JP4324699B2 - コンクリート躯体表面の耐蝕処理工法および耐蝕処理構造、並びに耐蝕性パネル - Google Patents

コンクリート躯体表面の耐蝕処理工法および耐蝕処理構造、並びに耐蝕性パネル Download PDF

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本発明は、コンクリート躯体表面の耐蝕性を確保する耐蝕性パネルが、水槽や水路などにおける流体流れによって当該コンクリート躯体から剥がされ、捲れることを長期的かつ効果的に防止することが可能なコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法及び耐蝕処理構造、並びにそれらに用いられる耐蝕性パネルに関する。
下水処理施設や汚水処理施設等に備えられる水槽や、下水道施設などの水路をコンクリート躯体で構築する場合には、これら下水などに含まれている酸またはアルカリ成分などのコンクリート腐食成分によってコンクリート躯体が表面から腐食されていくことを防止するために、当該コンクリート躯体表面に耐蝕処理を施している。この種の耐蝕処理工法もしくは耐蝕処理構造に関しては、例えば特許文献1や特許文献2が知られている。
特許文献1にあっては、コンクリート躯体表面となる位置に、打ち込み型枠となる耐蝕パネルを配置し、この耐蝕パネルに対してその表裏を貫通させて貫通部を形成してこの貫通部にジョイントナットを設け、このジョイントナットに対して耐蝕パネルの裏側からセパレーターを、表側からフォームタイを接合して型枠を組み立てるようにし、次いでこの型枠内にコンクリートを打設し、その後、ジョイントナットを残置しフォームタイを撤去した上で耐蝕パネルの表側から皿ビスをジョイントナットに接合することで、表面に耐蝕パネルを固定的に取り付けたコンクリート躯体を構築するようにしている。
また特許文献2では、コンクリート躯体の表面を複数の耐蝕パネルで被覆するにあたり、耐蝕パネル同士の接合部の裏側に裏当て部材を取り付けるとともに表側に耐蝕ライニング材を取り付けるようにし、そして耐蝕ライニング材から裏当て部材、ひいてはコンクリート躯体へと固定ねじをねじ込み、これにより耐蝕パネルをコンクリート躯体に固定して取り付けるようにしている。
特許第2772919号公報 特開2002−178445号公報
ところで、上記水槽への下水などの貯留や排出、また水路における定常的な流水により、コンクリート躯体表面に固定して取り付けられる耐蝕パネルには、流体流れに起因する摩擦応力が作用し、この摩擦応力のために耐蝕パネルの端縁が引き剥がされ、捲れていって、長期的な耐蝕性能を保証することができないおそれがある。この点、特許文献1にあっては、耐蝕パネルを皿ビスを介して、コンクリート中に埋め込んだジョイントナット、ひいてはセパレーターに接合することでコンクリート躯体に固定的に取り付ける点を開示している。通常の場合、耐蝕パネルは中央部から浮き上がることは少なく、まず端縁が捲れ、それが徐々に中央部に広がり、耐蝕パネル内側の隙間を通じて下水などが浸入して耐蝕パネルを固定している皿ビスを浸食することから、端縁での捲れの抑制と耐蝕処理が重要となる。ところが、特許文献1では、皿ビスによる耐蝕パネルの固定位置がその端縁ではないために、流体流れの摩擦応力によって引き起こされる当該耐蝕パネル端縁の剥がれなどを適切に防止することは難しいという課題があった。また、耐蝕パネルに皿ビスを取り付けるビス穴を設け、さらに皿ビスの頭部が耐蝕パネル表面から突出しないように、ビス穴を加工する手間を要するだけでなく、耐蝕パネルの固定後には、ビス穴からの下水の浸入を防止するために、皿ビスとビス穴との隙間を耐蝕性充填材で処理しなければならない等の手間を要していた。
特許文献2にあっても、耐蝕パネル同士の接合部において固定ねじで耐蝕パネルをコンクリート躯体に固定的に取り付けるようにしているが、単にコンクリート躯体にねじ込んだ固定ねじ、そしてまたその上に覆い被せて施工した耐蝕ライニング材だけでは、耐蝕パネル端縁の剥がれなどを長期的かつ効果的に防止することは難しいという課題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、コンクリート躯体表面の耐蝕性を確保する耐蝕性パネルが、水槽や水路などにおける流体流れによって当該コンクリート躯体から剥がされ、捲れることを長期的かつ効果的に防止することが可能なコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法及び耐蝕処理構造、並びにそれらに用いられる耐蝕性パネルを提供することを目的とする。
本発明にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法は、コンクリート躯体の表面となる位置に、その裏面側にコンクリートやモルタル等の打設材料の打設空間を形成する打ち込み型枠として複数の耐蝕性パネルを配置し、次いで、これら耐蝕性パネルの端縁同士が対峙する隙間位置に、これら耐蝕性パネルの裏面側から裏当て部材を設け、該裏当て部材の裏面側にジョイントナットを設けるとともに、該ジョイントナットに該裏当て部材の裏面側からセパレーターを、表面側からフォームタイをそれぞれ接合し、次いで、上記打設空間に打設材料を打設して硬化させ、次いで、上記ジョイントナットを残置して上記フォームタイを撤去した後、上記隙間に耐蝕性充填材を充填して上記耐蝕性パネルと一体化させ、その後、上記耐蝕性充填材の表面から上記ジョイントナットに耐蝕性能を持つ接合用ネジを接合するようにしたことを特徴とする。
本発明にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理構造は、コンクリート躯体の表面となる位置に配置され、その裏面側の打設空間に打設されるコンクリートやモルタル等の打設材料と一体化された打ち込み型枠としての複数の耐蝕性パネルと、これら耐蝕性パネルの端縁同士が対峙する隙間位置に裏当て部材を介して設けられ、セパレーターと接合されたジョイントナットと、上記隙間に充填されて上記耐蝕性パネルと一体化された耐蝕性充填材と、上記耐蝕性充填材の表面から上記ジョイントナットに接合された耐蝕性能を持つ接合用ネジとを備えたことを特徴とする。
本発明にかかる耐蝕性パネルは、請求項1に記載のコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法または請求項2に記載のコンクリート躯体表面の耐蝕処理構造に適用される耐蝕性パネルであって、打設材料が打設される打設空間側となる裏面に、該裏面に対して60〜75°の角度で立ち上がるリブが突出形成されていることを特徴とする。
本発明にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法及び耐蝕処理構造、並びに耐蝕性パネルにあっては、コンクリート躯体表面の耐蝕性を確保する耐蝕性パネルが、水槽や水路などにおける流体流れによって当該コンクリート躯体から剥がされ、捲れることを長期的かつ効果的に防止することができる。
以下に、本発明にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法は基本的には、図1から図3に示すように、コンクリート躯体の表面となる位置に、その裏面側にコンクリートやモルタル等の打設材料Mの打設空間Sを形成する打ち込み型枠として複数の耐蝕性パネル1を配置し、次いで、これら耐蝕性パネル1の端縁同士が対峙する隙間G位置に、これら耐蝕性パネル1の裏面側から裏当て部材2を設け、裏当て部材2の裏面側にジョイントナットとして締め付け用コーン3を設けるとともに、締め付け用コーン3に裏当て部材2の裏面側からセパレーター4を、表面側からフォームタイ5をそれぞれ接合し、次いで、打設空間Sに打設材料Mを打設して硬化させ、次いで、締め付け用コーン3を残置してフォームタイ5を撤去した後、隙間Gに耐蝕性充填材6を充填して耐蝕性パネル1と一体化させ、その後、耐蝕性充填材6の表面から締め付け用コーン3に耐蝕性能を持つ接合用ネジ7を接合するようになっている。
本実施形態にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法は新設のコンクリート躯体表面に適用することもできるが、以下、既設コンクリート躯体8に対する補修もしくは改修の場合を例示して詳細に説明する。まず、打ち込み型枠となる複数の耐蝕性パネル1を用いて型枠を組み立てる。この型枠組立工程は次のように実施される。
既設コンクリート躯体8の表面には予め目荒らしを施しておく。既設コンクリート躯体8に、適宜間隔を隔てて埋め込んで複数のアンカー9をとり、これらアンカー9を利用して既設コンクリート躯体8の表面から水平方向へ突出させて複数のセパレーター4を設置する。この際、セパレーター4、そしてまたアンカー9は、補修もしくは改修されるコンクリート躯体の表面となる位置に配置される複数の耐蝕性パネル1の端縁同士が向かい合う隙間Gに位置するように、すなわち目地に合わせて配列する。既設コンクリート躯体8の表面から突出させたセパレーター4の先端には、ジョイントナットとして、締め付け用コーン3をねじ込んで接合する。この締め付け用コーン3は、セパレーター4の先端がねじ込まれる第1のネジ穴3aと、第1のネジ穴3aの反対側に形成され、フォームタイ5や接合用ネジ7がねじ込まれる第2のネジ穴3bとを有している。そして、締め付け用コーン3に対しセパレーター4とは反対側から耐蝕性パネル1を建て込む。
耐蝕性パネル1について説明すると図4から図6に示すように、この耐蝕性パネル1は矩形板状に形成されたパネル部1aと、このパネル部1aの裏面より立ち上げて長さ方向にわたって一連にかつ幅方向に適宜間隔を隔てて突出形成された複数のリブ1bとから構成され、当該リブ1bによって特に長さ方向の曲げ剛性が高く形成される。耐蝕性パネル1は、非耐蝕性のガラスロービングなどの繊維材からなる芯材Aに、コンティニアスストランドマットBを重ね、さらにその上をポリエステル不織布Cで覆って、これらコンティニアスストランドマットBおよびポリエステル不織布Cに、高い剛性を得ることができる熱硬化性樹脂D、例えば不飽和ポリエステル樹脂(ビスフェノールA系ポリエステルなど)やビニルエステル樹脂(ブロモビスフェノールA系エポキシアクリレートを含む)などを含浸させ硬化させることにより、FRPとして形成される軽量なものである。
芯材Aとしては、耐酸性のC(ECR)ガラスや耐アルカリ性のARガラスを使用するようにしてもよい。またコンティニアスストランドマットBに代えて、チョップトストランドマットやロービングクロスを用いるようにしてもよい。さらに、ポリエステル不織布Cに代えて、ガラス不織布やその他の有機繊維不織布を用いるようにしてもよい。
非耐蝕性の芯材A部分を覆う熱硬化性樹脂D、特にビニルエステル樹脂は、下水道施設などにおける主要な腐食性物質である硫酸や、打ち込み型枠としての耐蝕性パネル1の裏面側に打設されるモルタル等の打設材料M中の水酸化カルシウムに対し、十分な耐久性を発揮する。また熱硬化性樹脂Dであることから、打設材料Mの水和反応熱や処理施設等の設置箇所において晒される可能性のある相当の熱に対しても軟化することがなく、従って変形や変質のおそれもなく、好ましく適用することができる。このような耐蝕性パネル1は、品質を一定に維持し易く、また量産に適した工場等で生産され、施工現場に搬入されるようになっている。
さらに耐蝕性パネル1の厚さは例えば、打ち込み型枠として用いる点を考慮したパネル剛性、リブ強度、そしてまたFRP引き抜き成形によって良好に成形することができるように、5mm程度とされる。引き抜き成形によるので、特に長さの長いものを製造することができ、また低コストで製造することができる。耐蝕性パネル1の外形寸法は適宜に設定できるが、例えば長さ2700mm、幅600mmで形成され、その場合リブ1bは幅方向に等間隔で4本設けられる。このような寸法設定によれば、耐蝕性パネル1を薄く軽量に製造でき、従ってまた取り扱い性、現場施工性も向上できる。
またリブ1bは、その先端に折り曲げ部1cを有するほぼL字状に形成され、例えば、耐蝕性パネル1の裏面に、これよりおおよそ30mmで立ち上がるように設けられる。特に、リブ1bは裏面に対して60〜75°の角度で斜めに立ち上げて形成される。このような角度設定は、これよりも寝かせて設定したり、立ち上げて設定する場合と比べ、耐蝕性パネル1を横向きに寝かせて、折り曲げ部1cを上にしリブ1bが上方に向くように水平に設置する横使いとしても、打設材料Mが傾斜したリブ1bを伝ってパネル面1aとリブ1bとの接合部周りに、当該箇所の空気を押し出しつつ円滑に流れ込み、これにより当該接合部周りに空気溜まりなどの空隙部が残ってしまうことを防止できて、打設材料Mと打ち込み型枠としての当該耐蝕性パネル1との一体性が高く確保される。打設材料Mを、空気溜まりなどの空隙部を作らずに密に充填するには、リブ1bを一方に傾斜させ、その傾斜を少なくとも75°以下の角度にしなければならないことが、耐蝕性パネル1の裏側に打設材料Mを打設する施工実験によって確認されている。一方、リブ1bの傾斜を所定以下の角度にすると、耐蝕性パネル1と打設材料Mとの付着力が低下してしまい、適切な付着力を得るにはリブ1bの傾斜を、少なくとも60°以上の角度にしなければならないことが、耐蝕性パネル1と打設材料Mとの付着力試験によって確認されている。また、適切な付着力を得るには、リブ1bの長さが少なくとも30mm程度、かつリブ1bの厚さが5mm程度必要であることが、耐蝕性パネル1と打設材料Mとの付着力試験によって確認されている。従って当該耐蝕性パネル1にあっては、これを縦向きに立てて設置しても、また横向きに寝かせて設置してもよく、自由度高く配置することができる。そしてこのリブ1bにより、耐蝕性パネル1の強度向上と、打設材料Mに対する定着作用の確実性とが確保される。図2では、耐蝕性パネル1を縦使いとする場合が例示されているが、上述したように横に寝かせる横使いとしてもよいことはもちろんである。
この耐蝕性パネル1の四辺の端縁には図1および図3に示すように、締め付け用コーン3が位置するその裏面側に板状の裏当て部材2が設けられる。この裏当て部材2は、隣接する耐蝕性パネル1間に渡して配置され、これら耐蝕性パネル1の端縁同士が対峙する隙間Gを塞ぐようになっている。裏当て部材2は、隙間Gを介して耐蝕性パネル1と当該裏当て部材2との間からそれよりも内方へ腐食性物質が透過することを防止するために、発泡ブチルゴム系などの両面テープ10もしくはスポンジゴムによって耐蝕性パネル1に接着される。
特に、耐蝕性パネル1の幅方向端縁にはリブ1bが存在するので、当該幅方向端縁同士の隙間Gにおける裏当て部材2の取り付けにあたっては、図7に示すように、互いに対峙するリブ1bそれぞれに裏当て部材2の厚さ相当の切り込み11を工場等で形成し、これら切り込み11に裏当て部材2をはめ込むようにする。リブ1bに切り込み11を形成する代わりに、裏当て部材2に切り込みを形成したり、また両者に切り込みを形成して、はめ合わせるようにしてもよい。
さらに、4枚の耐蝕性パネル1の4隅が集まる部分の隙間Gにおける裏当て部材2の始末は図8に示すように、例えば耐蝕性パネル1の長さ方向に沿う裏当て部材2同士を直に突き合わせる一方で、耐蝕性パネル1の幅方向に沿う裏当て部材2それぞれを、当該直に突き合わせた裏当て部材2に対しその両側から突き合わせるようになっている。
そして、耐蝕性パネル1の裏面側に設けた裏当て部材2の裏面に、締め付け用コーン3を当接させた状態で、パネル押さえ板12を挟み込みつつ、裏当て部材2に形成したボス部2aからフォームタイ5を締め付け用コーン3の第2のネジ穴3bにねじ込む。この際、隙間Gには、耐蝕性パネル1と既設コンクリート躯体8との間の打設空間Sから耐蝕性パネル1表面側へ打設材料Mが漏れ出すのを防ぐためにバックアップ材13を施す。また、パネル押さえ板12の耐蝕性パネル側表面には、耐蝕性パネル1に対する位置ずれを防止するために、これを粗面にするなどの加工を施しておくとよい。
以上により、耐蝕性パネル1の端縁同士が対峙する隙間Gに、これら耐蝕性パネル1の裏面側から裏当て部材2を設け、裏当て部材2の裏面側に締め付け用コーン3を設けるとともに、締め付け用コーン3に裏当て部材2の裏面側からセパレーター4を、表面側からフォームタイ5をそれぞれ接合する作業が完了して、打ち込み型枠としての耐蝕性パネル1が、既設コンクリート躯体8との間に打設空間Sを隔てた状態で、セパレーター4で支持されることになる。
その後、このフォームタイ5に対し、支保工材である桟木14や端太15を組むことで型枠の構築が完了する。図2は、リブ1bが高さ方向となるように耐蝕性パネル1を縦使いとした型枠の組立完了状態の正面図である。このように耐蝕性パネル1を打ち込み型枠として使用するので、別の型枠材が不要であり、施工の容易化を図ることができる。
次いで、既設コンクリート躯体8と耐蝕性パネル1との間の打設空間Sに、セパレーター4を介して既設コンクリート躯体8に支持反力をとって、打設材料Mであるモルタル等を打設し、これを硬化させて新規躯体部分を構築する。打設材料Mとしてのモルタルはその一例として、15〜25mm幅の打設空間Sへ充填することが可能であって、かつ既設コンクリート躯体8および耐蝕性パネル1との付着力の確保、硬化時および硬化後の体積変化が少ないものとして、水、セメント、膨張材、シリカフューム、細骨材、AE減水材からなり、水結合材比(W/B)40〜60%で調製される。
次いで、支保工材14,15を取り外し、またフォームタイ5を締め付け用コーン4の第2のネジ穴3bから撤去し、またバックアップ材13を取り去る。この際、隙間Gに露出する締め付け用コーン3はそのまま残置するようにする。その後、耐蝕性パネル1の端縁同士が対峙する隙間Gに、耐蝕性パネル1と同等の耐蝕性があってかつ良好なシール性が得られる、例えば耐蝕性パネル1と同じ材質のビニルエステル樹脂など、あるいはエポキシ樹脂、もしくは弾性を発揮するシリコーン樹脂などの耐蝕性充填材6をコーキング材として充填し、硬化させる。この耐蝕性充填材6としては、隙間Gへの施工性を考慮して、相当程度の粘性が得られるように調製することが好ましい。この耐蝕性充填材6の硬化により、耐蝕性充填材6と耐蝕性パネル1は一体化され、従って耐蝕性パネル1同士も当該耐蝕性充填材6を介して全体的に一連に一体化される。
その後、この耐蝕性充填材6の表面から締め付け用コーン3の第2のネジ穴3bに、皿ネジ等の接合用ネジ7をねじ込む。これにより、接合用ネジ7のネジ頭部7aが耐蝕性充填材6を押さえ込むようにして、セパレーター4と接合された締め付け用コーン3と接合されることとなり、耐蝕性パネル1は、これと一体化している耐蝕性充填材6を介して当該接合用ネジ7によりセパレーター4と接合されるとともに、この接合によりセパレーター4が既設コンクリート躯体8からの耐蝕性充填材6や耐蝕性パネル1の押さえ部材として機能することとなって、耐蝕性パネル1は既設コンクリート躯体8に対し強固に固定され一体化される。そして特に、セパレーター4と接合用ネジ7、耐蝕性充填材6の連係によって耐蝕性パネル1を既設コンクリート躯体8に対して押さえ込む箇所を、当該耐蝕性パネル1の端縁同士の隙間Gに設定したことから、耐蝕性パネル1の端縁部分からの剥がれや捲れが確実に防止される。
また、裏当て部材2も、当該セパレーター4と接合される締め付け用コーン3と接合用ネジ7との間に挟まれて、耐蝕性パネル1と既設コンクリート躯体8間に強固に一体化される。接合用ネジ7は非耐蝕性であってもよいが、耐蝕性樹脂材などで製作した耐蝕性能を持つものを使用することが好ましい。また、締め付け後にネジ頭部7aに耐蝕処理を施すようにしてもよい。そしてまた必要に応じて、隣接する耐蝕性パネル1間の隙間Gであった目地にこれを覆うようにしてエポキシ樹脂製などの耐蝕性ライニング材16を取り付けるようにしてもよい。
以上説明したコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法により、既設コンクリート躯体8には、コンクリート躯体の表面となる位置に配置され、その裏面側の打設空間Sに打設されるモルタル等の打設材料Mと一体化された打ち込み型枠としての複数の耐蝕性パネル1と、これら耐蝕性パネル1の端縁同士が対峙する隙間G位置に裏当て部材2を介して設けられ、セパレーター4と接合された締め付け用コーン3と、隙間Gに充填されて耐蝕性パネル1と一体化された耐蝕性充填材6と、耐蝕性充填材6の表面から締め付け用コーン3に接合された接合用ネジ7とを備えた耐蝕処理構造が得られる。このようにして構築された耐蝕処理構造は、防水性はもちろんのこと、隙間Gに充填された耐蝕性充填材6により、ひび割れに対する追従性も確保することが可能である。
そしてまた上述した耐蝕処理工法にあっては、耐蝕性パネル1の端縁同士が対峙する隙間G、すなわち目地に対応させてセパレーター4を配設する以外は、通常の打ち込み型枠工法を適用し、打設材料Mを打設した後において、フォームタイ5を撤去した後の耐蝕性充填材6の充填と、当該耐蝕性充填材6表面側からの接合用ネジ7の締め付け用コーン3への接合作業とで施工作業を完了することができるので、容易な施工作業で耐蝕性パネル1を既存コンクリート躯体8に確実に一体化して補修・改修を行うことができる。また、隣接する2枚の耐蝕性パネル1を、それらの隙間Gを接合箇所として接合し固定するため、各耐蝕性パネル1個々を、別々に固定する必要がなくて固定箇所が減少し、施工の簡略化を図ることができる。さらに、接合用ネジ7の締め付け箇所は、耐蝕性充填材6で形成されているので、接合用ネジ7とネジ穴の隙間に別途耐蝕性充填材でシールする必要がなく、この面からも施工の簡略化を図ることができる。
そして特に本実施形態にかかる耐蝕処理工法および耐蝕処理構造にあっては、セパレーター4と接合用ネジ7、耐蝕性充填材6の連係によって耐蝕性パネル1を既設コンクリート躯体8に対して押さえ込む箇所を、当該耐蝕性パネル1の端縁同士の隙間Gに設定したので、コンクリート躯体表面の耐蝕性を確保する耐蝕性パネル1が、下水処理施設や下水道施設などの水槽や水路などにおける流体流れによってその端縁部分から剥がされ、捲れることを長期的かつ効果的に防止することができる。
また、これら工法および構造に適用される耐蝕性パネル1として、打設材料Mが打設される打設空間S側となる裏面に、60〜75°の角度で立ち上がるリブ1bを突出形成したものを用いるようにしていて、このような耐蝕性パネル1によれば、当該リブ1bにより耐蝕性パネル1自体の強度向上と、打設材料Mに対する定着作用の確実性とを確保できることはもちろんのこと、当該耐蝕性パネル1をリブ1bが上方に向くように水平に設置する横使いとしても、打設材料Mが傾斜したリブ1bを伝ってパネル面1aとリブ1bとの接合部周りに、当該箇所の空気を押し出しつつ円滑に流れ込み、これにより当該接合部周りに空気溜まりなどの空隙部が残ってしまうことを防止できて、打設材料Mと打ち込み型枠としての当該耐蝕性パネル1との一体性を高く確保することができる。従って当該耐蝕性パネル1にあっては、これを縦向きに立てて設置しても、また横向きに寝かせて設置してもよく、高い自由度を持って型枠工を施工することができる。
図9には上記実施形態の変形例が示されていて、耐蝕性能を持つ接合用ネジ7としては図示するように、ネジ頭部7aが隣接する耐蝕性パネル1の端縁まで達する大きさを有するものを使用するようにし、このネジ頭部7aで耐蝕性充填材6のみならず、耐蝕性パネル1をも直に押さえ込むようにしてもよい。図10にも上記実施形態の変形例が示されていて、ジョイントナットとしては、図示するように、コーン形態のものだけでなく、筒状形態のナット3であってもよい。
さらに、上記実施形態にあっては既設コンクリート躯体8に対する補修・改修の場合を例にとって説明したが、新設のコンクリート躯体に、上述した耐蝕処理施工を施して耐蝕処理構造を構築する場合には図11に示すように、締め付け用コーン3が接合されるセパレーター4の他端に、耐蝕性パネル1と対峙させて別の型板20を設置することで型枠を構築し、当該型板20と耐蝕性パネル1との間を打設空間Sとしてコンクリートなどの打設材料Cを打設するようにすればよく、これにより新設のコンクリート躯体の表面にも同様な耐蝕処理構造を、同様な耐蝕処理工法で構築することができる。
本発明にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法の好適な一実施形態を示す支保工状態の平面断面図である。 図1の支保工状態の正面図である。 本発明にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理構造の好適な一実施形態を示す、図1の支保工を解体した後の仕上げ状態の平面断面図である。 本発明にかかる耐蝕性パネルの好適な一実施形態を示す平面図である。 図4に示した耐蝕性パネルの正面図である。 図4に示した耐蝕性パネルの要部拡大平面断面図である。 図4の耐蝕性パネルの幅方向端縁同士の接合状態を説明する説明図である。 図1の支保工状態における耐蝕性パネル同士の隅角部の始末を示す要部拡大正面図である。 図1および図3に示したコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法および耐蝕処理構造の変形例を示す、仕上げ状態の平面断面図である。 図1および図3に示したコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法および耐蝕処理構造の他の変形例を示す、仕上げ状態の平面断面図である。 本発明にかかるコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法の好適な一実施形態を示す、新設コンクリート躯体構築時の支保工状態の平面断面図である。
符号の説明
1 耐蝕性パネル 1b リブ
2 裏当て部材 3 締め付け用コーン
4 セパレーター 5 フォームタイ
6 耐蝕性充填材 7 接合用ネジ
G 隙間 C,M 打設材料
S 打設空間

Claims (3)

  1. コンクリート躯体の表面となる位置に、その裏面側にコンクリートやモルタル等の打設材料の打設空間を形成する打ち込み型枠として複数の耐蝕性パネルを配置し、
    次いで、これら耐蝕性パネルの端縁同士が対峙する隙間位置に、これら耐蝕性パネルの裏面側から裏当て部材を設け、該裏当て部材の裏面側にジョイントナットを設けるとともに、該ジョイントナットに該裏当て部材の裏面側からセパレーターを、表面側からフォームタイをそれぞれ接合し、
    次いで、上記打設空間に打設材料を打設して硬化させ、
    次いで、上記ジョイントナットを残置して上記フォームタイを撤去した後、上記隙間に耐蝕性充填材を充填して上記耐蝕性パネルと一体化させ、
    その後、上記耐蝕性充填材の表面から上記ジョイントナットに耐蝕性能を持つ接合用ネジを接合するようにしたことを特徴とするコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法。
  2. コンクリート躯体の表面となる位置に配置され、その裏面側の打設空間に打設されるコンクリートやモルタル等の打設材料と一体化された打ち込み型枠としての複数の耐蝕性パネルと、
    これら耐蝕性パネルの端縁同士が対峙する隙間位置に裏当て部材を介して設けられ、セパレーターと接合されたジョイントナットと、
    上記隙間に充填されて上記耐蝕性パネルと一体化された耐蝕性充填材と、
    上記耐蝕性充填材の表面から上記ジョイントナットに接合された耐蝕性能を持つ接合用ネジとを備えたことを特徴とするコンクリート躯体表面の耐蝕処理構造。
  3. 請求項1に記載のコンクリート躯体表面の耐蝕処理工法または請求項2に記載のコンクリート躯体表面の耐蝕処理構造に適用される耐蝕性パネルであって、
    打設材料が打設される打設空間側となる裏面に、該裏面に対して60〜75°の角度で立ち上がるリブが突出形成されていることを特徴とする耐蝕性パネル。
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