JPH10287734A - ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品 - Google Patents

ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品

Info

Publication number
JPH10287734A
JPH10287734A JP11017097A JP11017097A JPH10287734A JP H10287734 A JPH10287734 A JP H10287734A JP 11017097 A JP11017097 A JP 11017097A JP 11017097 A JP11017097 A JP 11017097A JP H10287734 A JPH10287734 A JP H10287734A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polylactic acid
acid composition
lactide
polymerization
phosphite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11017097A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3765156B2 (ja
Inventor
Yoshiaki Hirai
良明 平井
Yukio Horikawa
幸雄 堀川
Yoshiharu Kimura
良晴 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanebo Ltd filed Critical Kanebo Ltd
Priority to JP11017097A priority Critical patent/JP3765156B2/ja
Publication of JPH10287734A publication Critical patent/JPH10287734A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3765156B2 publication Critical patent/JP3765156B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】成形時の分子量低下が小さく、着色がないポリ
乳酸組成物、ラクチド溶融開環重合において重合後の後
処理を必要としない熱安定性に優れかつ着色のないポリ
乳酸の製造方法および該ポリ乳酸組成物から成る成形品
を提供する。 【解決手段】ポリ乳酸又はポリ乳酸共重合体と、亜燐酸
エステル類とからなり、さらにはトリスアセチルアセト
ナトアルミニウムまたは該ポリ乳酸の乳酸単位に対して
0.00005〜0.0015モル%のオクチル酸スズ
とからなるポリ乳酸組成物。ラクチド又はラクチドと他
のコモノマ−とを溶融開環重合する際に亜燐酸エステル
を共存させ、さらには触媒としてトリスアセチルアセト
ナトアルミニウムまたは該ラクチドに対して0.000
1〜0.003モル%のオクチル酸スズを用いるポリ乳
酸組成物の製造方法。該ポリ乳酸組成物を溶融成形して
なる成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣料用、日用生活
用、医薬品材料用、医療材料用、および農業、漁業、工
業、建築土木等の産業資材用に利用できる、粉末、繊
維、フィルム、および成形材料として好適なポリ乳酸組
成物、その製造方法およびその組成物からなる成形品に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ乳酸は穀物を発酵させて得られる乳
酸を原料とするため、従来の化石由来の合成ポリマーに
対して地球資源保護の観点から注目を集めている。ま
た、ポリ乳酸は土中、水中および生体内で容易に加水分
解され、自然界に広く存在し動植物に対して無害な乳酸
となり、最終的には代謝あるいは微生物分解によって二
酸化炭素と水とに分解されるため、生分解性材料として
も注目されている。更に近年は、特に生体に対する安全
性が高いことから、医薬、医療分野への応用が盛んに行
われている。
【0003】ポリ乳酸の合成法としては、乳酸をオリゴ
マー化した後、これを解重合して環状二量体であるラク
チドを単離し、このラクチドを溶融開環重合させて得る
方法が知られている。この方法は、ラクチドの精製を充
分に行いさえすれば比較的容易に高分子量のポリ乳酸が
得られるため、非常に有用な方法である。
【0004】このラクチド開環重合によるポリ乳酸の製
造は溶剤中で溶液重合も可能であるが、多大な設備が必
要で、製造コストが高くなる上に、得られた重合生成物
から使用した溶剤を完全に除くことが難しいため、工業
的には無溶媒での溶融重合の方が好ましい。溶融重合の
場合、重合反応の温度条件は系の攪拌や重合後の取り出
しの点から生成したポリ乳酸の融点より高くする必要が
あり、例えばポリL乳酸ホモポリマーの場合、180℃
以上であることが必要である。
【0005】一方、このラクチド開環重合においては種
々の金属化合物が触媒作用を有する事が既に知られてお
り、その使用によって重合速度の向上が図られている。
特にオクチル酸スズ(以下、Sn(Oct)2 と略記す
る)が触媒活性の高さ、およびFDA(Food an
d drug administration:アメリ
カ食品薬品局)に安定剤としてその使用が認可されてい
る点などから好ましく用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ポリ乳酸は本来は無色
透明のポリマーであり、その特性を活かした応用が可能
である。しかし、ポリ乳酸は溶融状態で長時間おかれる
と黄色に着色するため、着色のないポリ乳酸を得るには
重合および成形加工は速やかに行う必要がある。前述の
Sn(Oct)2 を重合触媒として用いる場合には、ラ
クチドに対して0.003モル%より多く使用すれば、
180℃で数十分以内で重合が完結するため、ほとんど
着色しない。ところが、上記量のSn(Oct)2 がポ
リマー中に残存すると、成形加工時にこれがポリ乳酸の
分解触媒として作用し、分子量を著しく低下させるた
め、充分な強度をもつ成形品が得られない。そこで現状
では、重合後に再沈殿あるいは洗浄等の方法で重合生成
物からSn(Oct)2 を除くという方法が取られてい
るが、工程が煩雑となり、製造コストも高くなるといっ
た欠点を有する。
【0007】また、Sn(Oct)2 の使用量をラクチ
ドに対して0.003モル%以下にまで低減すれば、得
られたポリ乳酸の熱安定性は向上し、成形時の分子量低
下は少なくなるが、重合時間が180℃で100分以上
必要となり、重合時に着色することは避けられない。
【0008】一方、本発明者等はトリスアセチルアセト
ナトアルミニウム(以下、Al(Acac)3 と略記す
る)を触媒として用いて得られたポリ乳酸が非常に熱安
定性に優れていることを見出している。しかし、Al
(Acac)3 はSn(Oct)2 に比べると触媒活性
が小さく、ラクチドに対して数モル%程度使用しても1
80℃で100分以上の重合時間を必要とするため、重
合時に着色することは避けられない。
【0009】従って、製造コストの点で最も工業的利用
価値の高いラクチドの溶融開環重合で、かつ重合後の後
処理無しという方法から得られるポリ乳酸は、熱安定性
と着色という相反する問題点を抱えている。本発明は上
記の実情に鑑みなされたものであって、成形時の分子量
低下が小さく、着色のないポリ乳酸組成物、およびラク
チドの溶融開環重合において重合後の後処理を必要とし
ない、熱安定性に優れ、かつ着色のないポリ乳酸組成物
の新規な製造方法、および該ポリ乳酸組成物からなる成
形品の提供を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、L−及び/又はD−乳酸からなるポリ乳
酸、または、L−及び/又はD−乳酸とポリアルキレン
グリコール、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、
脂肪族ポリエステル、ラクトン、ラクタム、および環状
カーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも一種の
化合物に由来するセグメントとの共重合体であるポリ乳
酸と亜燐酸エステル類とからなり、さらにはAl(Ac
ac)3 または該ポリ乳酸の乳酸単位に対して0.00
005〜0.0015モル%のSn(Oct)2 とから
なるポリ乳酸組成物を特徴とするものである。
【0011】また、いまひとつの発明は、乳酸の環状二
量体であるラクチド、または、該ラクチドとポリアルキ
レングリコール、多価アルコール、ヒドロキシカルボ
酸、脂肪族ポリエステル、ラクトン、ラクタム、および
環状カーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも一
種の化合物とを溶融開環重合することによりポリ乳酸を
製造するに際し、亜燐酸エステル類を共存させ、さらに
は触媒としてAl(Acac)3 または該ラクチドに対
して0.0001〜0.003モル%のSn(Oct)
2 を用いることを特徴とするポリ乳酸組成物の製造方法
である。
【0012】さらに、いまひとつの発明は、L−及び/
又はD−乳酸からなるポリ乳酸、または、L−及び/又
はD−乳酸とポリアルキレングリコール、多価アルコー
ル、ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ポリエステル、ラク
トン、ラクタム、および環状カーボネートよりなる群か
ら選ばれた少なくとも一種の化合物に由来するセグメン
トとの共重合体であるポリ乳酸と亜燐酸エステル類とか
らなり、さらにはAl(Acac)3 または該ポリ乳酸
の乳酸単位に対して0.00005〜0.0015モル
%のSn(Oct)2 とからなるポリ乳酸組成物からな
ることを特徴とする成形品である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるラクチドは前
述したように乳酸をオリゴマー化した後解重合すること
によって得られる乳酸の環状二量体である。乳酸にはL
−乳酸とD−乳酸が存在し、それに伴ってラクチドにも
L体、D体、メソ体、ラセミ体が存在する。本発明に用
いられるラクチドの光学純度は特に限定されるものでは
ないが、得られる高分子量ポリ乳酸の融点はポリ乳酸の
光学純度によって決定され、高純度のものほど高融点の
ポリ乳酸が得られるため、より耐熱性の高いポリ乳酸を
望むならば高光学純度のラクチドを用いることが好まし
い。
【0014】ラクチドの開環重合においては水酸基を有
する化合物が重合の開始剤として働くため、生成するポ
リ乳酸の分子量は重合原料中の水酸基濃度によって決定
される。例えば、ホモポリマーの場合、重量平均分子量
20万以上のポリ乳酸を得るためには原料ラクチド中の
水分量は5ppm〜60ppmの範囲内にあることが必
要である。また、コポリマーの場合には水分量以外に、
用いるコモノマーの水酸基当量と配合量によっても得ら
れるポリ乳酸の分子量は左右され、水酸基当量が小さい
ものを多量に配合する、すなわち重合原料中の水酸基濃
度が大きくなるほど得られるポリ乳酸の重合度は小さく
なる。
【0015】本発明において用いられる亜燐酸エステル
としては、アルキルエステルである亜燐酸トリオクタデ
シル、亜燐酸トリデシルや亜燐酸トリラウリル、アリー
ルエステルである亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリクレ
ジルなどが挙げられるが、特に亜燐酸トリフェニルが好
ましく用いられる。その添加量は特に規定されるもので
はないが、好ましくは原料のラクチドにたいして0.0
001重量%〜1重量%、より好ましくは0.001重
量%〜0.1重量%である。
【0016】本発明のポリ乳酸組成物の製造法において
好ましく用いられる触媒としてはまずAl(Acac)
3 が挙げられる。同触媒を用いて得られたポリ乳酸組成
物は非常に熱安定性に優れている。本発明におけるAl
(Acac)3 触媒の使用量は、ラクチドに対して好ま
しくは0.15〜5モル%、より好ましくは0.3〜3
モル%である。0.15モル%未満では得られるポリ乳
酸の重合度が十分ではなく、また、使用量が増えると得
られるポリ乳酸の重合度は増加するが熱安定性は低下す
る傾向にあり、3〜5モル%付近で重合度の増加が飽和
し、それ以上ではむしろ重合度は低下する。
【0017】また、本発明のポリ乳酸組成物の製造にお
いて次に好ましく用いられる触媒はSn(Oct)2であるがこ
の場合は使用量が厳しく限定される。これは前述したよ
うにSn(Oct)2がポリ乳酸の分解に対して高い触媒活性を
持つためで、重合生成物を再沈殿や洗浄等の精製操作を
加えずに用いるためにはSn(Oct)2 の使用量はラ
クチドに対して0.003モル%以下であることが必須
である。これより多いと、後の成形加工時に分解が進み
著しく重合度が低下するため十分な強度をもつ製品が得
られない。また、0.0001モル%未満では重合にお
ける触媒の効果がほとんど見られない。
【0018】本発明における重合温度は特に限定される
ものではないが、重合の均一性のためには攪拌操作が必
要であり、そのためには重合温度の下限は得られた重合
生成物の融点以上であることが望ましい。例えば、ポリ
L乳酸ホモポリマーの場合には180℃以上であること
が望ましい。また、重合温度の上限は200℃であるこ
とが好ましい。これは、200℃より高温ではラクチド
とポリマーとの重合平衡がラクチド側に偏るために重合
度が上がりにくくなり、またラクチドの生成量が増大す
るためにポリマー収率が低下する。
【0019】また、重合に要する時間は通常は60〜6
000分であるが使用した触媒の量、重合温度、系内の
水分量、共重合体の場合はコモノマーの種類と量などに
よって異なるため、所望の重合度に達する時間を適宜選
択すればよい。また、前述したように本反応は系中の水
分量によって生成するポリ乳酸の重合度が左右されるた
め。反応系は無水雰囲気下であることが望ましく、窒
素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で
重合させることが望ましい。また、反応終了後重合生成
物を110〜140℃の温度範囲に保持し、固相重合す
ることで残存ラクチドを除くことも可能である。
【0020】本発明はポリ乳酸ホモポリマーのみなら
ず、乳酸を主成分とする各種コポリマーにおいても適用
が可能である。即ち、他のモノマーを配合、共重合させ
ることにより、得られるポリ乳酸の結晶性や生分解速
度、熱流動性を調節したりすることが可能となる。その
ような効果のあるモノマーとしてはポリアルキレングリ
コール、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、脂肪
族ポリエステル、ラクトン、ラクタム、環状カーボネー
トが挙げられ、同時に二種類以上の化合物を用いること
も可能である。
【0021】ポリアルキレングリコールとしては例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール等の単独重
合体およびこれらの共重合体等を、多価アルコールとし
てはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロ
パン等を、ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール
酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸等を、
脂肪族ポリエステルとしては前記ヒドロキシカルボン酸
の単独重合体および共重合体または各種脂肪族ジオール
と脂肪族ジカルボン酸の重合体等を、ラクトンとしては
γ−ブチロラクトン、β−バレロラクトン、ε−カプロ
ラクトン、グリコライド等を、ラクタムとしてはγ−ブ
チロラクタム、β−バレロラクタム、ε−カプロラクタ
ム等を、環状カーボネートとしてはプロピレンカーボネ
ート等を挙げることができるが、これに限定されるもの
ではない。
【0022】本発明の成形品は、前述のごとき本発明の
ポリ乳酸組成物を溶融成形して成る成形品である。前記
成形品の例としては射出、押し出し等の各種成形品、フ
ィルム、シート、または未延伸もしくは延伸配向された
繊維、さらには前記繊維からの繊維構造物(編み物、織
物、不織布、紙、紐、テープ、ロープ、網など)、さら
には合成皮革の様な前記フィルムやシートと繊維との複
合物が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0023】これら成形品の用途としては、防虫、保
温、防霜、遮光、防草用フィルム、シート、繊維構造物
等の農業用用途、乗り物の内装や電気製品等の工業用用
途、法面緑化保護用シート等の土木用途、床や壁材等の
建築用途、使い捨て器具、使い捨て衣料、靴や鞄等も含
めた日用生活用品、玩具やゲーム機等を含めた遊具、生
理用品等を含めた衛生医療用途、漁網、釣り糸、各種養
殖用ロープ、網等の漁業用用途等が挙げられるがこれに
限定されるものではない。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。なお
その前に本明細書における種々の特性値の測定法を記述
する。
【0025】<重量平均分子量>クロロホルムを溶離液
としたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって
ポリマー部の重量平均分子量(以下、Mwと略記する)
を測定した。なお、分子量較正曲線はポリスチレンを用
いて作成した。
【0026】<熱安定性評価法>熱安定性評価の目的
で、ポリ乳酸組成物を一定条件加熱による溶融処理を行
った。試料を五酸化燐存在下、室温で24時間減圧乾燥
し、その約3gを試験管にいれ窒素置換の後180℃の
オイルバス中で1時間加熱した。溶融処理前(重合後)
および溶融処理後(溶融後)のポリ乳酸組成物のMwを
前述の方法で測定し、下記式にて求めた。それらのう
ち、熱安定性が70%を超えるものを熱安定性が優れた
ポリ乳酸組成物と判定した。 熱安定性(%)=ポリ乳酸組成物Mw(溶融後)/ポリ
乳酸組成物Mw(溶融前)×100
【0027】<着色評価法>重合によって得られたポリ
乳酸組成物を熱板温度180℃のプレス機で2mmの厚
さまで加熱加圧し、その後取り出し急冷した。得られた
試料を白色の紙の上に置き、目視にてその着色性を評価
した。
【0028】(実施例1)L−ラクチド(水分率10p
pm、PURAC社製)60g(416mmol)とA
l(Acac)3 0.675g(2.08mmol)、
亜燐酸トリフェニル0.06gを攪拌装置、窒素導入管
を備えた反応容器に投入し、窒素置換の後、窒素気流下
で180℃に加熱し開環重合させた。このとき触媒であ
るとAl(Acac)3 の量は原料のL−ラクチドに対
して0.5モル%、亜燐酸トリフェニルは同様に0.1
重量%であった。分子量の上昇が飽和した時点で反応を
終了し重合生成物を系外に取り出した。得られたポリ乳
酸組成物の特性は表1に示す通りであった。得られたポ
リ乳酸組成物は無色で、重合後のMw39.9万および
溶融処理後のMw34.4万から熱安定性は86.4%
となり、非常に熱安定性に優れたポリ乳酸組成物であっ
た。
【0029】( 実施例2)実施例1における亜燐酸トリ
フェニルに代えて亜燐酸トリデシルを用いた以外は実施
例1と同様にしてポリ乳酸組成物を得た。各種特性値は
表1に示す通りであり、実施例1によるものと同様無色
で熱安定性の優れたポリ乳酸組成物が得られた。
【0030】( 比較例1)実施例1において亜燐酸トリ
フェニルを用いない以外は実施例1と同様にしてポリ乳
酸組成物を得た。各種特性値は表1に示す通りであり、
熱安定性は優れているが、淡黄色に着色したポリ乳酸組
成物が得られた。
【0031】
【表1】
【0032】(実施例3)実施例1におけるAl(Ac
ac)3 に代えて該ラクチドに対して0.002モル%
のSn(Oct)2 を触媒として用いた以外は実施例1
と同様にして重合を行った。得られたポリ乳酸組成物の
各種特性値は表2に示す通りであり、無色のポリ乳酸組
成物が得られた。該組成物は熱安定性も79.1%と優
れたものであった。
【0033】(比較例2)実施例3において亜燐酸トリ
フェニルを用いない以外は実施例3と同様にしてポリ乳
酸組成物を得た。各種特性値は表2に示す通りであり、
熱安定性は優れているが、黄色に着色した生成物となっ
た。
【0034】
【表2】
【0035】(実施例4)実施例1において重合原料と
してL−ラクチドに加えポリエチレングリコールPEG
6000(水分率41ppm)2.4gを用いた以外は
実施例1と同様にして重合を行った。得られたポリ乳酸
組成物の各種特性値は表3に示す通りであり、ホモポリ
マーに比べて重合度は低いが無色で熱安定性の優れたポ
リ乳酸組成物が得られた。
【0036】(比較例3)実施例4において亜燐酸トリ
フェニルを用いない以外は実施例4と同様にして重合生
成物を得た。各種特性値は表3に示す通りであり、熱安
定性は高いが、淡黄色に着色した生成物となった。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】本発明のポリ乳酸組成物は熱安定性に優
れているため、成形加工時に分子量の低下が小さく、高
強度の製品を得ることができる。また、同組成物は着色
がないため衣料用の繊維や、各種フィルム等に好適に応
用できる。また、本発明の方法はラクチド溶融開環重合
を利用しているため、容易に高分子量のポリ乳酸が得ら
れ、溶剤の除去等の後処理工程を必要としないので工業
的価値が非常に高い。さらに本発明の成形品は高強度で
かつ着色がないため、衣料用、日用生活用、医薬品材料
用、医療材料用および農業、漁業、工業、建築、土木等
の産業資材用に用いる粉末、繊維、フィルムおよび成形
材料等として極めて好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/524 C08K 5/524 C08L 67/04 C08L 67/04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−及び/又はD−乳酸からなるポリ乳
    酸と亜燐酸エステルを含んで成るポリ乳酸組成物。
  2. 【請求項2】 トリスアセチルアセトナトアルミニウム
    を含んで成る請求項1記載のポリ乳酸組成物。
  3. 【請求項3】 L−及び/又はD−乳酸からなるポリ乳
    酸の乳酸単位に対して0.00005〜0.0015モ
    ル%のオクチル酸スズを含んで成る請求項1記載のポリ
    乳酸組成物。
  4. 【請求項4】 ポリ乳酸がL−及び/又はD−乳酸と、
    ポリアルキレングリコール、多価アルコール、ヒドロキ
    シカルボン酸、脂肪族ポリエステル、ラクトン、ラクタ
    ムおよび環状カーボネートよりなる群から選ばれた少な
    くとも一種の化合物に由来するセグメントとの共重合体
    であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のポリ
    乳酸組成物。
  5. 【請求項5】 亜燐酸エステルが亜燐酸トリフェニルで
    あることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のポ
    リ乳酸組成物。
  6. 【請求項6】 乳酸の環状二量体であるラクチドを溶融
    開環重合することによりポリ乳酸を製造するに際し、亜
    燐酸エステルを共存させる事を特徴とするポリ乳酸組成
    物の製造方法。
  7. 【請求項7】 乳酸の環状二量体であるラクチドと、ポ
    リアルキレングリコール、多価アルコール、ヒドロキシ
    カルボン酸、脂肪族ポリエステル、ラクトン、ラクタム
    および環状カーボネートよりなる群から選ばれた少なく
    とも一種の化合物とを溶融開環重合することによりポリ
    乳酸系共重合体を製造するに際し、亜燐酸エステルを共
    存させる事を特徴とするポリ乳酸組成物の製造方法
  8. 【請求項8】 重合触媒としてトリスアセチルアセトナ
    トアルミニウムを用いることを特徴とする請求項6又は
    7記載のポリ乳酸組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 重合触媒としてラクチドに対して0.0
    001〜0.003モル%のオクチル酸スズを用いるこ
    とを特徴とする請求項6又は7記載のポリ乳酸組成物の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 亜燐酸エステルが亜燐酸トリフェニル
    であることを特徴とする請求項6、7、8又は9記載の
    ポリ乳酸組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3、4又は5記載のポ
    リ乳酸組成物からなる成形品。
JP11017097A 1997-04-10 1997-04-10 ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品 Expired - Fee Related JP3765156B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11017097A JP3765156B2 (ja) 1997-04-10 1997-04-10 ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11017097A JP3765156B2 (ja) 1997-04-10 1997-04-10 ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10287734A true JPH10287734A (ja) 1998-10-27
JP3765156B2 JP3765156B2 (ja) 2006-04-12

Family

ID=14528834

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11017097A Expired - Fee Related JP3765156B2 (ja) 1997-04-10 1997-04-10 ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3765156B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006001084A1 (ja) * 2004-06-29 2006-01-05 Showa Highpolymer Co., Ltd. 脂肪族ポリエステルの製造方法
JP2010037379A (ja) * 2008-08-01 2010-02-18 Teijin Ltd ポリ乳酸含有組成物
JP2010070589A (ja) * 2008-09-16 2010-04-02 Teijin Ltd ポリ乳酸含有組成物の製造方法
JP2010070588A (ja) * 2008-09-16 2010-04-02 Teijin Ltd ポリ乳酸含有組成物及びその製造方法
WO2011162534A3 (ko) * 2010-06-21 2012-05-03 주식회사 엘지화학 내열성이 우수한 폴리락타이드 수지 및 이의 제조방법
KR101396443B1 (ko) * 2012-06-27 2014-05-19 롯데케미칼 주식회사 열 안정성이 향상된 폴리락타이드 수지 및 이의 제조 방법

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006001084A1 (ja) * 2004-06-29 2006-01-05 Showa Highpolymer Co., Ltd. 脂肪族ポリエステルの製造方法
JP2010037379A (ja) * 2008-08-01 2010-02-18 Teijin Ltd ポリ乳酸含有組成物
JP2010070589A (ja) * 2008-09-16 2010-04-02 Teijin Ltd ポリ乳酸含有組成物の製造方法
JP2010070588A (ja) * 2008-09-16 2010-04-02 Teijin Ltd ポリ乳酸含有組成物及びその製造方法
WO2011162534A3 (ko) * 2010-06-21 2012-05-03 주식회사 엘지화학 내열성이 우수한 폴리락타이드 수지 및 이의 제조방법
US8722845B2 (en) 2010-06-21 2014-05-13 Lg Chem, Ltd. Polylactide resin having excellent heat resistance and preparation method thereof
US9115248B2 (en) 2010-06-21 2015-08-25 Lg Chem, Ltd. Polylactide resin having excellent heat resistance and preparation method thereof
KR101396443B1 (ko) * 2012-06-27 2014-05-19 롯데케미칼 주식회사 열 안정성이 향상된 폴리락타이드 수지 및 이의 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP3765156B2 (ja) 2006-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7067611B2 (en) Polyhydroxycarboxylic acid and its production process
Valderrama et al. The potential of oxalic–and glycolic acid based polyesters (review). Towards CO2 as a feedstock (Carbon Capture and Utilization–CCU)
US5618911A (en) Polymer containing lactic acid as its constituting unit and method for producing the same
US20030125508A1 (en) Crystalline polyglycolic acid, polyglycolic acid composition and production process thereof
EP0761712A2 (en) Bioabsorbable polymer and process for preparing the same
JPH07126358A (ja) アルファ−ヒドロキシ酸のポリマーの製造方法
EP0937116B1 (en) Process for the preparation of polyhydroxy acids
JP4476808B2 (ja) 高分子量脂肪族ポリエステル及びその製造方法
JP5150074B2 (ja) ポリ乳酸およびその製造方法
JPH10287734A (ja) ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品
JPH10287735A (ja) ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品
JP3319553B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物
JPH09124778A (ja) ポリ乳酸の製造法
JP3517857B2 (ja) ポリ乳酸の製造法
JP3287425B2 (ja) 水酸基末端をエステル封鎖したポリ乳酸およびその製造法
JPH10158370A (ja) ポリ乳酸の製造法
JP3747563B2 (ja) ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品
JP3144231B2 (ja) 脂肪族ポリエステルおよび/またはその共重合体
ES2554785T3 (es) Método para la producción de diésteres cíclicos de ácido L-, D- y D, L-láctico
JP3752776B2 (ja) ポリ乳酸組成物およびその製造方法ならびに該組成物の成形品
Vert Lactic acid-based degradable polymers
JP3144416B2 (ja) 脂肪族ポリエステルおよび/またはその共重合体
JP3342563B2 (ja) 脂肪族ポリエステルの製造方法
GB2331986A (en) Stabiliser for cyclic lactone production
JP3287426B2 (ja) 脂肪族ポリエステルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040402

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050922

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20051004

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20051202

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Effective date: 20060104

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20060117

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090203

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100203

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100203

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110203

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees