JPH10287516A - 殺虫剤組成物及び殺虫材 - Google Patents

殺虫剤組成物及び殺虫材

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JPH10287516A
JPH10287516A JP11529097A JP11529097A JPH10287516A JP H10287516 A JPH10287516 A JP H10287516A JP 11529097 A JP11529097 A JP 11529097A JP 11529097 A JP11529097 A JP 11529097A JP H10287516 A JPH10287516 A JP H10287516A
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JP
Japan
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insecticide
insecticidal
allyl isothiocyanate
container
insecticide composition
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JP11529097A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Ono
野 吉 弘 小
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Osaka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Osaka Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】人畜に対し無毒性の衣類害虫用の殺虫剤と、こ
の殺虫剤から生じることがある刺激臭などの弊害を解消
し得る殺虫剤組成物、及びこの殺虫剤組成物を構成要素
とした殺虫材の提供。 【解決手段】アリルイソチオシアネートを有効成分とす
る殺虫剤成分を固体状の担体中に含有保持させてなる固
形状殺虫剤21を扁平形収容器22内に収容し、この収
容器22の開口部を通気性シート材23により閉止する
ことによって構成される殺虫材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アリルイソチオシ
アネートを有効成分とした殺虫剤組成物、及びこの殺虫
剤組成物を応用した殺虫材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、衣類害虫として知られるイガやシ
ミの幼虫などに対する駆除方法としては、ナフタリン、
樟脳、パラジクロルベンゼン等の昇華性の固形剤、また
最近では、エンペントリン(4−メチル−4−ヘプテン
−1−イン−3−イルd−シス,トランスクリサンテマ
ート)等のピレスロイド等の常温揮散性液剤が、それぞ
れ防虫剤として用いられてきた。
【0003】また、殺虫剤としては、現在、天然ピレト
リンや、アレスリン、フタルスリン、レスメトリンなど
の合成ピレトリンが衣類害虫用としても汎用されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】衣類は、タンスや専用
の容器内に収容した状態で保存されることが多い。この
ため衣類害虫を駆除する際に一時的に強い殺虫効力を及
ばせてその害虫を死滅させることは防虫効力を長期間に
亘り作用させることに匹敵し、また比較的に少ない薬剤
使用量で衣類害虫による食害に対処することが可能であ
る。
【0005】この衣類害虫に対する殺虫剤としては、前
記した防虫剤はごく弱い殺虫力しか発揮されないことか
ら不適当であり、また前記したピレスロイド系剤ではい
ずれも強力な殺虫効力を有すると共に人畜に対して低毒
とされているが、人畜に対する有毒性はなおも残る。
【0006】そこで、本発明では、人畜に対して無毒性
の衣類害虫用の殺虫剤を提供すること、またこの殺虫剤
から生じることがある刺激臭などの弊害を解消した状態
で提供することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、鋭意研究した結果、古来から料理の香辛料として
用いられてきたワサビやからしに含まれる成分であるア
リルイソチオシアネートが衣類害虫に対し有効な殺虫力
を有するとの知見を得て本発明を完成するに至った。即
ち、本発明は殺虫剤組成物につき、アリルイソチオシア
ネートを有効成分として含有することを特徴とする。
【0008】このアリルイソチオシアネートは、ワサビ
やからしなどの天然植物から抽出することにより、ある
いは合成によっても得られる液状剤である。より具体的
には、例えば、からしについて、水圧機で圧搾して脂肪
油を除き、これを砕いて温湯に数時間浸した後水蒸気蒸
留し、その留出油分を採取することによる。また、合成
による場合は、ハロゲン化アリルとロダンカリをアルコ
ールに溶かして加熱し、チオシアン酸アリル塩の析出が
完了したところで水で希釈し、析出した油分を蒸留し精
留を繰り返えすか、あるいはアリル硫酸カリとロダンカ
リを混合して乾留して油分を採取する方法によって得ら
れる。
【0009】このアリルイソチオシアネートは、常温状
態で揮発性の液体であり、この揮発気体が衣類害虫に対
して殺虫効力を発揮する。
【0010】従って、このアリルイソチオシアネートを
そのまま殺虫剤として用いることができるが、その使用
量によってはその揮散気体に基づく刺激臭が強くなり、
また人によっては催涙や皮膚に炎症をひき起こすという
弊害もある。
【0011】この刺激臭を低減乃至解消するための殺虫
剤組成物として、本発明では、さらに、アリルイソチオ
シアネートとジプロピレングリコールとの混合剤とした
ものも含む。
【0012】この混合剤からなる殺虫剤において、ジプ
ロピレングリコールは、その揮散過程においてアリルイ
ソチオシアネートの刺激臭の発散を抑制する作用を発揮
すると共に、なおも衣類害虫に対する殺虫効力もそのま
ま保持される。
【0013】上記した混合組成において、ジプロピレン
グリコールに対するアリルイソチオシアネートの混合量
は、その利用形態により異なって一定ではないが、例え
ば、一般的な衣類用収納ケース(50l容量)内に投入
する用法においては、この混合剤全体の1.0〜3.0
重量%であることが好ましい。この用法において、アリ
ルイソチオシアネートの混合量が、1.0重量%未満で
あると殺虫効力が有効でないことがあり、また3.0重
量%を超える量であると上記した刺激臭に対する抑制作
用が不十分となることがあるからである。従って、上記
した殺虫効力と刺激臭の抑制作用とを安定的に発揮させ
るために、より好ましくは、アリルイソチオシアネート
の混合量を1.5〜2.5重量%とすることである。
【0014】上記したアリルイソチオシアネートあるい
はこれとジプロピレングリコールとの混合剤は、その液
体性状から、ろ紙等の紙材、不織布、布帛その他の液体
含浸性の基材中に揮散可能な形態で含浸させて殺虫材と
して構成することができる。この構成形態で得られる殺
虫材については、さらに、これを通気孔を伴う収容器や
通気孔の包袋内に収納した形態のものとして商品化でき
る。
【0015】また、本発明に係る殺虫剤組成物には、ア
リルイソチオシアネートを固体状担体中に含有保持させ
たものも含まれ、この固体状担体には粉体状のもののほ
か、塊状のものが含まれ、さらにこの担体自体が昇華性
物質であるものも含まれる。
【0016】上記した固体状担体としては、例えば、シ
クロデキストリンを挙げることができる。このシクロデ
キストリンによれば、アリルイソチオシアネートあるい
はこれとジプロピレングリコールとの前記した混合剤を
揮散可能に含有保持させることができる。これによっ
て、本発明の殺虫剤組成物として固体状化(粉末状化)
したものとして得ることができると共に、同時に前記し
たアリルイソチオシアネートの刺激臭に対する抑制作用
をも生じさせることができる。
【0017】このシクロデキストリンを担体とする固体
状化には、シクロデキストリンの粉末中に直接アリルイ
ソチオシアネートを常温下に混合し吸着状態で含有させ
る方法、シクロデキストリンの水溶液乃至水性スラリー
中にアリルイソチオシアネートを加温下に混合し、これ
を凍結乾燥しこれを粉砕した粉末化する方法などの既知
の手段によることができる。また前記したジプロピレン
グリコールとの混合剤による場合も同様である。
【0018】また、この場合、シクロデキストリンに対
するアリルイソチオシアネートの混合量は、1.0〜1
5重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜
12重量%である。この混合量が1.0重量%未満であ
ると、その殺虫効力が低下してその即効的効力が不十分
となり、また15重量%を超える量であると、シクロデ
キストリン中に包摂される以上の過剰量となってしま
い、また前記した刺激臭に対する抑制作用も不十分とな
ることがあるからである。従って、この殺虫効力と刺激
臭に対する抑制作用を安定状態で発揮させる点から、ア
リルイソチオシアネートの混合量は5〜12重量%であ
ることがより好ましい。
【0019】また、前記した昇華性物質としては、常温
下において一定の昇華性を示すトリシクロデカン、2,
4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサ
ン、アセトンオキシム、アルミカルバマート、ブチルカ
ルバマート、パラブチルアルデヒド、クロラールアンモ
ニア、クロロアセトアニリド、シクロヘキサノンオキシ
ム、ジクロロアセトン、ジクロロベンゼン、ジクロロベ
タイン、ジハイドロキシヘキサン、ジメチルオキサレー
ト、ジメチルメキノン、エチルクロトニックアシッド、
フルフラールオキシム、パラジクロルベンゼン、ナフタ
リン、樟脳などを挙げることができる。
【0020】このような昇華性物質をアリルイソチオシ
アネートの担体とした殺虫剤組成物においては、アリル
イソチオシアネートが昇華性物質中に安定状態で含有保
持され、またアリルイソチオシアネートの揮散性能はそ
の昇華性物質の昇華性能によって抑制される。この際、
アリルイソチオシアネートの刺激臭に対し昇華性物質の
昇華気体がマスキング作用を発揮し、また昇華性物質に
よっては殺虫効力について相乗的な向上が図れる。また
特に、トリシクロデカンが担体として用いられる場合に
は、アリルイソチオシアネートの揮散性について、その
徐放的効果が大きくかつ安定的である点で優れると同時
に、かつその刺激臭に対するマスキング効果も有効に得
られる。
【0021】上記した昇華性物質を担体とする殺虫剤組
成物において、アリルイソチオシアネートの混合量は、
昇華性物質の種類にもよって一概には定まらないが、例
えば、昇華性物質がトリシクロデカンである場合には、
この混合物全体の0.1〜7.0重量%混合量であるこ
とが好ましい。このアリルイソチオシアネートの量が
0.1重量%未満であると、殺虫効力が有効でなくな
り、また7.0重量%を超える量であると、その刺激臭
が過大となってしまうからである。従って、その殺虫効
力を安定的に弊害なく発揮させ得るアリルイソチオシア
ネートの混合量のより好ましい範囲は、2.0〜5.0
重量%である。
【0022】
【実施例】
(試験例1)ろ紙(20mm×55mm、東洋ろ紙No.1)
にアリルイソチオシアネートを125mg滴下含浸させて
図1に示す態様の殺虫材シート1を構成した。なお、図
中、2は基材シートとしてのろ紙、3はその含浸殺虫剤
を示す。
【0023】また、ウールモスリン(30mm×30mm
大)にコイガ(羽化後20日令)10匹を1単位として
放ち、これを金網でコイガが逃げないようにして包みク
リップで止め付けて供試材とした。
【0024】次に、図2に示す衣類等収納用のプラスチ
ック製容器(50l容量)本体5の内底部中央に上記し
た殺虫材シート1を配置し、この殺虫材シート1の周り
に上記の供試材4…の5つを均等間隔で配置して、この
容器5の開口部を蓋6により閉じて、さらにこの蓋6を
容器本体5上にストッパー7によって略緊密に止め付け
て試験装置8とした。
【0025】この試験装置8の7台を、1時間、3時
間、6時間、12時間、24時間、48時間及び72時
間用としてそれぞれ個別に作成し、これらを同時に、2
7℃、60%RHKの条件下に放置して試験を開始し
た。
【0026】これらの試験装置8…について対応する時
間の経過時ごとに順に容器本体5を開蓋し、各供試材4
…におけるコイガの死虫数を計数した。また、上記同様
の試験を再度繰り返して第二回目のコイガの死虫数を計
数し、第1回目の試験における計数値との平均値を求め
て次表1にそれぞれ死虫数として示した。
【表1】
【0027】また、表1には、上記した死虫数の平均値
から計算した死虫率、並びに前記した開蓋時における臭
覚によって感知されるアリルイソチオシアネートに基づ
く刺激臭の有無を併記した。
【0028】表1に示した結果によれば、殺虫材シート
1からのアリルイソチオシアネートの揮発気体は、衣類
害虫に対して有効な殺虫効力が認められること、またそ
の殺虫効力は比較的に短い期間内で発揮され、しかも、
その殺虫能力は存在する全ての衣類害虫に対して有効で
あり、死虫率が100%の能力を有することが確認され
る。また、その殺虫効力は、刺激臭が人の臭覚によって
感知されない24時間経過以後の時点においても有効に
発揮されていることも判る。
【0029】(試験例2)ジプロピレングリコール液中
にアリルイソチオシアネートを1重量%、2重量%及び
4重量%の割合でそれぞれ常温下で混合した混合剤をそ
れぞれ調製し、これらをろ紙(20mm×55mm、東洋ろ
紙No.1)の基材シート2中に40mg滴下含浸させて図
1に示した態様の防虫材シート1としてそれぞれ構成し
た。
【0030】次に、これらの殺虫材シートの2個をそれ
ぞれ個別に前記同様の衣類等用のプラスチック製容器本
体5内に配置して閉蓋状態で24時間放置した。その後
開蓋時に、アリルイソチオシアネートに特有の刺激臭の
発生の有無について確認した結果、アリルイソチオシア
ネートを4重量%含有する混合剤によるものについては
刺激臭の発生が認められたが、1重量%及び2重量%含
有する殺虫材では刺激臭の発生がほとんど認められなか
った。
【0031】(試験例3)ジプロピレングリコール液中
にアリルイソチオシアネートを2重量%常温下で混合し
て混合剤を得た。この混合剤をろ紙(20mm×55mm、
東洋ろ紙No.1)の基材シート中に4g、5g及び6.
25gの割合でそれぞれ滴下含浸させて図1に示した態
様の殺虫材シート1としてそれぞれ得た。
【0032】次に、これらの殺虫材シート1を個別に前
記同様の衣類等用のプラスチック容器本体5の内底部中
央に配置し、さらに、ウールモスリン(30mm×3mm
大)にコイガ(孵化後20日令)10匹を1単位として
放ち、これを金網でコイガが逃げないようにして包んで
クリップで止め付けた供試材の5つを均等間隔で前記殺
虫材シート1の周りに配置して蓋を閉じ、7日後の効力
指数及び死虫率を求めて次表2に示した。
【表2】 なお、効力指数は、ろ紙のみによる場合を対照として、
次式により計算して求めた。
【数1】
【0033】表2に示した結果から、試料No.1〜3の
殺虫材によれば、いずれもコイガに対して有効な殺虫効
力が発揮されることが確認され、7日の試験期間におい
ては、とりわけ、試料No.3の混合剤として6.25g
以上の使用量であれば、十分な殺虫効力が得られること
が判る。また、刺激臭については試料No.1〜3の防虫
材自体及び前記したプラスチック容器の開蓋に際して
も、ほとんど感じられなかった。
【0034】(試験例4)シクロデキストリンの結晶粉
末72gを水200mlに混入して水性スラリーとし、こ
れにアリルイソチオシアネートを注加し加温下に混合し
て後、これを凍結乾燥、粉砕することによって、8〜1
0重量%のアリルイソチオシアネートを含有保持する粉
状殺虫剤を得た。
【0035】この粉状殺虫剤を1g、2g及び4gをシ
ャーレ(直径7cm)内に充填して、それぞれを殺虫材と
した。この殺虫材を試験例3の場合と同様に前記した供
試材の5つと共に前記した衣類等用のプラスチック容器
本体5内に配置して蓋6を閉じ、7日後の効力指数及び
死虫率を求めて次表3に示した。
【表3】 なお、効力指数は、シクロデキストリンの結晶粉末のみ
による場合を対照として、前式により計算して求めた。
【0036】表3に示した結果から、試料No.4〜6の
殺虫材によれば、いずれもコイガに対して有効な殺虫効
力が発揮されることが確認され、7日の試験期間におい
ては、とりわけ、試料No.6の粉状剤として4g以上の
使用量であれば、十分な殺虫効力が得られることが判
る。
【0037】また、刺激臭については、試料No.4〜6
の殺虫材自体及び前記したプラスチック容器の開蓋に際
しても、ほとんど感じられなかった。また、このこと
は、シクロデキストリンに対するアリルイソチオシアネ
ートの含有保持構成によれば、その刺激臭の発生阻止効
果があることを示すものである。
【0038】(実施例1)図3に示す殺虫材10は、表
裏面上に多数の開孔部12…を形成した外形が扁平矩形
状のプラスチック製の収納ケース11内に前記試験例1
の殺虫材シート1を収納したものである。
【0039】前記した衣類等用の収納容器本体5内に使
用済みのウール製衣服及びシルク製衣服を適宜に折り畳
んで順に重ねて収納し、この本体5内にコイガ(孵化後
20日令)50匹を放っと共に最上部の衣服面上中央位
置に上記した殺虫材10を配置して、本体5の開口部を
蓋6で略密閉した。
【0040】このような収納状態で室温(20℃)下に
1ケ月間放置した。この結果、各衣服には衣類害虫によ
る食害は全く認められず、またアリルイソチオシアネー
トに基づく刺激臭もほとんど感知されなかった。
【0041】(実施例2)図4に示す殺虫材15は、表
裏両面上に多数の開孔部18…を形成した外形が扁平矩
形状のプラスチック製の収納ケース17内に対応する位
置の開孔部18…に対面する状態で2枚の不織布シート
19、19を挿設し、さらにこれらの間に前記試験例4
で得た粉状剤16を4g給入したものである。
【0042】また、前記した衣類等の収納容器本体5内
に使用済みのウール製衣服及びシルク製衣服を適宜に折
り畳んで順に重ねて収納し、この本体5内にコイガ(孵
化後20日令)50匹を放つと共に最上部の衣服面上中
央位置に上記した殺虫材15を配置して、収納容器本体
5の開口部を蓋6で略密閉した。
【0043】このような収納状態で室温(20℃)下に
1ケ月間放置した。この結果、各衣服には衣類害虫によ
る食害は全く認められず、またアリルイソチオシアネー
トに基づく刺激臭はほとんど感知されなかった。
【0044】(試験例5)トリシクロデカンを75〜8
0℃の温度条件下に溶融し、これにアリルイソチオシア
ネートを1重量%、2重量%及び4重量%の割合でそれ
ぞれ別個に滴下混合し、これを円筒形状のスチロール製
容器(52mmφ)内に2gずっ充填し、これを放冷固化
させてそれぞれ試料とした。次いで、これらのうちの2
個ずつをそれぞれ前記した試験例1と同様に試験し、使
用5日後の死虫率と効力指数を求め、さらにその際の揮
散量を計量して、それぞれ6回繰り返えした場合の平均
値を次表4に試料No.7〜9として示した。
【表4】 なお、表4中、試料No.10は、トリシクロデカンのみ
2gを上記同様のスチロール製容器内に充填固化させた
殺虫材を2個使用した場合、また試料No.11は、同ス
チロール製容器のみを使用した場合のブランク、また試
料No.12は、アリルイソチオシアネート80mgを試験
例1の場合と同様のろ紙材に含浸させたものを配置使用
した場合の3日後の結果であり、参考として示した。
【0045】表4に示した結果から、本発明に係る組成
の殺虫剤によれば、試料No.10及びNo.11の比較例と
の対比において、特にアリルイソチオシアネートが4重
量%以上混合される場合には優れた殺虫効力が発揮され
ることが判り、またさらに、試料No.12の結果との対
比において、その揮散性が抑制され徐放的に機能するこ
とが判る。
【0046】(試験例6)また、試験例5に示した方法
によるトリシクロデカンにアリルイソチオシアネートを
4重量%配合して得られる殺虫剤について、この殺虫剤
の2gを前記同様のスチロール製容器に充填してなるも
の2個を試料として試験例1と同様の試験による死虫率
の経時変化、及び5日後の効力指数について12回繰り
返えした場合の平均値を、次表5に試料No.13として
示した。
【表5】 なお、試料No.14はしてトリシクロデカンのみ2gを
上記同様のスチロール製 容器に充填固化させたものを
2個使用した場合、また試料No.15はスチロール 製容
器のみを使用した場合のブランクである。
【0047】表5に示した結果から、本発明に係る試料
No.13の組成の殺虫材によれば、使用開始後5日間に
亘って徐放的に、しかも試料No.14及びNo.15との対
比において殺虫効力が有効に発揮されていることが判
る。
【0048】(試験例7)次に、試験例5に示した方法
によるトリシクロデカンにアリルイソチオシアネートを
4重量%配合して得られる固形殺虫剤の2gを図5及び
図6に示す形態の殺虫材20として構成した。この殺虫
材20は、PET製の扁平形収容器22内に固形殺虫剤
21を充填固化し、この収容器22の開口部をPET材
からなる不織布(目付20g/m2)の通気性シート材
23によって閉じ、さらにこのシート材23面を気密性
剥離シート24によってシールしてなる。この殺虫材2
0については、使用時に剥離シート24を剥すと、以後
充填した固形殺虫剤21の組成各成分がシート材23の
通気性に応じて気化して周囲に発散される。
【0049】このように構成され使用する殺虫材20に
ついて、その収容器22の開口面を26×35mmとした
小容器と、その開口面を30×42mmとした中容器とを
用意し、これらについて前記した仕様により、それぞれ
殺虫材として構成した。これらの殺虫材につき、剥離シ
ート24を取り除くことによって使用を開始し、前記試
験例1と同様の方法により試験を行ない、死虫率につい
て3〜5日間の経時的変化を確認し、また5日後におけ
る固形殺虫剤21の揮散量及び効力指数並びに孵化率を
求め、それぞれ6回繰り返えした場合の平均値を次表6
に試料No.16及びNo.17として示した。
【表6】 なお、固形殺虫剤を充填しない開口面が30×42mmの
収容器22とシート材23のみからなるものを上記同様
に試験に供した場合をブランクとして試料No.18に示
した。
【0050】表6に示した試料No.16及びNo.17の結
果から、試料No.18の場合との対比において、いずれ
も有効かつ十分な殺虫効力が得られることが判る。な
お、この試料No.16とNo.17との対比において、開口
面積の違いにより揮散量につき差異が認められ、これに
伴って死虫率及び孵化率につき優位の差が生じることが
判る。つまり、この結果から、必要に応じて殺虫剤の揮
散面の大きさを加減することによって殺虫効力と効力期
間の調整が可能となることも判る。
【0051】また、上記した作用は、図7に示した殺虫
材25の構成によっても同様に得られる。この殺虫材2
5は、固形殺虫剤21を収容器22内に充填固化させた
ものに対して、収容器22の開口面に合致した大きさの
不織布の通気性シート材26をその開口面内にその縁部
27に接する状態で挿設し、この収容器22の開口部に
対し気密性剥離シート24を収容器22上に固定するこ
とによって閉止してなる。
【0052】この殺虫材25においては、シート材26
が固形殺虫剤21面上に接する状態で載設される構成で
あることから、このシート材26の収容器22上への固
定作業が不要で製造が容易となり、また全体としてより
薄くコンパクトな形態で得られる利点がある。
【0053】
【発明の効果】上述したように本発明は構成されること
から、次のような効果が発揮される。本発明は、アリル
イソチオシアネートを殺虫剤組成物の有効成分としたこ
とから、衣類害虫に対して即効的に有効な殺虫効力を及
ぼし得る。従って、前記したような略密閉状態の収納ケ
ースに応用される場合には、その収納ケースの閉止状態
が継続的に6ケ月間以上の長期に亘るような場合にもそ
の収納した衣類について衣類害虫による食害を十分に防
止することができる。
【0054】また、アリルイソチオシアネートは、それ
自体人体には無害であり、またその揮散に伴なって刺激
臭の発生が認められるが、この刺激臭は使用後に徐々に
消滅する傾向となって、その刺激臭による弊害も比較的
に少ない。
【0055】また、上記した刺激臭に対しては、アリル
イソチオシアネートをジプロピレングリコールとの混合
剤とした組成、またさらにシクロデキストリン等への含
有保持構成、あるいは昇華性物質中への含有保持構成に
よって解消できる。
【0056】また、上記した昇華性物質中への含有保持
構成による場合、アリルイソチオシアネートの揮散性能
を抑制するように調整できる。これによって使用態様に
応じて比較的に長い期間に亘ってその殺虫効力を持続さ
せることもできる。
【0057】また、アリルイソチオシアネートの液体性
状あるいはその粉末化によって多様な形態の殺虫材とし
て構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る殺虫材の斜視図
【図2】 同の試験状態を示す部分縦断面斜視図
【図3】 同の斜視図
【図4】 同の部分縦断面斜視図
【図5】 同の斜視図
【図6】 同の縦断面正面図
【図7】 同の縦断面正面図
【符号の説明】
1,10,15,20,25 殺虫材 2 基材シート 3 含浸殺虫剤 16 粉状殺虫剤 21 固形状殺虫剤 22 扁平形収容器 23 通気性シート材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アリルイソチオシアネートを有効成分とし
    て含有することを特徴とする殺虫剤組成物。
  2. 【請求項2】アリルイソチオシアネートが、ジプロピレ
    ングリコール中に混合されてなることを特徴とする殺虫
    剤組成物。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の殺虫剤成分が、固体状の
    担体中に含有保持されてなることを特徴とする殺虫剤組
    成物。
  4. 【請求項4】固体状の担体が、シクロデキストリンであ
    ることを特徴とする請求項3の殺虫材組成物。
  5. 【請求項5】固体状の担体が、昇華性物質であることを
    特徴とする請求項4の殺虫剤組成物。
  6. 【請求項6】昇華性物質が、トリシクロデカンであるこ
    とを特徴とする請求項5の殺虫剤組成物。
  7. 【請求項7】請求項1又は2の殺虫剤組成物が液剤浸透
    性の基材シート中に含有保持されてなることを特徴とす
    る殺虫材。
  8. 【請求項8】請求項3、4、5又は6の殺虫剤組成物
    が、全体として扁平形状であってその一扁平面が通気性
    シート材によってなる収容器内に収容されてなることを
    特徴とする殺虫材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006335724A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 S T Chem Co Ltd 防虫剤及び防虫方法
JP2011074014A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Rengo Co Ltd アリルイソチオシアネート揮散製剤

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