JPH10266565A - 抜き取り補助部材付きセパレータ及び切欠段部付きコーン並びに切欠段部付きセパレータ座 - Google Patents

抜き取り補助部材付きセパレータ及び切欠段部付きコーン並びに切欠段部付きセパレータ座

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JPH10266565A
JPH10266565A JP11003697A JP11003697A JPH10266565A JP H10266565 A JPH10266565 A JP H10266565A JP 11003697 A JP11003697 A JP 11003697A JP 11003697 A JP11003697 A JP 11003697A JP H10266565 A JPH10266565 A JP H10266565A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 壁の施工後にセパレータを抜き取ることによ
り、セパレータ回りからの漏水、壁の汚染、軋み音の発
生、内壁の結露などの欠点を完全に防止し、コンクリー
ト硬化後に回収して再使用することができる抜き取り補
助部材付きセパレータ、コーン及びセパレータ座を提供
する。 【解決手段】 表面に直角の方向の押圧に強く、かつ面
内方向の押圧に弱くて変形するシート状物1に、引っ張
り強度と耐水性に優れ、かつコンクリートから剥離しや
すいフィルム状物2を貼着してなる抜き取り補助部材3
を、セパレータ本体4に管状に被覆してなる抜き取り補
助部材付きセパレータ、及びコーン8又はセパレータ座
のねじ穴5の開口部に、上記セパレータの抜き取り補助
部材3の直径に等しい口径の切欠段部を設けたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート打設
後に、型枠の位置保持に使用されたセパレータを抜き取
ることにより、残留セパレータに起因する漏水などの欠
点を解消したセパレータ、及び該セパレータと組み合わ
せて使用するコーン並びにセパレータ座に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、型枠の位置保持に使用されるセパ
レータは、コンクリート打設後も、コンクリートの壁の
中に残留していて、取り外すことはほとんど行われてい
なかった。そのため、外壁に突出しているセパレータが
錆びて外壁を汚したり、外壁を貫通しているセパレータ
回りのブリージング現象によって生ずる空隙から漏水し
たりするので、これらの不具合を解消するため、外壁側
にコーンを使用して、セパレータの長さを外壁よりも少
し内側になるように短くし、コーンを外した跡にモルタ
ルを充填するか、シーリング剤で止水処理をして、セパ
レータ回りの錆や漏水による不具合を解消することが行
われている。
【0003】低温倉庫の外壁は、断熱パネルを型枠とし
て外壁のコンクリートを施工することが行われており、
この場合も型枠と断熱パネルによる型枠の位置保持にセ
パレータが使用され、コンクリート打設後もセパレータ
を取り外すことは行われていない。セパレータは鉄製な
ので熱伝導率が高く、そのため内外の温度差により断熱
パネルとコンクリート壁の界面に結露が発生し、内壁を
汚す不具合がある。
【0004】地下外周壁の場合の山止め壁を外型枠にす
る場合は、山止め壁に取り付ける無数のセパレータ回り
の防水処理に手間がかかるばかりでなく、施工ミスが生
じ易いため、地下外周壁からの漏水を外側で防水するこ
とよりも、内側に排水溝を設けて漏水を集めポンプアッ
プして排出する、いわゆる地下二重壁工法がよく行われ
ている。この場合、山止め壁にセパレータを取り付け内
型枠の位置保持をしてから、型枠を組み立ててコンクリ
ートを打設するが、セパレータの回りからの漏水を止め
るために、セパレータの軸部に水膨張性ペースト状ポリ
ウレタン樹脂を塗布した、実公平3−49238号公報
開示の考案が知られている。
【0005】集合住宅の場合など隣棟間隔の狭い外壁で
は、型枠の組み立てと解体ができるスペースを確保する
ために、50〜60cm程度離すことが必要であり、こ
の隙間が無駄なスペースとなるため、片側の外壁のコン
クリート打設後に、厚さ10cm程度のフォームポリス
チレンなどを間に入れて埋め殺し型枠とし、反対側の型
枠を組み立てコンクリートを打設することが行われてい
る。この場合、片側の外壁からフォームポリスチレンを
貫通して反対側の型枠の位置保持にセパレータが使用さ
れる。それぞれの建物が無数のセパレータで緊結されて
いるため、それぞれの建物の温度変化などによる伸縮に
よって、セパレータが引っ張られたり圧縮されたりし
て、軋み音が発生する不具合がある。
【0006】そこで、コンクリートが硬化した後にセパ
レータを取り外し、取り外し跡にモルタルを充填するこ
とにより、セパレータ回りからの漏水や軋み音の発生を
防止する手段が提案されており、例えば実開昭62−1
94860号公報や、特開昭52−101829号公報
や、特開平2−144474号公報の発明考案が知られ
ている。
【0007】特開平2−144474号公報に開示され
たセパレータは、管部材に引き抜き可能にセパレータを
挿入したものであって、隣棟間隔の狭い建物の場合も作
業を行うことができると共に、セパレータを回収して再
使用することを目的とするものである。
【0008】特開昭52−101829号公報に開示さ
れたセパレータは、金属杆の両端部にねじを切り、片側
にねじ止め用突条を設け、反対側に座金受止用突条とス
パナ掛け用二面取部を設け、両突条間に軟質プラスチッ
クチューブを緩く外挿したものであって、枠組みと解体
の工数を減少させると共に、軟質プラスチックチューブ
で保護されているため、損傷なくセパレータを抜き取る
ことにより、セパレータを繰り返し使用できることを目
的とするものである。
【0009】実開昭62−194860号公報に開示さ
れたセパレータは、セパレータの外周にプラスチック等
の耐蝕性材料よりなるスリーブを、相対的に摺動自在に
嵌装している事を特徴とし、スリーブとコーンを一体に
したもので、コンクリート打設後にセパレータを抜き取
る際には、スリーブとコーンがコンクリートの中に残留
し、スリーブとコーンを貫通しているセパレータのみを
抜き取り、セパレータの転用を可能にしたものである。
【0010】セパレータを型枠に取り付けるに際して
は、セパレータが壁から突出することによって錆が発生
し、壁面を汚すことを避けるためにセパレータを壁の厚
さよりも短くし、外壁の外側にコーンを取り付けて、セ
パレータを壁面に埋め込むことが行われている。コーン
は円錐台形を呈する合成樹脂製又は木製のものであり、
中央にねじを切った貫通孔又は有底の穴が明けられてお
り、このねじ孔又はねじ穴へ、セパレータの両端のねじ
部を螺入して接続される。ねじ孔又はねじ穴は強度が必
要なので、この部分は鉄で作られている。コーンの寸法
形状については、使用される型枠やコンクリートのかぶ
り厚さに対応して、高さやねじ孔又はねじ穴の長さが相
違する。
【0011】外壁に断熱パネルや埋め殺し型枠が使用さ
れる場合は、断熱パネルや埋め殺し型枠がコンクリート
打設に際しての強い押圧に耐えて変形しないように、セ
パレータのねじ部にセパレータ座を取り付けることが行
われている。セパレータ座は中央を高くした円盤状であ
って、中央にねじ孔を設けたものであり、このねじ孔に
セパレータを螺入して、両者を結合して使用する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】スリーブやプラスチッ
クチューブや、管部材を外挿したセパレータの場合は、
打設コンクリート硬化後にセパレータは抜き取られる
が、スリーブやプラスチックチューブや管部材が、コン
クリート内に残留したままとなるので、これらの残留物
回りからの漏水などの不具合を、免れることができない
点が問題である。
【0013】従来のコーンやセパレータ座を、本発明の
セパレータと組み合わせて使用することは不可能ではな
いが、セパレータとの当接部に打設コンクリートのノロ
が回り込み、不具合を生ずる恐れがある。
【0014】本発明は、上記従来のセパレータの取り付
け部からの漏水やセパレータに発生する錆による不具合
や、外壁を貫通しているセパレータ部の内外の温度差に
より壁面に発生する結露による不具合や、隣棟間隔の狭
い外壁間を貫通するセパレータから発生する軋み音によ
る不具合などを解消すると共に、抜き取ることができる
従来のセパレータの、チューブなどの残留により生ずる
漏水などの不具合を解消した、抜き取り補助部材付きセ
パレータを提供し、このセパレータを十分に密着させる
ことにより、コンクリート打設時のノロの侵入を防止す
るコーン及びセパレータ座を提供することを目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、シー
ト状物1にフィルム状物2を貼着してなる抜き取り補助
部材3を、セパレータ本体4に管状に被覆した、抜き取
り補助部材付きセパレータであって、シート状物1とし
ては表面に直角の方向の押圧には強く、かつ面内方向の
押圧に弱くて変形する特性のある材料が使用され、フィ
ルム状物2としては引っ張り強度と耐水性に優れ、かつ
コンクリートから剥離しやすい特性のある材料が使用さ
れる。この抜き取り補助部材3のセパレータへの取り付
け態様には、セパレータの端部の雄ねじ部10の基部
に、抜き取り補助部材3のフィルム状物2の一端を係止
させる場合と、抜き取り補助部材3の一辺をセパレータ
本体4に固着して巻き付ける場合とがある。
【0016】請求項2及び3の発明は、通常のコーン8
又はセパレータ座9のねじ穴5又はねじ孔7の開口部
に、請求項1の発明のセパレータの抜き取り補助部材3
の直径に等しい口径の切欠段部6を設けたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の抜き取り補助部材付きセ
パレータに使用する抜き取り補助部材3は、シート状物
1にフィルム状物2を貼着したものである。シート状物
1としては不織布や、グラスウールシートや、気泡緩衝
材シートや、耐水性コルゲートコアシートなどが使用さ
れる。コルゲートコアシートは、合成樹脂を含浸した紙
製のコルゲートコアシートや、合成樹脂をラミネートし
た紙製のコルゲートコアシートや、合成樹脂薄板製のコ
ルゲートコアシートや、アルミニウム箔などの金属箔製
のコルゲートコアシートであり、波のピッチは1.5〜
3mmのものである。また、コルゲートコアシートの変
形として、合成樹脂を押出し成型したパイプを円筒状に
連続接着したシート状物1や、金属箔パイプを円筒状に
連続接着したシート状物1も使用される。コルゲートコ
アシートは、セパレータの側面を円筒状に被覆するの
で、片面コルゲートコアシートが適しているが、円筒加
工した両面コルゲートコアシートいわゆる段ボールシー
トも使用される。これらのシート状物1は厚さ2〜5m
mであって、歪率10〜15%のときの圧縮強度が、
1.0〜1.5kg/cmのものが適している。この
程度の圧縮強度を有しておれば、表面に直角の方向の押
圧に強く、コンクリート打設時の押圧に十分耐え、抜き
取り補助部材3が潰れて変形するようなことはない。更
に面内方向の押圧には弱くて変形する特性を備えてい
る。
【0018】フィルム状物2としては、ビニル系プラス
チックフィルムやポリエステル系プラスチックフィルム
や、ポリエチレンフィルムなどであって、厚さが0.0
75〜0.1mmであれば、ほとんどのものは引っ張り
強さが1.1〜2.1kg/mmで、引裂き強さが1
1.7〜103kg/cmであるから、強度が十分で
使用できる。また、合成樹脂を含浸した紙にポリエチレ
ン樹脂などをラミネートした紙も使用可能である。これ
らのフィルム状物2は、引っ張り強度と耐水性に優れ、
コンクリートからは剥離しやすい特性を有しており、本
発明のセパレータの抜き取りに際して、抜き取り補助部
材3が容易にコンクリートから剥離し、フィルム状物2
が千切れて抜き取りを困難にすることもない。上記のシ
ート状物1にフィルム状物2を、その材料に適応した接
着剤によって貼着したものが抜き取り補助部材3であ
る。
【0019】セパレータは鉄製で丸セパと称する通常の
形状のもの、すなわち両端部にはコーン8や座金などへ
螺入するための雄ねじが切ってある棒状体であり、ねじ
径が7.9mm又は9.5mmのものであって、使用箇
所の壁厚に対応した長さであり、雄ねじ部10の長さ
も、使用するコーン8や型枠締付部材14に対応したも
のである。中央部のねじを切っていない部分がセパレー
タ本体4である。なお、図1の抜き取り補助部材の一端
をねじ部に係止したセパレータの縦断面図に示すよう
に、片方の雄ねじ部10の先端部に、図示しない取外し
治具を嵌合して、セパレータを回転させて抜き取るため
の、取外し治具嵌合部11を有するセパレータが使用さ
れる。取外し治具嵌合部11は、図1に示すように雄ね
じ部10の先端部において、両側面を欠き取って横断面
欠円状とした部分であって、欠き取られない部分にはね
じ山が残存している。このセパレータでは、リング12
により抜き取り補助部材3の一端を遊嵌係止してあり、
反リング側からセパレータを抜き取るので、反リング側
の雄ねじ部10の先端部に取外し治具嵌合部11を設け
てある。また、後述の抜き取り補助部材3の一辺をセパ
レータ本体4に固定したセパレータの場合は、壁の外側
からでも内側からでも抜き取ることができるものである
から、外壁の態様に応じて、両側又は片側の雄ねじ部1
0の先端部に設ける。なお雄ねじ部10の基部を、2ピ
ッチ分だけねじ山を切除してあるものが、フィルム状物
2の一端を係止させる場合のセパレータに適している。
【0020】本発明の抜き取り補助部材付きセパレータ
の作り方には二つの方法がある。一つは抜き取り補助部
材3の一端を、セパレータの雄ねじ部10の基部に遊嵌
係止させるものであり、その構成は図1に示すとおりで
ある。例えば不織布よりなるシート状物1を、セパレー
タ本体4を被覆する太さの管状に成形し、これにフィル
ム状物2としてのポリカーボネートフィルムを、一端部
においてシート状物1よりも長い状態に貼着して抜き取
り補助部材3とする。従って抜き取り補助部材3は、一
端部ではフィルム状物2がシート状物1よりも延長され
て、シート状物1が存在していない状態であり、他の部
分はシート状物1とフィルム状物2が積層された状態の
管状のものである。
【0021】フィルム状物2の延長部を図1に示すよう
に、リング12の位置で反転させてシート状物1の部分
まで被せ、更に接着剤で固定した抜き取り補助部材3の
中へセパレータの雄ねじ部10を、シート状物1とフィ
ルム状物2の積層側から、すなわち図1において右側か
ら左側へ向けて挿し込み、更にセパレータ本体4を回し
ながら挿入すると、リング12は雄ねじ部10を移動
し、雄ねじ部10の基部のねじ山のない部分に至ってフ
ィルム状物2が雄ねじ部10係止される。リング12は
径0.5〜1.0mmの鉄線で作られ、セパレータの径
7.9mmと9.5mmに対応する、径7.4mmと
9.0mmの環であるが、一部を切断してねじ谷1ピッ
チ分ずらせて開いた開環体であり、雄ねじ部10のねじ
谷に嵌まって螺入されるものである。このようにする
と、セパレータ本体4は抜き取り補助部材3で管状に被
覆され、一端が雄ねじ部10の基部にリング12と共に
遊嵌係止された状態になっている。リング12は、雄ね
じ部10の基部に遊嵌された状態であるが、セパレータ
の長手外側方向へ押されても、ねじ山に乗れないから移
動できなく、またセパレータを回転してもねじ谷に嵌ま
らないから移動することができない。このことはセパレ
ータの抜き取りに際しての重要な働きである。この抜き
取り補助部材3は、コンクリート打設時にセパレータの
表面方向への押圧に十分耐え、セパレータ長手方向への
押圧には弱く、シート状物1が変形するものになってお
り、かつフィルム状物2をコンクリートから容易に剥離
することができる。この態様の抜き取り補助部材付きセ
パレータを以下「A型セパレータ」と呼ぶ。
【0022】他の態様の抜き取り補助部材付きセパレー
タの構成を、図2の抜き取り補助部材の一辺をセパレー
タ本体に固定した抜き取り補助部材付きセパレータの横
断面図に示す。例えばシート状物1として、合成樹脂薄
板製の片面コルゲートコアシートを使用し、フィルム状
物2としてポリエチレン樹脂をラミネートしたライナー
紙を使用する。まずフィルム状物2の一辺を、適応する
接着剤によってセパレータ本体4に長手方向に接着す
る。次いで図2に示すようにシート状物1をフィルム状
物2の接着部に沿ってセパレータ本体4に当て、その上
にフィルム状物2を重ねて1回巻き込む。この際段頂に
接着剤を塗布して巻き込むと、セパレータ本体4が巻物
状に抜き取り補助部材3で被覆された状態となるから、
余分のシート状物1を切断し、その切断部を接着剤で固
定する。この場合、抜き取り補助部材3はセパレータ本
体4よりも少し長くしておき、両端部が雄ねじ部10に
多少延長された状態であったほうが、セパレータ取り付
け上で都合がよい。この抜き取り補助部材3は、コンク
リート打設時のセパレータ表面方向への押圧には十分耐
え、セパレータ円周方向への押圧には弱く、セパレータ
を回転することによってシート状物1が変形し潰れて細
くなる。この態様の抜き取り補助部材付きセパレータを
以下「B型セパレータ」と呼ぶ。
【0023】本発明の抜き取り補助部材付きセパレータ
は、セパレータを抜き取る側にコーンを使用し、反対側
は外壁の態様により、座金、コーン、セパレータ座、矢
板金物を使用する。例えば、外壁にタイル貼りなどの仕
上げをする普通型枠の場合は座金を使用し、外壁に仕上
げをしないいわゆる打ち放し仕上げの場合はコーンを使
用し、断熱パネルなどを打ち込む場合はセパレータ座を
使用し、外壁が山留壁の場合は矢板金物を使用するなど
であって、これらの従来の座金やコーンやセパレータ座
や矢板金物を使用した場合は、本発明のセパレータの抜
き取り補助部材3が、これらの従来のコーンなどに十分
に密着しないので、コンクリートのノロが抜き取り補助
部材3と従来のコーンなどとの当接部へ回り込み不具合
を生ずるので、その当接部にビニールテープを巻き付け
て、目止めをして使用する必要がある。不具合なく使用
するには、本発明のコーン8又はセパレータ座9とを組
み合わせることである。
【0024】請求項2の発明のコーン8は、図3のコー
ンの斜視図に示すように、円錐台形を呈する合成樹脂製
又は木製のものであり、小径端面中央にはねじ穴5が明
けられており、その開口部には抜き取り補助部材3を挿
入するための切欠段部6を設けてある。この切欠段部6
の口径は、抜き取り補助部材3の直径に等しいものであ
る。ねじ穴5の部分は強度が必要なので鉄で作られてい
る。なお、大径端面中央には型枠締付部材14が螺入さ
れる雄ねじ杆15を突設してある。コーン8の寸法形状
については、使用される型枠締付部材14やコンクリー
トのかぶり厚さにより、高さやねじ穴5の深さが相違す
る。
【0025】請求項3の発明のセパレータ座9は、図4
のセパレータ座の斜視図に示すように、円盤状であって
中央に雌ねじ杆17を突設してあり、雌ねじ杆17のね
じ孔7は円盤状の部分まで貫通している。この雌ねじ杆
17の開口部には、セパレータの抜き取り補助部材3を
挿入するための切欠段部6を設けてある。この切欠段部
6の口径は、抜き取り補助部材3の直径に等しいもので
ある。セパレータ座9のねじ孔7にセパレータの雄ねじ
部10を螺入して、両者を結合して使用することにな
る。
【0026】本発明のコーン8のA型セパレータへの取
り付け方法、及び型枠16への取り付け方法を説明す
る。図5は、抜き取り補助部材の一端を係止した態様の
場合の型枠へのセパレータ取り付け状態を示す縦断面図
であり、外側がコンクリート打ち放し仕上げの外壁13
の場合であり、A型セパレータの外側の雄ねじ部10へ
コーン8を螺着し、内側に座金28を螺着する場合であ
る。座金28は6角板状であって、中央にねじ孔が明い
ているものである。先ず、片側に取外し治具嵌合部11
を設けたA型セパレータの反対側、すなわち抜き取り補
助部材3係止側の雄ねじ部10に、座金28のねじ孔を
螺合させる。この場合、座金28と抜き取り補助部材3
との当接部に、ビニールテープを巻き付けて目止めをす
る。これによってコンクリート打設時のノロの回り込み
が防止される。他方の雄ねじ部10にはコーン8を螺入
するが、抜き取り補助部材3の端部を十分に切欠段部6
へ嵌め込んでおく。座金28とコーン8の大径端面間の
間隔は、所定の間隔すなわち外壁13の厚さに等しい。
このように座金28とコーン8の間隔が一定になってい
るA型セパレータを、その工事に必要な本数だけ作成し
ておく。
【0027】抜き取り補助部材係止側の型枠16を組み
立てておき、型枠16の所定位置すなわちセパレータ本
体4の雄ねじ部10が貫通する位置に明けてある貫通孔
18へ、雄ねじ部10を入れ、座金28を型枠16に密
着させる。次いで雄ねじ部10へ、型枠締付部材14の
ねじ穴5を螺合させ、端太材19を当てた上に締付座金
20を当て、型枠締付部材14の雄ねじ部10に止めナ
ット21をねじ込み、締付座金20を締め付けると、片
方の型枠16にA型セパレータが固定される。次にコン
クリートが打設される外壁13の部分に配筋を行い、他
方のコーン8の取り付けに移る。コーン8の雄ねじ杆1
5を他方の型枠16の貫通孔18へ挿入し、上記と同様
に型枠締付部材14を取り付け、端太材19を当て更に
締付座金20を当て、止めナット21によって締付座金
20を締め付けると、両方の型枠16は一定の間隔を保
って組み立てられることになる。型枠16の組み立てが
終わると、両型枠16の間へコンクリートを打設して養
生し、硬化を待つ。
【0028】次にB型セパレータにコーン8と、セパレ
ータ座9を取り付ける場合の取り付け方法、及び型枠1
6への取り付け方法を説明する。図6は、セパレータ本
体に抜き取り補助部材の1辺を固着した態様の場合の型
枠へのセパレータ取り付け状態を示す縦断面図であり、
室外側に断熱パネル22を取り付ける場合である。外壁
断熱工法には、断熱材が外壁の外側にある外断熱工法
と、外壁の内側にある内断熱工法とがあり、本発明のセ
パレータはいずれの場合にも使用することができる。図
6は外断熱工法の場合である。B型セパレータの取外し
治具嵌合部11のある雄ねじ部10を、室内側のコーン
8のねじ穴5へ螺入し、室外側になる方にはセパレータ
座9のねじ孔7へ、セパレータの雄ねじ部10を螺入す
る。コーン8の大径端面とセパレータ座9の大径端面と
の間隔は所定の間隔になっている。抜き取り補助部材3
の端部を切欠段部6に確りと嵌め込む。このようにコー
ン8とセパレータ座9との間隔を一定にしたB型セパレ
ータを、その工事に必要な本数だけ作成しておく。
【0029】B型セパレータを使用した型枠16の組み
立て手順は、コーン8側については上記のA型セパレー
タの場合と同様である。セパレータ座9側においては、
セパレータ座9のねじ孔7へ断熱材22と型枠16との
厚さよりも遥かに長いねじを切った軸足23を螺入し
て、この軸足23を断熱材22に設けた貫通孔18へ挿
入し、更に型枠16に設けた貫通孔18へ挿入して、先
端部を型枠16から突出させる。次にこの突出部に型枠
締付部材14のねじ穴5を螺合させ、端太材19を当て
た上に締付座金20を当て、型枠締付部材14の雄ねじ
部10に止めナット21を螺合することにより、締付座
金20を締め付けると、室外側の型枠16にセパレータ
座9を介してB型セパレータが固定される。型枠16の
組み立てが終わると、型枠16と断熱パネル22との間
へコンクリートを打設して養生し、硬化を待つ。
【0030】次に、A型セパレータを使用したコンクリ
ート打ち放し仕上げの外壁13の場合の、A型セパレー
タの抜き取りと抜き取り跡の処理について説明する。図
5において片側の型枠締付部材14の止めナット21を
外し、締付座金20を外し、端太材19を外し、型枠締
付部材14を回転して雄ねじ杆15から離脱させる。次
に型枠16を解体し、更にもう一方の側の型枠16も同
じ要領で解体する。ついで、抜き取り補助部材3が固定
されていない側のコーン8を回して、セパレータの雄ね
じ部10からコーン8のねじ穴5を離脱させると、コー
ン8の取り外しができる。
【0031】次に、セパレータの雄ねじ部10に設けた
取外し治具嵌合部11に、図示しない取外し治具を嵌め
てセパレータを回転させる。抜取り補助部材3のフィル
ム状物2の端部は、セパレータに固定されているのでは
なく、リング12と共に雄ねじ部10のねじのない基部
に遊嵌係止されているのみであるから、セパレータの回
転に拘わらずフィルム状物2もリング12も回転するこ
とはない。従ってフィルム状物2を動かすことなく、セ
パレータの雄ねじ部10を、座金28のねじ孔から抜き
取ることができる。このことは非常に重要なことであっ
て、もしリング12によってフィルム状物2がセパレー
タに固定されていたとすれば、フィルム状物2も回転し
ようとしてねじ切れることになる。次に、取外し治具嵌
合部11を引っ張ると、リング12で係止されているフ
ィルム状物2の延長部が引っ張られ、シート状物1に面
内方向の押圧を与えてシート状物1が変形し、フィルム
状物2と共に裏返しに反転し始める。更にセパレータを
引っ張ると、セパレータが抜けることによって生じた空
間に、抜き取り補助部材3がシート状物1を変形させな
がら反転して入り込む。この際、フィルム状物2は引っ
張り強度が優れているので、裂けたり切断したりするこ
とがない。このようにしてセパレータは抜き取り補助部
材3と共に抜き取られ、セパレータの先端に裏返しにな
った抜き取り補助部材3が繋がった状態になっている。
【0032】図5左側の座金28はコンクリートに埋ま
っているが、拘束するものがないので容易に取り外すこ
とができ、座金28とセパレータが抜けた跡に貫通空洞
を持つコンクリートの外壁13ができている。この貫通
空洞へ図7のセパレータ抜き取り跡の処理を示す縦断面
図に示すように、貫通空洞の中央から室内側全域にわた
って無収縮コンクリート25を充填し、室外側のコーン
跡には止水材24を充填すると、コンクリート打ち放し
仕上げ外壁13が完成する。
【0033】コーン8とセパレータ座9とを使用したB
型セパレータの場合は、先ず図6左側の止めナット21
を緩めて外し、締付座金20を外し、端太材19を外
し、更に型枠締付部材14を外すと、型枠16は自由に
なるからこれを解体する。もう一方の側の型枠16も同
様に解体する。次にコーン8を回して、セパレータの雄
ねじ部10をコーン8のねじ穴5から離脱させて、コー
ン8を取り出す。コンクリート打設時の押圧により、抜
き取り補助部材3は強く押圧され、フィルム状物2の当
接面に強い摩擦力が働き、フィルム状物2は係止状態に
なっている。次にセパレータの雄ねじ部10に設けた取
外し治具嵌合部11へ、取外し治具を嵌めて回転させる
と、抜き取り補助部材3の1辺がセパレータ本体4に固
着されているので、シート状物1に面内方向の押圧が加
わり、シート状物1は変形して体積を縮小して細くなろ
うとする。このとき、フィルム状物2にはコンクリート
との摩擦力が働いているから、シート状物1の回転に伴
ってフィルム状物2が直ちに移動することがなく、シー
ト状物1がある程度変形した時点で、フィルム状物2が
コンクリートから剥離し、セパレータ本体4と共に回転
する。回転を続けると図6右側の雄ねじ部10は、セパ
レータ座9のねじ孔7から離脱するので、取外し治具嵌
合部11を引っ張ることにより、容易にB型セパレータ
を抜き取ることができる。
【0034】セパレータ座9側については、止めナット
21、締付座金20、端太材19型枠締付部材14を外
したあと、型枠16は自由になるからこれを解体する。
次に軸足23を回すと上記と同様に貫通空洞を持つ外壁
13になっているが、断熱パネル22の内側にはセパレ
ータ座9が残存している。そこで、図8の断熱パネルの
ある壁のセパレータ抜き取り跡の処理を示す縦断面図に
示すように、貫通空洞の室内側には無収縮モルタル25
を充填し、断熱パネル22を貫通していた軸足23取外
し跡には、バックアップ材26を挿入し、更にシーリン
グ材27を充填すると、室外側に断熱パネル22を張っ
た壁が完成する。
【0035】なお、本発明のセパレータ、コーン及びセ
パレータ座は、余掘りのある場合の地下外周壁や、低温
倉庫の外壁、隣棟間隔の狭い場合の壁、山止め壁を外型
枠にする場合に使用されるほか、内側からセパレータを
抜き取ることができるので、大型パネル工法にも使用す
ることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明のセパレータは、種々の壁の施工
に使用され、コンクリート打設後に抜き取って、その抜
き取り跡の貫通空洞に無収縮モルタルなどを充填するも
のであるから、セパレータが壁内に残留していないの
で、セパレータが残留する従来の壁の場合のような、残
留セパレータの回りからの漏水、セパレータの発錆によ
る壁の汚染、隣棟建物の場合のセパレータの引っ張りと
圧縮に起因する軋み音の発生、セパレータの高熱伝導性
に起因する内壁の結露などの欠点が完全に防止される顕
著な効果がある。また、セパレータに被せたチューブな
どの異物が残留する従来の壁の場合のように、セパレー
タの抜き取り跡の止水処理が十分にできないための漏水
の欠点が解消できる効果がある。更に、セパレータは抜
き取るものであるから、回収したセパレータ本体に、再
度抜き取り補助部材を取り付ければ、再使用することが
できる効果もあり、また大型パネル工法に使用すること
による工期短縮の効果がある。
【0037】また、本発明のコーン及びセパレータ座
は、本発明のセパレータと共に使用することにより、セ
パレータとの当接状態が良好で、打設コンクリートの回
り込みをなくする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】抜き取り補助部材の一端をねじ部に係止したセ
パレータの縦断面図である。
【図2】抜き取り補助部材の一辺をセパレータ本体に固
定した抜き取り補助部材付きセパレータの横断面図であ
る。
【図3】コーンの斜視図である。
【図4】セパレータ座に軸足を取り付けた状態の斜視図
である。
【図5】抜き取り補助部材の一端を係止した態様の場合
の型枠へのセパレータ取り付け状態を示す縦断面図であ
る。
【図6】セパレータ本体に抜き取り補助部材の一辺を固
着した態様の場合の型枠へのセパレータ取り付け状態を
示す縦断面図である。
【図7】セパレータ抜き取り跡の処理を示す縦断面図で
ある。
【図8】断熱パネルのある壁のセパレータ抜き取り跡の
処理を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 シート状物 2 フィルム状物 3 抜き取り補助部材 4 セパレータ本体 5 ねじ穴 6 切欠段部 7 ねじ孔 8 コーン 9 セパレータ座 10 雄ねじ部 11 取外し治具嵌合部 12 リング 13 外壁 14 型枠締付部材 15 雄ねじ杆 17 雌ねじ杆 18 貫通孔 28 座金

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に直角の方向の押圧に強く、かつ面
    内方向の押圧に弱くて変形するシート状物(1)に、引
    っ張り強度と耐水性に優れ、かつコンクリートから剥離
    しやすいフィルム状物(2)を貼着してなる抜き取り補
    助部材(3)を、セパレータ本体(4)に管状に被覆し
    たことを特徴とする抜き取り補助部材付きセパレータ。
  2. 【請求項2】 セパレータが螺入されるねじ穴(5)の
    開口部に、切欠段部(6)を設けたことを特徴とする切
    欠段部付きコーン。
  3. 【請求項3】 セパレータが螺入されるねじ孔(7)の
    開口部に、切欠段部(6)を設けたことを特徴とする切
    欠段部付きセパレータ座。
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