JPH10280934A - オイルフィルターの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】内燃機関の振動を効果的に吸収して巻締固定部
からのオイル漏れを確実に防止し得る、オイルフィルタ
ーの取付構造を提供する。 【解決手段】一端が開口した筒状のケース内にフィルタ
ーエレメントを収納し、開口をオイル入口及びオイル出
口を有するフィルター取付プレートで閉塞したオイルフ
ィルターを内燃機関の取付部に取り付ける取付構造であ
って、ケースの開口端にクロージャープレートの外周端
を巻締め固定し、巻締固定部より内側のクロージャープ
レートと、内燃機関の取付部のクロージャープレートと
の取付面の少なくとも一方に、ケースの軸方向に突出し
クロージャープレートと取付面とが互いに弾性を有して
当接し得る突起を設ける。突起は、例えばクロージャー
プレートに設けられ、該突起に対応して取付部の取付面
にガスケットが設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車のエ
ンジン等の内燃機関に取り付けられて使用されるオイル
フィルターの取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、内燃機関用のオイルフィルター
は、例えば実公平５−３６４８１号公報に開示されてい
る。このオイルフィルターは、図９及び図１０に示すよ
うに、フィルターエレメント５３が収納されたケース５
２の開口５２ａ部に、オイル入口５４とオイル出口５５
を有するフィルター取付プレート５６が設けられ、この
フィルター取付プレート５６の外周部には、クロージャ
ープレート５７が取り付けられている。

【０００３】クロージャープレート５７には、弾性変形
可能なガスケット５８が軸方向外側（図９及び図１０の
下方）に突出する状態で保持されると共に、クロージャ
ープレート５７の外周部５７ａが、ケース５２の開口端
５２ｂに巻締めされて巻締固定部５９が形成されてい
る。この巻締固定部５９は、その下面がクロージャープ
レート５７の内周部下縁５７ｂに対して、ケース５２の
軸方向外側に所定寸法ｔ４突出し、またガスケット５８
の先端である下端は、巻締固定部５９の下面に対して所
定寸法ｔ５下方に突出している。

【０００４】そして、このオイルフィルターは、フィル
ター取付プレート５６のオイル出口５５に設けた雌ねじ
孔５５ａを、内燃機関の取付部６０に設けられたオイル
出口路６１の雄ねじ部６１ａにねじ込むことによって取
り付けられる。この取り付けの際、巻締固定部５９の下
面が取付部６０の取付面６０ａに当接（メタルタッチ）
することにより、巻締固定部５９がストッパとして機能
し、ガスケット５８が所定量圧縮変形する如く構成され
ている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このオ
イルフィルターの取付構造にあっては、内燃機関の取付
部６０への取り付け時のストッパ機能が、巻締固定部５
９の下面に形成され、金属同士が直接接触する構造であ
るため、内燃機関の振動が取付面６０ａを介して巻締固
定部５９に直接的に加わり、巻締固定部５９の折曲部に
応力が集中して亀裂６２が発生し、図１０の矢印ロ方向
へのオイル漏れが生じる虞があるという問題点があっ
た。

【０００６】特に、巻締固定部５９は、巻締め加工され
た時点で折曲部にかなりの応力が集中していることか
ら、この部分にさらに内燃機関の振動が連続的かつ長期
的に亘り加わることにより、応力が一層集中して亀裂６
２が発生し易くオイル漏れが生じ易くなる。

【０００７】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、請求項１ないし３記載の発明の目的は、内燃
機関の振動を効果的に吸収して巻締固定部からのオイル
漏れを確実に防止し得る、オイルフィルターの取付構造
を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成すべ
く、本発明のうち請求項１記載の発明は、一端が開口し
た筒状のケース内にフィルターエレメントを収納し、開
口をオイル入口及びオイル出口を有するフィルター取付
プレートで閉塞したオイルフィルターを内燃機関の取付
部に取り付ける取付構造であって、ケースの開口端にク
ロージャープレートの外周部を巻締め固定し、該巻締固
定部より内側のクロージャープレートと、内燃機関の取
付部のクロージャープレートとの当接面の少なくとも一
方に、ケースの軸方向に突出しクロージャープレートと
当接面とが互いに弾性を有して当接し得る突起を設けた
ことを特徴する。

【０００９】このように形成することにより、オイルフ
ィルターのフィルター取付プレートを内燃機関の取付部
に取り付けると、クロージャープレートと取付部の当接
面の少なくとも一方に設けられた突起により、両部材が
弾性的に当接して停止する。この弾性を有した当接部分
がストッパとして機能し、このストッパ部分によって内
燃機関の振動が吸収され、巻締固定部に振動が直接加わ
ることがなくなり、亀裂発生等によるオイル漏れが防止
される。

【００１０】また、請求項２記載の発明は、突起がクロ
ージャープレートに設けられると共に、該突起と対向す
る内燃機関の取付部の当接面にガスケットが設けられて
いることを特徴とする。このように形成することによ
り、クロージャープレートの突起が当接面のガスケット
に弾性的に当接し、このガスケットによって振動が吸収
される。

【００１１】また、請求項３記載の発明は、突起が内燃
機関の取付部の当接面に配設されたガスケットに設けら
れていることを特徴とする。このように形成することに
より、取付部の当接面に設けられたガスケット自体の突
起に、例えば平坦なクロージャープレートが弾性的に当
接し、この当接部分によって内燃機関の振動が吸収され
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面に基づいて詳細に説明する。図１〜図３は、本発
明に係わるオイルフィルターの取付構造の一実施例を示
し、図１がその略全体構成を示す半断面図、図２が図１
のＡ部拡大図、図３がその分解断面図である。

【００１３】図１〜図３において、オイルフィルター１
は、一端に開口２ａを有する有底略円筒形状のケース２
を有し、このケース２内には、フィルターエレメント３
が収納されている。このフィルターエレメント３は、多
数の通気孔３ｂが穿設された中央筒３ａを有し、この中
央筒３ａの外面は、交互に反対方向に折り曲げて形成さ
れた濾紙３ｃで覆われると共に、その上側の端板３ｄに
は、バルブスプリング４で支持されたリリーフバルブ５
が設けられている。

【００１４】また、中央筒３ａの下側の端板３ｅは中央
部分が下方に筒状に突出し、この突出部分に外側からゴ
ム等の弾性体からなる環状体６が、フィルター取付プレ
ート７の中央部上面に密封状態で嵌着されている。この
環状体６には、ダイヤフラム形状に形成されオイルの逆
流を阻止する逆止弁６ａが一体的に設けられ、この逆止
弁６ａによって、フィルター取付プレート７のオイル入
口８が通常閉塞されている。

【００１５】上記フィルター取付プレート７は、円板状
に形成されてケース２の開口２ａを閉塞する如く配置さ
れ、このフィルター取付プレート７には、上記オイル入
口８とオイル出口９が設けられている。オイル入口８は
例えば円周方向に等間隔で複数個設けられ、オイル出口
９の内面には内燃機関への取付用の雌ねじ部９ａが形成
されている。

【００１６】また、フィルター取付プレート７の外周部
の下面には、クロージャープレート１０が、例えば溶接
及び接着剤により密封状態で固着されている。このクロ
ージャープレート１０は、その外周部１０ａがケース２
の開口端２ｂと巻締め固定されて巻締固定部１１を形成
すると共に、フィルター取付プレート７の下面に固定さ
れる固定部１０ｂには、ケース２の軸方向外側（図２及
び図３下方）に向けて高さｈ１（図３参照）突出した断
面半円弧状で円環状の突起１２が一体的に形成されてい
る。

【００１７】一方、内燃機関の取付部１４には、クロー
ジャープレート１０の固定部１０ｂと対向する位置に平
坦な当接面１４ａが形成されると共に、当接面１４ａよ
り内側の中心部分には上方に突出した状態でオイル出口
路１５が形成されている。このオイル出口路１５の外周
面には雄ねじ部１５ａが形成され、この雄ねじ部１５ａ
がオイルフィルター１のオイル出口９の雌ねじ部９ａに
螺合する。

【００１８】また、取付部１４の当接面１４ａで上記ク
ロージャープレート１０の突起１２と対向する位置に
は、円環状の凹部１６が形成され、この凹部１６内には
ガスケット１７が円環状に配設されている。このガスケ
ット１７は、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム等
の成型により弾性変形可能に形成され、当接面１４ａの
凹部１６内に嵌合されることにより、その抜けが防止さ
れている。なお、ガスケット１７は断面長方形状に形成
されて、その上面が当接面１４ａと略面一になる如く設
定されている。

【００１９】次に、上記オイルフィルター１の内燃機関
１３への取付方法を図３等に基づいて説明する。オイル
フィルター１は、そのフィルター取付プレート７のオイ
ル出口９の雌ねじ部９ａを、内燃機関の取付部１４に設
けられたオイル出口路１５の外周面の雄ねじ部１５ａ
に、所定回数螺合回転させながら矢印イ方向に移動させ
ることによって取り付けられる。

【００２０】そして、フィルター取付プレート７がオイ
ル出口路１５にねじ込まれ、オイルフィルター１のクロ
ージャープレート１０と取付部１４の当接面１４ａとが
所定の位置関係、すなわち当接面１４ａのガスケット１
７がクロージャープレート１０の突起１２に当接して所
定量変形する位置に達すると、この位置（図２の位置）
で停止する。この停止位置におけるガスケット１７の変
形量（歪度）は、オイルフィルター１の取付回転数等を
予め規定することによって均一化される。

【００２１】これにより、オイルフィルター１が内燃機
関の取付部１４に締付固定され、クロージャープレート
１０への当接によるガスケット１７の変形によって、オ
イル入口８部分とケース２の外部とがシールされる。な
お、このシール状態において、内燃機関の取付部１４
は、巻締固定部１１に対して所定の間隔ｔ１（図２参
照）を有しており、取付部１４の当接面１４ａと巻締固
定部１１下面との直接接触（メタルタッチ）が確実に防
止されている。

【００２２】このように、上記実施例のオイルフィルタ
ー１の取付構造にあっては、内燃機関の取付部１４への
取り付け時のストッパ機能を、クロージャープレート１
０の固定部１０ｂに設けた突起１２と、内燃機関の取付
部１４の当接面１４ａに設けたガスケット１７との当接
部分に持たせているため、当接面１４ａが巻締固定部１
１に直接接触（メタルタッチ）することがなくなり、内
燃機関の振動による巻締固定部１１の亀裂発生を防止で
き巻締固定部１１からのオイル漏れを確実に阻止するこ
とができる。

【００２３】また、クロージャープレート１０の平坦な
固定部１０ｂに円環状の突起１２を設けると共に、取付
部１４の平坦な当接面１４ａの凹部１６に断面長方形状
のガスケット１７を嵌合させるだけで良いため、突起１
２の寸法精度を高精度に加工することができ、オイルフ
ィルター１の取付回転数を予め所定値に設定することに
より、ガスケット１７の歪度のバラツキを均一化させる
ことができる。

【００２４】その結果、従来のような巻締固定部１１の
寸法バラツキによるガスケット１７の歪度のバラツキ発
生を抑えることができ、ガスケット１７によるシール性
が向上して、図２の矢印ハ方向へのオイル漏れを確実に
阻止することができる。

【００２５】さらに、寸法公差外れが発生し易い巻締固
定部１１がストッパとして何等機能しないため、オイル
フィルター１の寸法公差外れによる製品不良率を低下さ
せることができると共に、不良品の修正も例えばクロー
ジャープレート１０の固定部１０ｂの位置調整によって
容易に行うことができるため、製品全体を破棄する必要
がなくなり、製品の歩留まりを向上させることが可能に
なる。

【００２６】また、クロージャープレート１０の突起１
２の形状が単純な形状であるため、その加工を容易に行
うことができると共に、巻締固定部１１がストッパ機能
を有さないため、高精度な寸法精度が要求されず巻締め
加工作業を容易に行うことができる等、オイルフィルタ
ー１の組立加工性を向上させることも可能になる。

【００２７】図４及び図５は、本発明に係わるオイルフ
ィルターの取付構造の他の実施例を示し、図４が要部断
面図、図５がその分解断面図である。なお、上記実施例
と同一部位には同一符号を付し、その詳細な説明は省略
する。以下の各実施例においても同様である。この実施
例の取付構造の特徴は、内燃機関の取付部１４の凹部１
６内に、突起２０ａを有するガスケット２０を嵌合した
点にある。

【００２８】すなわち、取付部１４の当接面１４ａに形
成された円環状の凹部１６内に、ガスケット２０の嵌合
部２０ｂを円環状に嵌合し、この嵌合部２０ｂ上に設け
られた断面半円弧状の突起２０ａを、当接面１４ａから
所定高さｈ２突出させる。また、このガスケット２０の
突起２０ａと当接するクロージャープレート１０の固定
部１０ｂは平坦に形成されている。

【００２９】このように構成しても、オイルフィルター
１を所定回数回転させて、そのオイル出口９を取付部１
４のオイル出口路１５に所定位置までねじ込むと、ガス
ケット２０の突起２０ａ上端が、クロージャープレート
１０の固定部１０ｂ下面に弾性変形しつつ当接し、オイ
ル入口８部分とケース２の外部とがシールされ、上記実
施例と同様の作用効果が得られる。

【００３０】なお、上記実施例においては、内燃機関の
取付部１４の当接面１４ａに断面長方形状の凹部１６を
形成し、この凹部１６内に弾性変形可能なガスケット１
７、２０を嵌合させることにより、その抜けを防止した
が、例えば図６に示すように、取付部１４の当接面１４
ａに断面逆テーパ状の凹部２１を形成し、この凹部２１
内に凹部２１の開口部より幅広なガスケット２２を押し
込むようにしても良い。このように構成すれば、ガスケ
ット２２の当接面１４ａからの抜けを一層確実に防止す
ることができる。

【００３１】また、上記実施例においては、ガスケット
２０に、断面半円弧状の突起２０ａを設ける場合につい
て説明したが、例えば図７に示すように、ガスケット２
３に断面三角形状の突起２３ａを設けるようにしても良
い。

【００３２】またさらに、図８に示すように、ガスケッ
ト２４の突起２４ａの両側に、突起２４ａの変形時の逃
げ部となる凹溝２４ｂを設けるようにしたり、断面台形
状の突起を有するガスケットを使用する等、適宜形状の
ガスケットを使用することができる。さらに、クロージ
ャープレート１０に設けられる突起１２の形状も、半円
弧状に限らず、例えば台形状等の適宜の形状を採用する
ことができる。

【００３３】また、上記実施例においては、クロージャ
ープレート１０と当接面１４ａのどちらか一方に突起を
設ける場合について説明したが、例えばクロージャープ
レート１０に台形状の突起を設け、この突起に当接する
突起を有するガスケットを取付部１４の当接面１４ａに
設けるようにしても良く、本発明における突起は、クロ
ージャープレート１０と取付部１４の当接面１４ａ間で
弾性的に当接し得る適宜形状の突起を含むものである。

【００３４】また、上記実施例における、オイルフィル
ター１の構造、ケース２の形状、フィルターエレメント
３の構成、フィルター取付プレート７及びクロージャー
プレート１０の形状、内燃機関の取付部１４の構造等も
一例であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て、種々変更可能であることは言うまでもない。

【００３５】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１ないし３
記載の発明によれば、クロージャープレートと取付部の
当接面の少なくとも一方に、互いに弾性的に当接し得る
突起を設けることにより、内燃機関の振動をこの突起部
分で効果的に吸収することができて、巻締固定部からの
オイル漏れを確実に防止することができる等の効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるオイルフィルターの取付構造を
示す半断面図

【図２】同図１のＡ部拡大図

【図３】同その分解断面図

【図４】本発明に係わるオイルフィルターの取付構造の
他の実施例を示す要部断面図

【図５】同その分解断面図

【図６】同取付構造のさらに他の実施例を示す要部断面
図

【図７】同取付構造のさらに他の実施例を示す要部断面
図

【図８】同取付構造のさらに他の実施例を示す要部断面
図

【図９】従来のオイルフィルターの要部断面図

【図１０】同その取付状態の要部断面図

【符号の説明】

１・・・・・オイルフィルター ２・・・・・ケース ２ａ・・・・開口 ２ｂ・・・・開口端 ３・・・・・フィルターエレメント ３ａ・・・・中央筒 ３ｂ・・・・通気孔 ４・・・・・バルブスプリング ５・・・・・リリーフバルブ ６・・・・・環状体 ６ａ・・・・逆止弁 ７・・・・・フィルター取付プレート ８・・・・・オイル入口 ９・・・・・オイル出口 １０・・・・クロージャープレート １０ａ・・・外周部 １０ｂ・・・固定部 １１・・・・巻締固定部 １２・・・・突起 １４・・・・取付部 １４ａ・・・当接面 １５・・・・オイル出口路 １５ａ・・・雄ねじ部 １７・・・・ガスケット ２０・・・・ガスケット ２０ａ・・・突起 ２２・・・・ガスケット ２３・・・・ガスケット ２３ａ・・・突起 ２４・・・・ガスケット ２４ａ・・・突起 ２４ｂ・・・凹溝

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一端が開口した筒状のケース内にフィルタ
   ーエレメントを収納し、前記開口をオイル入口及びオイ
   ル出口を有するフィルター取付プレートで閉塞したオイ
   ルフィルターを内燃機関の取付部に取り付ける取付構造
   であって、 前記ケースの開口端にクロージャープレートの外周部を
   巻締め固定し、該巻締固定部より内側のクロージャープ
   レートと、前記内燃機関の取付部のクロージャープレー
   トとの当接面の少なくとも一方に、ケースの軸方向に突
   出しクロージャープレートと当接面とが互いに弾性を有
   して当接して得る突起を設けたことを特徴とするオイル
   フィルターの取付構造。
2. 【請求項２】前記突起がクロージャープレートに設けら
   れると共に、該突起と対向する前記内燃機関の取付部の
   当接面にガスケットが設けられていることを特徴とす
   る、請求項１記載のオイルフィルターの取付構造。
3. 【請求項３】前記突起が内燃機関の取付部の当接面に配
   設されたガスケットに設けられていることを特徴とす
   る、請求項１記載のオイルフィルターの取付構造。