JPH10287450A - 機能性ガラス製造用重合性組成物及び機能性ガラスの製造方法 - Google Patents

機能性ガラス製造用重合性組成物及び機能性ガラスの製造方法

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JPH10287450A
JPH10287450A JP9612297A JP9612297A JPH10287450A JP H10287450 A JPH10287450 A JP H10287450A JP 9612297 A JP9612297 A JP 9612297A JP 9612297 A JP9612297 A JP 9612297A JP H10287450 A JPH10287450 A JP H10287450A
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functional glass
glass
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JP9612297A
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English (en)
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Shuichi Sugita
修一 杉田
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然硬化(常温硬化)、熱硬化あるいは紫外
光硬化等で行われていた、複層機能性ガラスの製造方法
には、作業時間が長いこと、紫外線硬化時の光の透過
性、紫外光によるオゾン発生、皮膚ガン等の危険性、あ
るいは光、熱などによる組成物中の成分の分解等の欠点
を有していた。 【解決手段】 可視光あるいは近赤外光吸収性色素と有
機ホウ素塩を組み合わせた光重合系を複層機能性ガラス
の製造に応用することにより、表記問題が解決すること
を見い出た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数枚のガラスを
張り合わせ種々の特殊機能を有する、複層機能性ガラス
の製造に用いる重合性組成物、及び該機能性複層ガラス
の製造方法に関する。
【0002】更に詳しくは、複数枚のガラスの間に含水
ゲル、液晶材料、光源、あるいは温度、光などの刺激応
答性材料などを充填し、防火、安全性向上、防犯、着
色、遮音、遮光(紫外線、熱線カット等)、表示、刺激
の検知、光照射など各種の機能を有する機能性ガラス等
として利用し得る、合わせガラスの光硬化による接着用
重合性組成物、及びそれを用いた合わせガラスの製造方
法に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、複数枚のガラスの間に様々な材料
を挟み込んで機能性を発現させる複層機能性ガラスの開
発が行われてきた。中でも最も一般的なものとしては自
動車用などの合わせガラスが挙げられ、ポリビニルブチ
ラール樹脂等のフィルムをガラスの間に挟み込み、遮音
あるいはガラスが割れた際に破片が飛び散らないという
安全性確保などの機能を与えている。
【0004】また、熱硬化性化合物及び熱重合開始剤で
ある有機過酸化物を複数枚のガラスの間に挟み込み、加
熱あるいは室温で硬化させる方法(例えば特開平2−9
7439号、特開平4−270149号)あるいはエチ
レン−酢酸ビニル系共重合体及び熱硬化性化合物と有機
過酸化物とを組み合わせてガラス中間層を形成させる方
法(例えば特開昭57−196747号、特開平9−3
0843号)、また10時間半減温度が異なる2種類以
上の熱重合開始剤を用いて2段階の温度上昇によって合
わせガラス中間層を形成させる方法(特開平9−590
44号)等も提案されている。さらに、ガラスの間に着
色樹脂を流し込んで色を付けたり、細いセンサーを挟ん
で、切れると警報が鳴るという防犯機能を与える例もあ
る。
【0005】しかし、これらの機能性ガラスは一般にガ
ラスの間に注入した液状樹脂の硬化に3〜7時間という
長時間を要したり、あるいは加熱が必要という欠点があ
った(「建築保全」1994年3月号「ガラスのチャレ
ンジ」参照)。更に熱重合開始剤を熱硬化性化合物と共
存させる必要から、混合物の安定性の確保が困難であ
り、作業性の問題、残存した混合組成物を保存して再使
用する事などが困難であるという問題点があった。
【0006】また、熱重合開始剤を用いる上記の方法の
課題を解決する方法として、光を遮断すれば安定である
紫外光重合開始剤と重合性化合物を用いて、光照射によ
りガラス中間層を形成させる方法、水溶性の重合性化合
物、水及び紫外光開始剤をガラスの間に注入し、紫外光
照射により重合性化合物を硬化させてガラスの間に含水
ゲルを充填した形状にした防火ガラスも知られている
(例えば特開平6−279072号、287031
号)。
【0007】しかし、光硬化に必要な紫外光がガラスに
よって減衰することから、紫外線カット機能を有する合
わせガラスや濃色のガラスなど、ガラスの材質、厚みな
どに限界がある上、紫外光によるオゾン発生、皮膚ガン
の危険性などが問題とされていた。
【0008】更に最近では、液晶材料の技術進歩から、
電極付きガラスやフィルムの間に紫外線硬化型樹脂及び
液晶化合物を充填し、紫外光硬化により液晶をガラス間
の高分子中に分散した、瞬間調光ガラスも市販されてい
る(「新素材」1994年8月号 71ページ参照)。
【0009】しかし、液晶の中にはアゾ系液晶、アゾキ
シ系液晶などの、紫外光によって分解する液晶も多く、
それらの液晶は上記の瞬間調光ガラスに使用することは
困難であった。
【0010】また、複数枚のガラスの間に、可塑剤ある
いは紫外線吸収剤等を含有する樹脂フィルムを貼付した
合わせガラスも各種用途に広く使用されているが、従来
の紫外線硬化による方法では上にも述べたようにガラス
による光の減衰あるいは樹脂中に添加された紫外線吸収
剤などへの紫外光の吸収などにより光硬化反応が充分に
進行しないという問題点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来自然硬
化(常温硬化)、熱硬化あるいは紫外光硬化等で行われ
ていた、複層機能性ガラスの製造方法の問題点であっ
た、製造時の作業時間が長いこと、紫外線硬化時の光の
透過性、紫外光によるオゾン発生、皮膚ガン等の危険
性、あるいは光、熱などによる組成物中の成分の分解等
の課題を解決し、簡便かつ安全な製造方法で製造し得る
複層機能性ガラスの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題点
を解決すべく検討を重ねた結果、可視光あるいは近赤外
光吸収性色素と有機ホウ素塩を組み合わせた光重合系を
複層機能性ガラスの製造に応用することにより、表記問
題が解決することを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0013】すなわち本発明は、重合開始剤として可視
光及び/または近赤外光に感光性を有する光重合開始
剤、好ましくは一般式(1)で表される陽イオン色素
【0014】一般式(1); D+ ・A- (式中、D+ は可視光から近赤外光までの任意の波長領
域に吸収をもつ陽イオンであり、A- は、各種陰イオン
を示す)及び一般式(2)で表わされるホウ素系触媒 一般式(2);
【化4】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立して
アルキル基、アリール基、アリル基,アラルキル基、ア
ルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、ハロ
ゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリ
ル基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アル
キニル基または置換シリル基を示し、Z+ は陽イオンを
示す)
【0015】の組み合わせ、あるいは下記一般式(3)
ないし(4)で表される、アシルホスフィンオキサイド
系化合物を用い、
【0016】一般式(3);
【化5】 (式中、R57 はそれぞれ独立してアルキル基、アリ
ール基、アリル基,アラルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、複素環基、置換アルキル基、置換アリール
基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換アルケニル
基、置換アルキニル基または置換複素環基を示す)
【0017】一般式(4);
【化6】 (式中、R810はそれぞれ独立してアルキル基、アリ
ール基、アリル基,アラルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、複素環基、置換アルキル基、置換アリール
基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換アルケニル
基、置換アルキニル基または置換複素環基を示す)
【0018】重合性不飽和結合を有する化合物及び様々
な機能を付与する材料とを組み合わせた重合性組成物を
得、これを複数枚のガラスの間に注入し、光硬化するこ
とによって従来よりも簡便かつ安全、経済的に様々な機
能性ガラスが製造可能な複層機能性ガラス製造用重合性
組成物及び該組成物による機能性ガラスの製造方法であ
る。
【0019】各種の複層機能性ガラスを、可視光あるい
は近赤外光等の、紫外光よりも長波長の光を用いて製造
する例はこれまで全く知られていなかった。しかし、本
発明者らはこれまで、紫外光よりも長波長の可視光ある
いは近赤外光を吸収する色素を用いた重合系の検討を行
ってきており(例えば特開平5−194619号)、紫
外光よりも安全でかつ経済的なランプを用いて、紫外光
では硬化が困難であった顔料添加系、厚膜系等の光硬化
が達成されている。
【0020】本発明者らは更に、透過性に優れる上に、
安全性の高い可視光あるいは近赤外光重合開始剤を複層
機能性ガラスの製造に応用することを鋭意検討した結
果、本発明を完成するに至った。
【0021】本発明の複層機能性ガラスに用いられるガ
ラスの形状は任意であり、一般に用いられている建築用
板ガラス、結晶化ガラス、石英ガラス、あるいは強化金
網入りガラス等が用いられる。
【0022】本発明の光重合開始剤は、従来知られてい
る紫外光重合開始剤よりも光透過性が優れるので、紫外
光重合開始剤では困難であった光透過性の低い曇りガラ
スや厚みのあるガラスを用いても光重合により複層機能
性ガラスが製造可能である点が大きな特徴である。
【0023】また本発明の複層機能性ガラス製造用重合
性組成物は、その形状、機能は任意であるが、着色、遮
光、断熱をはじめとする機能付与のため、任意の顔料、
染料、充填剤、各種添加物等を添加することが出来る。
【0024】顔料の例としては、カーボンブラック、チ
タンブラック等の黒色顔料、酸化チタン、クレー等の白
色顔料、アルミ金属、アルミパウダー、アルミペース
ト、チタン金属あるいはその化合物、銅ブロンズ、マイ
カ、金属酸化物マイカ、ステンレス、ニッケルあるいは
その化合物、酸化鉄等のメタリック顔料、フタロシアニ
ン化合物など、市販の各種顔料の他、各種文献など(例
えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年
刊、「最新顔料便覧」日本顔料技術協会編集、昭和51
年刊)に記載されている公知の様々な色の染顔料等を添
加することが出来る。
【0025】また、充填剤としては、粉末、球状、繊維
状、ウイスカー状、鱗片状等の各種形状の有機物、無機
物、或いはそれらの複合物、混合物が挙げられ、具体的
にはグラスファイバー、カーボンファイバー等の繊維状
充填剤、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、ガラス粉、シリカ等が挙げられる。
【0026】先に述べたように、本発明の重合性組成物
で用いる重合開始剤は、長波長領域に吸収を有する陽イ
オン色素なので、先に述べた使用するガラスの材質同
様、光透過性の低い材料すなわちカーボンブラックなど
の黒色顔料、アルミニウム、チタン等のメタリック顔料
等を含有していても光重合を生起させることが可能であ
り、それらの各種顔料などを添加可能であることが本発
明の大きな特徴である。
【0027】更に、着色用染料の中には紫外光に対して
安定性の低い化合物が多く、紫外光硬化による着色ガラ
スの製造には応用困難であったが、本発明の重合性組成
物による製造方法では、染料の変質を起こすことなく行
うことが出来る。
【0028】また上記したように、含水ゲルを充填した
防火ガラス、紫外線あるいは赤外線吸収性物質を添加し
た光線(熱線)カットガラス、各種着色物質を加えて模
様にしたり、あるいは紙、布(繊維)、墨など、様々な
材料を挿入してこれまでにない装飾ガラスを得ることも
出来る。
【0029】また、電極付きガラスの間に本発明の光重
合開始剤、重合性不飽和化合物、液晶、必要に応じて二
色性色素を添加し光硬化させることにより、電圧印加の
有無によって光透過性の変化する調光ガラスを製造する
ことも出来る。
【0030】本発明を構成する一般式(1)の陽イオン
色素と一般式(2)のホウ素系触媒を併用することで可
視光あるいは近赤外光によって陽イオン色素の分解が起
こり、陽イオン色素の色が消色するとともにラジカルが
発生し、その際重合性不飽和化合物が共存すると重合が
開始される。陽イオン染料の消色反応は不可逆反応であ
り、陽イオン色素の色が重合物の色相を損なうことはな
い。
【0031】本発明の一般式(1)の陽イオン色素は可
視光から近赤外光までの任意の波長領域に吸収を持つ色
素であればよく、具体的には400nmから2000n
mの範囲の任意の波長領域に吸収があればよい。その中
でも特に光の透過性、設備の安全性、開始剤の光安定
性、操作性等を勘案すると近赤外光領域に吸収を持つ陽
イオン色素が特に好ましい。ここでいう近赤外光領域に
吸収を持つ陽イオンとは、740nm以上の波長領域に
吸収を持つ陽イオンであり、好ましくは780nm以上
の波長領域に吸収を持つ化合物である。近赤外光は従来
一般に用いられている紫外光に比べ波長が長く光の透過
性に優れているため、従来の紫外光では困難だった光隠
ぺい性の高い各種顔料等添加系の材料、厚みのある材料
等に対しても良好な光重合を行うことが出来る。
【0032】本発明の陽イオン(D+ )は400nm以
上の波長領域に吸収を有するものであれば特に制限はな
いが、好ましいものとしては例えばメチン、ポリメチ
ン、インドリン、シアニン、キサンテン、オキサジン、
チアジン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、ピ
リリウム系陽イオン色素の陽イオンなどがあげられる。
かかる陽イオン色素のうち近赤外光領域に吸収を持つも
のの代表例としては、例えば表1に示すような陽イオン
があげられる。また可視光領域に吸収を持つ陽イオン色
素の代表例としては、例えば表2に示すような陽イオン
が挙げられる。更に詳細には特開平5−59110号に
記載されている陽イオン色素が挙げられる。
【0033】
【表1】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】カウンターアニオンであるA- は任意の陰
イオンであるが、下記一般式(5)に示す4配位ホウ素
アニオンが特に好ましい。
【0036】一般式(5);
【化7】 (式中、R11〜R14はそれぞれ独立してアルキル基、ア
リール基、アリル基,アラルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、シリル基、複素環基、ハロゲン原子、置換
アルキル基、置換アリール基、置換アリル基、置換アラ
ルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基または
置換シリル基を示す)
【0037】具体例としては、n−ブチルトリフェニル
ホウ素イオン、n−オクチルトリフェニルホウ素イオ
ン、トリフェニルシリルトリフェニルホウ素イオン、ジ
n−ドデシルジフェニルホウ素イオン、テトラフェニル
ホウ素イオン、トリフェニルナフチルホウ素イオン、テ
トラブチルホウ素イオン、トリn−ブチル(ジメチルフ
ェニルシリル)ホウ素イオンなどがあげられ、更に詳細
には本発明者らが先に出願した(特開平6−75374
号)特許明細書に記載された陰イオン等が挙げられる。
【0038】また、本発明におけるホウ素系触媒は一般
式(2)で表わされるが、陰イオンである4配位ホウ素
イオンの具体的な例としては、n−ブチルトリフェニル
ホウ素イオン、n−オクチルトリフェニルホウ素イオ
ン、トリフェニルシリルトリフェニルホウ素イオン、n
−ブチルトリアニシルホウ素イオン、n−ブチルトリ
(p−フルオロフェニル)ホウ素イオン、n−ブチルト
リ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素イオン、
ジn−ドデシルジフェニルホウ素イオン、テトラフェニ
ルホウ素イオン、トリフェニルナフチルホウ素イオン、
テトラブチルホウ素イオン、トリn−ブチル(ジメチル
フェニルシリル)ホウ素イオンなどがあげられる。また
式中に記載の陽イオン(Z+ )は一般式(6)
【0039】一般式(6);
【化8】 (式中、R15〜R18はそれぞれ独立して水素原子、アル
キル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルケ
ニル基、アルキニル基、複素環基、置換アルキル基、置
換アリール基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換
アルケニル基または置換アルキニル基を示す)
【0040】で表わされる4級アンモニウム陽イオンま
たは4級ピリジニウム陽イオン、4級キノリニウム陽イ
オン、ジアゾニウム陽イオン、テトラゾリウム陽イオ
ン、ホスホニウム陽イオン、(オキソ)スルホニウム陽
イオン、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウ
ム、カルシウム等の金属陽イオン、フラビリウム、ピラ
ニウム塩などの有機酸素陽イオン、トロピリウム、シク
ロプロピリウム等の炭素陽イオン、ヨードニウム等のハ
ロゲニウム陽イオン、砒素、コバルト、パラジウム、ク
ロム、チタン、スズ、アンチモンなどの金属化合物の陽
イオン等があげられ、特開平6−75374号特許明細
書中に詳細な記載がある。これら陽イオン色素およびホ
ウ素系触媒は単独または2種以上を混合して用いること
もできる。
【0041】一般式(1)の陽イオン色素、一般式
(2)のホウ素系触媒は任意の比率で使用可能であり、
一般に10:1〜1:50(モル比)の割合で使用され
るが、硬化反応及び色素の消色反応を完全に行わせるた
めには、ホウ素系触媒を陽イオン色素よりも大量に用い
る方が好ましい。すなわち、1:1〜1:50(モル
比)の範囲が特に好ましい。また上記光重合開始剤は一
般に重合性成分の0.01重量%以上用いることにより
本発明の目的を達成することが出来る。それ以下だと重
合が充分に行われないおそれがある。好ましくは0.0
5〜10重量%の範囲である。大量に用いすぎること
は、経済的観点上好ましくない。2種あるいはそれ以上
の陽イオン色素、ホウ素系触媒を併用することも可能で
ある。
【0042】また本発明で用いられる一般式(3)のビ
スアシルホスフィンオキサイド化合物の具体例として
は、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホ
スフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイ
ル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイ
ド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−エトキ
シフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジク
ロルベンゾイル)−4−ビフェニリルホスフィンオキサ
イド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−プロ
ピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジ
クロルベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイ
ド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−1−ナフチ
ルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベン
ゾイル)−4−クロルフェニルホスフィンオキサイド、
ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,4−ジメト
キシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジ
クロルベンゾイル)−デシルホスフィンオキサイド、ビ
ス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−オクチルフェ
ニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベ
ンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキ
サイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニ
ルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチ
ルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィン
オキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−ト
リメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホ
スフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,
4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェ
ニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナ
フトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキ
サイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5
−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−
1−ナフトイル)−4−ビフェニリルホスフィンオキサ
イド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エト
キシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル
−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイ
ド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピ
ルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ
−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフ
ィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイ
ル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビ
ス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−ビフェニリ
ルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロル−1−ナフ
トイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサ
イド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,
4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等を
挙げることができる。また一般式(4)のアシルホスフ
ィンオキサイド化合物の具体例としては、2,4,6−
トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド、p−トルイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、
4−t−ブチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサ
イド、1−メチルシクロヘキサノイル−ジフェニルホス
フィンオキサイド等が挙げられる。
【0043】(ビス)アシルホスフィン化合物を光重合
開始剤として用いた例としては、特開昭61−1302
96号、特開平2−1401等、特開平4−18091
1号等が挙げられる。しかし、いずれも歯科材料用組成
物あるいはレンズ、プリズム等の光硬化に応用している
にすぎず、合わせガラスの製造に応用している例は全く
知られていない。アシルホスフィンオキサイド系開始剤
は、重合性不飽和化合物総量100重量部に対して0.
01〜50.0重量部の比率で添加される。好ましくは
0.1〜20.0重量部である。さらに好ましくは1.
0〜10.0重量部である。これらの開始剤の添加量
が、重合性不飽和化合物総量100重量部に対して0.
01重量部より少ない場合には、硬化が十分に進行せ
ず、接着強度が不足するおそれがある。また、これらの
開始剤の添加量が重合性不飽和化合物総量100重量部
に対して50.0重量部より多い場合は、ラジカル発生
量が極めて多くなりすぎ、接着強度が不足するおそれが
ある。また開始剤は、一種のみでも、また二種以上用い
てもかまわない。
【0044】また、これらの(ビス)アシルホスフィン
オキサイド化合物の合成法は、特開昭61−13029
6、特開昭55−13794号等に開示されている。さ
らに詳細に関しては、特公昭60−8047号、特開昭
61−130296号、特開平6−298818号、特
開平7−62010号等に記載されている。上記開始剤
は、一般式(1)の色素と一般式(2)のホウ素系触媒
の組み合わせに、一般式(3)あるいは(4)のアシル
ホスフィン系開始剤を併用して用いることも勿論可能で
ある。
【0045】更に本発明に用いる重合開始剤として、従
来知られている熱重合開始剤を併用することも出来る。
熱重合開始剤を用いることは硬化性化合物と混合した組
成物の保存安定性を損なう恐れがあるので、用いる場合
は比較的10時間半減温度の高い熱重合開始剤を用いる
方が好ましい。好ましくは10時間半減温度が75℃以
上、更に好ましくは90℃以上の開始剤である。本発明
の光重合開始剤を用いる合わせガラスの製造方法におい
ては、光照射熱及び光重合において発生する重合熱が、
併用する熱重合開始剤の分解に寄与するので、従来知ら
れている熱重合開始剤のみによる硬化に際しては硬化性
組成物全体の品温を上昇される必要があるのに対して、
加熱炉等の加熱装置を必ずしも必要としない点にも本発
明の特徴がある。本発明の熱重合開始剤の例としては熱
分解によって重合開始ラジカルを発生するジアゾ化合
物、有機過酸化物などが挙げられるが、好ましくは分解
の際に窒素、二酸化炭素などの気体を発生しない有機過
酸化物である。特に好ましくはパーオキシエステル、ケ
トンパーオキサイド、パーオキオシケタール、有機ハイ
ドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイドなどの
有機過酸化物である。
【0046】具体例としては、ジクミルパーオキサイド
(10時間半減温度117℃)、t−ブチルクミルパー
オキサイド(10時間半減温度121℃)、t−ブチル
パーオキシイソブチレート(10時間半減温度78
℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(10時間半減
温度95℃)、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシク
ロヘキサン(10時間半減温度97℃)、t−ブチルパ
ーオキシアリルカーボネート(10時間半減温度94
℃)等が挙げられる。
【0047】本発明の複層機能性ガラスの製造方法にお
いて、硬化反応の促進あるいは硬化反応を完全にするた
めに、使用される光重合開始剤の感光波長に分光分布を
有する光照射と同時にもしくは照射後に加熱を行うこと
が出来るが、上記熱重合開始剤を併用する場合には加熱
併用法を採用することが硬化反応の達成には効率的であ
る。
【0048】また本発明の重合性不飽和結合を有する化
合物とは、ラジカル重合性のエチレン性二重結合を持っ
た化合物であり、ラジカル重合性の各種モノマー、オリ
ゴマーあるいは重合性ポリマーのいずれかあるいは混合
物である。これらは各々単独、或いは2種類以上混合し
て用いることが出来る。
【0049】重合性不飽和モノマーとしては特開平4−
362935号、特開平6−75374号明細書に記載
されたもの等を挙げることができるが、例えば(メタ)
アクリル酸、(メタ)アクリル酸と各種アルコールとの
エステル化物、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス
アクリルアミド等の(メタ)アクリル化合物類、ビニル
ベンゼン類、ビニルエーテル類、各種ビニル化合物、フ
タル酸ジアリル類等のアリル基を含有するモノマー等が
挙げられる。さらに該モノマーとして、水酸基含有モノ
マー、含リン重合性不飽和モノマー、ブチルイソシアネ
ート、フェニルイソシアネートなどのイソシアネート化
合物と上記水酸基含有モノマーとの付加物;リン酸と上
記水酸基含有モノマーとの付加物;N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミ
ド、ビニルピリジン類などの含窒素不飽和モノマーなど
も使用できる。さらに該モノマーとして、ジエチレング
リコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
メタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペン
タエリスリトールテトラアクリレートなどの重合性不飽
和基を複数個有する化合物も含まれる。
【0050】また多価アルコールとエチレンオキシドと
の付加物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反
応せしめた生成物;前記の多価アルコールとプロピレン
オキシドとの付加物にアクリル酸および/またはメタク
リル酸を反応せしめた生成物;前記の多価アルコールと
ε−カプロラクトンとの付加物にアクリル酸および/ま
たはメタクリル酸を反応せしめた生成物等のオリゴマー
類も包含され、また重合性不飽和ポリマーの具体例とし
ては、ポリエステル(メタ)アクリル酸を縮合させた樹
脂、エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、エチレ
ン性不飽和基含有エポキシ樹脂、エチレン性不飽和基含
有含リンエポキシ樹脂、エチレン性不飽和基含有アクリ
ル樹脂、エチレン性不飽和基含有シリコン樹脂、エチレ
ン性不飽和基含有メラミン樹脂、特開平4−28722
号公報に開示されている(メタ)アクリル官能性ポリオ
ルガノシルセスキオキサン等が挙げられる。
【0051】本発明の複層機能性ガラスの製造には、光
重合の光源としてキセノンランプ、ハロゲンランプ、太
陽光等が使用される。前に述べたようにこれらの光源は
一般に、従来用いられてきた紫外光重合における水銀ラ
ンプ、メタルハライドランプ等と較べて安価でかつオゾ
ン発生、皮膚ガンの危険性などがなく、安全対策が容易
であるという特徴をも有している。本発明の複層機能性
ガラスの製造に際し、硬化反応を効率よく進行させる目
的で各種添加剤を配合することが出来る。例えば重合促
進剤として連鎖移動剤、電子受容性物質等が添加可能で
あり、具体的にはメルカプトベンゾチアゾール等のチオ
ール化合物,チオケトン類、各種過酸化物、ビスイミダ
ゾール化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩、ス
ルホニウム塩等の芳香族オニウム塩、N−フェニルグリ
シン等が挙げられる。更に、本発明の光硬化性組成物に
は、可塑剤、消泡剤、増粘剤等の任意の添加物を添加す
ることが出来る。
【0052】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
【0053】(実施例1)ペンタエリスリトールトリア
クリレート100gに、近赤外光吸収性陽イオン色素
(表1、番号3、陰イオンはn−ブチルトリフェニルホ
ウ素アニオン)0.1g、ホウ素系触媒(テトラブチル
アンモニウム・n−ブチルトリフェニルホウ素)0.5
gを溶解して得られた光硬化性組成物1を、厚み6m
m、サイズ30cm×30cmの板ガラスに、アプリケ
ーターにて100μmの厚さに塗布し、その上に同じサ
イズのガラス板を積層した。400〜1200nmの波
長領域に分光分布を有する出力1500Wのハロゲンラ
ンプを10分間照射することにより、近赤外光吸収色素
の青色が消色すると共にガラス間の硬化性組成物が光硬
化し、無色透明な樹脂中間層を有する合わせガラスが得
られた。
【0054】(実施例2)陽イオン色素を表2、番号8
の化合物に変える以外は実施例1と同様に合わせガラス
の製造を行った。実施例1と同様、ガラス間の硬化性組
成物が光硬化し、無色透明な樹脂中間層を有する合わせ
ガラスが得られた。
【0055】(実施例3)光重合開始剤としてビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,6−トリ
メチルペンチルホスフィンオキサイド3gを用いる以外
は実施例1と同様に合わせガラスの製造を行った。実施
例1と同様、ガラス間の硬化性組成物が光硬化し、無色
透明な樹脂中間層を有する合わせガラスが得られた。
【0056】(実施例4)光重合開始剤として2,4,
6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキ
サイド3gを用いる以外は実施例1と同様に合わせガラ
スの製造を行った。実施例1と同様、ガラス間の硬化性
組成物が光硬化し、無色透明な樹脂中間層を有する合わ
せガラスが得られた。
【0057】(実施例5)光重合開始剤として実施例1
の化合物に加えてビス(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,6−トリメチルペンチルホスフィンオキ
サイド3gを用いる以外は実施例1と同様に合わせガラ
スの製造を行った。8分間の光照射で実施例1と同様、
ガラス間の硬化性組成物が光硬化し、無色透明な樹脂中
間層を有する合わせガラスが得られた。
【0058】(実施例6)実施例1の光重合開始剤に加
えて、熱重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−
エチルヘキサノエートを更に添加する以外は実施例1と
同様に機能性ガラスの製造を行った。8分間の光照射で
実施例1と同様、ガラス間の硬化性組成物が光硬化し、
無色透明な樹脂中間層を有する合わせガラスが得られ
た。
【0059】(実施例7)ペンタエリスリトールトリア
クリレートに変えて、重合性化合物をベンジルメタクリ
レート70g、ネオペンチルグリコールジメタクリレー
ト30gを用いる以外は実施例5と同様に機能性ガラス
の製造を行った。8分間の光照射で実施例1と同様、ガ
ラス間の硬化性組成物が光硬化し、無色透明な樹脂中間
層を有する合わせガラスが得られた。
【0060】(実施例8)着色剤として、赤色染料VA
LIOSOL COLORS 3304T(オリエント
化学社製)1.0gを添加する以外は実施例1と同様に
機能性ガラスの製造を行った。実施例1と同様、ガラス
間の硬化性組成物が光硬化し、添加した染料の赤色に着
色した樹脂中間層を有する合わせガラスが得られた。
【0061】(比較例1)重合開始剤として、陽イオン
色素とホウ素化合物の組み合わせに変えて紫外光開始剤
であるイルガキュアー184(チバガイギー社製)5g
を用いる以外は実施例1と同様に機能性ガラスの製造を
行った。光照射は200〜400nmの波長領域に分光
分布を有する高圧水銀ランプを用いた。5分間の照射に
より、ガラス間の硬化性組成物が光硬化したものの、着
色剤として用いた赤色染料が分解、退色し、不鮮明に着
色した合わせガラスしか得られなかった。
【0062】(実施例9)紫外線吸収剤として、2−
(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾールを2.0g添加す
る以外は、実施例7と同様に紫外線吸収性合わせガラス
の製造を行った。10分間の光照射で、実施例7と同様
ガラス間の硬化性組成物が光硬化し、紫外線吸収性合わ
せガラスが得られた。
【0063】(比較例2)重合開始剤として、紫外光開
始剤であるイルガキュアー1173(チバガイギー社
製)5gを用いる以外は実施例9と同様に機能性ガラス
の製造を行った。光照射は比較例1と同様、200〜4
00nmの波長領域に分光分布を有する高圧水銀ランプ
を用いた。10分間光照射を行ったが、ガラス及び紫外
線吸収剤による紫外光の減衰の影響で、ガラス間の硬化
性組成物が十分に硬化しなかった。
【0064】(実施例10)近赤外光吸収性陽イオン色
素(表1、番号3、陰イオンはn−ブチルトリフェニル
ホウ素アニオン)0.1g、ホウ素系触媒(テトラブチ
ルアンモニウム・n−ブチルトリフェニルホウ素)0.
5gを、酢酸ブチル10gに溶解した。蒸留水100g
に乳化剤(第一工業製薬社製 商品名ハイテノールN−
08)2gを加え、撹拌しながら上記開始剤の酢酸ブチ
ル溶液10gを添加し、光重合開始剤分散液1を調製し
た。
【0065】上記光重合開始剤分散液100gにアクリ
ルアミド50g、メチレンビスアクリルアミド0.5g
を添加し、光硬化性組成物を調製した。厚み6mm、サ
イズ30cm×30cmの2枚の板ガラスの対向面を、
シランカップリング剤であるγ−(メタクリロイルオキ
シプロピル)トリメトキシシランで処理したあと、ガラ
ス間を18mmにセットし、上記光硬化性組成物を注入
後、ブチルゴム接着剤でアルミニウム製スペーサーを固
定した。
【0066】実施例1と同様、ハロゲンランプを10分
間照射することによりガラス間の光硬化性組成物が硬化
して含水ゲルとなった、防火性能を有する合わせガラス
が得られた。
【0067】(実施例11)2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート5g、下記の構造を有するアゾキシ系液晶
(p−メトキシ−p’−n−ブチル−NNO−アゾキシ
ベンゼン)5gの混合物に、近赤外光吸収性陽イオン色
素(表1、番号3、陰イオンはn−ブチルトリフェニル
ホウ素アニオン)5mg、ホウ素系触媒(テトラブチル
アンモニウム・n−ブチルトリフェニルホウ素)25m
gを溶解して得られた光硬化性組成物5を、ITO電極
付きガラス板にアプリケーターにて100μmの厚さに
塗布し、その上にITO電極付きガラス板を積層した。
800〜1200nmの波長領域に分光分布を有する出
力1500Wのハロゲンランプを10分間照射すること
により、近赤外光吸収色素の青色が消色すると共にガラ
ス間の硬化性組成物が光硬化し、電荷をかけることによ
り光透過性の変化する調光機能を有する合わせガラスが
得られた。
【0068】
【化9】
【0069】(比較例3)重合開始剤として、陽イオン
色素とホウ素化合物の組み合わせに変えて紫外光開始剤
であるイルガキュアー184(チバガイギー社製)5g
を用いる以外は実施例11と同様に瞬間調光ガラスの製
造を行った。光照射は200〜400nmの波長領域に
分光分布を有する高圧水銀ランプを用いた。5分間の照
射により、ガラス間の硬化性組成物が光硬化したもの
の、液晶化合物が分解し、電荷をかけても光のコントラ
ストが得られなかった。
【0070】
【発明の効果】本発明により、着色、防火、調光をはじ
めとする各種の機能を有する複層機能性ガラス製造用重
合性組成物及び複層機能性ガラスの簡便な製造方法が提
供された。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光及び/または近赤外光に感光する
    光重合開始剤、及び重合性不飽和化合物を含むことを特
    徴とする、複層機能性ガラス製造用重合性組成物。
  2. 【請求項2】 光重合開始剤が、下記一般式(1)で表
    される陽イオン色素及び一般式(2)で表わされるホウ
    素系触媒の組み合わせであることを特徴とする、請求項
    1記載の複層機能性ガラス製造用重合性組成物。 一般式(1); D+ ・A- (式中、D+ は可視光から近赤外光までの任意の波長領
    域に吸収をもつ陽イオンであり、A- は各種陰イオンを
    示す) 一般式(2); 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立して
    アルキル基、アリール基、アリル基,アラルキル基、ア
    ルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、ハロ
    ゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリ
    ル基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アル
    キニル基または置換シリル基を示し、Z+ は陽イオンを
    示す)
  3. 【請求項3】 光重合開始剤が、下記一般式(3)で表
    されるビスアシルホスフィンオキサイド化合物及び/ま
    たは下記一般式(4)で表されるアシルホスフィンオキ
    サイド化合物である、請求項1記載の複層機能性ガラス
    製造用重合性組成物。 一般式(3); 【化2】 (式中、R57 はそれぞれ独立してアルキル基、アリ
    ール基、アリル基,アラルキル基、アルケニル基、アル
    キニル基、複素環基、置換アルキル基、置換アリール
    基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換アルケニル
    基、置換アルキニル基または置換複素環基を示す) 一般式(4); 【化3】 (式中、R810はそれぞれ独立してアルキル基、アリ
    ール基、アリル基,アラルキル基、アルケニル基、アル
    キニル基、複素環基、置換アルキル基、置換アリール
    基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換アルケニル
    基、置換アルキニル基または置換複素環基を示す)
  4. 【請求項4】 可視光及び/または近赤外光に感光する
    光重合開始剤、熱重合開始剤、及び重合性不飽和化合物
    を含むことを特徴とする、複層機能性ガラス製造用重合
    性組成物。
  5. 【請求項5】 熱重合開始剤が、有機過酸化物である、
    請求項4記載の複層機能性ガラス製造用重合性組成物。
  6. 【請求項6】 複数枚のガラスの間に請求項1〜5記載
    の合わせガラス製造用重合性組成物を挟み込み、外部か
    ら光照射することにより重合性不飽和化合物を重合させ
    ガラスを接着することを特徴とする、複層機能性ガラス
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 複数枚のガラスが電極付きガラスである
    ことを特徴とする、請求項6記載の複層機能性ガラスの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 複層機能性ガラス製造用重合性組成物
    が、水及び水溶性の光硬化性不飽和化合物を含有し、防
    火機能を有する請求項6〜7記載の複層機能性ガラスの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 複層機能性ガラス製造用重合性組成物が
    液晶化合物を含有し、調光機能を有する請求項6〜7記
    載の複層機能性ガラスの製造方法。
  10. 【請求項10】 複層機能性ガラス製造用重合性組成物
    が、紫外線吸収剤を含有し、紫外線吸収機能を有する請
    求項6〜7記載の複層機能性ガラスの製造方法。
  11. 【請求項11】 複層機能性ガラス製造用重合性組成物
    が可塑剤を含有することを特徴とする、請求項6〜7記
    載の複層機能性ガラスの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002128817A (ja) * 2000-10-27 2002-05-09 Hitachi Chem Co Ltd 重合性組成物、光重合性樹脂組成物、これを用いた管ライニング材及び管ライニング工法
WO2016034963A1 (en) 2014-09-04 2016-03-10 Basf Se Polycyclic photoinitiators
WO2018041935A1 (en) 2016-09-02 2018-03-08 Igm Group B.V. Polycyclic glyoxylates as photoinitiators

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