JPH10273306A - 耐水性窒化アルミニウム - Google Patents

耐水性窒化アルミニウム

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JPH10273306A
JPH10273306A JP9076028A JP7602897A JPH10273306A JP H10273306 A JPH10273306 A JP H10273306A JP 9076028 A JP9076028 A JP 9076028A JP 7602897 A JP7602897 A JP 7602897A JP H10273306 A JPH10273306 A JP H10273306A
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JP
Japan
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aluminum nitride
silicon carbide
water resistance
average particle
powder
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JP9076028A
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English (en)
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Takashio Rai
高潮 頼
Yuji Nagai
裕二 永井
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Toyo Aluminum KK
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Toyo Aluminum KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐水性に優れた窒化アルミニウムを提供するこ
とを主な目的とする。 【解決手段】窒化アルミニウム中に炭化珪素を0.1〜
25重量%含有することを特徴とする耐水性窒化アルミ
ニウム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水性に優れた窒
化アルミニウムに関する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウムは、熱伝導性、電気絶
縁性等に優れた材料として知られている。そして、高熱
伝導性セラミックス基板等には窒化アルミニウム焼結
体、プラスチック複合材料のフィラー等には窒化アルミ
ニウム粉末がそれぞれ利用されている。
【0003】しかし、窒化アルミニウムは、熱力学的に
不安定であり、室温においても水と容易に反応する。特
に、窒化アルミニウム粉末は、大気中に曝されるだけで
大気中の湿気と反応し、その性能が劣化してしまうおそ
れがある。
【0004】これに対し、窒化アルミニウムの耐水性を
向上させるために、窒化アルミニウムを水分から遮断す
る方法、例えば酸化雰囲気中で高温処理することによっ
て窒化アルミニウムの表面を酸化皮膜で被覆したり、或
いは窒化アルミニウムの表面を無機質皮膜又は有機質皮
膜で被覆する方法等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、形成さ
れた皮膜は、窒化アルミニウムとの結合が弱いことから
容易に剥離することが多い。また、皮膜自体にも多くの
欠陥が存在する場合がある。従って、前記における被覆
による方法でも、依然として窒化アルミニウムの耐水性
を十分確保することは難しく、なお改善の余地がある。
【0006】従って、本発明は、耐水性に優れた窒化ア
ルミニウムを提供することを主な目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の従来
技術の問題に鑑み、耐水性に優れた窒化アルミニウムを
開発すべく鋭意研究を重ねた結果、窒化アルミニウムに
特定の化合物を一定量含有させることによって、本発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、窒化アルミニウム中
に炭化珪素を0.1〜25重量%含有することを特徴と
する耐水性窒化アルミニウムに係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態と
ともに説明する。
【0010】本発明の耐水性窒化アルミニウムは、窒化
アルミニウム中に炭化珪素を0.1〜25重量%含有す
ることを特徴とする。
【0011】上記のように、炭化珪素は、通常0.1〜
25重量%程度含有するが、好ましくは0.5〜10重
量%とする。炭化珪素の含有量が少なすぎると耐水性が
不十分となる。また、その含有量が多すぎると緻密化し
にくくなり、電気絶縁性、熱伝導性等を低下させるおそ
れがある。
【0012】また、本発明では、炭化珪素の少なくとも
一部が窒化アルミニウム相に固溶していることが好まし
い。耐水性等をより向上させるという観点からすれば固
溶量はできるだけ多い方が好ましいが、固溶量は最終製
品の用途等に応じて適宜定めれば良い。固溶量は、窒化
アルミニウム中に存在する炭化珪素のうち通常20〜1
00重量%程度、好ましくは50〜100重量%とすれ
ば良い。
【0013】次に、本発明の耐水性窒化アルミニウムの
製造方法について説明する。製造方法としては、特に制
限されず、例えば窒化アルミニウム粉末と炭化珪素粉
末とを混合して非酸化雰囲気中で加熱する固相反応法、
金属アルミニウム粉末と炭化珪素粉末の混合粉末を窒
素雰囲気中で加熱する反応焼結法、CVD法、スパッ
タリング法等によりアルミニウム、炭素及び珪素を含有
する原料から合成する気相反応法等のいずれも用いるこ
とができる。この中でも、上記の方法が好ましい。
【0014】製造原料は、いずれの製法においても特に
制限されないが、粉末原料を用いる場合はできるだけ細
かい粉末を用いるとそれだけ複合化(固溶化)を促進す
ることができる。かかる見地より、例えば固相反応法で
用いる窒化アルミニウム粉末は平均粒径10μm以下
(好ましくは1〜5μm)、反応焼結法で用いる金属ア
ルミニウム粉末は平均粒径50μm以下(好ましくは1
0〜40μm)のものを用いれば良い。
【0015】反応焼結法の原料に混在させる窒化アルミ
ニウムも、特に制限されず、市販のものも使用すること
ができる。また、いずれの合成方法(例えば直接窒化
法)によって得られた窒化アルミニウムも使用できる。
平均粒径も特に制限されないが、固相反応法で用いる場
合と同様に通常10μm以下(好ましくは2〜7μm)
とすれば良い。
【0016】原料としての炭化珪素も特に制限されず、
市販品もそのまま使用できる。また、αタイプ及びβタ
イプのいずれの結晶タイプも用いることができる。平均
粒径も特に制限されないが、通常は5μm以下とすれば
良い。
【0017】さらに、窒化アルミニウムと炭化珪素との
複合化を促進し、また最終製品の性能を向上させる場合
には、反応促進剤、焼結助剤等の役割を果たす各種添加
剤を併用することが好ましい。このような添加剤として
は、希土類化合物(例えば、Y23、La23、Ce
O、PrO2、Nd23等の希土類酸化物)、アルカリ
土類金属化合物(例えばCaO等のアルカリ土類金属酸
化物)等が例示できる。添加量は、窒化アルミニウム及
び炭化珪素の合計量100重量部に対し、通常0.5〜
7重量部程度、好ましくは1〜5重量部とする。これら
の添加剤は、各成分を均一に反応させるために予め原料
粉末と混合しておくことが好ましい。混合方法は、乾式
及び湿式のいずれでも良い。また、反応をより促進させ
るために混合粉末を予め造粒、成形等をしておいても良
い。造粒、成形等の方法は、公知の粉末冶金又は窯業分
野における造粒方法、成形方法等を採用することができ
る。
【0018】これらの各成分を配合した混合物を焼成す
る。焼成温度・時間は、炭化珪素の含有量、最終製品の
用途等に応じて適宜設定すれば良いが、炭化珪素の少な
くとも一部を窒化アルミニウム相中に固溶させる場合に
はその複合化(固溶化)が十分に進む温度・時間で焼成
する。
【0019】例えば、窒化アルミニウムと炭化珪素とを
反応させる固相反応法では、反応温度を通常1500〜
2200℃程度(好ましくは1700〜2000℃)と
し、反応時間を10分以上とすれば良い。また、金属ア
ルミニウムと炭化珪素を反応させる反応焼結法では、反
応温度を通常800〜1300℃程度(好ましくは90
0〜1200℃)とし、反応時間を10〜120分程度
とすれば良い。金属アルミニウムの窒化反応は、発熱反
応であるため、反応熱により反応物の温度が2000℃
を超え、複合化を促進できる。
【0020】焼成雰囲気は、窒素ガス含有雰囲気下とす
れば良く、窒素ガスのほかに不活性ガス(ヘリウム、ア
ルゴン等)も含まれていても良い。
【0021】最終的に窒化アルミニウムの焼結体(バル
ク体)を得るには、上記の各種方法によれば良く、また
焼結体の粉末を得るには上記各方法により得られた焼結
体を公知の粉砕方法により粉砕し、粒度調整すれば良
い。粉末の特性は、最終製品の用途等に応じて適宜定め
ることができ、通常は平均粒径1〜200μm、比表面
積0.1〜10m2/gとすれば良い。
【0022】
【作用】窒化アルミニウムは、アルミニウムと窒素との
結合が弱く、水酸基(OH−)が存在するとアルミニウ
ムが容易に窒素と解離し、水酸基と結合する。従って、
窒化アルミニウムの耐水性を根本的に改良するためにア
ルミニウムと窒素との結合を増強する必要がある。
【0023】本発明者は、かかる窒化アルミニウムの化
学結合を強化するために、特定の化合物を窒化アルミニ
ウムに一定量固溶させる方法が有効であることを知見し
た。すなわち、窒化アルミニウムの本来の特性を維持し
つつ、耐水安定性を改善するためには、結晶タイプの
少なくとも一種が窒化アルミニウムと同タイプであるこ
と(固溶体を形成し得る)、酸素を含んでいないこと
(酸素は窒化アルミニウムの諸特性を低下させる)、
良好な耐水性をもつこと、熱伝導性が高いことが必要
である。
【0024】この点において、炭化珪素は上記の条件を
すべて満足し得ることを見出し、本発明において耐水性
に優れた窒化アルミニウムを得ることに成功した。
【0025】
【発明の効果】本発明は、特に一定量の炭化珪素が含有
されていることから、熱伝導性、電気絶縁性等の窒化ア
ルミニウム本来のもつ特性をそのまま維持しつつ、優れ
た耐水性を発揮することができる。
【0026】このような窒化アルミニウムは、焼結材
料、有機高分子用充填材、ヒーター類用絶縁体、金属−
セラミックスコンポジット用材料、半導体パッケージ用
封止材、耐火材料、高温用構造材等の各種用途に特に有
用である。
【0027】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明の特
徴とするところをより一層明確にする。
【0028】実施例1〜5 窒化アルミニウム粉末(AlN、平均粒径1.4μm)
に所定量の炭化珪素粉末(SiC、αタイプ又はβタイ
プ、平均粒径0.4μm)及び焼結助剤として5重量%
の酸化イットリウム粉末(Y23、平均粒径1.6μ
m)を添加し、アルコール溶剤中12時間湿式混合を行
った。混合粉末を110℃で乾燥した後、ペレット(t
=2〜3mm、φ10〜20mm)を成形した。成形体
を窒化硼素ルツボに入れ、グラファイト電気炉に導入
し、窒素雰囲気中1850℃で3時間焼結を行った。
【0029】得られた焼結体について、結晶相をX線回
折法、密度はアルキメデス法、熱伝導率はレーザーフラ
ッシュ法にてそれぞれ分析・測定を行った。その結果を
表1に示す。X線回折分析の結果については、図1〜図
5に示す。表1及び図1〜図5の結果より、実施例1、
2、3及び5では、AlNとSiCの固溶体相のみでS
iC相がないことから炭化珪素が窒化アルミニウム中に
完全に固溶していることがわかる。また、実施例4で
は、炭化珪素の一部が窒化アルミニウム中に固溶してい
ることがわかる。なお、本実施例中において、固溶量
は、添加したSiC量を100重量%とし、X線回折図
のSiCのピーク値から計算により求めた(SiCのピ
ークが見られない場合は固溶量=100重量%とし
た)。
【0030】次いで、上記焼結体について耐水試験を行
った。まず、上記焼結体を純水30g(pH=6.0)
の入ったテフロン(デュポン社 商標)製の容器に投入
した後、高圧分解容器に入れ、75℃に保った乾燥機内
に24時間放置した。
【0031】窒化アルミニウムと水との反応は次式
(1)で表される。
【0032】 AlN+3H2O=Al(OH)3+NH3 …(1) 上記式の反応により、窒化アルミニウムが水と反応して
水酸化アルミニウムが生成する。また、それに伴ってア
ンモニアガスが発生し、水溶液のpHが上昇する。耐水
試験では、この現象を利用し、試験後の焼結体の表面に
おける水酸化アルミニウム(Al(OH)3)の生成の
有無をX線回折法により調べた。その結果を図6〜10
に示す。また、試験後における水溶液のpHをpHメー
ターで測定した。これらの結果も併せて表1に示す。
【0033】実施例6 アトマイズドアルミニウム粉末(Al、平均粒径25μ
m)60重量部と窒化アルミニウム粉末(AlN、平均
粒径6μm)40重量部の混合粉末に、5重量%の炭化
珪素粉末(SiC、αタイプ、平均粒径0.4μm)を
加えて混合した後、黒鉛ルツボに充填し、反応炉にて窒
素雰囲気下1200℃で1時間焼成した。
【0034】得られた反応物を振動ミルで20分間解砕
し、平均粒径15μm程度の粉末とした。上記粉末1g
を用いて実施例1と同様にして耐水試験を行った。その
結果を表1に示す。
【0035】比較例1 窒化アルミニウム粉末(AlN、平均粒径1.4μm)
に、5重量%の酸化イットリウム粉末(Y23、平均粒
径1.6μm)を添加し、アルコール溶剤中12時間湿
式混合を行った。混合粉末を110℃で乾燥した後、ペ
レット(t=2〜3mm、φ10〜20mm)を成形し
た。成形体を窒化硼素ルツボに入れ、グラファイト電気
炉に導入し、窒素雰囲気中1850℃で3時間焼結を行
った。得られた焼結体について、実施例1と同様にして
結晶相をX線回折法、密度はアルキメデス法、熱伝導率
はレーザーフラッシュ法にてそれぞれ分析・測定を行っ
た。その結果を表1及び図11〜図12に示す。また、
実施例1と同様にして耐水試験を行った。その結果を表
1に示す。
【0036】比較例2〜3 窒化アルミニウム粉末(AlN、平均粒径1.4μm)
に、所定量の炭化珪素粉末(SiC、αタイプ、平均粒
径0.4μm)と5重量%の酸化イットリウム粉末(Y
23、平均粒径1.6μm)を添加し、アルコール溶剤
中12時間湿式混合を行った。混合粉末を110℃で乾
燥した後、ペレット(t=2〜3mm、φ10〜20m
m)に成形した。成形体を窒化硼素ルツボに入れ、グラ
ファイト電気炉に導入し、窒素雰囲気中1850℃で3
時間焼結を行った。得られた焼結体について、実施例1
と同様にして結晶相をX線回折法、密度はアルキメデス
法、熱伝導率はレーザーフラッシュ法にてそれぞれ分析
・測定を行った。その結果を表1に示す。また、実施例
1と同様にして耐水試験を行った。その結果を表1に示
す。
【0037】
【表1】
【0038】表1の結果より、本発明の窒化アルミニウ
ムが、本来の性質を実質的に維持したままで優れた耐水
性を発揮することがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の焼結体(耐水試験前)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図2】実施例2の焼結体(耐水試験前)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図3】実施例3の焼結体(耐水試験前)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図4】実施例4の焼結体(耐水試験前)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図5】実施例5の焼結体(耐水試験前)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図6】実施例1の焼結体(耐水試験後)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図7】実施例2の焼結体(耐水試験後)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図8】実施例3の焼結体(耐水試験後)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図9】実施例4の焼結体(耐水試験後)におけるX線
回折分析の結果を示す図である。
【図10】実施例5の焼結体(耐水試験後)におけるX
線回折分析の結果を示す図である。
【図11】比較例1の焼結体(耐水試験前)におけるX
線回折分析の結果を示す図である。
【図12】比較例1の焼結体(耐水試験後)におけるX
線回折分析の結果を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウム中に炭化珪素を0.1〜
    25重量%含有することを特徴とする耐水性窒化アルミ
    ニウム。
  2. 【請求項2】炭化珪素の少なくとも一部が窒化アルミニ
    ウム相に固溶している請求項1記載の耐水性窒化アルミ
    ニウム。
  3. 【請求項3】炭化珪素の固溶量が20〜100重量%で
    ある請求項2記載の耐水性窒化アルミニウム。
JP9076028A 1997-03-27 1997-03-27 耐水性窒化アルミニウム Pending JPH10273306A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012144638A1 (ja) * 2011-04-21 2012-10-26 株式会社ブリヂストン セラミックス焼結体及びセラミックス焼結体の製造方法

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