JP2855602B2 - 窒化珪素粉末の製造方法 - Google Patents
窒化珪素粉末の製造方法Info
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Description
用な窒化珪素質焼結体の製造用原料として好適な窒化珪
素粉末の製造方法に関する。
化シランと液体アンモニアとを反応させ、生成した含窒
素シラン化合物(例えば、シリコンアミド、シリコンジ
イミド、シリコンニトロゲンイミド等)を加熱分解し
て、窒化珪素粉末を合成する方法は、既に知られてい
る。この方法によれば高純度、微粒子の非晶質窒化珪素
粉末を量産することができる。また、得られた非晶質窒
化珪素粉末は1300〜1700℃に焼成することによ
り、結晶質窒化珪素粉末になる。この結晶質窒化珪素粉
末の焼結性を向上させるためには粉末の表面積及び酸素
含有量が適当な範囲にある微細な粒状粒子からなる粉末
を製造することが必要である。
前に非晶質窒化珪素及び/又は含窒素シラン化合物を摩
砕し、かつ昇温過程において、被焼成物を1250〜1
430℃の範囲の温度に1時間以上保持することによる
結晶質窒化珪素粉末の製法が提案されている。この方法
によれば、微細な粒状粒子からなる結晶質窒化珪素粉末
を製造することができる。しかしながら、生成粉末の表
面積と酸素含有量を制御する方法としては、必ずしも十
分な方法とは言い難い。
素含有量とは密接な関係にあり、表面積が高いと酸素含
有量が高くなることが分かっている。これは、結晶質窒
化珪素粉末の粒子表面に酸化物又は酸窒化物層が形成さ
れている為である。結晶質窒化珪素粉末の酸素含有量が
高い程、焼結性は良好となり高密度な焼結体が得られる
が、このようにして作製された焼結体の機械的強度は十
分なレベルではなく、特に高温における強度低下の著し
いことが分かっている。したがって、高強度な焼結体を
作製する為には、結晶質窒化珪素粉末の比表面積/酸素
含有量比を高くし、高比表面積、低酸素含有量の結晶質
窒化珪素粉末を使用する必要がある。比表面積/酸素含
有量比を上げることにより窒化珪素粒子固有の焼結性が
向上し、室温から高温まで高い機械的強度を示す高特性
の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
して結晶質窒化珪素粉末を製造する方法においては、生
成する結晶質窒化珪素粉末の比表面積が、非晶質窒化珪
素粉末の酸素含有量及び焼成雰囲気中の酸素濃度に依存
するため、比表面積/酸素含有量比を高めることは容易
ではない。結晶質窒化珪素粉末の比表面積を上げるため
には、非晶質窒化珪素粉末の酸素含有量及び/又は焼成
雰囲気中の酸素濃度を上げる必要があり、その結果とし
て、不可避的に焼成後の結晶質窒化珪素粉末の酸素含有
量が上がってしまうという問題があった。
し、比表面積/酸素含有量比が高く(8m2/(g・w
t%)以上)、焼結活性の優れた結晶質窒化珪素粉末の
新規な製造方法を提供するものである。
シランと液体アンモニアとを反応させて含窒素シラン化
合物を合成し、これを加熱分解することにより窒化珪素
粉末を製造する方法において、出発原料として弗化シラ
ンと弗化シラン以外の1種類以上のハロゲン化シランと
の混合物を使用することを特徴とする窒化珪素粉末の製
造方法に関するものである。
ハロゲン化シランの混合物を使用する。具体的には、弗
化シランと弗化物以外のハロゲン化シランとの混合物を
使用する。特に、四弗化珪素と四塩化珪素との混合物を
使用した場合に本発明の効果が顕著となる。ハロゲン化
シランとしては、SiF4、H2SiF6、HSiF3、H3SiF5、H3Si
F、H5SiF3等の弗化シラン、SiCl4、HSiCl3、H2SiCl2、H
3SiCl等のクロルシラン、SiBr4、HSiBr3、H2SiBr2、H3S
iBr、等のブロモシラン、及びSiI4、HSiI3、H2SiI2、H3
SiI等のヨウ化シランを使用することができる。また、R
SiX3、R2SiX2、R3SiX(Rはアルキル基、Xはハロゲ
ン)等のハロゲン化アルキルシランも使用することがで
きる。
ランの混合物と液体アンモニアとを反応させることによ
り、シリコンアミド、シリコンジイミド、シリコンニト
ロゲンイミド等の含窒素シラン化合物を合成する。この
含窒素シラン化合物の合成は、特開昭54−14540
0に記載の方法によって行なうことができる。即ち、液
体アンモニアと溶けあわず、かつ比重が液体アンモニア
よりも大きな有機溶媒と液体アンモニアとが比重差によ
り二層に分離している反応系の下部有機溶媒層中にハロ
ゲン化シランを供給することによって、ハロゲン化シラ
ンと液体アンモニアとの反応を安定して生起させること
ができる。
5%以下の窒素あるいはアンモニア含有不活性ガス雰囲
気下に600〜1200℃の範囲の温度で仮焼して非晶
質窒化珪素粉末を製造する。窒素あるいはアンモニア含
有不活性ガスとしては、窒素またはアンモニア、あるい
はさらにアルゴン、ヘリウム等との混合ガスが挙げられ
る。
あるいはアンモニア含有不活性ガス雰囲気下に焼成して
結晶質窒化珪素粉末を製造する。焼成温度は1400〜
1700℃の範囲である。焼成温度が1400℃より低
いと、窒化珪素の結晶化が十分に進行しない。また、焼
成温度が1700℃を越えると、粗大結晶から成る結晶
質窒化珪素粉末が生成し易いので好ましくない。また、
急激な昇温は粒子形状を均一にする上で好ましくなく、
1250〜1400℃の範囲を1時間以上かけてゆっく
り昇温することが望ましい。
以上のハロゲン化シランの混合物を使用することによ
り、得られる結晶質窒化珪素粉末の比表面積を高くする
ことができ、したがって、粉末の比表面積/酸素含有量
の比が高くなって焼結性を向上させると共に、得られる
焼結体の強度、靱性等の機械的特性を向上させることが
できる。
理由については明らかではないが、以下のように考えら
れる。即ち、二種類以上のハロゲン化シランの混合物を
使用すると、生成する含窒素シラン化合物の比表面積が
低くなる。含窒素シラン化合物の比表面積が低いという
ことは、晶析過程における核発生−粒成長が変化したと
いうことであり、含窒素シラン化合物の重合構造自体も
変化しているものと思われる。この為、Si−NH−S
i結合の規則性が低下し、加熱分解により生成する非晶
質窒化珪素粒子内に欠陥が多数生成する。このような粒
子内の欠陥が、結晶化する際の核発生点となり、生成す
る結晶質窒化珪素粒子が微細になって、比表面積が高く
なるものと推測される。
ば四弗化珪素と弗化物以外のハロゲン化シラン、例えば
四塩化珪素との混合物を使用した場合に効果が顕著であ
ることから考察して、非晶質窒化珪素粒子表面に吸着し
たハロゲン基が、結晶化の際に何らかの作用を及ぼし
て、生成する結晶質窒化珪素粒子が微細となり、比表面
積が高くなるものとも推測される。
末の加熱に使用される加熱炉としては、高周波誘導加熱
方式または抵抗加熱方式によるバッチ炉、プッシャー
炉、ロータリーキルン炉、シャフトキルン炉、流動化焼
成炉等が用いられる。特に連続焼成炉は非晶質窒化珪素
の結晶化反応に伴う発熱の効率的な放散に対して、有効
な手段である。
らに具体的に説明する。 実施例1 (1)シリコンジイミドの合成 特開昭54−145400号公報に記載の方法に準じて
行った。−40℃に冷却された直径30cm、高さ45
cmの縦型反応槽内の空気を窒素ガスで置換した後、液
体アンモニア及びトルエンを仕込んだ。反応槽内では上
層の液体アンモニアと下層のトルエンとに分離した。予
め調製した四弗化珪素1wt%、四塩化珪素24wt
%、残部トルエンより成るハロゲン化珪素溶解トルエン
溶液20kgを導管を通じて、ゆっくり攪拌されている
下層に供給した。トルエン溶液の供給と共に、上下層の
界面近傍に白色の反応生成物が析出した。1時間で反応
を終了させた後、反応液を濾過槽へ移送し、反応生成物
を濾別して液体アンモニアで3回バッチ洗浄し、生成シ
リコンジイミド1.7kgを得た。
で加熱分解して、非晶質窒化珪素粉末1.3kgを得
た。次いで得られた非晶質窒化珪素粉末(酸素含有量
0.75wt%)をバッチ式振動ミルにて摩砕処理した
後、電気炉にて窒素雰囲気下1500℃で2時間加熱、
焼成して、灰白色の窒化珪素粉末1.25kgを得た。
この粉末のX線回折測定では、α−窒化珪素と3wt%
のβ−窒化珪素の回折線が認められた。この結晶質窒化
珪素粉末の酸素含有量は0.77wt%、比表面積は1
0.5m2/gであった。走査型電子顕微鏡による観察
では、0.1〜0.3μmの等軸的な粒状粒子のみが認
められた。これを振動ミルに投入し、空気雰囲気下室温
で15分間ミル処理を行った。ミル処理後の結晶質窒化
珪素粉末の粉末特性を表1に示す。
に、イットリア(信越化学(株)製)5wt%及びアル
ミナ(住友化学(株)製:AKP−30)2wt%を添
加した配合粉を、媒体としてエタノールを用いて48時
間湿式混合した後、減圧乾燥した。得られた混合物を断
面が50×80mm角の金型を用いて矩形状に予備成形し
た後、圧力1.5ton/cm2でラバープレスした。得られ
た成形体を、電気炉を用いて窒素ガス雰囲気下1780
℃で2時間焼結した。
性の測定結果を表2に示す。嵩密度はアルキメデス法に
より測定した。また、曲げ強度は、作製した焼結体から
3×4×40mmのテストピースを切り出し、これを外ス
パン30mm、内スパン10mmの4点曲げ試験治具にセッ
トして、室温及び1200℃における曲げ強度を測定し
た。室温における曲げ強度はテストピース40本の平均
値、1200℃における曲げ強度はテストピース10本
の平均値で求めた。また、靱性は、JIS R−160
7規定のSEPB法により測定した。
(SiHF3)1wt%、四臭化珪素5wt%、四塩化
珪素22wt%、残部トルエンよりなる溶液を使用した
以外は実施例1を繰り返し、結晶質窒化珪素粉末1.2
8kgを得た。得られた結晶質窒化珪素粉末の酸素含有
量は0.78wt%、比表面積は10.2m2/gであ
った。この結晶質窒化珪素粉末を振動ミルに投入し、空
気雰囲気下、室温で15分間ミル処理を行った。ミル処
理後の結晶質窒化珪素粉末の粉末特性を表1に示す。得
られた結晶質窒化珪素粉末を用いて実施例1と同様にし
て焼結体を製造した。得られた焼結体の嵩密度、曲げ強
度及び靱性の測定結果を表2に示す。
珪素0.4wt%、四塩化珪素22wt%、トリクロル
シラン2.6wt%、残部トルエンよりなる溶液を使用
した以外は実施例1を繰り返し、結晶質窒化珪素粉末
1.26kgを得た。得られた結晶質窒化珪素粉末の酸
素含有量は0.82wt%、比表面積は10.6m2/
gであった。この結晶質窒化珪素粉末を振動ミルに投入
し、空気雰囲気下、室温で15分間ミル処理を行った。
ミル処理後の結晶質窒化珪素粉末の粉末特性を表1に示
す。得られた結晶質窒化珪素粉末を用いて実施例1と同
様にして焼結体を製造した。得られた焼結体の嵩密度、
曲げ強度及び靱性の測定結果を表2に示す。
珪素3wt%、四塩化珪素22wt%、残部トルエンよ
りなる溶液を使用した以外は実施例1を繰り返し、結晶
質窒化珪素粉末1.25kgを得た。得られた結晶質窒
化珪素粉末の酸素含有量は0.83wt%、比表面積は
10.0m2/gであった。この結晶質窒化珪素粉末を
振動ミルに投入し、空気雰囲気下、室温で15分間ミル
処理を行った。ミル処理後の結晶質窒化珪素粉末の粉末
特性を表1に示す。得られた結晶質窒化珪素粉末を用い
て実施例1と同様にして焼結体を製造した。得られた焼
結体の嵩密度、曲げ強度及び靭性の測定結果を表2に示
す。
四塩化珪素のみを使用した以外は、実施例1を繰り返し
て結晶質窒化珪素粉末1.22kgを得た。得られた結
晶質窒化珪素粉末の酸素含有量は0.85wt%、比表
面積は9.2m2/gであった。この結晶質窒化珪素粉
末を振動ミルに投入し、空気雰囲気下室温で15分間ミ
ル処理を行った。ミル処理後の結晶質窒化珪素粉末の粉
末特性を表1に示す。得られた結晶質窒化珪素粉末を用
いて実施例1と同様にして焼結体を製造した。得られた
焼結体の嵩密度、曲げ強度及び靭性の測定結果を表2に
示す。
比が高く(8m2/(g・wt%)以上)、焼結活性の
優れた結晶質窒化珪素粉末を製造することができ、これ
を用いて室温から高温まで高い機械的強度を示す高特性
の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】ハロゲン化シランと液体アンモニアとを反
応させて、含窒素シラン化合物を合成し、これを加熱分
解することにより窒化珪素粉末を製造する方法におい
て、出発原料として弗化シランと弗化シラン以外の1種
類以上のハロゲン化シランとの混合物を使用することを
特徴とする窒化珪素粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5212982A JP2855602B2 (ja) | 1993-08-27 | 1993-08-27 | 窒化珪素粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5212982A JP2855602B2 (ja) | 1993-08-27 | 1993-08-27 | 窒化珪素粉末の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0769608A JPH0769608A (ja) | 1995-03-14 |
JP2855602B2 true JP2855602B2 (ja) | 1999-02-10 |
Family
ID=16631513
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5212982A Expired - Lifetime JP2855602B2 (ja) | 1993-08-27 | 1993-08-27 | 窒化珪素粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2855602B2 (ja) |
-
1993
- 1993-08-27 JP JP5212982A patent/JP2855602B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0769608A (ja) | 1995-03-14 |
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