JP4264236B2 - 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、窒化アルミニウム焼結体の製造方法に関し、より詳細には、熱伝導性に遜色がないのは勿論のこと、体積固有抵抗値の温度依存性が緩和された窒化アルミニウム焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウム焼結体は、電気絶縁性、熱伝導性、機械的強度に優れていることから、半導体基板材料として広く利用されている。また、窒化アルミニウム焼結体は、ハロゲン系腐食性ガスに対して高い耐食性を有することから、静電チャック等の部材としての利用が期待され、一部利用されている。
【0003】
従来の窒化アルミニウム焼結体は、焼結助剤として例えばイットリア(Y2O3)、カルシア(CaO)などを含有したものであり、このような窒化アルミニウム焼結体の体積固有抵抗値は室温で1×1014Ωcm程度、550℃で1×107Ωcm程度であり、温度の上昇とともに低下する。従って、このような窒化アルミニウム焼結体を用いた静電チャックを高温で使用すると、内部電極から電流が漏れてしまうため、使用温度条件に制限があった。
【0004】
また、焼結助剤としてマグネシア(MgO)を含有した窒化アルミニウム焼結体もあり、その体積固有抵抗値は600℃で約1×1011Ωcm程度と高温域でも高い体積固有抵抗値を有しているものの、熱伝導率が室温で60W/mK程度と低いものであった。
【0005】
さらに、化学的気相合成法を用い、結晶相のC軸長さ(格子定数)が4.7973−4.990Åであり、酸素含有量が0.005−20原子%である、結晶性の窒化アルミニウム焼結体を製造することによって、窒化アルミニウム焼結体の体積固有抵抗値を増大させる試みがなされている(例えば、特開平8−51001号公報)。
【0006】
しかしながら、特開平8−51001号公報に記載された方法においては、得られた窒化アルミニウム焼結体の、室温(25℃)における体積固有抵抗値はある程度改善されるものの、高温における体積固有抵抗値については十分に改善することができず、結果的に使用温度条件が制限されてしまうという問題があった。また、化学的気相合成法を用いるため、大量の窒化アルミニウム焼結体を短時間で製造することは困難であり、実用上の問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術が有する上記問題点を解決するためのものであり、そのために具体的に設定された課題は、体積固有抵抗値の温度依存性が効率良く緩和された窒化アルミニウム焼結体を廉価に製造することができる窒化アルミニウム焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題解決のため鋭意検討した結果、窒化アルミニウムの焼結助剤としてランタン化合物を用い、特定の条件下で焼結すれば、窒化アルミニウム焼結体の組成、組織構造を制御し得て、上記の課題を効率よく解決し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明で目標とする窒化アルミニウム焼結体は、ランタン(La)とアルミニウム(Al)との複合酸化物が三重点に存在し、かつ温度25℃における体積固有抵抗値R25と、温度550℃における体積固有抵抗値R550との比R25/R550が1×106未満である窒化アルミニウム焼結体であって、
前記窒化アルミニウム焼結体における窒化アルミニウム(AlN)粒子のC軸長さ(格子定数)が4.9780Å以上、4.9825Å以下であり、ランタン(La)含有量が金属ランタン(La)換算で2重量%以下であることを特徴とする。
【0010】
前記窒化アルミニウム焼結体においては、窒化アルミニウム粉末に随伴して導入される不純物酸素元素をランタンとアルミニウムとの複合酸化物として捕捉・固定し、この複合酸化物を窒化アルミニウム(AlN)粒子の三重点に析出せしめることにより前記酸素元素を窒化アルミニウム結晶相中に固溶させない、即ち、前記窒化アルミニウム結晶相におけるC軸長(格子定数)が窒化アルミニウム単相におけるそれ(4.9780Å)よりも大きくシフトしないようにし、かつ三重点に析出したランタンとアルミニウムとの複合酸化物を窒化アルミニウム焼結体の系外に排出せしめて窒化アルミニウム焼結体中のランタン含有量を2重量%以下としたことにより、窒化アルミニウム焼結体の体積固有抵抗値の温度依存性が緩和され、温度変化に伴う体積固有抵抗値の変化が小さなものとなっている。
【0011】
上述の組成、組織構造を有する窒化アルミニウム焼結体は、温度25℃における体積固有抵抗値が1×101 3Ωcm〜1×101 5Ωcmであり、静電チャックなどの電極内蔵サセプタに好適に使用可能な抵抗値を有したものである。また、温度25℃における体積固有抵抗値R25と、温度550℃における体積固有抵抗値R550との比R25/R550が1×10 6 未満であり、体積固有抵抗値の温度依存性が緩和され、温度変化に伴う体積固有抵抗値の変化が小さいものとなっている。
【0012】
本発明の窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、酸素含有量が0.5重量%以下の窒化アルミニウム粉末にランタン化合物粉末を、酸化ランタン(La2O3)換算で3重量%〜13重量%(内割り)添加して混合粉末を得、この混合粉末を炭素型中で、非酸化性雰囲気、焼結温度1700〜2350℃の焼結条件下で加圧焼結し、加圧焼結後少なくとも1500℃まで4℃/分以下の降温速度で降温することにより、焼結体の体積固有抵抗の温度依存性R 25 /R 550 が1×10 6 未満である窒化アルミニウム焼結体を得るものである。
【0013】
前記窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、焼結助剤としてのランタン化合物粉末を所定量窒化アルミニウム粉末に添加し、特定条件下で加圧焼結するものであるから、従来のセラミックス焼結体製造装置をそのまま使用することができるので、上記特性を備えた窒化アルミニウム焼結体を廉価に製造することができる。また、加圧焼結後の降温速度を、少なくとも1500℃まで4℃/分以下とすることによって、前記のランタンとアルミニウムとの複合酸化物が効率よく系外に排出され、体積固有抵抗値の温度依存性が緩和された窒化アルミニウム焼結体を製造し得る。
【0014】
前記窒化アルミニウム焼結体の製造方法においては、加圧焼結時の加圧力が15MPa以上であることが好ましい。この場合、三重点に析出したランタンとアルミニウムとの前記複合酸化物を、窒化アルミニウム焼結体の系外に効率良く排出することができ、体積固有抵抗値の温度依存性を緩和して、温度変化が小さく、しかも、半導体製造装置用部材として用いられるときコンタミネーションの原因となるランタン濃度が低い窒化アルミニウム焼結体を製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を掲げ、本発明を詳述する。なお、この実施の形態は、特に指定のないかぎり、発明内容を限定するものでない。
【0018】
[窒化アルミニウム焼結体]
この実施の形態に係る窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウム粉末とランタン化合物との混合粉末を焼結して得られたものであり、窒化アルミニウム(AlN)結晶粒子の三重点に、ランタン(La)とアルミニウム(Al)との複合酸化物が析出した組織を有し、前記窒化アルミニウム焼結体中におけるランタン(La)含有量が金属ランタン(La)換算で2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.005重量%〜0.3重量%以下となっている。
【0019】
前述したランタン(La)とアルミニウム(Al)との複合酸化物は、焼結助剤として添加されたランタン化合物中のランタン元素と、窒化アルミニウム中のアルミニウム元素と、窒化アルミニウムに随伴して導入された酸素元素から生成したものである。
【0020】
ランタン(La)とアルミニウム(Al)との前記複合酸化物は、例えば、LaAlO3、LaAl11O18のうちの少なくとも1種であり、前者にあってはランタン(La)元素1個あたり酸素(O)元素3個を、後者にあってはランタン(La)元素1個あたり酸素(O)元素18個を捕捉し、固定することができる。
【0021】
従って、前記の随伴・導入された酸素元素は窒化アルミニウム結晶相中に実質的に固溶することなく、窒化アルミニウム結晶粒子の三重点に固定されている。そのため、この実施の形態に係る窒化アルミニウム焼結体中における、窒化アルミニウム結晶相のc軸長(格子定数)は、4.9780Å以上、4.9825Å以下となっており、窒化アルミニウム単相のc軸長(4.9780Å)から大きくシフトしていないことが分かる。したがって、窒化アルミニウム結晶に対する不純物酸素元素の影響はほとんどなく、窒化アルミニウム本来の適度な体積固有抵抗値を維持することができる。
【0022】
また、前記窒化アルミニウム焼結体にあっては、窒化アルミニウム結晶粒子の三重点に析出したランタン(La)とアルミニウム(Al)との複合酸化物が窒化アルミニウム焼結体の系外に排出され、その結果、前記窒化アルミニウム焼結体中におけるランタン(La)含有量が金属ランタン(La)換算で2重量%以下、好ましくは1.5〜0.001重量%となっており、高温度域での抵抗値が低い前記複合酸化物が窒化アルミニウム結晶粒子の三重点に適量存在している。
【0023】
そのため、前記窒化アルミニウム焼結体の、温度25℃における体積固有抵抗値は1×101 3Ωcm〜1×1015Ωcmの範囲内となっており、静電チャックなどの電極内蔵型サセプタに好適に使用可能な抵抗値を有したものとなっている。
【0024】
また、前記窒化アルミニウム焼結体にあっては、高温域での体積固有抵抗値の低下の原因である前記複合酸化物の残存量が少量となっているため、温度25℃における体積固有抵抗値R25と、温度550℃における体積固有抵抗値R550との比R25/R550が1×10 6 未満となっており、体積固有抵抗値の温度依存性が緩和され、温度変化に伴う体積固有抵抗値の変化が小さいものとなっている。そのため、この窒化アルミニム焼結体で例えば静電チャックを構成すると、広い温度領域において安定した静電吸着力が得られる。
【0025】
[窒化アルミニウム焼結体の製造方法]
前記の特性を有する窒化アルミニウム焼結体は、例えば、以下の製造方法により製造することができる。
即ち、この実施の形態に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、酸素含有量が0.5重量%以下の窒化アルミニウム粉末にランタン化合物粉末を、酸化ランタン(La2O3)換算で3重量%〜13重量%(内割り)、より好ましくは5重量%〜12重量%(内割り)添加して混合粉末を得、この混合粉末を炭素型中で、非酸化性雰囲気、焼結温度1700℃〜2300℃、より好ましくは1800〜1950℃の焼結条件下で加圧焼結し、加圧焼結後少なくとも1500℃まで4℃/分以下の降温速度で降温する。
【0026】
前記した低酸素含有量の窒化アルミニウム粉末は、例えば、有機アルミニウムとアミン類との混合物を熱分解する方法(以下、熱分解法という)に従って得ることができる。熱分解法によれば、窒化アルミニウム粉末中における不可避不純物の酸素含有量を0.1〜0.5重量%まで低減することができる。
【0027】
前記窒化アルミニウム粉末の粒径は特に制限されるものでなく、例えば0.2〜1μmのものを使用することができる。
【0028】
前記ランタン化合物粉末は、例えば、酸化ランタン(La2O3)の他、ランタンの硝酸塩、炭酸塩、ハロゲン化物などを好適に使用することができる。前記のランタン化合物粉末の粒径も特に制限されるものでなく、例えば0.1〜3μmのものを使用することができる。
【0029】
本発明の製造方法においては、前述した窒化アルミニウム粉末とランタン化合物粉末とを、ランタン化合物粉末の含有量が酸化ランタン(La2O3)換算で3重量%〜13重量%(内割り)となるよう、混合する。
【0030】
このランタン化合物粉末の含有量は、不純物酸素を捕捉・固定するのに充分な、若しくはやや過剰な量である。即ち、ランタン化合物粉末の含有量が、酸化ランタン(La2O3)換算で3重量%を下回ると、窒化アルミニウム粉末に随伴されて導入される不純物酸素を充分に捕捉・固定することができず、体積固有抵抗値の温度依存性が緩和されない。一方、ランタン化合物粉末の含有量が、酸化ランタン(La2O3)換算で13重量%を超えると、ランタンとアルミニウムとの複合酸化物が多量に窒化アルミニウム焼結体中に残存するため、体積固有抵抗値の温度依存性が緩和されない。
【0031】
混合に際しては、イソプロピルアルコールなどのアルコール類を適量添加して湿式混合し、噴霧乾燥して造粒粉としてもよい。
【0032】
前述した混合粉末または造粒粉は、加圧焼結機の加圧容器に充填する。ただし、以下に詳述するように、加圧容器は炭素製であることが必要である。加圧焼結装置としては、ホットプレス(HP)焼結装置が好適に用いられる。
【0033】
加圧焼結の際の焼結温度は、1700℃〜2300℃、より好ましくは1800〜1950℃の温度範囲とする。その理由は、焼結温度が1700℃未満では、ランタン(La)とアルミニウム(Al)との複合酸化物が充分に生成せず、窒化アルミニウム粉末に随伴・導入される不純物酸素を充分に捕捉・固定できないからであり、また、前記の複合酸化物が液相とならないからであり、ランタン炭化物に充分転換せしめられないからである。なお、前記のランタン炭化物は、前記の複合酸化物が、炭素製の加圧容器に由来の炭素により還元されて生成したものである。一方、焼結温度が2300℃を超えると、加圧焼結の際に窒化アルミニウムの分解が進行し、緻密な窒化アルミニウム焼結体が得られない。
【0034】
加圧焼結の際の雰囲気は、非酸化性雰囲気であれば特に制限されず、例えば、真空雰囲気、N2ガス、Arガスなどの不活性雰囲気、COガスなどの還元性雰囲気のいずれも使用可能である。酸化性雰囲気下で加圧焼結すると、窒化アルミニウムが酸化されてしまうので不適である。
【0035】
上述したように、窒化アルミニウム粉末とランタン化合物粉末との混合粉末を加圧焼結する際の加圧容器は炭素製であることが必要である。これによって、窒化アルミニウム粒子への酸素の固溶を十分に抑制することができ、室温25℃における体積固有抵抗値が1×1013Ωcm〜1×1015Ωcmである窒化アルミニウム焼結体を簡易に得ることができるようになる。これは、ランタン化合物中のランタン(La)原子がランタン炭化物となって窒化アルミニウム焼結体の系外に排出され、その後、窒化アルミニウム中に固溶した酸素(O)原子と反応することによって、前記複合酸化物が形成されるためと考えられる。
【0036】
一方、炭素製の加圧容器を用いることなく、窒化アルミニウム粉末とランタン化合物粉末との混合粉末中に炭素又炭素化合物を予め添加した場合においては、窒化アルミニウム粒子への酸素の固溶を十分に抑制することができずに、体積固有抵抗値は著しく低下してしまう。
【0037】
また、前記の窒化アルミニウム焼結体の製造方法において、加圧焼結後の降温速度は、少なくとも1500℃まで、4℃/分以下、好ましくは3℃/分以下、より好ましくは1℃/分以下とする。降温速度をこのようにすることにより、ランタンとアルミニウムとの前記複合酸化物を窒化アルミニウム粒子の三重点に析出せしめることができ、得られる窒化アルミニウム焼結体中におけるランタン(La)含有量を金属ランタン(La)換算で2重量%以下とすることができる。これによって、体積固有抵抗値の温度依存性がより一層緩和され、温度変化に伴う体積固有抵抗値の変化が小さく、しかも、半導体製造装置用部材として用いられるときコンタミネーションの原因となるランタン濃度が低い窒化アルミニウム焼結体を製造し得る。
【0038】
また、前記窒化アルミニウム焼結体の製造方法においては、加圧焼結時の加圧力は15MPa以上、より好ましくは20MPa以上であること好ましい。加圧焼結時の加圧力を15MPa以上とすることにより、前記複合酸化物の前駆体である液相化した炭化ランタン(融点:1500℃程度)を窒化アルミニウム焼結体の系外により一層効率よく排出せしめることができる。
【0039】
[電極内蔵型サセプタ]
この実施の形態に係る電極内蔵型サセプタは、前記の製造方法により製造され、前記の組織構造、組成を有する窒化アルミニウム焼結体からなるサセプタ基体と、前記サセプタ基体の内部に設けられた内部電極と、前記サセプタ基体に固定され前記内部電極に連結された給電用端子とを備えている。ここに、前記の内部電極は静電気により静電吸着力を発生させる静電吸着電極、電流を導入して発熱させるヒータ電極、または高周波を印加してプラズマを発生させるプラズマ発生電極であってよい。
【0040】
このように構成された電極内蔵型サセプタにあっては、サセプタ基体を構成する窒化アルミニウム焼結体の温度依存性が緩和され、温度変化に伴う体積固有抵抗値の変化が小さいので、例えば、安定した静電吸着力が得られ、使用温度条件の制限がなく、しかも、半導体製造装置用部材として用いられるときコンタミネーションの原因とならない。
【0041】
【実施例】
以下、実施例と比較例を掲げ、本発明を更に詳述する。
[窒化アルミニウム焼結体の作製]
(実施例1)
熱分解法で製造された窒化アルミニウム粉末(三井化学(株)製、平均粒径:0.5μm、不純物酸素含有量:0.4重量%)と、酸化ランタン粉末(日本イットリウム(株)製、平均粒径:3μm)とを、表1に示した比率(酸化ランタンの含有量11.5重量%)で混合し、この混合粉末をイソプロピルアルコールと共に遊星ミルにチャージし、この遊星ミルを6時間ランニングさせてスラリーとした。次いで、このスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、造粒粉とした。
【0042】
次いで、この造粒粉を黒鉛製のホットプレス容器に充填し、一軸加圧力20MPa、窒素雰囲気中1気圧、1800℃の温度で加圧焼結し、窒化アルミニウム焼結体を得た。なお、1800℃まで昇温速度5℃/分で昇温し、この温度に2時間保持した後、1500℃まで降温速度1℃/分で降温し、1500℃から室温までは降温速度5℃/分で降温した。
【0043】
また、得られた窒化アルミニウム焼結体の表面に、ランタン炭化物とアルミニウム炭化物の生成をX線回析法により確認した。さらに、得られた窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を、レーザーフラッシュ法を用いて測定したところ166W/mKであった。
【0044】
(実施例2)
実施例1に準じて、窒化アルミニウム焼結体を得た。ただし、窒化アルミニウム粉末と酸化ランタン粉末の配合比率を表1に示した比率にそれぞれ変更した。
【0045】
(比較例1及び2)
実施例1に準じて、窒化アルミニウム焼結体を得た。ただし、窒化アルミニウム粉末と酸化ランタン粉末の配合比率を表1に示した比率にそれぞれ変更した。
【0046】
(比較例3)
実施例2に準じて、窒化アルミニウム焼結体を得た。ただし、焼結温度(1800℃)から1500℃までの降温速度を5℃/分に変更した。
【0047】
(比較例4)
実施例2に準じて、窒化アルミニウム焼結体を得た。ただし、酸化ランタン粉末に替えて、酸化イットリウム(Y2O3)粉末(日本イットリウム(株)製、平均粒径:3μm)を用いた。また、得られた窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率を、レーザーフラッシュ法を用いて測定したところ170W/mKであった。
【0048】
(比較例5)
比較例2に準じて、窒化アルミニウム焼結体を得た。ただし、酸化ランタン粉末に替えて前記酸化イットリウム粉末を用い、また、加圧焼結法に替えて常圧(1気圧)焼結法を用いた。
【0049】
[窒化アルミニウム焼結体の評価]
実施例1、2、及び比較例1〜5窒化アルミニウム焼結体の、窒化アルミニウム結晶粒子の粒界及び三重点に析出した相をX線回析法を用いて同定し、併せて、実施例1、2、及び比較例1〜3の窒化アルミニウム結晶粒子のC軸長(格子定数)を算出した。また、ランタン(La)含有量をICP発光分析法および蛍光X線分析法を用いて定量した。
【0050】
さらに、実施例1、2、及び比較例1〜5の窒化アルミニウム焼結体の25℃、550℃における体積固有抵抗値を、窒素雰囲気下、JIS 2141に基づいた絶縁物の体積抵抗率の測定法を用いて測定した。これらの結果を表1に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
[窒化アルミニウム焼結体の評価結果]
表1に示された結果より明らかなとおり、実施例1、2の窒化アルミニウム焼結体は、温度25℃における体積固有抵抗値R25と、温度550℃における体積固有抵抗値R550との比R25/R550が1×10 6 未満となっているのに対して、比較例1〜5の窒化アルミニウム焼結体のそれは、いずれも1×10 6 以上となっている。従って、実施例1、2の窒化アルミニウム焼結体の体積固有抵抗値の温度依存性が緩和されており、温度変化に伴う体積固有抵抗値の変化が小さいものとなっている。
【0053】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0055】
【発明の効果】
本発明に係る窒化アルミニウム焼結体の製造方法は、酸素含有量が0.5重量%以下の窒化アルミニウム粉末にランタン化合物粉末を、酸化ランタン(La2O3)換算で3重量%〜13重量%(内割り)添加して混合粉末を得、この混合粉末を炭素型中で、非酸化性雰囲気中、焼結温度1700〜2300℃の焼結条件下で加圧焼結し、加圧焼結後少なくとも1500℃まで4℃/分以下の降温速度で降温するものであるので、従来のセラミックス焼結体の製造装置をそのまま使用でき、前記特性を備えた窒化アルミニウム焼結体を廉価に製造することができる。
Claims (2)
- 酸素含有量が0.5重量%以下の窒化アルミニウム粉末にランタン化合物粉末を、酸化ランタン(La2O3)換算で3重量%〜13重量%(内割り)添加して混合粉末を得、この混合粉末を炭素型中で、非酸化性雰囲気、焼結温度1700〜2300℃の焼結条件下で加圧焼結し、加圧焼結後少なくとも1500℃まで4℃/分以下の降温速度で降温することを特徴とする焼結体の体積固有抵抗の温度依存性R 25 /R 550 が1×10 6 未満である窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- 加圧焼結時の加圧力が15MPa以上であることを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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