織布の固定>第二基布に積層させるように
平均目付が30g/m2の低融点ポリエステルからなる
メルトブローン不織布(以下MBと略記)を重ね合わ
せ、該MB側からニードルパンチを行い、MBをウェブ
に固定化し、これに190℃、1分間の乾熱処理を行っ
てMBを固定した不織布を得、これをMB側が表側とな
るように巻き取り目付が280g/m2の不織布( MB
固定第二基布)を得た。 <積層布帛の作成>上記で得られたMB固定第二基布
を、図2で、巻取り管5から引き出し、ローラーを介し
てニップローラー6、7に導き、該ローラー7上で、表
面MB側をガスバーナー9で直接加熱し、該面を溶融状
態にさせると共に、別途巻取り管10から引き出し、ニ
ップローラー8に導いた前記第一基布の裏面(パイルを
有しない方の面)を重ね合わせ、該ニップローラー7、
8で加圧し、冷却させながら接着処理を行って、図1で
示す積層された自動車用のクッションシートを作製し
た。接着時の布速度は20m/分であった。得られたシ
ートはパイル糸がよく揃って立ち表面のすばらしいもの
であり、また自動車内クッションシートしての実装着時
でのテストにおいても第一基布(パイル植毛基布)と第
二基布(裏材不織布層)との層間剥離もなく、実用性に
優れるクッションシートであった。
【0032】実施例4;この例も、繰り返しの揉み作用
にも安定な、主として自動車用等クッションシートとし
て好適な積層物を得る他の例である。 <第一基布>パイルを植毛した第一基布として、実施例
2の第一基布を使用した。 <第二基布の作成と熱接着剤の固定>第二基布としては
上記実施例2のカードウェブを使用し、該カードウェブ
をニードルパンチし、これに低融点ポリエステルからな
る粉末(融点=170℃)を30g/m2となるように
表面に均等に振りかけ、190℃で1分間の乾熱処理を
行って、該粉末を該第二基布表面に固定し、該粉末側が
表側となるように巻取り管に巻き取った。 <積層布帛の作成>得られた第二基布を巻取り管から引
き出し、実施例3での図2の場合と同様に、粉末が固定
された側をニップローラー上でガスバーナーで直接あぶ
り、該面を溶融状態にすると共に、別の巻取り管紙から
同じくニップローラー上に導かれた上記第一基布の裏面
(パイルを有しない方の面)を重ね合わせ、加熱、冷却
して両者の接着処理を行った。接着時の布速度は20m
/分であった。ここで得られた積層物も、繰り返しの揉
み作用にも安定で、通常の事務椅子張地用シートとし
て、また車両用シートとして好適な積層物となった。
【0033】比較例1;実施例1で用いた第二基布に、
ポリエステル系の接着剤(ポリエステルの12%エマル
ジョン+ポリエステル樹脂の微粉末20wt%混合した
もの)を、100g/m2付着処理した。このものを、
まず120℃で乾燥処理し、さらに貼り合せ接着のた
め、150℃(ポリエステル系樹脂の融点)まで加熱し
て、その後パイルを植毛した第一基布の裏面側を重ね合
わせて接着処理した。この時の加工スピードは、3m/
分であった。この場合、その接着操作は、接着性を上げ
るためには、第二基布も予備加熱する必要があった。ま
た、加圧ロールで接着した後では、パイルが寝る傾向が
排除できず、商品価値の劣るものとなった。
【0034】
【発明の効果】本発明の製造方法で積層布帛を製造する
ことにより、 i)加工のスピードが、飛躍的にアップする。 ii)表面のパイル部分が、接着時の加熱・加圧により
『パイル寝』が発生しない。 と言った効果が発揮され、この方法による積層布帛は、
カーペット材として、また自動車用内装材、特にクッシ
ョンシートとして極めて優れている。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で得られる積層布帛の一例を示す該積層
布帛の断面図である。
【図2】本発明の積層布帛のボンディング工程の一例を
示す工程図である。
【符号の説明】
1 第一基布 2 パイル糸 3 熱融着性不織布 4 第二基布 5 第二基布巻取り管 6 ニップローラー 7 ニップローラー 8 ニップローラー 9 バーナー 10 第一基布巻取り管

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二層以上の生地を貼り合わせて積層布帛
    を製造するに際し、その少なくとも一層の生地として、
    主体繊維と該主体繊維よりも20℃以上低い融点又は軟
    化点を有するポリマーを少なくとも表面側成分とする熱
    接着性繊維とからなり、該熱接着性繊維を10〜50重
    量%含有する混綿糸からなる生地を用い、該生地表面を
    火炎又は電熱ヒーターにより直接加熱せしめ、ただちに
    別の生地と重ね合わせて常温又は低温で加圧することに
    より、貼り合わせを行うことを特徴とする積層布帛の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 二層以上の生地を貼り合わせて積層布帛
    を製造するに際し、その少なくとも一層の生地として、
    該生地の表面部分が、該生地の主体繊維よりも20℃以
    上低い融点又は軟化点を有するポリマーを少なくとも表
    面側成分とする熱接着性繊維を、該生地に対して10〜
    50重量%の高配合で偏在化させて含有する生地を用
    い、該生地表面を火炎又は電熱ヒーターにより直接加熱
    せしめ、ただちに別の生地と重ね合わせて常温又は低温
    で加圧することにより、貼り合わせを行うことを特徴と
    する積層布帛の製造方法。
  3. 【請求項3】 二層以上の生地を貼り合わせて積層布帛
    を製造するに際し、その少なくとも一層の生地表面に、
    該生地の主体繊維よりも20℃以上低い融点又は軟化点
    を有するポリマーを少なくとも表面側成分とする熱接着
    性繊維からなる20〜50g/m2の不織布又は粉末を
    固定化し、該生地をその接着用不織布又は粉末上から火
    炎又は電熱ヒーターにより直接加熱せしめ、ただちに別
    の生地と重ね合わせて常温又は低温で加圧することによ
    り、貼り合わせを行うことを特徴とする積層布帛の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 熱接着性繊維を含有する生地が不織布で
    ある請求項1ないし請求項3に記載の積層布帛の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の製造方法が、カーペッ
    ト又は自動車用内装材の製造方法である積層布帛の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の製造方法により得られる繊維製品。
  7. 【請求項7】 パイルを植生した第一生地と、該第一生
    地を裏貼りする不織布の第二生地とからなり、両者が熱
    接着用不織布又は樹脂粉末を介して熱接着されてなる請
    求項6に記載のカーペット。
  8. 【請求項8】 パイルを植生した第一生地と該第一生地
    を裏貼りする不織布の第二生地及び熱接着用不織布又は
    樹脂粉末が、共にポリエステル成分からなるものである
    ことを特徴とする請求項6に記載のカーペット。
  9. 【請求項9】 表面側となる第一生地と、該第一生地を
    裏貼りする不織布の第二生地とからなり、両者が熱接着
    用不織布又は樹脂粉末を介して熱接着されてなる請求項
    6に記載の自動車用内装材。
  10. 【請求項10】 自動車用内装材がクッションシートで
    あることを特徴とする請求項9に記載の自動車用内装
    材。
  11. 【請求項11】 表面側となる第一生地と該第一生地を
    裏貼りする不織布の第二生地及び熱接着用不織布又は樹
    脂粉末が、共にポリエステル成分からなるものであるこ
    とを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の自動車
    用内装材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007007891A (ja) * 2005-06-28 2007-01-18 Kureha Ltd 接着性に優れた厚物接着品及びその製造法
JP2007283758A (ja) * 2006-03-24 2007-11-01 Du Pont Toray Co Ltd 高機能コンポジット
JP2011241495A (ja) * 2010-05-17 2011-12-01 Teijin Fibers Ltd 複合繊維シートの製造方法および複合繊維シート

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