JP2001140718A - 合成樹脂製燃料タンクのシール部の構造 - Google Patents

合成樹脂製燃料タンクのシール部の構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分なシール性を確保し、かつ製造コストの
増大を抑えることができる合成樹脂製燃料タンクのシー
ル部の構造を提供する。 【解決手段】 壁に形成した開口からその内部に挿入し
た部品によって開口が閉じられる合成樹脂製燃料タンク
のシール部の構造を、開口に連なる筒状内周面(3)を
設けると共に、部品(7)に筒状内周面と対向する筒状
外周面(8)を設け、且つ筒状内周面と筒状外周面との
間にシール部材(10)を装着してタンク(1)内に部
品を挿入することを特徴とするものとする。これによ
り、円筒面は高精度な加工が比較的容易なので、シール
部材の締め代精度の管理が容易になる。またシール部材
の反力以外の力が作用しないので、耐久性の向上にも有
利である。しかも、シール部材の断面積を最小限にでき
る上に開口端面をシールするものに比してシールする部
分の直径が小さくて済む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂製燃料タ
ンクのシール部の構造に関し、特に、壁に形成した開口
からその内部に挿入した部品によって開口を閉じるよう
に構成された合成樹脂製燃料タンクのシール部の構造に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】防錆並びに軽量化が容易であり、且つ高
い生産性が得られることから、合成樹脂材のブロー成型
による燃料タンクを使用する機運が近時高まりつつあ
る。この燃料タンクは、大気汚染を防止する見地から、
蒸発ガスを漏洩し難くする要望が強く、そのために、各
接合部に介設するシール部材に燃料透過性の低い材質の
ものを選んだり、シール部材の締め代が経年変化し難い
構造としたりするなどの措置を採る必要がある。
【0003】例えば特開平11−141427号公報に
は、燃料タンクの上壁に筒状の突出部を設け、この突出
部の軸線方向端面とポンプユニットに形成したフランジ
との間に、Oリングなどのシール部材を挟み込んだ上
で、開口の周囲に配設した複数のボルトを締め付けた
り、あるいはユニオンナットで締め付けたりしてポンプ
ユニットのフランジを燃料タンクの突出部に結合するよ
うにした構造が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、この従来の
構造は、開口面に直交する方向の締付力に対するシール
部材の反力で密閉性を得るものであり、複数のボルトを
締め付ける構造の場合は、全てのボルトの締め付け力を
均一にする必要があるために組み付けが厄介になりがち
であり、またユニオンナットで締め付ける構造の場合
は、全周の締め付け力を均一化するためにユニオンナッ
トを螺合させるねじ部に高精度が要求されるなど、製造
コストの増大要因を内在させたものである。
【0005】本発明は、このような従来技術の問題点を
解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、
十分なシール性を確保し、かつ製造コストの増大を抑え
ることができる合成樹脂製燃料タンクのシール部の構造
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を果たす
ために、本発明においては、壁に形成した開口からその
内部に挿入した部品によって開口が閉じられる合成樹脂
製燃料タンクのシール部の構造を、開口に連なる筒状内
周面(3)を設けると共に、部品(7)に筒状内周面と
対向する筒状外周面(8)を設け、且つ筒状内周面と筒
状外周面との間にシール部材(10)を装着してタンク
(1)内に部品を挿入することを特徴とするものとし
た。
【0007】これによれば、円筒面は高精度な加工が比
較的容易なので、シール部材の締め代精度の管理が容易
になり、またシール部材の反力以外の力が作用しないの
で、耐久性の向上にも有利である。しかも、シール部材
の断面積を最小限にできる上に開口端面をシールするも
のに比してシールする部分の直径が小さくて済むので、
高価な燃料透過性の低い材料の使用量を低減できる。
【0008】特に、シール部材の装着部(11・12)
の間隔寸法を、タンクの外方へ行くに連れて徐々に狭く
なるものとすれば、タンク内圧が高まると間隔寸法の狭
い側へシール部材が押し込まれるので、密閉度をより一
層高められる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発
明について詳細に説明する。
【0010】図1は、本発明に基づく合成樹脂製燃料タ
ンクにおけるシール部の構造を示している。ブロー成型
などで形成されたタンク本体1の例えば上壁の内面に
は、筒状をなす下向き突出部2が形成されている。この
下向き突出部2の筒状内周面3をもって、タンク本体1
の上壁に円形の開口が形成されている。
【0011】タンク本体1の外面には、開口、即ち筒状
内周面3の直径と等しい内径の筒状部4を有するセッテ
ィングプレート5が溶着されている。このセッティング
プレート5の筒状部4には、円周を等分割する位置に複
数の角孔6が形成されている。
【0012】下向き突出部2の内側に挿入される被取付
部品7は、下向き突出部2の筒状内周面3に対して緩く
嵌合し得る外周面8を有する筒状をなしており、その上
端は閉じられている。そしてその上端側の外周面上に
は、セッティングプレート5の筒状部4に形成された角
孔6に係合する突起9が形成されており、角孔6に突起
9を突入させることでタンク本体1に被取付部品7が固
定されるようにしてある。この被取付部品7を下向き突
出部2に取り付けることにより、筒状内周面3の内側に
画成された開口が閉じられる。
【0013】被取付部品7の筒状外周面8には、シール
部材としてのOリング10の装着部11・12が、軸線
方向について並設されている。これらの装着部のうちの
上側のもの11は、全周に渡って形成された断面形状が
概ね矩形をなす溝からなり、下側のもの12は、全周に
渡って面取りされた傾斜面からなっている。
【0014】上側のOリング装着部11をなす溝は、そ
の底面に傾斜がつけられており、下向き突出部2の筒状
内周面3と溝底との間隔寸法が、下側に比して上側が狭
くなっている(A<B、図2参照)。
【0015】他方、下側のOリング装着部12をなす傾
斜面は、下向き突出部2の下端側に形成された傾斜面と
共働してOリング10の受容部13を形成しているが、
両傾斜面の垂直面に対する角度が互いに異なっており、
受容部13の隙間寸法が、上側の方がより狭くなってい
る(C<D、図3参照)。
【0016】上記の如くして、Oリング装着部11・1
2の径方向寸法は、タンク本体1の外方へ向かうに連れ
て徐々に狭くなっているので、タンク内圧が高まると、
Oリング10は隙間の狭い側へ押されることとなる。そ
のため、内圧が上昇するとOリング10の反力がより一
層増大し、その結果、密閉度がより一層高まることとな
る。また、この場合、例えば下側のOリングに耐低温性
の高いものを用いるなど、上下のOリング10の特性を
互いに異ならせると良い。
【0017】図4は本発明の第2の実施例を示す。これ
の場合は、筒状内周面3の内径寸法、つまり開口の直径
と等しい内径の内向きの鍔14を備えたセッティングプ
レート15をタンク本体1の外面に溶着し、上記第1実
施例と同様な被取付部品16をOリング10を装着した
状態で下向き突出部17の内側に挿入する。その後、セ
ッティングプレート15に対してバヨネット式にリテー
ナ18をはめ込み且つ結合させる。これにより、被取付
部品16は、リテーナ18によって脱落が防止される。
Oリング装着部19は、上記の上側のOリング装着部1
1と全く同様である。
【0018】図5は本発明の第3の実施例を示す。これ
の場合は、別部材で形成された上向き突出部20をタン
ク本体1の外面に溶着することにより、開口に連なる円
筒内周面3を形成している。また、被取付部品21の外
側の軸方向端面に外向きフランジ22を一体形成し、上
向き突出部20に一体形成した内向きの鍔23に対して
このフランジ22を上記と同様にバヨネット結合させて
いる。Oリング装着部24は、上記の上側のOリング装
着部11と全く同様である。
【0019】図6は本発明の第4の実施例を示す。これ
の場合は、上向き突出部25の外周面に形成されたねじ
部26にユニオンナット27を螺着して被取付部品28
をタンク本体1に結合させている。特に、上向き突出部
25を別部材で形成してタンク本体1に溶着するものと
すれば、高精度なねじを形成することができるので、ね
じのピッチを小さく設定することにより、上向き突出部
25の突出寸法を抑制し得る。Oリング装着部29は、
上記の上側のOリング装着部11と全く同様である。
【0020】なお、以上の実施の形態においては、被取
付部品自体の具体的な機能については触れていないが、
本発明は、合成樹脂製燃料タンクの壁に形成した開口か
らタンク内に挿入して取り付ける部品の全てに適用可能
であり、その機能は選ばない。
【0021】
【発明の効果】このように本発明によれば、径方向は高
精度な加工が比較的容易なので、シール部材の締め代精
度の管理が容易になり、また、反力以外の力がシール部
材に作用しないので、耐久性の向上に大きな効果が得ら
れる。しかも、シール部材の断面積を最小限にできる上
に開口端面をシールするものに比してシールする部分の
直径が小さくて済むので、高価な低燃料透過性材の使用
量を低減できることから、製造コストを低減する上にも
大きな効果を奏することができる。これらに加えて、筒
状内周面と筒状外周面との間におけるシール部材が装着
される部分の間隔寸法を、タンクの外方へ行くに連れて
徐々に狭くなるものとすれば、タンク内圧が高まると間
隔寸法の狭い側へシール部材が押し込まれることとなる
ので、密閉度をより一層高める上にも効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシール部の構造の一例を示す要部
断面図
【図2】図1に示すシール部の一方の構造を示す要部拡
大断面図
【図3】図1に示すシール部の他方の構造を示す要部拡
大断面図
【図4】本発明によるシール部の構造の第2の例を示す
要部断面図
【図5】本発明によるシール部の構造の第3の例を示す
要部断面図
【図6】本発明によるシール部の構造の第4の例を示す
要部断面図
【符号の説明】
1 タンク本体 3 筒状内周面 7 被取付部品 8 筒状外周面 10 Oリング(シール部材) 11・12 シール部材装着部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁に形成した開口からその内部に挿入し
    た部品によって前記開口が閉じられるようにした合成樹
    脂製燃料タンクのシール部の構造であって、 前記開口に連なる筒状内周面を設けると共に、 前記部品に前記筒状内周面と対向する筒状外周面を設
    け、 且つ前記筒状内周面と前記筒状外周面との間にシール部
    材を装着した上で当該タンク内に前記部品を挿入するこ
    とを特徴とする合成樹脂製燃料タンクのシール部の構
    造。
  2. 【請求項2】 前記シール部材の装着部の間隔寸法が、
    当該タンクの外方へ行くに連れて徐々に狭くなっている
    ことを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製燃料タン
    クのシール部の構造。
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