JP2004051878A - 感熱性接着剤樹脂組成物及びそれを使用した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】保管時において紫外線硬化型樹脂やPETとのブロッキングを起こさず、かつPETG等のポリエステル系樹脂およびその他樹脂との接着性に優れた感熱性接着剤樹脂樹脂組成物の提供および該組成物を使用することによる環境汚染の軽減が可能な感熱磁気記録媒体の提供。
【解決手段】特定のポリエステル系ポリウレタン樹脂をべースポリマーとし、それに特定のポリオレフィン樹脂粒子を特定量添加した感熱性接着剤樹脂組成物とする。また、該組成物により接着層を形成した感熱磁気記録媒体とする。
【選択図】 図1
【解決手段】特定のポリエステル系ポリウレタン樹脂をべースポリマーとし、それに特定のポリオレフィン樹脂粒子を特定量添加した感熱性接着剤樹脂組成物とする。また、該組成物により接着層を形成した感熱磁気記録媒体とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱ないしは加熱加圧することにより接着性を発現し、各種プラスチックのフィルム・基材を接着させる感熱性接着剤樹脂組成物の技術に関し、特に、主被着体がポリエチレンテレフタレート系樹脂(以後、PETとも呼ぶ)である場合における、感熱性接着剤樹脂組成物のブロッキング性と接着性とを改良する技術に関する。また、該組成物を使用して形成した接着層を有する感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリ塩化ビニルを焼却した際に発生するダイオキシンが大きな社会問題となっており、包装材料・成形材料・各種塗工基材などの非磁性支持体に塩素を含まない各種プラスチックフィルムを使用する、いわゆる「脱塩ビ」の動きが出てきている。現在は、その過渡期にあるといえる。
【0003】
ここで、塩素を含まないプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETG[非結晶性PET共重合体])やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類、セルローストリアセテートなどのセルロース誘導体類、アミド結合を有するポリアミド・ポリアミドイミド・ポリイミド類、さらには生分解性プラスチック等のフィルムが知られ、広く用いられている。
【0004】
ところで、上記プラスチックフィルムのうち、特にポリオレフィン類やポリエステル類は、一般に、接着が困難なプラスチック材料である。そのため、これらフィルム同士あるいはその組み合わせ、または、これらフィルムとポリ塩化ビニルを代表とする異種のプラスチックフィルムとの接着にあっては、従来から用いられてきた接着剤では、その接着力は不十分であることが多かった。
【0005】
例えば、ポリ塩化ビニル同士を接着する場合、感熱性接着剤組成物としては、その主成分に同系列のポリ塩化ビニル系樹脂を選ぶことにより高い接着性を得ることができた。しかしながら、このポリ塩化ビニル用の接着剤では、ポリエステル類やポリオレフィン類など、種類を異にするプラスチックへの接着は不可能であって、実用的な接着力を持たないものであった。
このため、ポリ塩化ビニルとそれ以外の各種プラスチックフィルムとを接着する場合、または、ポリ塩化ビニル以外のプラスチックフィルム同士を接着する場合などでは、様々な改善が必要であった。
【0006】
すなわち、前記の例で言えば、ポリエステル類などの接着をする場合、同系列の材料である高分子飽和ポリエステル樹脂を感熱性接着剤組成物として使用することが行われている。然しながら、この場合においても、ポリエステル類の結晶性が高いなどの理由により、接着力は未だ不十分であった。
そのため、こうした接着剤においては、必要に応じ、ロジン系樹脂・テルペン系樹脂・脂肪族石油樹脂・水添石油樹脂などの粘着性付与剤を添加するなどの改良が行われてきた。
しかしながら、この粘着性付与剤を添加した接着剤においては、粘着性付与剤が低分子量成分であることに起因して耐候保存性が悪化したり、高分子量飽和ポリエステル樹脂との相溶性が悪いこと等により、逆に接着性を低下させるなどの問題点があった。
そこで、高分子量飽和ポリエステル樹脂に無水マレイン酸などの官能基を含有した種々のモノマーを共重合させて接着力を改善する試みも成された。しかしながら、この場合であっても、特定の被着体間でしか接着力を示さない、また、低温環境下や経時での接着力低下が著しいなどの問題点が有り、充分な接着力を有するものとすることは出来なかった。
【0007】
一方、接着性を向上させる改良は、接着剤のみならず、各種プラスチックフィルムに対しても試みられている。すなわち、各種プラスチックフィルム表面にコロナ放電処理やアンカリング処理などを行って、化学的結合力を高めることで接着力を向上させようとするものである。しかしながら、これらの処理も、一定の効果は有するものの、経時による変化が大きいなどの理由で、未だ充分な接着力を有するとは言えなかった。
【0008】
ところで、このような感熱性接着剤には、一般的に、ブロッキングを防止する目的でブロッキング防止剤を添加することが多い。ブロッキング防止剤としては、例えば、酸化珪素・タルク等の無機質粒子や有機アミドなどの滑剤が使用される。しかしながら、こうした物質の添加は、ブロッキング防止には効果的であるものの、耐スクラッチ性の低下や透明度の低下といった欠点を生じさせると共に、接着力への阻害要因となって接着力を低下させる等の不具合も引き起こす。
このような理由から、包装材料・成形材料・各種塗工基材などの使用・加工分野においては、プラスチックフィルム同士またはその組み合わせという条件でも、実用上充分な接着力とブロッキング性能とを兼ね備えている感熱性接着剤組成物の開発が望まれていた。
【0009】
他方、前記磁気記録媒体を有するキャッシュカードやクレジットカードなどの磁気カードのコア材としては、ポリ塩化ビニルが多用されている。こうしたカードが不要になった場合、焼却などの廃棄物処理が行われ、その処理の中でダイオキシン発生の問題が生じる。このため、これらカードに使用されるコア材も、ポリ塩化ビニルから、塩素を含まないポリエステル類(PET、PETG等)や生分解性プラスチックなどに切り替える動きが出てきている。
【0010】
該キャッシュカードやクレジットカードに代表される磁気カードは、コア材上の一部または全面に熱転写用積層体を熱転写して作製される。熱転写用積層体は熱転写用支持体(PET・離型フィルム)上に軽剥離性を有する保護層、磁気記録層および熱可塑性接着剤からなる接着層を有する。一般に、熱転写用積層体の熱可塑性接着剤には、熱転写される磁気カードコア材の材質と同系列の樹脂を使用する。従って、コア材がポリ塩化ビニルである場合、ポリ塩化ビニル系樹脂を選ぶことが多い。しかしながら、ダイオキシンの問題によりコア材の切り替えが進む中でも、前記、包装材料・成形材料・各種塗工基材における問題は未解決で、部材特性としてのブロッキング性能と各種プラスチックへの充分な接着力とを兼ね備えた感熱性接着剤樹脂組成物は存在しなかった。
【0011】
一方、ポイントカードに代表される感熱磁気記録媒体のコア材に関しては、既にポリエステル類(PET、PETG等)などのダイオキシン問題を起こさないプラスチック材料が、一部ではあるが、使用され始めている。然しながら、各種プラスチック製の包装材料・成形材料・各種塗工基材におけるのと同様に、該感熱磁気記録媒体用の接着剤とする感熱性接着剤樹脂組成物にも種々の問題が存在し、実用に堪えるブロッキング性とポリエステルコア材に対する十分な接着性とを兼ね備えた感熱性接着剤樹脂組成物は存在しないというのが実情であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記実情に鑑み、本発明は、ブロッキング性がなく、かつポリエステル系樹脂の接着に適した感熱性接着剤樹脂組成物の提供であり、また、該組成物を使用することによる環境汚染の軽減が可能な各種記録媒体の提供である。
すなわち本発明の目的は、ポリエステル系樹脂のコア材に磁気記録媒体および感熱記録媒体を接着してカード状の感熱磁気記録媒体を製造する際に使用する感熱性接着剤組成物に関して、磁気記録媒体および感熱記録媒体を巻物状形態で保管したときにもブロッキングの発生が防止でき、かつ、コア材としてのポリエステル系樹脂と磁気記録媒体における磁気記録層用樹脂であるアクリルポリウレタン系樹脂および感熱記録媒体における基材用樹脂であるポリエステル系樹脂との接着性に優れ、所定の接着強度値が達成できて高接着性である感熱性接着剤樹脂組成物を提供することである。
また、該組成物の使用で形成した接着層を有する感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のポリエステル系ポリウレタン樹脂をベースポリマーとし、それに特定の接着性向上化剤を特定量添加した感熱性接着剤樹脂組成物とすることにより、保管時における部材のブロッキング発生を防止し、かつ従来困難とされてきたポリエステル系樹脂が被着体として関与する接着において高い接着力を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ベースポリマーに接着性向上化剤を含有させた感熱性接着剤樹脂組成物において、前記ベースポリマーがポリエステル系ポリウレタン樹脂であり、接着性向上化剤が熱可融性樹脂であり、かつ接着用途がポリエチレンテレフタレート系樹脂接着用である感熱性接着剤樹脂組成物である。
また本発明は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるコア材(1)の一方の面に磁気記録層を構成層として含む磁気記録媒体(2)を、他方の面に可逆性または非可逆性の感熱記録層を構成層として含む感熱記録媒体(3)とをそれぞれ接着して形成する感熱磁気記録媒体において、前記コア材(1)に対して前記磁気および感熱の両記録媒体を接着させる際に使用する接着剤が、上記感熱性接着剤樹脂組成物である感熱磁気記録媒体である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱性接着剤樹脂組成物は、ベースポリマーである特定のポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液に、接着性向上化剤としての熱可融性樹脂を添加してなる組成物である。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオールと脂肪族イソシアネート化合物とから合成される樹脂であり、各種のグレードが市販品として入手・使用可能である。これらのうち、本発明のベースポリマーとしては、大日本インキ化学工業社製:「CRISVON NT−810」が特に好ましく、これを使用する。この樹脂の代表的物性値は、ガラス転移温度が42℃〔粘弾性測定(昇温速度3℃/分)で得られるtanδのピーク値〕、引張破断強度が277×10E5Pa〔引っ張り速度300mm/分〕、引張破断伸度が665%〔引っ張り速度300mm/分〕、流動開始温度が90℃〔高圧式フローテスター(ダイス:1φ×1L、加圧:98N)の測定〕である。
【0015】
該樹脂は、無黄変硬質ポリエステル系ポリウレタン樹脂であって、PET等への接着性に優れると共に硬質により非ブロッキング性とされるものである。
しかしながら、発明者らの知見に依れば、本発明の各種記録媒体用の接着剤として該「CRISVON NT−810」を単独で使用した場合には、他のメーカーの製品よりは格段に優れているものの、未だ、ブロッキング性と接着性の兼備ということにおいては所望の特性には無く不足であった。すなわち、巻物状形態において保管した場合にはブロッキング発生頻度が高く、接着性での接着強度も、所定の測定方法で8N/12.7mm幅以下と、基準値を下回るものであった。このため、該「CRISVON NT−810」をベースポリマーとし、これへ何らかを添加することにより、この両特性の改良が出来るか否かを検討し、その結果、満足できる成果を得たものである。
【0016】
熱可融性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂粒子が好ましく、そのうち、ポリエチレン樹脂粒子およびポリプロピレン樹脂粒子が特に好ましい。具体的には、高密度ポリエチレン樹脂粒子、低密度ポリエチレン樹脂粒子、変性型ポリエチレン樹脂粒子、分解型低密度ポリエチレン樹脂粒子、分解型ポリプロピレン樹脂粒子が好ましい。また、これら低密度ポリエチレンおよび分解型ポリプロピレン樹脂粒子の重量平均粒子径は3〜23μmの範囲が好ましく、分子量は1,000〜29,000の範囲、融点は100〜150℃の範囲にあることがそれぞれ好ましい。
【0017】
また、これらポリエチレン樹脂粒子およびポリプロピレン樹脂粒子は、前記特定のポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液に添加する際には、事前に分散処理して高分散体とした状態で添加することが好ましい。
分散方法としては、従来公知の分散機がいずれも使用可能であるが、ポリエチレン樹脂粒子およびポリプロピレン樹脂粒子が白色であり、高充填分散時に着色等の問題が発生することもあるため、有機溶剤の添加により分散時の充填率を低く抑えることが出来る分散機、例えば、サンドミル、コボルミル、アトライター、ボールミルなどが好ましい。このときの有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどの溶剤がいずれも使用可能である。
なお、これら樹脂粒子およびその分散体は、市販品として入手・使用することが可能であり、特に好ましい製品としては、三井化学社製:「三井ハイワックス」(高密度ポリエチレン樹脂粒子)および岐阜セラック社製:「ハイフラット」(特殊処理・高密度ポリエチレン樹脂粒子)を挙げることができる。
【0018】
次に、本発明の接着剤組成物からなる接着層を有した本発明の感熱磁気記録媒体、磁気記録媒体および感熱記録媒体について説明する。
図1は、本発明の感熱磁気記録媒体の部分縦断面図である。
この感熱磁気記録媒体は、製造部材的に見て、3種の部材:A〜Cから成り、A.部材1に,B.部材2とC.部材3をそれぞれの接着層により接着した形態のものである。そして、Bは、磁気記録媒体(狭義)2の磁気記録層2.2上に接着層4を形成したものであり、Cは、感熱記録媒体(狭義)3の感熱記録層3.2とは基材3.1を介して反対側の面に接着層4を形成したものである。ここで、接着剤層4は、本発明の感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成する。
【0019】
感熱磁気記録媒体における要求事項等を、ポイントカードを例に、説明する。基本構成は、図1と同様で、コア材(部材1)の片面に磁気記録媒体(部材2)、他面に可逆性の感熱記録媒体(部材3)を有するというものである。
部材2の磁気記録媒体は、通常、支持体・PETフィルム(このフィルムは、コア材に熱転写された後は剥離・除去され、廃棄される)の上に、保護層、磁気記録層、接着層をこの順に積層して調製するものであり、該接着層によりコア材に接着させる。
また、感熱記録媒体は、白色または透明ポリエステルフィルム基材の片面側に感熱発色層、保護層および必要に応じて任意の箇所にアンカー層、蒸着層、中間層などを塗布し、他面側に感熱性接着剤組成物からなる接着層を塗布して調製する。コア材への接着は、上記磁気記録媒体と同様、該接着層で行う。
このことから判るように、該媒体の『接着』に関しては、磁気記録媒体においては磁気記録層のポリ塩化ビニルやアクリルポリウレタン等とコア材のポリエステル類との接着、感熱記録媒体においては基材のPETまたはPETGとコア材のPETまたはPETGというポリエステル類同士の接着が生じ、これらの関係で強い接着力を示す感熱性接着剤組成物が求められることとなる。
【0020】
図2および図3は、本発明の感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した接着層を有する磁気記録媒体および感熱記録媒体の部分縦断面図である。これらは、上記したように、図1の感熱磁気記録媒体を製造するための構成部材であって、コア材1の上下面へ接着させる部材である。
ブロッキングの問題は、この二者の部材のそれぞれにおいて起きる問題である。すなわち、これら二者の部材:磁気記録媒体・部材2および感熱記録媒体・部材3は、保管効率等の点から、通常は巻物状形態として保管する。そのため、接着層4と支持体層2.0(PET)または接着層4と保護層3.4(紫外線硬化型樹脂)とは常時接触している状態にあり、温度・圧力・親和力等に起因して、接触している層間に異常密着が起き、接触する塗膜の剥離や汚損といった不具合を発生させる問題である。
このブロッキング性は、無いことが必要であり、防止する必要がある。
【0021】
本発明の感熱性接着剤樹脂組成物を塗工して接着層を形成させる方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの塗工方式も使用することが出来る。具体的な例としては、グラビヤ・リバース・エアードクター・ブレードコータ・エアーナイフコータ・キスコータ・ダイ・マイクログラビヤ等の方式を挙げることが出来る。
【0022】
本発明の各記録媒体における接着層の厚みは、5〜15μmが好ましい。接着剤層の厚みが5μmより薄くなると接着力が低下し、逆に、15μmより厚くなるとブロッキングの発生や加熱圧着加工時に接着剤のはみ出しなどの不具合が発生するので好ましくない。
【0023】
【実施例】
以下、実施例および比較例も用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0024】
(実施例1)
a.高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1
高密度ポリエチレン樹脂粒子 10部
(三井化学社製:ハイワックス、分子量8,000)
トルエン 90部
上記原材料を、ボールミルを用いて10時間練肉分散し、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1を得た。
【0025】
b.感熱性接着剤樹脂組成物1
ポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液 100部
(大日本インキ化学工業社製:CRISVON NT−810、希釈溶剤;MEK、固形分率;30質量%、Tg;42℃)
高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1 3部
上記原材料を30分間撹拌混合し、感熱性接着剤樹脂組成物1を得た。
【0026】
帝人デュポンフィルム(株)社製透明PETフィルム(商品名;テトロンG2、24μm厚)上に、感熱性接着剤組成物1を、ワイヤーバを用いて乾燥時の厚さが5μmになるよう塗布して接着層を形成し、これを12.7mm巾に裁断した。次いで、別に用意した東レ社製白色PETフィルム(商品名;E−22、250μm厚)上に、前記接着層を介して重ね合わせ、東洋精機社製平圧プレスを用いて15〜17kgf/cm2、120℃、12分間の条件にて熱圧着加工し、試験片を作成した。
【0027】
(実施例2)
感熱性接着剤組成物1の乾燥時の厚さが15μmになるように塗布した以外は、実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0028】
(比較例1)≪接着性向上化剤であるポリオレフィン樹脂、不添加≫
感熱性接着剤組成物1の代わりに、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1を0(ゼロ)部、すなわち、ポリエチレン樹脂粒子は不使用であってポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液のみのものを感熱性接着剤組成物として用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0029】
(比較例2)≪ベースポリマーの相違≫
感熱性接着剤組成物1の代わりに、次のc.感熱性接着剤樹脂組成物2を使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作成した。
c.感熱性接着剤樹脂組成物2
高分子量飽和ポリエステル 100部
(東洋紡社製:バイロン28SS)
高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1 3部
上記原材料を30分間撹拌混合し、感熱性接着剤組成物2を得た。
【0030】
(実施例3)
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の配合量を15部に変更した以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0031】
(実施例4)
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の配合量を30部に変更した以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0032】
(比較例3)≪接着性向上化剤であるポリオレフィン樹脂添加量、過剰化≫
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の配合量を40部に変更した以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0033】
(実施例5)
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の代わりに岐阜セラック社製ハイフラット(商品名;T−10P−5)に変更した以外は、実施例3と同様にして試験片を作成した。
【0034】
(実施例6)
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の代わりに岐阜セラック社製ハイフラット(商品名;FA−341−7)に変更し、その配合量を20部とした以外は、実施例3と同様にして試験片を作成した。
【0035】
(実施例7)
東レ社製白色PETフィルム(商品名;E−22、250μm厚)の代わりに三菱樹脂(株)社製PET−G(商品名;ディアフィクスPG−W)を使用した以外は実施例6と同様にして試験片を作成した。
【0036】
(実施例8)≪磁気記録媒体≫
帝人デュポンフィルム(株)社製透明PETフィルム(商品名;テトロンG2、24μm厚)上に、下記のd.保護層用組成物を乾燥後の厚みが1μmになるよう塗布して保護層を形成させ、次いで下記のe.磁気記録層用組成物1を乾燥後の厚みが7μmになるよう塗布して磁気記録層を形成させ、さらに実施例6にて使用した感熱性接着剤組成物を乾燥後の厚みが8μmになるように塗布した以外は、実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0037】
d.保護層用組成物
ポリビニルブチラール樹脂 10部
(積水化学社製「エスレックBM−1」)
MEK 35部
トルエン 35部
エタノール 20部
上記原材料を、分散攪拌機を用いて30分撹拌混合して、保護層用組成物を得た。
【0038】
e.磁気記録層用組成物1
Co含有γ−Fe2O3酸化鉄(戸田工業社製、「CTX−970」) 27部
アクリル系共重合体樹脂(日信化学社製、「S−8」) 3部
ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業社製、「T−5206」) 4部
MEK 28部
トルエン 28部
シクロヘキサノン 8部
上記原材料を、ボールミルを用いて20時間練肉分散した。
イソシアネート化合物 2部
使用直前に、上記イソシアネート化合物を添加し15分間撹拌混合して、磁気記録層用組成物1を得た。
【0039】
(実施例9)≪感熱記録媒体≫
帝人デュポンフィルム(株)社製透明PETフィルム(商品名;テトロンG2、24μm厚)上に、下記のf.非可逆性感熱記録層用組成物を乾燥後の厚みが7μmになるよう塗布し、次いで下記のg.中間層用塗料組成物を乾燥後の厚みが1μmになるよう塗布し、さらに下記のh.保護層用塗料組成物を乾燥後の厚みが2μmになるように塗布し非可逆性感熱記録媒体を作成する。他方、非可逆性感熱記録媒体を形成させた背面側に、実施例3で用いた感熱性接着剤樹脂組成物を15部に変更した以外は実施例1と同様にして、試験片を作成した。
【0040】
f.非可逆性感熱記録層用組成物
呈色剤(日本化薬社製、商品名;1800A) 70部
ロイコ染料(日本化薬社製、商品名;1800B) 30部
上記原材料を、分散攪拌機を用いて30分撹拌混合して、保護層用組成物を得た。
【0041】
g.中間層用塗料組成物
アクリル樹脂 100部
(大日本インキ化学工業(株)社製、商品名;L−6001)
トルエン 100部
上記原材料を、分散攪拌機を用いて30分撹拌混合して、保護層用組成物を得た。
【0042】
h.保護層用塗料組成物
ジペンタエリスリトールヘプタアクリレート 95部
ヒドロクシエチルアクリレート 5部
ベンジルメチルケタール 6部
炭酸カルシウム 5部
(水沢化学工業(株)社製、商品名;ミズシカルP−527)
トルエン 20部
上記原材料を、分散攪拌機を用いて30分撹拌混合して、保護層用組成物を得た。
【0043】
(比較例4)≪ベースポリマーの変更・相違≫
感熱性接着剤組成物1に代えて、下記のi.感熱性接着剤組成物3を使用した以外は実施例1と同様にして、試験片を作成した。
i.感熱性接着剤組成物3
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 5.5部
(電気化学(株)社製、商品名;1000LT3)
MEK 45部
トルエン 55部
【0044】
[試験方法および評価方法]
得られた試験片について、▲1▼接着性と▲2▼ブロッキング性を、以下の方法にて試験し、評価した。
接着性(接着強度の測定):
(株)オリエンテック社製テンシロン(UTM−11−5−H)を使用して、引っ張り速度100mm/minで剥離しながら180°剥離強度(=接着強度)を求めた。接着強度が目標値の『8N以上/12.7mm幅』であるものを「高接着性・○」(良)、『8N未満/12.7mm幅』であるものを「低接着性・×」(不良)とした。尚、剥離強度測定中に試験片が切れた場合の結果は「材料破壊」と記し、充分な接着強度(15N≦)を有するもと判断し、「高接着性・○」(良)とした。
ブロッキング性:
10mm×10mmの正方形に裁断した試験片を、接着層を上にして2枚を重ね合わせ、さらにその上下を75μmの白色PETフィルムではさんだ。これを東洋精機(株)社製のブロッキングテスターにて、1kg/cm2の荷重をかけ40℃の恒温室に24時間静置した。24時間経過後に取り出し、サンプルを剥がしたときの接着層成分の移行の有無を目視し、移行が認められないときを「ブロッキングなし・○」(良)、認められたときを「ブロッキング有り・×」(不良)と判定した。
【0045】
上記の実施例1〜9、比較例1〜4における接着強度とブロッキング性の評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1より、実施例1〜9において、本発明の感熱性接着剤樹脂組成物の接着強度は9.6N以上であって、目標値の8Nを上回る高接着力であることが判る。
これに対し、ポリオレフィン樹脂粒子を添加しない場合(比較例1)、添加量が12質量%のとき(比較例3)、ベースポリマーがポリエステル系ポリウレタンではないとき(比較例2、4)は、それぞれ、接着力が目標値に達しないことが判る。
また、ブロッキング性に関しては、実施例1〜9では「ブロッキングなし」で○(良)であること、これに対し、ポリオレフィン樹脂不添加の比較例1、および1質量%添加だがベースポリマーが飽和ポリエステルである比較例2では「ブロッキング・有り」で、×(不良)であることが判る。
これにより、各実施例の感熱性接着剤樹脂組成物は、従来、困難とされていたPET等のポリエステル類とそれと同種の素材およびアクリルポリウレタンとの接着性が良好であること、それと同時に、ブロッキング性にも問題がないことが明確である。
【0048】
【発明の効果】
本発明の感熱性接着剤樹脂組成物は、従来、困難とされていたPET等のポリエステル類とそれと同種の素材およびアクリルポリウレタンとの接着性が良好であること、それと同時に、ブロッキング性にも問題がないという顕著な効果を奏する。
また、該接着剤組成物の使用による本発明の感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体の製造が可能となったことにより、ポリ塩化ビニル系プラスチックを使用しなくても良くなり、各記録媒体の廃棄・焼却処分時においてもダイオキシン等の有害物の発生が抑制できて、環境汚染を低減化することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱磁気記録媒体の部分縦断面図であり、符号4.接着層が、本発明別態様である感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した接着層であることを示す図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の部分縦断面図であり、符号4.接着層が、本発明の別態様である感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した接着層であり、上記図1における部材Bであることを示す図である。
【図3】本発明の感熱記録媒体の部分縦断面図であり、符号4.接着層が、本発明の別態様である感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した接着層であり、上記図1における部材Cであることを示す図である。
【符号の説明】
1 被着体(コア材)
2 磁気記録媒体(狭義)
2.0 支持体層(PET・離型フィルム)
2.2 磁気記録層(アクリルポリウレタン)
3 感熱記録媒体(狭義)
3.1 基材層(透明PETフィルム)
3.4 保護層(紫外線硬化型樹脂)
4 接着層(感熱性接着剤樹脂組成物)
A 部材1
B 部材2
C 部材3
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱ないしは加熱加圧することにより接着性を発現し、各種プラスチックのフィルム・基材を接着させる感熱性接着剤樹脂組成物の技術に関し、特に、主被着体がポリエチレンテレフタレート系樹脂(以後、PETとも呼ぶ)である場合における、感熱性接着剤樹脂組成物のブロッキング性と接着性とを改良する技術に関する。また、該組成物を使用して形成した接着層を有する感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリ塩化ビニルを焼却した際に発生するダイオキシンが大きな社会問題となっており、包装材料・成形材料・各種塗工基材などの非磁性支持体に塩素を含まない各種プラスチックフィルムを使用する、いわゆる「脱塩ビ」の動きが出てきている。現在は、その過渡期にあるといえる。
【0003】
ここで、塩素を含まないプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETG[非結晶性PET共重合体])やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類、セルローストリアセテートなどのセルロース誘導体類、アミド結合を有するポリアミド・ポリアミドイミド・ポリイミド類、さらには生分解性プラスチック等のフィルムが知られ、広く用いられている。
【0004】
ところで、上記プラスチックフィルムのうち、特にポリオレフィン類やポリエステル類は、一般に、接着が困難なプラスチック材料である。そのため、これらフィルム同士あるいはその組み合わせ、または、これらフィルムとポリ塩化ビニルを代表とする異種のプラスチックフィルムとの接着にあっては、従来から用いられてきた接着剤では、その接着力は不十分であることが多かった。
【0005】
例えば、ポリ塩化ビニル同士を接着する場合、感熱性接着剤組成物としては、その主成分に同系列のポリ塩化ビニル系樹脂を選ぶことにより高い接着性を得ることができた。しかしながら、このポリ塩化ビニル用の接着剤では、ポリエステル類やポリオレフィン類など、種類を異にするプラスチックへの接着は不可能であって、実用的な接着力を持たないものであった。
このため、ポリ塩化ビニルとそれ以外の各種プラスチックフィルムとを接着する場合、または、ポリ塩化ビニル以外のプラスチックフィルム同士を接着する場合などでは、様々な改善が必要であった。
【0006】
すなわち、前記の例で言えば、ポリエステル類などの接着をする場合、同系列の材料である高分子飽和ポリエステル樹脂を感熱性接着剤組成物として使用することが行われている。然しながら、この場合においても、ポリエステル類の結晶性が高いなどの理由により、接着力は未だ不十分であった。
そのため、こうした接着剤においては、必要に応じ、ロジン系樹脂・テルペン系樹脂・脂肪族石油樹脂・水添石油樹脂などの粘着性付与剤を添加するなどの改良が行われてきた。
しかしながら、この粘着性付与剤を添加した接着剤においては、粘着性付与剤が低分子量成分であることに起因して耐候保存性が悪化したり、高分子量飽和ポリエステル樹脂との相溶性が悪いこと等により、逆に接着性を低下させるなどの問題点があった。
そこで、高分子量飽和ポリエステル樹脂に無水マレイン酸などの官能基を含有した種々のモノマーを共重合させて接着力を改善する試みも成された。しかしながら、この場合であっても、特定の被着体間でしか接着力を示さない、また、低温環境下や経時での接着力低下が著しいなどの問題点が有り、充分な接着力を有するものとすることは出来なかった。
【0007】
一方、接着性を向上させる改良は、接着剤のみならず、各種プラスチックフィルムに対しても試みられている。すなわち、各種プラスチックフィルム表面にコロナ放電処理やアンカリング処理などを行って、化学的結合力を高めることで接着力を向上させようとするものである。しかしながら、これらの処理も、一定の効果は有するものの、経時による変化が大きいなどの理由で、未だ充分な接着力を有するとは言えなかった。
【0008】
ところで、このような感熱性接着剤には、一般的に、ブロッキングを防止する目的でブロッキング防止剤を添加することが多い。ブロッキング防止剤としては、例えば、酸化珪素・タルク等の無機質粒子や有機アミドなどの滑剤が使用される。しかしながら、こうした物質の添加は、ブロッキング防止には効果的であるものの、耐スクラッチ性の低下や透明度の低下といった欠点を生じさせると共に、接着力への阻害要因となって接着力を低下させる等の不具合も引き起こす。
このような理由から、包装材料・成形材料・各種塗工基材などの使用・加工分野においては、プラスチックフィルム同士またはその組み合わせという条件でも、実用上充分な接着力とブロッキング性能とを兼ね備えている感熱性接着剤組成物の開発が望まれていた。
【0009】
他方、前記磁気記録媒体を有するキャッシュカードやクレジットカードなどの磁気カードのコア材としては、ポリ塩化ビニルが多用されている。こうしたカードが不要になった場合、焼却などの廃棄物処理が行われ、その処理の中でダイオキシン発生の問題が生じる。このため、これらカードに使用されるコア材も、ポリ塩化ビニルから、塩素を含まないポリエステル類(PET、PETG等)や生分解性プラスチックなどに切り替える動きが出てきている。
【0010】
該キャッシュカードやクレジットカードに代表される磁気カードは、コア材上の一部または全面に熱転写用積層体を熱転写して作製される。熱転写用積層体は熱転写用支持体(PET・離型フィルム)上に軽剥離性を有する保護層、磁気記録層および熱可塑性接着剤からなる接着層を有する。一般に、熱転写用積層体の熱可塑性接着剤には、熱転写される磁気カードコア材の材質と同系列の樹脂を使用する。従って、コア材がポリ塩化ビニルである場合、ポリ塩化ビニル系樹脂を選ぶことが多い。しかしながら、ダイオキシンの問題によりコア材の切り替えが進む中でも、前記、包装材料・成形材料・各種塗工基材における問題は未解決で、部材特性としてのブロッキング性能と各種プラスチックへの充分な接着力とを兼ね備えた感熱性接着剤樹脂組成物は存在しなかった。
【0011】
一方、ポイントカードに代表される感熱磁気記録媒体のコア材に関しては、既にポリエステル類(PET、PETG等)などのダイオキシン問題を起こさないプラスチック材料が、一部ではあるが、使用され始めている。然しながら、各種プラスチック製の包装材料・成形材料・各種塗工基材におけるのと同様に、該感熱磁気記録媒体用の接着剤とする感熱性接着剤樹脂組成物にも種々の問題が存在し、実用に堪えるブロッキング性とポリエステルコア材に対する十分な接着性とを兼ね備えた感熱性接着剤樹脂組成物は存在しないというのが実情であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記実情に鑑み、本発明は、ブロッキング性がなく、かつポリエステル系樹脂の接着に適した感熱性接着剤樹脂組成物の提供であり、また、該組成物を使用することによる環境汚染の軽減が可能な各種記録媒体の提供である。
すなわち本発明の目的は、ポリエステル系樹脂のコア材に磁気記録媒体および感熱記録媒体を接着してカード状の感熱磁気記録媒体を製造する際に使用する感熱性接着剤組成物に関して、磁気記録媒体および感熱記録媒体を巻物状形態で保管したときにもブロッキングの発生が防止でき、かつ、コア材としてのポリエステル系樹脂と磁気記録媒体における磁気記録層用樹脂であるアクリルポリウレタン系樹脂および感熱記録媒体における基材用樹脂であるポリエステル系樹脂との接着性に優れ、所定の接着強度値が達成できて高接着性である感熱性接着剤樹脂組成物を提供することである。
また、該組成物の使用で形成した接着層を有する感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のポリエステル系ポリウレタン樹脂をベースポリマーとし、それに特定の接着性向上化剤を特定量添加した感熱性接着剤樹脂組成物とすることにより、保管時における部材のブロッキング発生を防止し、かつ従来困難とされてきたポリエステル系樹脂が被着体として関与する接着において高い接着力を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、ベースポリマーに接着性向上化剤を含有させた感熱性接着剤樹脂組成物において、前記ベースポリマーがポリエステル系ポリウレタン樹脂であり、接着性向上化剤が熱可融性樹脂であり、かつ接着用途がポリエチレンテレフタレート系樹脂接着用である感熱性接着剤樹脂組成物である。
また本発明は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるコア材(1)の一方の面に磁気記録層を構成層として含む磁気記録媒体(2)を、他方の面に可逆性または非可逆性の感熱記録層を構成層として含む感熱記録媒体(3)とをそれぞれ接着して形成する感熱磁気記録媒体において、前記コア材(1)に対して前記磁気および感熱の両記録媒体を接着させる際に使用する接着剤が、上記感熱性接着剤樹脂組成物である感熱磁気記録媒体である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱性接着剤樹脂組成物は、ベースポリマーである特定のポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液に、接着性向上化剤としての熱可融性樹脂を添加してなる組成物である。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオールと脂肪族イソシアネート化合物とから合成される樹脂であり、各種のグレードが市販品として入手・使用可能である。これらのうち、本発明のベースポリマーとしては、大日本インキ化学工業社製:「CRISVON NT−810」が特に好ましく、これを使用する。この樹脂の代表的物性値は、ガラス転移温度が42℃〔粘弾性測定(昇温速度3℃/分)で得られるtanδのピーク値〕、引張破断強度が277×10E5Pa〔引っ張り速度300mm/分〕、引張破断伸度が665%〔引っ張り速度300mm/分〕、流動開始温度が90℃〔高圧式フローテスター(ダイス:1φ×1L、加圧:98N)の測定〕である。
【0015】
該樹脂は、無黄変硬質ポリエステル系ポリウレタン樹脂であって、PET等への接着性に優れると共に硬質により非ブロッキング性とされるものである。
しかしながら、発明者らの知見に依れば、本発明の各種記録媒体用の接着剤として該「CRISVON NT−810」を単独で使用した場合には、他のメーカーの製品よりは格段に優れているものの、未だ、ブロッキング性と接着性の兼備ということにおいては所望の特性には無く不足であった。すなわち、巻物状形態において保管した場合にはブロッキング発生頻度が高く、接着性での接着強度も、所定の測定方法で8N/12.7mm幅以下と、基準値を下回るものであった。このため、該「CRISVON NT−810」をベースポリマーとし、これへ何らかを添加することにより、この両特性の改良が出来るか否かを検討し、その結果、満足できる成果を得たものである。
【0016】
熱可融性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂粒子が好ましく、そのうち、ポリエチレン樹脂粒子およびポリプロピレン樹脂粒子が特に好ましい。具体的には、高密度ポリエチレン樹脂粒子、低密度ポリエチレン樹脂粒子、変性型ポリエチレン樹脂粒子、分解型低密度ポリエチレン樹脂粒子、分解型ポリプロピレン樹脂粒子が好ましい。また、これら低密度ポリエチレンおよび分解型ポリプロピレン樹脂粒子の重量平均粒子径は3〜23μmの範囲が好ましく、分子量は1,000〜29,000の範囲、融点は100〜150℃の範囲にあることがそれぞれ好ましい。
【0017】
また、これらポリエチレン樹脂粒子およびポリプロピレン樹脂粒子は、前記特定のポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液に添加する際には、事前に分散処理して高分散体とした状態で添加することが好ましい。
分散方法としては、従来公知の分散機がいずれも使用可能であるが、ポリエチレン樹脂粒子およびポリプロピレン樹脂粒子が白色であり、高充填分散時に着色等の問題が発生することもあるため、有機溶剤の添加により分散時の充填率を低く抑えることが出来る分散機、例えば、サンドミル、コボルミル、アトライター、ボールミルなどが好ましい。このときの有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどの溶剤がいずれも使用可能である。
なお、これら樹脂粒子およびその分散体は、市販品として入手・使用することが可能であり、特に好ましい製品としては、三井化学社製:「三井ハイワックス」(高密度ポリエチレン樹脂粒子)および岐阜セラック社製:「ハイフラット」(特殊処理・高密度ポリエチレン樹脂粒子)を挙げることができる。
【0018】
次に、本発明の接着剤組成物からなる接着層を有した本発明の感熱磁気記録媒体、磁気記録媒体および感熱記録媒体について説明する。
図1は、本発明の感熱磁気記録媒体の部分縦断面図である。
この感熱磁気記録媒体は、製造部材的に見て、3種の部材:A〜Cから成り、A.部材1に,B.部材2とC.部材3をそれぞれの接着層により接着した形態のものである。そして、Bは、磁気記録媒体(狭義)2の磁気記録層2.2上に接着層4を形成したものであり、Cは、感熱記録媒体(狭義)3の感熱記録層3.2とは基材3.1を介して反対側の面に接着層4を形成したものである。ここで、接着剤層4は、本発明の感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成する。
【0019】
感熱磁気記録媒体における要求事項等を、ポイントカードを例に、説明する。基本構成は、図1と同様で、コア材(部材1)の片面に磁気記録媒体(部材2)、他面に可逆性の感熱記録媒体(部材3)を有するというものである。
部材2の磁気記録媒体は、通常、支持体・PETフィルム(このフィルムは、コア材に熱転写された後は剥離・除去され、廃棄される)の上に、保護層、磁気記録層、接着層をこの順に積層して調製するものであり、該接着層によりコア材に接着させる。
また、感熱記録媒体は、白色または透明ポリエステルフィルム基材の片面側に感熱発色層、保護層および必要に応じて任意の箇所にアンカー層、蒸着層、中間層などを塗布し、他面側に感熱性接着剤組成物からなる接着層を塗布して調製する。コア材への接着は、上記磁気記録媒体と同様、該接着層で行う。
このことから判るように、該媒体の『接着』に関しては、磁気記録媒体においては磁気記録層のポリ塩化ビニルやアクリルポリウレタン等とコア材のポリエステル類との接着、感熱記録媒体においては基材のPETまたはPETGとコア材のPETまたはPETGというポリエステル類同士の接着が生じ、これらの関係で強い接着力を示す感熱性接着剤組成物が求められることとなる。
【0020】
図2および図3は、本発明の感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した接着層を有する磁気記録媒体および感熱記録媒体の部分縦断面図である。これらは、上記したように、図1の感熱磁気記録媒体を製造するための構成部材であって、コア材1の上下面へ接着させる部材である。
ブロッキングの問題は、この二者の部材のそれぞれにおいて起きる問題である。すなわち、これら二者の部材:磁気記録媒体・部材2および感熱記録媒体・部材3は、保管効率等の点から、通常は巻物状形態として保管する。そのため、接着層4と支持体層2.0(PET)または接着層4と保護層3.4(紫外線硬化型樹脂)とは常時接触している状態にあり、温度・圧力・親和力等に起因して、接触している層間に異常密着が起き、接触する塗膜の剥離や汚損といった不具合を発生させる問題である。
このブロッキング性は、無いことが必要であり、防止する必要がある。
【0021】
本発明の感熱性接着剤樹脂組成物を塗工して接着層を形成させる方法としては、特に制限はなく、公知のいずれの塗工方式も使用することが出来る。具体的な例としては、グラビヤ・リバース・エアードクター・ブレードコータ・エアーナイフコータ・キスコータ・ダイ・マイクログラビヤ等の方式を挙げることが出来る。
【0022】
本発明の各記録媒体における接着層の厚みは、5〜15μmが好ましい。接着剤層の厚みが5μmより薄くなると接着力が低下し、逆に、15μmより厚くなるとブロッキングの発生や加熱圧着加工時に接着剤のはみ出しなどの不具合が発生するので好ましくない。
【0023】
【実施例】
以下、実施例および比較例も用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0024】
(実施例1)
a.高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1
高密度ポリエチレン樹脂粒子 10部
(三井化学社製:ハイワックス、分子量8,000)
トルエン 90部
上記原材料を、ボールミルを用いて10時間練肉分散し、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1を得た。
【0025】
b.感熱性接着剤樹脂組成物1
ポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液 100部
(大日本インキ化学工業社製:CRISVON NT−810、希釈溶剤;MEK、固形分率;30質量%、Tg;42℃)
高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1 3部
上記原材料を30分間撹拌混合し、感熱性接着剤樹脂組成物1を得た。
【0026】
帝人デュポンフィルム(株)社製透明PETフィルム(商品名;テトロンG2、24μm厚)上に、感熱性接着剤組成物1を、ワイヤーバを用いて乾燥時の厚さが5μmになるよう塗布して接着層を形成し、これを12.7mm巾に裁断した。次いで、別に用意した東レ社製白色PETフィルム(商品名;E−22、250μm厚)上に、前記接着層を介して重ね合わせ、東洋精機社製平圧プレスを用いて15〜17kgf/cm2、120℃、12分間の条件にて熱圧着加工し、試験片を作成した。
【0027】
(実施例2)
感熱性接着剤組成物1の乾燥時の厚さが15μmになるように塗布した以外は、実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0028】
(比較例1)≪接着性向上化剤であるポリオレフィン樹脂、不添加≫
感熱性接着剤組成物1の代わりに、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1を0(ゼロ)部、すなわち、ポリエチレン樹脂粒子は不使用であってポリエステル系ポリウレタン樹脂溶液のみのものを感熱性接着剤組成物として用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0029】
(比較例2)≪ベースポリマーの相違≫
感熱性接着剤組成物1の代わりに、次のc.感熱性接着剤樹脂組成物2を使用した以外は、実施例1と同様にして試験片を作成した。
c.感熱性接着剤樹脂組成物2
高分子量飽和ポリエステル 100部
(東洋紡社製:バイロン28SS)
高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1 3部
上記原材料を30分間撹拌混合し、感熱性接着剤組成物2を得た。
【0030】
(実施例3)
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の配合量を15部に変更した以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0031】
(実施例4)
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の配合量を30部に変更した以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0032】
(比較例3)≪接着性向上化剤であるポリオレフィン樹脂添加量、過剰化≫
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の配合量を40部に変更した以外は実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0033】
(実施例5)
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の代わりに岐阜セラック社製ハイフラット(商品名;T−10P−5)に変更した以外は、実施例3と同様にして試験片を作成した。
【0034】
(実施例6)
感熱性接着剤樹脂組成物1において、高密度ポリエチレン樹脂粒子分散組成物1の代わりに岐阜セラック社製ハイフラット(商品名;FA−341−7)に変更し、その配合量を20部とした以外は、実施例3と同様にして試験片を作成した。
【0035】
(実施例7)
東レ社製白色PETフィルム(商品名;E−22、250μm厚)の代わりに三菱樹脂(株)社製PET−G(商品名;ディアフィクスPG−W)を使用した以外は実施例6と同様にして試験片を作成した。
【0036】
(実施例8)≪磁気記録媒体≫
帝人デュポンフィルム(株)社製透明PETフィルム(商品名;テトロンG2、24μm厚)上に、下記のd.保護層用組成物を乾燥後の厚みが1μmになるよう塗布して保護層を形成させ、次いで下記のe.磁気記録層用組成物1を乾燥後の厚みが7μmになるよう塗布して磁気記録層を形成させ、さらに実施例6にて使用した感熱性接着剤組成物を乾燥後の厚みが8μmになるように塗布した以外は、実施例1と同様にして試験片を作成した。
【0037】
d.保護層用組成物
ポリビニルブチラール樹脂 10部
(積水化学社製「エスレックBM−1」)
MEK 35部
トルエン 35部
エタノール 20部
上記原材料を、分散攪拌機を用いて30分撹拌混合して、保護層用組成物を得た。
【0038】
e.磁気記録層用組成物1
Co含有γ−Fe2O3酸化鉄(戸田工業社製、「CTX−970」) 27部
アクリル系共重合体樹脂(日信化学社製、「S−8」) 3部
ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業社製、「T−5206」) 4部
MEK 28部
トルエン 28部
シクロヘキサノン 8部
上記原材料を、ボールミルを用いて20時間練肉分散した。
イソシアネート化合物 2部
使用直前に、上記イソシアネート化合物を添加し15分間撹拌混合して、磁気記録層用組成物1を得た。
【0039】
(実施例9)≪感熱記録媒体≫
帝人デュポンフィルム(株)社製透明PETフィルム(商品名;テトロンG2、24μm厚)上に、下記のf.非可逆性感熱記録層用組成物を乾燥後の厚みが7μmになるよう塗布し、次いで下記のg.中間層用塗料組成物を乾燥後の厚みが1μmになるよう塗布し、さらに下記のh.保護層用塗料組成物を乾燥後の厚みが2μmになるように塗布し非可逆性感熱記録媒体を作成する。他方、非可逆性感熱記録媒体を形成させた背面側に、実施例3で用いた感熱性接着剤樹脂組成物を15部に変更した以外は実施例1と同様にして、試験片を作成した。
【0040】
f.非可逆性感熱記録層用組成物
呈色剤(日本化薬社製、商品名;1800A) 70部
ロイコ染料(日本化薬社製、商品名;1800B) 30部
上記原材料を、分散攪拌機を用いて30分撹拌混合して、保護層用組成物を得た。
【0041】
g.中間層用塗料組成物
アクリル樹脂 100部
(大日本インキ化学工業(株)社製、商品名;L−6001)
トルエン 100部
上記原材料を、分散攪拌機を用いて30分撹拌混合して、保護層用組成物を得た。
【0042】
h.保護層用塗料組成物
ジペンタエリスリトールヘプタアクリレート 95部
ヒドロクシエチルアクリレート 5部
ベンジルメチルケタール 6部
炭酸カルシウム 5部
(水沢化学工業(株)社製、商品名;ミズシカルP−527)
トルエン 20部
上記原材料を、分散攪拌機を用いて30分撹拌混合して、保護層用組成物を得た。
【0043】
(比較例4)≪ベースポリマーの変更・相違≫
感熱性接着剤組成物1に代えて、下記のi.感熱性接着剤組成物3を使用した以外は実施例1と同様にして、試験片を作成した。
i.感熱性接着剤組成物3
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 5.5部
(電気化学(株)社製、商品名;1000LT3)
MEK 45部
トルエン 55部
【0044】
[試験方法および評価方法]
得られた試験片について、▲1▼接着性と▲2▼ブロッキング性を、以下の方法にて試験し、評価した。
接着性(接着強度の測定):
(株)オリエンテック社製テンシロン(UTM−11−5−H)を使用して、引っ張り速度100mm/minで剥離しながら180°剥離強度(=接着強度)を求めた。接着強度が目標値の『8N以上/12.7mm幅』であるものを「高接着性・○」(良)、『8N未満/12.7mm幅』であるものを「低接着性・×」(不良)とした。尚、剥離強度測定中に試験片が切れた場合の結果は「材料破壊」と記し、充分な接着強度(15N≦)を有するもと判断し、「高接着性・○」(良)とした。
ブロッキング性:
10mm×10mmの正方形に裁断した試験片を、接着層を上にして2枚を重ね合わせ、さらにその上下を75μmの白色PETフィルムではさんだ。これを東洋精機(株)社製のブロッキングテスターにて、1kg/cm2の荷重をかけ40℃の恒温室に24時間静置した。24時間経過後に取り出し、サンプルを剥がしたときの接着層成分の移行の有無を目視し、移行が認められないときを「ブロッキングなし・○」(良)、認められたときを「ブロッキング有り・×」(不良)と判定した。
【0045】
上記の実施例1〜9、比較例1〜4における接着強度とブロッキング性の評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表1より、実施例1〜9において、本発明の感熱性接着剤樹脂組成物の接着強度は9.6N以上であって、目標値の8Nを上回る高接着力であることが判る。
これに対し、ポリオレフィン樹脂粒子を添加しない場合(比較例1)、添加量が12質量%のとき(比較例3)、ベースポリマーがポリエステル系ポリウレタンではないとき(比較例2、4)は、それぞれ、接着力が目標値に達しないことが判る。
また、ブロッキング性に関しては、実施例1〜9では「ブロッキングなし」で○(良)であること、これに対し、ポリオレフィン樹脂不添加の比較例1、および1質量%添加だがベースポリマーが飽和ポリエステルである比較例2では「ブロッキング・有り」で、×(不良)であることが判る。
これにより、各実施例の感熱性接着剤樹脂組成物は、従来、困難とされていたPET等のポリエステル類とそれと同種の素材およびアクリルポリウレタンとの接着性が良好であること、それと同時に、ブロッキング性にも問題がないことが明確である。
【0048】
【発明の効果】
本発明の感熱性接着剤樹脂組成物は、従来、困難とされていたPET等のポリエステル類とそれと同種の素材およびアクリルポリウレタンとの接着性が良好であること、それと同時に、ブロッキング性にも問題がないという顕著な効果を奏する。
また、該接着剤組成物の使用による本発明の感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体の製造が可能となったことにより、ポリ塩化ビニル系プラスチックを使用しなくても良くなり、各記録媒体の廃棄・焼却処分時においてもダイオキシン等の有害物の発生が抑制できて、環境汚染を低減化することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感熱磁気記録媒体の部分縦断面図であり、符号4.接着層が、本発明別態様である感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した接着層であることを示す図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の部分縦断面図であり、符号4.接着層が、本発明の別態様である感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した接着層であり、上記図1における部材Bであることを示す図である。
【図3】本発明の感熱記録媒体の部分縦断面図であり、符号4.接着層が、本発明の別態様である感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した接着層であり、上記図1における部材Cであることを示す図である。
【符号の説明】
1 被着体(コア材)
2 磁気記録媒体(狭義)
2.0 支持体層(PET・離型フィルム)
2.2 磁気記録層(アクリルポリウレタン)
3 感熱記録媒体(狭義)
3.1 基材層(透明PETフィルム)
3.4 保護層(紫外線硬化型樹脂)
4 接着層(感熱性接着剤樹脂組成物)
A 部材1
B 部材2
C 部材3
Claims (8)
- ベースポリマーに接着性向上化剤を含有させた感熱性接着剤樹脂組成物において、前記ベースポリマーがポリエステル系ポリウレタン樹脂であり、接着性向上化剤が熱可融性樹脂であり、かつ接着用途がポリエチレンテレフタレート系樹脂接着用であることを特徴とする感熱性接着剤樹脂組成物。
- ポリエステル系ポリウレタン樹脂(A)と熱可融性樹脂(B)との質量%での組成比率が、(A)/(B)=(90〜99)/(10〜1)である請求項1に記載の感熱性接着剤樹脂組成物。
- 熱可融性樹脂が、ポリエチレン樹脂及び/又はポリプロピレン樹脂で且つ粒子状の樹脂である請求項1または請求項2に記載の感熱性接着剤樹脂組成物。
- ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなるコア材(1)の一方の面に磁気記録層を構成層として含む磁気記録媒体(2)を、他方の面に可逆性または非可逆性の感熱記録層を構成層として含む感熱記録媒体(3)とをそれぞれ接着して形成する感熱磁気記録媒体において、前記コア材(1)に対して前記磁気および感熱の両記録媒体を接着させる際に使用する接着剤が、上記請求項1〜請求項3の何れかに記載の感熱性接着剤樹脂組成物であることを特徴とする感熱磁気記録媒体。
- ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる支持体(2.0)の片面に少なくとも磁気記録層(2.2)と接着層(4)とをこの順に積層して形成した磁気記録媒体(2)、または基材(3.1)の一方の面に少なくとも感熱記録層(3.2)、他方の面に接着層(4)をそれぞれに形成した感熱記録媒体(3)との2種の記録媒体において、前記接着層(4)が、請求項1〜請求項3の何れかに記載の感熱性接着剤樹脂組成物を使用して形成した層であることを特徴とする磁気記録媒体または感熱記録媒体。
- 感熱性接着剤樹脂組成物からなる接着層(4)の厚さが、5〜15μmである請求項4または請求項5に記載の感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体。
- 接着剤としての用途が、上記請求項4〜請求項6の何れかに記載の感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体における接着層(4)を形成するものである請求項1〜請求項3の何れかに記載の感熱性接着剤組成物。
- 上記請求項4〜請求項6の何れかに記載の接着層(4)を有する感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体の製造方法において、接着層(4)を形成する方法が、請求項1〜請求項3の何れかに記載の感熱性接着剤組成物を使用する方法であることを特徴とする感熱磁気記録媒体または磁気記録媒体若しくは感熱記録媒体の製造方法。
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- 2002-07-23 JP JP2002213845A patent/JP2004051878A/ja active Pending
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