JPH10267066A - 油圧緩衝器及びそのストッパ取付装置 - Google Patents

油圧緩衝器及びそのストッパ取付装置

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JPH10267066A
JPH10267066A JP9004197A JP9004197A JPH10267066A JP H10267066 A JPH10267066 A JP H10267066A JP 9004197 A JP9004197 A JP 9004197A JP 9004197 A JP9004197 A JP 9004197A JP H10267066 A JPH10267066 A JP H10267066A
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JP
Japan
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stopper
cylinder
shock absorber
hydraulic shock
peripheral surface
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JP9004197A
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Inventor
Tsutomu Yasuda
務 安田
Tomoyoshi Yoshida
知由 吉田
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SHOWA AUTO ENG
Showa Corp
Original Assignee
SHOWA AUTO ENG
Showa Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小さな加工力でストッパをシリンダに固定で
き、シリンダの変形を極力抑制できるようにすること。 【解決手段】 シリンダ12内に作動油が充填されると
ともに、ピストンロッド15の一端に結合されたピスト
ン14が摺動自在に配設され、更に、シリンダ内に気体
室29とピストン側室16Aとを区画するフリーピスト
ン30が摺動自在に配設されるとともに、このフリーピ
ストンの摺動範囲がシリンダに固定されたストッパ31
により規制される油圧緩衝器10において、ストッパが
拡径されてシリンダの内周面12Aに圧接固定されたも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フリーピストン等
の隔壁部材の摺動範囲を規制するストッパの取付構造を
改良した油圧緩衝器と、油圧緩衝器のストッパ取付装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動四輪車や自動二輪車に使用される油
圧緩衝器は、シリンダ内に作動油が充填されるととも
に、ピストンが摺動自在に配設され、このピストンが、
減衰力を発生する減衰バルブを備えるとともにピストン
ロッドの一端に結合され、更に、シリンダ内へ進退する
ピストンロッドの容積変化を吸収するためにシリンダ内
に気体室が形成され、この気体室と油室とを区画するフ
リーピストンがシリンダ内に摺動自在に配設されたもの
がある。
【0003】更に、上述のような油圧緩衝器には、フリ
ーピストンの摺動範囲をピストンの摺動範囲外に設定す
るために、フリーピストンの摺動範囲を規制するストッ
パがシリンダ内に固定されたものがある。
【0004】従来、上記ストッパは、溶接によってシリ
ンダに固定されたり(第1従来技術)、実公平5-24830
号公報に示すように、シリンダを外側から加締変形して
シリンダに固定されている(第2従来技術)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の第1
従来技術では、シリンダが溶接時の熱により変形して、
ピストンやフリーピストンの摺動に支障をきたす虞れが
ある。
【0006】また、上記第2従来技術では、シリンダを
外側から加締変形してストッパをシリンダ内周面に固定
するため、大きな加工力が必要となり、この加工力によ
りシリンダの変形が著しくなって、やはり、ピストンや
フリーピストンの摺動に支障をきたす虞れがある。
【0007】本発明の課題は、上述の事情を考慮してな
されたものであり、小さな加工力でストッパをシリンダ
に固定でき、シリンダの変形を極力抑制できる油圧緩衝
器及びそのストッパ取付装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、シリンダ内に作動油が充填されるとともに、ピスト
ンロッドの一端に結合されたピストンが摺動自在に配設
され、更に、上記シリンダ内に気体室と油室とを区画す
る隔壁部材が摺動自在に配設されるとともに、この隔壁
部材の摺動範囲が上記シリンダに固定されたストッパに
より規制される油圧緩衝器において、上記ストッパが拡
径されて上記シリンダの内周面に圧接固定されたもので
ある。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、上記ストッパには外周面に網目ローレ
ットが刻設され、上記ストッパの全周が拡径されて、上
記網目ローレットにより上記ストッパが上記シリンダに
圧接固定されるものである。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、上記ストッパには外周面に、周方向に
延びる凸部と凹部が並設され、上記ストッパの全周が拡
径されて、上記凸部及び凹部により上記ストッパが上記
シリンダに圧接固定されるものである。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、上記ストッパは変形可能な薄肉形状と
され、その周方向所定位置がシリンダ側へ突出して拡径
され、この突出部により上記ストッパが上記シリンダに
圧接固定されるものである。
【0012】請求項5に記載の発明は、シリンダの外周
面を保持する保持部材と、この保持部材の内側に設置さ
れ、上記保持部材方向へ拡径可能に設けられたエキスパ
ンド部材と、を有し、上記保持部材と上記エキスパンド
部材との間に配置されたシリンダの軸方向所定位置にス
トッパを保持し、上記エキスパンド部材の拡開動作によ
り上記ストッパに内側から加工力を付与して拡径させ、
このストッパを上記シリンダの内周面に圧接固定させる
ものである。
【0013】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明において、上記エキスパンド部材の外周側には、
ストッパを載置してこのストッパをシリンダ軸方向所定
位置に保持する位置決め段差部が形成されたものであ
る。
【0014】請求項7に記載の発明は、請求項5又は6
に記載の発明において、上記エキスパンド部材の外周面
には、ストッパの周方向所定位置に突出部を形成可能な
突起が設けられたものである。
【0015】請求項1に記載の発明には、次の作用があ
る。隔壁部材の摺動範囲を規制するストッパが、拡径さ
れてシリンダ内周面に圧接固定されることから、シリン
ダを外側から加締変形してストッパをシリンダに固定す
る場合に比べ、小さな加工力で確実にストッパを固定す
ることができる。
【0016】また、上述のように小さな加工力であるこ
と、並びにストッパをシリンダに溶接するものでないこ
とから、シリンダに生ずる変形を極力抑制でき、このた
め、シリンダの強度を確保できるとともに、ピストン及
び隔壁部材をシリンダ内で良好に摺動させることができ
る。
【0017】請求項2、3又は4に記載の発明には、次
の作用がある。ストッパに形成される網目ローレット、
ストッパの外周面に延びる凸部及び凹部、ストッパに形
成される突出部がそれぞれシリンダ内周面に食い込んで
ストッパがシリンダに固定されることから、ストッパを
シリンダに確実に圧接固定することができる。
【0018】特に、請求項4に記載の発明には次の作用
がある。ストッパの所定位置に形成された突出部が、ス
トッパをシリンダに圧接固定させるので、ストッパの全
周を拡径させる必要がなく、このためストッパに作用す
る加工力をより一層小さくすることができる。
【0019】請求項5に記載の発明には、次の作用があ
る。保持部材がシリンダの外周面を保持した状態で、エ
キスパンド部材がストッパに加工力を付与して拡径さ
せ、このストッパをシリンダ内周面に圧接固定すること
から、シリンダを外側から加締変形してストッパを固定
する場合に比べ、小さな加工力でストッパをシリンダに
固定することができる。
【0020】また、上述のように小さな加工力であるこ
と、保持部材がシリンダの外周面を保持した状態で加工
力が作用すること、更にストッパをシリンダに溶接させ
るものでないことから、シリンダに生ずる変形を極力抑
制することができ、このためシリンダの強度を確保でき
るとともに、ピストン及び隔壁部材をシリンダ内で良好
に摺動させることができる。
【0021】請求項6に記載の発明には、次の作用があ
る。エキスパンド部材に、ストッパを載置して位置決め
する位置決め段差部が形成されたので、ストッパを位置
決めするための専用部品を廃止でき、部品点数を低減で
きる。
【0022】請求項7に記載の発明には、次の作用があ
る。エキスパンド部材の外周面に形成された突起が、ス
トッパの周方向所定位置に突出部を形成し、この突出部
がストッパをシリンダに圧接固定させるので、ストッパ
の全周を拡径させる必要がなく、このためストッパに作
用する加工力をより一層小さくすることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。 (A) 油圧緩衝器の第1の実施の形態及び油圧緩衝器のス
トッパ取付装置の第1の実施の形態 図1は、本発明に係る油圧緩衝器の第1の実施の形態を
示す断面図である。図2は、図1の一部を拡大して示す
断面図である。図3は、図2のストッパを示し、(A)
が取付状態の部分断面図であり、(B)が側面図であ
る。図4は、本発明に係る油圧緩衝器のストッパ取付装
置の第1の実施の形態を示し、(A)が全体側断面図で
あり、(B)が図4(A)の部分拡大断面図である。
【0024】図1に示すように、自動四輪車に使用され
る油圧緩衝器10は、懸架ばね(不図示)と一体化され
てクッションユニットを構成し、このクッションユニッ
トが車体側と車軸側に配置される。懸架ばねが路面から
の衝撃を吸収し、油圧緩衝器10がクッションユニット
の振動を減衰して車体を制振させる。図1はこの油圧緩
衝器10の最伸長状態を示す。
【0025】油圧緩衝器10は、シングルチューブから
なるシリンダ12内に作動油が充填されるとともに、ピ
ストン14が摺動自在に配設され、このピストン14が
ピストンロッド15の一端に結合して構成される。シリ
ンダ12の一端をスタッド17が、他端をロッドガイド
18がそれぞれ液密に閉塞可能とする。また、ピストン
ロッド15の他端側は、ロッドガイド18を貫通してシ
リンダ12の外部へ延出される。更に、上記ピストン1
4にてシリンダ12内が、作動油が充填され且つピスト
ンロッド15を収容するロッド側室16Bと、作動油が
充填され且つピストンロッド15が収容されないピスト
ン側室16Aとに区画される。
【0026】尚、ロッドガイド18は、ストッパリング
19と、シール押え20及びロッドガイド押え21とに
挟持されてシリンダ12に固定される。
【0027】ピストンロッド15の一端部は、図2にも
示すように、ピストン14の中央位置に貫通する。この
ピストン14には、ピストンロッド15の周囲に圧側流
路22と伸側流路23とが交互に貫通して穿設される。
ピストン14の一側面に、圧側流路22を閉止可能とす
る圧側減衰バルブ24が配設され、ピストン14の他側
面に、伸側流路23を閉止可能とする伸側減衰バルブ2
5が配設される。これらのピストン14、圧側減衰バル
ブ24及び伸側減衰バルブ25は、バルブ押え26とナ
ット27とにより挟持されて、ピストンロッド15に一
体化される。
【0028】油圧緩衝器10の圧縮行程では、ピストン
側室16A内の作動油が圧側流路22を通り、圧側減衰
バルブ24を撓み変形させてロッド側室16B内へ流入
する。作動油が圧側減衰バルブ24を撓み変形させると
きの流体抵抗により、圧側減衰力が発生する。
【0029】また、油圧緩衝器10の伸長行程では、ロ
ッド側室16B内の作動油が伸側流路23を通り、伸側
減衰バルブ25を撓み変形させてピストン側室16A内
へ流入する。作動油が伸側減衰バルブ25を撓み変形さ
せるときの流体抵抗により、伸側減衰力が発生する。
【0030】ここで、ピストンロッド15には、バルブ
押え26に接触状態でリバウンドラバー28が嵌装さ
れ、このリバウンドラバー28がロッドガイド18に当
接して、油圧緩衝器10の最大ストロークが規制され
る。
【0031】また、この油圧緩衝器10では、図1に示
すように、シリンダ12内に空気等の気体が封入された
気体室29が形成され、この気体室29とピストン側室
16Aとが、隔壁部材としてのフリーピストン30によ
り区画される。このフリーピストン30は、シリンダ1
2の内周面12Aに摺動自在に配設される。上記気体室
29は、ピストンロッド15がシリンダ12内へ進入
し、或いはシリンダ12内から退出するときの容積変化
を吸収するものであり、このときフリーピストン30が
シリンダ12内を摺動する。
【0032】更に、この油圧緩衝器10では、フリーピ
ストン30の摺動範囲をピストン14の摺動範囲外に規
制するためのストッパ31が、シリンダ12の内周面1
2Aに固定されている。このストッパ31は、図3に示
すように、外周面に網目ローレット32が刻設され、後
述のストッパ取付装置33によりストッパ31の全周が
拡径されて、網目ローレット32がシリンダ12の内周
面12Aに食い込み、これによりストッパ31がシリン
ダ12の内周面12Aに圧接固定される。
【0033】尚、図1及び図2に示す油圧緩衝器10に
は、ピストンロッド15の他端部にエンド部材34がナ
ット35にて結合され、このエンド部材34の外周に補
強チューブ36が固着される。この補強チューブ36は
円筒形状であり、一端側の内周面に、所定距離を隔てて
アッパガイドブッシュ37及びロアガイドブッシュ38
が装着される。これらアッパガイドブッシュ37及びロ
アガイドブッシュ38を介して補強チューブ36は、シ
リンダ12の外周面12Bに摺動自在に支持される。
【0034】また、補強チューブ36の他端側の外周部
には、車軸を支持する車軸ブラケット39が溶接により
固着される。油圧緩衝器10は、補強チューブ36に固
着された車軸ブラケット39を介して車軸を支持し、ス
タッド17を介して車体に支持される。従って、補強チ
ューブ36は、ピストンロッド15とともに、車体側と
車軸側間の荷重を支持する強度部材として機能する。
【0035】補強チューブ36の一端側の外周部には、
ロアばね受け40が溶着される。また、図示しないアッ
パばね受けは、シリンダ12のスタッド17に固着され
る。これらのロアばね受け40とアッパばね受けとの間
に、前記懸架ばねが介装される。この懸架ばねからのば
ね荷重はシリンダ12のスタッド17にて支持されると
ともに、エンド部材34を介してピストンロッド15に
支持される。ここで、図1及び図2の符号41はシール
部材である。
【0036】さて、シリンダ12の内周面12Aにスト
ッパ31を固定する前記ストッパ取付装置33は、図4
に示すように、保持部材としてのダイス42、エキスパ
ンド部材としてのエキスパンド工具43、コーン44及
びシリンダ載置台45を有して構成される。
【0037】シリンダ載置台45は、基台47に設置さ
れた支持台46上に着脱自在に設置され、シリンダ12
の端部を載置する。
【0038】ダイス42はダイス支持ピース48に支持
され、このダイス支持ピース48がシリンダ載置台45
の外側に配設されて支持台46上に設置される。このダ
イス42は、シリンダ載置台45に載置されたシリンダ
12の外周面12Bに接触して、この外周面12Bを保
持可能とする。
【0039】エキスパンド工具43は、ダイス42及び
シリンダ載置台45の内側に配置され、周方向に複数
(例えば 4〜 6)に分割されたエキスパンドピース49
からなる。各エキスパンドピース49は、基端部が支持
台46に嵌合固定されて、エキスパンド工具43の直径
方向に撓み変形可能に構成される。これらの各エキスパ
ンドピース49の内側先端部に、先端方向に縮径するテ
ーパ面50が形成される。
【0040】各エキスパンドピース49の外側先端部に
は位置決め段差部51が設けられる。シリンダ12に固
定される前のストッパ31を位置決め段差部51に載置
することにより、このストッパ31がシリンダ12の所
定位置に保持される。実際には、高さ寸法の異なるシリ
ンダ載置台45を選択することにより、位置決め段差部
51に載置されたストッパ31をシリンダ12の所定位
置に保持する。
【0041】コーン44は、先端側が先細り形状に縮径
されたテーパ面52を有し、エキスパンド工具43の内
側に挿入可能に構成される。コーン44がエキスパンド
工具43の内側に挿入されて、このコーン44のテーパ
面52がエキスパンド工具44の各エキスパンドピース
49のテーパ面50に係合することにより、楔作用で、
各エキスパンドピース49がダイス42方向へ撓み変形
し、エキスパンド工具43が拡径可能とされる。
【0042】上述のストッパ取付装置33によるストッ
パ31の取付手順を次に示す。 まず、ストッパ取付装置33のダイス42とエキスパ
ンド工具43との間にシリンダ12を挿入し、このシリ
ンダ12の端部をシリンダ載置台45上に載置する。
【0043】次に、ストッパ31をエキスパンド工具
43の各エキスパンドピース49における位置決め段差
部51上に載置して、ストッパ31をシリンダ12の軸
方向所定位置に保持する。
【0044】その後、コーン44を図4における下方
からエキスパンド工具43内に挿入し、コーン44のテ
ーパ面52と各エキスパンドピース49のテーパ面50
との楔作用によって、各エキスパンドピース49をダイ
ス42方向へ撓み変形させ、エキスパンド工具43を拡
径する。これにより、エキスパンド工具43からストッ
パ43の内周面に、ストッパ43の直径方向の加工力F
が付与されて、ストッパ31の全周が拡径され、このス
トッパ31の外周面の網目ローレット32がシリンダ1
2の内周面12Aに食い込んで、ストッパ31がシリン
ダ12の内周面に圧接固定される。
【0045】ストッパ31の固定後、コーン44をエ
キスパンド工具43から引き抜いてエキスパンド工具4
3を縮径し、ストッパ31が固定されたシリンダ12を
ストッパ取付装置33から取り出す。
【0046】従って、上記実施の形態の油圧緩衝器10
によれば、次の(1) 〜(5) の効果を奏する。 (1) フリーピストン30の摺動範囲を規制するストッパ
31が、拡径されてシリンダ12の内周面12Aに圧接
固定されることから、シリンダ12を外側から加締変形
してストッパ31をシリンダ12に固定する場合に比
べ、小さな加工力Fでストッパ31を確実に固定するこ
とができる。
【0047】(2) また、上述のように小さな加工力Fで
あること、並びにストッパ31をシリンダ12に溶接す
るものでないことから、シリンダ12に生ずる変形を極
力抑制でき、このため、シリンダ12の強度を確保でき
るとともに、ピストン14及びフリーピストン30をシ
リンダ12内で良好に摺動させることができ、更に補強
チューブ36をシリンダ12外で良好に摺動させること
ができる。
【0048】(3) ストッパ31に形成される網目ローレ
ット32がシリンダ12の内周面12Aに食い込んで、
ストッパ31がシリンダ12の内周面12Aに固定され
ることから、ストッパ31をシリンダ12の内周面12
Aに確実に圧接固定することができる。
【0049】(4) シリンダ12の外周面12Bに摺動自
在に結合された補強チューブ36がピストンロッド15
の他端にエンド部材34を介して結合されたので、この
補強チューブ36がピストンロッド15とともに強度部
材となり、これらの補強チューブ36及びピストンロッ
ド15が、車体と車軸間の荷重を支持する。このため、
ピストンロッド15の負担を軽減できるので、このピス
トンロッド15を大径化する必要がなく従って、シリン
ダ12及びピストン14を大径化しなくても、ピストン
14に装備された減衰バルブ24、25の減衰特性の選
択の幅を十分に確保できる。
【0050】(5) 更に、ロアばね受け40が補強チュー
ブ36に固着され、シリンダ12の端部のスタッド17
にアッパばね受けが固着されたことから、シリンダ12
の外周面12Bにアッパばね受け、ロアばね受け40が
固着されない構造となる。このため、ピストン14が摺
動するシリンダ12に、アッパばね受け及びロアばね受
け40の溶接に伴う歪などが発生しない。この結果、ピ
ストン14に装備された減衰バルブ24、25の減衰性
能を良好に維持できる。
【0051】また、上記実施の形態のストッパ取付装置
33によれば、次の(10)〜(12)の効果を奏する。 (10)保持部材42がシリンダ12の外周面12Bを保持
した状態で、エキスパンド工具43が拡径してストッパ
31に加工力Fを付与して拡径させ、このストッパ31
をシリンダ12の内周面12Aに圧接固定することか
ら、シリンダ12を外側から加締変形してストッパ31
を固定する場合に比べ、小さな加工力Fでストッパ31
をシリンダ12に固定することができる。
【0052】(11)また、上述のように小さな加工力Fで
あること、ダイス42がシリンダ12の外周面12Bを
保持した状態で加工力Fが作用すること、更にストッパ
31をシリンダ12に溶接させるものではないことか
ら、シリンダ12に生ずる変形を極力抑制することがで
き、このため、シリンダ12の強度を確保できるととも
に、ピストン14及びフリーピストン30をシリンダ1
2内で、補強チューブ36をシリンダ12外で、それぞ
れ良好に摺動させることができる。
【0053】(12)エキスパンド工具43の各エキスパン
ドピース49に、ストッパ31を載置して位置決めする
位置決め段差部51が形成されたので、ストッパ31を
位置決めするための専用部品を廃止でき、部品点数を低
減できる。
【0054】(B) 油圧緩衝器の第2の実施の形態 図5は、本発明に係る油圧緩衝器の第2の実施の形態の
ストッパを示し、(A)が取付状態の部分断面図であ
り、(B)が半断面図である。この第2の実施の形態に
おいて、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の
符号を付すことにより説明を省略する。
【0055】この実施の形態の油圧緩衝器55は、前記
油圧緩衝器10に対し、シリンダ12に固定されてフリ
ーピストン30の摺動範囲を規制するストッパ56の形
状が異なる。つまり、ストッパ56は外周面に、周方向
に延びる凸部57及び凹部58が複数本並設され、それ
ぞれがV字形状に形成される。このストッパ56は、上
述のストッパ取付装置33を用いて全周が拡径されて、
凸部57及び凹部58がシリンダ12の内周面12Aに
食い込み、シリンダ12の内周面12Aに圧接固定され
る。
【0056】従って、このストッパ56を有する油圧緩
衝器55においても、前記油圧緩衝器10の(1) 〜(5)
の効果と同様な効果を奏する。 (C) 油圧緩衝器の第3の実施の形態及び油圧緩衝器のス
トッパ取付装置の第2の実施の形態 図6は、本発明に係る油圧緩衝器の第3の実施の形態の
ストッパを示し、(A)が取付状態の部分断面図であ
り、(B)が全体断面図である。図7は、油圧緩衝器の
第2の実施の形態におけるストッパの変形例を示す取付
状態の部分断面図である。図8は、本発明に係る油圧緩
衝器のストッパ取付装置の第2の実施の形態を示し、
(A)が全体側断面図であり、(B)が図8(A)の部
分拡大断面図である。この各実施の形態において、前記
実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことによ
り説明を省略する。
【0057】この実施の形態の油圧緩衝器60は、前記
油圧緩衝器10に対し、シリンダ12に固定されてフリ
ーピストン30の摺動範囲を規制するストッパ61の形
状が異なり、又、ストッパ取付装置65は、前記ストッ
パ取付装置33に対し、主にエキスパンド工具66の構
造が異なる。
【0058】油圧緩衝器60のストッパ61は、図6
(B)に示すように、変形可能な薄肉形状とされ、その
周方向複数の適宜位置が、ストッパ取付装置65により
図6(A)に示すように、シリンダ12側へ突出して拡
径され、この突出して拡径されたストッパ61の突出部
62がシリンダ12の内周面12Aに食い込んで、スト
ッパ61がシリンダ12の内周面12Aに圧接固定され
る。
【0059】突出部62は、図6(A)に示すように、
ストッパ61の軸方向中央位置に設けられてもよく、
又、図7に示すように、ストッパ61の軸方向一端側に
形成されてもよく、更に、ストッパ61の軸方向両端側
に形成されてもよい。
【0060】また、ストッパ取付装置65は、図8に示
すように、ダイス42を支持するダイス支持ピース67
が、シリンダ載置台45上に設置され、更に、このシリ
ンダ載置台65に位置決めカラー68が着脱自在に設置
される。この位置決めカラー68は、シリンダ12に固
定される前のストッパ61を載置するものである。それ
ぞれ高さ寸法が複数種類用意された位置決めカラー68
と上記シリンダ載置台45とを選択することにより、ス
トッパ61をシリンダ12の軸方向所定位置に位置決め
する。
【0061】ストッパ取付装置65のエキスパンド工具
66は、周方向に複数(例えば 4〜6)に分割されたエ
キスパンドピース69からなり、各エキスパンドピース
69の基端部が支持台46に嵌合固定されて、エキスパ
ンド工具66の直径方向に撓み変形可能に構成される。
【0062】更に、各エキスパンドピース69の先端部
外側に、突起70が周方向に複数形成され、この突起7
0がストッパ61に突起部62を形成する。つまり、エ
キスパンド工具66の内側にコーン44が挿入され、こ
のコーン44のテーパ面52と各エキスパンドピース6
9のテーパ面50とが係合すると、これらのテーパ面5
0及び52の楔作用でエキスパンドピース69がダイス
42方向へ撓み変形し、エキスパンド工具66が拡径す
る。このエキスパンド工具66の拡径により、各エキス
パンドピース69の突起70からストッパ61の内周面
に、ストッパ61の直径方向の加工力Fが作用し、スト
ッパ61に突起部62が加工される。この突起部62が
シリンダ12の内周面12Aに食い込んで、ストッパ6
1がシリンダ12の内周面12Aに圧接固定される。
【0063】従って、上記油圧緩衝器10によれば、前
記油圧緩衝器10の(1) 〜(5) の効果を奏するととも
に、更に次の効果(6) も奏する。 (6) ストッパ61の所定位置に形成された突出部62
が、ストッパ61をシリンダ12に圧接固定させるの
で、ストッパ61の全周を拡径させる必要がなく、この
ため、ストッパ61に作用する加工力Fをより一層小さ
くすることができる。
【0064】また、上記ストッパ取付装置65によれ
ば、前記ストッパ取付装置33の(10)及び(11)に加え、
次の効果(13)を奏する。 (13)エキスパンド工具66の各エキスパンドピース69
の外周面に形成された突起70が、ストッパ61の周方
向所定位置に複数の突起62を形成し、これらの突起6
2がストッパ61をシリンダ12の内周面12Aに圧接
固定させるので、ストッパ61の全周を拡径させる必要
がなく、このため、ストッパ61に作用する加工力Fを
より一層小さくすることができる。
【0065】尚、上記実施の形態によれば、第2の実施
の形態の油圧緩衝器55において、ストッパ56の外周
面に凸部57及び凹部58が周方向に連続して延設され
るものを述べたが、これらの凸部57及び凹部58が、
ストッパ56の外周面に周方向に不連続に形成されても
よい。また、第2の実施の形態のストッパ取付装置65
においては、エキスパンド工具66の各エキスパンドピ
ース69の先端外周に、ストッパ取付装置33の位置決
め段差部51と同様な位置決め段差部を形成して、位置
決めカラー68を省略してもよい。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る油圧緩衝器
及び油圧緩衝器のストッパ取付装置によれば、小さな加
工力でストッパをシリンダに固定でき、シリンダの変形
を極力抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る油圧緩衝器の第1の実施
の形態を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の一部を拡大して示す断面図であ
る。
【図3】図3は、図2のストッパを示し、(A)が取付
状態の部分断面図であり、(B)が側面図である。
【図4】図4は、本発明に係る油圧緩衝器のストッパ取
付装置の第1の実施の形態を示し、(A)が全体側断面
図であり、(B)が図4(A)の部分拡大断面図であ
る。
【図5】図5は、本発明に係る油圧緩衝器の第2の実施
の形態のストッパを示し、(A)が取付状態の部分断面
図であり、(B)が半断面図である。
【図6】図6は、本発明に係る油圧緩衝器の第3の実施
の形態のストッパを示し、(A)が取付状態の部分断面
図であり、(B)が全体断面図である。
【図7】図7は、油圧緩衝器の第2の実施の形態におけ
るストッパの変形例を示す取付状態の部分断面図であ
る。
【図8】図8は、本発明に係る油圧緩衝器のストッパ取
付装置の第2の実施の形態を示し、(A)が全体側断面
図であり、(B)が図8(A)の部分拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
10 油圧緩衝器 12 シリンダ 12A シリンダ内周面 12B シリンダ外周面 14 ピストン 15 ピストンロッド 16A ピストン側室 16B ロッド側室 29 気体室 30 フリーピストン(隔壁部材) 31 ストッパ 32 網目ローレット 33 ストッパ取付装置 42 ダイス(保持部材) 43 エキスパンド工具(エキスパンド部材) 44 コーン 49 エキスパンドピース 50 エキスパンドピースのテーパ面 51 位置決め段差部 52 コーンのテーパ面 55 油圧緩衝器 56 ストッパ 57 凸部 58 凹部 60 油圧緩衝器 61 ストッパ 62 突出部 65 ストッパ取付装置 66 エキスパンド工具(エキスパンド部材) 69 エキスパンドピース 70 突起

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内に作動油が充填されるととも
    に、ピストンロッドの一端に結合されたピストンが摺動
    自在に配設され、更に、上記シリンダ内に気体室と油室
    とを区画する隔壁部材が摺動自在に配設されるととも
    に、この隔壁部材の摺動範囲が上記シリンダに固定され
    たストッパにより規制される油圧緩衝器において、 上記ストッパが拡径されて上記シリンダの内周面に圧接
    固定されたことを特徴とする油圧緩衝器。
  2. 【請求項2】 上記ストッパには外周面に網目ローレッ
    トが刻設され、上記ストッパの全周が拡径されて、上記
    網目ローレットにより上記ストッパが上記シリンダに圧
    接固定される請求項1に記載の油圧緩衝器。
  3. 【請求項3】 上記ストッパには外周面に、周方向に延
    びる凸部と凹部が並設され、上記ストッパの全周が拡径
    されて、上記凸部及び凹部により上記ストッパが上記シ
    リンダに圧接固定される請求項1に記載の油圧緩衝器。
  4. 【請求項4】 上記ストッパは変形可能な薄肉形状とさ
    れ、その周方向所定位置がシリンダ側へ突出して拡径さ
    れ、この突出部により上記ストッパが上記シリンダに圧
    接固定される請求項1に記載の油圧緩衝器。
  5. 【請求項5】 シリンダの外周面を保持する保持部材
    と、 この保持部材の内側に設置され、上記保持部材方向へ拡
    径可能に設けられたエキスパンド部材と、を有し、 上記保持部材と上記エキスパンド部材との間に配置され
    たシリンダの軸方向所定位置にストッパを保持し、 上記エキスパンド部材の拡開動作により上記ストッパに
    内側から加工力を付与して拡径させ、このストッパを上
    記シリンダの内周面に圧接固定させることを特徴とする
    油圧緩衝器のストッパ取付装置。
  6. 【請求項6】上記エキスパンド部材の外周側には、スト
    ッパを載置してこのストッパをシリンダ軸方向所定位置
    に保持する位置決め段差部が形成された請求項5に記載
    の油圧緩衝器のストッパ取付装置。
  7. 【請求項7】 上記エキスパンド部材の外周面には、ス
    トッパの周方向所定位置に突出部を形成可能な突起が設
    けられた請求項5又は6に記載の油圧緩衝器のストッパ
    取付装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100797034B1 (ko) 2003-01-22 2008-01-23 주식회사 만도 쇽 업소버의 스토퍼 구조

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100797034B1 (ko) 2003-01-22 2008-01-23 주식회사 만도 쇽 업소버의 스토퍼 구조

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