JPH10279986A - 分岐αデキストリンに親油性香料を包接させた加香剤およびこれを用いた喫煙物品 - Google Patents
分岐αデキストリンに親油性香料を包接させた加香剤およびこれを用いた喫煙物品Info
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Abstract
でき、しかも包接された香味料物質の優れた放出特性を
得ることができる、サイクロデキストリンに親油性香料
を包接させた加香剤を提供すること。また、保存中には
親油性香料を確実に保持し、喫煙時には安定して香料を
放出できる喫煙製品を提供すること。 【解決手段】分岐αサイクロデキストリンに親油性香味
料物質を包接させる。また、この加香剤を、喫煙物品の
フィルター添加する。
Description
こ製品に用いる付香添加剤と、これを用いた香料付加喫
煙物品に関する。
本来の香喫味を改善するために、製造工程において様々
な香料が添加される。たばこ製品に用いられる香料は、
その殆どが揮発性であり、蒸発または昇華による香料の
揮散は、商品品質の経時劣化および香喫味低下の原因と
して大きな問題になる。また、香料の一部には、自然に
酸化したり分解したりするものがあり、たばこ刻みに直
接香料を添加する従来の刻み加香法では、製品に用いる
ことが困難である。そこで、このような揮発、並びに酸
化および分解から香料を保護する方法として、サイクロ
デキストリンのケージの中に香料を包接することが考え
られる。
ルコース分子がα−1,4−グリコシド結合によって環
状に結合した環状オリゴ糖であり、その重合度によって
α−サイクロデキストリン(重合度6)、β−サイクロ
デキストリン(重合度7)、γ−サイクロデキストリン
(重合度8)等に分類される。この環状オリゴ糖は、内
側が親油性で外側が親水性の空洞構造を有しているた
め、メントールなどの有機化合物(親油性物質)をその
空洞内に包接する性質を有している。こうした包接物を
形成することによって、包接されたメントール等の保存
および安定性は著しく向上する。
には、親油性香料をβサイクロデキストリンに包接する
ことによって、その保存安定性を改善する試みが開示さ
れている。しかし、このβサイクロデキストリン包接体
は水などの極性溶媒に対する溶解度が低いため、保存安
定性は改善されるものの、包接された香料の放出特性が
充分でないという問題があった。
に鑑みてなされたものであり、その第一の目的は、親油
性香味料物質の保存安定性を高めることができ、しかも
包接された香味料物質の優れた放出特性を得ることがで
きる、サイクロデキストリンに親油性香料を包接させた
加香剤を提供することである。
ィルターに添加することによって、保存中には親油性香
料を確実に保持し、喫煙時には安定して香料を放出でき
る喫煙製品を提供することである。
分岐αサイクロデキストリンに親油性香味料物質を包接
させたことを特徴とするものである。本発明による喫煙
物品は、喫煙物品のフィルターに上記加香剤を添加した
ことを特徴とするものである。
発明の詳細を説明する。本発明の加香剤は、包接するた
めのホストとして、分岐αサイクロデキストリンを用い
たことを特徴とするものである。この分岐αサイクロデ
キストリンは最近開発されたものであり、既存のαサイ
クロデキストリンに側鎖としてマルトースを結合させた
ものである。この分岐αサイクロデキストリンは、水お
よび極性有機溶媒に対して高い溶解性(162g/10
0mlH2 O、25℃)を示す。そして、多量の水に溶
解すると、分岐サイクロデキストリンは包接されている
メントール等を放出する。そこで、保存時の安定性に欠
ける香料をシガレットに添加する場合には、分岐サイク
ロデキストリンによる包接および放出の機構を用いるこ
とによって、当該香料を安定に使用することが可能にな
る。
「イソエリート」の商品名で日研化学株式会社から商業
的に入手することができる(製造元は塩水港精糖株式会
社製)。
ばバニリン、エチルバニリン、グアリナロール、チモ
ル、メチルサリシレート、クマリン、リナロール、オイ
ゲノール、メントール、クローブ、アニス、シナモン、
ベルガモット油、ゼラニウム、レモン油、スペアミン
ト、ショウガ等が含まれるが、これらに限定されるもの
ではない。
料を包接させる方法としては、通常の包接複合体の形成
方法と同じ方法を用いることができる。例えば、水生媒
体中に、計算量の分岐αサイクロデキストリンおよび親
油性有機香味料物質を添加し、超音波処理などの手段で
攪拌することによって行うことができる。これにより形
成された包接複合体は、無定形の粉末として水溶液から
回収することができる。
レットであるが、フィルターを用いる他の喫煙物品であ
れば、葉巻などの他の喫煙物品にも適用することができ
る。本発明においては、親油性香味料物質をたばこ刻み
ではなく、フィルターに添加する。その理由は、サイク
ロデキストリンが燃焼すると香喫味上望ましくない物質
を生じるからである。この点で、溶解性に乏しい従来の
βサイクロデキストリン包接体の場合は、たばこ刻みに
添加するしかないため、上記の欠点を回避することがで
きない。但し、本発明においても、香味料の強さを調節
するために、支障のない範囲でたばこ刻みへの添加を併
用することを妨げるものではない。
ルターに適用された分岐αサイクロデキストリンは溶解
し易いので、喫煙時には煙粒子と接触して良好に溶解
し、その中に包接されている親油性香料を効率よく放出
する。従って、保存安定性の向上と共に、従来のβサイ
クロデキストリンを用いた包接では得られきなかった効
率的な香料の放出を達成することができる。
親油性香味料をフィルターに適用する方法については、
特に限定されず、後述の実施例で述べるように、(1)
上記の包接複合体粉末を用いる方法、(2)上記包接複
合体の水溶液にフィルター材料の一部を浸漬し、乾燥す
る方法といった、種々の方法を用いることができる。ま
た、これも後述の実施例で詳細に説明するが、フィルタ
ーへの適用を工夫することにより、包接された香味料の
放出量をパフ毎にコントロールして、パフ毎に所望の強
さの香喫味を味わうことができる。
αサイクロデキストリンに包接して適用されてるため、
次のような利点を得ることができる。即ち、従来の香料
付加たばこ製品では、パッケージの内部で香料が吸着平
衡に従って移動し、平衡化するため、シガレットは吸い
始めから終わりまで同じ香りや味を呈する。これに対し
て、サイクロデキストリンを用いて香料を包接すると、
香料はその中に封じ込めておくことができるから、包接
型香料の添加方法を工夫することによって、シガレット
内に一様に分布させるのではなく、特定の部分に局在さ
せておくことができる。その結果、多様な香りや味を一
本のシガレットに共存させ、パフ毎に香りや味をコント
ロールできるシガレットを、一つのパッケージにして提
供することも可能になる。
説明する。なお、以下の説明において、「包接α分岐サ
イクロデキストリン」の用語は、メントールを包接した
分岐αサイクロデキストリンを意味する。また、「包接
βサイクロデキストリン」の用語は、メントールを包接
したβサイクロデキストリンを意味する。
ンの安定性 包接分岐αサイクロデキストリンの保香性について、温
度および湿度の影響を調べるために以下の保存実験を行
った。
態にし、温度90℃で乾燥させながら、経時的に包接メ
ントール量を測定した。また、比較のために、包摂され
ていないメントールについても同様の経時的測定を行っ
た。その結果を図1に示した。同図において、○は包接
分岐αサイクロデキストリンであり、□は包接されてい
ないメントールである。この結果から、包接されていな
いメントールは略3時間後に完全に揮散するのに対し
て、分岐αサイクロデキストリンに包接されたメントー
ルは温度90℃で24時間後にも十分に保持されてお
り、保香性に優れていることが分かる。
保香性に対する湿度の影響を調べるために、これを一定
の相対湿度の条件下に放置し、平衡状態に達したときに
残存する包接メントールの量を測定した。この実験は、
温度を25℃および45℃に設定し、相対湿度60〜9
0%の範囲で行った。その結果を図2に示す。同図にお
いて、○は温度を25℃としたときの結果であり、□は
温度を40℃にしたときの結果である。この結果から、
温度25〜40℃、湿度80%以下の条件では包接され
たメントール量の変化が少なく、その保存性が良好であ
ることが分かった。
ンからの発香 メントール無添加のシガレットに、(1) 包接分岐αサイ
クロデキストリン、(2) 包接βサイクロデキストリン、
(3) 包接βサイクロデキストリン+包接分岐αサイクロ
デキストリン(混合比1:1)の混合物を夫々130m
gのフィルターに添加して、燃焼時の煙中メントール量
を測定した。その結果を表1に示す。
クロデキストリンの添加量が多くなるほど、煙中のメン
トール量は多くなる。従って、前述したように、包接分
岐αサイクロデキストリンは、包接βサイクロデキスト
リンよりも良好に煙中に溶解し、包接されたメントール
が効率的に放出されることが分かる。従って、メンソー
ルシガレットを作成するためには、包接βサイクロデキ
ストリンを用いず、包接分岐αサイクロデキストリンの
みを用いることが望ましい。
方法を検討した。使用したシガレットの構造を図3およ
び図4に示す。
タバコ部分1と、その一端に結合されたフィルター部分
2とからなっている。なお、同図(A)は斜視図であ
り、同図(B)はフィルター部分2の断面図である。こ
のタイプAでは、チャコールフィルターの活性炭の場合
と同様に、包接分岐αサイクロデキストリンをフィルタ
ー部分2の中に一様に添加した。
は、フィルター部分が、中間部3と吸い口部4からなっ
ている。中間部3は、煙が流れる中央部3aと、該中央
部を取り囲んでいる煙の流れない仕切り部3bとからな
り、その一端で紙巻きタバコ部分1に結合し、多端は吸
い口部4に結合されている。なお、同図(A)はシガレ
ットの斜視図であり、同図(B)は中間部3の断面図、
同図Cは中間部3を拡大して示す斜視図である。なお、
フィルター中間部3の煙が流れる中央部3aの直径は略
5.7 mmである。このタイプBでは、煙粒子が図に示し
た中心部にしか流れないので、その部分に包接分岐αサ
イクロデキストリンを添加した。
て、喫煙時と同様の燃焼の際の煙中のメントール量を測
定した。その結果を図5に示す。この図は、煙中のメン
トール量を、包接分岐αサイクロデキストリン担持量に
対してプロットしたものである。図中、□はタイプAの
結果を示しており、○はタイプBの結果を示している。
この結果に示すように、タイプBは、タイプAよりも煙
中メントール量は多い。従って、包接分岐サイクロデキ
ストリンは、煙粒子を効率よく接触するように添加する
のが望ましいことが分かる。
ストリンの添加量が約5mg以上のとき、その添加量の
増大に伴って煙中メントール量は増加した。 実施例4: 浸漬法 フィルター材料を包接分岐αサイクロデキストリン水溶
液に浸漬し、乾燥して得られた材料を用いた。この方法
では、添加に液体を用いるために、包接分岐αサイクロ
デキストリンを均一に添加できる特徴を有する。
用いた。これは、図4のシガレット構造に類似してい
る。同図において、(A)はシガレットの斜視図、
(B)はフィルター中間部の断面図、(C)はフィルタ
ー中間部の作成方法を示す説明図である。同図(C)に
示すように、上記のようにして浸漬処理したフィルター
材料5を、をフィルター中間部3の中心部空洞に挿入し
た。これによる包接分岐αサイクロデキストリンの添加
量は約10mgに相当した。このシガレットを通常の喫
煙動作と同様にして燃焼させた結果、煙中のメントール
量は0.029 mg/cigであった。
溶液にプロピレングリコールおよびグリセリンを添加す
ると、作成したシガレットの煙中メントール量は増加し
た。プロピレングリコールを添加した包接分岐αサイク
ロデキストリン水溶液を用いたときの結果を図7に示
す。同図において、○はプロピレングリコール添加の場
合の結果を示し、黒丸印はグリセリン添加の場合の結果
を示している。
包接分岐αサイクロデキストリンの添加との併用による
効果を調べるために、下記のシガレットを作成して煙中
成分の分析を行った。その結果を下記の表2に示す。
トリンとの併用 たばこ刻みにメントールを添加し、包接分岐αサイクロ
デキストリンを用いたシガレットである。その構造を図
8に示す。同図において、(A)は斜視図、(B)はフ
ィールター中間部の各区第斜視図、(C)はフィルター
中間部の断面図である。これらの図において1´は、た
ばこ刻みにメントールを添加した紙巻きタバコ部分、3
はフィルター中間部、4は吸い口部である。フィルター
中間部3の外側には煙を通さない仕切り部分3aが形成
され、中央部には包接分岐αデキストリンを添加した毛
細管の束6が挿入されている。たばこ刻みへのメントー
ル添加量は1.8 mg(併用法1)、2.8 mg(併用法
2)である。分岐αサイクロデキストリンの添加量は4
0mgとした。
プBのシガレットを用いた。分岐αサイクロデキストリ
ンの添加量は、シガレット1本当たりの100mgとし
た。上記二種類のシガレットについて、通常の喫煙動作
に類似した燃焼試験を行い、煙中成分等を測定した。そ
の結果を下記の表2に示す。
へのメントール添加によってコントロールできることが
分かった。 実施例6: 香喫味コントロール機能付きシガレット 作成したシガレットの構造を図9に示す。同図(A)に
おいて、1は紙巻きたばこ部分である。たばこ刻みには
メントールは添加されていない。紙巻きたばこ部分1の
一端には、フィルター部7が結合されている。フィルタ
ー部7の多端には円筒状の凹部が形成されており、その
中には円筒状の香喫味ブロック8が回転自在に挿入され
ている。図9(B)は、フィルター部7の断面を示して
いる。同図において斜線を付した部分7aは煙が流れな
い仕切り部分であり、それ以外の部分7bは煙が流れる
煙道部分である。仕切り部分7aは次のようにして形成
されている。即ち、フィルター部7の当該部分に、メン
トールを包接していない分岐αサイクロデキストリン水
溶液を含浸させる。含浸された分岐αサイクロデキスト
リンはフィルター内部で固結して、煙粒子が流れない仕
切り部分7aが形成される。この仕切り部分7aによっ
て、フィルター内の煙の流れが制御される。図9(C)
は、香喫味ブロック8の断面図である。該ブロック8は
フィルターと同じ材料でできており、図の付点領域8a
にのみ、包接分岐αサイクロデキストリンが添加されて
いる。それ以外の領域8bには包接分岐αサイクロデキ
ストリンは添加されていない。
る香喫味コントロール機構について説明する。図8
(A)の場合、フィルター7の煙道部分7bと、香喫味
ブロック8の香喫味ブロック8aとが一致しているの
で、煙粒子は包接分岐αサイクロデキストリン添加部分
8aを流れて、包接メントール放出される。しかし、香
喫味ブロック8を、例えば90度回転させた図8(B)
の場合は、煙粒子は分岐αサイクロデキストリン添加部
分8aを流れ難く、従って包接メンソールは放出され難
い。図8(A)の状態および図8(B)の状態で喫煙を
行ったときの、夫々の煙中メントール量を測定したとこ
ろ、下記の表3に示す結果が得られた。
させることにより、煙中メンソール量をコントロールで
きることが分かる。
分岐αサイクロデキストリンをホスト化合物に用いるこ
とによって、親油性香味料物質の保存安定性を高めると
同時に、使用時には包接された香味料物質の優れた放出
特性が得られる加香剤を提供することができる。
ることによって、保存中には親油性香料を確実に保持
し、且つ喫煙時にはサイクロデキストリンの燃焼による
弊害を伴うことなく、安定して香料を放出できる喫煙製
品を提供することができる。
接されたメントールと、包接されていないメントールと
を、90℃で24時間放置したときの保持率の比較を示
すグラフである。
接されたメントールを、所定の温度および湿度の環境下
で平衡状態にしたときの保持率を示すグラフである。
図である。
図である。
ットを燃焼させたときの、煙中メントール量を示すグラ
フである。
図である。
すると、包接分岐αサイクロデキストリンからのメント
ールの放出が増加することを示すグラフ。
図である。
図である。
である。
吸い口部、5…フィルター材料、6…毛細管の束、8…
香喫味ブロック
Claims (4)
- 【請求項1】 分岐αサイクロデキストリンに親油性香
味料物質を包接させたことを特徴とする加香剤。 - 【請求項2】 前記親油性香味料物質が、バニリン、エ
チルバニリン、グアリナロール、チモル、メチルサリシ
レート、クマリン、リナロール、オイゲノール、メント
ール、クローブ、アニス、シナモン、ベルガモット油、
ゼラニウム、レモン油、スペアミント、ショウガからな
る群から選ばれる請求項1に記載の加香剤。 - 【請求項3】 喫煙物品のフィルターに、請求項1の加
香剤を添加したことを特徴とする喫煙物品。 - 【請求項4】 請求項3に記載の喫煙物品であって、 前記フィルターの端部には、該フィルターと同軸的に配
置され、且つ該軸を中心に回転自在に設けられた香味料
ブロックが結合されていることと;該香味料ブロックに
は、限定された所定領域にのみ前記加香剤が添加されて
いることと;前記香味料ブロックを回転させることによ
り、前記フィルターの煙道を通って流れる煙粒子が前記
該香味料ブロックの限定された所定領域を通過し、また
は通過しないように制御できることとを特徴とする喫煙
物品。
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