JPH10277062A - 歯科用磁性アタッチメント及びその製造方法 - Google Patents

歯科用磁性アタッチメント及びその製造方法

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JPH10277062A
JPH10277062A JP8980297A JP8980297A JPH10277062A JP H10277062 A JPH10277062 A JP H10277062A JP 8980297 A JP8980297 A JP 8980297A JP 8980297 A JP8980297 A JP 8980297A JP H10277062 A JPH10277062 A JP H10277062A
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JP
Japan
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magnetic
cup
shaped yoke
yoke
stainless steel
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JP8980297A
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English (en)
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Tadashi Furuya
匡 古谷
Hiroya Suzuki
弘也 鈴木
Morimichi Tanaka
守通 田中
Kazumi Noguchi
一美 野口
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯科用磁性アタッチメントの小型化と高性能
化を図る。 【解決手段】 フェライト系ステンレス鋼のカップ型ヨ
ークの内部に永久磁石を収納し、ディスク型ヨークで溶
接密封する磁石構造体において、従来の方法では溶接部
が磁性を帯びてしまうため、700〜1100℃の熱処
理を施すことによって金属組織を50%以上のオーステ
ナイトにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用医療分野に
おいて義歯の固定に使用される磁性アタッチメントに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】歯科用磁性アタッチメントは、永久磁石
の発生する磁気吸引力を利用して着脱自在の機能を付与
した義歯に使用するものであり、義歯を一体的に固定化
した磁石構造体と歯根側に配置した軟磁性材からなるキ
ーパーが基本構成要素である。このうち磁石構造体は、
一方に開口部を有する軟磁性材のケース内に永久磁石を
収納しディスク型ヨーク部材で密封した構造をとる。機
能上、永久磁石から発生する磁束をケースはキーパー側
に導き、磁石構造体とキーパー間に磁気吸引力を生じさ
せる構成である。従来、各種の形式の磁性アタッチメン
トが検討されてきた。(木内ほか「閉磁路型磁性アタッ
チメントの吸引力解析」電気学会研究資料SA-84--10(19
84))その主な形式を挙げればカップヨーク型、スプリ
ットポール型あるいはサンドイッチ型等があり、本発明
は永久磁石を内部に密閉して永久磁石自体が外部に露出
しないカップヨーク型を対象にするものである。
【0003】図1に歯科用磁性アタッチメントの概略断
面を示す。義歯3をレジン4に固定すると共に、中央底
部に磁石構造体1を埋め込んだ構成である。一方、歯根
6に根面板5を介してキーパー2が固定される。この磁
性アタッチメントを装着する場合、磁石構造体1とキー
パー2間に矢印で示す磁気吸引力の作用により固着させ
る。反対に外す場合はこの磁気吸引力に打ち勝つ外力を
加えることになる。歯科用磁性アタッチメントは現在広
く使用されているが、アタッチメントの小型化、装着時
の安定性を保証する所要の磁気吸引力の確保等が最低限
必要であり、今後使い易さは当然として小型軽量のアタ
ッチメントの開発要請は益々強くなる。
【0004】
【発明が解決しようとしている課題】さて、図2に磁石
構造体1の断面構成を示す。磁性材からなるカップ型ヨ
ーク7の内部に永久磁石8が収納され、ディスク型ヨー
ク11とその周辺に非磁性ギャップ材9を配して溶接封
止される。図中のカップ型ヨーク7及びディスク型ヨー
ク11は、フェライト系ステンレス鋼が使用され、非磁
性ギャップを形成するシールドリング9はオーステナイ
ト系ステンレス鋼が用いられる。このように構成されて
いるため、永久磁石8は図中縦方向に着磁されると、永
久磁石8が発生する磁束はカップ型ヨーク7の上部中央
から周辺部を通過し、シールドリング9部付近から外部
に漏洩して、再度ディスク型ヨーク11を経由して永久
磁石8に戻ることになる。上述したような磁気回路であ
るので、カップヨーク型7とほぼ同一形状寸法の軟磁性
体からなるキーパー2を磁石構造体1の底面側に配置す
れば、磁石構造体1とキーパー2間に磁気吸引力が作用
することになる。
【0005】さらに、歯科用磁性アタッチメントは使用
時には周囲が唾液で充満されるため、カップ型ヨーク7
内に唾液の進入する恐れがあるため、唾液等の進入を防
ぎ安全衛生上溶接封止する配慮を行っている。レーザ溶
接などを用いて溶接を行うが、この時ビート10、即ち
互いの材料がとけ込んだ溶接部が、磁性を帯びることに
なってしまう。
【0006】非磁性のオーステナイト系ステンレス鋼と
強磁性のフェライト系ステンレス鋼を突き合わせて溶接
した場合、ビートの化学成分はこれら中間の組成とな
り、ビートはフェライトとオーステナイトの2相混合組
織となるはずである。しかし、溶接の場合には急熱して
一旦液体状態になり、その後に液体から急冷して凝固し
た場合は、初晶と呼ばれる液体から固体に変化した直後
の結晶構造が室温までもたらされる。この初晶がフェラ
イト組織であるため、ビートは磁性を持った状態、即ち
磁性体に変化してしまうことである。
【0007】磁性アタッチメントの磁気吸引力を増大さ
せるためには、磁気回路を設計する際に非磁性ギャップ
材によるギャップ幅を出来る限り小さくするように配慮
しているが、上述したようにビートによる部分が磁気的
に短絡回路を形成してしまい、磁気吸引力の大幅な低下
を招いてしまう。(奥野ほか「カップヨーク型磁性アタ
ッチメントにおけるシールドリングの改良について」日
本磁気歯科学会雑誌第2巻第1号(1993)) ビートを小さくしすぎると封止手段としての溶接の信頼
性が低下してしまう。これを解決する方法として、特開
平7−320239号公報にはニッケル等のようにその
ままでは強磁性体であっても、溶接後の非磁性となるよ
うな部材を予め介在させておく方法が開示されている。
しかしながら、この方法では溶接時に十分な量のニッケ
ルを溶き込ませないと、ビートを非磁性にできない。ま
た、逆に介在させるニッケル量が多すぎると、溶接部に
溶け込まなかったニッケルが残存して、強磁性であるニ
ッケルの存在により磁気回路の短絡回路を形成してしま
う。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記した従
来技術の課題を解決するために試行錯誤を繰り返した結
果、オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステ
ンレス鋼の溶接によって発生した強磁性体のビートを熱
処理を施すことにより非磁性体化する方法を想到したも
のである。磁石構造体とキーパーを組み合わせて磁気回
路を形成するとき、磁束がビートを通過せずにキーパー
を通過させるには、ビートの磁性がキーパーの軟磁性特
性より十分低いことが必要であり、そのためにはビート
の金属組織に占める非磁性のオーステナイトの割合が5
0%以上であることが必要である。表1に熱処理温度と
オーステナイト量および磁気吸引力の関係を示す。
【0009】
【表1】 フェライトとオーステナイトが混在した成分のステンレ
ス鋼において、非磁性のオーステナイトが得られる温度
は融点と室温の中間温度範囲であり、1200℃を越え
ると非磁性のオーステナイトが減少し強磁性のデルタ・
フェライトが増加する。しかしながら、表1に示したよ
うに1100℃以上では本発明に用いた希土類系永久磁
石の結晶粒が粗大化し、結果として磁気吸引力の低下を
招く。逆に、700℃より低い温度ではやはり非磁性の
オーステナイトが減少し、強磁性のアルファ・フェライ
トが増加することになる。
【0010】従って、本発明はフェライト系ステンレス
鋼からなるカップ型ヨーク内部に永久磁石を収納し、フ
ェライト系ステンレス鋼からなるディスク型ヨークで蓋
をし、オーステナイト系ステンレス鋼で溶接により密封
した後に熱処理を施した磁石構造体を、軟磁性材料から
なるキーパーと対向させ、磁石構造体とキーパーとの磁
気吸引力により義歯を固定するように構成した歯科用磁
性アタッチメントである。更に付け加えると、磁石構造
体の溶接部が50%以上のオーステナイトを含む金属組
織であることが特徴である。
【0011】
【発明の実施形態】本発明の具体的な実施例について詳
述する。図2に示す磁石構造体を以下の寸法と材料で試
作した。磁石構造体の外径は4.5mm、高さ1.3mm、
カップ型ヨークおよびディスク型ヨークの材質をSUS
447J1,シールドリングの材質をSUS316Lと
した。永久磁石は直径3.5mm、厚さ0.5mmのNd−
Fe−Bの希土類磁石を使用した。
【0012】カップ型ヨークとシールドリングはレーザ
ー溶接し、熱処理を行った後吸着面を仕上げ加工を施し
て磁気吸引力の測定を行った。熱処理は不活性雰囲気中
で各温度おいて1時間保持した後、更に480℃で1時
間の熱処理を行った。480℃の熱処理は内部の永久磁
石のための熱処理であり、本発明に関わる溶接部の金属
組織はこの熱処理により変化しないことは確認してあ
る。磁気吸引力測定のために磁石構造体と組み合わせる
キーパーは、材質をステンレス鋼SUS447J1と
し、外径4.5mm、厚さ0.8mmのものを使用した。そ
の結果を表1に示す。図2の溶接部10の金属組織を観
察すると、熱処理温度によってオーステナイト量が変化
し、700〜1000℃の間で最大となり、それに従っ
て磁気吸引力も増大することが分かる。
【0013】
【発明の効果】以上、本発明の詳しい説明から明らかな
ように、本発明のよって歯科用磁性アタッチメントの磁
石構造体の小型化及び高性能化を図ることが可能とな
り、同時に性能のばらつきの小さい磁性アタッチメント
を容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯科用磁性アタッチメントの断面図
【図2】本発明による磁石構造体の断面図
【符号の説明】
1 磁石構造体、2 キーパー、3 義歯、4 レジ
ン、5 根面板、6 歯根、7 カップ型ヨーク、8
永久磁石、9 シールドリング、10 ビート(溶接
部)、11 ディスク型ヨーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 一美 埼玉県熊谷市三ケ尻5200番地日立金属株式 会社熊谷工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方に開口部を有するフェライト系ステ
    ンレス鋼のカップ型ヨークと、カップ型ヨーク内部に収
    納される永久磁石と、カップ型ヨーク開口部を密封する
    フェライト系ステンレス鋼のディスク型ヨーク部材とか
    らなり、カップ型ヨークとシール部材の突き合わせ部が
    溶接により固定される磁石構造体と、軟磁性材からなる
    キーパーとから構成される歯科用磁性アタッチメントで
    あって、前記磁石構造体の溶接部が50%以上のオース
    テイナイトを含む金属組織であることを特徴とする歯科
    用磁性アタッチメント。
  2. 【請求項2】 一方に開口部を有するフェライト系ステ
    ンレス鋼のカップ型ヨークと、カップ型ヨーク内部に収
    納される永久磁石と、カップ型ヨーク開口部を密封する
    フェライト系ステンレス鋼のシール部材とからなり、カ
    ップ型ヨークとシール部材の突き合わせ部が溶接により
    固定される磁石構造体と、磁性材からなるキーパーとか
    ら構成される歯科用磁性アタッチメントの製造方法であ
    って、前記カップ型ヨークとシール部材を溶接した後に
    700〜1100℃の温度範囲で熱処理をすることを特
    徴とする歯科用磁性アタッチメントの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002143188A (ja) * 2000-11-15 2002-05-21 Gc Corp 磁力吸着式口腔内歯科補綴物用構造体の作製方法
CN103860280A (zh) * 2012-12-11 2014-06-18 中国科学院金属研究所 一种义齿磁性固位体

Cited By (3)

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JP2002143188A (ja) * 2000-11-15 2002-05-21 Gc Corp 磁力吸着式口腔内歯科補綴物用構造体の作製方法
JP4536245B2 (ja) * 2000-11-15 2010-09-01 株式会社ジーシー 磁力吸着式口腔内歯科補綴物用構造体の作製方法
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