JPH10288180A - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機

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JPH10288180A
JPH10288180A JP9093768A JP9376897A JPH10288180A JP H10288180 A JPH10288180 A JP H10288180A JP 9093768 A JP9093768 A JP 9093768A JP 9376897 A JP9376897 A JP 9376897A JP H10288180 A JPH10288180 A JP H10288180A
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compressor
winding
oil
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義春 信太
Yoshiaki Inaba
好昭 稲葉
Kiyotaka Kawamura
清隆 川村
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    • H02K1/146Stator cores with salient poles consisting of a generally annular yoke with salient poles
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    • HELECTRICITY
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    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リーク電流の低減を図って、電気絶縁性を確保
した電動機部を備える圧縮機を提供する。 【解決手段】塩素を含まない冷媒を吸込んで圧縮し吐出
するとともに、この冷媒と相溶性がある冷凍機油Oを集
溜し、この冷凍機油によって潤滑される圧縮機構部4
と、この圧縮機構部を駆動する電動機部5とを備え、上
記電動機部は、固定子8と回転子9とから構成され、上
記固定子は、固定子鉄心30に巻線31を施してなる圧
縮機において、上記固定子鉄心は、ヨーク部32とティ
ース部33とからなり、上記ティース部に直接巻線を施
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば冷凍機や
空気調和機の冷凍サイクルを構成する圧縮機に係り、特
に、電動機部の巻線構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば冷凍機や空気調和機に用いられ
る圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、この圧縮機
構部を駆動する電動機部とから構成される。特に、電動
機部は、固定子と回転子とからなる。
【0003】そして、上記電動機部においては、冷凍サ
イクル運転の省エネルギおよび快適性を追求するものと
して、2極あるいは4極三相の巻線が施され、インバー
タ電源で駆動される。
【0004】従来、図15(A)もしくは(B)に示す
ように、固定子が構成される。すなわち固定子Sa,S
bはいずれも、固定子鉄心Kに巻線Mが施されたもので
ある。上記固定子鉄心Kは、円環状のヨーク部yと、こ
のヨーク部yの内周壁に所定間隔を存して一体に突設さ
れるティース部tとからなり、各ティース部t間をスロ
ットrと呼ぶことは周知である。
【0005】固定子鉄心Kに形成されるスロットrの数
は、普通、三相の2極あるいは4極で巻線することを考
慮した12n(nは1以上の整数)である。そして、上
記巻線Mは、インサータ巻線方式によりスロットr相互
間に跨って巻線される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
インサータ巻線方式では、スロットr間に跨って配線さ
れるので、固定子Sa,Sbの両端面から突出する巻線
M部分であるコイルエンドの高さが高くなる。その分、
巻線Mの表面積が大きくなって、リーク電流が多くな
る。
【0007】すなわち、リーク電流はインバータのチョ
ッピング周波数増加に比例し、巻線M表面積に対して比
例関係にある。特に、コイルエンドは圧縮機構部を潤滑
する冷凍機油(潤滑油)や、冷媒と冷凍機油とが混合さ
れた液状もしくはガス雰囲気中に晒されるので、リーク
電流増加の条件が揃っている。
【0008】また、コイルエンドが大きいのでコイル周
長が長くなり、コスト大につながるとともに電線抵抗で
ある銅損が大きくなる。さらに、巻線挿入時あるいは、
巻線終了後に行うコイルエンド成形で、巻線に傷が付き
易い。
【0009】また、近年、環境破壊問題により、塩素原
子を含まない代替えフロンを使用することになってい
る。この代替えフロンと、圧縮機内に封入される冷凍機
油との相溶性に新たな問題が生じている。
【0010】すなわち、図13の油面変化特性図に示す
ように、冷凍機油の油面高さは運転時間の経過にともな
う冷媒の溶け込み状態によって変化する。特に運転始動
時は、冷媒が多量に存在して密閉ケース内に寝込むこと
が多い。
【0011】このとき、密度の大きい冷媒層が下層に、
密度の小さい冷凍機油が上層に二層分離して偏在し、圧
縮機構部に近い下部側のコイルエンド一部は冷媒が溶け
込んだ状態の冷凍機油に浸漬される。
【0012】図16は、ケース3内に貯溜される冷凍機
油の高さ状態を示し、油面Aは主軸受12、油面Bは上
部シリンダ11A、油面Cは下部シリンダ11B、油面
Dは副軸受13のそれぞれ油面高さを示している。
【0013】始動直後は、ケース3底部に貯溜する多量
の油が給油ポンプにより各圧縮摺動部へ吸上げられるの
で、貯溜する油は一旦大きく減少するが、1〜2分運転
が継続されると冷凍サイクル中を循環している油が圧縮
機に戻ってきて、圧縮ガスとともにケース内に吐出され
るので、再び油面高さは上昇し油面Aと油面Bとの間の
油面高さで安定状態となる。
【0014】そして、始動から通常運転までの過度期を
経た安定状態でも、コイルエンドの突出高さが高いため
に、その一部が冷凍機油に浸されることは変わりがな
い。代替フロンと相溶性のよい冷凍機油として、ポリグ
リコール油やエステル油などがあるが、特にポリグリコ
ール油を選択した場合は、従来から使用していた鉱油に
比べて、油の体積抵抗率が著しく低く、そのため、電動
機部からリークするリーク電流が大幅に増大して、電気
絶縁性が悪化するという問題がある。
【0015】本発明は上記事情にもとづきなされたもの
であり、その目的とするところは、リーク電流の低減を
図って、電気絶縁性を確保する電動機部を備えた圧縮機
を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を満足するた
め、本発明の圧縮機は、請求項1として、塩素原子を含
まない冷媒を吸込んで圧縮し吐出するとともに、この冷
媒と相溶性がある冷凍機油を集溜し、この冷凍機油によ
って潤滑される圧縮機構部と、この圧縮機構部を駆動す
る電動機部とを備え、上記電動機部は、固定子と回転子
とから構成され、上記固定子は、固定子鉄心に巻線を施
してなる圧縮機において、上記固定子鉄心は、ヨーク部
とティース部とからなり、上記ティース部に直接巻線を
施したことを特徴とする。
【0017】請求項2として、請求項1記載の圧縮機に
おいて上記圧縮機構部に集溜される冷凍機油は、エステ
ル系油と、ポリエーテル系油と、アルキルベンゼン系油
と、テフロン系油の一種または二種以上を混合させてな
ることを特徴とする。
【0018】請求項3として、請求項1記載の圧縮機に
おいて上記電動機部の固定子は、その固定子鉄心を構成
するヨーク部およびティース部が、少なくとも2分割以
上に分割されていることを特徴とする。
【0019】請求項4として、請求項1ないし請求項3
記載の圧縮機において上記固定子鉄心のティース部に施
される巻線は、あらかじめ巻き枠であるボビンに巻回さ
れていて、このボビンが上記ティース部に挿入嵌合され
ることを特徴とする。
【0020】請求項5として、請求項1ないし請求項4
記載の圧縮機において上記固定子鉄心のティース部は、
その数が3×n(nは2以上の整数)に構成されるとと
もに、固定子巻線を隣り同士のティース部が異相で、か
つ常に一相が非通電可能に三相巻線が施されることを特
徴とする。
【0021】請求項6として、請求項4記載の圧縮機に
おいて上記電動機部は、インバータ駆動されることを特
徴とする。請求項7として、請求項1ないし請求項6記
載の圧縮機において上記固定子とともに電動機部を構成
する上記回転子は、永久磁石が組込まれることを特徴と
する。
【0022】請求項8として、請求項7記載の圧縮機に
おいて上記回転子に組込まれる永久磁石は、その磁石素
材として、希土類磁石が用いられることを特徴とする。
請求項9として、請求項1ないし請求項6記載の圧縮機
において上記ティース部に施される巻線のコイルエンド
は、反圧縮機構部側の突出高さLaよりも圧縮機構部側
の突出高さLbが小に形成(La>Lb)されることを
特徴とする。
【0023】上述の課題を解決する手段を採用すること
により、請求項1記載の発明では、巻線のコイルエンド
部分を小さくでき、冷凍機油中に漬かる巻線部分の表面
積が低減して、リーク電流が低減する。
【0024】請求項2記載の発明では、特定冷媒との相
溶性がよい冷凍機油を選択でき、潤滑性の向上と、高い
圧縮効率を得る。請求項3記載の発明では、ティース部
に巻線後、ヨーク部と巻線されたティース部を嵌合で
き、よって製造が容易で、しかも銅線の使用量が少なく
てすむ。
【0025】請求項4記載の発明では、あらかじめ巻線
をしたボビンをティース部に挿入すれば組立てられるの
で、作業性がよいとともに、巻線が加圧されないので傷
が付かずにすみ、高品質で高信頼性を得る。
【0026】請求項5記載の発明では、回転磁界(磁気
吸引力)の分布が片寄らず、振動の発生を抑制できる。
請求項6記載の発明では、電動機部の運転周波数を、常
に、負荷に合わせて最適状態に制御する。
【0027】請求項7記載の発明では、高周波磁束によ
り生じる渦電流損失を大きく低減でき、有効磁束の増加
による電動機効率の効率改善を図れる。請求項8記載の
発明では、希土類磁石を採用することにより、効率アッ
プとなり性能向上を得られる。請求項9記載の発明で
は、コイルエンドと圧縮機構部との間に充分な隙間を確
保する。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、
図面にもとづいて説明する。図1に示す、1は密閉形圧
縮機であり、2はアキュームレータである。これら圧縮
機1およびアキュームレータ2は、たとえば空気調和機
の冷凍サイクルを構成している。
【0029】この冷凍サイクルに用いられる冷媒は、塩
素原子を含まない冷媒、たとえばハイドロフルオロカー
ボン冷媒(HFC冷媒)であり、上記HFC冷媒のうち
で、たとえばR410A(R32/R125の混合冷
媒)が採用される。
【0030】他にも、R407C(R32/R125/
R134aの混合冷媒)、R404A(R125/R1
43a/R134aの混合冷媒)、R134a(単冷
媒)などが好ましい冷媒として挙げられる。
【0031】密閉形圧縮機1は密閉ケース3を有する。
この密閉ケース3内の下部には後述する圧縮機構部4が
設けられ、上部には後述する電動機部5が設けられる。
これら圧縮機構部4と電動機部5とは回転軸6を介して
連結され、電動圧縮機本体7が構成される。
【0032】上記密閉ケース3の内底部には冷凍機油O
が集溜され、上記圧縮機構部4のほとんどが浸漬され
る。ここに集溜される冷凍機油は、エステル系油と、ポ
リエーテル系油と、アルキルベンゼン系油と、テフロン
系油の一種または二種以上を混合させた潤滑油である。
これら冷凍機油は全て、上記HFC冷媒との相溶性がよ
い。
【0033】特にエステル系油は鉱油と比較して上記冷
媒との相溶性がよく、しかもポリグリコール油に比べて
体積抵抗率が高いので、高い電気絶縁性能を保持でき
る。上記電動機部5は、密閉ケース3の内面に固定され
た固定子8と、この固定子8の内側に所定の間隙を存し
て配置され、かつ上記回転軸6が介挿される回転子9と
から構成される。
【0034】上記圧縮機構部4は、回転軸6の下部に仕
切り板10を介して上下に配設された2つのシリンダ1
1A,11Bを備えている。上部シリンダ11Aは、そ
の上面部が主軸受12に取付固定される。下部シリンダ
11Bの下面部には副軸受13が取付固定される。
【0035】シリンダ11A,11Bの上下面は、上記
仕切り板10および主軸受12と副軸受13で区画さ
れ、その内部にシリンダ室15a,15bが形成され
る。それぞれのシリンダ室15a,15bには、回転軸
6の回転にともなってローラを偏心回転駆動するととも
に、ベーンによってシリンダ室を高圧側と低圧側に仕切
る、いわゆるロータリ式圧縮機構16A,16Bが構成
される。
【0036】両シリンダ11A,11B内のシリンダ室
15a,15bは、それぞれ導通管17a,17bを介
して上記アキュームレータ2に連通される。一方、上記
密閉ケース3の上面部には、吐出管18が接続される。
この吐出管18には外部配管である冷媒管19が接続さ
れていて、冷凍サイクルを構成する図示しない凝縮器に
連通される。
【0037】また、上記アキュームレータ2の上面部に
は、吸込み管20が接続される。この吸込み管20には
冷媒管21が接続されていて、冷凍サイクルを構成する
図示しない蒸発器に連通される。
【0038】なお、上記凝縮器と上記蒸発器との間には
膨張機構が接続されていて、圧縮機1−凝縮器−膨張機
構−蒸発器を介して上記アキュームレータ2に順次連通
される、空気調和機の冷凍サイクルが構成される。
【0039】図2は、上記電動機部5の平面視の図であ
る。上記固定子8の内側に、固定子内周面と全周に亘っ
て均一で狭小の間隙を存して、上記回転軸6に嵌着され
た上記回転子9が配置される。
【0040】上記固定子8は、固定子鉄心30と、この
固定子鉄心30のティース部33に巻装される巻線31
とから構成される。図3ないし図5に示すように、上記
固定子鉄心30は鋼板を積層したもので、互いに分割自
在に組立てられたヨーク部32と、複数(6こ)のティ
ース部33とから構成されている。
【0041】すなわち、上記ヨーク部32の内周面には
所定間隔を存して複数の掛合用溝32aが、ヨーク部3
2の軸方向に沿って設けられていて、ここに上記ティー
ス部33の長手方向に沿う一側部が圧入により掛合固定
される。
【0042】ティース部33の数は、3×n(nは2以
上の整数)に設定されるとともに、後述するように上記
巻線31は上記ティース部33に直接施されていること
が特徴であり、ティース部には三相4極のモータを構成
するように上記巻線31が施されている。
【0043】図3および図4のみ示すように、複数の巻
き枠であるボビン34が用意され、このボビン34にあ
らかじめ巻線31が施されている。上記ボビン34は矩
形状の開口部を備えていて、上記ティース部33に掛合
固定される。
【0044】このような固定子8であるので、ティース
部33に直接施される巻線31のコイルエンドの部分は
小さくなる。実際には、図6(B)に示すように、従来
は上部側(口出し線a側)のコイルエンドMkの突出高
さL1 が約30mmであるのに対して、同図(A)に示す
ように、本発明の同部位におけるコイルエンド31aの
突出高さLa は、従来の半分の約15mmですむ。
【0045】また、下部側(反口出し線側)は、従来の
コイルエンドMkの突出高さL2 が約30mmであるのに
対して、本発明では意図的に同部位におけるコイルエン
ド31bの突出高さLb を、従来の半分以上の12mmと
した。
【0046】したがって、本発明ではティース部33へ
の巻線31挿入時、あるいは巻線終了後に行うコイルエ
ンド31a,31bに対する成形で巻線31に傷が付き
難く、高品質が保持される。
【0047】また、本発明構成では、巻線31のコイル
エンド31a,31bは、上部側である反圧縮機構部側
の突出高さLaよりも、下部側である圧縮機構部4側の
突出高さLbが小に形成(La>Lb)される。
【0048】このように、コイルエンド31bに隣接し
て圧縮機構部4が設けられているので、たとえコイルエ
ンド31bの変形があっても圧縮機構部4の構成部品と
の関わり合いが全く生じない。
【0049】再び図2に示すように、固定子8とともに
電動機部(DCブラシレスモータ)5を構成する上記回
転子9は、ヨーク部35と、このヨーク部35内に埋設
され断面逆円弧状に曲成される複数の永久磁石36とか
らなる。これらヨーク部35と永久磁石36は、連結部
やクランク部や係止部を介して組立てられる。
【0050】このような回転子9構造であれば、従来の
ロータ外被をステンレス缶容器で覆う構造と比較して、
高周波磁束により生じる渦電流損失が大きく低減して、
有効磁束の増加による電動機効率の効率改善を図れる。
【0051】また、永久磁石36を逆円弧状にするとと
もに、磁石内部の粒子配向を平行オリエーションからラ
ジアル異方性として、固定子巻線の通電区間(機械角6
0°)に集中して磁束が加わるようにした。
【0052】これにより、有効磁束量が約20%増加
し、効率を定格時約4%、実用上の使用頻度の高い中・
低回転時にはそれ以上の効率改善を得られる。そして、
上記永久磁石36の構成素材として、希土類磁石が用い
られる。すなわち、固定子鉄心30のティース部33に
直巻方式で巻線31を施すことと相まって、回転子9側
の永久磁石36として希土類磁石を用いたので、フェラ
イト系磁石材に比べて残留磁束密度や保持力がともに大
きく、磁気エネルギ積も極めて大きくなるので、効率ア
ップとなり、性能向上につながる。
【0053】このようにして構成される圧縮機であっ
て、図7に示すような電気回路を構成している。圧縮機
1を構成する電動機部5と市中電源37とは、整流回路
38とインバータ39を介して接続される。また、市中
電源37と整流回路38との間には電流検出装置40が
設けられていて、この電流検出装置40は周波数制御回
路41に接続されている。
【0054】上記整流回路38は、市中電源37から送
られる商用交流電源を直流電源に変換整流するものであ
る。上記電流検出装置40は、整流回路38を介してイ
ンバータ39に送られる入力電流の大きさを検出し、こ
の検出電流が設定値を越えたとき、電動機部5の回転数
を下げ、電動機部5の入力電流が設定許容値を越えない
ように制御するものである上記周波数制御回路41は、
上記電流検出装置40からの検出信号を受けて、上記電
動機部5へ運転周波数の指令信号を送るようになってい
る。
【0055】しかして、電動機部5に通電することによ
り圧縮機構部4が駆動される。この圧縮機構部4では、
蒸発器からアキュームレータ2を介して各シリンダ室1
5a,15bに低圧の冷媒ガスが直接吸込まれ、ローラ
の偏心回転にともなって圧縮される。
【0056】所定圧力まで圧縮され、高圧化した冷媒ガ
スは一旦密閉ケース3内へ吐出されて充満し、さらに吐
出管19から外部の冷凍サイクル機器である凝縮器へ導
かれる。このようにして冷凍サイクル運転がなされる。
【0057】また、図7の電気ブロック図に示すよう
に、市中電源37からの商用交流電源を整流回路38で
一旦直流に変換したのち、インバータ39で一定の周波
数を出力し、三相出力として電動機部5へ加える。
【0058】この電動機部5は図2に示すように(UV
W相のパターンで結線され)、常に三相のうちの二相の
みを通電するパターンで固定子巻線の通電を制御する。
そして、圧縮機負荷に応じて周波数制御回路41から周
波数指令信号を送り、圧縮機電動機部5の回転数を制御
する。
【0059】また、電流検出装置40によりインバータ
39の入力電流の大きさを検出し、この検出電流が設定
値を越えたとき、電動機部5の回転数を下げて、この入
力電流が設定許容値を越えないように制御される。
【0060】特に本発明の電動機部5は、固定子鉄心3
0を構成するティース部33に直接巻線31を施したの
でコイルエンド31a,31bの寸法を小さくでき、よ
って巻線31自体のコイル長が短くなり、電線抵抗が減
少(銅損減)して効率のよい電動機部5を得られる。
【0061】そして、巻線31のコイルエンド31a,
31bは冷凍機油あるいは冷媒と冷凍機油とが混合され
た液状もしくはガス雰囲気に晒されるが、これらからの
電流のリーク量を最小に保持して、高い信頼性を得られ
る。
【0062】しかも、代替えフロンと相溶性のよいエス
テル系油と、ポリエーテル系油と、アルキルベンゼン系
油と、テフロン系油の一種または二種以上を混合させた
冷凍機油を用いて圧縮機構部4に対する潤滑をなすよう
にしている。
【0063】特にエステル系油を主成分とする場合は、
油の体積抵抗率を高い数値に確保できるので、さらにリ
ーク電流の低減(実測値では、0.95mAから0.76
mAに低減した)が得られ、電気絶縁性を高める。
【0064】なお説明すれば、下部側のコイルエンド3
1bの突出高さを低くしたので、この一部が密閉ケース
3内底部に集溜される冷凍機油に浸漬することはほとん
どない。
【0065】しかしながら、前述のように運転時間の経
過にともなう冷媒の溶け込み状態によっては油面高さが
上がってコイルエンド31bの一部が浸漬することがあ
ることを考慮しなければならない。したがって冷凍機油
にとっては、当然、電気絶縁油としての特性が要求され
る。
【0066】図14に示すように、鉱油は高い絶縁性を
有するが、特定フロンであるHFC冷媒との相溶性が悪
いので実用には供しない。エステル系油は、鉱油に比べ
て体積抵抗率が低い値を示すが、電気絶縁に必要とする
体積抵抗率は確保できるとともに、特定フロンと相溶性
がよく、本発明の電動機部5の構成と最もマッチする。
ポリグリコール油では体積抵抗率が1012Ω・cm以下で
あり、リーク電流が大きくなって実用に供しない。
【0067】電動機部5の固定子8は、その固定子鉄心
30を構成するヨーク部32と、巻線31が施されるテ
ィース部33とを分割化したので、製造が容易で作業性
の向上を得られ、しかも銅線の使用量が少なくてすみ、
コストの低減を得られる。
【0068】巻き枠であるボビン34に巻線31を巻回
し、この巻線31ごとボビン34をティース部33に挿
入掛合するので、組立て作業性がよいとともに、巻線3
1に加圧する必要がなくなり、傷が付かずにすみ、高品
質で高信頼性を得る。
【0069】ティース部33の数を3×n(nは2以上
の整数)とし、三相4極モータを構成するように巻線を
施しているとともに、固定子巻線を隣り同士が異相で、
かつ常に一相が非通電可能に三相巻線が施されているの
で、回転磁界(磁気吸引力)の分布が片寄らず、振動発
生がない。
【0070】また、上記電動機部5をインバータ駆動し
たので、電動機部5の運転周波数が負荷に合わせて常に
最適状態に制御される。回転子9に永久磁石36を組込
み、この永久磁石36の磁石素材として希土類磁石を用
いたので、フェライト系磁石材に比べて磁気エネルギが
大きく、効率アップとなり性能向上を得られる。
【0071】巻線31は、反圧縮機構部側のコイルエン
ド31aの突出高さLaよりも圧縮機構部4側のコイル
エンド31bの突出高さLbを小に形成したので、圧縮
機構部4とコイルエンド31bとの間に充分な隙間が確
保され、冷凍機油Oへの浸漬が防止される。
【0072】なお、図8は、上述の実施の形態のよう
に、固定子鉄心30を構成するヨーク部32の掛合用溝
32aに一体のティース部33が掛合固定されてなり、
固定子鉄心30はヨーク部32とティース部33との2
分割構成である。
【0073】また、ティース部33には、その内周側を
互いに繋ぐ環状部Rが形成される。この構成では、環状
部Rとティース部33を一体形成したのでティース部3
3をヨーク部32へ嵌合固定する際の組立て性がよくな
る。
【0074】そして、巻線31を巻装したボビン34を
ティース部33に嵌挿した際において環状部Rが位置決
めとなり、ボビン34を所定位置に確実に保持できる。
さらに、ティース部33間を等角度で、かつ内周部の真
円度を精度よく出すことができるので、回転子9との均
一な間隙を保持できる。
【0075】図9は、ヨーク部32は一体のものである
が、ここに設けられる掛合用溝32aにそれぞれ対応す
るようティース部33Aを多分割した構成の固定子鉄心
30Aである。
【0076】この構成では、ティース部33の内周側に
環状片R1 が形成される。この環状片R1 の内周側は回
転子と均一な間隙を形成するように構成されており、図
8の構成と同様にボビン34を所定位置に保持できる。
【0077】図10は、一体ではあるが、その先端部が
固定子鉄心周端部まで延出されるティース部33Bと、
ここに設けられる掛合溝bにそれぞれ係止される係止突
起cを備え、多分割されたヨーク部32Bからなる固定
子鉄心30Bである。
【0078】図11は、ヨーク部の一部とティース部の
一部とを一体化した、2組づつの分割固定子鉄心30
c,30dとを組み合わせた4分割構造の固定子鉄心3
0Cである。
【0079】図12は、ヨーク部の一部とティース部の
一部とを一体化した分割固定子鉄心30eを組み合わせ
た6分割構造の固定子鉄心30Dである。以上、図8な
いし図12のいずれの構造の固定子鉄心30〜30Dで
あっても、所定の効果を得られ、本発明の条件を損なう
ものではない。
【0080】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の圧縮機によ
れば、固定子鉄心に巻回される巻線の、特にコイルエン
ドがコンパクト化され、よってコイルエンドからのリー
ク電流の低減が得られ、電気絶縁性の確保を図れるとい
う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す、ロータリ式密閉
形圧縮機の縦断面図。
【図2】同実施の形態の、電動機部の平面図。
【図3】同実施の形態の、電動機部を構成する固定子の
平面図。
【図4】同実施の形態の、固定子を分解した斜視図。
【図5】同実施の形態の、固定子を構成する固定子鉄心
の平面図。
【図6】(A)は同実施の形態の、コイルエンドの突出
高さを説明する図。(B)は従来の、コイルエンドの突
出高さを説明する図。
【図7】同実施の形態の、電動機部と、その電気回路
図。
【図8】同実施の形態の、固定子鉄心を分解した平面
図。
【図9】他の実施の形態の、固定子鉄心を分解した平面
図。
【図10】さらに異なる他の実施の形態の、固定子鉄心
を分解した平面図。
【図11】さらに異なる他の実施の形態の、固定子鉄心
を分解した平面図。
【図12】さらに異なる他の実施の形態の、固定子鉄心
を分解した平面図。
【図13】運転時間に対する冷凍機油の油面高さの変化
特性図。
【図14】主要な冷凍機油の特性図。
【図15】(A)は従来の、電動機部の平面図。(B)
は、さらに異なる電動機部の平面図。
【図16】ケース内の冷凍機油の高さ状態を説明する
図。
【符号の説明】
O…冷凍機油、 4…圧縮機構部、 5…電動機部、 8…固定子、 9…回転子、 30…固定子鉄心、 1…ロータリ式密閉形圧縮機、 32…ヨーク部、 33…ティース部、 31…巻線、 34…ボビン、 39…インバータ、 36…永久磁石、 31a,31b…コイルエンド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // H02K 7/14 H02K 7/14 B

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩素原子を含まない冷媒を吸込んで圧縮し
    吐出するとともに、この冷媒と相溶性がある冷凍機油を
    集溜し、この冷凍機油によって潤滑される圧縮機構部
    と、 この圧縮機構部を駆動する電動機部とを備え、 上記電動機部は、固定子と回転子とから構成され、 上記固定子は、固定子鉄心に巻線を施してなる圧縮機に
    おいて、 上記固定子鉄心は、ヨーク部とティース部とからなり、 上記ティース部に直接巻線を施したことを特徴とする圧
    縮機。
  2. 【請求項2】上記圧縮機構部に集溜される冷凍機油は、
    エステル系油と、ポリエーテル系油と、アルキルベンゼ
    ン系油と、テフロン系油の一種または二種以上を混合さ
    せてなることを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
  3. 【請求項3】上記電動機部の固定子は、その固定子鉄心
    を構成するヨーク部およびティース部が、少なくとも2
    分割以上に分割されていることを特徴とする請求項1記
    載の圧縮機。
  4. 【請求項4】上記固定子鉄心のティース部に施される巻
    線は、あらかじめ巻き枠であるボビンに巻回されてい
    て、このボビンが上記ティース部に挿入嵌合されること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3記載の圧縮機。
  5. 【請求項5】上記固定子鉄心のティース部は、その数が
    3×n(nは2以上の整数)に構成されるとともに、固
    定子巻線を隣り同士のティース部が異相で、かつ常に一
    相が非通電可能に三相巻線が施されることを特徴とする
    請求項1ないし請求項4記載の圧縮機。
  6. 【請求項6】上記電動機部は、インバータ駆動されるこ
    とを特徴とする請求項4記載の圧縮機。
  7. 【請求項7】上記固定子とともに電動機部を構成する上
    記回転子は、永久磁石が組込まれることを特徴とする請
    求項1ないし請求項6記載の圧縮機。
  8. 【請求項8】上記回転子に組込まれる永久磁石は、その
    磁石素材として、希土類磁石が用いられることを特徴と
    する請求項7記載の圧縮機。
  9. 【請求項9】上記ティース部に施される巻線のコイルエ
    ンドは、反圧縮機構部側の突出高さLaよりも圧縮機構
    部側の突出高さLbが小に形成(La>Lb)されるこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項6記載の圧縮機。
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