JP4288813B2 - 熱転写用積層体および磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気カード等に使用されるカード用の非磁性支持体基体上に、接着層を介して磁性層を有し、さらにその上に保護層を有する磁気記録媒体において、カード用基体が生分解性を有する基体の時に、基体と磁性層とを高い接着強度で接着せしめる接着層を有する磁気記録媒体に関し、また、該磁気記録媒体を製造するために使用される熱転写用積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、キャッシュカード、クレジットカードなどの磁気カード用非磁性支持体の基体には、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が用いられている。これらのカードは利用者に販売もしくは貸与された後は、利用者が磁気カードを使い終わると共に廃棄される。とくに上述の素材を用いたプラスチック製磁気カードについては、その使用後の処理を現在の所、焼却または廃棄物としての埋め立てなどによる処分によっている。しかし、プラスチック廃棄物は、焼却による焼却温度の高熱化による焼却炉の耐久性劣化の問題、燃焼ガスなどの公害問題を有しており、また廃棄物としての埋め立てについては、これらプラスティック製磁気カードが、埋め立て地において分解または生分解することなく原形のまま残存するため半永久的にゴミとして残り、自然環境への影響が問題となっている。
【0003】
これらプラスティックについては、特開昭57−150393号公報、特開昭59−220192号公報、特開昭51−93991号公報、特開昭63−260912号公報等に記載されるように、日光による分解、または地中における分解などのように、自然環境下で分解または生分解が可能なプラスチックが開発され、特に使い捨て型の商品パッケージに用いられ、現在ではそれらの一部が商品化されている。一方、カードの分野では特開平5−42786号、特開平5−85088号において、カード用基体に生分解性あるいは光分解性のプラスチックを用いることが述べられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
プラスチック製磁気カードを製造するには、オーバーレイシート、コアシート、オーバーレイシートの順に積層されたプラスティック製のカード用基体に、磁気記録媒体形成用の熱転写用積層体を、70〜120℃程度の温度で、転写用仮支持体であるPETフィルム部分を剥離出来る程度の接着強度で接着する。PETフィルムを剥離後、転写された積層体を、カード用基体に埋め込むように120〜200℃で加圧することにより磁気ストライプ部分を形成する。
【0005】
カード用基体を生分解性プラスチックとした場合、上記接着工程において使用される接着剤は、一方は生分解性カード基体との、また他方は磁気記録媒体形成のために熱転写用積層体の磁気層に用いられるポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等との、双方との相溶性が良い必要がある。従来用いられてきた磁気記録媒体製造のための熱転写用積層体用接着剤は、ポリ塩化ビニル樹脂を主成分として構成されたカード用基体を対象としたものであったため、これを用いると磁気層への接着力は良好であるが、生分解性カード基体に対しては接着性が乏しいという欠点を持っていた。
【0006】
さらにまた、従来の生分解性を有するカード用基体で形成されたプラスティック製磁気カードではカード基体の本体そのものは生分解性を有するが、磁性層や接着層など、カード基体に積層される部分は必ずしも生分解性を有していない。生分解性プラスチックをカード用基体として使用する以上、その接着層に用いる接着剤も生分解性を有することが望ましい。
【0007】
しかしながら現在までのところ、接着層と磁気カード用基体の両方に生分解性プラスチックを用いた磁気記録媒体や磁気記録媒体形成のための熱転写用積層体は存在しなかった。本発明においてプラスティック製磁気カードのカード用基体に加えて、接着層まで生分解性樹脂としたことで、カードを構成する全ての構成成分を生分解性とする目標に向けて、カード全体の生分解性をさらに高める事ができた。本発明は生分解性カードとの接着性が高く、かつ、高温環境下における耐ブロッキング性に優れた熱転写用積層体、およびこれを使用して製造する磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは目的を達成するためにカード用基体である非磁性支持体に生分解性樹脂を用いた磁気カードにおいて、接着層に生分解性樹脂を用いることで、カード全体としての生分解性をより高めるとともに、特に接着剤の主成分にポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルを用いることによってカード用基体への接着性をより高めうることを見出した。また接着層に、生分解性樹脂とともにセルロース誘導体を含有させることで、熱転写用積層体の高温環境下での耐ブロッキング性能を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明に記載した熱転写用積層体を製造するには、転写用仮支持体である剥離用非磁性支持体上に保護層、磁性層、接着層をこの順にそれぞれ塗布、乾燥あるいは硬化の工程を経て積層する。この場合、通常、広幅長尺の剥離用非磁性支持体上に各構成層を積層した後、磁気カード等の磁気記録媒体の作製に必要とされる所定の幅にスリットし、テープ状に加工してリールに巻き取る。剥離用非磁性支持体としては、例えば厚さ15〜100μmの合成紙、PETフィルム等を用いることができる。
【0011】
保護層形成用塗料に用いる結着剤樹脂は、公知慣用のものが使用できるが、比較的硬質で、皮膜性がよく、かつ剥離性に優れたものが好ましい。そのような樹脂としては、例えばニトロセルロース、アセチルセルロースなどのセルロース誘導体樹脂、ポリメチルメタクリレート及びその共重合体、ポリビニルブチラール、アクリル、ポリカーボネートフェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0012】
これらの樹脂をアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤に5〜40質量%の濃度となるように調整するが、シリコン樹脂やフッ素系樹脂、またポリエチレンワックスのような公知慣用の離型剤を加えてもよい。上記塗料を、転写用仮支持体である剥離用の非磁性支持体上に、乾燥塗膜厚が0.4〜2.0μmとなるように塗布の後空気中で乾燥し、好ましくは100〜120℃で、10秒から5分の間、熱硬化処理を行う。
【0013】
保護層用の結着剤樹脂はそのまま用いてもよいが、保護層の耐久性を向上させるにためにさらに、この結着剤樹脂分子間を容易に架橋する硬化剤として、例えばポリイソシアネート化合物を併用してもよい。ポリイソシアネート化合物の使用割合は、上記結着剤樹脂100質量部に対し2〜30質量部の範囲が好ましい。
【0014】
保護層の上に塗布すべき磁性層に用いられる結着剤樹脂としては、例えば塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂等、あるいはこれらを混合して用いることが出来る。
【0015】
磁性層用の液状磁性塗料は、例えばγ−酸化鉄、マグネタイト、コバルト被着酸化鉄、2酸化クロム、鉄系メタル磁性粉、ストロンチュウムフェライト、バリウムフェライト等の磁性粉末に、磁性粉末に対して好ましくは20〜30質量%の上記結着性樹脂とMEK、トルエン、シクロヘキサノン等の溶剤、さらに公知慣用の分散安定剤や界面活性剤、さらには樹脂フィラー等を加えて、例えばボールミル、サンドグラインドミル等の分散機で分散して製造する。
【0016】
磁性塗料の固形分の濃度は25%〜50質量%が好ましい。この磁性層用塗料にイソシアネート化合物を添加、混合攪拌後、保護層の上に乾燥塗膜厚が2〜20μmとなるように塗布し、塗膜を乾燥させる。
【0017】
磁性層の上に塗布する接着層に用いられる結着剤樹脂としては、例えば、低温で軟化するポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル等があげられる。特に分子量が10000〜100000であり、常温ではタックフリーであるが、加熱により粘接着性を発現し、熱可塑性接着剤となりうる結着剤樹脂を用いることが好ましい。
上記接着層は、生分解性プラスチックとの接着力が高く、常温の環境下であればこのままでも十分その性能を発揮することができるが、リールに巻かれた当該熱転写用積層体テープが、赤道を越えて船舶で海外へ輸送される場合等、高温環境下に長時間置かれる事によって発生する熱転写用積層体同士のブロッキング防止を目的として、シリカや樹脂ビーズ等のブロッキング防止剤、あるいはセルロース誘導体を添加してもよい。特にセルロース誘導体のブロッキング防止効果は顕著である。セルロース誘導体としては、ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂と有機溶媒中における相溶性が良好でガラス転移温度が相対的に高く、両者の配合比を変えることにより、粘接着温度をコントロールできることが必要である。そのためには、セルロース誘導体の中でも特に、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等が好ましく、これらを単独あるいは混合して使用することができる。分子量の好ましい範囲は10000〜100000であり、ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルとセルロース誘導体の配合比率の好ましい範囲は、99:1〜40:60であり、より好ましくは99:1〜50:50である。セルロース誘導体の配合量が上記範囲を超えて多すぎる場合は、耐ブロッキング性は向上するが、相対的にポリカプロラクトン系ポリエステルの配合量が減少するため、接着力が不十分となる傾向がみられる。
これら樹脂を用い、MEK、トルエン等の溶剤に3〜70質量%となるように接着層用液状塗料を調整して、乾燥後の塗膜厚が0.3〜10μmとなるように塗布、乾燥させ、熱接着性樹脂層よりなる接着層とする。
【0018】
磁気記録媒体形成用熱転写材料の構成を図1に示す。
【0019】
層構成A(磁気記録媒体形成用熱転写用積層体):
1.転写用仮支持体である剥離性の非磁性支持体/2.離型剤を含む、非磁性支持体から剥離性の高い保護層/3.磁性粉粒子が、結着剤樹脂に均一に分散した前記保護層に対して良好な接着性を有する磁性層/4.前記磁性層への良好な接着性と後述する転写すべき生分解性を有する非磁性支持体への良好な接着性とを兼備する常温で接着性がなく、加熱時粘接着性を発現する接着層。
【0020】
このように作成された磁気記録媒体製造のための熱転写用積層体を用いて、転写工程を経て磁気カード等の磁気記録媒体を作製するには、前記の通り、磁気記録媒体製造のための熱転写用積層体の原反を、所定の幅に裁断し作製した転写用磁気テープを用いる。転写用磁気テープの接着層を、その上に被転写層を形成すべき非磁性支持体よりなる基体の表面に接触させ、転写用磁気テープの離型基体である剥離性の非磁性支持体の側から、加圧、加熱して両者を接着させる。その後転写用磁気テープの剥離性非磁性支持体を、保護層との界面より剥離して、新たな非磁性支持体の基体の上に、保護層を最上層とした膜構成を転写させる。
【0021】
図2に転写工程を経て作製された磁気記録媒体の構成を示す。
【0022】
層構成B(転写工程を経て作製された磁気記録媒体):
5.離型剤を含む、転写用仮支持体からの剥離性の高い保護層/6.磁性粉粒子が、結着剤樹脂に均一に分散した前記保護層に対して良好な接着性を有する磁性層/7.前記磁性層への良好な接着性と生分解性を有する非磁性支持体への良好な接着性とを兼備する常温で接着性がなく、加熱時粘接着性を発現する接着層/8.磁気記録媒体の基体である、生分解性を有する非磁性支持体。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、次の発明を包含する。
【0024】
1.転写用仮支持体上に、易離型性保護層と、磁性層と、接着層とが、この順に積層された熱転写用積層体において、当該接着層に生分解性樹脂を含有することを特徴とする熱転写用積層体。
2.生分解性樹脂がポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルであることを特徴とする1.記載の熱転写用積層体。
3.接着剤の主成分がポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルであることを特徴とする1.または2.記載の熱転写用積層体。
4.接着層にセルロース誘導体を含有することを特徴とする1.または2.記載の熱転写用積層体。
5.生分解性を有する非磁性支持体上に、接着層と、磁性層と保護層とがこの順に積層された磁気記録媒体において、当該接着層に生分解性樹脂を含有することを特徴とする磁気記録媒体。
6.生分解性樹脂がポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルであることを特徴とする5.記載の磁気記録媒体。
7.接着剤の主成分がポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルであることを特徴とする5.または6.記載の磁気記録媒体。
8.接着層にセルロース誘導体を含有することを特徴とする5.または6.記載の磁気記録媒体。
【0025】
本発明の好適な実施形態を以下に記す。
【0026】
磁気記録媒体形成用熱転写用積層体の製造に関しては、厚さ15〜100μmのPETフィルム上に結着剤樹脂としてセルロース誘導体樹脂等をアセトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、トルエン等の溶剤に5〜40質量%の濃度にして加え、さらにシリコン樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンワックス等の離型剤を加えたもの。あるいはさらにこれに結着剤樹脂の2〜30質量%の範囲でポリイソシアネート化合物を加えた液状塗料を、非磁性支持体上に乾燥塗膜厚が0.4〜2.0μmとなるように塗布の後、10〜120℃の温度で10秒から5分の間熱硬化処理する。
【0027】
上記のように形成された保護層の上にコバルト被着酸化鉄、バリウムフェライト、鉄系メタル磁性粉等の磁性粉末に対して、20〜30質量%の塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリウレタン樹脂等の結着剤樹脂を加え、さらにMEK、トルエン、シクロヘキサノン等の溶剤、公知慣用の分散安定剤や界面活性剤、樹脂フィラー等を加えて、ボールミル、サンドミル等の分散機で分散して作製した固形分濃度25〜50%の磁性用塗料を、乾燥塗膜厚が2〜20μmとなるように塗布し、乾燥させる。
【0028】
さらにその上に、接着層として分子量10000〜100000のポリカプロラクトン系脂肪属ポリエステル樹脂に、より望ましくはブロッキング防止剤としてシリカや樹脂ビーズ等を添加して、MEKやトルエン等の溶剤に3〜70質量%となるように調整し、塗膜厚が0.3〜10μmとなるように塗布したものを乾燥させる。ここで、熱転写用積層体テープをリール形態にて長期間高温下で保存される場合は、分子量が10000〜100000のセルロースアセテートブチレートおよび/またはセルロースアセテートプロピオネート樹脂を、ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルと上記セルロース誘導体の配合比率が、好ましくは99:1〜40:60、より好ましくは99:1〜50:50の範囲となるように混合し、前記と同様にMEKやトルエン等の溶剤に3〜70質量%となるように調整し、塗膜厚が0.3〜10μmとなるように塗布したものを乾燥させ使用できる。
【0029】
このように作製した磁気記録媒体形成用熱転写用積層体から、カード用磁気記録媒体を作製するには、該熱転写用積層体の接着層を、生分解性樹脂よりなるカード用基体の表面に接触させ、該積層体の仮支持体側から70〜120℃に加熱し、該積層体の接着層とカード用基体を接着した後、熱転写積層体の仮支持体を保護層との界面より剥離、除去する。剥離後さらにカード用基体に埋め込むように120〜200℃で加圧することにより磁気ストライプ部分を形成する。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を挙げ、詳細に説明する。
【0031】
(実施例1)
転写用仮支持体である支持体フィルム(離型基体)として、厚さ24μmのPETフィルムを用い、このフィルムの片面上に下記a、b、cの各組成物を用い、厚さ1μmの保護層、厚さ10μmの磁性層、厚さ3μmの接着層をこの順に、順次塗布形成した後、所定幅(10mm)に裁断して熱転写用積層体テープ(磁気記録媒体形成用熱転写用積層体)を作製した。
【0032】
a 保護層用組成物
酢酸セルロース 8部
(ダイセル化学社製、『酢酸綿 L-AC L-20』)
ポリエチレンワックス 1.7部
(三井石油化学社製、『ハイワックス200PF』)
大豆レシチン 0.1部
アセトン 26部
酢酸エチル 26部
シクロヘキサノン 19部
トルエン 19部
【0033】
b 磁性層用組成物
Co含有γ−Fe2O3酸化鉄 27部
(戸田工業社製、『CTX−970』)
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂
(積水化学社製、『ソルバインA』) 4部
ポリウレタン樹脂 3部
(大日本インキ化学工業(株)製『TS−03』)
MEK 28部
トルエン 28部
シクロヘキサノン 8部
イソシアネート化合物 2部
【0034】
c 接着層用組成物1
ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル樹脂 8部
(ダイセル化学工業株式会社製、『セルグリーンPH7』)
MEK 46部
トルエン 46部
【0035】
上記、熱転写用積層体を所定の幅(10mm)に裁断し、テープ状磁気記録媒体形成用の熱転写用積層体である転写用磁気テープを作製した。カード用基体としての非磁性支持体として、β−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸の共重合ポリエステルであるグンゼ株式会社製生分解性プラスチック(ビオファン)を用い、これに転写用磁気テープの接着剤面が接するように重ね合わせ、積層体の構成を非磁性支持体に転写させて、カード状の磁気記録媒体であるプラスティック製磁気カードを作製した。
【0036】
(実施例2)
実施例1におけるcの接着層用組成物1の代わりに、下記の接着層用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様の方法でカード状の磁気記録媒体であるプラスティック製磁気カードを作製した。
【0037】
c 接着層用組成物2
ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル樹脂 9部
(ダイセル化学工業株式会社製、『セルグリーンPH7』)
セルロースアセテートプロピオネート樹脂 1部
(イーストマンコダック社製、『CAP−482−0.5』)
MEK 45部
トルエン 45部
【0038】
(実施例3)
実施例1におけるcの接着層用組成物1の代わりに、下記の接着層用組成物3を用いた以外は、実施例1と同様の方法でカード状の磁気記録媒体であるプラスティック製磁気カードを作製した。
【0039】
c 接着層用組成物3
ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル樹脂 7部
(ダイセル化学工業株式会社製、『セルグリーンPH7』)
セルロースアセテートプロピオネート樹脂 3部
(イーストマンコダック社製、『CAP−482−0.5』)
MEK 45部
トルエン 45部
【0040】
(実施例4)
実施例1におけるcの接着層用組成物1の代わりに、下記の接着層用組成物4を用いた以外は、実施例1と同様の方法でカード状の磁気記録媒体であるプラスティック製磁気カードを作製した。
【0041】
c 接着層用組成物4
ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル樹脂 4部
(ダイセル化学工業株式会社製、『セルグリーンPH7』)
セルロースアセテートプロピオネート樹脂 6部
(イーストマンコダック社製、『CAP−482−0.5』)
MEK 45部
トルエン 45部
【0042】
(実施例5)
実施例1における磁気記録媒体形成用熱転写用積層体である転写用磁気テープを用い、乳酸系ポリエステル(CPLA)よりなる大日本インキ化学工業株式会社製生分解性プラスティックに転写してプラスティック製磁気カードを作製した。
【0043】
(実施例6)
実施例1における磁気記録媒体形成用熱転写用積層体である転写用磁気テープの代わりに、実施例2における磁気記録媒体形成用熱転写用積層体である転写用磁気テープを用いた以外は、実施例5と同様の方法でプラスティック製磁気カードを作製した。
【0044】
(実施例7)
実施例1における磁気記録媒体形成用熱転写用積層体である転写用磁気テープの代わりに、実施例3における磁気記録媒体形成用熱転写用積層体である転写用磁気テープを用いた以外は、実施例5と同様の方法でプラスティック製磁気カードを作製した。
【0045】
(実施例8)
実施例1における磁気記録媒体形成用熱転写用積層体である転写用磁気テープの代わりに、実施例4における磁気記録媒体形成用熱転写用積層体である転写用磁気テープを用いた以外は、実施例5と同様の方法でプラスティック製磁気カードを作製した。
【0046】
(比較例1)
実施例1におけるcの接着層用組成物1の代わりに、下記の接着層用組成物5を用いた以外は実施例1と同様の方法で転写用磁気テープを作製後、グンゼ株式会社製生分解性プラスチック(ビオファン)に転写してプラスティック製磁気カードを作製した。
【0047】
c 接着層用組成物5
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂
(UCC社製、『VMCH』) 7部
ポリウレタン樹脂 31部
(大日本インキ化学工業(株)製、『TS−03』)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 11部
(電気化学社製、『1000LT3』)
MEK 8部
トルエン 42部
【0048】
(比較例2)
実施例1におけるcの接着層用組成物1の代わりに、下記の接着層用組成物6を使用した以外は実施例1と同様の方法で転写用磁気テープを作製後、比較例1と同様の方法でプラスティック製磁気カードを作製した。
【0049】
c 接着層用組成物6
芳香族ポリエステル
(東洋紡社製、『バイロン200』) 20部
MEK 40部
トルエン 40部
【0050】
(比較例3)
実施例1におけるcの接着層用組成物1の代わりに、下記の接着層用組成物7を使用した以外は実施例1と同様の方法で転写用磁気テープを作製後、比較例1と同様の方法でプラスティック製磁気カードを作製した。
【0051】
c 接着層用組成物7
ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル樹脂 3部
(ダイセル化学工業株式会社製、『セルグリーンPH7』)
セルロースアセテートプロピオネート樹脂 7部
(イーストマンコダック社製、『CAP−482−0.5』)
MEK 45部
トルエン 45部
【0052】
(試験及び結果)
(接着性試験)
転写することによって作製されたカード状磁気記録媒体を用いて、JIS K5400記載の碁盤目テープ法に準じた接着性試験を行った。各々の評価はn=2で行い、その結果は表2の通りである。カード用基体への転写温度80℃、160℃のそれぞれの転写温度に対する1回目と2回目の測定値を▲1▼▲2▼で示した。
尚、本試験の評価の基準は表1に示す通りである。
【0053】
(ブロッキング試験)
熱転写用積層体を10mm×10mmの正方形に裁断したサンプルを2枚準備し、それぞれの接着層面と転写用仮支持体面とが接するように重ね合わせ、更にその両面を75μmの乳白色PETフィルムで挟んだ。上記被測定用サンプルを東洋精機(株)製のブロッキングテスターにて、1kg/cm2の加重をかけ、60℃の恒温室に48時間静置した。48時間後にサンプルを取り出し、熱転写用積層体同士を剥離した。接着層面を接触させていた熱転写用積層体から層構成が、もう一方の転写用仮支持体面に転移していればブロッキングと判断した。その結果を表3に示す。
【0054】
表2の結果から明らかなように、接着層に生分解性樹脂を用いた本発明の転写用磁気テープを使い、転写工程により作製された磁気カードは、接着層に塩酢ビ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を用いた転写型磁気テープより作製された従来の磁気カードに比べると、接着性が大幅に改善されていることがわかる。
【0055】
一方、表3の結果から、接着層用組成物に用いられる生分解性樹脂にセルロース誘導体樹脂を混合することにより、生分解性樹脂製カードにおける接着性を保持しながら熱転写用積層体同士の耐ブロッキング性が改善されていることがわかる。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】
カード用基体が生分解性を有し、かつ該基体上に接着層を有するカード状磁気記録媒体において、接着層に生分解性を有する樹脂、とくに好ましくはポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル樹脂を含有することにより、比較例1、2に示す従来のものより、接着強度の高い磁気記録媒体を得ることができるという点で格別顕著な効果を有するものである。このようなカード状磁気記録媒体を転写工程を経て作製するには、磁気記録媒体形成用熱転写積層体において、層構成中の接着層に、同様の生分解性を有する樹脂を用いればよい。
【0060】
また、本発明による生分解性樹脂を含有する接着層用組成物に、セルロース誘導体樹脂、なかでもセルロースアセテートブチレートおよび/またはセルロースアセテートプロピオネートを添加することにより、高温環境下における熱転写用積層体の耐ブロッキング性向上に格別顕著な効果が得られる。
【0061】
以上本発明によれば、このような生分解性カード基体への接着強度の高い磁気記録媒体形成用熱転写材料を用いることにより、カードを使用する際の不良率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気記録媒体製造のための熱転写用積層体の断面構造図である。
【図2】転写工程を経て形成された磁気カード用の磁気記録媒体の断面構造図である。
【符号の説明】
1 転写用仮支持体。
2 剥離層を兼ねた保護層。
3 磁性層。
4 接着層。
5 保護層。
6 磁性層。
7 接着層。
8 カード用基体である非磁性支持体。
Claims (8)
- 転写用仮支持体上に、易離型性保護層と、磁性層と、接着層とが、この順に積層された熱転写用積層体において、当該接着層に生分解性樹脂を含有することを特徴とする熱転写用積層体。
- 生分解性樹脂がポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載の熱転写用積層体。
- 接着剤の主成分がポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1または2記載の熱転写用積層体。
- 接着層にセルロース誘導体を含有することを特徴とする請求項1または2記載の熱転写用積層体。
- 生分解性を有する非磁性支持体上に、接着層と、磁性層と保護層とがこの順に積層された磁気記録媒体において、当該接着層に生分解性樹脂を含有することを特徴とする磁気記録媒体。
- 生分解性樹脂がポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。
- 接着剤の主成分がポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項5または6記載の磁気記録媒体。
- 接着層にセルロース誘導体を含有することを特徴とする請求項5または6記載の磁気記録媒体。
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