JPWO2006038438A1 - 可逆性感熱記録体及び、表示層を有する通信媒体及び記録体 - Google Patents

可逆性感熱記録体及び、表示層を有する通信媒体及び記録体 Download PDF

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Abstract

媒体変形、洗浄時の耐折れ、耐擦等に対する耐久性が改善された可逆性感熱記録体、並びに、外部からの応力に対して強く、印刷適性に優れたICチップ内蔵通信媒体を提供する。更に、カールが発生し難い層構成を有した記録体を提供する。本発明の可逆性感熱記録体は、可逆性感熱記録層を有するPETを主成分とする表示基材と、特定のハードセグメントとソフトセグメントから成るポリエステルエラストマーを主成分とする支持体が、接着層により接着された構成を有する。本発明の通信媒体は、表示基材及び表示基材上の表示層を備える表示部材と、表示部材の表示基材側に配置される、特定の機械的条件を満足する補強板を接合したICチップを搭載したICインレットと、当該ICインレットを覆う保持層とを備え、該通信媒体の曲げ弾性率は100〜2000MPaである。本発明の記録体は、基材の表面に設けられた表示層と、基材の裏面に設けられたカール防止層とを有し、当該カール防止層が、基材側に位置する接着剤層と、当該接着剤層にて積層された合成樹脂製の保持層とを含み、表示層の線膨張率:接着剤層と保持層の少なくともいずれか一方の線膨張率の比率が1:5〜5:1の間で、かつ、接着剤層と保持層の少なくともいずれか一方の貯蔵弾性率は0.01〜1.5GPaである。

Description

本発明は熱により可逆性に発色状態、消色状態を繰り返し表示可能な可逆性感熱記録体に関するものである。
又、本発明はRFID(Radio Frequency Identification:無線周波数認識)を搭載した印刷適性を持つ通信媒体に関するものである。
更に本発明は、記録性に優れた折れしわの入りにくい記録体、更には識別タグを内蔵する記録体に関するものである。
近年、環境問題の意識の高まりから森林保護のために紙の使用を抑えようとする動きが活発化している。紙の代替となる表示媒体としてはパーソナルコンピュータなどのブラウン管モニタや液晶パネルなどがあげられ、近年液晶方式や電気泳動を応用した電子ペーパーなどの電子デバイスが提案されてきている。
また、一覧性や柔軟性、質感が紙に近いことなどから、熱により記録消去が可能な種々の可逆性感熱記録体もその有力な候補として実用化されるようになってきた。
従来からこのような可逆性感熱記録体は磁気カードに搭載され、チェーン店の蓄積ポイント表示に使用されてきた。また、リユースタイプの定期券用非接触ICカードやスキー場のリフト券などに搭載されて使用期限の表示などに使用されている。しかしながら、これらはカードとしての形状に限定された比較的固い媒体であり、リユースの回数もせいぜい数十回程度できれば良いと考えられてきた。紙の代替表示媒体として使用する場合は、柔軟性のあるもっと大きなA6版以上の大きさが要求されるのが一般的であり、カードサイズではほとんど問題になることのなかった、折れ、変形などが発生し、実用耐久性上の問題として浮かび上がっている。
従来の技術としては、媒体の寿命を延ばすためには、基材に工夫を凝らし、感熱記録層の性能を上げ、媒体としてのリユースを提案されているものがある。下記の特許文献1では、5kg/cm2における応力に対する基材の圧縮率を10〜25%にすることにより、感熱リライトの基材の劣化を防ぎ、表示層の感熱記録層のリユース性を優れたものにすることが紹介されている。
さらに、支持体にゴム弾性を持つ厚さ0.2〜20ミクロンの弾性層で、感熱記録層と熱印加用加熱体の密着を良くすることが特許文献2に紹介されている。印字品質に関して、密着を良くすれば、品質が良くなることが開示されている。
また、特許文献3には支持体とは個別の、ゴム弾性を持つ高分子を主成分とする弾性層を一層または二層以上設けることを特徴とする可逆性感熱記録体が提案されている。これは感熱記録層と熱印加用加熱体間の密着性不良に基づく再現性不良を改善し、長期間にわたって再現性良く、鮮明な画像と充分な消色状態を得ることを目的としたものである。実施例で100mmのポリエステルフィルムに5ないし20mmの弾性層を積層しているが、この組み合わせでは、後述の洗浄時の傷の入りこみの防止や、折れ型の入りこみの防止は実現できず、折り目上の再印字や変形に対する対策として想定されたものではない。
特開平5−294073号公報(請求項1他) 特開平5−221152号公報 特開2001−130135号公報
又、従来、物流、販売等における商品管理には、バーコードを利用した自動認識管理システムが用いられている。バーコードは、画像(バー)の配列状態を情報化したものであり、専用のバーコードリーダでその情報を読みとることが可能である。そのため、例えば商品情報を表示したバーコードを当該商品に添付して商品管理や物流管理が行われている。
ところが、バーコードは大量の情報を記録、表示させたり、情報の更新が不可能であり、又、偽造が容易であるという問題がある。そのため、近年、RFIDと称されるシステムが注目されている。
このシステムは、半導体(IC)チップに大量の情報を記憶させておき、該ICチップに情報の送受信を行う平面状のアンテナを接続する。そして、読取器の発する所定周波数の電波をアンテナで受信すると、この電波に応じて、内部のICチップの記憶情報が当該アンテナを介して読取器へ送信される。又、読取器からの更新情報も前記アンテナを介してICチップへ送信され、ICチップの記憶情報の更新がされるようになっている(以下、ICチップとアンテナ、さらには所定のコンデンサ等を合わせたものを「ICインレット」という)。
この通信媒体となるICインレットは、まず、ICカードとして実用化されている。この場合、ICインレットをプラスチックフィルム等で挟んで適宜熱圧着することで、硬質なプラスチック中にICモジュールが保持されたICカードが製造される。ICカードは、例えば社員証として適宜ユーザの携帯に供される。この場合、ICカードは個人認証などに利用され、一旦個人に発行されたICカードのICチップに格納された情報は適宜書き換えられて利用されるが、ICカードに表示された券面の情報を印刷、表示した場合、書き換えることは少ない。また、ICカードに使用されるICチップは情報の保護のために外部からの応力に対応できるように補強されている場合が多い。
一方、商品管理や物流管理などに利用されるICタグは、上記ICインレットをフィルムや合成紙、紙などに挟み込みこんでラベルとし、箱などに差込んだり、貼り付けたりして使用される。内部の情報などはリーダーライター、以後R/Wと略す、によって読み取られ、必要に応じて書き換えられる。しかし、リーダーライターを持たない者が内容物を確認できないため、タグの表面に内容物の表示がある方が好都合である。この場合、ICタグに内在するICチップと券面の記録、表示が同じである必要があり、情報を表示層に印刷するとともに同時にICチップに情報を書き入れる方法が取られる。しかも、内容物を表示するとともに、流通管理などでは、仕向け地や入り数、工程管理などでは使用する部品名や色、指示など多岐にわたって、内容物を表示する必要があり、そのような場合、ICタグは広い面積をもち、大きなものになる。また、商品に直接添付される場合は、粘着加工したラベルなどが多く提案されている。こういったICタグでは印刷されると印刷の表示が書き換えられないため、通常使い捨てであり、安価な設定となっている、そのため、チップを補強せずに使用する場合が多い。しかし、最近では、リサイクルが叫ばれるようになってきており、何度でも使用できる媒体が検討されてきている。なかでも熱により記録消去が可能な種々の可逆性感熱記録媒体が注目され、実用化されるようになってきている。これらの可逆性感熱記録媒体を表示層に用いることにより、何度でも表示層の表示を書き換えられることが可能になってきており、ICチップが10万回の書き換え可能な性能を有効利用するために、このような組み合わせが検討されてきている。
実際、可逆性感熱記録体はカルテなどのオフィス用途、工場や物流での現場指示書やカンバンなどの用途に実用化実験が進められているが、可逆性感熱記録体の繰り返し書き換え能力自体は500回から1000回程度あると想定されているにもかかわらず、実際には使用していくうちに発生する、汚れ、変形、折れなどのために数十回程度しか使用できないことが分かった。
そこで、このような問題点を解決するための表示体として、例えば下記の特許文献4には特定の基材と保持層を組み合わせた比較的柔らかい表示体が開示されている。この表示体にあっては、片面にやわらかい基材を使用することで、柔軟な表示体が得られており、このような表示体は、変形や折れに対して有効であると考えられる。
特開2004−226488号公報
汚れや変形や折れは人間が取り扱うときに発生するほか、洗浄時や表面に重量物を置いたり、外来物がぶつかったりして発生する。さらに可逆性感熱記録や消去に使用するプリンタ内でのジャミングなどによっても発生する。
特に汚れは、汚れた手などでの取り扱い時や媒体表面への水や油脂付着、静電気による塵付着、油雰囲気中での使用などでも発生する。特に油を扱う職場では指示書などは油の付着した軍手などで取り扱うため、油汚れが部分的に発生する。油汚れの場合、媒体への浸透が起こり、媒体が膨潤してカールしたり、部分的に膨れたりするため、プリンタ内部で印字特性の劣化やジャミングが発生しやすくなることが分かった。また、カルテなどのオフィス用途では比較的清浄かつ温和な環境で使用されるため比較的不都合は少ないが、少量の油汚れなどが少しでも発生すれば、プリンタ内のサーマルヘッドや搬送ローラーに転写した汚れが次の媒体表面に再転写していくために汚染が他のきれいな媒体にも波及することになる。
これらの不都合を軽減するために、定期的に媒体を洗浄することを試行してみた。媒体を多量に使用する場合は、媒体の汚れの有無を一々判定することは難しいので、定期的に洗浄を繰り返すことになる。媒体に付着する汚れにもよるが、洗浄は使用後毎回行う場合と、あらかじめ定めた使用回数に応じて定期的に行う場合などに分けられる。
この洗浄工程自体も媒体の変形を発生させる原因のひとつになるので、媒体寿命を延ばす有効な手法について検討を重ねた。また、洗浄時期が遅れると、媒体がいたみやすくなり、媒体寿命が短く、可逆性感熱記録体を紙の代替として導入する上での大きな障害となることも分かった。
結局以上に紹介した特許文献の技術は、基材を含めた媒体としてのリユース性という点では特に考慮をしておらず、オフィスなどのある特定の環境下ではあるていど使用可能と考えられるが、工場などのファクトリー用途としてのリユースという点で考えるならば、素材の耐久性等に問題となる場合が生じることが分かった。
本発明は潜在的には500回のリユースに耐えるといわれている可逆性感熱記録層の潜在的な寿命に見合うように、ファクトリー用途等で想定される油、薬品等による媒体変形、洗浄時の耐折れ、耐擦、変形に対する耐久性を改善することを目的としている。
又、実際、前記の工程管理や流通管理などで使用される可逆性感熱記録層を表示層に用いるICタグ等は何十回、何百回も使用される可能性が高い。また、使用される環境もチップに応力がかかる可能性が高いと考えられる。このような場合、ICチップに何も補強をしない状態では、媒体としての信頼性が低下し、日常の使用に耐えられなく、ICチップが割れてしまう可能性がある。それを防ぐにはICチップを補強する必要がある。
通常、ICチップの補強は金属板をICチップに接着剤で接着することが多く、一般的である。補強板は厚く、そして硬いほうが、補強効果は高いと考えられる。
さらに前記の可逆性感熱記録媒体を表示層に用いるICタグは印刷する機会が多いため、印刷においても、耐久性を考える必要がある。印刷時は、搬送路でのICチップへの応力、印刷ヘッドがICチップに与える応力など、さまざまな応力が発生し、ICチップの保護について考える必要がある。
また、プリンタの搬送路を考えると、通常、柔軟性のない硬いカードでは、印刷するときに、媒体自身が曲がり難いため、プリンタの搬送路を直線的なデザインにする必要がある。このような直線的なデザインのプリンタは外観的に大きなものとなり、スペースが無駄になり、不経済となる。
そこで、紙のように柔らかく柔軟なカード、ICタグが提案される。適度に柔軟性のある媒体では、プリンタの搬送路は、例え媒体が大きなものとなっても、搬送路を曲がりくねった構造にすると、コンパクトな設計に出来、スペースが有効に使え、かつ、経済的である。しかし、搬送路に適度なまがりを加えることにより、ICチップは搬送路で圧力を受けやすくなる。
前記特許文献4には特定の基材と保持層を組み合わせた比較的柔らかい表示体が開示されている。片面にやわらかい基材を使用することで、柔軟な表示体が得られている。その中で表示体中に識別タグを内蔵することも開示されている。しかし、この文献ではICチップに特定の補強等を施しておらず、チップに応力が加わったときにICチップが破損する可能性が高いと考えられる。すなわち、何回も繰り返し使用することや、使用される環境によってはICチップに補強を施す必要があると考えられる。
そこで、本発明者等はやわらかい表示自体にICタグを内蔵させた場合にそのIC等に補強を行うことを試行した。ICカードのように硬いカードに補強するように補強板を用いると、搬送路や印刷ヘッドの当たりによって、補強板と媒体との曲がり方が異なるためか、感熱印字などの接触印字を行うと、印刷用の感熱ヘッドに当たりむらが出来るため、印刷がきれいに出来なくなる問題が発生することを発見した。この中で印字部の反対にあるプラテンロールや供給用ロールはそのような状況できれいに印字を行うため、ある程度圧力をかけ、媒体をヘッドに押し付ける役割を果たすが、補強板を用いると、印刷ヘッドに押し付けるプラテンロールの圧力を上げていっても、周囲の部材と同じ様に補強板が曲がらないためか、その部分だけ印字ヘッドのあたりが悪く、きれいに印字できない現象がが生じているためと推察した。
このような場合、印刷したバーコードや商品管理項目に欠点が出来、商品管理などに支障が出ることとなる。
本発明はICチップを内蔵していても外部からの応力に対して強い、かつICチップのある部分にも記録層がある場合でも印刷適性に優れた通信媒体を供給することを目的としている。
更に、柔らかい材料(例えばポリエステルエラストマー)と硬い材料(例えば結晶性のPET)を組み合わせた表示体の場合には、気温が上がったり下がったりするとカールが発生するという問題があり、このようにしてカールが発生した表示体を、その気温で使用すると印字用プリンタで印字を行う際に詰まったり、印字が斜めになったりするという問題が生じ、又、洗浄機で搬送できないという問題も発生する。
それゆえ、気温が変化した場合であってもカールが発生し難い記録体を提供することも本発明の課題である。
本発明者等は上記の問題点を解決するために種々検討を行った結果、ポリエステル繊維やナイロン繊維などの繊維からなる市販のメッシュクロスを用いて、表面側に位置する材料と裏面側に位置する材料との線膨張率の差を小さくすることによって、記録体のカール発生が有効に防止できることを見出して、本発明を完成した。
本発明にかかる可逆性感熱記録体は、(1)可逆性感熱記録層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分とする表示基材と、(2)ポリブチレンテレフタレート(PBT)をハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーまたはポリブチレンナフタレート(PBN)をハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルもしくは脂肪族ジオールをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーを主成分とする支持体と、(3)前記表示基材と支持体を接着する接着層とを備える。
更に、前記表示基材のマシン油に浸したときの体積膨潤率Aと前記支持体のマシン油に浸したときの体積膨潤率Bの関係|B−A|が2%以内であることが、反りなどが発生しにくいので好ましい。
前記表示基材の引張弾性率が2000MPa以上であり、マシン油に浸したときの体積膨潤率が2%以下であることが更に好ましい。
前記支持体の引張弾性率が表示基材の25%以下であり、マシン油に浸したときの体積膨潤率が2%以下であることが印字するときや洗濯機等を使用して洗浄する際に、無理な応力が加わっても可逆性感熱記録体として痛みにくく、長期の使用に耐えられる等の点で好ましい。
前記支持体のハードセグメントをPBTとした場合はソフトセグメントがポリカプロラクトン(PCL)であり、ハードセグメントをPBNとした場合はソフトセグメントがPCLまたはポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)であると極めて耐油性等に優れ可逆性感熱記録体として長期使用に耐えられ、リユース性に優れるものとなるので好ましい。
前記支持体に第二のポリエステル樹脂がブレンドされているとエラストマー全体を柔らかくして引張弾性率を調整することができ好ましい。
前記第二のポリエステル樹脂が、少なくとも芳香族ジカルボン酸と炭素数5以上のジオールからなると上記のような調整の点でより好ましい。
前記第二のポリエステル樹脂の芳香族ジカルボン酸が、フタル酸またはイソフタル酸であると上記のような調整の点でより好ましい。
少なくとも接着層中にRFID等を含む識別タグを保持することもできるのでRFID付きの可逆性感熱記録体も簡単に得られる。
本発明に係る通信媒体は、表示基材及び該表示基材上の表示層を備える表示部材と、
前記表示部材の表示基材側に配置される、下記機械的条件を満足する補強板を接合したICチップを搭載したICインレットと、
前記ICインレットを覆ってICチップのある側に配置される保持層と、
を備える厚さ100μmから2mmの通信媒体であって、該通信媒体の曲げ弾性率が100〜2000MPaであり、さらに補強板の機械的条件がJIS K 7171-1994、プラスチック曲げ特性の試験方法の3点曲げ試験でのたわみが、支点間距離50mmにおいて、荷重0.2Nを加えた時に3mm以上である。
前記保持層が保持層用接着剤層から構成されても良い。
前記保持層が保持層用支持体向け接着剤層と保持層用支持体とから構成されることも好ましい。
前記保持層用支持体が繊維含有層であることもまた好ましい。
更に、前記前記補強板とICチップとを接合する補強板用樹脂の曲げ弾性率が10〜2000MPaであり、接着強度が1N以上であるとより印字の際に不良が生じにくくより好ましい。
更に、表示層が感熱記録層であることがリユースの点で特に好ましい。
更に前記保持層の曲げ弾性率が10〜1000MPaであれば、通常の表示部材を使用しておれば良好な印刷性を保つ上で好ましい。
本発明の記録体は、周囲の温度変化によるカールの発生を防止可能な記録体であって、当該記録体は、基材の一方の表面上に記録層が設けられた表示層と、前記表示層における前記基材の他方の表面側に設けられたカール防止層とを有しており、前記カール防止層が、前記基材側に位置する接着剤層と、当該接着剤層に積層された合成樹脂製の保持層とを含み、JIS K 7197−1991に準じた線膨張率において、前記表示層の線膨張率:前記接着剤層と前記保持層の少なくともいずれか一方の線膨張率の比率が5:1〜1:5の間であり、しかも、JIS K 7244−1998に準じた貯蔵弾性率において、前記接着剤層と前記保持層の少なくともいずれか一方の貯蔵弾性率が0.01〜1.5GPaであることを特徴とする。
又、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記カール防止層が、目開きした組織を有するメッシュクロスを含むことを特徴とするものでもある。
更に、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記表示層における前記基材が、貯蔵弾性率4GPa以上のポリエステル二軸延伸フィルムであることを特徴とするものでもある。
又、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記保持層の主成分が、芳香族ポリエステルのハードセグメントと脂肪族ポリエステル又は脂肪族ジオールのソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体であることを特徴とするものでもある。
更に、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記メッシュクロスが、前記保持層中に内在していることを特徴とするものである。
又、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記メッシュクロスが、前記接着剤層中に内在していることを特徴とするものでもある。
又、本発明は、カールの発生を防止可能な記録体であって、当該記録体が、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の一方の表面上に記録層が設けられた表示層と、前記表示層における前記基材の他方の表面側に設けられたカール防止層とを有しており、前記カール防止層が、前記基材側に位置する接着剤層と、当該接着剤層に積層された、芳香族ポリエステルのハードセグメントと脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルのソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体である合成樹脂製の保持層とを含み、目開きした組織を有するメッシュクロスが当該保持層中に存在していることを特徴とするものである。この際、上記メッシュクロスとしては、0.5mm〜20mmの範囲の目開きした組織を有するものが好ましい。
又、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記表示層が可逆性感熱記録層であることを特徴とするものである。
更に、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、少なくとも前記接着剤層中に識別タグが配置されていることを特徴とするものでもある。
本発明の可逆性感熱記録体をもちいれば、耐油性、洗浄時の耐久性等に優れた、リユース性の優れた記録体が得られるものである。
又、本発明の通信媒体は、ICチップを内蔵していても外部からの応力に対して強く、かつICチップのある部分にも記録層がある場合でも印刷適性に優れる。
更に、本発明の記録体は、気温が変化した場合であってもカールが発生し難い記録体であった。
本発明の可逆性感熱記録体の一例を示す断面図である。 本発明の可逆性感熱記録体の別の一例を示す断面図である。 本発明の通信媒体の一例となる実施例5の断面図である。 ICインレットの断面図である。 本発明の通信媒体の一例となる実施例6の断面図である。 本発明の通信媒体の一例となる実施例7の断面図である。 本発明の記録体の第一の例の断面図である。 本発明の記録体の第二の例の断面図である。 本発明の記録体の第三の例の断面図である。 本発明の記録体の第四の例の断面図である。 ICインレットの断面図である。 本発明の記録体の第五の例の断面図である。
符号の説明
1a,2a 表示基材
1c,2c 支持体
1b,2b 接着層
3a,4a,5a,6a 表示層
3b,4b,5b,6b 表示基材
3c,5c,6c 保持層用接着剤層
3d ICインレット
4e,10e ICチップ
4g,5g 補強板
3s,5s,6s 表示部材
6h 繊維含有層
7a,8a,9a,10a 記録層
7b,8b,9b,10b 基材
7c,8c,9c,10c 接着剤層
7g,8g,9g,10g 保持層
7j,8j,9j,10j メッシュクロス
7s,8s,9s,10s 表示層
10f 金属板
まず最初に、本発明の好ましい実施形態にかかる可逆性感熱記録体を図面に基づいて説明する。図1は本発明の可逆性感熱記録体の一例の断面図である。図1からわかるように本発明の可逆性感熱記録体は表示基材1a及びその表示基材1aを支持する支持体1cとそれらを接着している接着層1bにより主に構成されている。
[可逆性感熱記録層]
可逆性感熱記録層は感熱性色素、高分子、あるいは、磁性粒子を利用した表示装置である。可逆性感熱記録層の発色剤と呈色剤の組み合わせについては、両者が反応して呈色を起こすような組み合わせならいずれも使用可能である。中でもサーモリライト方式の感熱リライト層はリユースの面でも適している。サーモリライト方式の感熱記録層とは、感熱性色素、高分子、或いは、磁性粒子を利用した表示装置であり、例えば、ロイコ染料と可逆顕色剤を溶融混合させ基材のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に形成したロイコ型サーマルリライタブルペーパ(特開平10−203016号公報参照)においては、記録部に熱を印加したのち、急冷して発色させ、一方、消色する場合には徐冷却して表示を制御するものである。さらに詳しくは、特開平9−20084号公報及び特開平10−203016号公報に紹介されている。
可逆性感熱記録体は表示基材上に記録層に加えて、オーバーコート層、保護層、紫外線吸収層、アンカー層などの層が設けられることが多い。
また、可逆性感熱記録体全体としてエラスティックな性質を与えるために、支持体を柔らかくする必要が出てくる。そのために支持体を柔らかくする。支持体に使用可能な柔らかい基材として、さまざまなものが挙げられるが、均一な性能を持たすにはエラストマーなどが考えられる。
[表示基材、支持体と耐油性]
本発明では、油汚れに対して、さまざまなテストを行い、どのような場合にリユース性が損なわれるかの検討を行い次のような結果を得た。
油汚れについては、部分的に付着する場合と、全面に着く場合の二つに分けて考えた。部分的な付着が発生した場合、油が付着した個所は、油の浸透を受け、膨潤を始める。この場合、油が付着していない個所は膨潤していないため、膨潤した個所のみ膨れ、こぶのようになる。
さらに、一旦、浸透した油は揮発するまで時間が掛かるため、そのままの状態を保つ。表面の汚れをふき取ったり、洗浄しても、そのこぶの部分は小さくならない。そのため、印刷を行う搬送経路でジャミングを起こしたり、印字の精密さが損なれ、印字不良が発生する。
この現象を客観的に評価するために「油滴付着適性試験」に至った。この試験では、マシン油(JIS K 2238−1983)粘度グレードISO3448 VG 46を一滴(約0.1g)、を表示基材または支持体の上に滴下し、23℃55%RH環境下で放置し、7日後に、油をふき取り、媒体の変化を観測する。膨潤が観測される場合を不適、観測されない場合を適と判定した。
次に全面に油が付着する場合については次のように考えた。このように全面に油付着するような状態では、表側となる表示基材と裏側となる支持体の油による膨潤の程度が重要となる。この現象を客観的に評価するために「油中膨潤試験」に至った。この試験では、表示基材と支持体を100mm幅で長さ100mmの正方形に切り出し、前記と同じマシン油に漬け込み、23度の温度条件で7日間、放置する。7日後に取り出し、オイルをふき取り、次の式で膨潤率を測定する。
((試験後の長さ−試験前の長さ)/試験前の長さ)x100=膨潤率(%)
表示基材と支持体の膨潤率の差が、2%を越えると大きな反りが発生しやすく、印刷を行う搬送経路でジャミングを起こしたり、筒状になるため、印字が行えなくなるおそれがある。そのため、膨潤率の差は2%以内が良いことが分かった。
ここで、以上の二つの試験「油滴付着適性試験」「油中膨潤試験」を通してこれらの試験に相関があることが分かった。すなわち付着した油の浸透性や表示基材や支持体の厚さにもよるが、「油中膨潤試験」において膨潤率5%以上の場合、「油滴付着適性試験」では必ず不適になるということである。また逆に、「油中膨潤試験」において膨潤率2%以下の場合は、表示基材や支持体の厚さにかかわらず、大きく膨潤しないために、「油滴付着適性試験」では不適と判定されるような印字不良は殆ど発生しないことが分かった。
[表示基材と引張弾性率]
可逆性感熱記録体は表示基材上に感熱記録層と、付随してオーバーコート層、保護層、紫外線吸収層、アンカー層などの各層を設ける場合が殆どであり、何回も塗工し、層を重ねる必要がある。このため表示基材としては、加工時に基材の延びを防ぐため、熱や紫外線に対して耐性があり、高い引張強度すなわち高い引張弾性率を必要とする。本願明細書では引張弾性率はJISK7113−1995に準じて測定するものである。
記録層やオーバーコート層、保護層、紫外線吸収層、アンカー層の塗料は溶剤で希釈したものや、水溶液、エマルジョンなどのタイプがあるが、塗工時の乾燥温度は120℃程度までであり、表示基材の耐熱性は120℃位であれば良い。引張弾性率としてはこのような塗工に対して、一般的に2000MPa以上あれば適当と考えられる。尚、8000MPaを越えると、素材的に硬すぎるため、折り目がつくように曲げられると、破断しやすく、硬すぎるものは適さない。特に必要以上に耐熱性や引張弾性率の高い高耐熱性や高強度の表示基材を選択すると、非常に高価なものとなり、実用に適さない。
表示基材としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、発泡紙などの紙類、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル(例えば軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニルなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート(PET−Gとして商品化されている)など)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリウレタン、セロハンなどの樹脂の単体、複合物、共重合体の混合物などを主成分にしたフィルム、該樹脂に発泡剤を配合し発泡せしめた発泡フィルム、該樹脂に無機顔料、有機顔料等を配合し延伸によりボイドを形成した多孔質フィルムなどのフィルム類、あるいは合成紙類や不織布類、更にこれらを貼り合せた積層シートなどが挙げられる。中でも、熱寸法安定性に優れた、二軸延伸のポリエステルフィルムは適している。
前記の各層を設けるため、上記表示基材の中でも高い引張弾性率を持つオリエンテッドポリプロピレン(OPP)やPETなどの結晶性の高いフィルムを用いられることが多い。OPPは熱に対して、PETより弱く、一般的にはPETを用いられることが多い。PETは溶融されたポリエステル樹脂を二軸延伸して作られる。
このようなPETを表示基材として用いた場合、「油中膨潤試験」を行ってみると、膨潤率2%以下であり、引張弾性率は2000MPa以上あり表示基材としては最適である。それに伴い、支持体も同じような耐油性を持たす必要がある。支持体と表示基材とがほぼ同等の耐油性を持つことにより、油が付着した場合や油の雰囲気中で使用された場合に、反りや膨潤が発生しなくなる。
[支持体と引張弾性率]
支持体については、本発明者等の試行によれば、一つの可逆性感熱記録体にその表示基材の引張弾性率よりも低い引張弾性率の層を支持体として選択して組み合わせると可逆性感熱記録体として曲がり易くなり、しかも低い引張弾性率の層は高い引張弾性率の層より、応力に対して伸びる性質が有るため、表示基材上の記録層に印刷機械等を使用して、印字するときや洗濯機等を使用して洗浄する際に、無理な応力が加わっても可逆性感熱記録体として痛みにくく、長期の使用に耐えられることが分かった。さらに、記録体を例えば180度に折れ目をつけるように折り曲げても、復元しやすくなる性質が有る事が分かった。したがって、可逆性感熱記録体を構成する際に引張弾性率の違う層を組み合わせることにより、外部からの応力の加わり方をコントロールできることが分かった。支持体の引張弾性率の割合としては、表示基材の引張弾性率の25%以下が適切である。支持体の引張弾性率の割合が25%を越えると、効果は認められるがそれほど大きくなくなる。さらに50%を越えると表示基材との引張弾性率との差がつきにくく、余り効果が得られなくなる。また、支持体の引張弾性率の割合の下限は1%以上必要である。1%未満であると、実際に使用が考えられる表示基材の引張弾性率が数千程度であるのでその数パーセントとなると数十という絶対値になるので反発性が無く、180度に折れ目をつけるように折り曲げても、復元しにくくなる。
このような折り曲げの復元性に伴って残存するしわの影響等を含めて印字適正を評価するために「折れジワ箇所印字性試験」を確立した。これは可逆性感熱記録体をプレス前時点では折れ目がつかないように、プレス装置に曲げて入れ、49N(5kgf)の加重を加えて折れ目をつけ、30秒後にその圧力を解除し、評価用試料とするものである。圧力解除後1時間放置したサンプルを感熱プリンタ(三和ニューテック製リライト用プリンタ型式PR31)にて印字試験を行った。プリンタに通紙できるように折れジワ復元性が悪く平坦な状態に戻っていないサンプルは人力にて平らにして、本評価試験用のサンプルとした。サンプルの折り曲げた箇所を含めて感熱プリンタでバーコードを印字し、印字の抜けや再現性を評価した。バーコードが読めたものを◎、バーコードが読めないが、文字が判読できた物を○、バーコードも文字も判読できなかったものを×と評価した。尚、バーコードの判読はWELCAT社製バーコード読取装置
RHT-100-01で行った。
更に、500回から1000回程度の印字回数に対して少なくとも数十回に一度は洗浄すなわち洗濯を行うと考えて「洗浄試験」を確立し、その洗浄回数の中で印字の適正さが確保されていることを確認することとした。これは、洗濯機(三洋電気製2槽式電気洗濯機SW−550H2)を使用し、媒体を200x100mmの短冊状に切り出し、全体の重さが1.5kgになるように、洗濯ネットに入れ、洗濯石鹸を入れ15分洗浄し、すすぎ3分×3回、脱水後、取り出し、自然乾燥を行う。これを50回繰り返す。得られたサンプルを前出の感熱式プリンタにて印字を行い、品質を確認する試験である。
支持体は伸び縮みする性質をもち、比較的低い引張弾性率を持つもので、油中膨潤率の低い耐油性の高い材料として、エラストマーが考えられる。主成分がスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が考えられるが、中でも、ポリエステル系のエラストマーが、耐熱性等も高く優れている。
ポリエステル系エラストマーの中でも、主にポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリブチレンナフタレート(PBN)等の芳香族ポリエステルのハードセグメントと主に脂肪族ポリエステルや脂肪族ジオール等のソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体が好ましい。ハードセグメントとソフトセグメントの比率は2:8〜8:2程度がよく、ハードセグメントの比率が大きくなると、油中膨潤率は小さくなるが、支持体として硬くなるため引張弾性率が上がり、洗浄試験時の傷つきや折れジワ試験での性能が低下する恐れが大きくなる。
さらに、ハードセグメントとして「主に」PBTに特定し、ソフトセグメントとして「主に」脂肪族ポリエステルの一つポリカプロラクトン等を選択して構成するポリエステルのポリエステルブロック共重合体のエラストマーを支持体として使用すると、耐油性が非常に優秀であり、かつある程度の弾性を得る事が可能となる。ここでいう「主に」は重量比で80%以上の成分をいい、ある程度の不純物、または合成中の副合成物が存在してもかまわない。特にハードセグメントとして「主に」PBTに特定し、ソフトセグメントとしてポリカプロラクトン(PCL)を使用すると、油の膨潤が発生しにくく、先に説明したような「油中膨潤試験」「油滴付着適性試験」等の試験にきわめて好適に適合するものである。また特に洗浄や取り扱いを考えると、このように耐油性を有し、ある程度の弾性を持つ素材を支持体の主成分として選択する事により、可逆性感熱記録体として長期使用に耐えられ、リユース性に優れるものである。
なお、PBTの替わりにPBNをポリエステルエラストマーのハードセグメントとして主に選択した場合は、ソフトセグメントはハードセグメントとポリエステル結合をするものとして上記と同様に脂肪族ポリエステルを組み合わせることが可能であり、この場合はPBTの場合より高い引張弾性率を得られる。またこのポリエステル結合をするもの以外に、ポリエーテル結合を持つことになるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等の脂肪族グリコール、脂肪族ジオール類をソフトセグメントとして組み合わせることができ、優れた耐油性を得ることが出来る。尚、この場合において本質的にはポリエステル結合の方が耐油性においてポリエーテル結合に勝ることが分かった。尚、PBTよりもPBNの方が材料的には耐油性にすぐれているためポリエーテル結合であってもPBNと組み合わせれば十分な耐油性を得られるということである。
以上説明したようにPBNをポリエステルエラストマーのハードセグメントとして選択し、ソフトセグメントとしてPCLやPTMGを組み合わせても先に説明したような「油中膨潤試験」「油滴付着適性試験」等の試験にきわめて好適に適合するものである。
また、ポリエステルエラストマーのハードセグメントとしてPBTやPBNを使用した場合に、これらは結晶性を持っているために、エラストマー全体としては硬くなる傾向にある。そこで次に述べるような手法によって、エラストマー全体を柔らかくして引張弾性率を調整することが有用になってくる場合もある。その手法とは上述のポリエステルエラストマーとは全く別に第二のポリエステル樹脂を添加することにより柔らかくすることが可能であり、特にフタル酸やイソフタル酸と炭素数5以上のジオールからなるポリエステル樹脂を用いるとさらに耐油性も上がる。この第二のポリエステル樹脂の添加量は第一のポリエステル樹脂の5%から70%の間が適当であり、その範囲の上限を超えると第一のポリエステルエラストマーの持つ特性が発現しにくくなる。また下限未満ではほとんど効果が見られなくなる。尚、ここで第二のポリエステル樹脂と呼んだわけは支持体の主成分となるポリエステルエラストマーも広義ではポリエステル樹脂となるのでこれを第一のポリエステル樹脂と考えたからである。
また洗濯機による洗浄を行う場合、硬い支持体と硬い表示基材を張り合わせた可逆性感熱記録体を複数枚、洗濯層に入れて洗浄すると、記録体同士が機械的に接触し傷を付け合うため好ましくない。ところが支持体として本発明のようにポリエステルエラストマーのようなある程度柔らかい素材を使用すると、上述のような洗浄時の傷の発生が非常に少なくなり、好ましい。また、記録体の角は傷をつけにくいように、ある程度のアールを取ることがより好ましい。角を落としたものは耐久性においても角を落とさないものより勝る。
[接着層]
接着層は、このような引張弾性率の違う表示基材と支持体を接合する層となる。接着層は表示基材と支持体を強固に接着すればよく、接着剤、粘着剤、熱可塑性フィルムなどが接着層として考えられる。接着層の材質として、例えば主として酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、天然ゴム、ゼラチン、ニカワ、アビエチン系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、ポリエステル系樹脂、変性ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ビニルブチラール樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノールホルマリン系樹脂、石油樹脂、マレイン酸共重合体、等の単独、混合体、共重合体、等がある。
接着剤または粘着剤または熱可塑性フィルムに添加する材料としては分散剤、増粘剤、油脂類、架橋剤、硬化剤、可塑剤、離型材、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、スチルト、発泡粒子、導電剤、ファイバーフィラー、ゴム状粒子、着色顔料、不透明化材、触媒等を絶縁性が損なわれない範囲内で適宜使用する。体積固有抵抗値で1012Ωcm以上がよい。
硬化剤は接着が可能な範囲内で添加しても良い。例えばエポキシ樹脂、イソシアネート化合物、金属架橋剤、等がある。空気中の水分により貼り合わせ後に架橋反応が進み、必要な硬度を時間的に遅れて得られる湿気硬化型のイソシアネート基含有のウレタン樹脂等も貼り合わせ時、接着に十分な流動性が得られ、経時的に硬化して必要な強度が得られるため好ましく使用される。又、硬化剤を部分的に吹きつけて使用し、特定の個所のみ強化する方法も用いられる。これらを単独でまたは混合物にして、ホットメルトコーティング、水系、溶剤系塗工し、必要に応じて熱風乾燥してフィルム状の熱可塑性フィルムを得ることができる。塗工量としては、目的の表示体の最終厚さによるが、通常は乾燥重量で10〜700g/m、厚みで5〜1000μmである。ガラス転移点(TG)は−50℃〜100℃の範囲のものが適当である。
なかでも、接着層の材質としては、ポリウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂の接着剤、湿気硬化型ホットメルト(PUR:poly urethane reactive)接着剤またはポリエステル系のホットメルト接着剤、エポキシ樹脂等を用いることにより、油中でも高い接着力が安定して得られので好ましい。接着力としては、表示基材と支持体とを180°に引っ張った場合に、表示基材か支持体のいずれかが破断するか、6N/cm以上の強度を持つ程度であれば適当である。また後に説明するように接着層中にICやアンテナを含むRFID等を含む後述の「識別タグ」を全部又は少なくとも一部を保持する場合はRFID等の埋め込みが容易な点で弾性エポキシ樹脂接着剤、ホットメルト接着剤等を用いることが好ましい。
本発明は可逆性感熱記録体に対して500回もの潜在的なリユース性を持たせるため、すなわち長期のリユース使用性を持たせるには、媒体自体の耐久性を上げる必要があり、すなわち、耐油性や洗浄時の折れ、曲げ等の変形性に対して耐性を持たせるものである。そのためには可逆性感熱記録体全体として特定の耐油性、エラスティックな性質を与えることが重要であることに着目し、その物性が先に説明した耐油試験、洗浄試験、折れジワ箇所印字性試験を満足することであることを見出した。
次に、本発明の好ましい実施形態にかかる通信媒体を図面に基づいて説明する。図3は本発明の通信媒体の第一の例の断面図である。図3からわかるように本発明の通信媒体において、表示層3aを持つ基材3bにより表示部材3sが構成される。続いて保持層用接着剤層3cがその基材3bとの間にICインレット3dを挟みそれらと接着してそれらを支持している。この図の例では保持層用接着剤層3cが請求項10の保持層に相当する。
ここでICインレットについて図4を参照してICインレット3dを詳しく説明する。図4はICインレットの断面図である。絶縁性シート4の上に形成したアンテナ4a、4bを有し、アンテナ4bは渦巻き形状のアンテナであるのでその断面が数個所図面中に現れている。そのアンテナ上にはICチップ4eを電気的に接続している。ICチップ4eは補強用樹脂4fにより補強板4gを接着している。またアンテナ4a、4bはスルーホール4hにより上下に電気的に接合されている。
図5は本発明の通信媒体の第2の例の断面図である。図5では本発明の通信媒体は表示層5aを持つ基材5bにより表示部材5sが構成されている。これらの表示層、基材、表示部材は図1と同様の部材である。続いてその基材5bを支持する保持層用支持体向け接着剤層5cとそれらに内在しているICインレット3dと保持層支持体5gにより通信媒体が構成されている。ICインレット3dは基材5bと保持層用支持体向け接着剤層5cとに挟み込まれるように存在する。この図の例では保持層用支持体向け接着剤層5cと保持層支持体5gの積層が請求項10の保持層に相当する。
図6は本発明の通信媒体の第3の例の断面図である。図6では本発明の通信媒体は表示層6aを持つ基材6bにより表示部材6sが構成されている。これらの表示層、基材、表示部材は図3と同様の部材である。続いてその基材6bを支持する保持層用支持体向け接着剤層6cとそれらに内在しているICインレット3dと繊維含有層6hにより通信媒体が構成されている。ICインレット3dは基材6bと繊維含有層6hとに挟み込まれるように存在する。繊維含有層6hは前記図5における保持層支持体5gの一種である。この図の例では保持層用支持体向け接着剤層5cと繊維含有層6hの積層が請求項10の保持層に相当する。
[通信媒体の厚さと弾性率]
本発明の通信媒体の曲げ弾性率は100MPa以上2000MPa以下が好ましい。通信媒体が100MPa未満の弾性率であると、厚さにもよるが通信媒体を手で扱う場合に柔らかく腰がないために扱いにくくなる。また、2000MPaを越えるとプリンタ等の搬送路をまっすぐにしなくてならず、また、媒体が曲がりにくくなるため、何回も繰り返して使用する際に傷やしわが入りやすくなり、繰り返して使用する用途には不適となりやすい。
通信媒体の曲げ弾性率は本発明では、JIS K 7171-1994のプラスチック曲げ特性の試験方法の3点曲げ試験を参照にして測定をしている。通信媒体を支点間距離50mmの測定支持台に置き、所定の圧子を用い、5mm/minの速さで3点曲げ試験を行い、たわみの距離が2mmから5mmまでの2点間で、曲げ弾性率を測定した。表裏の置く向きによって得られる測定値に差がある場合は、両者の平均を曲げ弾性率としている。特に条件を記載していない場合本明細書において本試験は全て同一の条件で行ったものである。
一般に曲げ弾性率は次式で求められる。
曲げ弾性率=(支点間距離の3乗×荷重)/(4×試験片の巾×厚さの3乗×ひずみ)
以上の式から分かるように曲げ弾性率は厚さの三乗に反比例するため、同じ弾性率のものでも厚さが変われば、歪みかたも異なる。同じ力を加えても薄いものほど良く歪むものである。通信媒体の柔らかさは、基材と保持層の厚さと曲げ弾性率でほぼ決まってくる。中に入るICインレットも影響を与えるが、面積が相対的に小さくでき、面積的に通信媒体の表面積の3割未満であれば与える影響は少ない。3割以上の場合はICインレットの基材の厚さや材質が影響する。インレット基材の曲げ弾性率が比較的高い場合は、薄いインレット基材を用いることにより柔らかい通信媒体を得ることが出来る。また、インレット基材が柔らかい場合は比較的厚いインレット基材をも使用することが出来る。
保持層についても同様であるが、保持層はRFIDを保持するため、ある程度の厚さが必要となるために、インレット基材と比べて、曲げ弾性率の低いものが、通信媒体の柔らかさを決める上で重要と考えられる。
この場合、通信媒体の全体の厚さは100μmから2mm程度の厚さが好ましい。100μm未満であると、RFIDを内在しにくくなる。また、2000MPaの曲げ弾性であっても、腰が弱くなりすぎ、取り扱いが悪くなる。厚さ2mmを超えると、弾性率が100MPaであっても、腰が強くなり、曲がりにくくなる。さらに、1枚での使用では不都合は生じないが、多数枚使用されるとき、例えば積み上げられてストックされ連続的に印刷やICチップへの読み書きなどを行う際に少量しかストックできず不便である。
[プリンタ中での搬送]
通信媒体の印刷や通信を行うプリンタには、印刷用の印字ヘッドや通信用のR/Wを内蔵していることが多い。さらには感熱可逆式印刷方式の通信媒体では、熱によって消去、印字を行うため、同じ搬送路に、消去ロール、印字ヘッド、冷却装置があると便利である。しかし、そのような構造では、通信媒体の温度管理にスペースがさらに必要となることが多く、搬送路が長くなりやすい。プリンタの搬送路では、直線的な搬送路が好ましいが、そのような機構では大きな装置となり、設置に広い場所が必要となり、スペースの問題が生じると考えられる。そのため、搬送路に曲がりをつけ、屈曲した搬送経路を形成することによりスペースを小さくすることが出来る。
R/WはICチップ内の情報を読んだり、書き込んだりする装置である。単に読み込むだけのリーダであっても用が足りる場合もある。R/Wは常に電波を発信しており、一定の強度の通信範囲の中にICインレットなどを含む通信媒体が存在すると、通信媒体はこの電波により電力を得られ、応答信号をR/Wに返信し、通信が始まる。この電波は規格により出力は規定されており、効率よく通信媒体と通信を行う工夫が必要である。R/Wは通信媒体と通信を行うアンテナ部とその通信を命令、制御、解析する本体とに分かれる。さらには本体をいくつかLANや無線通信で繋ぐことも可能である。
通信媒体は搬送路中にプラテンロールによって、印刷用感熱ヘッドに押し付けられ、印刷が行われることが多い。その場合、搬送路はプラテンロールを頂点にして、角度がつけられる。プラテンロールに接触している部分が多いほど、搬送路に角度が付いていることになる。プラテンロールの直径が小さく、通信媒体の接触している部分が多いほど、通信媒体は折れ曲がって搬送される。通信媒体にあまり影響を与えないためには、プラテンロールの直径を大きく、接触している部分を少なくするほうが良い。しかしながら、大きなプラテンロールは実用的ではなく、プリンタを小さくするために、直径が5〜40mm程度のものが利用される。通信媒体を深く折れ曲げないで、良好に印字するためには、プラテンロールの直径は10〜30mmが好ましい。通信媒体がプラテンロールに巻き回されて接触している部分の成す角度は5〜30°程度とすることにより通信媒体に悪影響を与えずに印刷ができる。本発明の通信媒体は以上のような寸法すなわち直径10〜30mmのプラテンロールであって巻き回しの角度5〜30°程度において印刷が良好におこなえるように設計された通信媒体である。
例えば、本発明で試験を行った三和ニューテック社製RP31感熱リライトプリンタでは、搬送路に曲がりを付け、省スペースのプリンタとなっている。直径が15〜25mmの搬送ローラーやプラテンロールが取り付けられており、印字ヘッド部は当たりを良くするために10〜20°程度の角度がついている。
[ICインレット]
ICインレットの一般的な製造法としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、グリコール変性ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂からなる厚さ20〜100μmの絶縁性シートをインレット基材として使用する。このインレット基材上に銀や銅等のワイヤーからなるコイルを貼り付ける方法、銅やアルミニウム等をコイル状にエッチングする方法、導電性インキ等を用いてコイル状に印刷したコイル状アンテナや、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂や紙からなる絶縁性シートに導電性インキ等を用いて印刷、あるいは銅やアルミニウム等の金属を蒸着した板状アンテナ等が使用できる。アンテナの厚さは40〜80μmが好ましい。更にそのアンテナ上にデータ記憶及び/又は演算部としては各種ICチップを搭載する。搭載されるICチップは0.2mm角から5mm角ぐらいの大きさであり、厚さは0.05mmから0.5mm程度の厚さのものが使用される。また、通信装置の性能にもよるが、コイルの大きなものほど通信距離は長くなる傾向にある。このほか、コンデンサーなどを配置することも適宜可能である。これらのうちICチップを搭載した通信可能なシステムをRFIDと読んでおり、商品の個別情報や流通情報を伝える事が出来る。
[補強板]
ICチップは外部からの応力に弱く割れやすい。そこで、その外部からの応力に対応するために補強板を補強用樹脂でICチップに接着して保護する。一般的には、強い応力に対応するためには、補強板は金属板が好ましく、また、厚みも厚いほうが外部からの応力に対して堅固である。また補強用接着剤は一般には硬く、補強板に対して強く接合するものが好ましい。
しかし、ICチップの補強板が硬い場合や厚さが厚い場合、かつ表示層の反対面にやわらかい接着剤層や保持層がある場合、補強板の部分だけ、弾性率が異なり、曲がり方が異なるため、感熱印字などの接触印字を行うと、印刷ヘッドに押し付けるプラテンロールの圧力を上げていっても、周囲の部材と同様に補強板が曲がらないためか、その部分だけ印字ヘッドのあたりが悪く、きれいに印字できない現象が現れる事がわかった。補強板の応力に対する曲がりやひずみは補強板の弾性率と厚さ、大きさによって異なる。
補強板についてはJIS K 7171-1994、プラスチック曲げ特性の試験方法の3点曲げ試験でのたわみが、支点間距離50mmにおいて、荷重0.2Nを加えたときに、3mm以上であることが好ましい。これは3mm未満では以上説明したように周囲の部材と同様に補強板が曲がらないため印字不良が生じ易くなるためである。このような荷重をかけたときのたわみの量について同一の条件で補強板としてよく使用されるステンレス系の補強板についてたわみ量を求め結果を以下の表1に示した。
補強板と上記3点曲げ試験でのたわみについてJIS K 7171-1994における曲げ試験にしたがって以下の条件で行ったものである。
試験条件:試験速度1mm/min、支点間距離:50mm、試験片:長さ100mm、巾10mm
Figure 2006038438
各ステンレス製の補強板の厚さとたわみとの関係を見ると、補強板は厚さ50μmであると、0.2Nの加重をかけたときに支点間距離が50mmの場合、約5mmたわんだ。これが厚さ100μmであれば3mm程度しかたわまない。一方、後に説明する実施例1の通信媒体は(厚さが800μm、曲げ弾性率が170MPa)、同一条件で0.2Nの荷重を加えた時にたわみは約3mmとなることがわかった。この通信媒体において補強板のある箇所においても、きれいに印字ができるのは、プリンタの中で通信媒体が曲がる程度と同じ程度で補強板も曲がることができるためにきれいな印字が出来ると推測される。すなわちこの補強板のたわみの程度が印字の際の通信媒体のたわみの程度より大きければ印字に問題が生じないと考えられる。
通信媒体の上記のようなたわみの程度は、通信媒体が先に説明した厚さの範囲内で先に説明した範囲の曲げ弾性率を保持しているという条件で、たわみやすい面側からの測定で2〜6mm程度であった。実際にプリンタ等で搬送され印字される際に通信媒体がたわんだ場合に補強板はその際の通信媒体のたわみ量以上にたわむほど柔らかければよいと考えられるので、余裕をみて補強板のたわみ量が3mm以上あればよいとした。
従って表1に挙げたようなステンレス系、広くは金属系の補強板を使用する場合はそのたわみ量が通信媒体がプリンタ等で搬送されるときのたわみ量以上になることが好ましい。表から金属系の場合は補強板の厚みは30〜100μmとすることが適当である。なお補強板のたわみ量があまり大きすぎて6mmを超えると、応力が加わったときに補強板がたわみすぎ、本来のICチップ補強の効果が得られがたくなる。従ってたわみ量は6mmを超えないことが好ましい。尚、このようなたわみ量6mmに相当するのがステンレス製補強板において30μmの厚みである。従って金属補強板は30μm未満では補強効果が得られ難く好ましくない。また逆に金属補強板の厚みが150μmを超えるとたわみ量が3mmより大きく減少するため、印字に問題が生じやすくなる。
補強板が非金属系の柔らかいプラスチック樹脂材質などの場合は上記のたわみ量が通信媒体のたわみ量以上になればよいので比較的厚い補強板でも使用できることになる。補強板があまり厚くなると通信媒体全体の厚みも増大することになるので、全体のバランスを考えて補強板の材質、厚みを選択することが肝要である。
結局以上説明したように、本発明では、金属の補強板を用いる場合、その厚みが150μmを越えると可逆性感熱記録層を表示層に用いるような通信媒体では、印刷する機会やICチップへの通信をR/Wによって行うことが多いため、次のような問題が発生する。一つは可逆性感熱記録媒体の劣化である。これは内部に補強板など硬い曲がり難い物を内蔵する通信媒体は、印刷時や搬送時などでその部分だけこすられて表面が痛みやすくなる。もう一つは印字が不鮮明になることである。印刷をより鮮明にするため、感熱記録媒体に印刷用ヘッドを押し付けることを行う事が多い。その際、媒体の内部に硬く曲がり難いものがあると媒体を押し付けた際に、印刷面に浮きが生じ、その部分だけ印刷ヘッドが当たらなくなる。これは印刷ヘッドの反対面にあるプラテンロールなどがあり、このロールの円弧に沿うように印刷媒体が曲がり、印刷ヘッドに押し付けられ密着するが、このロールに沿うように補強板が曲がらなければ、印刷ヘッドが媒体の印刷面に当たらなくなり、きれいな印字が得られないということである。
補強板の大きさはICチップが隠れる程度の大きさが必要と考えられる。しかし、大きすぎる補強板はたとえ補強効果があっても、印字適性が損なわれるため、大きすぎる物は良くない。また、ICチップより小さいものは印字適性が良いが、補強の効果が少ないと考えられる。使用するチップの対角の1〜1.5倍の大きさの補強板が好ましい。形状は円形、楕円形、四角、長方形など、自由に選択できる。円弧状に曲がりやすいために、円形や楕円形のものが好ましい。四角や長方形のものは、角にアールをつけたほうが、折れ曲がったときに表示層を痛めることが少ないのでより好ましい。
搬送路は印刷ヘッドのあたりを良くするため、搬送路に僅かに角度をつけている方が好ましい。プラテンロールでの押し付け圧力は0.01〜5N/cmの線圧が好ましい。
補強板は外部の応力に対してICチップを保護すると同時に応力がなくなったときも、元の状態に戻る必要がある。補強板が元の状態に戻らない場合、外部からの応力が加わったまま歪んだ形となり、外観上好ましくない。ICチップの保護と言う観点からは、補強板は外部から応力が加わったときに、歪まないものが良いが、あまりに硬くもろいと補強板が割れてしまう。厚さにもよるが歪みすぎるとチップに損傷を与える可能性が生じる。金属のように高弾性なものが適当である。
材質的には銅、鉛、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、マンガン、モリブテン、錫、亜鉛、コバルト、クロム、などの金属やステンレス、鋼等の合金が挙げられる。中でも、冷間圧延したステンレス鋼材のばね用ステンレスが良く用いられる。さらに調質を行って硬さや弾性率を上げることも可能である。
[補強用樹脂]
補強用樹脂はICチップと補強板とを接続しているが、補強板の方がICチップより大きい寸法であるのでICチップのない個所では、ICインレットを形成している絶縁シートと補強板を直接接合していることになる。従って補強用樹脂も補強板と同様に硬すぎると、印字不良が生じる虞がある。従って補強用樹脂は補強板、表示基材、保持層と共に曲がりやすくするために、曲げ弾性率が低いほうが良い。補強用樹脂は保持層中に部分的に内在するため、曲げ弾性率の下限はこの場合、特に定められない。
通信媒体がプラテンロールなどのロールで搬送されるときに、補強用樹脂の曲げ弾性率が2000MPaを越えると、内部のICインレットは屈曲に対して、媒体と同様に屈曲していくのに対して、補強用樹脂の硬さのせいで補強板はあまり曲がらないで抵抗することになる。このとき補強板とICインレットの絶縁シートとの接着強度が弱ければ、補強板がICインレットの絶縁シートからはずれやすくなる。従って補強板用樹脂も屈曲しやすい方がよく、曲げ弾性率は2000MPa以下が好ましい。
また、補強用樹脂の厚みに関しては、ICチップと補強板との間が0〜100μm程度の間隔があればよい。100μm以上間隔をあけるとICチップの補強部が大きくなり印字に影響を与えやすくなる。ICチップは厚さが30μm〜200μmのものを用いることが多い。したがって、補強用樹脂のICチップ以外の厚さは30μm〜300μm程度の厚さとなる。
接着強度は、絶縁シートと補強板との接着強度が1N以上であればよいが、1N未満であると外れやすく、補強の効果が弱くなるおそれがある。さらに、補強板と絶縁シートとの両方に強固に接合しているほうが好ましい。
材質的に補強用樹脂は特に限定されないが、例えばポリウレタン接着剤、エポキシ接着剤、シリコーン系接着剤、酢酸ビニル接着剤、ポリアミド接着剤、塩化ビニル接着剤、ポリビニル接着剤、UV硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、カチオン硬化型接着剤、EB硬化型接着剤などの接着剤を用いることが出来る。中でも品質的に安定している低い弾性率(5MPa〜2000MPa)を持つエポキシ樹脂を用いるほうが好ましい。
[保持層]
保持層は表示部材のICインレットがある側にあり、機能的には(1)ICインレットを表示部材に保持する、(2)表示層の印刷適性を高める、(3)通信媒体の全体を柔らかくする役目を果たす。図3では保持層となる保持層用接着剤層3cは基材にICインレットを保持するとともに、通信媒体の裏面側の最外層の機能も果たす。図3の表示部材3sの弾性率が2000MPaより高い場合は、保持層用接着剤層3cの弾性率を2000MPaよりも低い弾性率のものを使用することにより、媒体自体の曲げ弾性率を2000MPa以下に調整しやすくなる。
図5では、保持層は保持層用支持体と保持層用支持体向け接着剤層とからなる。保持層用支持体向け接着剤層は表示層と保持層用支持体の中間に位置する。この場合、保持層用支持体向け接着剤層は保持層用支持体と表示層を接着するための層となる。保持層向け支持体は通信媒体の裏面側の最外層となる。図5のように保持層が保持層用支持体と保持層用支持体向け接着剤層に分かれていると、一方の弾性率が高くても、もう一方の弾性率を低くすることにより、通信媒体としての曲げ弾性率をコントールしやすくなる。
いずれの図の構成においても保持層の弾性率が10〜1000MPaであると、後述の表示部材と組み合わすことによって、通信媒体全体の曲げ弾性率が100MPa以上2000MPa以下になることを実験的に得ている。保持層が1000MPaを超えると、通信媒体全体の曲げ弾性率が2000MPaを越え易くなり、曲がった搬送路を持つプリンタ等で印刷がきれいに行えなくなり、不良が発生しやすくなる。
保持層用支持体はプラスチックシートや布、織物、不織布、ゴム、エラストマーシートなどが利用される。さらに耐久性の優れたシートとして、主成分がスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が考えられるが、結晶性を持つ分子と上記エラストマーの構成分子との共重合体のエラストマーが引張弾性率も低く、耐熱性も優れている。中でも、ポリエステル系エラストマーは耐熱性が高く優れている。ポリエステル系エラストマーとしては主にテトラメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステルのハードセグメントと、脂肪族ポリエーテル等のソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体が使用されている。ハードセグメントにPBT、ソフトセグメントにポリエーテル(脂肪族ポリエーテル)のブロック共重合体を持つような製品としては、東レ・デュポン株式会社のハイトレルシリーズ、帝人化成株式会社のヌーベランB4000番シリーズ、東洋紡績株式会社のペルプレンPタイプがある。さらに、ハードセグメントとしてポリブチレンテフタレート、ソフトセグメントとしてジカルボン酸類とジオール類からなるポリエステルのポリエステルブロック共重合体のエラストマーであると、伸長後の残留伸度が少ない弾性体を得る事が可能である。ハードセグメントにPBT、ソフトセグメントにポリエステルのブロック共重合体を持つような製品としては、帝人化成株式会社のヌーベランP4100番シリーズ、東洋紡績株式会社のペルプレンSタイプがある。
特に感熱印字を考えると、このように耐熱性のある素材を保持層の主成分として選択する事により、表示体の印字時の熱によるカールや歪み及び変形、リライト時のカールや歪み及び変形が軽減できるものである。
また、工場などの油汚れ等が多いところで使用される場合、保持層用支持体としては伸び縮みする性質をもち、比較的低い引張弾性率を持つもので、かつ油中膨潤率の低い耐油性の高い材料を選択することがより好ましい。このような材料としては、前述の可逆性感熱記録体における支持体の項にて述べたエラストマーが挙げられる。
保持層用支持体向け接着剤および保持層用接着剤は補強用樹脂と同じもののほかに、熱可塑性の樹脂など、接着剤、粘着剤と称されるものが使用できる。接着剤、粘着剤の材質としては、前述の可逆性感熱記録体における接着層の項にて述べた樹脂が挙げられる。
保持層用支持体向け接着剤層は熱可塑性フィルムを基材と保持層間に挟んで加熱したり、接着剤を塗布等することにより形成されることになる。このような貼り合わせ工程は単独、または、数工程に分離しても良い。塗工量としては、目的の表示体の最終厚さによるが、通常は乾燥重量で10〜700g/m、厚みで5〜1000μmである。また、材料としては、ポリエチレン系やポリエステル系のものを選択することにより、ケミカル原料として再利用する際に有益である。
図5に示した保持層用支持体の代わりに図6に示すように繊維含有層6を使用することも好ましい。繊維含有層としては、繊維を布、不織布、網等の平面状のいわば平面状繊維層にし、それを使用した繊維層積層体が挙げられる。また他には、糸やパルプ等の比較的短い繊維を単に含むようにした短繊維含有層とでも呼ぶ層が挙げられる。繊維含有層は通信媒体自体の強度や耐久性や物性を改善するために設けられる。
繊維層積層体は前記保持層用支持体向け接着剤層と同様の樹脂を使用して液体状の樹脂中に、前記平面状繊維層を浸潤したり、又はそれらの樹脂の層によって挟み込んだものが使用できる。また、前記保持層用支持体用として挙げた樹脂シート類もそのシート作製中に上記接着剤と同様に平面状繊維層を浸潤したり、又はそれらの樹脂シートの間に挟み込んだものが使用できる。
短繊維含有層は糸やパルプ等の比較的短い繊維を前記保持層用支持体向け接着剤層と同様の樹脂を使用して液体状の樹脂中に練りこむことによっても得られる。また、前記保持層用支持体用として挙げた樹脂シート類もそのシート作製中に液体状の樹脂シート原料の樹脂中に短い繊維を練りこむことによっても得られる。
保持層は以上に挙げた層を数種積層しても良い。保持層は表示部材と協調してICインレットを保持できればよいが、搬送性を良くするためにすべりを良くするためのニスや防汚性のニスや帯電防止用ニスなどの塗料やインキの層を設けることも出来る。また、保持層に顔料や、導電性フィラー、帯電防止剤などを練りこんでおくことも可能である。実用において、文字や図柄の印刷を行ったり、表裏判別マークなども適時印刷される。表裏判別のきりかけも随時、付与することも出来る。
[表示層]
表示層は感熱記録、感圧記録、熱転写記録、インクジェット記録などの各種表示層が選択できる。特に表示層は各種記録層が好ましく、感熱記録は、プリンタ装置が簡単であり、持ち運びが容易であるので配送伝票や工程管理表やICカードやICタグなどの用途に適しているので感熱記録層を有する構成が好ましい。感熱記録層の発色剤と呈色剤の組み合わせについては、両者が反応して呈色を起こすような組み合わせならいずれも使用可能である。感熱記録層の場合、記録を保護する為に、オーバーコート層を形成することが好ましい。感熱記録を2色以上で行える多色感熱記録層や可逆タイプの感熱記録層等の繰り返し印字できるサーモリライト方式の感熱記録層も含まれリサイクルの面でも好ましい。またリライタブルな記録方法はこのサーモリライト方式の感熱記録層を代表的なものとしては、「可逆性感熱記録層」の説明において述べた感熱性色素、高分子、或いは、磁性粒子を利用した表示方法が挙げられる。この表示層は表示基材の上に設けられる。
尚、それらの記録、印刷方式に適した層が適宜、好ましくは複数の記録方式に対応できるように形成される。層は単層に限らず複数層形成されたり、また情報媒体表面の記録部位に応じて形成する層を変化させたりすることもある。更に、このような可逆感熱発色層を通信媒体の全面に設けることが、記録する上で制約がなく記録しやすい。
印字用の感熱ヘッドはタグの搬送ライン上に置かれ、通信媒体の裏面からプラテンロール等で押し付け、表示層と圧着して、熱を伝え、発色させて、印刷を行う。印刷機は小さくするために、搬送路をまっすぐにせずに、曲がりくねらせている。そのために複雑な搬送路をもち、通信媒体に屈曲を余儀なくさせることになる。表示層にはその保護のため、ニスなどの保護層を設けることが多い。保護層としては、耐紫外線、耐擦性、耐汚性、対カール性、耐静電気性、耐油性、耐薬品性、筆記性などの用途が考えられる。また、表裏、媒体の種類の区別用に印刷を付与することも出来る。
表示層は比較的低分子のポリマーなどで形成される事が多く、その場合引張弾性率は無視できるほど小さくなる。通常、基材の引張弾性率が表示層の引張弾性率よりもより大きいため、表示層の引張弾性率の影響は非常に小さくなる。
表示層をその上に形成する表示基材の材質は特に限定しない。表示基材としてはポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル(例えば軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニルなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート(PET−Gとして商品化されている)など)、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリウレタン、セロハンなどの樹脂の単体、複合物、共重合体の混合物などを主成分にしたフィルム、該樹脂に発泡剤を配合し発泡せしめた発泡フィルム、該樹脂に無機顔料や有機顔料等を配合し延伸によりボイドを形成した多孔質フィルムなどのフィルム類、あるいは合成紙類や不織布類、更にこれらを貼り合せた積層シートなどが挙げられる。中でも、結晶性のポリエステルのフィルムが薄くて加工しやすく適している。厚さは20〜100μmが適当であり、20μm以下では表示層を設けるには薄くて加工し難く、また100μmを超えると、通信媒体の曲げ弾性率が高くなりすぎ、適さない。
最後に、本発明の記録体の好ましい実施形態を図面に示し、図面に基づいて本発明を説明する。図7は、本発明の記録体の第一の例の断面図である。図7からわかるように、この記録体の場合には、保持層7gの中にメッシュクロス7jが配置されており、この保持層7gと表示層7sが接着剤層7cにより接着された構造となっている。
図8は、本発明の記録体の第二の例の断面図である。図8からわかるように本発明の記録体においては、記録層8aを持つ基材8bにより表示層8sが構成されており、基材8bの裏面側に、接着剤層8cと保持層8gが、メッシュクロス8jを挟み込むようにして順次積層された層構成のカール防止層が設けられている。このメッシュクロスは、一方の面(下面)側が保持層内に埋め込まれた状態となっており、他方の面(上面)側が接着剤層8cにより接着されている。
図9は、本発明の記録体の第三の例の断面図である。図9では、保持層9gの一方の面側にメッシュクロス9jが貼着されており、メッシュクロス9jが最外層となるようにして保持層9gと表示層9sが接着剤層9cにより接着されている。
図10は、本発明の記録体の第4の例の断面図である。図10に示した本発明の記録体も、図7〜図9の記録体と同様に、記録層10aを持つ基材10bにより表示層10sが構成されている。そして、その表示層10sの下層側には、接着剤層10cと、メッシュクロス10jと、保持層10gが順次設けられており、接着剤層10c内にICチップ11eを搭載し、補強板11gで補強したICインレットが埋設され、このICインレットは、基材10bと保持層10gとに挟み込まれるように存在する。
ここで、接着剤層10c内に埋設されたICインレットについて、図11を参照して詳しく説明する。図11はICインレットの断面図である。このICインレットは、絶縁性シート11の上に形成した上面アンテナ11a及び下面アンテナ11bを有し、下面アンテナ11bは渦巻き形状のアンテナであるのでその断面が数個所図面中に現れている。そのアンテナ上にはICチップ11eが電気的に接続されている。このICチップ11eには、補強用樹脂11fにより補強板11gが接着されている。また上面アンテナ11a及び下面アンテナ11bは、スルーホール11hにより上下に電気的に接合されている。本明細書では、アンテナやIC等の電子部品を搭載した絶縁性シートを全体として、ICインレットと呼ぶことにする。
また図12は、本発明の記録体の第5の例の断面図である。図12に示した本発明の記録体も、図7〜図9の記録体とは異なり、記録層12aを持つ基材12bにより表示層12sが構成されている。そして、その表示層12sの下層側には、メッシュクロス12jを含む接着剤層12cと、保持層12gが順次設けられている。
以下、本発明の記録体を構成する各層および各部について説明する。
[表示層]
本発明の記録体における表示層は、基材及び該基材上の記録層からなる。
基材としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、発泡紙などの紙類、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル(例えば軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニルなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート(PET−Gとして商品化されている)など)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリウレタン、セロハンなどの樹脂の単体、複合物、共重合体の混合物などを主成分にしたフィルム、該樹脂に発泡剤を配合し発泡せしめた発泡フィルム、該樹脂に無機顔料、有機顔料等を配合し延伸によりボイドを形成した多孔質フィルムなどのフィルム類、あるいは合成紙類や不織布類、更にこれらを貼り合せた積層シートなどが挙げられる。中でも、熱寸法安定性に優れた、二軸延伸のポリエステルフィルムは適している。
実際に用いられる基材の貯蔵弾性率は4GPa以上、10GPa以下が好ましい。4GPa未満であると実用的な表示体としては剛性が少なく弱いものになりやすい。また、10GPaを越えると、柔軟性に乏しくなり、割れたり、欠けたりする欠点が生じてきやすい。表示層と保持層の線膨張率の条件については、保持層の項で述べる。
また、基材の厚みは具体的には6μmから200μm程度が実際的に用いられる範囲である。
本発明の記録体における記録層は、前述の通信媒体における表示層と同様であり、感熱記録を2色以上で行える多色感熱記録層や可逆タイプの感熱記録層等の繰り返し印字できるサーモリライト方式の可逆性感熱記録層も含まれ、代表的なものとしては、感熱性色素、高分子、或いは、磁性粒子を利用した表示方法が挙げられる。
また、別の系列のリライタブルな記録方法としてはエレクトロニックペーパが挙げられる。エレクトロニックペーパはマイクロカプセル中の帯電粒子の電気泳動による凝集・拡散を利用するもの(必要ならば、E.Kishi et al.,SID00 Digest,p.24,2000、或いは、S.A.Swanson et al.,SID00 Digest,p.29,2000参照)、二色に塗り分けた球の移動や回転により表示を行なうもの、液晶を高分子材料に設けた微小孔に詰め込んだ所謂高分子分散型液晶、エレクトロクロミズム、或いは、磁性を有する微粒子を磁気を制御して回転、移動させる磁気記録装置(必要ならば、L.L.Lee et al.,SID76 Digest,p.56,1976参照)が知られている。これらのリライタブルな記録方式を利用した表示層を使用できるが、層の構成上折れ曲げ等に弱い構成のものもあり、これらの中では、感熱性色素、高分子等を利用したサーモリライト方式の感熱記録層が構成が単純でこのような折れ曲げに本質的に強いのでより好ましく使用できる。
[保持層]
本発明において、柔軟な記録体を得るために、柔らかい材料と硬い材料を組み合わせることが有効であると考えられる。表示層に硬い材料(例えばポリエステルフィルム)を選び、カール防止層に柔らかい材料を選ぶのが、選択の範囲も広く、加工がしやすいと考えられる。
このような柔らかい材料としては、主成分がスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等のエラストマーの混合物などが挙げられる。
カール防止層の一部となる保持層に一派的な上記エラストマーの混合物を使用すると、凡その線膨張率は10〜20×10-51/℃となる。また、表示層で述べたポリエステルフィルムの線膨張率は2〜5×10-51/℃となる。線膨張率が一桁違うと、記録体の温度が一度変わる毎に、保持層と表示層の温度変化の伸び縮みがことなり、カールが発生する。
実験的にカールの発生を調査したところ、表示層に厚さ75μmのポリエステルフィルム上に10μmの可逆性感熱記録層を設けた厚さ85ミクロンの三菱製紙製TRF85WAを用い、保持層に帝人化成製のエラストマー:厚さ300μmのヌーベランP4145を用い、厚さ5ミクロンのドライラミ接着剤で張り合わせた。10cm四方に切り出し、雰囲気温度を4℃、23℃、40℃と変化させ、カールを調べると、23℃でカールが0だったものが、4℃では5mmの−カール、40℃では10mmの+カールとなった。このように、雰囲気温度でカールが生じるのは、気温の変化が大きい日本では使い難いものになり、使用するプリンタや搬送機なども制約を受けやすい。
雰囲気温度の変化でカールを起こさせないために、線膨張率を近づけてやる必要がある。それには保持層の線膨張率を少なくすることが必要である、また、後述する接着剤層の線膨張率を少なくすることも有用であると考えられる。
保持層の線膨張率を少なくするためには、メッシュクロスを保持層の中に存在させるのが、実験を繰り返すうちに効果的であることが判明した。このメッシュクロスとしては、市販のメッシュクロスが使用でき、保持層の接着剤層側、保持層の中間位置、又は保持層の最外層側にメッシュクロスを配置させることによって、保持層の線膨張率を著しく少なくすることが出来る。上記と同様の実験では保持層の線膨張率が3〜5×10-51/℃となり、カールは23℃でカールが0だったものが、4℃では2mmの−カール、40℃では2mmの+カールとなった。
メッシュクロスの存在する位置は、表示層から離れているほうが、カールの抑制により効果が高い結果が得られた。なお、メッシュクロスを何層にも設けることによっても、同様の結果が得られた。
ところで、このメッシュクロスは目開きした組織を有する布で、さまざまな材質からなる糸を選択でき、また織り方、太さや繊維数を適宜選択することができる。素材としては、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリウレタン、アクリル、カーボン、テフロン、ポリプロピレン、ガラス繊維などの合成繊維や綿、麻、毛、絹などの天然繊維などがある。使用する糸はモノフィラメント、マルチフィラメントのどちらでも良い。メッシュクロスの織り方としては、基本的な平織、綾織、朱子織など、通常の織物で使用される織方が考えられる。平織が工業的に生産が簡単である。このメッシュクロスを構成している繊維の糸径は1〜900デシテックスの範囲であることが好ましい。糸径が大きくなれば、印字時に影響を与える可能性が高くなる。
目開きは0.5mm〜20mmの範囲が好ましく、更に好ましくは2mmから10mmの範囲である。記録体の大きさによって、変化させるのが好ましい。目開きが詰まっているとメッシュクロスの素材の影響を受けやすく、記録体の柔らかさを調節するのが難しい。目開きがあまりおおきくなりすぎると線膨張率の制御が困難になる。さらに、糸をクロスした状態で目開きを固定するために、収束剤や加熱処理などで束ねると良い。
メッシュクロスを保持層又は下記接着剤層に存在させる方法として、溶融させた保持層又は接着剤層にメッシュクロスを押し付け、メッシュクロスの少なくとも一部を押し込んで接着させる溶融ラミネート方式やTダイ押し出しラミネート法、カレンダー成形法などある。メッシュクロスを一部押し込んだ状態の上にさらに保持層又は接着剤層を押し出し、内部に存在させることも可能である。あるいは、保持層を接着する際にあらかじめメッシュクロスを置いておき、接着すると同時に、接着剤層の中に取り込んでしまうような方法も可能である。
カール防止層を構成する保持層または接着剤層にメッシュクロスを存在させるとその存在によりカール防止層として機能する。尚、カール防止の機能から考えると表示層からメッシュクロスを存在させる位置をできるだけ離して存在させることが好ましいことは先に説明したとおりである。
このメッシュクロスを存在させること以外に保持層や接着剤層の線膨張率を制御する方法としては、線膨張率のより低い材料例えばポリエステル、ナイロン、テフロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス繊維やカーボン繊維、天然繊維等でできた網構造をもつフィルム基材等をメッシュクロスと同様の方法で各層中に存在させる方法。また、カール防止層にガラス繊維やカーボン繊維、天然繊維等の短繊維や板状化合物を練りこみ、シート化する方法も挙げられる。さらには、上述の樹脂でできた表示層より薄いフィルムをメッシュクロスと同様に用いることにより、線膨張率を制御する方法もあるが、記録体として硬くなり易いので、長期使用の耐久性において劣りやすくなり、リユース性が劣ることにつながると考えられる。
また、本発明において、カール防止層の一部を構成する保持層の線膨張率は表示層との比率により、好ましい範囲が規定される。表示層の線膨張率:カール防止層(接着剤層と保持層)の少なくともいずれか一方の線膨張率の比率が1:5〜5:1の間であり、より好ましくは1:3〜3:1、さらに好ましくは1:2〜2:1の間である。線膨張率がこの範囲を超えると環境温度が変化した場合にカールが発生しやすい。
カール防止層を構成する保持層としては、素材的には、貯蔵弾性率が0.01Gpa〜1.5GPaのものが適当である。0.01GPa未満であると実用的な表示体としては剛性が少なく弱いものになりやすい。1.5GPaを越えると、柔軟性に乏しくなり、割れたり、欠けたりする欠点が生じやすい。カール防止層を構成している、接着剤層と保持層とが記録体の柔らかさを出す要因となる。両者がともに上記の貯蔵弾性率を満たす場合が理想的でより好ましい。どちらか一方が上記の貯蔵弾性率を示さない場合でも、厚さが片方の層より厚い方の貯蔵弾性率がより低ければ、柔らかい記録体として、性能を満たすものである。識別タグなどを接着剤層に埋め込む場合などは、接着剤層の厚さが保持層より大きくなりやすく、接着剤層の方が支配的になると考えられる。
上記の貯蔵弾性率を有した材料としては、主成分がスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。上記エラストマーでは、ブロック共重合体中の結晶性を持つハードセグメントと非結晶部のソフトセグメントの組成により耐熱性が大きく異なり、中でも、ポリエステル系エラストマーは他のエラストマーより温度変化により弾性変化が少なく、融点が高いため耐熱性が高く優れている。特に感熱印字特性を考えると、このように耐熱性のある素材を保持層の主成分として選択する事により、表示体の印字時の熱によるカールや歪み及び変形、リライト時のカールや歪み及び変形を軽減することができる。
ポリエステル系エラストマーとしては、主にポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリブチレンナフタレート(PBN)等の芳香族ポリエステルのハードセグメントと、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテル等のソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体が好適である。
本発明では、保持層を構成する合成樹脂として市販品を利用することができ、適した市販品としては、例えば、主にハードセグメントとしてPBT、ソフトセグメントとして脂肪族ジオールや脂肪族ポリエステルのブロック共重合体とした帝人化成株式会社ヌーベランP4100シリーズ、東洋紡績株式会社ペルプレンSタイプなどが挙げられる。
カール防止層の厚さは50μmから1000μmが適当である。好ましくは50〜800μmが良い。カール防止層が50μmより薄い場合、後述するメッシュクロスを平坦に加工することが難しく、また内在させにくい。また、800μmより厚い場合は、表示体全体として厚くなりすぎ、印字を行う際や搬送する際に取り扱いがし難くなる。さらに保持層を厚くしたり、接着剤層を薄くしたりして、全体の厚さを整えるのが好ましい。
[接着剤層]
本発明の記録体における接着剤層は、熱可塑性フィルムを表示層と保持層間に挟んで加熱したり、接着剤を塗布等することにより形成される。このような貼り合わせ工程は単独、または、数工程に分離しても良い。
本発明の接着剤層に用いる接着剤としていわゆる熱可塑性フィルム、接着剤、粘着剤と称されるものが使用できる。これらのものが接着剤層を形成した際に、貯蔵弾性率は0.01GPa以上、1.5GPa以下が好ましい。0.01GPa未満であると実用的な表示体としては剛性が少なく弱いものになりやすい。また、1.5GPaを越えると、柔軟性に乏しくなり、割れたり、欠けたりする欠点が生じやすい。接着剤、粘着剤、熱可塑性フィルムの材質としては、可逆性感熱記録層の「接着層」の説明において述べたものが挙げられる。
接着剤層の厚さを薄くしたり、また、材料としては、ポリエチレン系やポリエステル系のものを選択することにより、ケミカル原料として再利用する際に有益である。
また接着剤層を使用する場合の特殊な例であるが、接着剤層を使用してICを使用したRFIDタグや、EAS(電子式物品監視:Electronic Article Surveillance)技術を使用した盗難防止用等に使用されるタグを本発明の表示体と一体化することができる。このようなタグを総括して、本明細書では「識別タグ」と呼ぶ。RFIDタグの中にはリーダーライターとの通信を行う部分である前述のICインレットも含まれる。
[ICインレット]
本発明の記録体におけるICインレットは、前述の通信媒体のICインレットと同様である。
[補強板および補強用樹脂]
本発明の記録体における補強板および補強用樹脂は、前述の通信媒体の補強板および補強用樹脂と同様である。チップが小さい場合や、チップに圧力が加わり難い記録体であれば、特にチップを補強する必要はない。さらに、補強用樹脂が硬い場合も補強用樹脂が補強板の作用の代わりを行い、チップの保護が不必要になる場合も生じる。
本発明を下記実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
図1を参照しつつ本発明の表示体の一実施例としての実施例1を説明する。図1は本発明の表示体の一例を示す断面図である。
[実施例1]
表示基材1a(三菱製紙社製リライトフィルムTFR85WA:厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層となる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。)このリライトフィルム単体に対して先に説明した引張弾性率、「油滴付着適性試験」、「油中膨潤試験」等の試験を行った。引張弾性率は3700Ma実測値、油滴付着適性は適、油中膨潤試験では体積膨潤率0.2%の結果を得た。尚、引張弾性率や油中膨潤試験の値は同厚みの同等のPETフィルムの値とほぼ同様であることが確かめられた。支持体1cとして厚さ300μmの東洋紡製ペルプレンS1002(ポリエステルエラストマー、ハードセグメント:PBT、ソフトセグメント:ポリカプロラクトン)を使用した。この支持体に対して先に説明した引張弾性率、「油滴付着適性試験」、「油中膨潤試験」等の試験を行った。引張弾性率:98MPa、油滴付着適性は適、体積膨潤率:0.4%の結果を得た。この支持体1cと表示基材1aを接着層1b(東洋モートン社製、主剤AD-577(ポリエステル系樹脂)と硬化剤10L(ポリイソシアネート)を5:1の割合で混合したものを厚さ6μmになるように塗布、乾燥して得られた層)によって貼り合わせた。得られた可逆性感熱記録体は厚さが410μmとなった。この試料を20cm×10cmの大きさに切り、本発明の可逆性感熱記録体の実施例1のサンプルを作成した。
[実施例2]
図2を参照しつつ本発明の表示体の一実施例としての実施例2を説明する。図2は本発明の表示体の別の一例を示す断面図である。インレット基材2e(材料PET)上に上面アンテナ2f、下面アンテナ2g(材料アルミニウム)を形成しその上にmy−dチップ2hを接続させてなるインレットを使用した。このインレットはインフィニオン社製SRF55V10P正方形インレイ(寸法48mm×48mm)として市販されているものを使用した。
支持体2cとして厚さ300μmの東洋紡製ペルプレンEN1000(ポリエステルエラストマー、ハードセグメント:PBN、ソフトセグメント:PTMG)を使用した。上述のような各試験の結果は引張弾性率:83MPa実測値、油滴付着適性は適、体積膨潤率:1.0%であった。この支持体2c上に接着層2bとなるセメダイン社製セメダインEP-001(弾性エポキシ接着剤、引張弾性率20MPaカタログ値)を塗工し、前記インレットをのせ、最上層に表示基材2a三菱製紙社製リライトフィルムTFR33TA(厚さ23μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層となる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。)を貼り合わてサンプルを得た。このようなICやアンテナを含むRFIDを使用した場合アンテナ等が硬い表示基材側にあっても、インレット自体が少し接着層側に膨らむことにより、無理なく接着層2b中にインレットが埋め込まれる。またこの例とは少し違って表示基材2a側にも接着層を形成しておくことにより極めて簡単に接着層中にインレットが埋め込まれる。
尚、このリライトフィルム単体に対しても先に説明した引張弾性率、「油滴付着適性試験」、「油中膨潤試験」等の試験を行った。引張弾性率は3700Ma実測値、油滴付着適性は適、油中膨潤試験では体積膨潤率0.4%の結果を得た。尚、引張弾性率や油中膨潤試験の値は同厚みの同種のPETフィルムの値とほぼ同様であることが確かめられた。
この貼り合わせて得られたた可逆性感熱記録体の厚さは800μmであり、実質的な接着層の厚みは470μmであった。張り合わせたものを20cm×10cmの大きさに切り、さらに印字領域としてはインレットを埋め込んだ部分をはずすようにして本発明の可逆性感熱記録体の実施例2のサンプルを作成した。尚この実施例2の可逆性感熱記録体は各試験の後においてもオムロン社製H-01リーダーライターでチップの情報が読み取り可能であったことを確かめた。
[実施例3]
実施例1において支持体1cに使用した東洋紡社製ペルプレンS1002の代わりに以下に説明するようなポリエステルエラストマーを使用した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録体を得た。以下に支持体用として使用したポリエステルエラストマーの製造方法の概略を説明した。ポリテトラメチレンテレフタレート80部とカプロラクトン20部を反応容器に取り、窒素中にて230℃で攪拌しながら2時間溶融反応させた。さらに別の容器にて第2のポリエステル樹脂となるイソフタル酸60部とヘキサンジオール40部を反応容器に取り、窒素中にて350℃で攪拌しながら2時間溶融反応させた。それぞれ未反応部を取り除き、ペレット化して材料を得た。二軸の溶融押し出し機にて、ブレンドを行いながら、押し出し、冷却ドラム上で支持体用フィルムとして製膜させた。このようにしてハードセグメント:PBT、ソフトセグメント:PCLであるポリエステルエラストマーの厚さ250μmの支持体1cを得た。得られた支持体についての上述のような各試験の結果は引張弾性率:180MPa実測値、油滴付着適性は適、体積膨潤率:0.2%であった。後は実施例1と同様にして実施例3の可逆性感熱記録体のサンプルを作成した。
[実施例4]
実施例3において、第2のポリエステル樹脂としてイソフタル酸の代わりにテレフタル酸60部とヘキサンジオールの代わりにプロピレングリコール40部と反応させて得られたものを用いて支持体を得た以外は実施例3と同様にして可逆性感熱記録体を作成した。得られた支持体についての上述のような各試験の結果は引張弾性率:500MPa実測値、油滴付着適性は適、体積膨潤率:2.0%であった。
[比較例1]
実施例1において、支持体1cに使用した東洋紡製ペルプレンS1002の代わりに、厚さ300μmの東洋紡製ペルプレンE−450B(ポリエステルエラストマー、ハードセグメントPBT、ソフトセグメント:PTMG)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例1の可逆性感熱記録体のサンプルを作成した。尚、本支持体についての上述のような各試験の結果は引張弾性率:3000MPa、油滴付着適性は適、体積膨潤率:0.5%であった。
[比較例2]
実施例1において、支持体1cに使用した東洋紡製ペルプレンS1002の代わりに、厚さ300μmの東洋紡製ペルプレンP70B(ポリエステルエラストマー、ハードセグメントPBT、ソフトセグメント:PTMG)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例2の可逆性感熱記録体のサンプルを作成した。尚、本支持体についての上述のような各試験の結果は引張弾性率:3000MPa、油滴付着適性は適、体積膨潤率:2.5%であった。
<評価試験>
各サンプルについての材料の試験および各サンプルについて行った試験と試験の内容判定基準は以下の通りであった。
「油滴付着適性試験」
膨潤が観測される場合を不適×、観測されない場合を適○と判定した。結果を表2に記載した。
「油中膨潤試験」
得られた膨潤率を表2に記載した。
[油中反り性試験]
得られた感熱記録体サンプルをカード寸法(85.5mm×54mm JIS X 6301(1998)による)に切り出し、マシン油に漬け込み23℃の温度条件で7日間、放置する。7日後に取り出し、オイルをふき取り、JIS X 6301(1998)カードの反りの測定法に従い、反りを測定する。測定した反りの量を表2に記載した。2mm以下を良好と判断した。
「洗浄試験」
記録体の観察状況と印字品質を以下のように分けて評価した。その結果を表2に示した。
記録体に傷もなく、印字も良好に行えた:◎
記録体に微小な傷が認められたが印字は良好に行えた:○
記録体に傷が認められ、印字も不鮮明な個所があった:×
「折れジワ(箇所)印字性試験」
バーコードが読め、文字が判読できた:◎
バーコードが読めないが、文字が判読できた:○
バーコードも文字も判読できなかった:×
Figure 2006038438
[評価]
実施例1に較べて実施例3のサンプルは洗浄試験において傷も観察されず非常に好ましい。これは第2のポリエステル樹脂として比較的柔らかい樹脂を選択したためハードセグメントとして比較的硬いPBTの性状を補償するような作用が得られたためであると推定される。
これに較べて実施例4において使用した第2のポリエステル樹脂は比較的硬い樹脂を選択したために折れジワ試験等に劣ったと推定される。
比較例1は支持体を構成するポリエステルエラストマーが硬くなりすぎて洗浄試験において不可となった。これはPTMGに較べて硬いPBTの割合が多くなりすぎ、その影響が大きく出たものと推定される。
比較例2は比較例1に較べても耐油性に劣る性状を示した。これは比較例1に対してエーテル結合のPTMGの割合が多くなりすぎてこのような結果になったと推定される。
[実施例5]
図を参照しつつ本発明の通信媒体の一実施例としての実施例5を説明する。
まず、図4を参照して、ICインレットの構成について説明する。図4は本発明の通信媒体に使用するICインレットの一例の断面図である。あらかじめ38μm厚のPETフィルムを絶縁性シート4とし、30μm厚のアルミ箔を貼り付け、レジストインキを乗せて、エッチングを行い、絶縁シート上にアンテナ4a、4bを形成した。更にそのアンテナ4b上にICチップ4e(フィリップ社製、I-CODE SLI)を接合し、さらに補強用樹脂4fとなるエポキシ樹脂(セメダイン社製EP001弾性エポキシ接着剤、曲げ弾性率20MPa)によって補強板4g(SUS301、50μm厚、5mmφ)を貼り付けICインレット3dを作成した。
次に図3に示した通信媒体を組み立てた。図3は本発明の通信媒体の一例となる実施例5の断面図である。基材3bと表示層3aから構成される表示部材3sとして三菱製紙社製リライトフィルムTFR85WAを使用した。このリライトフィルムは基材3bを構成する厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層3aを構成する熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものである。この基材3bと保持層3cとなる厚さ300μmの東亞合成社製アロンメルトPES111EEW(ポリエステル系ホットメルト接着剤)によってICインレット3dを挟み込み、真空プレス装置により、真空下で、130℃まで加温し、0.3MPaの圧力にてプレスし、そのまま冷却して、ICインレットと表示部材、保持層とを一体化して本発明の通信媒体の一例を得た。この表示体はオムロン社製H-01リーダーライターでチップの情報が読み取り可能であった。曲げ弾性率100MPa(実測値)、厚さ380μmの通信媒体を作成した。
[実施例6]
図5を参照しつつ本発明の通信媒体の別の一実施例となる実施例6を説明する。図5は本発明の通信媒体の実施例6の断面図である。
本実施例6で使用したICインレット3dは実施例5で使用したICインレットと同一のものであった。
保持層用支持体5gとして厚さ300μmの東レ社製ハイトレル4047(ポリエステルエラストマー:曲げ弾性率70MPaカタログ値)に保持層用支持体向け接着剤層5cとなるセメダイン社製セメダインEP-001(弾性エポキシ接着剤、曲げ弾性率20MPa)を塗工し、ICインレット3dを挟んでのせ、その際、ICインレット3dのICチップの無い側にもセメダインEP-001を塗工しておいて、表示部材5sと張り合わせた。表示部材5sは基材5bと表示層5aから構成される表示部材として三菱製紙社製リライトフィルムTFR33TAを使用した。このリライトフィルムは基材5bを構成する厚さ23μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層5aを構成する熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものである。以上のようにして通信媒体を作成した。通信媒体としての厚さは600μmであった。保持層用支持体向け接着剤層5cの厚みはおおよそ270μmである。但しICインレット3dが存在する個所ではICチップ部分を除けば保持層用支持体5g側は250μm、基材5b側は20μmであった。通信媒体のリライトフィルム側から押した曲げ弾性率は200MPaであり、反対面から押した曲げ弾性率は130MPaであった。(平均の曲げ弾性率は160MPaとした。)
この表示体はオムロン社製H-01リーダーライターでチップの情報が読み取り可能であった。
[実施例7]
図6を参照しつつ本発明の通信媒体の別の一実施例となる実施例7を説明する。図6は本発明の通信媒体の実施例7の断面図である。
本実施例7で使用したICインレット3dは実施例5で使用したICインレットと同一のものであった。本例において、実施例6における保持層支持体5gとしての東レ社製ハイトレル4047(ポリエステルエラストマー:曲げ弾性率70MPaカタログ値)の代わりに、平織綿布の天竺5Bをゴムシートに挟み込んだクレハエラストマー株式会社製の厚さ400μmの複合シート(曲げ弾性率300MPa実測値)を使用した以外は実施例5と同様にして通信媒体を得た。得られた通信媒体の厚さは700μm、曲げ弾性率は300MPaであった。
[実施例8]
実施例6において、補強板とICとを貼り合わせた補強用樹脂としてのエポキシ樹脂(セメダイン社製EP001)の代わりに、三洋化成工業社製の接着剤として主剤TA-1800Eと硬化剤TA-1800Hを混合したエポキシ樹脂接着剤(硬化時の曲げ弾性率3000MPa)を使用した以外は実施例6と同様にして通信媒体を作成した。得られた通信媒体の厚さは600μm、曲げ弾性率は160MPaであった。
[実施例9]
実施例6において、保持層支持体5gとしての東レ社製ハイトレル4047の代わりに、厚さ300μmの東レ社製ハイトレル2751(ポリエステルエラストマー曲げ弾性率1250MPaカタログ値)を使用した以外は実施例6と同様にして通信媒体を作成した。得られた通信媒体の厚さは600μm、曲げ弾性率は1400MPaであった。
[比較例3]
実施例6において、補強板4gとして、厚さ150μmのSUS301、5mmφ、3点曲げ試験0.2N荷重時に0.5mmのたわみを呈するステンレス板を使用した以外は実施例6と同様にして通信媒体を作成した。得られた通信媒体の厚さは600μm、曲げ弾性率は140MPaであった。
[比較例4]
実施例6において、保持層支持体5gとしての東レ社製ハイトレル4047の代わりに、厚さ300μmの無延伸ポリエステルフィルム(曲げ弾性率2300MPa、カタログ値)を使用した以外は実施例6と同様にして通信媒体を作成した。
得られた通信媒体の厚さは600μm、曲げ弾性率は2200MPaであった。
[評価]
実施例、比較例の通信媒体を100mm×200mmの大きさに切り取り、三和ニューテック社製リライトプリンタPR3101を用いて、バーコードの感熱印字を行い、印刷の様子を調べた。
バーコードの印字を目視で判断し、印刷に途切れがないものを良好とし、印字が少しかすれているがバーコードが読み取れるものをやや良好、印字が途切れておりバーコードとして読み取れないものを不良と判断した(プリンタの印字エネルギーは標準状態)。同時に200回消去印字を繰り返し行った後で通信状態を確認した。5枚中、1枚でも通信が不可能の場合は×、すべて通信可能の場合は○とした。結果を下記表3に示した。
Figure 2006038438
[実施例10]
図7を参照に実施例10を説明する。表示層7s(三菱製紙社製リライトフィルムTFR85WA:基材7bの厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに記録層7aとなる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。TD方向の線膨張率2.4×10-51/℃、貯蔵弾性率4.6GPa)。保持層7gは帝人化成製ヌーベランP4145(ポリエステルエラストマー、線膨張率19.2×10-51/℃、貯蔵弾性率0.45GPa)の原料ペレットを溶融させ、巻き取りながらセパレート紙上に押し出し、シート化するときにポリエステル繊維のメッシュクロス、目開き5mm、糸径20μm、280デシテックスのものをチルロール面側に落とし込み、挟み込んでシート化した原反をまず作成した。作成した原反を巻き取り、さらにその上に同じ原料のポリエステルエラストマーを溶融させてメッシュクロス面に押し出し、メッシュクロスを挟み込んだ構造となる厚さ300μmのポリエステルエラストマーの保持層7gを作成した。真中にメッシュクロス7jを持つことによりこの保持層の繊維膨張率は4×10-51/℃、貯蔵弾性率0.85GPaとなった。この表示層7sと保持層7gを接着層7c(ノーテープ工業製、湿気硬化型ホットメルトRHC−100、線膨張率25×10-51/℃、貯蔵弾性率0.1GPa)を厚さ50μmになるように塗布し、張り合わせた。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。この試料を10cm×10cmの大きさに切り、本発明の可逆性感熱記録体の実施例10のサンプル(図7の断面構造を有するもの)を作成した。
[実施例11]
接着剤層として、ポリエステル系ホットメルト接着剤である東亜合成社製アロンメルトPES111EEW(厚さ75μm、線膨張率22.7×10-51/℃、貯蔵弾性率0.1GPa)を使用した以外は実施例10と同様にして、図7に示される断面構造を有した本発明の記録体のサンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが460μmとなった。
[実施例12]
実施例10において、保持層を作成する際に、帝人化成製ヌーベランP4145(ポリエステルエラストマー、線膨張率19.2×10-51/℃、貯蔵弾性率0.45GPa)の原料ペレットを溶融させ、セパレート紙上に押し出し、シート化するときにポリエステル繊維のメッシュクロス、目開き5mm、糸径20μm、280デシテックスのものをチルロール面側に落とし込み、そのまま挟み込んで厚さ300μmのポリエステルエラストマーの保持層を作成した。メッシュクロスはエラストマーにほぼ埋まりこんだような構造となった。メッシュクロスを持つことによりこの保持層の繊維膨張率は4×10-51/℃、貯蔵弾性率0.85GPaとなった。このメッシュクロスが保持層の内側(表示層側)に位置するようにした以外は実施例10と同様にして、図8に示される断面構造を有した本発明の記録体のサンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。
[実施例13]
実施例10において、保持層を作成する際に、帝人化成製ヌーベランP4145(ポリエステルエラストマー、線膨張率19.2×10-51/℃、貯蔵弾性率0.45GPa)の原料ペレットを溶融させ、セパレート紙上に押し出し、シート化するときにポリエステル繊維のメッシュクロス、目開き5mm、140デシテックスのものをチルロール面側に落とし込み、そのまま挟み込んで厚さ300μmのポリエステルエラストマーの保持層を作成した。メッシュクロスはエラストマーにほぼ埋まりこんだような構造となった。メッシュクロスを持つことによりこの保持層の繊維膨張率は4×10-51/℃、貯蔵弾性率0.85GPaとなった。このメッシュクロスが保持層の外側(裏面側)に位置するようにした以外は実施例10と同様にして、図9に示される断面構造を有した本発明の記録体のサンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。
[実施例14]
実施例12における表示層と接着剤層の間にICインレットが挟み込まれた構造を有する図10の本発明の記録体を作成した。このICインレットとしては、図11のように絶縁シート11(材料PET)上に上面アンテナ11a、下面アンテナ11b(材料アルミニウム)を形成しその上にmy−dチップ11eを接続させてなるICインレットを使用した。このICインレットはインフィニオン社製SRF55V10P正方形インレイ(寸法48mm×48mm)として市販されているものを使用した。さらにICチップには、弾性エポキシ接着剤であるセメダインEP001(セメダイン社製)を用いてSUS304の50ミクロン厚5mmφの金属板が補強板11gとして搭載した。接着剤層は厚さを250ミクロンとした以外は実施例12と同様にして、図10に示される断面構造を有した本発明の記録体のサンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが630μmとなった。
[実施例15]
図12を参照に実施例15を説明する。表示層12s(三菱製紙社製リライトフィルムTFR85WA:厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層となる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。TD方向の線膨張率2.4×10-51/℃、貯蔵弾性率4.6GPa)。保持層12gは帝人化成製ヌーベランP4145(ポリエステルエラストマー、線膨張率19.2×10-51/℃、貯蔵弾性率0.45GPa)の原料ペレットを溶融させ、巻き取りながらセパレート紙上に押し出し、厚さ300μmの保持層を作成した。次に、厚さ50μmのポリエステル系ホットメルト接着剤である東亜合成社製アロンメルトPES111EEW(線膨張率22.7×10-51/℃、貯蔵弾性率0.1GPa)の2枚のシートの間に、ポリエステル繊維のメッシュクロス、目開き10mm、糸径20μm、140デシテックスのものを挟み込んで接着剤層を作成した。シート化した接着剤層は線膨張率11.0×10-51/℃、貯蔵弾性率0.2GPaであった。真空熱プレス機に表示層、接着剤層、保持層を挟み、加熱真空プレスを行い、図12に示されるような厚さ480μmの記録体のサンプルを作成した。
この試料を10cm×10cmの大きさに切り、本発明の可逆性感熱記録体の実施例15のサンプル(図12の断面構造を有するもの)を作成した。
[実施例16]
実施例14おいて、帝人化成製ヌーベランP4145の変わりのP4165(ポリエステルエラストマー、線膨張率13.0×10-51/℃、貯蔵弾性率2.0GPa)の原料ペレットを用いた以外は、実施例14と同様にしてサンプルを作成した。メッシュクロスを内在した保持層の線膨張率3.0×10-51/℃、貯蔵弾性率2.0GPaであった。得られた可逆性感熱記録体は厚さが630μmとなった。
[比較例5]
実施例10において、メッシュクロスを挟み込まずに表示層と保持層を接着剤により貼り合わせ、比較サンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。
[比較例6]
実施例14において、メッシュクロスを挟み込まずに表示層、ICインレットおよび保持層を接着剤により貼り合わせ、比較サンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが630μmとなった。
[比較例7]
実施例10において、メッシュクロスの変わりに140デシテックスのポリエステル繊維の目の詰まった平織物を挟み込んだ保持層(平織物の層を持つことによりこの保持層の繊維膨張率は3.5×10-51/℃、貯蔵弾性率0.90GPaとなった)と表示層を接着剤により貼り合わせ、比較サンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。
[比較例8]
表示層7sに三菱製紙社製リライトフィルムTFR60WA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層となる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。TD方向の線膨張率2.6×10-51/℃、貯蔵弾性率4.2GPa)、保持層に厚さ300μmの帝人化成製ヌーベランP4155(ポリエステルエラストマー、線膨張率15.5×10-51/℃、貯蔵弾性率1.2GPa)を接着層(ノーテープ工業製、湿気硬化型ホットメルトRHC−100、貯蔵弾性率0.1GPa)を厚さ50μmになるように塗布し、張り合わせた。得られた可逆性感熱記録体は厚さが410μmとなった。この試料を10cm×10cmの大きさに切り、本発明の可逆性感熱記録体の実施例13のサンプルを作成した。
[評価]
各サンプルについての材料の試験および各サンプルについて行った試験と試験の内容判定基準は以下の通りであった。
(1)カールの評価
実施例、比較例の通信媒体を100mm×100mmの大きさに切り取り、40℃高温、4℃低温でのカールを見た。4角が上方に反るようにして台上におき、台面からの4角の先端までの距離を測定した。2mm未満を○、2mm〜5mm未満を△、5mm以上を×とした。表記は40℃高温の評価/4℃低温の評価とした。なお各サンプルは各試験前は20℃にてカールがゼロのサンプルであった。5mm未満であればプリンタでの取扱上は問題にならないレベルである。洗浄機においては若干取り扱いに注意を要する。2mm未満であればプリンタ、洗浄機において全く問題が発生しない。
(2)印字評価
実施例、比較例の通信媒体を100mm×200mmの大きさに切り取り、三和ニューテック社製リライトプリンタPR3101を用いて、標準設定でバーコードの感熱印字を行い、印字の様子を調べた。
バーコードの印字を目視で判断し、印字に途切れがないものを○(良好)とし、印字が途切れておりバーコードとして読み取れないものを×(不良)と判断した。プリンタの印字エネルギーは標準状態とした。
Figure 2006038438
[評価]
実施例10〜16のサンプルは比較例5,6,8に較べてカール発生に対して効果があった。比較例7はカール発生に対して効果を示したが、クロスメッシュに相当する平織物が印字適性を悪くしており、印字が不鮮明になり、さらに柔らかさが実施例に比べるとなくなっており、記録体としては不適当であった。実施例16はカール、印字評価とも○であったが、幾度も繰り返して使用する記録体としては硬く、取り扱う上で若干扱い難いものとなった。比較例8はカールの結果が×であったが、印字する際にカールを矯正することにより、高温時でも印字は可能であった。また、実施例は印字直後のカールもほとんど無いのに対し、比較例5、6、8は印字直後も、印字の熱を受けて大きいカールが発生しており、取り扱う上でも、実施例は優位な特性を示した。
このように、本発明の記録体は、気温が変化した場合であってもカールが発生し難く、特に表示層が可逆性感熱記録層であるものにあっては、熱により発色状態、消色状態を繰り返し表示可能である。

Claims (25)

  1. 可逆性感熱記録層を有するポリエチレンテレフタレートを主成分とする表示基材と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)をハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーまたはポリブチレンナフタレート(PBN)をハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルもしくは脂肪族ジオールをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーを主成分とする支持体と、前記表示基材と支持体を接着する接着層とを備える可逆性感熱記録体。
  2. 前記表示基材のマシン油に浸したときの体積膨潤率Aと前記支持体のマシン油に浸したときの体積膨潤率Bの関係|B−A|が2%以内である請求項1記載の可逆性感熱記録体。
  3. 前記表示基材の引張弾性率が2000MPa以上であり、マシン油に浸したときの体積膨潤率が2%以下である請求項2記載の可逆性感熱記録体。
  4. 前記支持体の引張弾性率が表示基材の25%以下であり、マシン油に浸したときの体積膨潤率が2%以下である請求項2または3記載の可逆性感熱記録体。
  5. 前記支持体のハードセグメントがPBTであり、ソフトセグメントがポリカプロラクトン(PCL)である、または、ハードセグメントがPBNであり、ソフトセグメントがPCLまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールである請求項1〜4のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録体。
  6. 前記支持体に第二のポリエステル樹脂がブレンドされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録体。
  7. 前記第二のポリエステル樹脂が、少なくとも芳香族ジカルボン酸と炭素数5以上のジオールからなる請求項6記載の可逆性感熱記録体。
  8. 支持体の第二のポリエステル樹脂の芳香族ジカルボン酸が、フタル酸またはイソフタル酸である請求項7記載の可逆性感熱記録体。
  9. 少なくとも接着層中に識別タグを保持していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録体。
  10. 表示基材及び該表示基材上の表示層を備える表示部材と、
    前記表示部材の表示基材側に配置される補強板を接合したICチップを搭載したICインレットと、
    前記ICインレットを覆ってICチップのある側に配置される保持層
    とを備える厚さ100μmから2mmの通信媒体であって、該通信媒体の曲げ弾性率が100MPa以上、2000MPa以下であること、及び前記補強板が下記の機械的条件:
    JIS K 7171-1994、プラスチック曲げ特性の試験方法の3点曲げ試験でのたわみが、支点間距離50mmにおいて、荷重0.2Nを加えた時に3mm以上である、
    を満足することを特徴とする通信媒体。
    補強板の機械的条件
  11. 前記保持層が保持層用接着剤層から構成される請求項10記載の通信媒体。
  12. 前記保持層が保持層用支持体向け接着剤層と保持層用支持体とから構成される請求項10記載の通信媒体。
  13. 前記保持層用支持体が繊維含有層である請求項12記載の通信媒体。
  14. 前記前記補強板とICチップとを接合する補強板用樹脂の曲げ弾性率が10〜2000MPaであり、接着強度が1N以上である請求項10〜13のいずれか一項に記載の通信媒体。
  15. 前記表示層が感熱記録層である請求項10〜14のいずれか一項に記載の通信媒体。
  16. 前記保持層の曲げ弾性率が10MPa以上1000MPa以下である請求項10〜15のいずれか一項に記載の通信媒体。
  17. カールの発生を防止可能な記録体であって、当該記録体が、基材の一方の表面上に記録層が設けられた表示層と、前記表示層における前記基材の他方の表面側に設けられたカール防止層とを有しており、前記カール防止層が、前記基材側に位置する接着剤層と、当該接着剤層に積層された合成樹脂製の保持層とを含み、JIS K 7197−1991に準じた線膨張率において、前記表示層の線膨張率:前記接着剤層と前記保持層の少なくともいずれか一方の線膨張率の比率が1:5〜5:1の間であり、しかも、JIS K 7244−1998に準じた貯蔵弾性率において、前記接着剤層と前記保持層の少なくともいずれか一方の貯蔵弾性率が0.01〜1.5GPaであることを特徴とする記録体。
  18. 前記カール防止層が、目開きした組織を有するメッシュクロスを含むことを特徴とする請求項17に記載の記録体。
  19. 前記表示層における前記基材が、貯蔵弾性率4GPa以上のポリエステル二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項17又は18に記載の記録体。
  20. 前記保持層の主成分が、芳香族ポリエステルのハードセグメントと脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルのソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体であることを特徴とする前記請求項17〜19のいずれか1項に記載の記録体。
  21. 前記メッシュクロスが、前記保持層中に存在していることを特徴とする前記請求項17〜20のいずれか1項に記載の記録体。
  22. 前記メッシュクロスが、前記接着剤層中に存在していることを特徴とする前記請求項17〜20のいずれか1項に記載の記録体。
  23. カールの発生を防止可能な記録体であって、当該記録体が、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の一方の表面上に記録層が設けられた表示層と、前記表示層における前記基材の他方の表面側に設けられたカール防止層とを有しており、前記カール防止層が、前記基材側に位置する接着剤層と、当該接着剤層に積層された、芳香族ポリエステルのハードセグメントと脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルのソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体である合成樹脂製の保持層とを含み、目開きした組織を有するメッシュクロスが当該保持層中に存在していることを特徴とする記録体。
  24. 前記表示層が可逆性感熱記録層であることを特徴とする前記請求項17〜23のいずれか1項に記載の記録体。
  25. 少なくとも前記接着剤層中に識別タグが配置されていることを特徴とする前記請求項17〜24のいずれか1項に記載の記録体。
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