JPH10279889A - 感熱接着シート及びその製造方法 - Google Patents

感熱接着シート及びその製造方法

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JPH10279889A
JPH10279889A JP9661797A JP9661797A JPH10279889A JP H10279889 A JPH10279889 A JP H10279889A JP 9661797 A JP9661797 A JP 9661797A JP 9661797 A JP9661797 A JP 9661797A JP H10279889 A JPH10279889 A JP H10279889A
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裕司 小濱
Koji Kawaguchi
皓二 川口
Masaaki Fukunaga
正明 福永
Yutaka Kojima
裕 小島
Hideki Okude
秀樹 奥出
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造工程で巻き取ったロールにブロッキング
が生じないばかりでなく、密書葉書製造時の走行性、及
び、記録材の情報記録面との感熱接着性に優れた感熱接
着シートを提供する。 【解決手段】 透明なプラスチックシートの両面に、そ
れぞれ熱溶融押し出し加工が可能な樹脂による少なくと
も一層からなる内層及び感熱接着樹脂による外層を設け
てなる感熱接着シートであって、前記外層の少なくとも
一方の層に、球状ビーズを含有することを特徴とする感
熱接着シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、情報伝
達面同士を剥離可能に貼着するに適した感熱接着シート
に関し、特に、封書並みの大容量の情報や隠蔽すべき情
報を伝達することのできる密書葉書に好適な感熱接着シ
ート及びその製造方法に関する。
【0002】
【情報技術】近年、社会保険庁、銀行、証券会社、郵便
局、電力会社等から郵送される各種支払通知書、受領書
及び満期通知書等のような書類の他、ダイレクトメール
が激増している。このようなプライバシーに係わる通知
書やダイレクトメールは、従来、封書により郵送されて
いたが、これらの書類の増大に伴い、郵送コストが莫大
にならざるを得ないという欠点があった。
【0003】係る欠点を解決するために、文字、絵等の
伝達情報を記録した二枚の各記録材の情報記録面同士を
感熱接着シートを介して感熱疑似接着することにより、
伝達情報量を封書並みに増大させるのみならず、受信人
が何れか一方の記録材を剥離することにより内部に記載
された情報を読み取るまでは、前記情報を秘密に保つこ
とができるようにした葉書等の情報記録体が提案されて
いる。
【0004】密書情報が記録された情報記録材の情報記
録層面間同士を一体化させるための公知の感熱接着シー
トとしては、例えば、ベース層と該ベース層の両面に設
けた熱接着樹脂層との3層から成ると共に該3層間のう
ち少なくとも2層間にアンカーコートのないラミネート
フィルム、及び、層間剥離可能なラミネート式郵便葉書
(実開平2−22874号公報)が開示されている。ま
た、実開平2−25546号公報には、透明プラスチッ
クシート支持体の一方の面に熱可塑性樹脂層が配設され
てなる積層体の両面若しくは前記熱可塑性樹脂層とは反
対の面に感熱接着剤層が形成された透明感熱接着シート
が開示されている。
【0005】しかしながら、上記した従来の感熱接着シ
ートはブロッキング防止性に劣り、巻き取ったまま長期
間放置すると、特に、巻き芯部においてブロッキングが
起こり、ひどい物では完全に固まって使用不能になると
いう欠点があった。また、加工時におけるクーリングロ
ールとの離ロール性が悪ったり感熱接着シートの滑り性
が悪く、2次加工時に、機上走行不良が原因となったト
ラブルの発生を引き起こすという欠点があった。
【0006】これらの欠点を解決するために、従来、
(1)感熱接着樹脂に高融点のものを用いる、(2)樹
脂配合時にブロッキング防止効果を有する離ロール剤を
添加する、(3)同じく樹脂配合時に無機填料を添加す
る、(4)溶融状態の感熱接着樹脂を透明フィルム上に
押し出して積層し冷却圧着する際に用いる、クーリング
ロール面をマット調にして積層シートの表面に凹凸をつ
ける、(5)クーリングロールで冷却圧着してから巻き
取り機で巻き取るまでの間、もしくはスリッターにかけ
て製品の巻き取りに加工する際に、シート表面にパウダ
ーを散布する等の方法が採られている。
【0007】ところが、上記(1)の高融点樹脂を用い
る方法では感熱接着性が低下する、(2)の場合には、
十分な効果を得るために大量の離ロール剤を添加すると
感熱接着性の低下を招く、(3)の無機填料を添加する
方法では透明性がなくなるので親展葉書形成用感熱接着
シートとして利用できなくなる上、十分な効果を得るた
めに大粒径の添料を用いると感熱接着シートの製造時に
膜割れを引き起こす原因となる、(4)のクーリングロ
ールのマット化では効果が十分でない。
【0008】また、表面にパウダーを散布する(5)の
方法の場合には、少量のパウダーを均一に散布するため
の設備が必要となる上、親展はがきを形成する際にパウ
ダーが機械にたまり、その掃除が必要となる。更に、パ
ウダーとしてでんぷん粒をよく使用するが、でんぷん粒
は吸湿性が高く、湿度の高い雰囲気下ではブロッキング
防止性が大幅に低減するという欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、製造工程で巻き取ったロールにブロッキングが生じ
ないばかりでなく、密書葉書製造時の走行性、及び、記
録材の情報記録面との感熱接着性に優れた感熱接着シー
トを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
透明なプラスチックシートの両面に、それぞれ、熱溶融
押し出し加工が可能な樹脂による少なくとも1層からな
る内層及び感熱接着樹脂による外層を設けてなる感熱接
着シートであって、前記外層の少なくとも一方の層に、
球状ビーズを含有することを特徴とする感熱接着シート
によって達成された。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の感熱接着シートでは、感
熱接着樹脂層の少なくとも1層に球状ビーズを添加する
ことによって、感熱接着シート表面に適度で滑らかな凹
凸を付与する。この凹凸の効果により融点の低い感熱接
着樹脂を用いることができ、これによって感熱接着性の
低下を招くことなく、十分なブロッキング防止性及び機
上走行性を得ることができる。即ち、表面の適度で滑ら
かな凹凸により、巻き取ったロールにおける表面と裏面
の接触面積が小さくなる為、ブロッキング防止性が向上
する。
【0012】また、機上走行性に関しても同様に、表面
の適度で滑らかな凹凸によって機械との接触面積が小さ
くなり、凹凸同士が引っかかり合うこともなく滑り性が
向上するので優れた機上走行性を示す。更に、熱溶融押
し出し機から溶融状態の樹脂を膜状に押し出す際に、一
般には、溶融樹脂膜の厚さと比較して大きな異物が溶融
樹脂膜中に混在していると、その異物がきっかけとなっ
て異物の部分から溶融樹脂膜が割れるという不都合が生
じることがあるが、異物が球状のビーズである場合には
上記の膜割れが発生し難くなるので、比較的大きなビー
ズを多量に添加することが可能である。
【0013】本発明で使用する球状ビーズの形状は、熱
溶融押し出し加工の際に膜割れのきっかけを作らず、ま
た、シートの表面に作る凹凸が滑り性が悪化しない程度
に滑らかな凹凸となる限り必ずしも真球状である必要は
なく、角のない滑らかな形状であればよい。本発明で
は、このようにシート加工後に粉末を散布するのではな
く、積層する感熱接着樹脂層中に球状ビーズを添加して
いるため、完全に感熱接着シートにビーズが固着し、2
次加工機を汚染するおそれは全くない。また、吸湿性の
ほとんど無い素材を用いることにより、梅雨時期等の湿
度の高い雰囲気下においても、ブロッキング防止性が大
幅に低減することはない。
【0014】以下、本発明を図面を参照しつつ、更に詳
述する。図1は、本発明の感熱接着シートの断面概念図
である。図中、符号1は透明プラスチックシート、2b
及び3bは内層、2a及び3aは、球状ビーズ4を含有
する感熱接着層である。また、図2は、本発明の感熱接
着シートを製造する工程を示す説明図である。図中、符
号5は巻出しロール、6はニップロール、7は冷却ロー
ル、8はTダイ、9は巻き取りロール、10は押し出し
機、11は表面処理装置、12はオゾン吹き出し口であ
る。
【0015】透明プラスチックシートと接する内層の2
b、3bの樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリ
プロピレン(PP)、ポリメチルペンテンなどのポリオ
レフィン樹脂を始め、ポリスチレン、ポリエステル、ポ
リアミドなど熱溶融押し出し加工が可能な樹脂が用いら
れる。この場合、透明プラスチックシートと上記内層と
の貼着面を疑似接着面とする場合には、透明プラスチッ
クシートの疑似接着面を設ける面にあらかじめ公知の剥
離剤(シリコーン系、ポリオレフィン系、パラフィン系
等)を塗工するか、または、疑似接着する内層に用いる
樹脂として、透明プラスチックシートとの接着力の小さ
いものを用い、及び/又は、透明プラスチックシート表
面に適宜施すオゾン処理やコロナ放電処理の処理強度を
制御する。
【0016】一方、内層の樹脂層が透明プラスチックシ
ートと永久接着することが必要な場合には、ロジン系樹
脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマ
ロンインデン樹脂、石油樹脂等の公知の粘着付与樹脂を
添加したり、ポリオレフィン系の樹脂ではなく感熱接着
樹脂層と同じ樹脂を用いると共に、オゾン処理、コロナ
放電処理等の、接着力を大きくする表面処理を施すこと
が好ましい。本発明においては、内層として2層以上積
層しても良い。これによって、内層と透明プラスチック
シートとの接着力の調節をより容易に行うことができ
る。
【0017】本発明で使用する透明プラスチックシート
は、公知のものの中から適宜選択することができるが、
特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプ
ロピレン(PP)又はアセテート等の高融点の透明フィ
ルムを使用することが好ましい。この透明プラスチック
シートの両面に設けられる樹脂層を形成する樹脂は、前
記透明プラスチックシートより融点が低い樹脂であるこ
とが必要である。
【0018】感熱接着樹脂層2a、3aにはエチレンア
クリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)、エチレンアクリル酸メチル共重
合体(EMA)、エチレンビニルアルコール共重合体
(EVOH)、エチレンアクリル酸共重合体(EA
A)、エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)、エ
チレンメチルメタクリル酸共重合体(EMMA)、グラ
フト変性ポリオレフィン、及びアイオノマー等の、ビカ
ット軟化点(ASTM D1525)が90℃以下の樹
脂、または、EEAやEVA等の、ビカット軟化点(A
STM D1525)が90℃以下の樹脂とポリエチレ
ン(PE)やポリメチルペンテンなどのポリオレフィン
樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミドなど
の、熱溶融押し出し加工が可能な樹脂との混合樹脂を用
いる。
【0019】本発明においては、製造時の巻取りロール
におけるブロッキングを防止するために、感熱接着剤層
の少なくとも一方の層に球状ビーズ4を含有させる。球
状ビーズを含有させた感熱接着剤層の内層にも、球状ビ
ーズを含有させても良い。また、ブロッキング防止性能
を更に良好なものとするために、感熱接着剤層に、公知
のスリップ剤(オレイン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、エルカ酸アミドなどの脂肪酸アミド)を添加しても
良い。
【0020】本発明で用いる球状ビーズの素材は、ガラ
ス、シリカ、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチ
レン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、フ
ッ素樹脂、シリコーン樹脂等の公知のものの中から適宜
選択することができるが、熱溶融共押出法により積層接
着する感熱接着樹脂よりも溶融温度の高い無色透明な有
機ビーズを用いることが好ましく、特に、透明度の高い
アクリルビーズを用いることが好ましい。
【0021】これは、形状が球状であるために膜割れを
引き起こすきっかけができにくいことに加えて、熱溶融
共押出法により積層接着する感熱接着樹脂及びアクリル
ビーズが、何れも有機物であるので親和性が高いためと
考えられる。このアクリルビーズを用いると、熱溶融押
し出しの際にアクリルビーズがその溶融温度付近まで加
熱された後冷却ロールにより冷却圧着されるので、アク
リルビーズが多少変形する事はあるが、シートの表面に
適度で滑らかな凹凸が形成されることに変わりはない。
このアクリルビーズは透明度が高いため、得られる感熱
接着シートの透明性も良好であり、疑似接着面から剥離
した後の情報隠蔽部の透視性も良好である。
【0022】本発明で添加する球状ビーズの平均粒径は
透明プラスチックシートの一方の面に積層する樹脂層全
体の厚さの50〜150%であることが好ましく、特に
80〜120%であることが好ましい。添加量は前記積
層する樹脂層全体の0.1〜10%とすることが好まし
く、特に、0.5〜3%とすることが好ましい。積層す
る樹脂層の厚さを薄くする場合には平均粒径を小さくす
ると共に添加量を少なくし、厚くするに従って、平均粒
径を大きくすると共に添加量を多くする。
【0023】平均粒径が透明プラスチックシートの一方
の面に積層する樹脂層全体の厚さの50%未満だとブロ
ッキング防止の効果が十分でなく、150%を越えると
加工時に膜割れが生じたり、得られる感熱接着シートの
感熱接着性を著しく低下させることがある。また、添加
量が球状ビーズを添加する樹脂層の0.5%未満である
とブロッキング防止の効果が十分でなく、10%を越え
ると、加工時に膜割れが生じたり得られる感熱接着シー
トの感熱接着性を著しく低下させることがある。
【0024】本発明の感熱接着シートを製造するには、
透明プラスチックシートを巻き出しロール5から繰り出
し、ニップロール6、冷却ロール7の間に導く(図2参
照)。ここで、透明プラスチックシート表面に上記のE
VA等の感熱接着樹脂及び球状のビーズ等からなる感熱
接着樹脂層とポリオレフィン系樹脂等からなる内層を、
Tダイ内で後者の樹脂が透明プラスチックシート表面側
に位置するように、Tダイ8から2層のフィルム状に押
し出して透明プラスチックシートの表面に積層接着す
る。
【0025】ここで疑似接着面を設ける場合には内層の
樹脂に加える公知の粘着付与剤の量やオゾン処理等の接
着強度を増進する処理の処理強度を制御し、剥離強度を
調節する。また、樹脂層を透明プラスチックシートと永
久接着させる場合には、透明プラスチックシートと接す
る内層の樹脂に公知の粘着付与剤を用いるか、または感
熱接着性を有する樹脂を用いると共に、積層接着前の透
明プラスチックシート表面に表面処理装置11を用い
て、コロナ放電処理、フレーム処理及び予熱処理等を行
い、また積層接着される樹脂層の透明プラスチックシー
トと接着する面に、オゾン吹き出し口12からオゾンを
供給してオゾン処理を施すことにより、低温で両者間に
強い接着力を付与することができる。本発明において
は、特にオゾン処理が有効である。
【0026】このようにして樹脂2a、2bが積層接着
された透明プラスチックシートはそのまま巻き取りロー
ル9に巻き取られる。その後、巻き取りロール9を巻き
出し側に移し、透明プラスチックシートの、樹脂が積層
接着されていない側に対して樹脂層の積層接着を同様に
して行う。積層接着する感熱接着樹脂層、内層、透明プ
ラスチックシートの厚さは、要求される感熱接着特性、
重量などにより適宜選択されるが、通常感熱接着樹脂層
及び内層の厚さは、共に3〜100μmであることが好
ましい。3μm未満であるとそれぞれの機能を十分に発
揮させることができず、また、100μmを越える押し
出しコーティングは技術的に困難である。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0028】実施例1.感熱接着樹脂層には、EEA6
7.4%、石油樹脂系の粘着付与剤15%、PE15
%、スリップ剤(エルカ酸アミド)0.25%、シリカ
0.25%、及び平均粒径13μmのアクリルビーズ
2.1%からなる樹脂組成物を用い、透明プラスチック
シートに永久接着させる内層には、PE82.4%、粘
着付与剤15%、スリップ剤(エルカ酸アミド)0.2
5%、シリカ0.25%、平均粒径13μmのアクリル
ビーズ2.1%からなる樹脂組成物を用いると共に、透
明プラスチックシートの他の面に疑似接着させる内層に
は、ポリエチレン(PE)97.4%、スリップ剤0.
25%、シリカ0.25%、平均粒径13μmのアクリ
ルビーズ2.1%からなる樹脂組成物を用いた。
【0029】先ず、厚さ16μmの透明なPETシート
を巻き出しロール5より繰り出し、ニップロール6、冷
却ロール7の間に導いて、シート表面に、上記のEVA
及び球形のアクリルビーズ等からなる感熱接着樹脂層と
PE等からなる内層を、Tダイ8から2層のフィルム状
に235℃の温度で押し出して前記透明PETシートの
一方の表面に積層接着させながらロール状に巻き取っ
た。
【0030】このとき、内層を永久接着させる側のPE
T表面及び該表面に接着させる内層用樹脂表面に、オゾ
ン吹き出し口12からオゾン含有空気を吹き付ける表面
処理を行った。その後、巻き取ったロール9を巻き出し
側に移し、樹脂が積層接着されていない側のPETシー
ト表面に対して、同様に樹脂層を積層接着させた。積層
した樹脂層は、感熱接着樹脂層が各8μm、内層が各7
μmであり、感熱接着シートとしての厚味は、PETシ
ートの厚さ16μmと併せて合計46μmであった。
【0031】尚、オゾン処理条件は、溶融膜の積層速度
が130m/分、エアギャップが130mmで、オゾン濃度
は40g/m3 、オゾン流量は2m3 /時間であった。得
られた感熱接着シートについて、ブロッキング防止性、
感熱接着性、開封性、及び滑り性を評価した結果は表1
に示した通りである。
【0032】
【表1】
【0033】実施例2.疑似接着させるために用いた内
層用の樹脂組成物を使用する代わりに、永久接着させる
ための内層用樹脂組成物を用いた他は、実施例1と全く
同様にして感熱接着シートを得た。得られた感熱接着シ
ートについてブロッキング防止性、感熱接着性、滑り性
を評価した結果は表1に示した通りである。
【0034】実施例3.感熱接着樹脂層を各5μm、内
層を各5μmとした他は実施例1と全く同様にして厚さ
が36μmの感熱接着シートを得た。得られた感熱接着
シートについてブロッキング防止性、感熱接着性、開封
性、滑り性について評価した結果は表1に示した通りで
ある。
【0035】実施例4.感熱接着樹脂層用組成物を、エ
チレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)67.4%、石
油樹脂系の粘着付与剤15%、PE15%、スリップ剤
(エルカ酸アミド)0.25%、シリカ0.25%、及
び平均粒径13μmのアクリルビーズ2.1%からなる
樹脂組成物とした他は実施例1と全く同様にして感熱接
着シートを得た。得られた感熱接着シートについてブロ
ッキング防止性、感熱接着性、開封性、滑り性を評価し
た結果は表1に示した通りである。
【0036】実施例5.アクリルビーズとして平均粒径
5μmのアクリルビーズを用いた他は実施例1と全く同
様にして感熱接着シートを得た。得られた感熱接着シー
トについて、ブロッキング防止性、感熱接着性、開封
性、滑り性を評価した結果は表1に示した通りである。
【0037】実施例6.アクリルビーズの代わりに、平
均粒径13μmのガラスビーズを用いた他は実施例1と
全く同様にして感熱接着シートを得た。得られた感熱接
着シートについて、ブロッキング防止性、感熱接着性、
開封性、滑り性を評価した結果は表1に示した通りであ
る。
【0038】比較例1.感熱接着樹脂層には、EVA6
9.5%、石油樹脂系の粘着付与剤15%、PE15
%、スリップ剤(エルカ酸アミド)0.25%、及びシ
リカ0.25%からなる樹脂組成物、PETシート表面
に永久接着させる内層には、PE84.5%、粘着付与
剤15%、スリップ剤(エルカ酸アミド)0.25%、
及びシリカ0.25%からなる樹脂組成物、及び、PE
Tシートの他の表面に疑似接着させる内層には、PE9
9.5%、スリップ剤0.25%、シリカ0.25%か
らなる樹脂組成物を用いた他は実施例1と全く同様にし
たところ、疑似接着する内層を設ける加工時に、冷却ロ
ールに感熱接着樹脂層が貼り付き、疑似接着面から積層
接着した樹脂が剥離して、感熱接着シートを得ることが
できなかった。
【0039】比較例2.疑似接着させる内層用樹脂組成
物を使用せず、代わりに永久接着させる内層用樹脂組成
物を用いた他は比較例1と全く同様にして感熱接着シー
トを得た。得られた感熱接着シートについては、ブロッ
キング防止性、感熱接着性、滑り性を評価した結果は表
1に示した通りである。
【0040】比較例3.感熱接着樹脂層用の樹脂組成物
として、EEA69.5%、石油樹脂系の粘着付与剤1
5%、PE15%、スリップ剤0.25%からなる樹脂
組成物を使用した他は、比較例1と全く同様にして感熱
接着シートを作製した。得られた感熱接着シートについ
て、ブロッキング防止性、感熱接着性、滑り性を評価し
た結果は表1に示した通りである。
【0041】ブロッキング防止性 得られた感熱接着シートを100×30mmの大きさに切
断し、ガラス板の間に40枚積層して上から4kgの荷重
を加え、40℃で湿度90%の雰囲気下に24時間放置
した後のブロッキングの様子を、手で剥離することによ
って比較した。評価は、ほとんどブロッキングしておら
ず触るとすぐにバラバラになるものを◎、わずかにブロ
ッキングしているが容易に剥離できるものを○、ブロッ
キングを起こしているが剥離可能なものを△、完全にブ
ロッキングしてしまい、剥離が困難なものを×とした。
【0042】感熱接着性 感熱接着シートを坪量93.7g/m2 のコート紙に挟
み、オーブンで150℃、15秒間加熱した後、150
℃、ニップ圧2.0kgf/cm、速度20m/分の条
件でヒートロールに通し、感熱接着シートと紙との接着
性を手で剥離して評価した。この場合、完全に接着し、
剥離しようとするとコート紙が破壊されたものを◎、完
全に接着してはいるが、無理に剥離しようとすると剥離
できるものを○とした。
【0043】開封性 感熱接着シートを、感熱接着性の評価の際と同様にして
コート紙に感熱接着させた後、25×150mmの大き
さに切断し、300mm/分の速度で、疑似接着面から
の剥離強度について90゜剥離試験を行い、その結果が
7g/2.5cm〜13g/2.5cmの範囲にあったもの
を○、それ以外のものを×とした。また、滑り性に関し
てはテフロンシートとの摩擦係数を、荷重1kg、速度3
7mm/分の条件で測定した。
【0044】実施例1〜4、及び6の結果から明らかな
ように、本発明の感熱接着シートは、感熱接着性が十分
であるにもかかわらず、比較例に比べてブロッキング防
止効果が十分であり滑り性も大きく向上している。また
実施例5ではアクリルビーズの粒径が積層接着する樹脂
層全体の厚さに対して小さいために、大部分のアクリル
ビーズが感熱接着樹脂中に埋もれてしまい、十分なブロ
ッキング防止効果を得る事が出来なかったが、滑り性の
向上には貢献している。これに対し、比較例1、2では
アクリルビーズを添加していないため、十分なブロッキ
ング防止効果が得られない上滑り性も大変悪いことが確
認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱接着シートの断面概念図である。
【図2】本発明の感熱接着シート製造工程の概念図であ
る。
【符号の説明】
1 透明プラスチックシート 2a 感熱接着剤層 2b 内層 3a 感熱接着剤層 3b 内層 4 球状ビーズ 5 巻出しロール 6 ニップロール 7 冷却ロール 8 Tダイ 9 巻き取りロール 10 押し出し機 11 表面処理装置 12 オゾン吹き出し口
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
フロントページの続き (72)発明者 小島 裕 大阪府大阪市都島区善源寺町2丁目2番7 号 日本製紙株式会社都島工場内 (72)発明者 奥出 秀樹 大阪府大阪市都島区善源寺町2丁目2番7 号 日本製紙株式会社都島工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明なプラスチックシートの両面に、そ
    れぞれ、熱溶融押し出し加工が可能な樹脂による少なく
    とも1層からなる内層及び感熱接着樹脂による外層を設
    けてなる感熱接着シートであって、前記外層の少なくと
    も一方の層に、球状ビーズを含有することを特徴とする
    感熱接着シート。
  2. 【請求項2】 感熱接着樹脂が、ビカット軟化点(AS
    TMD1525)が90℃以下の樹脂である、請求項1
    に記載された感熱接着シート。
  3. 【請求項3】 感熱接着樹脂が、エチレン/酢酸ビニル
    共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、及
    び、エチレン/アクリル酸メチル共重合体から選択され
    た少なくとも1種の樹脂である、請求項1又は2に記載
    された感熱接着シート。
  4. 【請求項4】 球状ビーズの平均粒径が、透明なプラス
    チックシートの表面に積層された樹脂層全体の厚味の5
    0〜150%である、請求項1〜3の何れかに記載され
    た感熱接着シート。
  5. 【請求項5】 球状ビーズが有機ビーズである、請求項
    1又は4に記載された感熱接着シート。
  6. 【請求項6】 球状ビーズがアクリルビーズである請求
    項5に記載された感熱接着シート。
  7. 【請求項7】 透明プラスチックシートの両面に設けら
    れた熱溶融押し出し加工が可能な樹脂による内層のう
    ち、少なくとも一方が、透明プラスチックフィルムと剥
    離可能に疑似接着している、請求項1〜6の何れかに記
    載された感熱接着シート。
  8. 【請求項8】 透明なプラスチックシートの両面に、T
    ダイを用いて、熱溶融押し出し可能な樹脂が内側となり
    感熱接着樹脂が外側となるように共押し出し法により二
    種類の樹脂層を積層する感熱接着シートの製造方法であ
    って、形成された感熱接着樹脂層のうち少なくとも一方
    の層が球状ビーズを含有する如く、溶融押し出しする感
    熱接着樹脂中に、球状ビーズを均一に含有せしめること
    を特徴とする感熱接着シートの製造方法。
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