JP3282141B2 - 義歯アタッチメントおよび義歯アタッチメント用キーパー - Google Patents

義歯アタッチメントおよび義歯アタッチメント用キーパー

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、限られた義歯床内にお
いて必要な磁気吸引力を確保できる小型の磁気アタッチ
メントの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気吸引力を利用した義歯アタッ
チメントとしては、例えば図7〜図8に示されたものが
提案されている(特開平4ー227253号公報)。図
8に示すように歯根部6に埋設した根面板5が埋設さ
れ、更に、この中にキーパー9が埋めこまれている。義
歯80は該キーパー9と対向するように義歯アタッチメ
ント8を有し、それを包むレジン床3及びホウロウ質の
人工歯4からなる。
【0003】上記義歯アタッチメント8は、図8に示す
ようにキーパーと当接する吸着面に対し磁束が交差する
方向に着磁された円柱状の永久磁石81を、耐蝕性磁性
材料からなる凹形ケース82に収納し、円柱状永久磁石
に対して同心的に配置された耐蝕性非磁性シールドリン
グ83と耐蝕性金属シール板84とを凹形ケースの内側
に装着して永久磁石が露出しないようにケース上部を覆
い、ケース82およびシールリング83ならびにシール
円板84各部材の突合わせ部をシーム溶接している。な
おシールドリング部83と金属シール板84をあわせて
シールプレートと呼んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図7に示す従
来の義歯アタッチメント8は、それを義歯床中のレジン
床3の中に安定して埋設できるようにするため、該義歯
アタッチメント8の右上端部近傍のレジン床は、舌側に
張り出している(膨出部31)ために異物感を感じて使
用時に不快感がある.また、その膨出部を少なくしよう
とすると義歯床中のレジン床部が薄くなって義歯アタッ
チメントの上端部である金属の鋭角部から破損しやすい
という強度上の問題点があり解決が求められていた。こ
のような歯科の義歯床においては、0.1mmから0.
5mm程度の小さい寸法の小型化は義歯の性能、使用
上、施行上に大いに役立つことであった。また、できる
だけいろいろな種類の歯に適応するために吸引力の向上
がのぞまれていた。すなわち上記義歯アタッチメント8
は、上述のように限られた小さな義歯床の中に埋設され
キーパー9と対面配置して使用されるものであるために
できるだけ小型で、かつ強力な吸引力を有するものであ
ることが望まれていた。また、同一サイズで吸引力を上
げる構造を、いいかえれば、同じ吸引力でもっともコン
パクトな構造がのぞまれていた。更に、義歯床の中のレ
ジン床からの義歯アタッチメントの脱落が問題となって
いた。以上のように本義歯アタッチメントには、小型で
レジン床の強度を確保し、使用上の快適性を持ち、強力
な吸引力と、レジン床からの脱落防止の両立が求められ
ていた。
【0005】 この解決手段として、特開平6−1699
号公報においては永久磁石とケースとシール板と
からなる磁石構造体の直径および厚みの寸法を低減する
ことにより小型化できることを開示している。すなわ
ち、臼歯部の場合として根面部材と対号歯との垂直的な
空隙および平行的な空隙(歯径部の最小距離)に注目し
て最適設計をすることにより前記磁石構造体および永
久磁石の直径および厚みを定めている。
【0006】しかしながら上記開示は臼歯部を例にして
の小型化の方法として直径と厚みの寸法の最適化したも
のであるため、臼歯に限らない他の歯の種類や歯の大き
さに対しては十分とは言いがたい。また吸引力自体も義
歯アタッチメント1つあたり250g〜500gと弱
い。これは、義歯アタッチメントを装着できる歯が少な
い場合、若しくは装着する歯がもともと弱い場合、あま
り強い吸引力では、支台歯を傷めることを考慮した場合
であって、義歯アタッチメントの適応例の主流ではな
く、このような吸引力では、通常の場合でも不十分であ
り、奥歯に至っては更に不十分である。
【0007】実開平6ー86713号報においては、図
5に示すように、永久磁石とケースとシール板とからな
る磁石構造体の該ケースの外周にテーパー部をつけるこ
とにより、磁気的吸引力を減少させることなく、義歯床
のレジン床からの脱落防止のための抱持力を増大をはか
っている。しかしながら、上記開示は、脱落防止の効果
は十分あるものの、磁気吸引力の向上は無く、該義歯ア
タッチメント8の右上端部近傍のレジン床部の強度上の
問題、使用上の不快感は解決されていない。
【0008】本発明は、義歯床内に義歯アタッチメント
が埋設される状態を研究し、かつ義歯アタッチメントに
求められている吸引力発生のための磁気回路と漏洩磁束
について鋭意研究した結果、義歯アタッチメントのヨー
ク及び磁石及び非磁性シール部等の形状を変えることに
より、従来以上の磁気吸引力を得つつ、義歯アタッチメ
ントの義歯床の強度、使用の快適性を有し、脱落防止す
る小型の義歯アタッチメントを提供することができるこ
とを見出したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、磁気吸引力
の向上のための各部材の形状構成と義歯床中のレジン床
における義歯アタッチメントのキーパーと対面しない上
端部(肩部)近傍のレジン強度に影響をおよぼす各部材
の形状構成の両者を鑑み、ヨークの肩部を削除すること
と、肩部からキーパー方向へヨーク厚さを減少させるこ
とによる磁気回路上の磁束密度への影響を検討した結
果、肩部寸法の減少により義歯床の強度向上、使用の快
適性を達成し、磁気吸引力の向上し、かつ、レジン床か
らの義歯アタッチメントの脱落防止効果を得ることを見
出して本発明に至った。
【0010】請求項1の構成は、歯根部に設けたキーパ
ーと対向するように義歯床に埋設され、キーパーと当接
する吸着面に対し磁束が交差する方向にNーS極を持つ
磁石体と、開口端面側がキーパーとの吸着端となり、磁
石体を略同一に収納する軟磁性材料よりなるヨークを有
する、上記キーパーに対して磁気吸引力により吸着する
義歯アタッチメントにおいて、該ヨークが、上記キーパ
ーと当接しない上端部に、外方向に下降する傾斜面を有
し、さらに連続して、該ヨークの開口端面の方向へ、内
方向に下降する傾斜面を有することを特徴とする外周が
略たいこ状である義歯アタッチメントである。
【0011】本発明において使用する磁石は、単位体積
当たり起磁力の強い磁石であり、SmCo系、Nd
FeB系をはじめとする高エネルギー積をもつ希土
類磁石がよいその形状は、円柱からなりキーパー
と当接する吸着面に対し磁束が交差する方向にNS極
又はSN極が伸びている。
【0012】磁石を収納する耐蝕性軟磁性材料からなる
開口部を有するヨークは、口腔内での使用上の問題を発
生させないよう必要な耐蝕性を有し、かつ磁石からの磁
束を伝える磁気回路を形成するために優れた磁気特性を
有するとともに、磁石が供給する総磁束を漏洩させない
だけの適切な厚さが必要である。該ヨークに使用される
材料には、18Cr系ステンレス鋼、17Crー2M
o、19Crー2Mo系ステンレス鋼などの耐蝕性軟磁
性材料が好ましい。その材料の厚さは、使用する磁石材
料及び、形状によって異なるなるが、材料の最大エネル
ギー積が大きい程、ヨーク材料の厚さは厚く、磁石形状
のNーS方向の厚みが厚い程、ヨーク材料の厚さも厚く
という対応が望ましい。
【0013】そして、開口部を有するヨークの形状とし
て、上記キーパーと当接しない上端部(肩部)に、外方
向に下降する傾斜面を有し、さらに連続して、該ヨーク
の開口端部の方向へ、内方向に下降する傾斜面(テーパ
ー部)を有する。ここで、本発明の傾斜面とは、直線上
の傾斜面、直線の両端部を滑らかに丸みを持たせた傾斜
面、全体に丸みを持つ滑らかな傾斜面、及び、R面等を
含む傾斜面のことである。磁気吸引力の面からみると、
肩部に傾斜面を有することにより、磁石からの磁束を漏
洩させること無く、キーパー方向へ磁束を運び、さら
に、テーパー部を有することにより、磁束を絞ることに
より、キーパー吸着面における磁束密度をヨーク材料の
飽和磁束密度レベルに上げることにより磁気吸引力を向
上することができる。なお、磁気吸引力は吸着面におけ
る、磁束密度の二乗と断面積の積に比例するので、絞る
ことの断面積の減少より、磁束密度の向上が有効である
ことを利用して磁気吸引力の向上を実現できた。
【0014】次に上記キーパーと当接しない上端部(肩
部)に、外方向に下降する傾斜面を有すことにより、従
来の義歯アタッチメント上端部の鋭角突起部を無くし、
応力集中を緩和し、肩方向を小型化することによりレジ
ン床の厚みを増すことにより、該義歯アタッチメント8
の右上端部近傍のレジン床の強度を確保し、使用上の快
適性を持たせることができた。また、開口部を有するヨ
ークのテーパー部は、義歯床中のレジン床に埋設した義
歯アタッチメントの脱落を防止することができた。
【0015】請求項2の構成は、請求項1において、上
記ヨークの上端部(肩部)における外方向に下降する傾
斜面は、非傾斜部(キーパーに対し磁石を挟んで背向す
る背向部)の厚さに対し、同一もしくはそれ以上の厚さ
あることを特徴とする義歯アタッチメントである。磁
気吸引力の向上には、本構成のように、ヨーク肩部の傾
斜面は、ヨークの非傾斜部の厚さに同一もしくは、それ
以上の厚さであるのが好ましい。このようにヨーク厚さ
を同一、または、それ以上の厚さで、キーパーに当接す
る下端部方向に磁気回路を曲げることにより、磁気飽和
を防ぎ、磁気抵抗の増大を防ぎ、漏洩磁束を防ぎ、磁束
をスムーズに流すことにより、磁石のエネルギーを漏ら
さず、磁束を保存することができる。ヨーク肩部の傾斜
面とヨークの非傾斜部(キーパーと背向する背向面)と
のつなぎ目と、ヨーク肩部の傾斜面とヨークのテーパ部
とのつなぎ目は、なめらかな曲面形状にするのが好ま
しい。
【0016】請求項3の構成は、請求項1もしくは請求
項2において、上記磁石体は、少なくとも上記キーパー
背向する上端部(肩部)に、対向する上記ヨークの隅
部の内面と近接または当接して外方向に下降する傾斜面
を有し、該磁石体の側周面は該ヨークの内周面に密着
ることを特徴とする義歯アタッチメントである。義歯ア
タッチメントの設置スペースが、歯の種類及び歯の状況
によりさらに厳しく、義歯アタッチメントの高さに制限
がある場合に、逆凹ヨークのキーパーと対向しない上部
平行部(背向部)のヨーク厚さを、磁石から供給される
磁束を漏洩させない程度に設定できない場合がある。こ
のような場合に、本構成のように、磁石体上端部(肩
部)の上部におけるヨークの磁気回路断面に過度に集中
する磁束による漏洩磁束を、磁石体上端部の肩を落と
て磁石体肩部での磁極位置を下げることによりヨークの
磁気回路断面積を拡げて防止することができる。すなわ
ち、磁気回路断面積を拡げ、飽和を防ぎ、なめらかな磁
気回路を形成することにより、磁気の流れがスムーズに
なり、肩部のヨークも厚くなるので、ヨークの肩部での
磁束の漏洩をなくすことにより大きな磁気吸引力の向上
が期待できる。この場合、磁石加工の難易度が上がる
が、義歯アタッチメントの収容スペースが限られる場合
に特に有効である。0.1〜0.3R程度の曲率半径
らば加工も容易にでき磁気吸引力の向上も得られる。ま
た、磁石体の上端部のみでなく下端部にも傾斜部をもう
けてもよい。さらに、磁石体の側周面がヨークの内周面
に隙間なく密着しているので、磁石体の肩部にRや面取
りがなく磁石体の側周面とヨークの内周面との間に隙間
が形成されている従来の義歯アタッチメントに比べ、本
構成では磁石断面積が増え、磁束量が増加することによ
り磁気吸引力が向上する。
【0017】請求項4の構成は、請求項1、請求項2も
しくは請求項3において、該ヨーク開口端面内面、及
び、該磁石体と当接し、前記キーパーと磁気的に吸着す
る吸着面となるシールプレートを持ち、該シールプレー
トはその外周リング部を形成する非磁性シールドリング
部、および、それと内接する軟磁性シールド部とからな
り、前記非磁性シールドリング部外周部と該磁石体と
は、該磁石体のキーパーとの対向面における外周縁部近
傍にて当接し、該磁石体外周縁近傍部からキーパー方向
へ向かって、該シールドリング部の外周面は外側に下降
する傾斜面、該シールドリング部の内周面は内側に下降
する傾斜面を持つことを特徴とする義歯アタッチメン
ある。
【0018】磁石体を収納する開口部を有するヨークの
該開口部から前記磁石体が露出しないように覆うための
耐蝕性磁性材料からなる前記軟磁性シールド部は、ヨー
クと同一の耐蝕性軟磁性材料からなる。この軟磁性シー
ルド部はヨークに比べて薄くすることが好ましい。薄く
することにより磁石体の高さをより大きくすることがで
き、磁石のもつエネルギーが多くなり、より大きな磁気
吸引力を発生させることができるからである。また、シ
ールド部を薄くしても磁気回路上の問題もなく、吸引力
を維持できる。耐蝕性のある強力磁石が出現すれば、こ
の構造は必須ではない。
【0019】磁石体を収納する開口部を有するヨーク
該開口部から前記磁石体が露出しないように覆うための
耐蝕性磁性材料からなるシールドリング部は、非磁性材
料からなる。前記のごとくすることにより、ヨークとシ
ールド部との間の磁気回路を遮断することができる。非
性シールドリング部は磁気回路上、図9(A)に示す
点線ごとく、磁石体11から出る左右の磁束を円周状
に滑らかに回す機能をもち、一点鎖線のようにキーパー
2側へ到達しない非有効磁束をなくす機能をもつ。この
作用により、本発明義歯アタッチメント1とキーパー
2との間に強力な磁気吸引力が発生する。本構成は更
に、図9(A)のごとく非磁性シールドリング部13を
略台形形状にテーパーを持たせ、ヨーク12とキーパー
2との吸着部123、及び、軟磁性シールド部14とキ
ーパー2との吸着部124の断面積を減少させ、磁気回
路の断面積を絞ることにより、更に磁束密度を向上さ
せ、磁気吸引力を向上させるものである。耐蝕性を有す
る非磁性材料として代表的なステンレス鋼SUS316
Lなどが使用できる。また、この非磁性シールドリング
部はレーザー改質によっても形成可能である
【0020】以上の構成からなる義歯アタッチメントの
製造方法は、肩部に外方向に下降する傾斜面を有し、さ
らに連続して、該ヨークの開口端部の方向へ、内方向に
下降する傾斜面を有するヨークの開口部を上にして、ヨ
ーク内面と磁石体の外面が略同一に収納されるように入
れ、軟磁性シールド部と非磁性シールドリング部を持つ
シールプレートでもって蓋をして、これらの部品の付け
合わせ部をレーザー溶接もしくは電子ビーム溶接にて密
閉構造とした義歯アタッチメントとする。
【0021】請求項5の構成は、歯根部に設けた耐蝕性
磁性材料からなるキーパーにおいて、義歯アタッチメン
トとの当接しない下端部に、外方向に上昇する傾斜面を
有する、かつ、下端面に凹部を持つことを特徴とする義
歯アタッチメント用キーパーである。ここでは、本構成
による臼歯用の人工歯の強度の改善に対する、本発明キ
ーパーの優位性について図12(A)、(B)を用いて
しめす。図12(A)に示すように臼歯に対して従来の
キーパー9を埋設しようとすると、歯根部の状態より、
根面板5の位置、ひいては根面板5上の凸部51の形状
及び位置は変えることができないため、根面板5の表面
位置、つまり、義歯アタッチメント8との吸着面の位置
は、図12(A)のごとく、キーパー9の厚みより低く
下げることはできなかった。そのため、人工歯4の窪み
の下の部分421及び、人工歯4の義歯アタッチメント
8の上端部近傍部422が薄く人工歯の強度が不足する
という問題点があった。本構成は、磁気吸着時の磁束分
布及び、根面板5とキーパー9を鋳接時の湯流れの良さ
を考慮して、キーパー9の位置を下げることを狙ったも
のである。まず、図12(B)に示すように本発明のキ
ーパー2の義歯アタッチメント8との対面しない下端部
に、外方向に上昇する傾斜面21を有することにより、
鋳接時の湯流れを確保した。またキーパー2の傾斜部2
1は、磁束が殆ど薄い部分であり、これによる磁気吸引
力の低下はほとんど無い。さらにここがポイントである
が、キーパー2の下端面に凹部22を持たせることによ
り、図12(B)に示すように根面板5の凸部51にそ
って、キーパー位置を下げることができ、引いては、根
面板5の位置、義歯アタッチメント8の位置を下げるこ
とができる。これにより人工歯4の窪みの下の厚みの薄
い部分421及び、人工歯4の義歯アタッチメント8の
上端部近傍部の厚みの薄い部分422が厚くなることに
より、人工歯4の強度が増すという効果が得られる。こ
のとき、キーパー2の中央部は、磁束密度が薄くなって
いるので、薄くしても吸引力への影響は殆ど無い。多少
の吸引力を犠牲にしても良い場合は、図9(B)に示す
ようにキーパー2の中央部に貫通した穴23をあけても
よい。また、磁気回路の断面積を絞って磁束密度を向上
させ磁気吸引力を上昇させたい場合は図9(B)に示す
ように、キーパー2の義歯アタッチメント1の非磁性シ
ールドリング部13に対面する所に凹部23をリング状
に設けてもよい。本発明によって、義歯アタッチメント
の形状を変化させなくても、該義歯アタッチメントの右
上端部近傍の人工歯の強度を確保する効果があり、両者
を同時に行えば、より大きな効果がえられる。
【0022】ここで、本発明において、ヨークの開口部
から前記磁石体が露出しないように覆うための耐蝕性磁
性材料からなる軟磁性シールド部および非磁性シールド
リング部を製造するための製造方法の具体例を述べる
と、軟磁性シールド部用の耐蝕性軟磁性材料からなる丸
棒を用意し、その外面に耐蝕性軟磁性材料上に、少なく
ともNi、Mnのうち一種以上を材料の薄膜を形成す
る。ここで、薄膜の剥離が問題となる材料については、
高温で熱処理することによる拡散処理を行い薄膜の密着
性を向上する。これの薄膜付き丸棒を切断加工する。な
おこれによってできたシールド部材をヨーク逆凹部の開
口部から前記磁石体が露出しないように覆い、レーザー
溶融により冶金反応により合金化し、その溶融部を非磁
性材料性シールド部に改質することができる。なお本製
造方法は、本発明の構造のみに適応するものではなく、
耐蝕性を有さない磁性材料をシールし、しかも、軟磁
性、非磁性を変換して磁気回路を形成する用途ならば適
応可能である。
【0023】
【効果】本発明の義歯アタッチメントにおいては、開口
部を持つヨークの肩部に傾斜部を設けることにより、従
来の義歯アタッチメント上端部(肩部)の鋭角突起部を
無くし応力集中を緩和し、肩方向に小型化することによ
りレジン床の強度を確保し、使用上の快適性を持ち、さ
らに開口部を持つヨークの肩部に外部への傾斜部を持た
せ、それに連続して内側へ下降する傾斜部を設けるこ
と、及び、非磁性シールド部の形状を台形形状にテーパ
ーを設けることにより、全磁気回路で磁束を漏洩させる
ことなく、キーパー対向面で磁束密度を増大させること
により、磁気吸引力を従来構造より向上することができ
る。また、上記開口部を持つヨークの肩部に外側への傾
斜部を持たせ、更に連続して設置された内側へ下降する
傾斜部により義歯床のレジン床から脱落を防止すること
ができ、長期にわたって使用することができる。
【0023】
【発明を実施するための形態】以下に本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。 実施形態例1。 図1は、本発明の義歯アタッチメント1において前記ヨ
ーク12は、前記キーパーと当接しない上端部に、外方
向に下降する丸みのある傾斜面121を有し、さらに連
続して、該ヨークの開口端面123の方向へ、内方向に
下降する傾斜面122を有し、磁石上端部に滑らかな傾
斜面111を持ち、非磁性シールドリング部に傾斜部1
31、132を持つ例を示す図である。なお義歯アタッ
チメント1の各部位の寸法の定義は、図10(A)に示
した。最大エネルギー積(BH)max=42MGOe
のNdーFeーB磁石11を直径DM=3.5mm、高
さHM=0.6mm、磁石上端部111のRは0.2R
に加工し、上部にN極、下部にS極となるように着磁し
た。この磁石11を、飽和磁束密度Bs=1.7T(テ
スラ)の17Cr鋼からなり上部外径D1=3.5m
m、最大外径D2=4.4mm、下部外径DS1=4.
0mm、キーパー当接面の絞り部の内径DS2=3.2
mm、最大高さH1=1.3mm、肩部高さH2=0.
8mmである開口部からなるヨーク12において、前記
キーパー5と当接しない上端部に、外方向に下降する傾
斜面121を有し、さらに連続して、該ヨークの開口端
面の方向へ、内方向に下降する傾斜面122を有するヨ
ーク12に挿入した。なお、ヨーク12の上部外径D1
と最大外径D2と下部外径DS1、及び、キーパー対向
面の絞り部内径DS2とは同心円である。
【0024】その後、上記ヨーク12と同質材からなる
最小直径D3=2.8mm、最大外径D4=2.9m
m、高さH3=0.1mmの軟磁性シールド部14と透
磁率μ=1.02のFeーCrーNi合金(SUS31
6Lステンレス鋼相当)からなるヨーク12と軟磁性シ
ールド部14で囲まれた部分である非磁性材シールドリ
ング部13と一体のシールプレート15をヨーク12の
開口部に当接する。
【0025】実際の製造において、シールプレート15
とヨーク12の突合部の接合と非磁性シールドリング部
13と軟磁性シールド部14の接合は、以下に示すレー
ザー改質により一工程で行った。まず、軟磁性シールド
部用のヨーク12と同質材からなる丸棒を用意し、その
外面に、少なくともNi膜を50ミクロン形成する。こ
こで、薄膜の剥離が問題となる材料については、高温で
熱処理することによる拡散処理を行い薄膜の密着性を向
上する。これの薄膜付き丸棒を切断加工する。これによ
ってできたシールド部材をヨーク12の開口部から前記
磁石体が露出しないように覆い、ヨーク12の開口部と
該薄膜付きシールド部材の当接させ、ほぼ薄膜中心に焦
点を合わせ、円周方向にそって、レーザー溶融により冶
金反応により合金化し、その溶融部を非磁性材シールド
部に改質することができる。そして、前記シールド部材
の非溶融部が軟磁性シールド部として形成されることに
なる。
【0026】ところで各実施例、比較例、従来例の評価
は以下の基準で行った。磁気的吸引力の測定は、上記ヨ
ーク12と同質材からなる直径4.0mm、高さ0.8
mmのキーパーを作製し、上記の作製した本発明の義歯
アタッチメント1に吸着させて、これを垂直に引き離す
力(磁気吸引力)を測定で行った。また、従来の義歯ア
タッチメント8の右上端部近傍のレジン床の寸法が薄い
ことと、義歯アタッチメントの上端部である金属の鋭角
部をもつことによる強度上の問題点の評価のために、義
歯アタッチメント1、8の上端部の丸みの有無とレジン
床からの義歯アタッチメント1、8の上端部の距離で評
価を試みた。ただし、レジン床からの義歯アタッチメン
ト1、8の上端部の距離は、歯の種類、状態によりこと
なるので、ここでは、従来の義歯アタッチメント8のキ
ーパー当接面の中心点からの義歯アタッチメントの上端
部までの距離(R値と呼ぶ)で評価することにした。本
発明のごとく、義歯アタッチメント1の上端部が落とさ
れているものは、図10(A)の寸法を定義した図に示
したように、義歯アタッチメント1の上端面の延長線と
義歯アタッチメント1の最大外径D2を通り上端面に垂
直にひいた線との交点である点A(仮想上端外挿部)と
義歯アタッチメント1のキーパー当接面の中心点である
点Bとをを結ぶ補助線(図中の点線)をひき、その線分
ABと、肩部121との交点である点Cを求め、線分B
Cの長さをR値とした。
【0027】脱落防止度については、義歯アタッチメン
ト1、8を義歯床から引き抜く際に要した引張力を、引
張試験器により測定した。上記義歯床への埋設は歯科用
レジン材料の義歯床中に、歯科用接着にて合着するこ
とにより行った。上記評価基準で、実施形態例1を評価
すると、磁気吸引力として680gfの吸引力が得られ
た。ヨーク12のキーパーと当接しない上端部(肩部)
においては、丸みを持ち、R値は2.2mmである。こ
こで本実施形態例の特有の効果を述べておくと、従来例
に比較して、磁石体11の上端部R状(もしくは滑ら
かな)傾斜部111とした場合、該傾斜部(肩部のR)
と対向するヨークの隅部の内面とを当接させ、さらに
石体11の側周面とヨークの凹部の内周面とを当接させ
ることが容易になる。というのは、通常、ヨークの内面
を機械加工すると、内周の部(傾斜部111と対向
相当)は完全にピン角に加工することは困難であ
り、できても加工コストがかかる。そのため通常該傾斜
部111と対向するヨーク12の内面は、略R状の形状
となっている。一方、従来例は磁石体81とヨーク82
の磁束の交差方向の当接面においての磁気抵抗となる隙
間を極力なくすため、前記の略R状部を嫌い、図4、5
にしめすように、磁石体81の側周面とヨーク82の
周面との間に、隙間を持たせている。本発明の如く、磁
石体11の上端部のR状(もしくは滑らかな)傾斜部1
11として、該傾斜部111と対向するヨーク12の
部の内面とを当接させ、磁石体11の側周面とヨーク1
の凹部の内周面とを当接させることにより、従来例と
比較し、磁石断面積が増え、磁束量が増加することによ
り磁気吸引力の向上を図ることができる。脱落防止度の
ための引張力は18kgfである。なお、磁石の下端部
においても、0.2mmRに加工した場合においては、
磁気吸引力として675gfとほぼ同等の値がえられ、
R値及び脱落防止度は同等である。 実施形態例2 実施形態例2は、実施形態例1においてヨーク12の材
料を、飽和磁束密度Bs=1.6T(テスラ)の19C
2MoTi鋼に変更したものである。その他の寸
法、材料は実施形態例1と比べ不変である。その結果、
磁気吸引力として630gfの吸引力が得られた。ヨー
ク12のキーパーと当接しない上端部においては、丸み
を持ち、R値は2.2mmである。また、脱落防止度
しての引張力は18kgfである。
【0028】実施形態例3.図2は、実施形態例1.に
おいて、磁石体の該キーパーと対向しない上端部におい
て、肩を曲面状に落とさないことを特徴とする例であ
る。実施例形態1との変更点は、磁石上端部111のR
を無くし、ピン角状態に加工した点である.その他の寸
法、材料は実施形態1と比べ不変である。その結果、磁
気吸引力は670gfの吸引力が得られた.ヨーク12
のキーパーと当接しない上端部においては、丸みを持
ち、R値は2.2mmである。脱落防止度のための引張
力は18kgfである。
【0029】実施形態例4. 図3は、実施形態例1.において、磁石上端部111に
おいて、肩を曲面状に大きく落とし、肩部のヨーク厚さ
をヨーク上部に比べ大きく取った場合の例である。実施
形態例1との変更点は、磁石上端部111のRを0.2
から0.6mmに変更した点と、ヨーク12の肩を大き
く落とし、肩部高さ0.8mmから0.6mm、上部
外径が3.5mmから2.7mmへ変更した点である。
その他の寸法、材料は実施形態1と比べて不変であ
る。その結果、磁気吸引力として685gfの吸引力が
得られた。ヨーク12のキーパーと背向する上端部(肩
部)においては、ヨーク12は丸みを持ち、R値は1.
9mmという大幅なサイズ減少をした。また、脱落防止
としての引張力は18kgfである。 ここで肩を大き
く落としたにもかかわらず、吸引力が向上するという大
きな効果が得られるのは、本構成により全磁気回路にお
いて磁束の漏洩殆ど抑えられた為であり、これにより
磁石を減らすことができという余効果もでた。
【0030】従来例 次に、以上の本発明に対してヨーク12の肩部及び側面
の形状を変えていない従来例について説明する。図4
は、従来より市場で使用されている義歯アタッチメント
を示すものである.最大エネルギー積(BH)max=
35MGOeのNdーFeーB磁石11を直径DM=
3.0mm、高さHM=0.8mmに加工し、上部にN
極、下部にS極となるように着磁した。この磁石11
を、飽和磁束密度Bs=1.7T(テスラ)の17Cr
鋼からなり外径D2=4.0mm、内径DY=3.2m
m、高さH1=1.5mm、である開口部を持つヨーク
12に挿入した。その後、上記ヨーク12と同質材から
なる直径D3=2.7mm、高さH3=0.2mmの軟
磁性シールド部14と透磁率μ=1.02のSUS31
6Lステンレス鋼からなるヨーク12と軟磁性シールド
部14で囲まれた部分である非磁性材シールドリング部
13と一体のシールプレート15をヨーク12の開口部
に当接する。ヨーク12の突合部と上記非磁性材シール
ドリング部13の接合、及び、非磁性材シールドリング
部13と軟磁性シールド部の接合はレーザーにて溶接す
る。この溶接部をビード取り研磨を行う。上記ヨークの
同材質からなる直径4.0mm、高さ0.8mmのキー
パーを作製し、上記の作製した義歯アタッチメントに吸
着させて、これを垂直に引き離す力(磁気吸引力)を測
定で行った。
【0031】その他の評価も本発明と同様に行った。そ
の結果、磁気吸引力は602gfの吸引力が得られた。
ヨーク12のキーパーと当接しない上端部においては、
角部を持ち鋭角であり、R値は2.5mmである。脱落
防止度のための引張力は5kgfである。本発明と従来
例を比較すると、従来例の方が全て磁気吸引力が10%
以上下回り、義歯アタッチメント8の上端部が鋭角なた
め、レジン床において、切り欠きとして作用し応力集中
の原因となり割れを誘因しやすい。また、該義歯アタッ
チメント8の右上端部近傍のレジン床の寸法余裕度を示
すR値が本発明に比べ0.3mmから0.6mmも大き
くことにより、レジン床の強度不足が心配される.歯科
の義歯床においては、0.1mmから0.5mm程度の
小さい寸法の小型化は義歯の強度上、使用上、施行上に
大いに役立つことであり、本発明は、従来例に比べ大き
く優れることがわかる。更に従来例は、本発明に比べ、
脱落に対する抵抗度も劣る。これにより全ての評価で本
発明が優れることがわかる。
【0032】従来例の変態例 図5は従来例において脱落防止のためヨーク12の側面
部の下部に該ヨークの開口端面の方向へ、内方向に下降
する傾斜面を有する例である。傾斜面はキーパー対向面
より上方へ0.5mmのところから始まり、キーパーと
の吸着面でのヨーク外径は3.6mmとする.その他の
寸法、材料は従来例と比べ不変である。その結果、磁気
吸引力は500gfの吸引力が得られた。ヨーク12の
キーパーと当接しない上端部においては、角部を持ち鋭
角であり、R値は2.5mmである.脱落防止度のため
の引張力は18kgfである。これより、脱落防止のた
め傾斜面をつけても、脱落防止度は本発明レベルとなる
が、レジン床の強度には何等効果が無く、磁気吸引力は
むしろ低下する結果となった。
【0033】比較用本発明 ここで、従来例と、本発明では、磁石の最大エネルギー
積が異なったり、各部材の諸元がことなるので、比較の
基準が同じでない恐れがあるので、それを同じにした比
較用本発明を作製し、従来例と比較した。形状は図6に
示した。従来例の材料をそのままで、本発明の構成に関
係の無い部分の寸法を同一にして、比較本発明を作製し
た。最大エネルギー積(BH)max=35MGOeの
NdーFeーB磁石11を直径DM=3.0mm、高さ
HM=0.8mm、磁石上端部111のRは0.2Rに
加工し、上部にN極、下部にS極となるように着磁し
た。この磁石11を、飽和磁束密度Bs=1.7T(テ
スラ)の17Cr鋼からなり磁気吸引力の発生源であ
る、キーパー吸着面の断面積を同一に保つ為、下部外径
DS1=4.0mmにし、本発明の構成であるヨーク1
2の側面部を上部外径D1=3.5mm、最大外径D2
=4.4mm、内径DY=3.2mm、肩部高さH2=
1.1mmとする.本発明の構成であるキーパー対向面
の絞り部の内径DS2=3.4mm、非磁性シールド部
の非傾斜部の寸法は、従来例と同一の外径3.2mm、
内径2.7mm、厚さ0.2mmで作製した。最大高さ
H1=1.5mm、である開口部からなるヨーク12に
おいて、前記キーパー2と当接しない上端部に、外方向
に下降する傾斜面121を有し、さらに連続して、該ヨ
ークの開口端部の方向へ、内方向に下降する傾斜面12
2を有するヨーク12に挿入した。なお、ヨーク12の
上部外径D1と最大外径D2と下部外径DS1、及び、
キーパー対向面の絞り部内径DS2とは同心円である。
【0034】ヨーク12の突合部と上記非磁性材シール
ドリング部13の接合、及び、非磁性材シールドリング
部13と軟磁性シールド部の接合はレーザーにて溶接す
る。この溶接部をビード取り研磨を行う。ヨーク12と
軟磁性シールド部14で囲まれた部分である非磁性材シ
ールドリング部13と一体のシールプレート15をヨー
ク12の開口部に当接した。
【0035】その結果、磁気吸引力は660gfの吸引
力が得られた。これにより、同じ材料、部材形状でも、
本発明の構成をとることにより、吸引力の向上を図るこ
とをしめすことができた。ヨーク12のキーパーと当接
しない上端部においては、丸みを持ち、R値は2.3m
mというサイズ減少をした。これにより、従来例の義歯
アタッチメント上端部(肩部)の鋭角突起部を無くし応
力集中を緩和し、肩方向に従来例に比べ0.2mm小型
化することによりレジン床の強度を確保し、使用上の快
適性を持たせることができた。歯科の義歯床において
は、0.1mmから0.5mm程度の小さい寸法の小型
化は義歯の強度上、使用上、施行上に大いに役立つこと
であり、比較用本発明は、従来例に比べ大きく優れるこ
とがわかる。ただし実施形態例に比べるとR値が若干劣
る。脱落防止度のための引張力は18kgfである。こ
れにより義歯床のレジン床から脱落を防止することがで
き、長期にわたって使用することができる。
【0036】比較例2 比較例2は、図5の従来例の変態例において、従来例と
吸着断面積を同じにした場合の例である。従来例との変
更は、ヨーク外径D2を4.0mmから4.4mmへ、
傾斜面はキーパー対向面より上方へ0.5mmのところ
から始まり、キーパーとの対向面でのヨーク外径DS1
は4.0mmとする。その他の寸法、材料は従来例と比
べ不変である。
【0037】その結果、磁気吸引力は640gfの吸引
力が得られた。磁気的吸引力は上昇がみられた。また脱
落防止度のための引張力は18kgfであり、本効果も
十分である。しかしヨーク12のキーパーと当接しない
肩部の上端部においては、角部を持ち鋭角であり、R値
は2.7mmである。義歯アタッチメント8の上端部が
鋭角なため、レジン床において、切り欠きとして作用し
応力集中の原因となり割れを誘因しやすい。また、該義
歯アタッチメント8の右上端部近傍のレジン床の寸法余
裕度を示すR値が比較例に比べ0.4mmも大きくなる
ことにより、レジン床の強度不足が生じている。これに
より磁気吸引力及び脱落防止の効果は満足するものの、
レジン床の強度不足は更に悪化しており、本比較例は比
較用本発明及び本発明に劣ることがわかる。以上のこと
より、本発明の実施形態例1〜4及び比較実施例は、従
来例、従来例の変形態様及び、比較例2のなし得なかっ
た、肩部のR部を鋭角突起部を無くし小型化し、レジン
床の強度を確保し、使用上の快適性を持ち、強力な吸引
力と、レジン床からの脱落防止を両立することに成功し
た。
【0038】ここで、請求項5のキーパーの実施形態例
をしめす。キーパーの断面形状を図10(B)に示す。
最大直径k1=4.0mm、最小直径k2=3.4m
m、最大高さh1=0.8mm、最小高さh2=0.5
mm、窪み部直径k3=1.0mm、窪み高さh3=
0.2mm。このキーパーを用いることにより、下端面
に凹部を持たせることにより、図14に示すように根面
板の凸部51にそって、キーパー位置を下げることがで
き、引いては、根面板5の位置、義歯アタッチメントの
位置を下げることができる。これにより人工歯4の窪み
の下の厚みの薄い部分421及び、人工歯4の義歯アタ
ッチメント8の上端部近傍部の厚みの薄い部分422が
厚くなることにより、人工歯の強度が増すという効果が
得られる。このとき、キーパーの中央部は、磁束密度が
薄くなっているので、薄くしても吸引力への影響は殆ど
無い。
【0039】ここで、本発明による肩部の小型化(実施
形態例でのR値の減少)の重要性にして図11
(A)、(B)を用いて説明する。図11(A)は、従
来例に示した義歯アタッチメント8を用いた場合を示
し、他方図11(B)は本発明の義歯アタッチメント1
を用いた場合を示している。なお、図中の符号は、図7
と同様である。 はじめに、図11(A)に示すように、
従来例の義歯アタッチメント8を用いた場合には、レジ
ン床の形状が大きい。すなわち、同図に示す基準面下
(キーパー2の下端面)から義歯アタッチメント8の上
端面、さらに上部までのレジン床3の厚みが大きい。そ
のため、人工歯4の下部において、上記義歯アタッチメ
ント8を内包するレジン床3は必然的に大きく作製せざ
得ない。
【0040】こうして、図11(A)の右上方に示すご
とく、レジン床3の肩の部分は膨出部31とせざる
ない。この膨出部31は、舌の方へ出っ張るため、口中
に異物感が生ずる。そこで、異物感をなくすために、図
11()の点線311で示す位置まで膨出部31を削
除すると義歯アタッチメント8の上端部における鋭角突
出部により義歯床を構成するレジン部が薄くなって、レ
ジン床3の強度不足による使用中における破損および、
義歯アタッチメントの加工上の問題が発生する。その
為、従来技術による義歯アタッチメント8を使用する
と、レジン床3の上記膨出部31を認めざるをえない。
【0041】また、人工歯4の右下部は、上記義歯アタ
ッチメント8接触を避けるために、この部分を切除して
弧状凹部41とする必要がある。そのために、人工歯4
の厚みが一部小さくなってしまう。上記の厚みを大きく
とるには、人工歯4の右下部は、図11(A)に点線4
11でしめしたような緩やかな曲線部状態にすることに
なる。しかし、これでは、レジン床3の強度不足による
使用中における破損および、義歯アタッチメントの加工
上の問題が発生する。その為、上記弧状凹部41を認め
ざるをえない。
【0042】これに対して、本発明の義歯アタッチメン
トは前記のごとく肩部が小型化(実施形態例でのR値の
減少)している。すなわち図11(B)に示すように義
歯アタッチメント1を埋設させるレジン床3の外形状を
小さくすることができる。したがって、義歯床の肩部分
は図11(B)に実線301で示すように滑らかに作製
でき、上記従来例のような膨出部31による口内の異物
感も生じることはない。また本発明によれば、図11
(B)に示すように義歯アタッチメント1が小型である
ため、人工歯4の右下部を、上記従来例(図11
(A))に示した弧状凹部41のように切除する必要も
ない。そのため、人工歯4の右下部は緩やかな曲線部4
01の形状にしておくことができ、人工歯4の厚みを大
きくとることができる。このように、本発明によれば、
義歯の加工が用意であり、口内における異物感もなく快
適に使用できる。また義歯アタッチメント1の肩部(実
施形態例でのR値)を小さくすることにより鋭角突起部
がなく、レジン床の厚みを増すことにより、使用中にお
ける破損もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1及び2の義歯アタッチメントの断
面図
【図2】実施形態例3の義歯アタッチメントの断面図
【図3】実施形態例4の義歯アタッチメントの断面図
【図4】従来例の義歯アタッチメントの断面図
【図5】従来例の変態例及び比較例2の義歯アタッチメ
ントの断面図
【図6】従来例との比較用本発明実施形態例の義歯アタ
ッチメントの断面図
【図7】従来例の義歯の説明図
【図8】従来例の義歯アタッチメントの説明図
【図9】本発明の(A)磁気回路の説明図と(B)磁気
回路改良のキーパーの実施形態例
【図10】義歯アタッチメント(A)とキーパー(B)
の実施形態例、従来例の寸法説明図
【図11】義歯アタッチメントにおける従来例(A)と
本発明(B)の差異を示す説明図
【図12】キーパーにおける従来例(A)と本発明
(B)の差異を示す説明図 【符号の説明 1...本発明義歯アタッチメント 11...磁石体 111...磁石体傾斜面 12...ヨーク 121,122...ヨーク傾斜面 13...シールドリング部 14...シールド部 15...シールプレート 2...本発明キーパー 21...キーパー傾斜面 22...キーパー中央凹部 3...レジン床 4...人工歯 5...根面板 6...歯根部 8...従来の義歯アタッチメント 81...永久磁石 82...凹形ケース 83...シールドリング 84...シール板 85...シールプレート 9...従来のキーパー 80...義歯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田 蕾 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知 製鋼株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61C 8/00 A61C 13/235

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯根部に設けたキーパーと対向するよう
    に義歯床に埋設され、キーパーと当接する吸着面に対し
    磁束が交差する方向にNーS極を持つ磁石体と,開口端
    面側がキーパーとの吸着端となり、磁石体を略同一に収
    納する軟磁性材料よりなるヨークを有する、上記キーパ
    ーに対して磁気吸引力により吸着する義歯アタッチメン
    トにおいて、 該ヨークが、上記キーパーと当接しない上端部に、外方
    向に下降する傾斜面を有し、さらに連続して、該ヨーク
    の開口端面の方向へ、内方向に下降する傾斜面を有する
    ことを特徴とする外周が略たいこ状である義歯アタッチ
    メント。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記ヨークの上端部
    における外方向に下降する傾斜面は、非傾斜部の厚さに
    対し、同一もしくはそれ以上の厚さであることを特徴と
    する義歯アタッチメント。
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは請求項2において、上
    記磁石体は、少なくとも上記キーパーと背向する上端部
    (肩部)に、対向する上記ヨークの隅部の内面と近接ま
    たは当接して外方向に下降する傾斜面を有し、該磁石体
    の側周面は該ヨークの内周面に密着することを特徴とす
    る義歯アタッチメント。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2もしくは請求項3に
    おいて、該ヨーク開口端面内面、及び、該磁石体と当接
    し、前記キーパーと磁気的に吸着する吸着面となるシー
    ルプレートを持ち、該シールプレートはその外周リング
    部を形成する非磁性シールドリング部、および、それと
    内接する軟磁性シールド部とからなり、前記非磁性シー
    ルドリング部外周部と該磁石体とは、該磁石体のキーパ
    ーとの対向面における外周縁部近傍にて当接し、該磁石
    体外周縁近傍部からキーパー方向へリングの外周面は外
    側に下降する傾斜面、内周面は内側に下降する傾斜面を
    持つことを特徴とする義歯アタッチメント。
  5. 【請求項5】 請求項1において、歯根部に設けた耐蝕
    性磁性材料からなるキーパーにおいて、義歯アタッチメ
    ントとの当接しない下端部に、外方向に上昇する傾斜面
    を有し、かつ、下端面に凹部を持つことを特徴とする義
    歯アタッチメント用キーパー。
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