JP3350907B2 - 結晶質窒化珪素粉末の製造法 - Google Patents
結晶質窒化珪素粉末の製造法Info
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Description
有用な窒化珪素質焼結体の製造用原料として好適な結晶
質窒化珪素粉末の製造法に関する。
及び/又は含窒素シラン化合物を不活性ガス雰囲気下に
焼成して、結晶質窒化珪素粉末を製造する方法は、既に
知られている。この結晶質窒化珪素粉末の焼結性を向上
させるためには粉末の表面積及び酸素含有量が適当な範
囲にあることが必要である。結晶質窒化珪素粉末の表面
積と酸素含有量とは密接な関係があり、表面積が高いと
酸素含有量が高くなり、酸素含有量が高いと表面積が高
くなることがわかっている。これは、結晶質窒化珪素粉
末の粒子表面に酸化物又は酸窒化物層が形成されている
ためである。したがって、窒化珪素粉末中の酸素含有量
及び酸素の分布を制御することは、表面積を制御する上
でも重要なことである。
をイミドの熱分解により製造する際には、酸素を極力排
除する必要があるため、非晶質窒化珪素粉末の酸素含有
量を大幅に変化させることは困難であった。これは、イ
ミドが反応性が高く、酸素と容易に反応して二酸化珪素
を生成し、この二酸化珪素がそのまま結晶質窒化珪素粉
末中の不純物として残留してしまうためである。
造するためには、原料の窒化珪素粉末と焼結助剤とをで
きるだけ均一に混合することが望ましい。そのために、
焼結助剤を粒子表面に均一に被覆することができる表面
改質された窒化珪素粉末が望まれている。
結晶質窒化珪素粉末中の酸素含有量及び粒子内の酸素の
分布を制御することができ、さらに焼結助剤を粒子表面
に容易に均一に被覆できる窒化珪素粉末の製造法を提供
するものである。
珪素粉末及び/又は含窒素シラン化合物を焼成して得ら
れる結晶質窒化珪素粉末を、酸素を5〜40%、あるい
はさらに水分を0.001〜2.0%含有し、残部が不
活性ガスからなる雰囲気中でミル処理することを特徴と
する結晶質窒化珪素粉末の製造法に関するものである。
末及び/又は含窒素シラン化合物を窒素含有不活性ガス
雰囲気下又は窒素含有還元性ガス雰囲気下に焼成して、
結晶質窒化珪素粉末を製造する。含窒素シラン化合物と
しては、シリコンジイミド、シリコンテトラアミド、シ
リコンニトロゲンイミド、シリコンクロルイミド等が用
いられる。これらは、公知方法、例えば、四弗化ケイ
素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハ
ロゲン化ケイ素とアンモニアとを気相で反応させる方
法、液状の前記ハロゲン化ケイ素と液体アンモニアとを
反応させる方法などによって製造される。また、非晶質
窒化珪素粉末は、公知方法、例えば、前記含窒素シラン
化合物を窒素又はアンモニアガス雰囲気下に600〜1
200℃の範囲の温度で加熱分解する方法、四弗化ケイ
素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハ
ロゲン化ケイ素とアンモニアとを高温で反応させる方法
などによって製造されたものが用いられる。非晶質窒化
珪素粉末及び含窒素シラン化合物の平均粒子径は、通
常、0.002〜0.05μmである。
素とアルゴン、ヘリウム等の混合ガスが挙げられる。ま
た、窒素含有還元性ガスとしては、アンモニア、ヒドラ
ジン等の高温での熱分解により窒素ガスを放出するもの
又は窒素と水素、一酸化炭素等の混合ガスが挙げられ
る。また、焼成温度は1400〜1700℃の範囲であ
る。焼成温度が1400℃よりも低いと、窒化珪素の結
晶化が十分に進行しない。また、焼成温度が1700℃
を越えると、粗大結晶からなる結晶質窒化珪素粉末が生
成し易いので好ましくない。
ン化合物の加熱に使用される加熱炉としては、高周波誘
導加熱方式又は抵抗加熱方式によるバッチ炉、プッシャ
ー炉、ロータリーキルン炉、シャフトキルン炉、流動化
焼成炉等が用いられる。特に連続焼成炉は非晶質窒化珪
素の結晶化反応に伴う発熱の効率的な放散に対して、有
効な手段である。
た結晶質窒化珪素粉末を、酸素を5〜40%含有し、残
部が不活性ガスからなる雰囲気中でミル処理する。雰囲
気ガスとしては、酸素を5〜40%含有し、残部が窒
素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスからなる雰囲気
であればよく、例えば、空気雰囲気が好ましく用いられ
る。ミル処理方法としては、特に制限はなく、通常用い
られるミル処理装置、例えば、振動ミル、アトライタ等
が用いられる。このミル処理により焼成時に起こった粒
子間の融着や凝集をこわすことができ、その結果、窒化
珪素粉末の表面酸素量が増加するので、窒化珪素粉末の
表面積も高くなり、焼結性を著しく向上させることがで
きる。ミル処理の雰囲気中の酸素含有量が5%よりも少
ない場合には、窒化珪素粉末がミル内壁にコ−ティング
してしまい、ミル処理が困難となる。また、酸素含有量
が40%よりも多くなるとミル材質(モノマーキャステ
ィングナイロン等の樹脂)が損耗するので好ましくな
い。
中に水分を0.001〜2.0%含有させることが好ま
しい。この際、雰囲気中に含有される水分と窒化珪素粒
子表面が反応することにより、粒子表面がシラノール基
(Si−OH)で覆われる。これにより、粒子表面に適
度な量のシラノール基が存在する窒化珪素粉末と焼結助
剤を混合する場合には、窒化珪素粒子表面に焼結助剤を
均一に被覆させることができるので、これを焼結して得
られる焼結体の特性を向上させることができる。ミル処
理の雰囲気中の水分量が0.001%よりも少ない場合
には、焼結体特性の向上効果が小さく、また、水分量が
2.0%よりも多くなると水分結露のために窒化珪素粉
末がミル内壁にコ−ティングしてしまい、ミル処理が困
難となるので好ましくない。
らに具体的に説明する。 実施例1 シリコンジイミドを窒素ガス雰囲気下に1000℃で加
熱分解して得られた非晶質窒化珪素粉末(酸素含有量
0.55wt%)を、内径280mm、高さ150mm
のカーボン製ルツボに充填し、バッチ式電気炉にセット
した。次に、電気炉内を0.1torr以下に真空脱気
後、窒素ガスを導入し、窒素ガス流通下で加熱を開始し
た。室温から1550℃まで50〜100℃/hrで昇
温し、同温度に1時間保持した。
は0.75wt%、そのうち表面酸素量は0.10wt
%、比表面積は8.0m2/gであった。この結晶質窒
化珪素粉末を振動ミルに入れ、水分を0.04%含有す
る空気雰囲気下室温で30分間ミル処理を行なった。ミ
ル処理後の結晶質窒化珪素粉末の酸素含有量は1.20
wt%、そのうち表面酸素量は0.55wt%、比表面
積は9.5m2/gであった。
に、イットリア(信越化学(株)製)5wt%及びアル
ミナ(住友化学(株)製:AKP−30)3wt量%を
添加した配合粉を、媒体としてエタノールを用いて48
時間湿式混合した後、減圧乾燥した。得られた混合物を
断面が50×80mm角の金型を用いて矩形状に予備成形
した後、圧力1.5ton/cm2 でラバープレスした。得ら
れた成形体を電気炉を用いて窒素ガス雰囲気下1780
℃で2時間焼結した。
定結果を表2に示す。嵩密度はアルキメデス法により測
定した。また、曲げ強度は、作製した焼結体から3×4
×40mmのテストピースを切り出し、これを外スパン3
0mm、内スパン10mmの4点曲げ試験治具にセットし
て、室温及び1200℃における曲げ強度を測定した。
室温における曲げ強度はテストピース40本の平均値、
1200℃おける曲げ強度はテストピース10本の平均
値で求めた。
は、実施例1と同様にして、ミル処理を行なった。その
結果を表1に示す。得られた結晶質窒化珪素粉末を用い
て実施例1と同様にして、焼結体を製造した。得られた
焼結体の嵩密度及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
0.75wt%、比表面積8.0m2/gの結晶質窒化
珪素粉末92wt%に、イットリア(信越化学(株)
製)5wt%及びアルミナ(住友化学(株)製:AKP
−30)3wt量%を添加した配合粉を、媒体としてエ
タノールを用いて48時間湿式混合した後、減圧乾燥し
た。得られた混合物を断面が50×80mm角の金型を用
いて矩形状に予備成形した後、圧力1.5ton/cm2 でラ
バープレスした。得られた成形体を電気炉を用いて窒素
ガス雰囲気下1780℃で2時間焼結した。得られた焼
結体の嵩密度及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
は、実施例1と同様にして、ミル処理を行なった。その
結果を表1に示す。表1において、シラノール基のピー
ク強度は、拡散反射法によるFT−IRスペクトルにお
いてSi−OHの吸収(3750cm-1)強度をSi−
N−Siの吸収(950cm-1)強度で割った値であ
る。得られた結晶質窒化珪素粉末を用いて実施例1と同
様にして、焼結体を製造した。得られた焼結体の嵩密度
及び曲げ強度の測定結果を表2に示す。
れ、水分を3.1%含有する空気雰囲気下室温でミル処
理を行なった。水分量が多く、露点が25℃のため水分
が結露し、窒化珪素粉末がミル内壁にコ−ティングして
しまい、ミル処理が困難であった。
の酸素含有量及び粒子内部の酸素の分布を制御すること
ができ、さらに焼結助剤を粒子表面に容易に均一に被覆
できる焼結特性等に優れた結晶質窒化珪素粉末を生産性
良く大量に製造することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 非晶質窒化珪素粉末及び/又は含窒素シ
ラン化合物を焼成して得られる結晶質窒化珪素粉末を、
酸素を5〜40%含有し、残部が不活性ガスからなる雰
囲気中でミル処理することを特徴とする結晶質窒化珪素
粉末の製造法。 - 【請求項2】 非晶質窒化珪素粉末及び/又は含窒素シ
ラン化合物を焼成して得られる結晶質窒化珪素粉末を、
酸素を5〜40%及び水分を0.001〜2.0%含有
し、残部が不活性ガスからなる雰囲気中でミル処理する
ことを特徴とする結晶質窒化珪素粉末の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02143494A JP3350907B2 (ja) | 1993-05-18 | 1994-02-18 | 結晶質窒化珪素粉末の製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-116010 | 1993-05-18 | ||
JP11601093 | 1993-05-18 | ||
JP02143494A JP3350907B2 (ja) | 1993-05-18 | 1994-02-18 | 結晶質窒化珪素粉末の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0789703A JPH0789703A (ja) | 1995-04-04 |
JP3350907B2 true JP3350907B2 (ja) | 2002-11-25 |
Family
ID=26358493
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02143494A Expired - Lifetime JP3350907B2 (ja) | 1993-05-18 | 1994-02-18 | 結晶質窒化珪素粉末の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3350907B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2907366B2 (ja) * | 1993-05-18 | 1999-06-21 | 宇部興産株式会社 | 結晶質窒化珪素粉末の製造法 |
-
1994
- 1994-02-18 JP JP02143494A patent/JP3350907B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0789703A (ja) | 1995-04-04 |
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