JP3287426B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents
脂肪族ポリエステルの製造方法Info
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Description
れ、良好な熱安定性を有するため溶融成形の容易な生分
解性を有するポリ乳酸の製造方法に関する。
れる脂肪族ポリエステル、なかんずくα−オキシ酸ポリ
エステルは、良好な生分解性を有しており、手術用縫合
糸、注射薬用マイクロカプセル等の生体分解性医用材料
に利用されている。また近年、プラスチック廃棄物が問
題となり、酵素や微生物による分解が期待される生分解
性プラスチックとしても注目され、研究開発が進められ
ている。
得る方法として、従来より、前記式(I)で示される、
α−オキシ酸の環状二量体であるラクトン類を触媒存在
下に加熱、開環重合する方法が知られている。しかし得
られた前記α−オキシ酸ポリエステルは一般に、融解温
度よりわずかに高い温度において比較的容易に熱分解す
るため、溶融成形時に問題となる。そこで、α−オキシ
酸ポリエステルであるポリグリコール酸や、グリコール
酸と乳酸の共重合体においてはそれらの熱安定性を向上
するために、得られたポリエステルを粉末もしくは粒状
とし、適当なアセチル化剤と0〜200℃で反応させる
ことによる、末端水酸基のアセチル化等が開示されてい
る(特開昭56−157422)。
通常の開環重合の後、さらに煩雑なアセチル化工程が要
求され工業的に好ましいものではない。また、前記α−
オキシ酸ポリエステルを開環重合して得る際に、重合度
の上昇が急激であるため、任意に適当な分子量を有する
ポリエステルを得ることは困難である。かかる理由によ
り、熱安定性が良好であり、さらに製造上、容易に任意
の分子量に調節しうるポリ乳酸を、開環重合時に得るこ
とが要望されている。
クトン類を開環重合させる際に熱安定性の良好な前記α
−オキシ酸ポリエステルを得るべく鋭意検討を重ねた結
果、開環重合時に脂肪族カルボン酸を目的の分子量に応
じて適当量添加することで、良好な熱安定性を有し、し
かも重合の際、重合度の上昇が緩慢になるため、容易に
任意の分子量に調節しうるポリ乳酸が得られることを見
いだし、本発明を完成するに到った。
3)−CO− を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリ
エステルを製造する方法において、下記(I)式で示さ
れるラクトンに対し0.001〜5モル%の炭素数2〜
51の脂肪族カルボン酸の存在下で、該ラクトンを開環
重合させることを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造
方法である。
脂肪族カルボン酸はモノ、ジカルボン酸のいずれでもよ
く、また飽和、もしくは不飽和であってもかまわない。
具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプ
ロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン
酸、ベヘン酸、リノール酸、オレイン酸、コハク酸、ア
ジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウ
ンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、フマル酸等
が使用できる。また、これらの酸無水物を加えても一向
に構わない。これらのカルボン酸は1種、または2種以
上を併用してもよい。特にステアリン酸、パルミチン
酸、ミリスチン酸、リノール酸、オレイン酸は着香料、
乳化剤、ビタミン強化剤、またフマル酸、コハク酸、ア
ジピン酸は調味料、酸味料もしくはそれらの原料として
食品添加物にも挙げられており、安全性が確認されてい
るので好ましいカルボン酸である。さらに好ましくは、
製パン用助剤として用いられるステアリル乳酸カルシウ
ムの原料であるステアリン酸が挙げられる。
まの状態(液体、固体)でもよく適当な溶媒に溶解して
おいてもかまわない。ただし溶媒を用いた場合は、反応
前もしくは反応中に溶媒を容易に留去できるのが望まし
い。
いられる酸の種類などの条件により若干の相違はある
が、モノマーであるラクトンに対し0.001〜5モル
%の割合で用いられる。なかでも0.02モル%以上、
1モル%以下が好ましく、さらには0.05〜0.6モ
ル%用いるのが特に好ましい。使用量が0.001モル
%未満であると熱安定性向上の効果が少なくなり、また
任意に分子量を調節することも困難である。また使用量
が5モル%より多くなると、カルボン酸が過剰の末端停
止剤として働き、重合を抑制する為に、実用上必要な重
合度まで高めることが困難である。この所定範囲内で用
途に合わせて、適宜選択する。
クチドである。また、L体、D体、ラセミ体、メソ体の
いずれでもよい。
わち再結晶、蒸留、昇華などによって、十分に精製され
た物を用いるのが望ましい。また重合には一般に触媒が
用いられるが、これにはラクトンの重合に通常用いられ
る公知の触媒、たとえばスズ、アンチモン、亜鉛、鉛、
チタン、鉄、アルミニウム化合物等が好適に使用でき
る。これらの触媒は1種、または2種以上を併用しても
よい。この中でも特にFDA(アメリカ食品薬品管理
局)によって認可されているオクチル酸第一スズが好ま
しい。またオクチル酸亜鉛も毒性が低く好ましい触媒で
ある。
あるいは減圧、もしくは加圧下で行なってもよく、その
際、逐次、触媒、カルボン酸を添加してもかまわない。
このようにして開環重合終了後に得られたポリ乳酸は任
意の分子量を有しており、熱安定性が向上しているため
溶融成形が容易になるため、種々の生分解性成形物を製
造することが可能である。さらに熱安定性の向上、機械
特性、分解特性を制御するために、エポキシ化合物やア
ルコール等を用いてカルボキシル基末端を封鎖しても一
向に差し支えない。また必要に応じて、顔料、酸化防止
剤、劣化防止剤、可塑剤、艶消剤、帯電防止剤、蛍光増
白剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えても一向に差し
支えない。
態から繊維、フィルム、種々の成形品に成形加工するこ
とが可能であり、生分解性材料として有用である。具体
的な用途として繊維では、釣り糸、魚網、不織布等、フ
ィルムでは包装用フィルム、農業用マルチフィルム、シ
ョッピングバック、テープ類、肥料袋、分離膜等、成型
品では飲料や化粧品類のボトル、ディスポーザブルカッ
プ、トレイ等の容器類、農業用植木鉢、育苗床、掘り出
し不要のパイプ、仮止め材等の建材が考えられる。さら
に医療用途として、縫合糸、人工骨、人工皮膚、マイク
ロカプセルなどのDDS分野への応用等が考えられる
が、これらに限定されるものではない。
性を種々変化させるために、他の脂肪族ポリエステル形
成物、すなわち酸成分としてコハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸等、グリコール成分としてエチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール等またはε−カプロラクト
ンなどとの混合、共重合化をはかることも可能である。
に実施例を述べるが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。なお実施例における特性値は以下の方法によ
って測定した。
4,6−トリクロロフェノール/フェノール(7/10
重量比)混合溶媒25mlに溶解しそれぞれ25±0.
1℃、30±0.1℃で測定して還元粘度を算出した。
下、昇温速度10℃/分で測定し、熱安定性を評価し
た。
下、昇降温速度10℃/分で測定した。
テアリン酸57mg(2.00×10-4モル)、オクチ
ル酸第一スズ3mg(7.4×10-6モル)のトルエン
溶液を攪拌装置、窒素導入管を備えた重合管に装入し、
2hr真空乾燥、窒素置換を行なった後、窒素雰囲気下
に200℃に加熱し、開環重合した。重合度は緩やかに
上昇した。1hrで反応を終了して得られたポリマー
の、クロロホルム中における粘度を測定したところ、η
sp/C=1.26を示した。TGAによる10%重量減
少温度は321℃であり、融点は177℃であった。こ
のものを重クロロホルムに溶解して 1H−NMRスペク
トルを測定したところ末端ステアリル基に起因するピー
ク(1.23ppm)を確認した。
テアリン酸を添加せずに実施例1と同様に重合したとこ
ろ、重合度の上昇が急激であり、任意の分子量のものを
得ることは困難であった。1hrで反応を終了して得ら
れたポリマーはηsp/C=2.41を示した。融点は1
81℃であり、TGAによる10%重量減少温度は28
3℃であった。
テアリン酸114mg(4.00×10-4モル)とした
ほかは実施例1と同様に重合した。重合度は緩やかに上
昇した。得られたポリマーはηsp/C=0.84を有し
ており、TGAによる10%重量減少温度は310℃で
あり、融点は176℃であった。
テアリン酸14mg(5.0×10-5モル)としたほか
は実施例1と同様に重合した。得られたポリマーはηsp
/C=1.77を有しており、TGAによる10%重量
減少温度は315℃であり、融点は180℃であった。
鎖したポリ乳酸(ηsp/C=1.29)と封鎖していな
いポリ乳酸(ηsp/C=1.31)を、窒素雰囲気下に
200℃、1hr、それぞれ加熱してηsp/Cの保持率
を比較したところ前者が95%であったのに対して後者
は70%にすぎなかった。
発明におけるポリ乳酸は、任意の分子量に調節でき、か
つ良好な熱安定性を有するため溶融成形が容易であり、
比較的簡便な方法で製造することができる。得られたポ
リ乳酸からは、種々の生分解性成形物を製造することが
でき、広範な用途が期待できるので、産業界、または環
境問題の解決にも寄与するところが非常に大きい。
Claims (1)
- 【請求項1】一般式 −O−CH(CH3)−CO−
を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルを製造
する方法において、下記(I)式で示されるラクトンに
対し0.001〜5モル%の炭素数2〜51の脂肪族カ
ルボン酸の存在下で、該ラクトンを開環重合させること
を特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。 【化1】
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01760393A JP3287426B2 (ja) | 1993-02-04 | 1993-02-04 | 脂肪族ポリエステルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01760393A JP3287426B2 (ja) | 1993-02-04 | 1993-02-04 | 脂肪族ポリエステルの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH06228289A JPH06228289A (ja) | 1994-08-16 |
JP3287426B2 true JP3287426B2 (ja) | 2002-06-04 |
Family
ID=11948462
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01760393A Expired - Fee Related JP3287426B2 (ja) | 1993-02-04 | 1993-02-04 | 脂肪族ポリエステルの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3287426B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3319553B2 (ja) * | 1995-06-27 | 2002-09-03 | 東洋紡績株式会社 | ポリ乳酸系樹脂組成物 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0616792A (ja) * | 1992-06-29 | 1994-01-25 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ε−カプロラクトンとグリコリドの共重合体の製造方法 |
JP3287425B2 (ja) * | 1993-02-04 | 2002-06-04 | 東洋紡績株式会社 | 水酸基末端をエステル封鎖したポリ乳酸およびその製造法 |
-
1993
- 1993-02-04 JP JP01760393A patent/JP3287426B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH06228289A (ja) | 1994-08-16 |
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