JPH10278069A - 射出成形同時絵付け成形品の製造方法 - Google Patents

射出成形同時絵付け成形品の製造方法

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JPH10278069A
JPH10278069A JP9792497A JP9792497A JPH10278069A JP H10278069 A JPH10278069 A JP H10278069A JP 9792497 A JP9792497 A JP 9792497A JP 9792497 A JP9792497 A JP 9792497A JP H10278069 A JPH10278069 A JP H10278069A
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film
resin
mold
painting
temperature
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JP9792497A
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Hiroyuki Atake
浩之 阿竹
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Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絵付フィルムの真空成形による表面凹凸が少
なく、優れた表面鏡面光沢感、高級塗装感、表面平滑性
等を有する射出成形同時絵付け成形品を得る。 【解決手段】 絵付フィルムFを加熱軟化させて真空成
形したものを、金型のキャビティ面に密着させた状態と
した後、金型を型締めし、型締め後の金型で形成される
キャビティに加熱熔融した樹脂を射出し、冷却、固化さ
せて、成形と同時に絵付フィルムを成形品表面に積層し
て絵付けする、射出成形同時絵付け成形品の製造方法に
おいて、絵付フィルムが熱可塑性樹脂の厚み30〜20
0μmの樹脂フィルムで、樹脂フィルムのガラス転移温
度Tgを射出成形の金型温度TmとはTg≦Tm+50
〔℃〕の関係、射出樹脂温度TrとはTr≧Tg+13
0〔℃〕の関係として製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形同時絵付
け成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、成形品の成形と同時にその外
表面に模様等を設ける射出成形同時絵付け方法が各種の
態様で行われている。特公昭50−19132号公報で
は、真空成形用の通気孔を設けた雌型を利用して熱可塑
性樹脂よりなる絵付フィルムを真空成形した後、雌雄両
型を型締めし、加熱熔融した樹脂を両型で形成されるキ
ャビティに射出して、冷却、固化して、成形品の外表面
に絵付フィルムを積層させて一体化させる方法が開示さ
れている。このように射出成形同時絵付け方法とは真空
成形と射出成形とを組合わせた方法であり、複雑な曲面
形状に模様付けができる方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、絵付フ
ィルムの真空成形すると、その表面にはブツブツした微
細な凹凸が発生する事が実際は多い。この表面凹凸は、
例えば直径が0.5mm程度の略円形で、表面を斜めか
ら観察すると窪みが目視できる様な凹部形状である。従
来は、製造する射出成形同時絵付け成形品の表面平滑性
が、さほど要求されない用途では、上記表面凹凸は問題
視されないで来た。また、例えば自動車の内装材等の用
途に於いて表面鏡面光沢感、高級塗装感等が要求される
場合でも、射出成形同時絵付け成形品を得た後、更にそ
の表面に透明樹脂層を塗工形成する等して対処して来た
のでさほど問題視される事も無かった。
【0004】ところが、後塗装は工程数増にもなり好ま
しいものでは無い。一回の射出成形同時絵付け工程のみ
で、優れた表面鏡面光沢感、高級塗装感、表面平滑性等
が成形品に付与できる事が望ましい。従来の経験からす
ると、上記表面凹凸は、絵付フィルムを構成する樹脂フ
ィルムの厚さを厚くすると改善される傾向は分かってい
る。例えば、200μmよりも厚い樹脂フィルムを用い
ることでかなり改善は可能である。しかし、樹脂フィル
ムを厚くすると絵付フィルムの単価への影響が大きくな
り、経済的に実用的ではなかった。また、技術的にも、
樹脂フィルムの厚みが厚い程、印刷による装飾処理を、
長尺の樹脂フィルムにグラビア輪転印刷機等を適用して
高速量産化することが困難になるという問題もあった。
厚手の長尺物を扱える特別のシルクスクリーン印刷機で
は連続印刷可能だが、生産速度は遅い為に、時間コスト
が高くなる。また出来たとしても、射出成形同時絵付け
装置に絵付フィルムをロールで装填する際に、同径でも
巻きが少なくロール交換頻度が多くなるという問題があ
る。
【0005】そこで、本発明の課題は、上記問題点を解
決し、絵付フィルムの真空成形による表面凹凸が少な
く、優れた表面鏡面光沢感、高級塗装感、表面平滑性等
を有する射出成形同時絵付け成形品の製造方法を提供す
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、加熱軟化させて真空成形した絵付フィルム
を、型のキャビティ面に密着させた状態とした後、型を
型締めし、型締め後の型で形成されるキャビティに加熱
熔融した樹脂を射出し、冷却、固化させて、成形と同時
に絵付フィルムを成形品表面に積層して絵付けする、射
出成形同時絵付け成形品の製造方法において、前記絵付
フィルムは少なくとも樹脂フィルムからなり、該樹脂フ
ィルムは熱可塑性樹脂からなる厚みが30〜200μm
のフィルムであって、且つ樹脂フィルムのガラス転移温
度Tgと射出成形に用いる型の温度Tmとを、Tg≦T
m+50〔℃〕の関係とし、且つ射出樹脂温度Trと前
記ガラス転移温度Tgとを、Tr≧Tg+130〔℃〕
の関係とした。その結果、真空成形での絵付フィルムの
表面凹凸発生を少なくし、更に真空成形で絵付フィルム
に表面凹凸が発生しても、その後の加熱熔融樹脂による
射出成形の熱圧で、該表面凹凸を型キャビティ面で平坦
化させることができ、成形品に優れた表面鏡面光沢感、
高級塗装感、表面平滑性等を付与することができる様に
なる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の射出成形同時絵付け成形品の製造方法について、実
施の形態を説明する。
【0008】先ず、本発明で用い得る絵付フィルムは、
上記特定の厚みと特定のガラス転移温度を有する樹脂フ
ィルムを基材とする他は、従来の射出成形同時絵付け成
形品の製造方法で使用される従来公知の絵付フィルムと
同様で良い。すなわち、通常は、樹脂フィルムを基材と
して、樹脂フィルム単体、または樹脂フィルムに装飾処
理等が適宜施されたものである。樹脂フィルムに施され
る装飾処理としては、顔料又は染料の練込による樹脂フ
ィルム自身の着色、或いは絵柄や金属薄膜層からなる装
飾層の形成、凹凸模様形成等がある。また、装飾効果と
して透明塗装感を成形品に付与する場合には、無色又は
有色の透明樹脂フィルム単体を絵付フィルムとして用い
ることもできる。
【0009】樹脂フィルムは真空成形をする事から成形
性の有る熱可塑性の樹脂からなるフィルムが用いられ
る。樹脂フィルムを構成する熱可塑性の樹脂材料として
は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、酢
酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリビニルブチラール
等のビニル重合体、ポリスチレン、アクリル−スチレン
共重合体、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体)樹脂等のスチレン系樹脂、PMMA
(ポリメタクリル酸メチル)、ポリメタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合
体、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂、ナイロ
ン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、オレフィン
系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、酢
酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共
重合体、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂、ブタ
ジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム等のゴ
ム系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等
のフッ素樹脂、ウレタン系熱可塑性エラストマー、オレ
フィン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマ
ー、ポリカーボネート等である。樹脂フィルムはこれら
樹脂の単層体又は複層からなる積層体である。
【0010】そして、本発明では樹脂フィルムの厚みは
30〜200μmの範囲である。これは前記した様に、
200μmを越えれば表面凹凸は改善傾向となるが経済
的に実用性に乏しいからであり、30μm未満でも取扱
難いからである。すなわち、この数値範囲は、本発明
が、実用性のある厚み範囲の樹脂フィルムに対して、そ
の絵付フィルムの真空成形で発生する表面凹凸の問題を
解決する技術を提供することを明確にするものである。
また、樹脂フィルムのガラス転移温度は型温度や射出樹
脂温度と特定の関係とする。この点は後述する。
【0011】顔料等の樹脂フィルムへの練込による装飾
では、樹脂フィルムを着色透明又は着色不透明、或いは
無色不透明又は着色不透明等とする装飾処理が施され
る。顔料としては、チタン白、カーボンブラック、群
青、弁柄、黄鉛等の無機顔料、キナクリドン、イソイン
ドリノン、フタロシアニンブルー、アニリンブラック等
の有機顔料乃至は染料等が用いられる。この他、必要に
応じ、炭酸カルシウム、シリカ(二酸化ケイ素)アルミ
ナ(酸化アルミニウム)、硫酸バリウムの様な体質顔料
(充填剤)が適宜を添加しても良い。
【0012】絵柄印刷による装飾層形成の印刷法として
は、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、シルク
スクリーン印刷等のような通常の印刷手段を用いること
ができるが、描絵でも差し支えない。また、離型性シー
ト上にインキ層、更に必要に応じて接着剤層が形成され
た転写シートを予め準備しておき、転写シートに形成さ
れたインキ層を加圧、又は加圧と加熱により装飾層(イ
ンキ層)を形成する面に転写させる、所謂転写印刷法を
用いることもできる。絵柄の模様は例えば木目模様、石
目模様、文字や図形等の幾何学模様等と任意である。な
お、絵柄印刷による装飾層(インク層)は樹脂フィルム
表面側や裏面側、或いは2層の樹脂フィルムに間に形成
する形態等がある。絵柄印刷に用いるインキは、樹脂バ
インダーに顔料乃至は染料などの着色剤を添加してな
る。樹脂バインダーとしては、アクリル樹脂、ポリエス
テル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等公知のも
のが用いられる。また、顔料乃至は染料としては、フィ
ルムへの練り込み用として列挙したような公知のものが
用いられる。
【0013】また、装飾層を金属薄膜層として形成する
には、アルミニウム、クロム等の金属を真空蒸着する等
して薄膜として形成する。金属薄膜層は全面に形成して
も良く、前記したような模様が得られるようにパターン
状に形成しても良いが、パターン状に形成するには金属
薄膜層不要部分に水溶性インクにより除去層を所望のパ
ターンで設けた上から全面に金属薄膜層を蒸着形成し、
しかる後水洗して上記除去層とともにその直上の金属薄
膜層を除去する等の公知の手法による。もちろん、転写
印刷法により、予め転写シートに形成しておいた金属薄
膜層を、装飾層を形成する面に転写形成しても良い。
【0014】また、絵付フィルムはその裏面に、成形品
との接着性向上のため、コロナ放電処理、公知の各種プ
ライマー塗工等の易接着処理や感熱型の接着剤層が適宜
施されたものでも良い。このような接着剤層には、熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂、アイオノマー等の樹脂が用い
られる。樹脂の具体例としては、エチルセルロース、硝
酸セルロース、酢酸セルロース、エチルヒドロキシエチ
ルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等
のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα−メチルス
レチン等のスチレン樹脂又はスチレン共重合体、ポリ
(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エ
チル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル樹
脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、ポリビニルブチラール等のビニル重合体、ロジン、
ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹
脂、重合ロジン等のロジンエステル樹脂、ポリイソプレ
ンゴム、ポリイソブチルゴム、スチレンブタジエンゴ
ム、ブタジエンアクリロニトリルゴム等のゴム系樹脂、
クマロン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリアミド樹脂、
ポリ塩素化オレフィン等の、天然又は合成樹脂、各種ア
イオノマー等の1種又は2種以上の混合物が用いられ
る。
【0015】射出成形する樹脂は、成形品の要求物性、
コスト等によって適宜選択される。例えば、ABS(ア
クリロニトリル−ブタジン−スチレン共重合体)樹脂、
ポリスチレン、AS(アクリロニトリル−スチレン共重
合体)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の熱可
塑性樹脂である。
【0016】次に、前記した樹脂フィルムのガラス転移
温度Tg、型温度Tm、射出樹脂温度Trの関係を説明
する。樹脂フィルムのガラス転移温度Tgと型温度Tm
との関係は、Tg≦Tm+50〔℃〕の関係とする。こ
れは、Tm≧Tg−50〔℃〕でもある。すなわち、或
る樹脂フィルムを使用する事を前提条件として、樹脂フ
ィルムのTgを基準に考えれば、型温度自体は、樹脂に
より適宜設定するものだが、型温度TmはTg−50
〔℃〕以上に設定する。更に、射出樹脂温度Trと前記
ガラス転移温度Tgとを、Tr≧Tg+130〔℃〕の
関係とする。上記同様に、或る樹脂フィルムを使用する
事を前提条件として、樹脂フィルムのTgを基準に考え
れば、射出樹脂温度TrはTg+130〔℃〕以上に設
定する。なお、これら温度関係は、逆に或る射出樹脂を
使用する事を前提条件とすれば、その可能な射出樹脂温
度Trの範囲と、可能な型温度範囲とから、これと組み
合わせて使用する絵付フィルムに用いる樹脂フィルムを
選定する選定条件にもなる。また、始めに樹脂フィルム
のガラス転移温度Tgが与えられた場合、それに応じて
前記の如く決定される型温度Tm、及び射出樹脂温度T
rの上限は、本発明の目的の上では特に限定されない。
しかしながら、現実には真空成形及び射出成形の適性上
支障の無い温度以下に制約する必要はある。具体的には
型温度Tmは、射出樹脂を充分冷却固化出来る温度以下
に、また、射出樹脂温度Trは射出樹脂自体が熱的に劣
化せず且つ樹脂フィルムが熔融破断しない温度以下に設
定することは必要となる。
【0017】絵付フィルムを真空成形(真空圧空成形も
包含する)した時に、表面凹凸が発生する原因は定かで
は無いが、一度加熱された(例えば約100〜150
℃)樹脂フィルムが型表面で急冷されるため、フィルム
での収縮ムラが生じて発生するのではと推定される。樹
脂フィルムが厚いと表面凹凸が減少傾向となるのは、厚
いと冷却されるまでに時間がかかるためと思われる。一
方、薄い樹脂フィルムに対して型温度を高くすれば、表
面凹凸は発生しにくくなる。そこで、フィルムのガラス
転移温度Tgと型温度Tmとの関係を、Tg≦Tm+5
0〔℃〕とすることによって、表面凹凸の発生そのもの
を少なくすることができる。この関係から外れると表面
凹凸の発生が多くなり好ましくない。なお、この事から
も分かる様に、型温度とは、直接には絵付フィルムが真
空成形されて密着するキャビティ面を持つ方の型温度で
ある。すなわち、絵付フィルムの真空成形は雌型のキャ
ビティで通常は行うので、該キャビティ面の温度であ
る。他方の型、つまり雄型のコア面の温度は間接的に関
係する。それは、実際上、両方の型温度はあまりに離さ
ないからである。成形品にソリ等の歪みが生じるからで
ある。
【0018】更に射出樹脂温度を高めにして樹脂を射出
することにより、一度発生した表面凹凸を型キャビティ
の平滑面に射出樹脂の熱圧で押圧することで、消失させ
る事ができる。この為には、射出樹脂温度Trと前記ガ
ラス転移温度Tgとを、Tr≧Tg+130〔℃〕の関
係とすることによって、表面凹凸を消失させ易くするこ
とができる。また、この関係から外れると、表面凹凸が
射出樹脂の熱圧で軟化変形して型キャビティ面で平滑化
されにくくなり、表面凹凸が消失しにくくなる。
【0019】例えば、具体的には、本発明で樹脂フィル
ムのガラス転移温度Tgが76℃のアクリル樹脂フィル
ムを使用した場合、型温度Tmは26℃以上で且つ射出
樹脂温度Trを206℃以上に設定すれば、表面凹凸は
消失する。型温度Tmを所定の温度に制御する為の方法
としては、例えば、型の内部に加熱流体(熱水等)を流
す管、及び冷却流体(冷水等)を流す管を埋設してお
き、型内に埋設した熱電対等の温度センサで計測される
型温度をもとに、加熱流体及び冷却流体の流量や温度を
制御することによって行う。なお、型の材料は熱伝導
率、耐熱性、及び強度の点で鉄等の金属が好ましいが、
この他、セラミックス等も使用できる。
【0020】なお、本発明の射出成形同時絵付け成形品
の製造方法では、絵付フィルムの真空成形は、射出成形
の型で射出成形直前に行うことが生産性、真空成形精度
の点等から好ましいが、別の型で行っても良いことは、
従来同様である。
【0021】次に、本発明の射出成形同時絵付け成形品
の製造方法の一例を、図1〜図4を用いて説明してお
く。
【0022】絵付フィルム供給前の状態が図1である。
先ず、最初はロールRから巻きだされた帯状の絵付フィ
ルムFの先端は、チャック7で表裏から把持された状態
である。この絵付フィルムに使われている樹脂フィルム
は熱可塑性樹脂からなるガラス転移温度がTgのもので
ある。そして、この状態から絵付フィルムを雌型である
型B及び雄型である型Aの一対の型間に供給して図2の
絵付フィルム供給後の状態にする。すなわち、チャック
7が絵付フィルムFを把持したまま下方に移動して、型
外部下方に位置するチャック8が絵付フィルムの先端を
把持できる位置まで、絵付フィルムを搬送する。チャッ
ク8が絵付フィルム先端の把持を完了すると、チャック
7は絵付フィルムの把持を解除して、型外部上方に移動
して元の位置まで戻り、次のショットの準備として絵付
フィルムを型Bの上流側で把持する。次いで、型間に常
時位置するクランプ2が、エアシリンダ等の駆動機構に
より型B側に前進移動(図面左側方向)して、絵付フィ
ルムを型Bのパーティング面に押圧して、固定する。こ
の結果、絵付フィルムの型間への供給が完了する。な
お、クランプ2は、例えば型Bのキャビティの周囲を囲
繞して絵付フィルムを押圧する様に図2の様な四角形の
枠形状をしている。そして、熱盤10が、型外部の退避
位置から型間に移動し、加熱する絵付フィルムに対向す
る位置まで移動する。この状態が図2である。
【0023】次は図3の如く、絵付フィルムFの加熱軟
化である。熱盤10が前進し(図面左側方向)、クラン
プ2に当接する位置まで移動する。そして、絵付フィル
ムに対して熱盤の加熱面は所定の距離隔てて、絵付フィ
ルムを非接触で加熱する。なお、熱盤が加熱位置に移動
すると同時に、同図では、熱盤上方に張り渡したニクロ
ム線等の加熱線状からなる切断手段20が絵付フィルム
に接触して、長尺の絵付フィルムを1ショット分の大き
さに切断する。なお、型Bのパーティング面には切断手
段の邪魔をしない様に受け溝13を切断手段20と対向
する面部分に設けてある。なお、絵付フィルムの加熱軟
化用には、図3の如く絵付フィルムに非接触で、輻射熱
でこれを加熱する非接触型熱盤の他、絵付フィルムと接
触して伝導熱でこれを加熱する接触型熱盤を使用する事
も可能である。
【0024】そして、絵付フィルムの加熱軟化後、また
は加熱軟化と同時に、型Bに設けた通気孔(図示せず)
から吸気して、絵付フィルムを真空成形して型Bのキャ
ビティ面3(図2参照)に密着させて、絵付フィルムの
予備成形を行う。この際、型Bのキャビティ面3の温度
は続け行う射出成形の為に、型温度Tmに設定してあ
る。この型温度Tmは、樹脂フィルムのガラス転移温度
Tgと射出成形に用いる型の温度Tmと、Tg≦Tm+
50〔℃〕の関係に設定してある。そして、絵付フィル
ムの予備成形後に、熱盤10は両型間から型外部の退避
位置に移動・退避させる。その後、絵付フィルムは型B
のキャビティ面に真空成形時の吸引をそのまま続けて密
着させた状態で、両型A、Bを型締めする。図4がこの
絵付フィルムの予備成形、型を型締した後の状態であ
る。なお、図4の如く、型Aのパーティング面には、ク
ランプ2が型締めを邪魔しない様にクランプを収納でき
る凹部となる受け溝14をクランプと対向する面部分に
設けてある。また、通常は型Aの側に射出ノズルと連通
する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を設け(図示
略)、これらを通じて液状の樹脂を両型で形成されるキ
ャビティ内に射出する様に構成する。
【0025】そして、両型で形成されるキャビティに加
熱熔融した樹脂を射出し充填する。この際、射出樹脂温
度Trは前記ガラス転移温度Tgと、Tr≧Tg+13
0〔℃〕の関係に設定して射出する。その後、樹脂を冷
却、固化させた後、型開きすれば、成形と同時に絵付フ
ィルムにより表面が絵付けされた成形品が得られる。
【0026】なお、本発明でいう「絵付け」とは、単に
絵柄や文字、図形等の目視可能な模様を成形品に付与す
る以外に、目視不可能な模様、あるいは硬質塗膜、導電
性等の機能性層を付与することも包含する。なお、本発
明でいう射出成形とは、通常一般の射出成形で用いる
「熱溶融した熱可塑性樹脂」を射出する以外に、「室温
で溶融状態にある熱硬化又は2液反応硬化型樹脂」を射
出する事も包含する。
【0027】
【実施例】次に、実施例により更に説明する。
【0028】(絵付フィルムの用意) 1)樹脂フィルムとして三菱レイヨン株式会社製の厚み
125μmのアクリル樹脂フィルムの片面に、絵柄印刷
による装飾層にはアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体との1:1重量比の混合物をバインダーの樹
脂とするインキを用い、感熱融着型の接着剤層には塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体からなるインキを用い、装
飾層、接着剤層を順次グラビア印刷した。なお、樹脂フ
ィルムのガラス転移温度Tgは81℃であった。絵柄は
柄版を3色組み合わせ木目の意匠を持つ柄とした。ま
た、接着剤層は2μmの層を形成した。この様にして絵
付フィルムF1を用意した。 2)また、同じ仕様で、フィルムの厚みのみを1000
μmに変更したものを用意し絵付フィルムF2とした。
この絵付フィルムF2は、フィルム厚が1mmと厚いの
でグラビア印刷が出来ないの為、長尺物を印刷できるシ
ルクスクリーン印刷機で装飾層、接着剤層を形成した。
【0029】(射出成形同時絵付け成形品の製造)上記
で得た絵付フィルムF1及びF2を用いて次の様にして
行った。用いた装置は、図1〜図4で説明した様な射出
成形同時絵付け装置である。先ず、チャック7及びチャ
ック8でロールRから絵付フィルム(F1、F2)を所
定量送って、型Bのパーティング面にクランプ2で押圧
し固定する。なお、クランプ2に対向するパーティング
面にはゴム製のOリングが断面で一部突出する様に埋設
されており、絵付フィルムで型Bのキャビティを密閉で
き、エアが漏れない構造となっている。但し、絵付フィ
ルムF2は厚い為、ロールに巻き取ることが出来ない
為、絵付フィルムF1のロールから絵付フィルムF1を
巻き出し、その先端部に成形1ショット分の絵付フィル
ムF2を継ぎ足して、型間に供給した。その後、300
℃に加熱されたヒータパネルを熱盤10として、型外部
の退避位置から型間に挿入し、クランプ2まで加熱面を
前進させ絵付フィルムに対向させる。そして、非接触加
熱で輻射熱を用いて絵付フィルムを130℃に加熱す
る。その後、熱盤で加熱をしながらキャビティに設けた
真空溝(通気孔)より真空引きをする。絵付フィルムは
キャビティの形状に成形され、キャビティ面に密着状態
となる。その後、熱盤を型間から退避させ、型を閉じて
型締めし、樹脂(耐熱ABS又ABS)を射出成形し
て、冷却、固化後、型開きし、絵付フィルムが一体化さ
れた成形品を取り出した。なお、ここで、型としては、
鉄製のものを用い、型内部に埋設した管に熱水、及び冷
水を流して型温度を所定値に制御できる方式とした。型
温度は型内に埋設した熱電対で確認した。
【0030】以上の射出成形時の型温度、射出樹脂温度
と、ガラス転移温度の関係を次の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】(性能評価)絵付フィルムに発生する表面
凹凸について、前記した樹脂フィルムの厚みの異なる絵
付フィルムF1及びF2を、上記射出条件a)〜c)で
それぞれ雌型(型B)のキャビティ面への真空成形直後
と、更に射出成形まで終了後について評価した。評価は
絵付フィルムの表面の100cm2 の面積内に目視観察
で視認てきる凹部の個数を、5個の試験片の平均値で評
価した。結果は表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表1及び表2から分かるように、実施例で
は真空成形直後には表面凹凸は認められるが、射出成形
後には殆ど消失している事が認められる。しかし、同じ
樹脂フィルム厚(125μm)でも、TgとTmとTr
との関係が本発明が規定する特定関係から外れる比較例
1及び比較例2では、射出成形直後でもさほど消失して
いない。なお、樹脂フィルムを1000μmと厚くした
比較例3〜5は、真空成形直後から全く無いか(比較例
4及び5)僅かであり(比較例3)、僅かに有る比較例
3でも射出成形後には改善されている。しかし、絵付フ
ィルムの厚みが厚ければ、前述の如く、経済的実用的、
高速印刷性に難点があり、また絵付フィルムをロール化
することが難しくなり取扱も悪い。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、実用的な厚み範囲の絵
付フィルムを利用して、絵付フィルム真空成形時に発生
する表面凹凸を最終的に少なくして、優れた表面鏡面光
沢感、高級塗装感、表面平滑性等を有する射出成形同時
絵付け成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の射出成形同時絵付け方法の一形態によ
る手順の概念的説明図(その1:絵付フィルム供給
前)。
【図2】同じく、手順の概念的説明図(その2:絵付フ
ィルム供給後)。
【図3】同じく、手順の概念的説明図(その3:絵付フ
ィルム加熱中)。
【図4】同じく、手順の概念的説明図(その4:絵付フ
ィルム真空成形、型締後)。
【符号の説明】
2 クランプ(シート固定手段) 3 キャビティ面 7 チャック(シート把持搬送手段) 8 チャック(シート把持手段) 10 熱盤 13 受け溝 14 受け溝 20 加熱線条(切断手段) A 型(雄型) B 型(雌型) F 絵付フィルム R ロール

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱軟化させて真空成形した絵付フィル
    ムを、型のキャビティ面に密着させた状態とした後、型
    を型締めし、型締め後の型で形成されるキャビティに加
    熱熔融した樹脂を射出し、冷却、固化させて、成形と同
    時に絵付フィルムを成形品表面に積層して絵付けする、
    射出成形同時絵付け成形品の製造方法において、 前記絵付フィルムは少なくとも樹脂フィルムからなり、
    該樹脂フィルムは熱可塑性樹脂からなる厚みが30〜2
    00μmのフィルムであって、且つ樹脂フィルムのガラ
    ス転移温度Tgと射出成形に用いる型の温度Tmとを、
    Tg≦Tm+50〔℃〕の関係とし、且つ射出樹脂温度
    Trと前記ガラス転移温度Tgとを、Tr≧Tg+13
    0〔℃〕の関係とした、射出成形同時絵付け成形品の製
    造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002210907A (ja) * 2001-01-19 2002-07-31 Dainippon Printing Co Ltd 加飾シート、及び射出成形同時加飾方法
JP2002292679A (ja) * 2001-03-29 2002-10-09 Nissha Printing Co Ltd 深絞り可能な加飾用フィルム
KR101832871B1 (ko) * 2017-12-14 2018-02-27 신중영 폴리우레탄 로고 라벨 제조 방법

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