JP4012607B2 - 風呂釜用洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は風呂釜内に付着した汚れを比較的低温域でも容易に除去しうろ風呂釜用洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭用の風呂釜内部には、人体からの分泌物・石鹸カス・埃などが付着し、高温多湿下でこれらの有機物を栄養源とするバクテリアやカビが繁殖し、湯垢を発生させる状態にある。これらは不衛生であるばかりでなく、釜の伝熱率も悪化させるなどの不都合を引き起こしている。従来、これらの汚れを除去するため、風呂釜洗浄剤としては、水に溶解させた時に過酸化水素を遊離するような無機過酸化物、例えば過炭酸ソーダ又は過硼酸ソーダが広く使用されてきた。これらの洗浄剤を水に溶解させた時に遊離する過酸化水素は、釜の内部に付着した湯垢を酸化分解し、垢を釜からはがれやすい状態にする。さらに過酸化水素自身、徐々に分解して酸素ガスを発生させ、その細かい気泡の拡散効果によってこれらの湯垢を剥離除去させることから、高い洗浄効果を上げていた。一般的に無機過酸化物を主剤とする風呂釜洗浄剤を用いる場合、風呂釜の洗浄にかかる作業時間は10〜20分程度である。この時間内に洗浄を完了させるために加熱処理、すなわち追い焚きを行なわなければならない。しかし、長時間の加熱は危険が伴い、また風呂釜の機種によっては設定温度に達すれば追い焚きを自動的に止めてしまい、短時間の洗浄で終わってしまうものもある。また、湯上がり後の湯温の高い時に使用する方法が効果的であるが、諸般の事情でやむをえず翌日に湯温が低下してから使用せざるをえない状況もあり、この場合沸かし直しの作業をすることは、使用上及び経済的にも好ましくない。
以上のように、使用後の風呂釜の水温の如何に限らず効果的に風呂釜を洗浄できる風呂釜用洗浄剤の開発が強く望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、風呂釜内に付着した汚れを比較的低温域でも容易に除去しうる風呂釜用洗浄剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
風呂釜洗浄剤として過炭酸ナトリウムとジシアンジアミドの組成物について鋭意検討した結果、低温域でも十分な風呂釜内部の洗浄効果を得るには過炭酸ナトリウムの中で、特に低温域でも良好な溶解性を有するものを用いることにより、かかる課題を完成したものである。すなわち、本発明は(A)速溶性過炭酸ナトリウム0.1%〜99.8重量%、(B)ジシアンジアミド 0.2%〜30重量%を主成分として含有する組成物であって、前記速溶性過炭酸ナトリウムが、1リットルビーカー中に20℃(±0.5℃)の水1リットルを満たし、オクタゴン回転子(直径10mm、長さ40mm)を用い回転数2回/秒の割合で撹袢する条件で過炭酸ナトリウム5gを一度に添加し、透明な溶液になるまでの時間が目視にて160秒未満の速溶性過炭酸ナトリウムであり、かつ該組成物の10%水溶液のpHが8〜13に調整されていることを特徴とする風呂釜用洗浄剤組成物に関する。
【0005】
【発明の実施形態】
本発明は、速溶性過炭酸ナトリウムとジシアンジアミドを主成分として含有する組成物によって達成される。本発明に使用できる速溶性過炭酸ナトリウムとしては、1リットルビーカー中に20℃(±0.5℃)の水1リットルを満たし、オクタゴン回転子(直径10mm、長さ40mm)を用い回転数2回/秒の割合で撹袢する条件で過炭酸ナトリウム5gを一度に添加し、透明な溶液になるまでの時間が目視にて160秒未満である速溶性過炭酸ナトリウムが使用される。以上の試験方法は、過炭酸ナトリウムの溶解度試験と略称し、さらに溶液になるまでの時間が120秒の場合、過炭酸ナトリウムの溶解度を120と表示する。
上記速溶性過炭酸ナトリウムは、粒径200〜2000ミクロンの過炭酸ナトリウムを特開平9−86908号公報に開示する被覆剤、例えばイミノ二酢酸、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、水ガラスによって被覆したものが好ましい。また、市販品としては、三菱ガス化学(株)製 SPC−Qが好適に用いられる。
【0006】
ジシアンジアミドは、通常工業品として購入できるもの全て使用できる。
【0007】
この速溶性過炭酸ナトリウムとジシアンジアミドには、この他必要に応じて溶剤、殺菌剤、香料、着色剤、金属イオン封鎖剤を適宜添加して組成物とする。この組成物100重量%中には、(A)速溶性過炭酸ナトリウム 0.1〜99.8重量%であり、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは40〜90重量%である。また、(B)ジシアンジアミドは市販の固体もしくは水溶液が使用できる。成分の含有量は固体換算で0.2〜30重量%であり、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。該(A)速溶性過炭酸ナトリウム と(B)ジシアンジアミドを主成分とする組成物は、その10%水溶液にしたときのpHが8〜13の範囲に入るようにアルカリ剤を用いて調整される。アルカリ剤としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属珪酸塩等が例示できる。中でも、珪酸ソーダ、珪酸カリウム等のアルカリ金属塩を使用すると、洗浄力が著しく向上することから好ましい。
【0008】
洗浄剤組成物のpHを調整することは高い漂白洗浄力を得る為に必須の条件である。洗浄剤組成物の10%水溶液のpHは通常8〜13であり、好ましくは9〜11.5である。pHがこの範囲より低いと漂白洗浄力が低く、この範囲より高いと過炭酸ナトリウムが不安定になるなど風呂釜用洗浄剤組成物として取り扱いが難しくなる。
【0009】
本発明の風呂釜洗浄剤組成物の漂白洗浄力をさらに向上させる為、必要により酵素及び/又は界面活性剤を使用することができる。酵素は、風呂釜内に付着した有機質の汚れを効果的に分解することにより、さらに本発明の洗浄の漂白洗浄力を向上することができる。使用できる酵素としては、プロテアーゼ等の蛋白質分解酵素、リパーゼ等の資質分解酵素等が例示できる。酵素の添加量は、風呂釜洗浄剤組成物100重量部に対して0.05〜5重量部となる量が好ましい。
【0010】
また、界面活性剤は、洗浄剤組成物の付着物汚れへの浸透を助け、風呂釜内部への汚れの再汚染を防止し、付着物汚れの漂白洗浄・除去効果を高めることができる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アミンオキサイド等の非イオン界面活性剤、石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩の陰イオン界面活性剤が例示される。界面活性剤の添加量は、風呂釜洗浄剤組成物100重量%に対して0.1〜30重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部である。
【0011】
本発明の風呂釜洗浄剤組成物は、自然循環式風呂釜・強制循環式風呂釜に好適に利用される。本発明の風呂釜用洗浄剤は、洗浄剤を水溶液状態、スラリー状態、または粉体状態で使用される。自然循環式風呂釜の場合には、注入容器で水のはった風呂釜内に注入され、強制循環式風呂釜の場合には、水のはった浴槽内に該洗浄剤組成を投入した後、追い焚き等を行ない、浴槽内の洗浄液を循環させることによって洗浄剤をまんべんなく釜内に分散させ、汚れを効果的に洗浄する。以上の洗浄方法により、洗浄後の菌数の大幅な減少が認められる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例をあげて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0013】
実施例1
過炭酸ナトリウムの溶解度120の速溶性過炭酸ナトリウム(三菱ガス化学(株)製SPC−Q)が80.0重量%、ジシアンジアミド 20.0重量%よりなる組成物に若干の苛性ソーダを添加して粉末状の風呂釜用洗浄剤組成物1を得た。苛性ソーダの添加量は、組成物の10%水溶液のpHが10.5となるように調整した。
【0014】
実施例2
速溶性過炭酸ナトリウムとジシアンジアミド 100重量部に対し、酵素(プロテアーゼ)0.5重量部を加えた他は、実施例1と同様に若干の苛性ソーダを添加して組成物の10%水溶液のpHが10.5となるように調整し、実施例1と同様に粉末状の風呂釜用洗浄剤組成物2を得た。
【0015】
実施例3
酵素(プロテアーゼ)0.5重量部の代りに界面活性剤 5重量部を用いた他は実施例2と同様にして若干の苛性ソーダを添加して組成物の10%水溶液のpHが10.5となるように調整し、粉末状の風呂釜用洗浄剤組成物3を得た。
【0016】
比較例1
過炭酸ナトリウムの溶解度240の過炭酸ナトリウム(三菱ガス化学(株)製SPC−G)が80.0重量%、ジシアンジアミド 20.0重量%よりなる組成物に若干の苛性ソーダを添加して実施例1と同様に粉末状の風呂釜用洗浄剤組成物4を得た。苛性ソーダの添加量は、組成物の10%水溶液のpHが10.5となるように調整した。
以上の風呂釜用洗浄剤組成物1〜4は、次に示す試験方法により評価した。
【0017】
1)自然循環式風呂釜による評価試験
4人家族で使用し、かつ3ヶ月以上の間掃除をしていない200Lの浴槽に設置されている家庭用風呂釜(自然循環式風呂釜)に対して、釜の上孔が隠れるまで25℃の水をはり、各風呂釜洗浄剤140gの入った注入容器を用いて釜の下孔に注入し、10分間放置する。この間、釜の孔から出てくる汚れの量を目視にて評価する。
2)強制循環式風呂釜による評価試験
4人家族で使用し、かつ5年以上の間掃除をしていない200Lの浴槽に設置されている家庭用風呂釜(強制循環式風呂釜)に対して、釜の循環孔より上になるよう水をはり、各風呂釜洗浄剤250gを浴槽内に投入し、10分間追い焚きを行う。この間、釜の循環孔から出てくる汚れの量を目視にて評価する。
1)2)の試験方法により、釜の循環孔からでてくる汚れの量を以下の評価方法で確認を行った。
【0018】
3)評価方法
汚れの出具合を目視により以下の4段階に判定した。
Figure 0004012607
4)除菌効果の確認方法
風呂釜内の除菌効果を確認する為に生菌数試験(寒天平板混釈法)を行った。試験方法は、本発明品使用前後の浴槽の残り湯、各1mlに、トリプトソイ寒天培地15mlを加えて培地を固化させた後、37℃で48時間培養し、シャーレ1枚当り(65平方cm)の菌数をカウントした。
以上の結果は第1表に示す。
【0019】
【第1表】
Figure 0004012607
【0020】
【発明の効果】
自然循環式風呂釜、強制循環式風呂釜ともに各実施例は比較例に比べ、風呂釜内部の汚れが効果的に除去され、かつ洗浄後の菌数の大幅な減少も確認された。以上のように、本発明による風呂釜用洗浄剤組成物は風呂釜内に付着した汚れを比較的低温域でも容易に除去しうる。

Claims (2)

  1. (A)速溶性過炭酸ナトリウム 0.1%〜99.8重量%、(B)ジシアンジアミド 0.2%〜30重量%を主成分として含有する組成物であって、前記速溶性過炭酸ナトリウムが、1リットルビーカー中に20℃(±0.5℃)の水1リットルを満たし、オクタゴン回転子(直径10mm、長さ40mm)を用い回転数2回/秒の割合で撹袢する条件で過炭酸ナトリウム5gを一度に添加し、透明な溶液になるまでの時間が目視にて160秒未満の速溶性過炭酸ナトリウムであり、かつ該組成物の10%水溶液のpHが8〜13に調整されていることを特徴とする風呂釜用洗浄剤組成物。
  2. 速溶性過炭酸ナトリウムとジシアンジアミドを主成分として含有する組成物100重量部に酵素0.05〜5重量部及び/又は界面活性剤を0.1〜30重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の風呂釜用洗浄剤組成物。
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