JPH06228289A - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents
脂肪族ポリエステルの製造方法Info
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- JPH06228289A JPH06228289A JP50A JP1760393A JPH06228289A JP H06228289 A JPH06228289 A JP H06228289A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 1760393 A JP1760393 A JP 1760393A JP H06228289 A JPH06228289 A JP H06228289A
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Abstract
しうるα−オキシ酸ポリエステルの製造方法を提供す
る。 【構成】 一般式 −O−CHR−CO− (RはHま
たは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)を主たる繰り
返し単位とする脂肪族ポリエステルを製造する方法にお
いて、モノマーであるラクトン類に対し、0.001〜
5モル%の炭素数2〜51の脂肪族カルボン酸の存在下
で、該ラクトン類を開環重合させることを特徴とする脂
肪族ポリエステルの製造方法。 【効果】 本発明におけるα−オキシ酸ポリエステルは
任意の分子量に調節でき、かつ良好な熱安定性を有する
ため、溶融成形が容易である。このため種々の生分解性
成形物を製造でき、広範な用途が期待できる。
Description
れ、良好な熱安定性を有するため溶融成形の容易な生分
解性を有する脂肪族ポリエステル、なかんずくα−オキ
シ酸ポリエステルの製造方法に関する。
れる脂肪族ポリエステル、なかんずくα−オキシ酸ポリ
エステルは、良好な生分解性を有しており、手術用縫合
糸、注射薬用マイクロカプセル等の生体分解性医用材料
に利用されている。また近年、プラスチック廃棄物が問
題となり、酵素や微生物による分解が期待される生分解
性プラスチックとしても注目され、研究開発が進められ
ている。
得る方法として、従来より、前記式(I)で示される、
α−オキシ酸の環状二量体であるラクトン類を触媒存在
下に加熱、開環重合する方法が知られている。しかし得
られた前記α−オキシ酸ポリエステルは一般に、融解温
度よりわずかに高い温度において比較的容易に熱分解す
るため、溶融成形時に問題となる。そこで、α−オキシ
酸ポリエステルであるポリグリコール酸や、グリコール
酸と乳酸の共重合体においてはそれらの熱安定性を向上
するために、得られたポリエステルを粉末もしくは粒状
とし、適当なアセチル化剤と0〜200℃で反応させる
ことによる、末端水酸基のアセチル化等が開示されてい
る(特開昭56−157422)。
通常の開環重合の後、さらに煩雑なアセチル化工程が要
求され工業的に好ましいものではない。また、前記α−
オキシ酸ポリエステルを開環重合して得る際に、重合度
の上昇が急激であるため、任意に適当な分子量を有する
ポリエステルを得ることは困難である。かかる理由によ
り、熱安定性が良好であり、さらに製造上、容易に任意
の分子量に調節しうるα−オキシ酸ポリエステルを、開
環重合時に得ることが要望されている。
クトン類を開環重合させる際に熱安定性の良好な前記α
−オキシ酸ポリエステルを得るべく鋭意検討を重ねた結
果、開環重合時に脂肪族カルボン酸を目的の分子量に応
じて適当量添加することで、良好な熱安定性を有し、し
かも重合の際、重合度の上昇が緩慢になるため、容易に
任意の分子量に調節しうるα−オキシ酸ポリエステルが
得られることを見いだし、本発明を完成するに到った。
O− (RはHまたは炭素数1〜5のアルキル基を示
す。)を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル
を製造する方法において、下記(I)式で示されるラク
トン類に対し0.001〜5モル%の炭素数2〜51の
脂肪族カルボン酸の存在下で、該ラクトン類を開環重合
させることを特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法
である。
を示す。)
脂肪族カルボン酸はモノ、ジカルボン酸のいずれでもよ
く、また飽和、もしくは不飽和であってもかまわない。
具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプ
ロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン
酸、ベヘン酸、リノール酸、オレイン酸、コハク酸、ア
ジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウ
ンデカン二酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、フマル酸等
が使用できる。また、これらの酸無水物を加えても一向
に構わない。これらのカルボン酸は1種、または2種以
上を併用してもよい。特にステアリン酸、パルミチン
酸、ミリスチン酸、リノール酸、オレイン酸は着香料、
乳化剤、ビタミン強化剤、またフマル酸、コハク酸、ア
ジピン酸は調味料、酸味料もしくはそれらの原料として
食品添加物にも挙げられており、安全性が確認されてい
るので好ましいカルボン酸である。さらに好ましくは、
製パン用助剤として用いられるステアリル乳酸カルシウ
ムの原料であるステアリン酸が挙げられる。
ままの状態(液体、固体)でもよく適当な溶媒に溶解し
ておいてもかまわない。ただし溶媒を用いた場合は、反
応前もしくは反応中に溶媒を容易に留去できるのが望ま
しい。
いられる酸の種類などの条件により若干の相違はある
が、モノマーであるラクトン類に対し0.001〜5モ
ル%の割合で用いられる。なかでも0.02モル%以
上、1モル%以下が好ましく、さらには0.05〜0.
6モル%用いるのが特に好ましい。使用量が0.001
モル%未満であると熱安定性向上の効果が少なくなり、
また任意に分子量を調節することも困難である。また使
用量が5モル%より多くなると、カルボン酸が過剰の末
端停止剤として働き、重合を抑制する為に、実用上必要
な重合度まで高めることが困難である。この所定範囲内
で用途に合わせて、適宜選択する。
容易に開環重合するものであれば特に限定されるもので
はなく、具体的にはグリコリド、ラクチド、さらにα−
ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキ
シイソ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロ
キシイソカプロン酸、α−ヒドロキシ−β−メチル吉草
酸、α−ヒドロキシヘプタン酸等の分子間環状ジエステ
ルが挙げられる。これらのなかで、グリコリド、ラクチ
ドは容易に入手することができ、これらのポリマーの物
理的性質が望ましいものであり、好ましいラクトン類で
ある。また、不斉炭素を有するものは、L体、D体、ラ
セミ体、メソ体のいずれでもよい。さらに、式(I)に
おいてRは通常同じであるが、これらは異なっていても
一向に構わない。具体的には、グリコール酸と乳酸の間
の環状二量体でありモノメチルグリコリドなる慣用名で
知られる3−メチル−2,5−ジケト−1,4−ジオキ
サンなどが挙げられる。
これらのラクトン類は通常の精製操作、すなわち再結
晶、蒸留、昇華などによって、十分に精製された物を用
いるのが望ましい。また重合には一般に触媒が用いられ
るが、これにはラクトン類の重合に通常用いられる公知
の触媒、たとえばスズ、アンチモン、亜鉛、鉛、チタ
ン、鉄、アルミニウム化合物等が好適に使用できる。こ
れらの触媒は1種、または2種以上を併用してもよい。
この中でも特にFDA(アメリカ食品薬品管理局)によ
って認可されているオクチル酸第一スズが好ましい。ま
たオクチル酸亜鉛も毒性が低く好ましい触媒である。
あるいは減圧、もしくは加圧下で行なってもよく、その
際、逐次、触媒、カルボン酸を添加してもかまわない。
このようにして開環重合終了後に得られたα−オキシ酸
ポリエステルは任意の分子量を有しており、熱安定性が
向上しているため溶融成形が容易になるため、種々の生
分解性成形物を製造することが可能である。さらに熱安
定性の向上、機械特性、分解特性を制御するために、エ
ポキシ化合物やアルコール等を用いてカルボキシル基末
端を封鎖しても一向に差し支えない。また必要に応じ
て、顔料、酸化防止剤、劣化防止剤、可塑剤、艶消剤、
帯電防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの添加剤を
加えても一向に差し支えない。
は、溶融、溶液状態から繊維、フィルム、種々の成形品
に成形加工することが可能であり、生分解性材料として
有用である。具体的な用途として繊維では、釣り糸、魚
網、不織布等、フィルムでは包装用フィルム、農業用マ
ルチフィルム、ショッピングバック、テープ類、肥料
袋、分離膜等、成型品では飲料や化粧品類のボトル、デ
ィスポーザブルカップ、トレイ等の容器類、農業用植木
鉢、育苗床、掘り出し不要のパイプ、仮止め材等の建材
が考えられる。さらに医療用途として、縫合糸、人工
骨、人工皮膚、マイクロカプセルなどのDDS分野への
応用等が考えられるが、これらに限定されるものではな
い。
性を種々変化させるために、他の脂肪族ポリエステル形
成物、すなわち酸成分としてコハク酸、アジピン酸、セ
バシン酸等、グリコール成分としてエチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール等またはε−カプロラクト
ンなどとの混合、共重合化をはかることも可能である。
に実施例を述べるが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。なお実施例における特性値は以下の方法によ
って測定した。
4,6−トリクロロフェノール/フェノール(7/10
重量比)混合溶媒25mlに溶解しそれぞれ25±0.
1℃、30±0.1℃で測定して還元粘度を算出した。
下、昇温速度10℃/分で測定し、熱安定性を評価し
た。
下、昇降温速度10℃/分で測定した。
テアリン酸57mg(2.00×10-4モル)、オクチ
ル酸第一スズ3mg(7.4×10-6モル)のトルエン
溶液を攪拌装置、窒素導入管を備えた重合管に装入し、
2hr真空乾燥、窒素置換を行なった後、窒素雰囲気下
に200℃に加熱し、開環重合した。重合度は緩やかに
上昇した。1hrで反応を終了して得られたポリマー
の、クロロホルム中における粘度を測定したところ、η
sp/C=1.26を示した。TGAによる10%重量減
少温度は321℃であり、融点は177℃であった。こ
のものを重クロロホルムに溶解して 1H−NMRスペク
トルを測定したところ末端ステアリル基に起因するピー
ク(1.23ppm)を確認した。
テアリン酸を添加せずに実施例1と同様に重合したとこ
ろ、重合度の上昇が急激であり、任意の分子量のものを
得ることは困難であった。1hrで反応を終了して得ら
れたポリマーはηsp/C=2.41を示した。融点は1
81℃であり、TGAによる10%重量減少温度は28
3℃であった。
テアリン酸114mg(4.00×10-4モル)とした
ほかは実施例1と同様に重合した。重合度は緩やかに上
昇した。得られたポリマーはηsp/C=0.84を有し
ており、TGAによる10%重量減少温度は310℃で
あり、融点は176℃であった。
テアリン酸14mg(5.0×10-5モル)としたほか
は実施例1と同様に重合した。得られたポリマーはηsp
/C=1.77を有しており、TGAによる10%重量
減少温度は315℃であり、融点は180℃であった。
アリン酸57mg(2.00×10-4モル)としたほか
は実施例1と同様に重合した。重合度は緩やかに上昇し
た。得られたポリマーの、フェノール−トリクロロフェ
ノール溶媒中の粘度を測定したところ、ηsp/C=1.
10を示した。TGAによる10%重量減少温度は、3
35℃であり、融点は222℃であった。
アリン酸を添加せずに実施例1と同様に重合したとこ
ろ、重合度の上昇が急激であり、任意の分子量のものを
得ることは困難であった。1hrで反応を終了して得ら
れたポリマーはη sp/C=1.55を示した。融点は2
25℃であり、TGAによる10%重量減少温度は28
3℃であった。
鎖したポリ乳酸(ηsp/C=1.29)と封鎖していな
いポリ乳酸(ηsp/C=1.31)を、窒素雰囲気下に
200℃、1hr、それぞれ加熱してηsp/Cの保持率
を比較したところ前者が95%であったのに対して後者
は70%にすぎなかった。
発明におけるα−オキシ酸ポリエステルは、任意の分子
量に調節でき、かつ良好な熱安定性を有するため溶融成
形が容易であり、比較的簡便な方法で製造することがで
きる。得られたα−オキシ酸ポリエステルからは、種々
の生分解性成形物を製造することができ、広範な用途が
期待できるので、産業界、または環境問題の解決にも寄
与するところが非常に大きい。
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式 −O−CHR−CO− (Rは
Hまたは炭素数1〜5のアルキル基を示す。)を主たる
繰り返し単位とする脂肪族ポリエステルを製造する方法
において、下記(I)式で示されるラクトン類に対し
0.001〜5モル%の炭素数2〜51の脂肪族カルボ
ン酸の存在下で、該ラクトン類を開環重合させることを
特徴とする脂肪族ポリエステルの製造方法。 【化1】 (式(I)中、RはHまたは炭素数1〜5のアルキル基
を示す。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01760393A JP3287426B2 (ja) | 1993-02-04 | 1993-02-04 | 脂肪族ポリエステルの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06228289A true JPH06228289A (ja) | 1994-08-16 |
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JP (1) | JP3287426B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0912688A (ja) * | 1995-06-27 | 1997-01-14 | Toyobo Co Ltd | ポリ乳酸系樹脂組成物 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0616792A (ja) * | 1992-06-29 | 1994-01-25 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ε−カプロラクトンとグリコリドの共重合体の製造方法 |
JPH06228287A (ja) * | 1993-02-04 | 1994-08-16 | Toyobo Co Ltd | 水酸基末端をエステル封鎖したポリ乳酸およびその製造法 |
-
1993
- 1993-02-04 JP JP01760393A patent/JP3287426B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0616792A (ja) * | 1992-06-29 | 1994-01-25 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ε−カプロラクトンとグリコリドの共重合体の製造方法 |
JPH06228287A (ja) * | 1993-02-04 | 1994-08-16 | Toyobo Co Ltd | 水酸基末端をエステル封鎖したポリ乳酸およびその製造法 |
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JPH0912688A (ja) * | 1995-06-27 | 1997-01-14 | Toyobo Co Ltd | ポリ乳酸系樹脂組成物 |
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