JPH10291127A - 歯切り加工方法 - Google Patents

歯切り加工方法

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JPH10291127A
JPH10291127A JP9099519A JP9951997A JPH10291127A JP H10291127 A JPH10291127 A JP H10291127A JP 9099519 A JP9099519 A JP 9099519A JP 9951997 A JP9951997 A JP 9951997A JP H10291127 A JPH10291127 A JP H10291127A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存のグリーソン式歯切り盤を使って、連続
割り出しによる創成歯切り加工を可能にする。 【解決手段】 正面フライスカッタ1、歯車素材Wおよ
びクレイドル2をそれぞれ別個のサーボモータ5,2
3,8で回転駆動する。正面フライスカッタ1と歯車素
材Wの回転位相を所定の回転比となるように同期制御
し、クレイドル2の回転位相に対して所定の割合で歯車
素材Wの回転位相に補正を加えるようにNC制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、まがりばかさ歯車
もしくはハイポイドギヤの歯切り加工方法に関し、特に
グリーソン式歯切り盤を用いながら、連続回転割り出し
による創成歯切りを可能とした歯切り加工方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】まがりばかさ歯車もしくはハイポイドギ
ヤの歯切り加工は、図6に示すように、支持体である図
示外のクレイドルに偏心させて支持させた環状の正面フ
ライスカッタ58をそのカッタ軸心周りに回転させて該
正面フライスカッタ58の切刃の軌跡により仮想創成歯
車Gの一歯を現わさしめるとともに、前記正面フライス
カッタ58をクレイドルごと仮想創成歯車Gの軸心と一
致するクレイドル軸心周りに回転させることにより正面
フライスカッタ58を連続的に公転運動させ、前記仮想
創成歯車Gと噛み合う位置に配置した歯車素材(以下、
ワークという)61に理想的な噛み合い運動を与えるべ
くその軸心周りに同期回転させることによって一歯面を
創成することを基本としている。そして、一歯面が創成
されたならば順次割出して、次々の歯面を創成すること
になる。
【0003】このような創成歯切り法の代表的なものと
して、グリーソン式の歯切り盤やCNCタイプの歯切り
盤(同等機能を有する専用機を含む)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】グリーソン式の歯切り
盤は、図7に示すように、単一のモータ51からの回転
出力をギヤトレーン52〜57を介して正面フライスカ
ッタ58やクレイドル59、さらにはワークスピンドル
60に装着されたワーク61に伝達して、それぞれの要
素を回転駆動させるものであるが、クレイドル59の回
転とワーク61の回転とは同期がとられてはいても、ワ
ーク61の割り出し回転の際には同一駆動源からの回転
出力をゼネバ機構62により間欠回転に変換してワーク
61を割り出し回転させることになるため、そのワーク
61の割り出し回転と正面フライスカッタ58の回転運
動との間では同期をとることができず、結果的にワーク
61の連続回転割り出しによる歯切り加工を困難なもの
としている。
【0005】また、近年では、図7に示すところのギヤ
トレーン52〜57の一部を取り外し、代わってワーク
軸とクレイドル軸にそれぞれモータを個別に設け、上記
のような純機械的な歯切り盤の動きをNC制御化するこ
とも試られている。しかし、この場合にも、一歯ずつ割
り出しながら歯切りを行うことには変わりはなく、生産
性の高い連続回転割り出しによる歯切り法を実現するこ
とはできない。
【0006】一方、CNCタイプの歯切り盤は唯一連続
割り出しによる歯切り法を実現することができるもの
の、その機能よりして機械自体が高価であり、設備費の
高騰を招く結果となって好ましくない。
【0007】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、既存の設備に改良を加えるだけで比較的安
価に連続割り出しによる歯切り加工を可能とした歯切り
加工方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、まがりばかさ歯車もしくはハイポイドギヤの歯切り
加工を行うにあたり、クレイドルに偏心させて支持させ
た環状の正面フライスカッタをそのカッタ軸心周りに回
転させて該正面フライスカッタの切刃の軌跡により仮想
創成歯車の一歯を現わさしめるとともに、前記正面フラ
イスカッタをクレイドルごと仮想創成歯車の軸心と一致
するクレイドル軸心周りに回転させることにより正面フ
ライスカッタを連続的に公転させ、前記仮想創成歯車と
噛み合う位置に配置した歯車素材をその軸心周りに同期
回転させることによって歯切り加工を行うようにした方
法であって、前記クレイドル、正面フライスカッタおよ
び歯車素材のそれぞれを個別のモータによって回転駆動
させるとともに、クレイドル、正面フライスカッタおよ
び歯車素材のそれぞれの回転位相を個別に制御すること
を特徴としている。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明における正面フライスカッタと歯車素材の回転位
相を所定の回転比となるように同期制御し、前記クレイ
ドルの回転位相に対して所定の割合で歯車素材の回転位
相に補正を加えることを特徴としている。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の発明におけるクレイドルと歯車素材との間の回転位相
差を歯切り加工中に変化させることを特徴としている。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載の発明において、正面フライスカッタが
装着されるカッタスピンドルに常時制動トルクを加えな
がら加工を行うことを特徴としている。
【0012】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載の発明において、正面フライスカッタの
回転位相制御のための回転検出を、その正面フライスカ
ッタが装着されるカッタスピンドルに直結した回転セン
サによって行うものであることを特徴としている。
【0013】したがって、請求項1に記載の発明では、
クレイドル、正面フライスカッタおよび歯車素材の回転
位相をそれぞれを個別に制御することにより、実質的に
それぞれの回転駆動系のNC制御化が可能となる。これ
により、クレイドルの回転と歯車素材の回転との間で同
期をとることができることはもちろんのこと、歯車素材
の割り出し回転についても正面フライスカッタの回転と
の間で同期をとることが可能となり、歯車素材の連続回
転割り出しによる創成歯切りが可能となる。
【0014】特に請求項2に記載の発明では、正面フラ
イスカッタと歯車素材の回転位相を同期制御しつつ、ク
レイドルの回転位相に対して所定の割合で歯車素材の回
転位相に補正を加え、例えば正面フライスカッタと歯車
素材との回転比が一定となるように制御しつつ、クレイ
ドルを回転させたときにそのクレイドル回転角に所定の
関数を乗じた角度だけ歯車素材の回転角に差動を与える
ようにすれば、完全な3軸制御によらず補正制御だけで
連続割り出しによる歯すじ創成と歯形創成とが同時に行
われるようになる。
【0015】そして、請求項3に記載の発明のように、
クレイドルと歯車素材との間の回転位相差、すなわち上
記の差動量を加工中に積極的に変化させると、創成すべ
き歯形に修正が加えられて、歯形創成と同時に例えば歯
当たりあるいは噛み合い伝達誤差等の適正化を図ること
ができる。
【0016】ここで、正面フライスカッタとその正面フ
ライスカッタを駆動するためのモータとの間にギヤトレ
ーンが介在せざるを得ない場合には、そもそも正面フラ
イスカッタによる歯切り自体が断続切削であるがため
に、上記の歯車列のがたつきすなわちバックラッシュに
よるピッチ誤差の発生が不可避である。
【0017】そこで、請求項4に記載の発明のように、
例えばディスブレーキ等の手段によりカッタスピンドル
に常時制動トルクを加えながら加工を行うと、上記のバ
ックラッシュによるピッチ誤差への影響をなくすことが
できる。
【0018】また、上記のように、独立したモータを駆
動源とする正面フライスカッタの回転位相を個別に制御
するためには、必然的にその正面フライスカッタの回転
を検出する必要があるが、モータに近い位置でその回転
検出を行うと、モータと正面フライスカッタとの間に介
在しているギヤトレーンのバックラッシュの影響で検出
誤差が生ずることになる。
【0019】このようなことから、請求項5に記載の発
明のように、正面フライスカッタが装着されるカッタス
ピンドルに直結した回転センサによって回転検出を行う
ことで、その正面フライスカッタの回転検出精度が向上
し、これに他の軸を追従させることにより同期精度が高
められる。
【0020】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、クレイ
ドル、正面フライスカッタおよび歯車素材の回転位相を
それぞれ個別に制御可能として、実質的にそれぞれの回
転駆動系のNC制御化を図ったものであるから、従来で
は高精度なCNCタイプの歯切り盤や専用機を用いなけ
ればできなかった連続割り出しによる創成歯切りが可能
となり、安価な設備で生産性の高い連続割り出しによる
歯切りを実現できる効果がある。
【0021】特に請求項2に記載の発明のように、正面
フライスカッタと歯車素材の回転位相を同期制御しつ
つ、クレイドルの回転位相に対して所定の割合で歯車素
材の回転位相に補正を加えることにより、請求項1に記
載の発明と同様の効果のほかに、完全な3軸制御によら
ずに補正制御だけで連続割り出しによる歯すじ創成と歯
形創成とが同時に行われるようになるために、制御の簡
素化を図ることができる利点がある。
【0022】また、請求項3に記載の発明によれば、ク
レイドルと歯車素材との間の回転位相差を歯切り加工中
に積極的に変化させるようにしたことから、請求項2に
記載の発明と同様の効果のほかに、創成歯切りと同時に
その創成すべき歯形に修正が加えられて、例えば歯当た
りあるいは噛み合い伝達誤差等の適正化を図ることがで
きる効果がある。
【0023】請求項4に記載の発明によれば、ディスブ
レーキ等の手段によりカッタスピンドルに常時制動トル
クを加えながら歯切り加工を行うようにしたことから、
請求項1〜3のいずれかに記載の発明と同様の効果のほ
かに、カッタスピンドルに装着される正面フライスカッ
タとその正面フライスカッタを駆動するためのモータと
の間にギヤトレーンが介在せざるを得ない場合でも、そ
のギヤトレーンのバックラッシュによる被加工歯車のピ
ッチ誤差への影響をなくすことができる効果がる。
【0024】請求項5に記載の発明によれば、正面フラ
イスカッタが装着されるカッタスピンドルに直結した回
転センサによって、その正面フライスカッタの回転検出
を行うようにしたことから、請求項1〜4のいずれかに
記載の発明と同様の効果のほかに、カッタ駆動用モータ
と正面フライスカッタとの間にギヤトレーンが介在して
いても、そのギヤトレーンのバックラッシュの影響でカ
ッタの回転検出に検出誤差が生ずるがなく、他の軸との
同期精度が向上する効果がある。
【0025】
【発明の実施の形態】図1〜図6は本発明の好ましい実
施の形態を示す図であって、特に図1は本発明が適用さ
れる歯切り盤の全体構成を、図2はそのブロック回路図
を、図3,4はカッタスピンドルの要部断面図をそれぞ
れ示している。
【0026】図1および図3,4において、1は歯切り
加工用の正面フライスカッタ(以下、単にカッタとい
う)、2はクレイドルで、このクレイドル2にはその軸
心aから偏心した位置に図3,4に示すようにカッタス
ピンドルスリーブ3を介してカッタスピンドル4が回転
可能に支持されているとともに、このカッタスピンドル
4の先端にカッタ1が装着されている。そして、カッタ
1はスピンドルモータ(ACサーボモータ)5によりギ
ヤトレーン6,7を介して回転駆動される一方、クレイ
ドル2は同じくACタイプのサーボモータ8によって回
転駆動されるようになっている。
【0027】上記カッタスピンドル4の後端には、図4
に示すようにロータリーエンコーダ9が設けられてい
る。このロータリーエンコーダ9はカッタスピンドルス
リーブ3に付設された取付台10に固定支持されている
一方、その入力軸11はカップリング12とサポートシ
ャフト13およびボルト14とを介してカッタスピンド
ル4に連結されていて、前記スピンドルモータ5によっ
て回転駆動されるカッタ1の回転角度(回転数)がその
カッタ1に可及的に近い位置でロータリーエンコーダ9
によって検出されるようになっている。
【0028】また、図3に示すように、前記カッタスピ
ンドル4のうちカッタ1の直近位置にはブレーキディス
ク15が固定されている一方、カッタスピンドル4を支
持しているカッタスピンドルスリーブ3側にはブレーキ
ディスク15をはさむようにしてキャリパ16が設けら
れていて、これらブレーキディスク15とキャリパ16
とによりディスブレーキ17が形成されている。
【0029】そして、キャリパ16に支持されたブレー
キシュー18を油圧にてブレーキディスク15に押し付
けることにより、カッタ1は常時所定の制動力が加わっ
た状態で回転駆動されるようになっている。
【0030】上記のカッタ1は、図3および図5に示す
ように、円板状のカッタボディ19の外周縁部に多数の
カッタブレード20a,20bを並列したもので、各カ
ッタブレード20a,20bの配置としては、二つ一組
のカッタブレード20a,20b(一方が噛み合い方向
側歯面切削用であれば他方が反噛み合い方向側歯面切削
用となる)からなるブレードグループ20を円周方向に
沿って螺旋状に並べ、このブレードグループ20をカッ
タボディ19の円周方向に沿って等ピッチで多数配置し
てある。
【0031】そして、後述するように、カッタ1の自転
および公転運動とワークWの回転運動とを同期させるこ
とにより、ワークWの連続割り出しによる歯すじ創成と
歯形創成とが同時に行われることになる。なお、図5中
のC1はカッタ1の回転中心、C2はクレイドル2の回転
中心をそれぞれ示しており、また、カッタ1、クレイド
ル2およびワークW相互の配置関係は基本的には図6に
示したものと同一である。
【0032】また、図1の21は先端に歯車素材(以
下、ワークという)Wが装着されるワークスピンドル、
22はワークスピンドル21を含むスピンドルユニット
が搭載されたスライドベースで、ワークスピンドル21
はサーボモータ(ACサーボモータ)23によってギヤ
24,25を介して回転駆動される一方、スライドベー
ス22は同じくACタイプのサーボモータ26を駆動源
としてギヤ27,28およびボールねじ29を介してス
ライド駆動されるようになっている。
【0033】そして、図2に示すように、ワークスピン
ドル21(C軸)駆動用のサーボモータ23とクレイド
ル2駆動用のサーボモータ8はともに速度フィードバッ
ク要素としての速度検出器30または31を備えている
とともに、ワークスピンドル駆動用のサーボモータ23
については位置フィードバック要素としてのロータリー
エンコーダ32を有している。
【0034】すなわち、図1の歯切り盤の構造では、ク
レイドル駆動系、ワーク駆動系およびスライドベース駆
動系のそれぞれが独立したサーボモータを有していて、
各駆動系ごとに個別にNC制御可能な構造となってい
る。
【0035】ここで、まがりばかさ歯車のピニオンギヤ
の歯切り加工を行うにあたっては、図2に示すように、
NCコントローラのEGB(Electronic G
ear Box)機能を使って、カッタ1の回転位相と
ワークWの回転位相とを所定の回転速度比となるように
クローズドループにて同期制御し、クレイドル2の回転
移動量に対して所定の割合でワークWの回転位相に補正
を加えることにより、ワークWの連続回転割り出しによ
る歯すじ創成と歯形創成とを同時に行う。
【0036】なお、加工時におけるワークWとカッタ1
およびクレイドル2の相対位置関係としては、先に述べ
たように図6に示したものと基本的に同様であるもの
の、図5に示すようにカッタ1のブレードグループ20
が螺旋状となっている点でのみ異なっている。また、図
5中の34は凸状の歯すじを示しており(ハッチングを
施した部分)、それらの歯すじ34,34同士の間に凹
状の歯溝35が切削形成される。
【0037】より詳しくは、図1,5に示すように、ワ
ークWに歯切りすべき歯数をZ1とするとともにカッタ
1のブレードグループ20の数をZWとすると、カッタ
1とワークWの回転速度比はZ1:ZW、言い換えれば、
カッタ1がθXだけ回転したときのワークWの回転量を
θ1とすると、歯すじ創成を行うためにはθ1=(ZW
1)×θXとなる。そこで、図2に示すように、カッタ
スピンドル4に付設されたロータリーエンコーダ9の出
力をNCコントローラのEGB機能部36に取り込み、
これにカッタ1とワークWの歯数比ZW/Z1を乗じたも
のをワーク駆動系の指令信号に補正指令として加える。
これにより、カッタ1とワークWとはZ1:ZWの回転速
度比で同期回転して、カッタ1のブレードグループ20
が延長エピサイクロイド曲線を描くことによりワークW
の連続回転割り出しによる歯すじ創成が可能となる。
【0038】一方、ピニオンギヤの歯切りには上記の歯
すじ創成に加えて歯形創成を同時に行う必要があり、こ
の歯形創成に必要なワークWの回転とクレイドル2の回
転との関係は、ワークWの回転量をθ2、クレイドル2
の回転量をθQとした場合に、θ2=f(θQ)となる。
【0039】なお、上記のf(θQ)はワーク回転角と
クレイドル回転角との関係を示す関数にほかならず、通
常は、θ2=f(θQ)=Ra×θQ(ただし、Raはワー
クとクレイドルとの回転速度比で、通常はRa=一定)
である。
【0040】そこで、上記のようにカッタ1とワークW
の回転位相を同期制御しつつ、クレイドル2を回転させ
たときにそのクレイドル2の回転角θQに対してワーク
Wの回転角θ2がθ2=f(θQ)となるようにワークW
の回転角に差動を与える。つまり、θ2なるワーク回転
角を、先のθ1なるワーク回転角に対してNCの直線補
間機能を用いてインクルメンタル指令にて差動回転とし
て付与することにより、ワークW全体の補正回転角θ=
θ1+θ2となって、カッタ1が自転しつつ1回公転運動
すれば総ての歯が同量ずつ切削され、この動作を連続的
に繰り返すことにより歯すじ創成と歯形創成とが同時に
行われる。
【0041】この場合、f(θQ)なる関数を歯切り加
工中に積極的に変化させることにより、歯面(歯形)形
状に修正を加えることが可能となり、例えば歯当たり状
態や噛合伝達誤差等の適正化が同時に図れる。
【0042】つまり、本実施の形態によれば、カッタ駆
動系、ワーク駆動系およびクレイドル駆動系の3軸がそ
れぞれ独立制御可能ではあるものの、単に3軸それぞれ
を独立して制御するのではなく、カッタ1およびクレイ
ドル2の動きに応じてワークWの回転に補正を加える方
式としたことから、より安価な設備構成で連続回転割り
出しによる創成歯切り加工が可能となる。
【0043】しかも、図1に示すように、カッタ1とそ
のカッタ1を回転駆動するためのスピンドルモータ5と
の間にはギヤトレーン6,7が介在している上に、図5
から明らかなようにカッタ1による歯切り切削は断続切
削のかたちとなるため、通常であればギヤトレーン6,
7のバックラッシュによるピッチ誤差の発生は不可避で
ある。しかしながら、上記の実施の形態では、図3に示
したディスクブレーキ17によりカッタスピンドル4に
常時所定の制動力を加えながら加工するようにしている
ため、上記のギヤトレーンのバックラッシュによる被加
工歯車のピッチ誤差への影響はなくなる。
【0044】同様の理由から、図4に示したように、実
質的にカッタスピンドル4内に埋設したロータリーエン
コーダ9によりカッタ1の回転を検出しているため、ス
ピンドルモータ5に近い位置で回転検出した場合と比べ
て上記ギヤトレーンのバックラッシュの影響がなく、カ
ッタ1の回転検出精度ひいてはワークWとカッタ1との
同期精度が向上することになる。
【0045】ここで、上記の歯切り盤の構造では、必要
に応じて従来のような一歯ごとに割り出すいわゆる単一
割り出し方式の歯切り加工も可能である。この場合に
は、ワークWの回転とクレイドル2の回転とをオープン
ループ方式で2軸同時に制御すればよい。もちろん、ク
レイドル2の往復運動により切削を行う一方で、その往
動から復動に切り換わる時にワークWに切り込み回転を
与えるようにすれば、噛み合い側の歯面と反噛み合い側
の歯面とで先に述べた関数f(θQ)を異ならしめて加
工することも可能である。
【0046】また、まがりばかさ歯車のリングギヤの成
形歯切り加工の場合には、クレイドル2を回転させるこ
となく固定して、図1のスライドベース22の自由度を
使って切り込み送りのみを与えることで歯切り加工が可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図で、本発明の歯切
り加工法に用いられる歯切り盤の構成説明図。
【図2】図1に示す各モータの制御系のブロック回路
図。
【図3】図1のカッタ近傍の要部拡大図。
【図4】図3の要部断面図。
【図5】本発明の歯切り加工法による原理説明図。
【図6】従来の創成歯切り加工法を示す説明図。
【図7】従来のグリーソン式歯切り盤の構成説明図。
【符号の説明】
1…正面フライスカッタ 2…クレイドル 4…カッタスピンドル 5…スピンドルモータ 8…サーボモータ 9…ロータリーエンコーダ 17…ディスクブレーキ 20…ブレードグループ 20a,20b…カッタブレード 21…ワークスピンドル 23…サーボモータ 26…サーボモータ 32…ロータリーエンコーダ 36…EGB機能部 W…歯車素材(ワーク)
フロントページの続き (72)発明者 小杉 実 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 まがりばかさ歯車もしくはハイポイドギ
    ヤの歯切り加工を行うにあたり、クレイドルに偏心させ
    て支持させた環状の正面フライスカッタをそのカッタ軸
    心周りに回転させて該正面フライスカッタの切刃の軌跡
    により仮想創成歯車の一歯を現わさしめるとともに、前
    記正面フライスカッタをクレイドルごと仮想創成歯車の
    軸心と一致するクレイドル軸心周りに回転させることに
    より正面フライスカッタを連続的に公転させ、前記仮想
    創成歯車と噛み合う位置に配置した歯車素材をその軸心
    周りに同期回転させることによって歯切り加工を行うよ
    うにした方法であって、 前記クレイドル、正面フライスカッタおよび歯車素材の
    それぞれを個別のモータによって回転駆動させるととも
    に、クレイドル、正面フライスカッタおよび歯車素材の
    それぞれの回転位相を個別に制御することを特徴とする
    歯切り加工方法。
  2. 【請求項2】 前記正面フライスカッタと歯車素材の回
    転位相を所定の回転比となるように同期制御し、前記ク
    レイドルの回転位相に対して所定の割合で歯車素材の回
    転位相に補正を加えることを特徴とする請求項1記載の
    歯切り加工方法。
  3. 【請求項3】 クレイドルと歯車素材との間の回転位相
    差を歯切り加工中に変化させることを特徴とする請求項
    2記載の歯切り加工方法。
  4. 【請求項4】 前記正面フライスカッタが装着されるカ
    ッタスピンドルに常時制動トルクを加えながら加工を行
    うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歯
    切り加工方法。
  5. 【請求項5】 前記正面フライスカッタの回転位相制御
    のための回転検出を、その正面フライスカッタが装着さ
    れるカッタスピンドルに直結した回転センサによって行
    うものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の歯切り加工方法。
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Cited By (3)

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