JPWO2006038438A1 - 可逆性感熱記録体及び、表示層を有する通信媒体及び記録体 - Google Patents
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Abstract
Description
又、本発明はRFID(Radio Frequency Identification:無線周波数認識)を搭載した印刷適性を持つ通信媒体に関するものである。
更に本発明は、記録性に優れた折れしわの入りにくい記録体、更には識別タグを内蔵する記録体に関するものである。
また、一覧性や柔軟性、質感が紙に近いことなどから、熱により記録消去が可能な種々の可逆性感熱記録体もその有力な候補として実用化されるようになってきた。
さらに、支持体にゴム弾性を持つ厚さ0.2〜20ミクロンの弾性層で、感熱記録層と熱印加用加熱体の密着を良くすることが特許文献2に紹介されている。印字品質に関して、密着を良くすれば、品質が良くなることが開示されている。
ところが、バーコードは大量の情報を記録、表示させたり、情報の更新が不可能であり、又、偽造が容易であるという問題がある。そのため、近年、RFIDと称されるシステムが注目されている。
そこで、このような問題点を解決するための表示体として、例えば下記の特許文献4には特定の基材と保持層を組み合わせた比較的柔らかい表示体が開示されている。この表示体にあっては、片面にやわらかい基材を使用することで、柔軟な表示体が得られており、このような表示体は、変形や折れに対して有効であると考えられる。
特に汚れは、汚れた手などでの取り扱い時や媒体表面への水や油脂付着、静電気による塵付着、油雰囲気中での使用などでも発生する。特に油を扱う職場では指示書などは油の付着した軍手などで取り扱うため、油汚れが部分的に発生する。油汚れの場合、媒体への浸透が起こり、媒体が膨潤してカールしたり、部分的に膨れたりするため、プリンタ内部で印字特性の劣化やジャミングが発生しやすくなることが分かった。また、カルテなどのオフィス用途では比較的清浄かつ温和な環境で使用されるため比較的不都合は少ないが、少量の油汚れなどが少しでも発生すれば、プリンタ内のサーマルヘッドや搬送ローラーに転写した汚れが次の媒体表面に再転写していくために汚染が他のきれいな媒体にも波及することになる。
この洗浄工程自体も媒体の変形を発生させる原因のひとつになるので、媒体寿命を延ばす有効な手法について検討を重ねた。また、洗浄時期が遅れると、媒体がいたみやすくなり、媒体寿命が短く、可逆性感熱記録体を紙の代替として導入する上での大きな障害となることも分かった。
本発明は潜在的には500回のリユースに耐えるといわれている可逆性感熱記録層の潜在的な寿命に見合うように、ファクトリー用途等で想定される油、薬品等による媒体変形、洗浄時の耐折れ、耐擦、変形に対する耐久性を改善することを目的としている。
通常、ICチップの補強は金属板をICチップに接着剤で接着することが多く、一般的である。補強板は厚く、そして硬いほうが、補強効果は高いと考えられる。
さらに前記の可逆性感熱記録媒体を表示層に用いるICタグは印刷する機会が多いため、印刷においても、耐久性を考える必要がある。印刷時は、搬送路でのICチップへの応力、印刷ヘッドがICチップに与える応力など、さまざまな応力が発生し、ICチップの保護について考える必要がある。
そこで、紙のように柔らかく柔軟なカード、ICタグが提案される。適度に柔軟性のある媒体では、プリンタの搬送路は、例え媒体が大きなものとなっても、搬送路を曲がりくねった構造にすると、コンパクトな設計に出来、スペースが有効に使え、かつ、経済的である。しかし、搬送路に適度なまがりを加えることにより、ICチップは搬送路で圧力を受けやすくなる。
このような場合、印刷したバーコードや商品管理項目に欠点が出来、商品管理などに支障が出ることとなる。
本発明はICチップを内蔵していても外部からの応力に対して強い、かつICチップのある部分にも記録層がある場合でも印刷適性に優れた通信媒体を供給することを目的としている。
本発明者等は上記の問題点を解決するために種々検討を行った結果、ポリエステル繊維やナイロン繊維などの繊維からなる市販のメッシュクロスを用いて、表面側に位置する材料と裏面側に位置する材料との線膨張率の差を小さくすることによって、記録体のカール発生が有効に防止できることを見出して、本発明を完成した。
前記表示基材の引張弾性率が2000MPa以上であり、マシン油に浸したときの体積膨潤率が2%以下であることが更に好ましい。
前記第二のポリエステル樹脂が、少なくとも芳香族ジカルボン酸と炭素数5以上のジオールからなると上記のような調整の点でより好ましい。
前記第二のポリエステル樹脂の芳香族ジカルボン酸が、フタル酸またはイソフタル酸であると上記のような調整の点でより好ましい。
少なくとも接着層中にRFID等を含む識別タグを保持することもできるのでRFID付きの可逆性感熱記録体も簡単に得られる。
前記表示部材の表示基材側に配置される、下記機械的条件を満足する補強板を接合したICチップを搭載したICインレットと、
前記ICインレットを覆ってICチップのある側に配置される保持層と、
を備える厚さ100μmから2mmの通信媒体であって、該通信媒体の曲げ弾性率が100〜2000MPaであり、さらに補強板の機械的条件がJIS K 7171-1994、プラスチック曲げ特性の試験方法の3点曲げ試験でのたわみが、支点間距離50mmにおいて、荷重0.2Nを加えた時に3mm以上である。
前記保持層が保持層用接着剤層から構成されても良い。
前記保持層が保持層用支持体向け接着剤層と保持層用支持体とから構成されることも好ましい。
前記保持層用支持体が繊維含有層であることもまた好ましい。
更に、前記前記補強板とICチップとを接合する補強板用樹脂の曲げ弾性率が10〜2000MPaであり、接着強度が1N以上であるとより印字の際に不良が生じにくくより好ましい。
更に、表示層が感熱記録層であることがリユースの点で特に好ましい。
更に前記保持層の曲げ弾性率が10〜1000MPaであれば、通常の表示部材を使用しておれば良好な印刷性を保つ上で好ましい。
更に、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記表示層における前記基材が、貯蔵弾性率4GPa以上のポリエステル二軸延伸フィルムであることを特徴とするものでもある。
又、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記保持層の主成分が、芳香族ポリエステルのハードセグメントと脂肪族ポリエステル又は脂肪族ジオールのソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体であることを特徴とするものでもある。
又、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記メッシュクロスが、前記接着剤層中に内在していることを特徴とするものでもある。
又、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、前記表示層が可逆性感熱記録層であることを特徴とするものである。
更に、本発明は、上述の特徴を有した記録体において、少なくとも前記接着剤層中に識別タグが配置されていることを特徴とするものでもある。
又、本発明の通信媒体は、ICチップを内蔵していても外部からの応力に対して強く、かつICチップのある部分にも記録層がある場合でも印刷適性に優れる。
更に、本発明の記録体は、気温が変化した場合であってもカールが発生し難い記録体であった。
1c,2c 支持体
1b,2b 接着層
3a,4a,5a,6a 表示層
3b,4b,5b,6b 表示基材
3c,5c,6c 保持層用接着剤層
3d ICインレット
4e,10e ICチップ
4g,5g 補強板
3s,5s,6s 表示部材
6h 繊維含有層
7a,8a,9a,10a 記録層
7b,8b,9b,10b 基材
7c,8c,9c,10c 接着剤層
7g,8g,9g,10g 保持層
7j,8j,9j,10j メッシュクロス
7s,8s,9s,10s 表示層
10f 金属板
可逆性感熱記録層は感熱性色素、高分子、あるいは、磁性粒子を利用した表示装置である。可逆性感熱記録層の発色剤と呈色剤の組み合わせについては、両者が反応して呈色を起こすような組み合わせならいずれも使用可能である。中でもサーモリライト方式の感熱リライト層はリユースの面でも適している。サーモリライト方式の感熱記録層とは、感熱性色素、高分子、或いは、磁性粒子を利用した表示装置であり、例えば、ロイコ染料と可逆顕色剤を溶融混合させ基材のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に形成したロイコ型サーマルリライタブルペーパ(特開平10−203016号公報参照)においては、記録部に熱を印加したのち、急冷して発色させ、一方、消色する場合には徐冷却して表示を制御するものである。さらに詳しくは、特開平9−20084号公報及び特開平10−203016号公報に紹介されている。
また、可逆性感熱記録体全体としてエラスティックな性質を与えるために、支持体を柔らかくする必要が出てくる。そのために支持体を柔らかくする。支持体に使用可能な柔らかい基材として、さまざまなものが挙げられるが、均一な性能を持たすにはエラストマーなどが考えられる。
本発明では、油汚れに対して、さまざまなテストを行い、どのような場合にリユース性が損なわれるかの検討を行い次のような結果を得た。
油汚れについては、部分的に付着する場合と、全面に着く場合の二つに分けて考えた。部分的な付着が発生した場合、油が付着した個所は、油の浸透を受け、膨潤を始める。この場合、油が付着していない個所は膨潤していないため、膨潤した個所のみ膨れ、こぶのようになる。
さらに、一旦、浸透した油は揮発するまで時間が掛かるため、そのままの状態を保つ。表面の汚れをふき取ったり、洗浄しても、そのこぶの部分は小さくならない。そのため、印刷を行う搬送経路でジャミングを起こしたり、印字の精密さが損なれ、印字不良が発生する。
((試験後の長さ−試験前の長さ)/試験前の長さ)x100=膨潤率(%)
表示基材と支持体の膨潤率の差が、2%を越えると大きな反りが発生しやすく、印刷を行う搬送経路でジャミングを起こしたり、筒状になるため、印字が行えなくなるおそれがある。そのため、膨潤率の差は2%以内が良いことが分かった。
可逆性感熱記録体は表示基材上に感熱記録層と、付随してオーバーコート層、保護層、紫外線吸収層、アンカー層などの各層を設ける場合が殆どであり、何回も塗工し、層を重ねる必要がある。このため表示基材としては、加工時に基材の延びを防ぐため、熱や紫外線に対して耐性があり、高い引張強度すなわち高い引張弾性率を必要とする。本願明細書では引張弾性率はJISK7113−1995に準じて測定するものである。
表示基材としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、発泡紙などの紙類、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル(例えば軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニルなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート(PET−Gとして商品化されている)など)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリウレタン、セロハンなどの樹脂の単体、複合物、共重合体の混合物などを主成分にしたフィルム、該樹脂に発泡剤を配合し発泡せしめた発泡フィルム、該樹脂に無機顔料、有機顔料等を配合し延伸によりボイドを形成した多孔質フィルムなどのフィルム類、あるいは合成紙類や不織布類、更にこれらを貼り合せた積層シートなどが挙げられる。中でも、熱寸法安定性に優れた、二軸延伸のポリエステルフィルムは適している。
支持体については、本発明者等の試行によれば、一つの可逆性感熱記録体にその表示基材の引張弾性率よりも低い引張弾性率の層を支持体として選択して組み合わせると可逆性感熱記録体として曲がり易くなり、しかも低い引張弾性率の層は高い引張弾性率の層より、応力に対して伸びる性質が有るため、表示基材上の記録層に印刷機械等を使用して、印字するときや洗濯機等を使用して洗浄する際に、無理な応力が加わっても可逆性感熱記録体として痛みにくく、長期の使用に耐えられることが分かった。さらに、記録体を例えば180度に折れ目をつけるように折り曲げても、復元しやすくなる性質が有る事が分かった。したがって、可逆性感熱記録体を構成する際に引張弾性率の違う層を組み合わせることにより、外部からの応力の加わり方をコントロールできることが分かった。支持体の引張弾性率の割合としては、表示基材の引張弾性率の25%以下が適切である。支持体の引張弾性率の割合が25%を越えると、効果は認められるがそれほど大きくなくなる。さらに50%を越えると表示基材との引張弾性率との差がつきにくく、余り効果が得られなくなる。また、支持体の引張弾性率の割合の下限は1%以上必要である。1%未満であると、実際に使用が考えられる表示基材の引張弾性率が数千程度であるのでその数パーセントとなると数十という絶対値になるので反発性が無く、180度に折れ目をつけるように折り曲げても、復元しにくくなる。
RHT-100-01で行った。
また、ポリエステルエラストマーのハードセグメントとしてPBTやPBNを使用した場合に、これらは結晶性を持っているために、エラストマー全体としては硬くなる傾向にある。そこで次に述べるような手法によって、エラストマー全体を柔らかくして引張弾性率を調整することが有用になってくる場合もある。その手法とは上述のポリエステルエラストマーとは全く別に第二のポリエステル樹脂を添加することにより柔らかくすることが可能であり、特にフタル酸やイソフタル酸と炭素数5以上のジオールからなるポリエステル樹脂を用いるとさらに耐油性も上がる。この第二のポリエステル樹脂の添加量は第一のポリエステル樹脂の5%から70%の間が適当であり、その範囲の上限を超えると第一のポリエステルエラストマーの持つ特性が発現しにくくなる。また下限未満ではほとんど効果が見られなくなる。尚、ここで第二のポリエステル樹脂と呼んだわけは支持体の主成分となるポリエステルエラストマーも広義ではポリエステル樹脂となるのでこれを第一のポリエステル樹脂と考えたからである。
接着層は、このような引張弾性率の違う表示基材と支持体を接合する層となる。接着層は表示基材と支持体を強固に接着すればよく、接着剤、粘着剤、熱可塑性フィルムなどが接着層として考えられる。接着層の材質として、例えば主として酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、天然ゴム、ゼラチン、ニカワ、アビエチン系樹脂、セルロース誘導体系樹脂、ポリエステル系樹脂、変性ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ビニルブチラール樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノールホルマリン系樹脂、石油樹脂、マレイン酸共重合体、等の単独、混合体、共重合体、等がある。
硬化剤は接着が可能な範囲内で添加しても良い。例えばエポキシ樹脂、イソシアネート化合物、金属架橋剤、等がある。空気中の水分により貼り合わせ後に架橋反応が進み、必要な硬度を時間的に遅れて得られる湿気硬化型のイソシアネート基含有のウレタン樹脂等も貼り合わせ時、接着に十分な流動性が得られ、経時的に硬化して必要な強度が得られるため好ましく使用される。又、硬化剤を部分的に吹きつけて使用し、特定の個所のみ強化する方法も用いられる。これらを単独でまたは混合物にして、ホットメルトコーティング、水系、溶剤系塗工し、必要に応じて熱風乾燥してフィルム状の熱可塑性フィルムを得ることができる。塗工量としては、目的の表示体の最終厚さによるが、通常は乾燥重量で10〜700g/m2、厚みで5〜1000μmである。ガラス転移点(TG)は−50℃〜100℃の範囲のものが適当である。
本発明の通信媒体の曲げ弾性率は100MPa以上2000MPa以下が好ましい。通信媒体が100MPa未満の弾性率であると、厚さにもよるが通信媒体を手で扱う場合に柔らかく腰がないために扱いにくくなる。また、2000MPaを越えるとプリンタ等の搬送路をまっすぐにしなくてならず、また、媒体が曲がりにくくなるため、何回も繰り返して使用する際に傷やしわが入りやすくなり、繰り返して使用する用途には不適となりやすい。
曲げ弾性率=(支点間距離の3乗×荷重)/(4×試験片の巾×厚さの3乗×ひずみ)
以上の式から分かるように曲げ弾性率は厚さの三乗に反比例するため、同じ弾性率のものでも厚さが変われば、歪みかたも異なる。同じ力を加えても薄いものほど良く歪むものである。通信媒体の柔らかさは、基材と保持層の厚さと曲げ弾性率でほぼ決まってくる。中に入るICインレットも影響を与えるが、面積が相対的に小さくでき、面積的に通信媒体の表面積の3割未満であれば与える影響は少ない。3割以上の場合はICインレットの基材の厚さや材質が影響する。インレット基材の曲げ弾性率が比較的高い場合は、薄いインレット基材を用いることにより柔らかい通信媒体を得ることが出来る。また、インレット基材が柔らかい場合は比較的厚いインレット基材をも使用することが出来る。
この場合、通信媒体の全体の厚さは100μmから2mm程度の厚さが好ましい。100μm未満であると、RFIDを内在しにくくなる。また、2000MPaの曲げ弾性であっても、腰が弱くなりすぎ、取り扱いが悪くなる。厚さ2mmを超えると、弾性率が100MPaであっても、腰が強くなり、曲がりにくくなる。さらに、1枚での使用では不都合は生じないが、多数枚使用されるとき、例えば積み上げられてストックされ連続的に印刷やICチップへの読み書きなどを行う際に少量しかストックできず不便である。
通信媒体の印刷や通信を行うプリンタには、印刷用の印字ヘッドや通信用のR/Wを内蔵していることが多い。さらには感熱可逆式印刷方式の通信媒体では、熱によって消去、印字を行うため、同じ搬送路に、消去ロール、印字ヘッド、冷却装置があると便利である。しかし、そのような構造では、通信媒体の温度管理にスペースがさらに必要となることが多く、搬送路が長くなりやすい。プリンタの搬送路では、直線的な搬送路が好ましいが、そのような機構では大きな装置となり、設置に広い場所が必要となり、スペースの問題が生じると考えられる。そのため、搬送路に曲がりをつけ、屈曲した搬送経路を形成することによりスペースを小さくすることが出来る。
ICインレットの一般的な製造法としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、グリコール変性ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂からなる厚さ20〜100μmの絶縁性シートをインレット基材として使用する。このインレット基材上に銀や銅等のワイヤーからなるコイルを貼り付ける方法、銅やアルミニウム等をコイル状にエッチングする方法、導電性インキ等を用いてコイル状に印刷したコイル状アンテナや、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂や紙からなる絶縁性シートに導電性インキ等を用いて印刷、あるいは銅やアルミニウム等の金属を蒸着した板状アンテナ等が使用できる。アンテナの厚さは40〜80μmが好ましい。更にそのアンテナ上にデータ記憶及び/又は演算部としては各種ICチップを搭載する。搭載されるICチップは0.2mm角から5mm角ぐらいの大きさであり、厚さは0.05mmから0.5mm程度の厚さのものが使用される。また、通信装置の性能にもよるが、コイルの大きなものほど通信距離は長くなる傾向にある。このほか、コンデンサーなどを配置することも適宜可能である。これらのうちICチップを搭載した通信可能なシステムをRFIDと読んでおり、商品の個別情報や流通情報を伝える事が出来る。
ICチップは外部からの応力に弱く割れやすい。そこで、その外部からの応力に対応するために補強板を補強用樹脂でICチップに接着して保護する。一般的には、強い応力に対応するためには、補強板は金属板が好ましく、また、厚みも厚いほうが外部からの応力に対して堅固である。また補強用接着剤は一般には硬く、補強板に対して強く接合するものが好ましい。
しかし、ICチップの補強板が硬い場合や厚さが厚い場合、かつ表示層の反対面にやわらかい接着剤層や保持層がある場合、補強板の部分だけ、弾性率が異なり、曲がり方が異なるため、感熱印字などの接触印字を行うと、印刷ヘッドに押し付けるプラテンロールの圧力を上げていっても、周囲の部材と同様に補強板が曲がらないためか、その部分だけ印字ヘッドのあたりが悪く、きれいに印字できない現象が現れる事がわかった。補強板の応力に対する曲がりやひずみは補強板の弾性率と厚さ、大きさによって異なる。
補強板と上記3点曲げ試験でのたわみについてJIS K 7171-1994における曲げ試験にしたがって以下の条件で行ったものである。
試験条件:試験速度1mm/min、支点間距離:50mm、試験片:長さ100mm、巾10mm
補強板は外部の応力に対してICチップを保護すると同時に応力がなくなったときも、元の状態に戻る必要がある。補強板が元の状態に戻らない場合、外部からの応力が加わったまま歪んだ形となり、外観上好ましくない。ICチップの保護と言う観点からは、補強板は外部から応力が加わったときに、歪まないものが良いが、あまりに硬くもろいと補強板が割れてしまう。厚さにもよるが歪みすぎるとチップに損傷を与える可能性が生じる。金属のように高弾性なものが適当である。
材質的には銅、鉛、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、マンガン、モリブテン、錫、亜鉛、コバルト、クロム、などの金属やステンレス、鋼等の合金が挙げられる。中でも、冷間圧延したステンレス鋼材のばね用ステンレスが良く用いられる。さらに調質を行って硬さや弾性率を上げることも可能である。
補強用樹脂はICチップと補強板とを接続しているが、補強板の方がICチップより大きい寸法であるのでICチップのない個所では、ICインレットを形成している絶縁シートと補強板を直接接合していることになる。従って補強用樹脂も補強板と同様に硬すぎると、印字不良が生じる虞がある。従って補強用樹脂は補強板、表示基材、保持層と共に曲がりやすくするために、曲げ弾性率が低いほうが良い。補強用樹脂は保持層中に部分的に内在するため、曲げ弾性率の下限はこの場合、特に定められない。
材質的に補強用樹脂は特に限定されないが、例えばポリウレタン接着剤、エポキシ接着剤、シリコーン系接着剤、酢酸ビニル接着剤、ポリアミド接着剤、塩化ビニル接着剤、ポリビニル接着剤、UV硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、カチオン硬化型接着剤、EB硬化型接着剤などの接着剤を用いることが出来る。中でも品質的に安定している低い弾性率(5MPa〜2000MPa)を持つエポキシ樹脂を用いるほうが好ましい。
保持層は表示部材のICインレットがある側にあり、機能的には(1)ICインレットを表示部材に保持する、(2)表示層の印刷適性を高める、(3)通信媒体の全体を柔らかくする役目を果たす。図3では保持層となる保持層用接着剤層3cは基材にICインレットを保持するとともに、通信媒体の裏面側の最外層の機能も果たす。図3の表示部材3sの弾性率が2000MPaより高い場合は、保持層用接着剤層3cの弾性率を2000MPaよりも低い弾性率のものを使用することにより、媒体自体の曲げ弾性率を2000MPa以下に調整しやすくなる。
特に感熱印字を考えると、このように耐熱性のある素材を保持層の主成分として選択する事により、表示体の印字時の熱によるカールや歪み及び変形、リライト時のカールや歪み及び変形が軽減できるものである。
保持層用支持体向け接着剤層は熱可塑性フィルムを基材と保持層間に挟んで加熱したり、接着剤を塗布等することにより形成されることになる。このような貼り合わせ工程は単独、または、数工程に分離しても良い。塗工量としては、目的の表示体の最終厚さによるが、通常は乾燥重量で10〜700g/m2、厚みで5〜1000μmである。また、材料としては、ポリエチレン系やポリエステル系のものを選択することにより、ケミカル原料として再利用する際に有益である。
表示層は感熱記録、感圧記録、熱転写記録、インクジェット記録などの各種表示層が選択できる。特に表示層は各種記録層が好ましく、感熱記録は、プリンタ装置が簡単であり、持ち運びが容易であるので配送伝票や工程管理表やICカードやICタグなどの用途に適しているので感熱記録層を有する構成が好ましい。感熱記録層の発色剤と呈色剤の組み合わせについては、両者が反応して呈色を起こすような組み合わせならいずれも使用可能である。感熱記録層の場合、記録を保護する為に、オーバーコート層を形成することが好ましい。感熱記録を2色以上で行える多色感熱記録層や可逆タイプの感熱記録層等の繰り返し印字できるサーモリライト方式の感熱記録層も含まれリサイクルの面でも好ましい。またリライタブルな記録方法はこのサーモリライト方式の感熱記録層を代表的なものとしては、「可逆性感熱記録層」の説明において述べた感熱性色素、高分子、或いは、磁性粒子を利用した表示方法が挙げられる。この表示層は表示基材の上に設けられる。
印字用の感熱ヘッドはタグの搬送ライン上に置かれ、通信媒体の裏面からプラテンロール等で押し付け、表示層と圧着して、熱を伝え、発色させて、印刷を行う。印刷機は小さくするために、搬送路をまっすぐにせずに、曲がりくねらせている。そのために複雑な搬送路をもち、通信媒体に屈曲を余儀なくさせることになる。表示層にはその保護のため、ニスなどの保護層を設けることが多い。保護層としては、耐紫外線、耐擦性、耐汚性、対カール性、耐静電気性、耐油性、耐薬品性、筆記性などの用途が考えられる。また、表裏、媒体の種類の区別用に印刷を付与することも出来る。
表示層をその上に形成する表示基材の材質は特に限定しない。表示基材としてはポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル(例えば軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニルなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート(PET−Gとして商品化されている)など)、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリウレタン、セロハンなどの樹脂の単体、複合物、共重合体の混合物などを主成分にしたフィルム、該樹脂に発泡剤を配合し発泡せしめた発泡フィルム、該樹脂に無機顔料や有機顔料等を配合し延伸によりボイドを形成した多孔質フィルムなどのフィルム類、あるいは合成紙類や不織布類、更にこれらを貼り合せた積層シートなどが挙げられる。中でも、結晶性のポリエステルのフィルムが薄くて加工しやすく適している。厚さは20〜100μmが適当であり、20μm以下では表示層を設けるには薄くて加工し難く、また100μmを超えると、通信媒体の曲げ弾性率が高くなりすぎ、適さない。
また図12は、本発明の記録体の第5の例の断面図である。図12に示した本発明の記録体も、図7〜図9の記録体とは異なり、記録層12aを持つ基材12bにより表示層12sが構成されている。そして、その表示層12sの下層側には、メッシュクロス12jを含む接着剤層12cと、保持層12gが順次設けられている。
以下、本発明の記録体を構成する各層および各部について説明する。
本発明の記録体における表示層は、基材及び該基材上の記録層からなる。
基材としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、発泡紙などの紙類、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル(例えば軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニルなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート(PET−Gとして商品化されている)など)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイト、ポリスチレン、ポリウレタン、セロハンなどの樹脂の単体、複合物、共重合体の混合物などを主成分にしたフィルム、該樹脂に発泡剤を配合し発泡せしめた発泡フィルム、該樹脂に無機顔料、有機顔料等を配合し延伸によりボイドを形成した多孔質フィルムなどのフィルム類、あるいは合成紙類や不織布類、更にこれらを貼り合せた積層シートなどが挙げられる。中でも、熱寸法安定性に優れた、二軸延伸のポリエステルフィルムは適している。
実際に用いられる基材の貯蔵弾性率は4GPa以上、10GPa以下が好ましい。4GPa未満であると実用的な表示体としては剛性が少なく弱いものになりやすい。また、10GPaを越えると、柔軟性に乏しくなり、割れたり、欠けたりする欠点が生じてきやすい。表示層と保持層の線膨張率の条件については、保持層の項で述べる。
また、基材の厚みは具体的には6μmから200μm程度が実際的に用いられる範囲である。
また、別の系列のリライタブルな記録方法としてはエレクトロニックペーパが挙げられる。エレクトロニックペーパはマイクロカプセル中の帯電粒子の電気泳動による凝集・拡散を利用するもの(必要ならば、E.Kishi et al.,SID00 Digest,p.24,2000、或いは、S.A.Swanson et al.,SID00 Digest,p.29,2000参照)、二色に塗り分けた球の移動や回転により表示を行なうもの、液晶を高分子材料に設けた微小孔に詰め込んだ所謂高分子分散型液晶、エレクトロクロミズム、或いは、磁性を有する微粒子を磁気を制御して回転、移動させる磁気記録装置(必要ならば、L.L.Lee et al.,SID76 Digest,p.56,1976参照)が知られている。これらのリライタブルな記録方式を利用した表示層を使用できるが、層の構成上折れ曲げ等に弱い構成のものもあり、これらの中では、感熱性色素、高分子等を利用したサーモリライト方式の感熱記録層が構成が単純でこのような折れ曲げに本質的に強いのでより好ましく使用できる。
本発明において、柔軟な記録体を得るために、柔らかい材料と硬い材料を組み合わせることが有効であると考えられる。表示層に硬い材料(例えばポリエステルフィルム)を選び、カール防止層に柔らかい材料を選ぶのが、選択の範囲も広く、加工がしやすいと考えられる。
このような柔らかい材料としては、主成分がスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等のエラストマーの混合物などが挙げられる。
実験的にカールの発生を調査したところ、表示層に厚さ75μmのポリエステルフィルム上に10μmの可逆性感熱記録層を設けた厚さ85ミクロンの三菱製紙製TRF85WAを用い、保持層に帝人化成製のエラストマー:厚さ300μmのヌーベランP4145を用い、厚さ5ミクロンのドライラミ接着剤で張り合わせた。10cm四方に切り出し、雰囲気温度を4℃、23℃、40℃と変化させ、カールを調べると、23℃でカールが0だったものが、4℃では5mmの−カール、40℃では10mmの+カールとなった。このように、雰囲気温度でカールが生じるのは、気温の変化が大きい日本では使い難いものになり、使用するプリンタや搬送機なども制約を受けやすい。
雰囲気温度の変化でカールを起こさせないために、線膨張率を近づけてやる必要がある。それには保持層の線膨張率を少なくすることが必要である、また、後述する接着剤層の線膨張率を少なくすることも有用であると考えられる。
メッシュクロスの存在する位置は、表示層から離れているほうが、カールの抑制により効果が高い結果が得られた。なお、メッシュクロスを何層にも設けることによっても、同様の結果が得られた。
目開きは0.5mm〜20mmの範囲が好ましく、更に好ましくは2mmから10mmの範囲である。記録体の大きさによって、変化させるのが好ましい。目開きが詰まっているとメッシュクロスの素材の影響を受けやすく、記録体の柔らかさを調節するのが難しい。目開きがあまりおおきくなりすぎると線膨張率の制御が困難になる。さらに、糸をクロスした状態で目開きを固定するために、収束剤や加熱処理などで束ねると良い。
カール防止層を構成する保持層または接着剤層にメッシュクロスを存在させるとその存在によりカール防止層として機能する。尚、カール防止の機能から考えると表示層からメッシュクロスを存在させる位置をできるだけ離して存在させることが好ましいことは先に説明したとおりである。
また、本発明において、カール防止層の一部を構成する保持層の線膨張率は表示層との比率により、好ましい範囲が規定される。表示層の線膨張率:カール防止層(接着剤層と保持層)の少なくともいずれか一方の線膨張率の比率が1:5〜5:1の間であり、より好ましくは1:3〜3:1、さらに好ましくは1:2〜2:1の間である。線膨張率がこの範囲を超えると環境温度が変化した場合にカールが発生しやすい。
ポリエステル系エラストマーとしては、主にポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリブチレンナフタレート(PBN)等の芳香族ポリエステルのハードセグメントと、脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテル等のソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体が好適である。
本発明の記録体における接着剤層は、熱可塑性フィルムを表示層と保持層間に挟んで加熱したり、接着剤を塗布等することにより形成される。このような貼り合わせ工程は単独、または、数工程に分離しても良い。
本発明の接着剤層に用いる接着剤としていわゆる熱可塑性フィルム、接着剤、粘着剤と称されるものが使用できる。これらのものが接着剤層を形成した際に、貯蔵弾性率は0.01GPa以上、1.5GPa以下が好ましい。0.01GPa未満であると実用的な表示体としては剛性が少なく弱いものになりやすい。また、1.5GPaを越えると、柔軟性に乏しくなり、割れたり、欠けたりする欠点が生じやすい。接着剤、粘着剤、熱可塑性フィルムの材質としては、可逆性感熱記録層の「接着層」の説明において述べたものが挙げられる。
接着剤層の厚さを薄くしたり、また、材料としては、ポリエチレン系やポリエステル系のものを選択することにより、ケミカル原料として再利用する際に有益である。
本発明の記録体におけるICインレットは、前述の通信媒体のICインレットと同様である。
本発明の記録体における補強板および補強用樹脂は、前述の通信媒体の補強板および補強用樹脂と同様である。チップが小さい場合や、チップに圧力が加わり難い記録体であれば、特にチップを補強する必要はない。さらに、補強用樹脂が硬い場合も補強用樹脂が補強板の作用の代わりを行い、チップの保護が不必要になる場合も生じる。
図1を参照しつつ本発明の表示体の一実施例としての実施例1を説明する。図1は本発明の表示体の一例を示す断面図である。
表示基材1a(三菱製紙社製リライトフィルムTFR85WA:厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層となる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。)このリライトフィルム単体に対して先に説明した引張弾性率、「油滴付着適性試験」、「油中膨潤試験」等の試験を行った。引張弾性率は3700Ma実測値、油滴付着適性は適、油中膨潤試験では体積膨潤率0.2%の結果を得た。尚、引張弾性率や油中膨潤試験の値は同厚みの同等のPETフィルムの値とほぼ同様であることが確かめられた。支持体1cとして厚さ300μmの東洋紡製ペルプレンS1002(ポリエステルエラストマー、ハードセグメント:PBT、ソフトセグメント:ポリカプロラクトン)を使用した。この支持体に対して先に説明した引張弾性率、「油滴付着適性試験」、「油中膨潤試験」等の試験を行った。引張弾性率:98MPa、油滴付着適性は適、体積膨潤率:0.4%の結果を得た。この支持体1cと表示基材1aを接着層1b(東洋モートン社製、主剤AD-577(ポリエステル系樹脂)と硬化剤10L(ポリイソシアネート)を5:1の割合で混合したものを厚さ6μmになるように塗布、乾燥して得られた層)によって貼り合わせた。得られた可逆性感熱記録体は厚さが410μmとなった。この試料を20cm×10cmの大きさに切り、本発明の可逆性感熱記録体の実施例1のサンプルを作成した。
図2を参照しつつ本発明の表示体の一実施例としての実施例2を説明する。図2は本発明の表示体の別の一例を示す断面図である。インレット基材2e(材料PET)上に上面アンテナ2f、下面アンテナ2g(材料アルミニウム)を形成しその上にmy−dチップ2hを接続させてなるインレットを使用した。このインレットはインフィニオン社製SRF55V10P正方形インレイ(寸法48mm×48mm)として市販されているものを使用した。
実施例1において支持体1cに使用した東洋紡社製ペルプレンS1002の代わりに以下に説明するようなポリエステルエラストマーを使用した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録体を得た。以下に支持体用として使用したポリエステルエラストマーの製造方法の概略を説明した。ポリテトラメチレンテレフタレート80部とカプロラクトン20部を反応容器に取り、窒素中にて230℃で攪拌しながら2時間溶融反応させた。さらに別の容器にて第2のポリエステル樹脂となるイソフタル酸60部とヘキサンジオール40部を反応容器に取り、窒素中にて350℃で攪拌しながら2時間溶融反応させた。それぞれ未反応部を取り除き、ペレット化して材料を得た。二軸の溶融押し出し機にて、ブレンドを行いながら、押し出し、冷却ドラム上で支持体用フィルムとして製膜させた。このようにしてハードセグメント:PBT、ソフトセグメント:PCLであるポリエステルエラストマーの厚さ250μmの支持体1cを得た。得られた支持体についての上述のような各試験の結果は引張弾性率:180MPa実測値、油滴付着適性は適、体積膨潤率:0.2%であった。後は実施例1と同様にして実施例3の可逆性感熱記録体のサンプルを作成した。
実施例3において、第2のポリエステル樹脂としてイソフタル酸の代わりにテレフタル酸60部とヘキサンジオールの代わりにプロピレングリコール40部と反応させて得られたものを用いて支持体を得た以外は実施例3と同様にして可逆性感熱記録体を作成した。得られた支持体についての上述のような各試験の結果は引張弾性率:500MPa実測値、油滴付着適性は適、体積膨潤率:2.0%であった。
実施例1において、支持体1cに使用した東洋紡製ペルプレンS1002の代わりに、厚さ300μmの東洋紡製ペルプレンE−450B(ポリエステルエラストマー、ハードセグメントPBT、ソフトセグメント:PTMG)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例1の可逆性感熱記録体のサンプルを作成した。尚、本支持体についての上述のような各試験の結果は引張弾性率:3000MPa、油滴付着適性は適、体積膨潤率:0.5%であった。
実施例1において、支持体1cに使用した東洋紡製ペルプレンS1002の代わりに、厚さ300μmの東洋紡製ペルプレンP70B(ポリエステルエラストマー、ハードセグメントPBT、ソフトセグメント:PTMG)を使用した以外は実施例1と同様にして比較例2の可逆性感熱記録体のサンプルを作成した。尚、本支持体についての上述のような各試験の結果は引張弾性率:3000MPa、油滴付着適性は適、体積膨潤率:2.5%であった。
各サンプルについての材料の試験および各サンプルについて行った試験と試験の内容判定基準は以下の通りであった。
「油滴付着適性試験」
膨潤が観測される場合を不適×、観測されない場合を適○と判定した。結果を表2に記載した。
「油中膨潤試験」
得られた膨潤率を表2に記載した。
得られた感熱記録体サンプルをカード寸法(85.5mm×54mm JIS X 6301(1998)による)に切り出し、マシン油に漬け込み23℃の温度条件で7日間、放置する。7日後に取り出し、オイルをふき取り、JIS X 6301(1998)カードの反りの測定法に従い、反りを測定する。測定した反りの量を表2に記載した。2mm以下を良好と判断した。
記録体の観察状況と印字品質を以下のように分けて評価した。その結果を表2に示した。
記録体に傷もなく、印字も良好に行えた:◎
記録体に微小な傷が認められたが印字は良好に行えた:○
記録体に傷が認められ、印字も不鮮明な個所があった:×
バーコードが読め、文字が判読できた:◎
バーコードが読めないが、文字が判読できた:○
バーコードも文字も判読できなかった:×
実施例1に較べて実施例3のサンプルは洗浄試験において傷も観察されず非常に好ましい。これは第2のポリエステル樹脂として比較的柔らかい樹脂を選択したためハードセグメントとして比較的硬いPBTの性状を補償するような作用が得られたためであると推定される。
これに較べて実施例4において使用した第2のポリエステル樹脂は比較的硬い樹脂を選択したために折れジワ試験等に劣ったと推定される。
比較例1は支持体を構成するポリエステルエラストマーが硬くなりすぎて洗浄試験において不可となった。これはPTMGに較べて硬いPBTの割合が多くなりすぎ、その影響が大きく出たものと推定される。
比較例2は比較例1に較べても耐油性に劣る性状を示した。これは比較例1に対してエーテル結合のPTMGの割合が多くなりすぎてこのような結果になったと推定される。
図を参照しつつ本発明の通信媒体の一実施例としての実施例5を説明する。
まず、図4を参照して、ICインレットの構成について説明する。図4は本発明の通信媒体に使用するICインレットの一例の断面図である。あらかじめ38μm厚のPETフィルムを絶縁性シート4とし、30μm厚のアルミ箔を貼り付け、レジストインキを乗せて、エッチングを行い、絶縁シート上にアンテナ4a、4bを形成した。更にそのアンテナ4b上にICチップ4e(フィリップ社製、I-CODE SLI)を接合し、さらに補強用樹脂4fとなるエポキシ樹脂(セメダイン社製EP001弾性エポキシ接着剤、曲げ弾性率20MPa)によって補強板4g(SUS301、50μm厚、5mmφ)を貼り付けICインレット3dを作成した。
次に図3に示した通信媒体を組み立てた。図3は本発明の通信媒体の一例となる実施例5の断面図である。基材3bと表示層3aから構成される表示部材3sとして三菱製紙社製リライトフィルムTFR85WAを使用した。このリライトフィルムは基材3bを構成する厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層3aを構成する熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものである。この基材3bと保持層3cとなる厚さ300μmの東亞合成社製アロンメルトPES111EEW(ポリエステル系ホットメルト接着剤)によってICインレット3dを挟み込み、真空プレス装置により、真空下で、130℃まで加温し、0.3MPaの圧力にてプレスし、そのまま冷却して、ICインレットと表示部材、保持層とを一体化して本発明の通信媒体の一例を得た。この表示体はオムロン社製H-01リーダーライターでチップの情報が読み取り可能であった。曲げ弾性率100MPa(実測値)、厚さ380μmの通信媒体を作成した。
図5を参照しつつ本発明の通信媒体の別の一実施例となる実施例6を説明する。図5は本発明の通信媒体の実施例6の断面図である。
本実施例6で使用したICインレット3dは実施例5で使用したICインレットと同一のものであった。
保持層用支持体5gとして厚さ300μmの東レ社製ハイトレル4047(ポリエステルエラストマー:曲げ弾性率70MPaカタログ値)に保持層用支持体向け接着剤層5cとなるセメダイン社製セメダインEP-001(弾性エポキシ接着剤、曲げ弾性率20MPa)を塗工し、ICインレット3dを挟んでのせ、その際、ICインレット3dのICチップの無い側にもセメダインEP-001を塗工しておいて、表示部材5sと張り合わせた。表示部材5sは基材5bと表示層5aから構成される表示部材として三菱製紙社製リライトフィルムTFR33TAを使用した。このリライトフィルムは基材5bを構成する厚さ23μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層5aを構成する熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものである。以上のようにして通信媒体を作成した。通信媒体としての厚さは600μmであった。保持層用支持体向け接着剤層5cの厚みはおおよそ270μmである。但しICインレット3dが存在する個所ではICチップ部分を除けば保持層用支持体5g側は250μm、基材5b側は20μmであった。通信媒体のリライトフィルム側から押した曲げ弾性率は200MPaであり、反対面から押した曲げ弾性率は130MPaであった。(平均の曲げ弾性率は160MPaとした。)
この表示体はオムロン社製H-01リーダーライターでチップの情報が読み取り可能であった。
図6を参照しつつ本発明の通信媒体の別の一実施例となる実施例7を説明する。図6は本発明の通信媒体の実施例7の断面図である。
本実施例7で使用したICインレット3dは実施例5で使用したICインレットと同一のものであった。本例において、実施例6における保持層支持体5gとしての東レ社製ハイトレル4047(ポリエステルエラストマー:曲げ弾性率70MPaカタログ値)の代わりに、平織綿布の天竺5Bをゴムシートに挟み込んだクレハエラストマー株式会社製の厚さ400μmの複合シート(曲げ弾性率300MPa実測値)を使用した以外は実施例5と同様にして通信媒体を得た。得られた通信媒体の厚さは700μm、曲げ弾性率は300MPaであった。
実施例6において、補強板とICとを貼り合わせた補強用樹脂としてのエポキシ樹脂(セメダイン社製EP001)の代わりに、三洋化成工業社製の接着剤として主剤TA-1800Eと硬化剤TA-1800Hを混合したエポキシ樹脂接着剤(硬化時の曲げ弾性率3000MPa)を使用した以外は実施例6と同様にして通信媒体を作成した。得られた通信媒体の厚さは600μm、曲げ弾性率は160MPaであった。
実施例6において、保持層支持体5gとしての東レ社製ハイトレル4047の代わりに、厚さ300μmの東レ社製ハイトレル2751(ポリエステルエラストマー曲げ弾性率1250MPaカタログ値)を使用した以外は実施例6と同様にして通信媒体を作成した。得られた通信媒体の厚さは600μm、曲げ弾性率は1400MPaであった。
実施例6において、補強板4gとして、厚さ150μmのSUS301、5mmφ、3点曲げ試験0.2N荷重時に0.5mmのたわみを呈するステンレス板を使用した以外は実施例6と同様にして通信媒体を作成した。得られた通信媒体の厚さは600μm、曲げ弾性率は140MPaであった。
実施例6において、保持層支持体5gとしての東レ社製ハイトレル4047の代わりに、厚さ300μmの無延伸ポリエステルフィルム(曲げ弾性率2300MPa、カタログ値)を使用した以外は実施例6と同様にして通信媒体を作成した。
得られた通信媒体の厚さは600μm、曲げ弾性率は2200MPaであった。
実施例、比較例の通信媒体を100mm×200mmの大きさに切り取り、三和ニューテック社製リライトプリンタPR3101を用いて、バーコードの感熱印字を行い、印刷の様子を調べた。
バーコードの印字を目視で判断し、印刷に途切れがないものを良好とし、印字が少しかすれているがバーコードが読み取れるものをやや良好、印字が途切れておりバーコードとして読み取れないものを不良と判断した(プリンタの印字エネルギーは標準状態)。同時に200回消去印字を繰り返し行った後で通信状態を確認した。5枚中、1枚でも通信が不可能の場合は×、すべて通信可能の場合は○とした。結果を下記表3に示した。
図7を参照に実施例10を説明する。表示層7s(三菱製紙社製リライトフィルムTFR85WA:基材7bの厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに記録層7aとなる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。TD方向の線膨張率2.4×10-51/℃、貯蔵弾性率4.6GPa)。保持層7gは帝人化成製ヌーベランP4145(ポリエステルエラストマー、線膨張率19.2×10-51/℃、貯蔵弾性率0.45GPa)の原料ペレットを溶融させ、巻き取りながらセパレート紙上に押し出し、シート化するときにポリエステル繊維のメッシュクロス、目開き5mm、糸径20μm、280デシテックスのものをチルロール面側に落とし込み、挟み込んでシート化した原反をまず作成した。作成した原反を巻き取り、さらにその上に同じ原料のポリエステルエラストマーを溶融させてメッシュクロス面に押し出し、メッシュクロスを挟み込んだ構造となる厚さ300μmのポリエステルエラストマーの保持層7gを作成した。真中にメッシュクロス7jを持つことによりこの保持層の繊維膨張率は4×10-51/℃、貯蔵弾性率0.85GPaとなった。この表示層7sと保持層7gを接着層7c(ノーテープ工業製、湿気硬化型ホットメルトRHC−100、線膨張率25×10-51/℃、貯蔵弾性率0.1GPa)を厚さ50μmになるように塗布し、張り合わせた。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。この試料を10cm×10cmの大きさに切り、本発明の可逆性感熱記録体の実施例10のサンプル(図7の断面構造を有するもの)を作成した。
接着剤層として、ポリエステル系ホットメルト接着剤である東亜合成社製アロンメルトPES111EEW(厚さ75μm、線膨張率22.7×10-51/℃、貯蔵弾性率0.1GPa)を使用した以外は実施例10と同様にして、図7に示される断面構造を有した本発明の記録体のサンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが460μmとなった。
実施例10において、保持層を作成する際に、帝人化成製ヌーベランP4145(ポリエステルエラストマー、線膨張率19.2×10-51/℃、貯蔵弾性率0.45GPa)の原料ペレットを溶融させ、セパレート紙上に押し出し、シート化するときにポリエステル繊維のメッシュクロス、目開き5mm、糸径20μm、280デシテックスのものをチルロール面側に落とし込み、そのまま挟み込んで厚さ300μmのポリエステルエラストマーの保持層を作成した。メッシュクロスはエラストマーにほぼ埋まりこんだような構造となった。メッシュクロスを持つことによりこの保持層の繊維膨張率は4×10-51/℃、貯蔵弾性率0.85GPaとなった。このメッシュクロスが保持層の内側(表示層側)に位置するようにした以外は実施例10と同様にして、図8に示される断面構造を有した本発明の記録体のサンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。
実施例10において、保持層を作成する際に、帝人化成製ヌーベランP4145(ポリエステルエラストマー、線膨張率19.2×10-51/℃、貯蔵弾性率0.45GPa)の原料ペレットを溶融させ、セパレート紙上に押し出し、シート化するときにポリエステル繊維のメッシュクロス、目開き5mm、140デシテックスのものをチルロール面側に落とし込み、そのまま挟み込んで厚さ300μmのポリエステルエラストマーの保持層を作成した。メッシュクロスはエラストマーにほぼ埋まりこんだような構造となった。メッシュクロスを持つことによりこの保持層の繊維膨張率は4×10-51/℃、貯蔵弾性率0.85GPaとなった。このメッシュクロスが保持層の外側(裏面側)に位置するようにした以外は実施例10と同様にして、図9に示される断面構造を有した本発明の記録体のサンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。
実施例12における表示層と接着剤層の間にICインレットが挟み込まれた構造を有する図10の本発明の記録体を作成した。このICインレットとしては、図11のように絶縁シート11(材料PET)上に上面アンテナ11a、下面アンテナ11b(材料アルミニウム)を形成しその上にmy−dチップ11eを接続させてなるICインレットを使用した。このICインレットはインフィニオン社製SRF55V10P正方形インレイ(寸法48mm×48mm)として市販されているものを使用した。さらにICチップには、弾性エポキシ接着剤であるセメダインEP001(セメダイン社製)を用いてSUS304の50ミクロン厚5mmφの金属板が補強板11gとして搭載した。接着剤層は厚さを250ミクロンとした以外は実施例12と同様にして、図10に示される断面構造を有した本発明の記録体のサンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが630μmとなった。
図12を参照に実施例15を説明する。表示層12s(三菱製紙社製リライトフィルムTFR85WA:厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層となる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。TD方向の線膨張率2.4×10-51/℃、貯蔵弾性率4.6GPa)。保持層12gは帝人化成製ヌーベランP4145(ポリエステルエラストマー、線膨張率19.2×10-51/℃、貯蔵弾性率0.45GPa)の原料ペレットを溶融させ、巻き取りながらセパレート紙上に押し出し、厚さ300μmの保持層を作成した。次に、厚さ50μmのポリエステル系ホットメルト接着剤である東亜合成社製アロンメルトPES111EEW(線膨張率22.7×10-51/℃、貯蔵弾性率0.1GPa)の2枚のシートの間に、ポリエステル繊維のメッシュクロス、目開き10mm、糸径20μm、140デシテックスのものを挟み込んで接着剤層を作成した。シート化した接着剤層は線膨張率11.0×10-51/℃、貯蔵弾性率0.2GPaであった。真空熱プレス機に表示層、接着剤層、保持層を挟み、加熱真空プレスを行い、図12に示されるような厚さ480μmの記録体のサンプルを作成した。
この試料を10cm×10cmの大きさに切り、本発明の可逆性感熱記録体の実施例15のサンプル(図12の断面構造を有するもの)を作成した。
実施例14おいて、帝人化成製ヌーベランP4145の変わりのP4165(ポリエステルエラストマー、線膨張率13.0×10-51/℃、貯蔵弾性率2.0GPa)の原料ペレットを用いた以外は、実施例14と同様にしてサンプルを作成した。メッシュクロスを内在した保持層の線膨張率3.0×10-51/℃、貯蔵弾性率2.0GPaであった。得られた可逆性感熱記録体は厚さが630μmとなった。
実施例10において、メッシュクロスを挟み込まずに表示層と保持層を接着剤により貼り合わせ、比較サンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。
実施例14において、メッシュクロスを挟み込まずに表示層、ICインレットおよび保持層を接着剤により貼り合わせ、比較サンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが630μmとなった。
実施例10において、メッシュクロスの変わりに140デシテックスのポリエステル繊維の目の詰まった平織物を挟み込んだ保持層(平織物の層を持つことによりこの保持層の繊維膨張率は3.5×10-51/℃、貯蔵弾性率0.90GPaとなった)と表示層を接着剤により貼り合わせ、比較サンプルを作成した。得られた可逆性感熱記録体は厚さが430μmとなった。
表示層7sに三菱製紙社製リライトフィルムTFR60WA(厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに表示層となる熱可逆性感熱塗料層を10μmの厚さに設けたものに保護層等が適宜設けられている市販品である。TD方向の線膨張率2.6×10-51/℃、貯蔵弾性率4.2GPa)、保持層に厚さ300μmの帝人化成製ヌーベランP4155(ポリエステルエラストマー、線膨張率15.5×10-51/℃、貯蔵弾性率1.2GPa)を接着層(ノーテープ工業製、湿気硬化型ホットメルトRHC−100、貯蔵弾性率0.1GPa)を厚さ50μmになるように塗布し、張り合わせた。得られた可逆性感熱記録体は厚さが410μmとなった。この試料を10cm×10cmの大きさに切り、本発明の可逆性感熱記録体の実施例13のサンプルを作成した。
各サンプルについての材料の試験および各サンプルについて行った試験と試験の内容判定基準は以下の通りであった。
(1)カールの評価
実施例、比較例の通信媒体を100mm×100mmの大きさに切り取り、40℃高温、4℃低温でのカールを見た。4角が上方に反るようにして台上におき、台面からの4角の先端までの距離を測定した。2mm未満を○、2mm〜5mm未満を△、5mm以上を×とした。表記は40℃高温の評価/4℃低温の評価とした。なお各サンプルは各試験前は20℃にてカールがゼロのサンプルであった。5mm未満であればプリンタでの取扱上は問題にならないレベルである。洗浄機においては若干取り扱いに注意を要する。2mm未満であればプリンタ、洗浄機において全く問題が発生しない。
実施例、比較例の通信媒体を100mm×200mmの大きさに切り取り、三和ニューテック社製リライトプリンタPR3101を用いて、標準設定でバーコードの感熱印字を行い、印字の様子を調べた。
バーコードの印字を目視で判断し、印字に途切れがないものを○(良好)とし、印字が途切れておりバーコードとして読み取れないものを×(不良)と判断した。プリンタの印字エネルギーは標準状態とした。
実施例10〜16のサンプルは比較例5,6,8に較べてカール発生に対して効果があった。比較例7はカール発生に対して効果を示したが、クロスメッシュに相当する平織物が印字適性を悪くしており、印字が不鮮明になり、さらに柔らかさが実施例に比べるとなくなっており、記録体としては不適当であった。実施例16はカール、印字評価とも○であったが、幾度も繰り返して使用する記録体としては硬く、取り扱う上で若干扱い難いものとなった。比較例8はカールの結果が×であったが、印字する際にカールを矯正することにより、高温時でも印字は可能であった。また、実施例は印字直後のカールもほとんど無いのに対し、比較例5、6、8は印字直後も、印字の熱を受けて大きいカールが発生しており、取り扱う上でも、実施例は優位な特性を示した。
このように、本発明の記録体は、気温が変化した場合であってもカールが発生し難く、特に表示層が可逆性感熱記録層であるものにあっては、熱により発色状態、消色状態を繰り返し表示可能である。
Claims (25)
- 可逆性感熱記録層を有するポリエチレンテレフタレートを主成分とする表示基材と、ポリブチレンテレフタレート(PBT)をハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーまたはポリブチレンナフタレート(PBN)をハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルもしくは脂肪族ジオールをソフトセグメントとするポリエステルエラストマーを主成分とする支持体と、前記表示基材と支持体を接着する接着層とを備える可逆性感熱記録体。
- 前記表示基材のマシン油に浸したときの体積膨潤率Aと前記支持体のマシン油に浸したときの体積膨潤率Bの関係|B−A|が2%以内である請求項1記載の可逆性感熱記録体。
- 前記表示基材の引張弾性率が2000MPa以上であり、マシン油に浸したときの体積膨潤率が2%以下である請求項2記載の可逆性感熱記録体。
- 前記支持体の引張弾性率が表示基材の25%以下であり、マシン油に浸したときの体積膨潤率が2%以下である請求項2または3記載の可逆性感熱記録体。
- 前記支持体のハードセグメントがPBTであり、ソフトセグメントがポリカプロラクトン(PCL)である、または、ハードセグメントがPBNであり、ソフトセグメントがPCLまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールである請求項1〜4のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録体。
- 前記支持体に第二のポリエステル樹脂がブレンドされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録体。
- 前記第二のポリエステル樹脂が、少なくとも芳香族ジカルボン酸と炭素数5以上のジオールからなる請求項6記載の可逆性感熱記録体。
- 支持体の第二のポリエステル樹脂の芳香族ジカルボン酸が、フタル酸またはイソフタル酸である請求項7記載の可逆性感熱記録体。
- 少なくとも接着層中に識別タグを保持していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録体。
- 表示基材及び該表示基材上の表示層を備える表示部材と、
前記表示部材の表示基材側に配置される補強板を接合したICチップを搭載したICインレットと、
前記ICインレットを覆ってICチップのある側に配置される保持層
とを備える厚さ100μmから2mmの通信媒体であって、該通信媒体の曲げ弾性率が100MPa以上、2000MPa以下であること、及び前記補強板が下記の機械的条件:
JIS K 7171-1994、プラスチック曲げ特性の試験方法の3点曲げ試験でのたわみが、支点間距離50mmにおいて、荷重0.2Nを加えた時に3mm以上である、
を満足することを特徴とする通信媒体。
補強板の機械的条件 - 前記保持層が保持層用接着剤層から構成される請求項10記載の通信媒体。
- 前記保持層が保持層用支持体向け接着剤層と保持層用支持体とから構成される請求項10記載の通信媒体。
- 前記保持層用支持体が繊維含有層である請求項12記載の通信媒体。
- 前記前記補強板とICチップとを接合する補強板用樹脂の曲げ弾性率が10〜2000MPaであり、接着強度が1N以上である請求項10〜13のいずれか一項に記載の通信媒体。
- 前記表示層が感熱記録層である請求項10〜14のいずれか一項に記載の通信媒体。
- 前記保持層の曲げ弾性率が10MPa以上1000MPa以下である請求項10〜15のいずれか一項に記載の通信媒体。
- カールの発生を防止可能な記録体であって、当該記録体が、基材の一方の表面上に記録層が設けられた表示層と、前記表示層における前記基材の他方の表面側に設けられたカール防止層とを有しており、前記カール防止層が、前記基材側に位置する接着剤層と、当該接着剤層に積層された合成樹脂製の保持層とを含み、JIS K 7197−1991に準じた線膨張率において、前記表示層の線膨張率:前記接着剤層と前記保持層の少なくともいずれか一方の線膨張率の比率が1:5〜5:1の間であり、しかも、JIS K 7244−1998に準じた貯蔵弾性率において、前記接着剤層と前記保持層の少なくともいずれか一方の貯蔵弾性率が0.01〜1.5GPaであることを特徴とする記録体。
- 前記カール防止層が、目開きした組織を有するメッシュクロスを含むことを特徴とする請求項17に記載の記録体。
- 前記表示層における前記基材が、貯蔵弾性率4GPa以上のポリエステル二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項17又は18に記載の記録体。
- 前記保持層の主成分が、芳香族ポリエステルのハードセグメントと脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルのソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体であることを特徴とする前記請求項17〜19のいずれか1項に記載の記録体。
- 前記メッシュクロスが、前記保持層中に存在していることを特徴とする前記請求項17〜20のいずれか1項に記載の記録体。
- 前記メッシュクロスが、前記接着剤層中に存在していることを特徴とする前記請求項17〜20のいずれか1項に記載の記録体。
- カールの発生を防止可能な記録体であって、当該記録体が、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の一方の表面上に記録層が設けられた表示層と、前記表示層における前記基材の他方の表面側に設けられたカール防止層とを有しており、前記カール防止層が、前記基材側に位置する接着剤層と、当該接着剤層に積層された、芳香族ポリエステルのハードセグメントと脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルのソフトセグメントとから構成されているブロック共重合体である合成樹脂製の保持層とを含み、目開きした組織を有するメッシュクロスが当該保持層中に存在していることを特徴とする記録体。
- 前記表示層が可逆性感熱記録層であることを特徴とする前記請求項17〜23のいずれか1項に記載の記録体。
- 少なくとも前記接着剤層中に識別タグが配置されていることを特徴とする前記請求項17〜24のいずれか1項に記載の記録体。
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