JPH10287764A - 高分子多孔質体およびその製造方法 - Google Patents

高分子多孔質体およびその製造方法

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JPH10287764A
JPH10287764A JP10832397A JP10832397A JPH10287764A JP H10287764 A JPH10287764 A JP H10287764A JP 10832397 A JP10832397 A JP 10832397A JP 10832397 A JP10832397 A JP 10832397A JP H10287764 A JPH10287764 A JP H10287764A
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compd
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polymer
silica
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JP10832397A
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Hajime Tsujihana
一 辻葩
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池のセパレータ等の化学反応を行わせる用
途に適した微細な空隙構造の多孔質体、および、その製
造方法を提供する。 【解決手段】 シリカの一次粒子3が凝集した凝集粒子
9に、界面活性剤が配合されたポリエチレングリコール
やポリエステル系オリゴマー等をコーティングまたは含
浸させて破砕防止処理を施し、次いで、このシリカの凝
集粒子をポリエチレン若しくはテトラフロロエチレン−
ヘキサフロロプロピレン−ビニリデンフロライドの酸共
重合体等に混合分散して二本ロールによりシート状に成
形し、このシート状の成形物を精製水等の溶媒中に浸漬
させてポリエチレングリコールを抽出した後に乾燥さ
せ、シリカの凝集粒子9中の一次粒子3間の隙間が液媒
の流路を構成する微細な空隙構造の多孔質体を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水処理に際して
水中に存在する粒子の除去に用いられるフィルタ、電池
内部の液相の仕切や酵素精製等に際してのセパレータ等
に用いられる高分子多孔質体とその製造方法、特に、内
部の空隙の微細化を図った高分子多孔質体およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、液媒中の粒子を除去するには、
膜孔径より大きな粒子は膜を通過できないという、いわ
ゆる「ふるい効果」による機構が支配的な精密濾過膜
(孔径は10-6mから10-4m)や限外濾過膜(孔径は
10-7mから10-6m)等の分離膜(多孔質膜)あるい
はこれら膜と同じ範囲の甲を有する多孔質フォームが用
いられている。そして、多孔質体をフィルタとして用い
る場合は、液圧が作用するためにモジュールに構成する
等して強化して使用し、セパレータの場合は液圧が作用
しないため多孔質体をそのままの状態で使用している。
【0003】多孔質体の多くは高分子マトリックスで与
えられ、これを得るには、下記の1〜4の方法が代表的
である。 1.高分子マトリックスを主成分とする粉体を部分融着
させた状態で焼結して得る焼結法 2.二種類以上の化合物からなる高分子系マトリックス
を延伸してシート状に成形する延伸法 3.シートに機械的あるいは物理的な処理を施して得る
機械的・物理的方法 4.溶解あるいは分解する化合物を混合した高分子系マ
トリックスを抽出処理して得る抽出法 上述した製造方法は基本構成であって、マトリックスの
素材によっては前処理または後処理を施している。
【0004】そして、上述した各製造方法によってでき
る空隙の構造は分離性能に影響を与えるので、目的に合
わせて多孔質体の製造方法を選ぶ必要がある。例えば、
多孔質体上に付着したケークの抵抗が支配的となる水質
浄化等の用途に使用する場合は、多孔質体地震の透過抵
抗が小さくなるように空隙構造を単純にする。したがっ
て、この場合は延伸法や機械的・物理的方法が適してい
る。
【0005】これに対して、多孔質体を介した双方の液
相の間で化学的な反応が起こる二次電池等に使用する場
合は、多孔質体内部の空隙が化学反応のユニットとして
機能するため、空隙の構造が複雑である方がよい。した
がって、この場合は、複雑な構造の空隙を形成すること
ができる焼結法と抽出法が適しているが、抽出法は焼結
法よりも大量生産に適しており、抽出法によるポリエチ
レン製の多孔質体が工業的に広く使用されている。
【0006】例えば、ポリエチレン系多孔質体は、ポリ
エチレン100重量部に、パラフィンやフタル酸ジオク
チル(DOP)等の可塑剤、ポリエチレンと相溶する化
合物から選択される液状化合物(本明細書では「液剤」
と称する)30〜500重量部、親水性を付与する酸化
珪素系化合物(以下、シリカと称する)20〜200重
量部を130°C〜250°Cの温度範囲で混合して成
形し、後に、有機溶剤に浸漬して液剤を抽出し、空隙率
が20%〜70%の多孔質体を得ている。この多孔質体
は、図3あるいは図4に示すように、高分子1が空隙2
を網目状に形成し、隙間2にシリカの一次粒子3が位置
し、一次粒子3と空隙2壁面との間に液媒の流路を画成
する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電池や酵素
精製等の多孔質体を介して化学的反応を行わせる用途で
は、より複雑な内部構造で、化学反応のユニットとして
機能させる内部の空隙が数十ナノメータ程度の微細な構
造を多孔質体が求められている。しかし、上述した従来
の抽出法にあっては、混練時にポリエチレンと液剤が相
溶して一体化し、また、シリカの一次粒子が凝集してな
る二次粒子や三次粒子(本明細書では「凝集粒子」と称
する)が混合や成形で粉砕されるため、成形可能なユニ
ット、すなわち、空隙の大きさも数百ナノメータ程度の
大きさが限界であり、要求に応えることができないとい
う問題があった。この発明は、上記問題に鑑みなされた
もので、空隙率を低下させることなく数十ナノメータ程
度の微細な空隙が得られる高分子多孔質体およびその製
造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、表裏に連通して開口する
網目構造の空隙を有し、空隙率が20%〜70%の高分
子多孔質体であって、前記空隙内に酸化珪素系化合物の
粉体粒子が凝集して粉体粒子間に隙間を形成し、該粉体
粒子間の隙間が前記空隙の表裏開口間を連通するように
構成した。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、高分子多
孔質体の製造方法であって、酸化珪素系化合物の粉体粒
子が凝集した凝集粒子に、流動開始温度または凝固点が
10°C以下で分解点および沸点が150°C以上の液
状化合物により破砕防止処理を施し、該破砕防止処理が
施された凝集体を、200°C以下の温度で成形可能で
前記液状化合物と相溶性を示さない高分子材料と混合し
て成形した後、前記液状化合物を抽出するよう構成し
た。
【0010】そして、この発明にかかる高分子多孔質体
の製造方法は、前記高分子材料100体積部に対して前
記酸化珪素化合物を10〜100体積部、該酸化珪素化
合物と前記高分子材料を合計した100体積部に対して
前記液状化合物を25〜230体積部配合する態様(請
求項3)に構成される。また、この発明の望ましい態様
としては、前記液状化合物としてポリエステル系オリゴ
マーを用いる態様、若しくは、前記液状化合物としてポ
リエチレングリコール100重量部に界面活性剤若しく
はアルキル系シラン化合物を0.1〜3.0重量部添加
したものを用いる態様に、さらに、前記高分子材料とし
て、ポリオレフィン系高分子材料若しくはテトラフロロ
エチレン−ヘキサフロロプロピレン−ビニリデンフロラ
イドの三共重合体の単体あるいは混合物を用いる態様が
挙げられる。
【0011】シリカは、液剤により破砕防止処理を施し
た後、高分子材料に混合される。このシリカは、湿式シ
リカや乾式シリカ等の合成シリカ、珪砂等の天然シリカ
の微粉末から適宜選択されるが、凝集しやすい微粉末か
らなる合成シリカ、特に、凝集性の強い湿式シリカを用
いることが望ましい。この合成シリカは数百ナノメータ
程度の一次粒子(粉体粒子)が凝集して数百μm程度の
粒径の凝集粒子(二次粒子、三次粒子)を形成し、凝集
粒子には数十ナノメータ程度の空隙が存在し、この空隙
が液媒の流路として機能する。また、このシリカは、一
次粒子の粒径が1μmを超えると空隙の構造が単純化し
て複雑な網目構造を得ることができないため一次粒子の
粒径は1μm以下が好ましく、また、一次粒子の粒径の
下限は特に限定されず、小さい方が好ましく、平均粒径
が100nm程度である市販の湿式シリカを用いること
が経済的には好ましい。
【0012】液剤は、シリカの凝集粒子の粉砕の防止を
目的に配合するものであり、成形後に溶剤等で抽出して
除去する。この液剤は、沸点および分解点が150°C
以上で、流動開始温度または凝固点が10°C以下のも
のから選択される。前者の「沸点(分解点)が150°
C以上」は前述した高分子材料の成形温度等との関連で
高分子材料と熱的特性を適合させるための条件であり、
この条件を採用することで高分子材料の選択に大きな自
由度が得られる。また、後者の「流動開始温度(凝固
点)が10°C以下」は、溶剤による抽出前の半製品の
状態での物性を決定し、半製品の状態で保管する際の破
砕防止処理が施された凝集粒子の破壊を防止する条件と
して規定される。すなわち、抽出前の半製品はシリカに
配合した液剤が凝固すると割れやすくなるが、この未抽
出の半製品を保管する倉庫等の温度は通常0°C以上で
あるため、液剤の流動開始温度は10°C以下が好まし
く、より好ましくは、0°C以下である。
【0013】また、この液剤としては、下記の点で優れ
るポリエステル系オリゴマーとポリエチレングリコール
が特に望ましい。すなわち、成形に際しては高分子材料
と液剤を相溶させないで加熱し、この成形に際しては、
フタル酸エステル系可塑剤やアジピン酸エステル系可塑
剤等の単分子の液剤を用いると、沸点上昇が起きないた
めに揮発が多く換気が不可欠である。しかしながら、オ
リゴマーは揮発性が低いため換気設備が不要となり、特
に、ポリエステル系オリゴマーは安価であり、製造コス
トの低減に有効である。
【0014】上述のポリエステル系オリゴマーとして
は、セバチン酸ポリエステル、アジピン酸ポリエステ
ル、フタル酸ポリエステル等の分子量が102 〜104
程度のものが例示されるが、複数の種類を混合して用い
ること、また、ポリ塩化ビニルや各種のゴム用可塑剤と
して市販されているものを用いることも可能である。そ
して、一般に、ポリエステル系オリゴマーはSP値が
8.5〜10.0程度であり、ポリエチレンのSP値
(8.0程度)やTHVのSP値(9.0程度)とほぼ
同等であるため、混合が容易である。また、ポリエステ
ル系オリゴマーは種類を問わず、流動開始温度が−5°
C以下で、分解点が220°C以上であるので、上述し
た熱的特性等を充足する。
【0015】ポリエチレングリコールは水溶性であっ
て、抽出が有機溶剤を用いることなく水により行え、製
造コストの低減等に大きく寄与する点で優れる。このポ
リエチレングリコールは、分子量が700を超えると流
動開始温度が室温を上回り、分解点が分子量300で1
86°Cと最大で分子量の増大にともない低下するた
め、分子量300以下のものが望ましい。ただし、ポリ
エチレングリコールの分解点はハイドロキノンのメチル
エーテルやハイドロオキシアニソール等の抗酸化剤を添
加することで20°C〜30°C程度上昇させることが
できるため、抗酸化剤を添加することでより高分子量の
ものを用いることもできる。
【0016】また、ポリエチレングリコールは、SP値
が11.0程度で一般の高分子材料と混合することが困
難であるため、界面活性剤やアルキル系シラン等を添加
する。界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルキルベン
ゼンスルホン酸の金属塩等の陰イオン界面活性剤や、エ
ーテル型、アルキルフェノール型等の非イオン界面活性
剤、メチル型ベンジル型等の陽イオン界面活性剤等が例
示される。そして、界面活性剤やアルキル系シランは、
ポリエチレングリコール100重量部に対して0.1重
量部では効果が無く、3重量部を超えると過剰でコスト
の増大を招くため、0.1〜3.0重量部の範囲、望ま
しくは、1重量部程度を添加する。
【0017】破砕防止処理は、シリカの凝集粒子に液剤
を含浸する方法と、シリカの凝集粒子に液剤をコーティ
ングする方法とがあり、これらの方法は液剤の粘度等に
応じて適宜選択される。前者の含浸する方法は、フタル
酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソニル(DIN
P)あるいはアジピン酸ジオクチル(DOA)等の10
ポイズ以下の粘度の液剤を用いる場合に適し、シリカの
吸油量(単位重量当たりのシリカ粉末が混合しようとす
る液剤を吸収する重量)以下の液剤を混合して行う。ま
た、後者のコーティングする方法は、分子量の高いアジ
ピン酸ポリエステル等の50ポイズ以上の粘度の液剤を
用いる場合に適し、シリカの吸油量以上の液剤を混合し
て行う。
【0018】高分子材料は、液剤によって破砕防止処理
されたシリカのバインダとしての機能、多孔質体の骨格
を担う機能を有し、液剤との関連で選択される。この高
分子材料は、その加工(成形)に要する温度が液剤の熱
的性質に適合しなければ成形が不可能であり、また、液
剤と相溶性を示す性質であればシリカの凝集粒子が液剤
を失って粉砕されるため、液剤との相対的な関係で定ま
る熱的特性と化学的特性とにより選択される。前者の熱
的特性は、液剤の選択に大きな自由度を得るための観点
から、塑性変形による成形可能な温度の下限が200°
C以下の条件で規定される。また、後者の化学的特性
は、液剤と相溶しないという条件のための選択基準で、
分子構造により定まる。
【0019】なお、上述した塑性変形による成形可能な
温度とは、一般にいう成形温度の下限値を示し、熱可塑
性樹脂の場合は融点またはビカット軟化点が下限とな
り、ゴムおよびエラストマはガラス転移温度が下限とな
る。また、液剤と高分子材料とが相溶しないこととは、
液剤と高分子材料の二者を室温または高温で混合しても
1つの相にならないことを示し、溶剤等の第3の化合物
を介して1つの相になるかどうかということは考慮に含
めない。
【0020】また、高分子材料は物性を考慮して選択す
ることが、特に、製造する多孔質体の空隙率が40%以
上の場合に好ましい。そして、空隙率が40%以上の多
孔質体に対しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリウレタン等の強靭で粘りのある熱可
塑性樹脂を選択して機械的な強度の改善を図り、また、
塩素化ポリエチレン、ウレタン系エラストマ、スチレン
系エラストマ、THV等の可撓性を有する熱可塑性樹脂
エラストマや、ブチルゴム、クロロピレンゴム、シリコ
ーンゴム等の可撓性のある未加硫物を選択して衝撃を吸
収することが望ましい。発明者の実験によれば、空隙率
が40%以上の多孔質体を製造する場合には、アイゾッ
ト衝撃値(JIS K7110)が5kgf以上、か
つ、最大伸び率(JIS K7113)が300%以上
の物性を示す高分子材料が適することが判明した。
【0021】上述した熱的特性を条件とすると、高分子
材料としては、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ
スチレン、ポリウレタン、ポリビニリデンフルオライド
(PVdF)等の熱可塑性樹脂、テトラフロロエチレン
−ヘキサフロロプロピレン−ビニリデンフロライドの三
共重合体(THV)、塩素化ポリエチレン、ウレタン
系、スチレン系等の熱可塑性樹脂エラストマ、ブチルゴ
ム、クロロピレンゴム、シリコーンゴム等の未加硫物全
般が例示され、単体であると複数種の混合物であるとを
問わない。特に、この高分子材料は、耐水性や耐薬品性
を考慮すると、ポリエチレンまたはTHVが最も望まし
い。また、熱的特性を充足する液剤としては、フタル酸
エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、トリ
メット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系
可塑剤等の単分子や、アジピン酸ポリエステル、トリメ
ット酸ポリエステル、ピロメリット酸ポリエステル、パ
ラフィン、塩素化パラフィン、ポリエチレングリコール
等のオリゴマーが例示される。
【0022】そして、化学的特性の充足には、高分子材
料と液剤は次の組み合わせが例示される。すなわち、ポ
リエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系の高分子
材料には、アジピン酸ポリエステル、セバチン酸ポリエ
ステル、ポリエチレングリコール等の溶解度パラメータ
(以下、SP値と称す)が8.0以上のオリゴマーが適
し、また、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、塩素化ポリ
エチレン、ウレタン系エラストマ、スチレン系エラスト
マ、ブチルゴム、クロロピレンゴムにはSP値が11.
0程度であるポリエチレングリコールが非相溶で適して
おり、THV、シリコーンゴムにはフタル酸エステル系
可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、トリメット酸エ
ステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤等の
単分子や、ポリエステル系オリゴマー、塩素化パラフィ
ン、ポリエチレングリコール等のオリゴマー等のSP値
が8.0以上の液剤が適する。
【0023】また、シリカ、高分子材料、液剤は以下に
述べる配合比で配合する。先ず、シリカは、高分子材料
100体積部に対して10体積部より少ないと親水性が
損なわれ、逆に100体積部を超えると混合が困難にな
るのみならず物性の低下を招くため、10体積部〜10
0体積部、望ましくは、30体積部〜70体積部の範囲
で配合する。また、液剤は、添加量が製品である多孔質
体の空隙の大きさと空隙率を決定するファクターであ
り、シリカと高分子を合計した体積(合計体積)に応じ
て添加する。この液剤は、上記合計体積100体積部に
対して25体積部(抽出により約20%の空隙率となる
量)より少ないと空隙の閉塞を招き、逆に230体積部
(抽出により約70%の空隙率となる量)を超えると混
合が困難となるのみならず物性の低下を招くため、25
体積部〜230体積部、望ましくは、40体積部〜15
0体積部の範囲(抽出により約30%〜60%の空隙率
となる範囲)で添加する。
【0024】そして、この発明の製造方法は、破砕防止
処理工程、混練工程、成形工程、液剤抽出工程を含み、
必要に応じて液剤抽出工程の後に乾燥工程を有する。破
砕防止処理工程においては、シリカと液剤をニーダや撹
拌機などの混練装置により混合してシリカの凝集粒子に
液剤を含浸あるいはコーティングし、シリカの凝集粒子
が一次粒子に破砕されることを予防する。この破砕防止
処理工程においては、混練装置や温度等の混合条件は特
に限定されないが、ロール等の剪断のかかる装置は凝集
粒子の粉砕を招くため不適当であり、また、長時間の混
練も同様の観点から好ましくない。
【0025】なお、シリカおよび液剤の混合比は、前述
したように、混合しようとする液剤の種類(粘度等)に
よって吸油量が異なるため、シリカが液剤に含浸される
かコーティングされるかが決まるが、シリカと液剤の混
合比は後の工程の都合で決めればよく、この混合比は任
意に選択することができる。また、使用する高分子材料
が粉末であれば、この混合工程において高分子材料を含
めたシリカと液剤の三者を同時に混合することができ、
さらに、マトリックスに安定剤や滑剤等の添加を要する
場合は、この工程で混合することができる。
【0026】混練工程は、高分子材料と液剤およびシリ
カの三者からなるマトリックスを得る。このマトリック
スは、ニーダ、押出、二本ロール等の混練機により高分
子材料の融点あるいは軟化点以上の温度下で混練によっ
て得ることができ、押出や二本ロール等のように混練と
同時に成形の機能を持っていれば成形も兼ねることがで
きる。
【0027】成形工程においては、混合物をエンボス、
プレスあるいは圧延等で所望の形状、例えば、両面が平
面の平坦なシート状、凹凸を有するシート状、円筒状等
に成形する。この成形工程は、初工程で目的とする形状
が得られていれば省略することができる。なお、この成
形工程における成形の方法、成形機等は特に限定され
ず、成形する形状等に応じて適宜選択でき、また、成形
に際してはガラスネットやフレーム等と一体化して強化
することも可能である。
【0028】液剤抽出工程においては、成形された成形
対を溶媒に浸漬等し、シリカにコーティングあるいは浸
漬された液剤を抽出、除去する。この液剤抽出工程にお
いては、前述したように、液剤がポリエチレングリコー
ルであれば溶媒として水や湯を、また、ポリエチレング
リコール以外の液剤に対しては、液剤の種類や工程の合
理性等を考慮してトルエン、ヘキサン、キシレン、各種
アルコール類、ゴム揮発油等を用いる。この液剤抽出工
程は浸漬に限定されるものではなく、溶剤を噴射するこ
と等でも行え、また、浸漬させた状態で溶媒の噴流を吹
き付ける等の処置を行うことも可能である。
【0029】そして、この液剤抽出工程の後には、自然
乾燥、また、加熱や送風による強制乾燥を行い、また、
必要に応じて、穿孔や裁断等の後加工を行う。
【0030】
【作用】この発明にかかる多孔質体は、図1に示すよう
に、親液性と凝集性に富むシリカの一次粒子3が凝集し
てなる凝集粒子(二次粒子あるいは三次粒子)9が高分
子材料1により形成される空隙2内等に存在し、凝集粒
子9の一次粒子3間に形成される間隙が空隙2を連通す
る。すなわち、この多孔質体は、シリカに高分子材料1
に対して相溶性を示さない液剤をコーティングあるいは
含浸させ、混練や成形等時のシリカの凝集粒子9の破砕
を防止し、成形後に液剤を抽出除去して微細な空隙構造
を形成して製造される。このため、空隙率を低下させる
ことなく数十ナノメータ程度の微細な空隙構造を得るこ
とができる。
【0031】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。 1.実施例1 室温にて加圧ニーダによりアジピン酸ポリエステル:P
N−250(旭電化工業株式会社製 製品名)100重
量部と、平均粒径が16nmの一時粒子が凝集してなる
平均粒径9μmの湿式シリカ粒子:ニップシールLP
(日本シリカ工業株式会社製 製品名)50重量部を混
合分散して粘土状の混練物を得た。続いて、約160°
Cに温度調節した二本ロールにて、ポリエチレン、:ハ
イゼックス5000S(三井石油化学工業株式会社製
製品名)、または、THV:THV200(住友スリー
エム株式会社製 製品名)100重量部に上記混練物を
それぞれ下記の表1に示す配合組成で混合分散して厚さ
が約1mmの白色シート状物1−1,1−2を得た。次
に、シート状物1−1,1−2を室温にてバットに入れ
たトルエンに3時間浸漬し、取り出してから一昼夜室温
にて放置し、さらにドライヤにて温風を当てて乾燥し、
多孔質体の完成品として白色不透明のシート状物1−
1,1−2を得た。
【0032】
【表1】
【0033】そして、多孔質体1−1,1−2の断面を
電子顕微鏡で観察したところ、図1に示すように、シリ
カの凝集粒子からなる液媒の流路を有する構造がいずれ
にも認められた。また、多孔質体1−1,1−2を直径
49mmの円盤状に切り取って試験片Aを作成し、シリ
コーンボールによる多孔質体の性能試験を行ったとこ
ろ、両者とも合格であった。
【0034】なお、シリコーンボールによる性能試験
は、図5に示すように、漏斗状のホルダ11に試験片A
を濾紙12とともに装着し、このホルダ11をフラスコ
13に組み付け、ホルダ11の上部開口に平均粒径0.
5μmのシリコーンボール:トスパール105(東芝シ
リコーン株式会社製 製品名)の10%分散水を注ぎ、
シリコーンボールと水の通過状況を観察し、下記の基準
で評価することにより行った。 合格 …水だけがフラスコ13に溜まった。 不合格…水とシリコーンボールの双方がフラスコ13に
溜まった。 水もシリコーンボールもフラスコ13に溜まらなかっ
た。
【0035】2.実施例2 室温にて加圧ニーダにより、分子量が300のポリエチ
レングリコール:PEG#300(日本油脂株式会社製
製品名)と、シリカ粉末:ニップシールLP(日本シ
リカ工業株式会社製 製品名)とを主成分とし、これら
にアルキルベンゼンスルホン酸系(ABS系)界面活性
剤:王洗A(日本油脂株式会社製 製品名)、非イオン
系界面活性剤:ノニオンS−220(日本油脂株式会社
製 製品名)または高級アルキル系シラン:KBM−6
000(信越化学工業株式会社製製品名)を選択的に配
合して表2,3に示す7種の配合組成の混合物を得た。
【0036】
【表2】
【表3】
【0037】続いて、上記7種類の混練物を約160°
Cに温度調節した二本ロールにて、ポリエチレン:ハイ
ゼックス5000S(三井石油化学工業株式会社製 製
品名)に上記7種類の混合物を混合分散して、シート状
への成形を試みた。混合物2−1,2−2,2−4,2
−6は混練によりまとまりを失いシート状への成形が不
可能であったが、配合2−3,2−5,2−7からは厚
さが約1mmの白色シート状物が得られた。そして、混
合物2−3,2−5,2−7から得られたシート状物
を、イオン交換フィルタにより処理した精製水の中に3
時間浸漬し、取り出してから一昼夜室温にて放置し、さ
らに、ドライヤにて温風を当てて乾燥し、白色シート状
の多孔質体2−3,2−5,2−7を得た。
【0038】上記3種の多孔質体の断面を電子顕微鏡で
観察したところ、いずれの多孔質体も、図1に示すよう
なシリカの凝集粒子からなる液媒の流路を形成する構造
が認められ、また、上述したシリコーンボールによる多
孔質体の性能試験も合格であった。
【0039】3.実施例3 室温にて加圧ニーダにより、分子量が300のポリエチ
レングリコール:PEG#300(日本油脂株式会社製
製品名)100重量部と、シリカ粉末:ニップシール
LP(日本シリカ工業株式会社製 製品名)50重量
部、および、高級アルキル系シラン:KBM−6000
(信越化学工業株式会社製 製品名)1重量部を配合し
た混合物を得た。そして、この混合物に表4,5に示す
高分子材料を混合し、約160°Cに温度調節した二本
ロールにてシート状への成形を試みた。配合3−1,3
−3,3−5,3−6からは厚さが約1mmの白色シー
ト状物を成形できたが、配合3−2,3−3からはシー
ト状物を成形できなかった。
【0040】
【表4】
【表5】
【0041】ついで、配合3−1,3−3,3−5,3
−6から得られたシート状物を、イオン交換フィルタに
より処理した精製水中に3時間浸漬し、取り出してから
一昼夜室温にて放置し、さらに、ドライヤにて乾燥し、
白色シート状物を得た。そして、これら白色シート状物
の断面を電子顕微鏡で観察したところ、図1に示すよう
な空隙構造が認められ、また、シリコーンボールによる
多孔質体の性能試験も合格であった。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
多孔質体によれば、シリカの凝集粒子間に数十ナノメー
タの空隙が形成され、この空隙が連通して液媒の流路を
構成するため、微細な空隙構造が得られ、化学的な反応
等を行わせる電池等の用途に好適に用いることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態にかかる多孔質体の
構造を模式的に示す一部を破断した斜視図である。
【図2】多孔質体の製造工程を示す工程流れ図である。
【図3】従来の一の多孔質体の構造を模式的に示す一部
を破断した斜視図である。
【図4】従来の他の多孔質体の構造を模式的に示す一部
を破断した斜視図である。
【図5】多孔質体の性能検査に用いる検査器具の模式断
面図である。
【符号の説明】
1 高分子材料 2 空隙 3 一次粒子 9 凝集粒子(二次粒子、三次粒子)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表裏に連通して開口する網目構造の空隙
    を有し、空隙率が20%〜70%の高分子多孔質体であ
    って、前記空隙内に酸化珪素系化合物の粉体粒子が凝集
    して隙間を形成し、該粉体粒子間の隙間が前記空隙の表
    裏開口間を連通することを特徴とする高分子多孔質体。
  2. 【請求項2】 酸化珪素系化合物の粉体粒子が凝集した
    凝集粒子に、流動開始温度または凝固点が10°C以下
    で分解点および沸点が150°C以上の液状化合物によ
    り破砕防止処理を施し、該破砕防止処理が施された凝集
    体を、200°C以下の温度で成形可能で前記液状化合
    物と相溶性を示さない高分子材料と混合して成形した
    後、前記液状化合物を抽出することを特徴とする高分子
    多孔質体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記高分子材料100体積部に対して前
    記酸化珪素化合物を10〜100体積部、該酸化珪素化
    合物と前記高分子材料を合計した100体積部に対して
    前記液状化合物を25〜230体積部配合した請求項2
    に記載の高分子多孔質体の製造方法。
JP10832397A 1997-04-11 1997-04-11 高分子多孔質体およびその製造方法 Pending JPH10287764A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007320988A (ja) * 2006-05-30 2007-12-13 Futamura Chemical Co Ltd 封入物を有する連通多孔構造体及びその製法
US9083035B2 (en) 2012-03-22 2015-07-14 Samsung Sdi Co., Ltd. Separator and rechargeable lithium battery
WO2019131622A1 (ja) * 2017-12-27 2019-07-04 住友理工株式会社 制振吸音発泡体の製造方法

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