JPH10270602A - 電子回路装置、該電子回路装置の封止層の形成方法、回路基板、及び前記封止層の形成に使用する金型 - Google Patents

電子回路装置、該電子回路装置の封止層の形成方法、回路基板、及び前記封止層の形成に使用する金型

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JPH10270602A
JPH10270602A JP9076278A JP7627897A JPH10270602A JP H10270602 A JPH10270602 A JP H10270602A JP 9076278 A JP9076278 A JP 9076278A JP 7627897 A JP7627897 A JP 7627897A JP H10270602 A JPH10270602 A JP H10270602A
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Japan
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mold
thermoplastic resin
sealing layer
circuit device
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JP9076278A
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Norihiro Inoue
則宏 井上
Masahiro Yoshida
昌弘 吉田
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Denso Ten Ltd
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Denso Ten Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/22Secondary treatment of printed circuits
    • H05K3/28Applying non-metallic protective coatings
    • H05K3/284Applying non-metallic protective coatings for encapsulating mounted components

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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Molding Of Porous Articles (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
  • Encapsulation Of And Coatings For Semiconductor Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来より熱硬化性樹脂を使用し、トランスフ
ァーモールドにより電子回路装置を含んだ樹脂の一体成
形を行う方法が提案されているが、この方法では硬化時
間が長いため、生産性に劣るという課題があった。 【解決手段】 電子部品12が実装された回路基板11
のほぼ全体が、均一に気孔が分散したポリプロピレン等
の熱可塑性樹脂からなる封止層13により覆われた構成
の電子回路装置10とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子回路装置、該電
子回路装置の封止層の形成方法、回路基板、及び前記封
止層の形成に使用する金型に関し、より詳細には回路基
板上に電子部品を実装した電子回路装置のほぼ全体を覆
うように封止層が形成された電子回路装置、射出形成法
による前記電子回路装置の封止層の形成方法、前記電子
回路装置を構成する回路基板、及び前記封止層の形成に
使用する金型に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体パッケージや表面実装デバイス等
の電子部品が搭載された回路基板は、通常、保護ケース
に納められ、コネクタ等の外部接続端子を介して種々の
電子機器と接続される。
【0003】前記回路基板上に実装される電子部品、あ
るいは使用される場所によっては、防湿、防水が必要と
なる場合があり、通常、この場合には金属製、又は樹脂
製の保護ケースの内部に、前記電子部品を実装した回路
基板を納めた後、前記保護ケースを気密に封着してい
る。
【0004】しかし、保護ケースを使用する場合、前記
電子部品を実装する回路基板の形状に合った保護ケース
を作製し、該保護ケースの内部に前記回路基板をネジ等
により固定した後、前記保護ケースを気密に封着する必
要があり、前記回路基板を封入するための部品の数も多
くなると同時に組み立てのための工程数も多くなり、全
体のコストが高く付くという問題があった。
【0005】上記問題を解決するために、エポキシ樹脂
やポリウレタン等の熱硬化性樹脂を用い、トランスファ
ーモールドにより電子部品が実装された回路基板を一体
成形する方法が提案されている。前記方法により、前記
回路基板の全体を覆うように封止層を形成することがで
き、前記電子部品が実装された回路基板を完全に封止す
ることができる。
【0006】また、上記方法においては、所定形状の金
型さえ作製しておけば、後は一段の工程で前記回路基板
の封止が終了するため、封止のためのコストを低減する
ことができる。また、前記電子部品や前記回路基板が樹
脂の内部に埋め込まれているため、防湿や防水もほぼ完
全であり、取扱いも簡単である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記熱硬化性
樹脂を使用する成形方法においては、金型内に注入され
た熱硬化性樹脂が3次元の網状構造を形成することによ
り硬化するため、硬化時間が数分程度と長くなり、生産
性が余り良くないという課題があった。
【0008】また、外部接続用のコネクタが付設される
回路基板を一体成形する場合には、前記コネクタの固定
位置にバラツキが生じるため、金型のコネクタ挿入位置
と電子回路装置の前記コネクタの位置とが一致せず、一
体成形を行うことができない場合が生ずるという課題が
あった。
【0009】上記課題を解決するため、前記回路基板の
コネクタ固定位置のバラツキを考慮して、金型のコネク
タ嵌合部を少し大きめに設定すると、前記金型に樹脂を
注入した際、前記コネクタと前記金型のコネクタ嵌合部
との隙間から樹脂が流出し、いわゆるバリが発生すると
いう別の問題が生じる。
【0010】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、短時間で電子部品が実装された回路基板を樹脂によ
り一体成形することができ、またコネクタが付設された
回路基板であってもバリ等を発生させずに前記回路基板
を樹脂により一体成形することができる電子回路装置の
封止層の形成方法、前記方法により作製された電子回路
装置、該電子回路装置を構成する回路基板、及び前記封
止層の形成に使用する金型を提供することを目的として
いる。
【0011】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を
達成するために本発明に係る電子回路装置(1)は、電
子部品が実装された回路基板のほぼ全体が熱可塑性樹脂
による封止層により覆われていることを特徴としてい
る。
【0012】上記電子回路装置(1)によれば、前記回
路基板の全体が熱可塑性樹脂による封止層により覆わ
れ、固定されているので、防水性、耐湿性、耐食性等に
優れると同時に、取り扱いも容易である。
【0013】また本発明に係る電子回路装置(2)は、
上記電子回路装置(1)において、前記熱可塑性樹脂と
して、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及
び熱可塑性エラストマーのうちの少なくとも1種が用い
られていることを特徴としている。
【0014】上記電子回路装置(2)によれば、前記熱
可塑性樹脂として、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレ
ン系樹脂、及び熱可塑性エラストマーのうちの少なくと
も1種が用いられているので、高周波に対する遮断性等
に優れ、かつ射出成形等の汎用されている成形法を利用
することができる。また、熱可塑性エラストマーは弾性
に富んでいるので、前記回路基板のはんだ付け部にかか
る応力が緩和され、はんだ付け部の回路基板からの剥離
等を確実に防止することができる。
【0015】また本発明に係る電子回路装置(3)は、
上記電子回路装置(1)又は(2)において、熱可塑性
樹脂による前記封止層が、均一に分散した気孔を含んで
いることを特徴としている。
【0016】上記電子回路装置(3)によれば、前記封
止層が均一に分散した気孔を含んでいるので、全体を軽
量化することができると同時に、熱可塑性樹脂の量が少
なくて済み、安価な電子回路装置を提供することができ
る。
【0017】また本発明に係る電子回路装置の封止層の
形成方法(1)は、電子部品が実装された回路基板を金
型の内部に載置し、溶融状態の熱可塑性樹脂を前記金型
内に注入することにより、前記回路基板のほぼ全体を覆
うように前記熱可塑性樹脂による封止層を形成すること
を特徴としている。
【0018】上記電子回路装置の封止層の形成方法
(1)によれば、前記熱可塑性樹脂を使用しているの
で、成形時の温度をはんだの溶融温度より余り高くない
温度に設定することができると同時に、硬化時間を極め
て短くすることができる。従って、前記回路基板のはん
だ付け部にかかる熱負荷を少なくすることができ、例え
ばはんだ付け部が多少溶融したとしても、該はんだ付け
部の表層のみが溶融する程度に止めることができ、前記
はんだ付け部の前記回路基板からの剥離等を防止するこ
とができる。
【0019】また本発明に係る電子回路装置の封止層の
形成方法(2)は、上記電子回路装置の封止層の形成方
法(1)において、前記熱可塑性樹脂に発泡剤を混入
し、前記金型への注入時に前記熱可塑性樹脂を発泡させ
ることを特徴としている。
【0020】上記電子回路装置の封止層の形成方法
(2)によれば、前記金型への注入時に前記熱可塑性樹
脂を発泡させるので、熱可塑性樹脂の密度が小さくな
り、それに伴い熱容量も小さくなり、前記回路基板のは
んだ付け部にかかる熱負荷を少なくすることができ、前
記はんだ付け部の前記回路基板からの剥離等をより確実
に防止することができる。また、軽量化及び使用量の低
減に伴う低コスト化も図ることができる。
【0021】また本発明に係る電子回路装置の封止層の
形成方法(3)は、上記電子回路装置の封止層の形成方
法(1)又は(2)において、前記金型内に注入される
熱可塑性樹脂の流入速度を低減させるため、注入ゲート
の近傍に回路基板の端部が位置するように実装回路基板
を載置した後、前記熱可塑性樹脂の注入を行うことを特
徴としている。
【0022】上記電子回路装置の封止層の形成方法
(3)によれば、前記注入ゲートの近傍に前記回路基板
の端部を位置させるので、前記金型内に注入される熱可
塑性樹脂は前記回路基板の端部にあたってその速度をゆ
るめ、その後金型内にいきわたることになる。そのた
め、前記回路基板上の電子部品等が前記熱可塑性樹脂の
流入により大きな力を受けることはなくなり、前記回路
基板より剥離したりするのを防止することができる。
【0023】また本発明に係る回路基板(1)は、一辺
の略中央に面方向に延びた突起が形成されていることを
特徴としている。
【0024】上記回路基板(1)の前記突起が樹脂注入
ゲート近傍に位置するように前記回路基板を前記金型内
に載置することにより、前記熱可塑性樹脂の流れは前記
突起により規制され、前記金型内を均一に流動・拡散す
るようになり、形成される前記封止層に巣が発生するの
を防止することができる。
【0025】また本発明に係る電子回路装置の封止層の
形成方法(4)は、上記電子回路装置の封止層の形成方
法(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記金型内に注
入される熱可塑性樹脂が前記金型内を均一に流動・拡散
するように、上記回路基板(1)の前記突起が注入ゲー
ト近傍に位置するように前記回路基板を前記金型内に載
置した後、前記熱可塑性樹脂の注入を行うことを特徴と
している。
【0026】上記電子回路装置の封止層の形成方法
(4)によれば、前記金型内に注入される前記熱可塑性
樹脂の流れが前記突起により規制されて前記金型内を均
一に流動・拡散するようになり、形成される封止層に巣
が発生するのを防止することができる。
【0027】また本発明に係る金型(1)は、電子回路
装置の封止層の形成に使用する金型であって、最終充填
部に成形圧力低減用の湯溜まりが形成されていることを
特徴としている。
【0028】上記金型(1)によれば、前記最終充填部
に成形圧力低減用の湯溜まりが形成されているので、前
記金型内に前記熱可塑性樹脂を注入した際、前記熱可塑
性樹脂の前記電子部品に作用する圧力を大きく低減させ
ることができ、前記圧力により電子部品に歪や破損等が
発生するのを防止することができる。
【0029】また本発明に係る金型(2)は、上記金型
(1)において、通気性を有することを特徴としてい
る。
【0030】上記金型(2)によれば、前記金型が通気
性を有するので、前記金型に前記熱可塑性樹脂が注入さ
れた後、前記金型内の空気は該金型を通って外部に抜け
得る。従って、速やかに樹脂が前記金型内に巣を発生さ
せることなく充填され、効率よく前記封止層を形成する
ことができる。
【0031】また本発明に係る金型(3)は、上記金型
(1)又は(2)において、角部が曲面により構成され
ていることを特徴としている。
【0032】上記金型(3)によれば、角部が曲面によ
り構成されているので、前記角部にも樹脂が素早く充填
され、前記金型と同形状の封止層を巣を発生させること
なく効率よく形成することができる。
【0033】また本発明に係る電子回路装置の封止層の
形成方法(5)は、上記電子回路装置の封止層の形成方
法(1)〜(4)のいずれかにおいて、上記金型(1)
を使用し、前記湯溜まり全部に熱可塑性樹脂が充填され
ないように前記熱可塑性樹脂を前記金型に注入すること
を特徴としている。
【0034】上記電子回路装置の封止層の形成方法
(5)によれば、前記湯溜まり全部に前記熱可塑性樹脂
が充填されないように前記熱可塑性樹脂を前記金型に注
入するので、前記湯溜まり全部に前記熱可塑性樹脂が充
填された場合と比べて、前記熱可塑性樹脂の前記電子部
品に作用する圧力を大きく低減させることができ、前記
圧力により電子部品に歪や破損等が発生するのを防止す
ることができる。
【0035】また本発明に係る電子回路装置の封止層の
形成方法(6)は、上記電子回路装置の封止層の形成方
法(1)〜(5)のいずれかにおいて、上記金型(2)
又は(3)を使用し、熱可塑性樹脂の注入速度を早める
ことを特徴としている。
【0036】上記電子回路装置の封止層の形成方法
(6)によれば、上記金型(2)又は(3)を使用する
ので、前記熱可塑性樹脂の注入速度を早めても前記金型
内で巣を発生させることがなく、効率よく前記封止層を
形成することができる。
【0037】また本発明に係る回路基板(2)は、上記
回路基板(1)において、少なくともコネクタ固定部を
含む領域が柔軟性を有する樹脂により形成され、前記コ
ネクタ固定部の両側に開口部が形成されていることを特
徴としている。
【0038】上記回路基板(2)によれば、前記回路基
板(2)に電子部品を実装した後、前記回路基板の開口
部から端部に至る部分をカッタ等により切断して容易に
スリットを形成することができる。このスリットの形成
により、前記コネクタ固定部がある程度自由に動くこと
ができるようになるため、前記コネクタを前記金型のコ
ネクタ嵌合部に自由度を有して容易に嵌合させることが
でき、前記金型と前記コネクタとの隙間から樹脂が漏れ
出すことによるバリの発生を防止することができる。
【0039】また本発明に係る電子回路装置(4)は、
上記電子回路装置(1)〜(3)のいずれかにおいて、
前記回路基板が、少なくともコネクタ固定部を含む領域
が柔軟性を有する樹脂により形成され、前記コネクタ固
定部の両側にスリットが形成されていることを特徴とし
ている。
【0040】上記電子回路装置(4)によれば、前記封
止層の形成時に前記コネクタ固定部がある程度自由に動
き、前記コネクタを前記金型のコネクタ嵌合部に容易に
正確に嵌合させることができ、前記封止層にバリが発生
するのを防止することができる。
【0041】また本発明に係る電子回路装置の封止層の
形成方法(7)は、上記電子回路装置の封止層の形成方
法(1)〜(6)のいずれかにおいて、上記回路基板
(1)に電子部品を実装した後、前記回路基板の開口部
から端部に至る部分を切断してスリットを形成し、該ス
リットが形成された回路基板のコネクタが金型のコネク
タ嵌合部に嵌合するように前記回路基板を前記金型内に
載置することを特徴としている。
【0042】上記電子回路装置の封止層の形成方法
(7)によれば、前記回路基板の開口部から端部に至る
部分を切断してスリットを形成するので、前記コネクタ
固定部が自由に動くようになる。その後、前記コネクタ
が前記金型の前記コネクタ嵌合部に嵌合するように前記
回路基板を前記金型内に載置して前記封止層を形成する
ので、前記コネクタを前記コネクタ嵌合部に容易に隙間
なく嵌合させることができ、バリのない封止層を形成す
ることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電子回路装
置、該電子回路装置の封止層の形成方法、回路基板、及
び前記電子回路装置の封止層の形成に使用する金型の実
施の形態を図面に基づいて説明する。
【0044】図1(a)は、実施の形態(1)に係る電
子回路装置を模式的に示した正面図であり、(b)は平
面図である。
【0045】電子回路装置10においては、電子部品1
2が実装された回路基板11のほぼ全体が熱可塑性樹脂
による封止層13により覆われている。
【0046】電子回路装置10における回路基板11
は、特に限定されるものではなく、樹脂製、セラミック
ス製、あるいは樹脂板と金属板とが組み合わされたもの
であってもよいが、半導体素子等が動作することにより
発生した熱を回路基板を介してスムーズに放熱すること
ができるよう、樹脂板と金属板とが組み合わされたもの
が好ましい。また、回路基板11は、電子部品12同士
を接続する配線が表面のみに形成されている単層回路基
板であってもよく、内部に複数の配線層が形成されてい
る多層回路基板であってもよい。図1に示したように、
通常、回路基板11の4つの角部は、他の部材に固定す
るためや放熱を図るために封止層13より露出してい
る。
【0047】封止層13を構成する熱可塑性樹脂として
は、例えばポリプロピレン、エチレンとプロピレンの共
重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン、塩素
化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリ
エチレン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、エチ
レン酢酸ビニルエラストマー、塩素化ポリエチレン等の
熱可塑性エラストマー等が挙げられる。ポリプロピレン
系樹脂を使用する場合には、難燃化処理が施されたもの
が好ましい。
【0048】また、熱可塑性樹脂による封止層13は、
内部に均一に分散する気孔を含んでいるもの(発砲させ
たもの)が好ましく、その密度は0.5〜0.7程度が
好ましい。
【0049】図1には示していないが、この電子回路装
置10には、外部の電子機器との接続を図るために配線
が形成されている。特に、この電子回路10がコネクタ
を有する場合に成形法が重要となるが、この点について
は後述する。
【0050】上記実施の形態に係る電子回路装置によれ
ば、電子部品12が実装された回路基板11の全体が熱
可塑性樹脂による封止層13により覆われ、固定されて
いるので、防水性、耐湿性、耐食性等に優れると同時
に、取り扱いも容易である。
【0051】また前記熱可塑性樹脂として、ポリプロピ
レン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及び熱可塑性エラス
トマーのうちの少なくとも1種が用いられているので、
高周波に対する遮断性等に優れ、かつ射出成形等の汎用
されている成形法を利用することができる。また、前記
熱可塑性エラストマーが用いられた場合、該熱可塑性エ
ラストマーは弾性に富んでいるので、回路基板11のは
んだ付け部にかかる応力が緩和され、はんだ付け部(図
示せず)の回路基板からの剥離等を防止することができ
る。
【0052】さらに封止層13が均一に分散した気孔を
含んでいるので、全体を軽量化することができると同時
に、熱可塑性樹脂の量が少なくて済み、安価な電子回路
装置10を作製することができる。
【0053】次に、実施の形態(1)に係る電子回路装
置の封止層の形成方法について説明する。図2(a)は
実施の形態に係る電子回路装置の封止層の形成方法にお
ける一工程を示した正面図であり、(b)は平面図であ
る。
【0054】実施の形態に係る電子回路装置10の封止
層13の形成は、熱可塑性樹脂を用いた射出成形により
行う。図中、破線と矢印とを組合せたものは、樹脂の流
れを示している。
【0055】ノズル16は鉛直方向に形成され、混合が
均一に行われ、かつ注入される熱可塑性樹脂が直接大き
な速度で電子部品12に当たらないように、一旦ノズル
16の底16aに衝突させた後、ゲート16bを通過し
て金型15内に導入されるようになっている。また、金
型15内に流れ込んだ熱可塑性樹脂が金型15内に完全
に充填されてもその圧力が高くならないように、金型1
5の最終充填部には成形圧力低減用の湯溜まり15aが
形成されている。また、金型15内のすみずみにまで樹
脂が流れ易いように、金型15の角部15bは曲面によ
り構成されている。金型15は、通常金型に使用される
金属により構成されていてもよいが、角部15b等にお
いても充填性がよくなり、かつ短時間で充填されるよう
に、通気性を有する材料により形成されていることが好
ましい。通気性を有する材料とは、気体は通過させる
が、液体は通過させないように、極めて小さい開気孔が
形成されたものであり、金属粉末を焼結させて金型を製
造する際、その焼結の程度を調整することにより製造さ
れる。
【0056】回路基板11は、金型15内に流れ込んだ
熱可塑性樹脂がその内部をスムースに流れるように、一
辺11aの中央に面方向に流線形状に伸びた突起110
aが形成されている。
【0057】また、金型15内に注入する熱可塑性樹脂
には、発泡剤を混入しておき、金型15内に充填された
後発泡するようにする。発泡剤は、特に限定されるもの
ではないが、炭酸ソーダや炭酸カルシウム等のような炭
酸ガスを発生する材料を含むものやアゾニトリル化合物
やジアゾアミド化合物等のような窒素ガスを発生する材
料を含むものが挙げられ、これらの材料を熱可塑性樹脂
に混入することにより、金型15への充填時に発泡させ
る。
【0058】上記した金型15、回路基板11及び熱可
塑性樹脂を用いて封止層13を形成するには、まず、電
子部品12を実装した回路基板11を、一辺11aの突
起110aがゲート16bの近傍で、かつゲート16b
に対して対向する位置になるように金型15内に載置
し、発泡剤が混入された熱可塑性樹脂脂をノズル16を
介して金型15内に注入する。注入された熱可塑性樹脂
は金型15内を流動しながら充填され、金型15の本体
内がほぼ充填された後、ゲート150aを通過して湯溜
まり15aに流入する。予め、金型15の内部に熱可塑
性樹脂が充填されたとき、どの程度の量の熱可塑性樹脂
が必要かを計算しておけば、湯溜まり15aが完全に充
填されないように熱可塑性樹脂を注入することができ
る。
【0059】図には示していないが、金型15の内部に
は、注入された熱可塑性樹脂を冷却するための液体が流
通しているので、熱可塑性樹脂の注入後、短時間で充填
された熱可塑性樹脂は冷却されて封止層13を形成し、
この後金型15を解体することにより封止層13を有す
る電子回路装置10を取り出すことができる。湯溜まり
15aに形成された樹脂層はゲート150aの部分を折
り曲げることにより除去することができる。熱可塑性樹
脂の注入部分においても同様にゲート16bの部分を折
り曲げることにより除去することができる。
【0060】上記実施の形態に係る電子回路装置の封止
層の形成方法によれば、金型15に充填する樹脂として
熱可塑性樹脂を使用しているので、硬化時間が極めて短
い。例えば難燃処理が施されたポリプロピレンを使用し
た場合、電子部品12が実装された回路基板11の熱を
受ける時間は、200℃、1秒程度にすることができ
る。また、熱可塑性樹脂は発泡しているため、密度が小
さく、熱容量も小さいので、回路基板11上に存在する
はんだ付け部も表層部が溶融する程度に止めることがで
き、前記はんだ付け部の回路基板11からの剥離を防止
することができる。
【0061】また、電子部品12を実装した回路基板1
1を一辺11aの突起110aがゲート16bの近傍
で、かつゲート16bに対して対向する位置になるよう
に金型15内に載置するので、ゲート16bより流入し
た熱可塑性樹脂は一辺11aに衝突して、その速度をゆ
るめ、その後金型内に行きわたることになる。従って、
回路基板11上の電子部品12が熱可塑性樹脂の流入圧
力によるダメージを受け、固定部分が屈曲したり、回路
基板より剥離したりするのを防止することができる。
【0062】また、熱可塑性樹脂は回路基板11に形成
された突起110aに衝突した後、左右に分割され、金
型15の内部を破線で示す方向に均一に流動、拡散し、
封止層13に巣が発生するのを防止することができる。
【0063】また、金型15の最終充填部には湯溜まり
15aが形成されているので、金型15内に熱可塑性樹
脂を注入させても、この湯溜まり15aが完全に充填さ
れるまでは、金型15に作用する圧力が数百kgf/c
2 程度にまでが大きく増加することはない。本実施の
形態の場合には、湯溜まり15aに熱可塑性樹脂が完全
に充填されないように熱可塑性樹脂を注入するので、金
型15に作用する圧力は数十kgf/cm2 程度までし
か上がらず、圧力により電子部品12に歪や破損等が発
生するのを防止することができる。
【0064】また、湯溜まり15aをなるべく大きく形
成し、湯溜まり15aに流入させる熱可塑性樹脂の量を
多くすることにより、熱可塑性樹脂の充填量や発砲率が
ばらついた場合にも、欠肉を生じさせないようにするこ
とができる。
【0065】金型15が通気性を有し、かつ角部15b
が曲面により構成されているので、金型15に熱可塑性
樹脂が注入された後、金型15内の空気は金型15の外
部に抜け、角部15bにも素早く充填される。従って、
熱可塑性樹脂の注入速度を早くしても、速やかに樹脂が
金型15内にまんべんなく充填され、巣を発生させるこ
となく効率よく金型15内部と同形状の封止層13を形
成することができる。
【0066】次に、実施の形態(2)に係る電子回路装
置、及び該電子回路装置の封止層の形成方法について説
明する。図3は実施の形態(2)に係る電子回路装置を
模式的に示した平面図である。この電子回路装置20に
おいては、回路基板の構成が異なる他は、ほぼ実施の形
態(1)の場合と同様に構成されているので、ここでは
回路基板に関連する部分について説明する。
【0067】この回路基板21は、樹脂製回路基板21
aとAl製回路基板21bとから構成されており、Al
製回路基板21bの上に配線層が形成された樹脂製回路
基板21aが接着されており、樹脂製回路基板21a上
に電子部品22aが載置されている。また、樹脂製回路
基板21aは、ポリイミド等の耐熱性樹脂の薄い層から
なり、右側の辺部には2個のコネクタ22bが接着され
ており、このコネクタ22bが接着された部分を含むそ
の周辺の領域には、Al製回路基板21bが形成されて
おらず、樹脂製回路基板21aのみが存在している。コ
ネクタ22bの周囲には、熱可塑性樹脂からなるコネク
タ保護部23aが形成されており、コネクタ22bの両
側の樹脂製回路基板21aには、スリット210aが形
成されている。回路基板21がこのような構成となって
いるのは、以下に説明する電子回路装置20の封止層2
3の形成時に上記構成の回路基板21が必要となるから
である。
【0068】図4(a)は回路基板にコネクタを接着す
る際のコネクタの近傍を模式的に示した平面図であり、
(b)は回路基板にコネクタを接着した後のコネクタの
近傍を模式的に示した平面図である。
【0069】図4(a)に示したように、コネクタ22
bを接着する前の樹脂製回路基板21aには、コネクタ
22bが接着される部分の両側に矩形の開口部215a
が形成されている。但し、この開口部215aは辺部に
までは至っていないため、樹脂製回路基板21aのコネ
クタ22bが接着される部分は、他の部分をつながって
固定されている。従って、樹脂製回路基板21aの所定
の部分に正確にコネクタ22bを接着することができ
る。
【0070】他方、コネクタ22bを樹脂製回路基板2
1aに接着した後は、図4(b)に示したように、樹脂
製回路基板21aの開口部215aから端部に至る部分
を切断してスリット210aを形成する。コネクタ22
bの両側にスリット210aが形成されると、コネクタ
22bはある程度自由に動くことができるようになる。
【0071】このような構成の回路基板21をコネクタ
22bを嵌合させるためのコネクタ嵌合部が形成され金
型の内部に、コネクタ22bがコネクタ嵌合部に嵌合す
るように載置し、熱可塑性樹脂を注入する。
【0072】実施の形態(2)に係る電子回路装置20
の封止層23の形成方法によれば、コネクタ22bを接
着する前の樹脂製回路基板21aには開口部215aが
形成されているのみであるので、コネクタ22bを接着
させる部分がしっかりと他の部分とつながって固定され
ており、その結果、樹脂製回路基板21aの正確な位置
にコネクタ22bを接着することができる。また、コネ
クタ22bを接着させた後においては、樹脂製回路基板
21aの開口部215aから端部に至る部分を切断して
スリット210aを形成するので、コネクタ22bはあ
る程度自由に動くようになる。その結果、前記金型の前
記コネクタ嵌合部をコネクタ22bがぴったりと隙間な
く嵌合される形状としておいても何ら支障なく、熱可塑
性樹脂の注入の際には、前記コネクタ嵌合部にコネクタ
22bをぴったりと嵌合させておくため、バリのない封
止層23を形成することができる。
【0073】コネクタ22bの両側にスリット210a
を形成しない場合には、コネクタ22bの接着位置が少
しでもずれると、前記コネクタ嵌合部にコネクタ22b
を嵌合することが困難となる。また、コネクタ22bの
接着位置が少しずれた場合にも、前記コネクタ嵌合部に
コネクタ22bを嵌合することができるようにするため
に、前記コネクタ嵌合部の大きさを大きくしておくと、
熱可塑性樹脂を注入した際にバリが発生するようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態(1)に係る電
子回路装置を模式的に示した正面図であり、(b)は平
面図である。
【図2】(a)は、実施の形態(1)に係る電子回路装
置の封止層の形成方法の一工程を示した正面図であり、
(b)は平面図である。
【図3】実施の形態(2)に係る電子回路装置を模式的
に示した平面図である。
【図4】(a)は実施の形態(2)に係る電子回路装置
の封止層の形成方法において、回路基板にコネクタを接
着する際のコネクタの近傍を模式的に示した平面図であ
り、(b)は回路基板にコネクタを接着した後のコネク
タの近傍を模式的に示した平面図である。
【符号の説明】
10、20 電子回路装置 11、21 回路基板 11a 一辺 110a 突起 12、22a 電子部品 13、23 封止層 15 金型 15a 湯溜まり 15b 角部 21a 樹脂製回路基板 210a スリット 215a 開口部 22b コネクタ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 101:12 B29L 31:34

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子部品が実装された回路基板のほぼ全
    体が熱可塑性樹脂による封止層により覆われていること
    を特徴とする電子回路装置。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂として、ポリプロピレ
    ン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及び熱可塑性エラスト
    マーのうちの少なくとも1種が用いられていることを特
    徴とする請求項1記載の電子回路装置。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂による前記封止層が、均一
    に分散した気孔を含んでいることを特徴とする請求項1
    又は請求項2記載の電子回路装置。
  4. 【請求項4】 電子部品が実装された回路基板を金型の
    内部に載置し、溶融状態の熱可塑性樹脂を前記金型内に
    注入することにより、前記回路基板のほぼ全体を覆うよ
    うに前記熱可塑性樹脂による封止層を形成することを特
    徴とする電子回路装置の封止層の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂に発泡剤を混入し、前
    記金型への注入時に前記熱可塑性樹脂を発泡させること
    を特徴とする請求項4記載の電子回路装置の封止層の形
    成方法。
  6. 【請求項6】 前記金型内に注入される熱可塑性樹脂の
    流入速度を低減させるため、注入ゲートの近傍に回路基
    板の端部が位置するように実装回路基板を載置した後、
    前記熱可塑性樹脂の注入を行うことを特徴とする請求項
    4又は請求項5記載の電子回路装置の封止層の形成方
    法。
  7. 【請求項7】 一辺の略中央に面方向に延びた突起が形
    成されていることを特徴とする回路基板。
  8. 【請求項8】 前記金型内に注入される熱可塑性樹脂が
    前記金型内を均一に流動・拡散するように、請求項7記
    載の前記回路基板を用い、前記突起が注入ゲート近傍に
    位置するように前記回路基板を前記金型内に載置した
    後、前記熱可塑性樹脂の注入を行うことを特徴とする請
    求項4〜6のいずれかの項に記載の電子回路装置の封止
    層の形成方法。
  9. 【請求項9】 電子回路装置の封止層の形成に使用する
    金型であって、最終充填部に成形圧力低減用の湯溜まり
    が形成されていることを特徴とする金型。
  10. 【請求項10】 通気性を有することを特徴とする請求
    項9記載の金型。
  11. 【請求項11】 角部が曲面により構成されていること
    を特徴とする請求項9又は請求項10記載の金型。
  12. 【請求項12】 請求項9記載の前記金型を使用し、前
    記湯溜まり全部に熱可塑性樹脂が充填されないように前
    記熱可塑性樹脂を前記金型に注入することを特徴とする
    請求項4〜6、又は8のいずれかの項に記載の電子回路
    装置の封止層の形成方法。
  13. 【請求項13】 請求項10又は請求項11記載の金型
    を使用し、熱可塑性樹脂の注入速度を早めることを特徴
    とする請求項4〜6、8、又は12のいずれかの項に記
    載の電子回路装置の封止層の形成方法。
  14. 【請求項14】 少なくともコネクタ固定部を含む領域
    が柔軟性を有する樹脂により形成され、前記コネクタ固
    定部の両側に開口部が形成されていることを特徴とする
    請求項7記載の回路基板。
  15. 【請求項15】 前記回路基板が、少なくともコネクタ
    固定部を含む領域が柔軟性を有する樹脂により形成さ
    れ、前記コネクタ固定部の両側にスリットが形成されて
    いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記
    載の電子回路装置。
  16. 【請求項16】 請求項14に記載の回路基板に電子部
    品を実装した後、前記回路基板の開口部から端部に至る
    部分を切断してスリットを形成し、該スリットが形成さ
    れた回路基板のコネクタが金型のコネクタ嵌合部に嵌合
    するように前記回路基板を前記金型内に載置することを
    特徴とする請求項4〜6、8、12、又は13のいずれ
    かの項に記載の電子回路装置の封止層の形成方法。
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