JP4031454B2 - 圧縮機 - Google Patents
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Description
そして、上記電動機部においては、冷凍サイクル運転の省エネルギおよび快適性を追求するものとして、2極あるいは4極三相の巻線が施され、インバータ電源で駆動される。
すなわち固定子Sa,Sbはいずれも、固定子鉄心Kに巻線Mが施されたものである。上記固定子鉄心Kは、円環状のヨーク部yと、このヨーク部yの内周壁に所定間隔を存して一体に突設されるティース部tとからなり、各ティース部t間をスロットrと呼ぶことは周知である。
固定子鉄心Kに形成されるスロットrの数は、普通、三相の2極あるいは4極で巻線することを考慮した12n(nは1以上の整数)である。そして、上記巻線Mは、インサータ巻線方式により複数のティース部tおよび複数のスロットr相互間に跨って巻線される。
すなわち、リーク電流はインバータのチョッピング周波数増加に比例し、巻線M表面積に対して比例関係にある。特に、コイルエンドは圧縮機構部を潤滑する冷凍機油(潤滑油)や、冷媒と冷凍機油とが混合された液状もしくはガス雰囲気中に晒されるので、リーク電流増加の条件が揃っている。
また、近年、環境破壊問題により、塩素原子を含まない代替えフロンを使用することになっている。この代替えフロンと、圧縮機内に封入される冷凍機油との相溶性に新たな問題が生じている。
このとき、密度の大きい冷媒層が下層に、密度の小さい冷凍機油が上層に二層分離して偏在し、圧縮機構部に近い下部側のコイルエンド一部は冷媒が溶け込んだ状態の冷凍機油に浸漬される。
始動直後は、ケース3底部に貯溜する多量の油が給油ポンプにより各圧縮摺動部へ吸上げられるので、貯溜する油は一旦大きく減少するが、1〜2分運転が継続されると冷凍サイクル中を循環している油が圧縮機に戻ってきて、圧縮ガスとともにケース内に吐出されるので、再び油面高さは上昇し油面Aと油面Bとの間の油面高さで安定状態となる。そして、始動から通常運転までの過度期を経た安定状態でも、コイルエンドの突出高さが高いために、その一部が冷凍機油に浸されることは変わりがない。
上記固定子鉄心は、ヨーク部とティース部とからなり、上記固定子鉄心に、隣同士のティース部が異相となるように各ティース部に三相巻線の単一相の巻線を施してコイルエンドの突出高さを小さくするとともに、コイルエンドは反圧縮機構部側である上部側の突出高さよりも圧縮機構部側である下部側の突出高さを小さく形成し、上記回転子は、希土類磁石からなる永久磁石が組込まれる。
図1に示す、1は密閉形圧縮機であり、2はアキュームレータである。これら圧縮機1およびアキュームレータ2は、たとえば空気調和機の冷凍サイクルを構成している。
この冷凍サイクルに用いられる冷媒は、塩素原子を含まない冷媒であるハイドロフルオロカーボン冷媒(HFC冷媒)であり、上記HFC冷媒のうちで、たとえばR410A(R32/R125の混合冷媒)が採用される。他にも、R407C(R32/R125/R134aの混合冷媒)、R404A(R125/R143a/R134aの混合冷媒)、R134a(単冷媒)などが好ましい冷媒として挙げられる。
上記密閉ケース3の内底部には冷凍機油Oが集溜され、上記圧縮機構部4のほとんどが浸漬される。ここに集溜される冷凍機油は、エステル系油と、ポリエーテル系油と、アルキルベンゼン系油と、テフロン系油の一種または二種以上を混合させた潤滑油である。これら冷凍機油は全て、上記HFC冷媒との相溶性がよいか、所定の相溶性を有する。
特にエステル系油は鉱油と比較して上記冷媒との相溶性がよく、しかもポリグリコール油に比べて体積抵抗率が高いので、高い電気絶縁性能を保持できる。
上記圧縮機構部4は、回転軸6の下部に仕切り板10を介して上下に配設された2つのシリンダ11A,11Bを備えている。上部シリンダ11Aは、その上面部が主軸受12に取付固定される。下部シリンダ11Bの下面部には副軸受13が取付固定される。
一方、上記密閉ケース3の上面部には、吐出管18が接続される。この吐出管18には外部配管である冷媒管19が接続されていて、冷凍サイクルを構成する図示しない凝縮器に連通される。また、上記アキュームレータ2の上面部には、吸込み管20が接続される。この吸込み管20には冷媒管21が接続されていて、冷凍サイクルを構成する図示しない蒸発器に連通される。
なお、上記凝縮器と上記蒸発器との間には膨張機構が接続されていて、圧縮機1−凝縮器−膨張機構−蒸発器を介して上記アキュームレータ2に順次連通される、空気調和機の冷凍サイクルが構成される。
図3ないし図5に示すように、上記固定子鉄心30は鋼板を積層したもので、互いに分割自在に組立てられたヨーク部32と、複数(6こ)のティース部33とから構成されている。
ティース部33の数は、3×n(nは2以上の整数)に設定されるとともに、後述するように上記巻線31は上記ティース部33に直接施されていることが特徴であり、ティース部には三相4極のモータを構成するように上記巻線31が施されている。
このような固定子8であるので、ティース部33に直接施される巻線31のコイルエンドの部分は小さくなる。実際には、図6(B)に示すように、従来は上部側(口出し線a側)のコイルエンドMkの突出高さL1 が約30mmであるのに対して、同図(A)に示すように、本発明の同部位におけるコイルエンド31aの突出高さLa は、従来の半分の約15mmですむ。
したがって、本発明ではティース部33への巻線31挿入時、あるいは巻線終了後に行うコイルエンド31a,31bに対する成形で巻線31に傷が付き難く、高品質が保持される。
このように、コイルエンド31bに隣接して圧縮機構部4が設けられているので、たとえコイルエンド31bの変形があっても圧縮機構部4の構成部品との関わり合いが全く生じない。
このような回転子9構造であれば、従来のロータ外被をステンレス缶容器で覆う構造と比較して、高周波磁束により生じる渦電流損失が大きく低減して、有効磁束の増加による電動機効率の効率改善を図れる。
そして、上記永久磁石36の構成素材として、希土類磁石が用いられる。すなわち、固定子鉄心30のティース部33に直接巻線31を施すことと相まって、回転子9側の永久磁石36として希土類磁石を用いたので、フェライト系磁石材に比べて残留磁束密度や保持力がともに大きく、磁気エネルギ積も極めて大きくなるので、効率アップとなり、性能向上につながる。
圧縮機1を構成する電動機部5と市中電源37とは、整流回路38とインバータ39を介して接続される。また、市中電源37と整流回路38との間には電流検出装置40が設けられていて、この電流検出装置40は周波数制御回路41に接続されている。
上記周波数制御回路41は、上記電流検出装置40からの検出信号を受けて、上記電動機部5へ運転周波数の指令信号を送るようになっている。
所定圧力まで圧縮され、高圧化した冷媒ガスは一旦密閉ケース3内へ吐出されて充満し、さらに吐出管19から外部の冷凍サイクル機器である凝縮器へ導かれる。このようにして冷凍サイクル運転がなされる。
この電動機部5は図2に示すように(UVW相のパターンで結線され)、常に三相のうちの二相のみを通電するパターンで固定子巻線の通電を制御する。そして、圧縮機負荷に応じて周波数制御回路41から周波数指令信号を送り、圧縮機電動機部5の回転数を制御する。
特に本発明の電動機部5は、固定子鉄心30を構成するティース部33に直接巻線31を施したのでコイルエンド31a,31bの寸法を小さくでき、よって巻線31自体のコイル長が短くなり、電線抵抗が減少(銅損減)して効率のよい電動機部5を得られる。
しかも、代替えフロンと相溶性のよい、あるいは所定の相溶性を有するエステル系油と、ポリエーテル系油と、アルキルベンゼン系油と、テフロン系油の一種または二種以上を混合させた冷凍機油を用いて圧縮機構部4に対する潤滑をなすようにしている。
なお説明すれば、下部側のコイルエンド31bの突出高さを低くしたので、この一部が密閉ケース3内底部に集溜される冷凍機油に浸漬することはほとんどない。
しかしながら、前述のように運転時間の経過にともなう冷媒の溶け込み状態によっては油面高さが上がってコイルエンド31bの一部が浸漬することがあることを考慮しなければならない。したがって冷凍機油にとっては、当然、電気絶縁油としての特性が要求される。
電動機部5の固定子8は、その固定子鉄心30を構成するヨーク部32と、巻線31が施されるティース部33とを分割化したので、製造が容易で作業性の向上を得られ、しかも銅線の使用量が少なくてすみ、コストの低減を得られる。
ティース部33の数を3×n(nは2以上の整数)とし、三相4極モータを構成するように巻線を施しているとともに、固定子巻線を隣り同士のティース部が異相となり、かつ常に一相が非通電可能に三相巻線が施されているので、回転磁界(磁気吸引力)の分布が片寄らず、振動発生がない。
回転子9に永久磁石36を組込み、この永久磁石36の磁石素材として希土類磁石を用いたので、フェライト系磁石材に比べて磁気エネルギが大きく、効率アップとなり性能向上を得られる。
巻線31は、反圧縮機構部側のコイルエンド31aの突出高さLaよりも圧縮機構部4側のコイルエンド31bの突出高さLbを小に形成したので、圧縮機構部4とコイルエンド31bとの間に充分な隙間が確保され、冷凍機油Oへの浸漬が防止される。
また、ティース部33には、その内周側を互いに繋ぐ環状部Rが形成される。この構成では、環状部Rとティース部33を一体形成したのでティース部33をヨーク部32へ嵌合固定する際の組立て性がよくなる。
図9は、ヨーク部32は一体のものであるが、ここに設けられる掛合用溝32aにそれぞれ対応するようティース部33Aを多分割した構成の固定子鉄心30Aである。
図10は、一体ではあるが、その先端部が固定子鉄心周端部まで延出されるティース部33Bと、ここに設けられる掛合溝bにそれぞれ係止される係止突起cを備え、多分割されたヨーク部32Bからなる固定子鉄心30Bである。
図12は、ヨーク部の一部とティース部の一部とを一体化した分割固定子鉄心30eを組み合わせた6分割構造の固定子鉄心30Dである。
以上、図8ないし図12のいずれの構造の固定子鉄心30〜30Dであっても、所定の効果を得られ、本発明の条件を損なうものではない。
Claims (1)
- 内底部に、ハイドロフルオロカーボン冷媒と相溶性がある冷凍機油を集溜する密閉ケースと、
この密閉ケース内に収容され、ハイドロフルオロカーボン冷媒を吸込んで圧縮し吐出するとともに、上記冷凍機油に浸漬され、この冷凍機油によって潤滑される圧縮機構部と、
この圧縮機構部の上部に設けられ、圧縮機構部を駆動する電動機部とを備え、
上記電動機部は、固定子と回転子とから構成され、
上記固定子は、固定子鉄心に巻線を施してなる圧縮機において、
上記固定子鉄心は、ヨーク部とティース部とからなり、
上記固定子鉄心に、隣同士のティース部が異相となるように各ティース部に三相巻線の単一相の巻線を施してコイルエンドの突出高さを小さくするとともに、コイルエンドは反圧縮機構部側である上部側の突出高さよりも圧縮機構部側である下部側の突出高さを小さく形成し、
上記回転子は、希土類磁石からなる永久磁石が組込まれることを特徴とする圧縮機。
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