JPH10273696A - 自動食器洗浄機用洗浄剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性キレート剤を含有する自動食器洗浄
機用洗浄剤の提供。 【解決手段】 漂白剤（ａ成分）、酵素（ｂ成分）及び
特定のイミノジコハク酸又はその塩（ｃ成分）を含有す
る自動食器洗浄機用洗浄剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動食器洗浄機用
洗浄剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動食器洗浄機が急速に普及して
きており、これに伴い自動食器洗浄機用の専用洗剤の開
発も盛んに行われるようになってきた。自動食器洗浄機
用洗浄剤の開発は、いずれも洗浄効果を高めることが主
眼におかれており、特殊な界面活性剤の配合及び酵素及
び漂白剤の添加、さらには高ｐＨビルダー組成物などに
関連するものが中心であった。また、このような技術の
進歩に伴い、アルカリ土類金属と炭酸などのアルカリビ
ルダー成分とが結合することにより発生する、スケー
ル、ウォータースポットなどのガラス表面の白化現象も
問題とされるようになり、ポリアクリル酸やポリマレイ
ン酸を構成単位とする、高性能カルボン酸系高分子キレ
ート剤も配合されるようになってきた。しかしながら、
前記高性能カルボン酸系高分子キレート剤はまったく生
分解性を有さないものであり、還境保全の点から見ると
生分解性のキレート剤を用いることが時代の要請に合致
したものであるということができる。そして、生分解性
のキレート剤を含有する洗浄剤も既に開発されているが
（特表平８−５００６２６）、これはポリグルコンサン
の酸化生成物またはその塩を用いるものであり、その水
溶性およびキレート能が不十分であり、実用に供するに
は至っていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、生分
解性キレート剤を含有する自動食器洗浄機用洗浄剤を提
供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記諸問
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の、イミノ
ジコハク酸またはその塩、過酸素化合物、及び酵素を必
須成分として含有する組成物とすることにより、高い環
境安全性と、優れた洗浄性能を実現した自動食器洗浄機
用洗浄剤が得られることを見いだし、本発明を完成する
に至った。すなわち、本発明によれば、漂白剤（ａ成
分）、酵素（ｂ成分）及び一般式（Ｉ）で表わされるイ
ミノジコハク酸又はその塩（ｃ成分）を含有することを
特徴とする自動食器洗浄機用洗浄剤が提供される。

【化１】 （式中、Ｘは水素原子またはアルカリ金属原子から選ば
れる１価に相当する陽イオン、Ｙは水素原子ＨまたはＯ
Ｈ基を表す。）

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明には、漂白剤（ａ成分）が
用いられる。具体的な漂白剤としては、次亜塩素酸塩や
ハロゲン化イソシアヌル酸等ハロゲン系漂白剤や、モノ
パーオキシフタル酸塩等の有機酸またはその塩、アルカ
リ金属の過硼酸塩、過炭酸塩、過ケイ酸塩等の水溶液中
で過酸化水素を発生する過酸化物などの酸素系漂白剤が
挙げられるが、なかでも過炭酸ナトリウム、過硼酸なト
リウムは特に好ましい。これらの形状は粉末状或いは顆
粒状のものでも用いることができる。過酸素化合物は不
安定な物質であるから、表面処理をほどこして用いるこ
とは有効である。表面処理をほどこす場合には、硼酸ま
たは硼酸およびケイ酸アルカリ金属塩でコーティングし
たものは非常に好ましい。具体的な例を商品名で挙げる
と、ＳＰＣ−Ｄ（三菱瓦斯化学（株）製、登録商標）等
は非常に好適である。また、過硼酸ナトリウムとしては
ペルボン（三菱瓦斯化学（株）製、登録商標）が好適な
例として挙げられる。漂白剤の配合量は、その種類によ
って相違する。漂白剤が、ハロゲン系ならば自動食器洗
浄機用洗浄剤中の０．１〜１０重量％、酸素系ならば１
〜３０重量％の範囲で配合することができる。これらの
漂白剤と併せて、洗浄剤に有機過酸前駆体や金属触媒等
に代表される漂白活性化剤を配合することにより、漂白
剤の作用を一層高めることができる。

【０００６】本発明には、酵素（ｂ成分）が用いられ
る。酵素は食器に汚着している食物などの汚れを分解で
きるものであり、洗浄力の向上に役立つものである。具
体的な酵素には、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパー
ゼ、セルラーゼ、プルラナーゼなどが用いられる。好ま
しい酵素の商品名を具体的に例示すると、ターマミル、
マキサカール、サビナーゼ等が挙げられる。洗剤組成物
の安定性の点から見るとデュラミル（ノボ社製、登録商
標）およびデュラザイム（ノボ社製、登録商標）が最も
好適である。これらを単独または混合物として使用する
ことができる。酵素の配合量は多くしすぎても、洗浄作
用は向上せず単にコストの上昇による経済的不利となる
ことがある。そのために洗剤組成物の０．１〜３重量％
の範囲で配合されることが好ましい。

【０００７】本発明では、下記一般式（Ｉ）で表される
特定のイミノジコハク酸またはその塩を、高性能キレー
ト剤（ｃ成分）として用いる。

【化１】 （式中、Ｘは水素原子またはアルカリ金属原子から選ば
れる１価に相当する陽イオン、Ｙは水素原子またはＯＨ
基を表す。） イミノジコハク酸またはその塩は、前記一般式（Ｉ）で
示される化合物であればいずれの構造であっても好適に
使用可能である。具体的な化合物を例示すると、イミノ
ジコハク酸、イミノジコハク酸２Ｎａ塩、イミノジコハ
ク酸４Ｎａ塩、ヒドロキシイミノジコハク酸、ヒドロキ
シイミノジコハク酸１Ｎａ塩、ヒドロキシイミノジコハ
ク酸３Ｎａ塩、ヒドロキシイミノジコハク酸４Ｎａ塩な
どである。なかでもヒドロキシイミノジコハク酸４Ｎａ
塩は特に好適である。前記一般式（Ｉ）のイミノジコハ
ク酸またはその塩は、分子量３５０程度の低分子化合物
であるにも拘らず、ポリアクリル酸なみのキレート能を
有し、生分解性が良好であることが本発明者らの実験に
より明らかになった。また、過酸素化合物と共存させた
場合には、漂白に有効な過酸の活性を高める効果もあ
り、また、酵素と共存した場合には、酵素の失活を防
ぎ、洗浄系で有効に機能させる効果があることも本発明
者らの実験により明らかとなった。従来から、自動食器
洗浄機用洗浄剤のキレート剤としては、通常ポリアクリ
ル酸塩などの高分子カルボン酸系キレート剤やクエン酸
塩などの低分子カルボン酸系キレート剤が配合されてき
た。高分子系キレート剤はキレート能は極めて優れてい
るが、生分解性には乏しく、ほとんど生分解されないも
のが大部分である。一方、従来の低分子系キレート剤
は、生分解性は良好だが、キレート能は弱い。このよう
なことから、本発明で用いる前記一般式（Ｉ）で表らさ
れるイミノジコハク酸又はその塩がキレート剤として利
用できること、及び従来のキレート剤では見られなかっ
た過酸素化合物及び酵素の共存下に新らたな作用を有す
ることを見出したことは驚くべきでことである。本発明
におけるイミノジコハク酸またはその塩の好ましい配合
量は、１〜４０重量％、更に好ましくは２〜２０重量％
である。１重量％未満ではキレート剤の効果が十分でな
く、又、４０重量％を超える場合にはキレート剤の効果
は格別上昇せず、経済的に有利なことはない。

【０００８】本発明の自動食器洗浄機用洗浄剤には、通
常自動食器洗浄機用洗浄剤組成中に配合される成分を、
任意に配合することができる。好適に配合される具体的
な主な成分としては、界面活性剤、無機アルカリ剤、増
量剤、他のキレート剤、ｐＨ緩衝剤、香料、着色料、造
粒剤等が挙げられる。以下、これらの任意成分について
詳細に説明する。

【０００９】界面活性剤は油汚れに対する洗浄力を高め
る目的で好適に配合されるものであり、その構造や種類
によって特に限定はされることはなく、アルキルサルフ
ェート塩、α−スルホ脂肪酸塩、石鹸、アルコールエト
キシレート、アルキルポリグルコシドなど、通常洗剤に
用いられるものであればいずれの界面活性剤でも使用可
能である。自動食器洗浄機用洗浄剤としては低泡性であ
ることが好ましいことから、これらの高起泡性界面活性
剤を使用する場合には、シリコーン系消泡剤やコンパウ
ンド型消泡剤などの消泡剤を添加する必要がある。一
方、オキシエチレン基またはオキシエチレン／オキシプ
ロピレン共重合基を親水部に有する低泡性ノニオン性界
面活性剤は、消泡剤の併用を必要としないものであり、
自動食器洗浄機用洗浄剤に供する場合には特に好適に使
用可能である。このような低泡性ノニオン活性剤として
好ましい例としてはソフタノールＥＰシリーズ（日本触
媒化学工業（株）製、登録商標）、プルラファックシリ
ーズ（ＢＡＳＦ社製、登録商標）などが挙げられる。本
発明における界面活性剤の好ましい配合量は０．１〜１
０重量％、より好ましくは１〜５重量％であり、界面活
性剤がこの範囲を超えて多い場合には、発泡による機械
トラブルが生じやすくなる恐れがある上、これ以上配合
しても洗浄力の向上はほとんどなく、コストが高くなる
ため経済的に不利である。

【００１０】本発明の自動食器洗浄機用洗浄剤には、本
発明のイミノジコハク酸またはその塩以外のキレート剤
も、効果を損なわない範囲で好適に配合可能である。好
ましく配合できる化合物としては、生分解性の面から比
較的低分子量のものが種々挙げられ、具体的には、クエ
ン酸塩やコハク酸塩などは特に好適である。

【００１１】本発明には無機アルカリ剤も好適に配合可
能であり、具体例としては、炭酸ナトリウム、珪酸ナト
リウムなどが好適に挙げられる。これらは、洗浄力を高
めるために、洗浄時に洗浄剤を水に溶解させたときの水
溶液のｐＨを高くする目的で配合されるものであり、好
ましくは１〜４０重量％配合される。ただし、前述した
漂白剤や酵素を併せて配合する場合には、洗浄時の水溶
液のｐＨが高すぎると効果が低くなるので、炭酸水素ナ
トリウムなどのｐＨ緩衝剤を配合し、ｐＨが８．５〜１
０．０の範囲になるように調節することが好ましい。

【００１２】洗浄剤の成分を粒状で添加する粒状洗浄剤
とする場合には、硫酸ナトリウム等の増量剤や、非晶質
シリカ等の造粒剤を適宜配合して、所望する造粒物を得
ることが可能である。

【００１３】本発明の自動食器洗浄機用洗浄剤には、こ
れらの成分以外にも、アルミン酸ナトリウム等の無機添
加剤及び香料や、色素等の有機添加剤等の種々の添加成
分を、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で
適宜配合することが可能である。

【００１４】

【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定
されるものではない。

【００１５】（水溶性試験）ビーカーに２５℃の水を１
リットル入れ、マグネティックスターラーで撹拌しなが
ら被試験洗剤を２ｇ添加した。この時、完全に溶解する
までに要した時間を測定する。すなわち、時間が短いほ
ど水溶性に優れるということができる。

【００１６】（洗浄試験） 洗浄条件：以下の各評価に必要な食器をセットした、松
下電器（株）製自動食器洗浄機（機種ＮＰ−８１０）に
より、洗浄剤５ｇを使用して、標準コースにしたがって
洗浄を行う。 油汚れ洗浄力：直径２５ｃｍの陶器５枚、直径１５ｃｍ
のメラミン皿３枚、箱形タッパー容器（中サイズ）１個
にオイルレッドで着色したバターを５ｇ塗布し、一昼夜
放置した後洗浄試験を行い、洗浄力を重量変化から算出
する下記式による洗浄率、及び以下に示した判定基準の
触感判定により評価する。 〈洗浄率算出式〉

【数１】 〈触感判定〉 ○：バターは全く残留しておらず、ぬるつきも全く感じ
られない。 △：バターの残留は目視では認められないが、触ると若
干のぬるつきを感じる。 ×：バターの残留が認められる。 ガラス白化性：透明ガラスコップ６個を用意し、その中
の３個には生卵を０．５ｇを塗布して、４時間放置した
後に洗浄試験を行い、ガラス白化性を目視により、下記
判定基準で評価する。 〈目視測定〉 ○：いずれのコップにもウォータースポット等の白化は
全く認められず、透明で美しい仕上がりであった。 △：卵を塗布していないコップは透明に美しく仕上がっ
たが、卵を塗布したコップには、若干の白い斑点が認め
られた。 ×：全てのコップに白化が認められた。

【００１７】実施例１ 下記表１の組成物の中の酵素と過硼酸ナトリウムを除く
固体成分からなる粉体をリボンミキサーを用いて混合
し、次にノニオン性界面活性剤をスプレーにより添加
し、最後に酵素、過硼酸ナトリウムおよび香料を添加す
ることにより下記表１の組成物からなる洗浄剤を製造
し、平均粒子径が約１ｍｍ、嵩密度が０．９ｇ／ｍｌの
自動食器洗浄機用洗浄剤を得た。かくして得られた自動
食器洗浄機用洗浄剤について、以下の試験を行った。結
果は表２の通りである。

【００１８】

【表１】 ─────────────────────────────────── 成分名 配合量(重量％) ─────────────────────────────────── ヒドロキシイミノジコハク酸ナトリウム ４ クエン酸３ナトリウム １５ 炭酸ナトリウム ６ 炭酸水素ナトリウム １０ 層状シリケート（ＳＫＳ−６：ヘキストジャパン社製） １ 非晶質シリカ（トクシールＮ：徳山曹達（株）製） ２ アルミン酸ナトリウム １ 低泡性ノニオン(ソフタノールＥＰ９０１００：日本触媒化学(株)製） ４ 過硼酸ナトリウム（三菱瓦斯化学(株)製） １０ アミラーゼ（デュラミル：ノボノルディスク製） ０．５ プロテアーゼ（デュラザイム：ノボノルディスク製） ０．３ 香料（高砂香料(株)製） ０．１ 硫酸ナトリウム 残部 ───────────────────────────────────

【００１９】

【表２】

【００２０】比較例１ 下記表３の組成物を、前記実施例１と同様の方法により
製造し、平均粒子径が約１ｍｍ、嵩密度が０．９５ｇ／
ｍｌの自動食器洗浄機用洗浄剤を得た。かくして得られ
た自動食器洗浄機用洗浄剤について、前記試験を行っ
た。結果は表４の通りである。

【００２１】

【表３】 ─────────────────────────────────── 成分名 配合量(重量％) ─────────────────────────────────── ポリアクリル酸ナトリウム（平均分子量５００００） ５ クエン酸３ナトリウム １２ 炭酸ナトリウム １０ 炭酸水素ナトリウム １１ 層状シリケート（ＳＫＳ−６：ヘキストジャパン(社)製） ２ 非晶質シリカ（トクシールＮ：徳山曹達(株)製） ２ アルミン酸ナトリウム １ 低泡性ノニオン(ソフタノールＥＰ９０１００：日本触媒化学(株)製） ５ 過硼酸ナトリウム（三菱瓦斯化学(株)製） １０ アミラーゼ（デュラミル：ノボノルディスク製） ０．５ プロテアーゼ（デュラザイム：ノボノルディスク製） ０．３ 香料（高砂香料(株)製） ０．１ 硫酸ナトリウム 残部 ───────────────────────────────────

【００２２】

【表４】

【００２３】

【発明の効果】本発明により得られる自動食器洗浄機用
洗浄剤によれば、洗浄剤を構成する成分のキレート剤が
良好な生分解性、すなわち環境安全性を有するものであ
り、洗浄剤として水溶性、洗浄性も良好で、しかも優れ
たガラス表面の白化抑制効果を併せもつ、実用的価値が
極めて高いものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 漂白剤（ａ成分）、酵素（ｂ成分）及び
   一般式（Ｉ）で表わされるイミノジコハク酸又はその塩
   （ｃ成分）を含有することを特徴とする自動食器洗浄機
   用洗浄剤。 【化１】 （式中、Ｘは水素原子またはアルカリ金属原子などの１
   価に相当する陽イオン、Ｙは水素原子またはＯＨ基を表
   す。）