JP3142591U - コンクリート打継部分の止水構造及び耐震水平スリット材 - Google Patents

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Abstract


【課題】施工が容易なコンクリート打継部分の止水構造であって、屋外からの漏水を効果的に防ぐことができるコンクリート打継部分の止水構造、及び該止水構造に用いる耐震スリット材を提供する。
【解決手段】コンクリート打継部分の止水構造は、コンクリート建造物外壁における耐震水平スリット材1が設けられたコンクリート打継部分の止水構造において、前記耐震水平スリット材が、耐震板状体2と止水部材3とからなり、該止水部材は、水平板状部と垂直板状部とにより、断面L型又は逆T型の形状をなして前記耐震板状体の上面に貼設されており、前記水平板状部の上面には防水テープが貼設されており、前記耐震板状体の下面とコンクリートの間に、防水コーキングが設けられており、前記耐震板状体の屋外側の端面に沿って、水平目地部シーリングが設けられてなることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本考案は、コンクリート打継部分の止水構造及び該止水構造に用いられる耐震水平スリット材に関する。
従来より、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物において、大地震発生時の柱のせん断破壊を防止し、建物の倒壊を防ぐことを目的として、耐震スリット工法が行われてきた。
前記耐震スリット工法は、通常、スリット材を用いて、左右の柱と壁の縁、下梁と壁の縁を切る3辺完全スリット型の吊下げ工法で行われる。この吊下げ工法は、左右の各々の柱近傍の壁の中に耐震垂直スリット材を垂直に設置して壁と柱の縁を切り、下梁近傍の壁の中に水平に耐震水平スリット材を設置して梁と壁の縁を切り、壁を上梁から吊下げることにより行われる。
前記耐震スリット材は、コンクリート構造物の中に挿入して設置されるため、圧縮復元性、耐火性、セメントペースト耐浸透性等の性能が要求される。これらの要求を満たすために、耐震スリット材として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等からなる熱可塑性樹脂の発泡体、あるいは前記発泡体とロックウール、グラスウール、セラミックファイバー、ケイ酸カルシウム等の不燃材とを組み合わせた材料が用いられることが多い。
前記熱可塑性樹脂の発泡体等からなる耐震スリット材は、コンクリートと異なる材料であることから、両者の接着性が悪くなり、耐震スリット材とコンクリートの間に雨水等の漏水が浸入するような隙間が生じ易い。そのため、耐震スリット材の屋外側には、目地部を設け、そこにシーリング材を充填することにより、雨水の浸入を防ぐことが行われている。
例えば、従来の耐震水平スリット材を設けたコンクリート打継部分の止水機構は、図8に示すように、ポリオレフィン樹脂等からなる発泡体100a、発泡体100cとロックウール等からなる不燃材100bとからなる耐震水平スリット材100を垂直振れ止め筋102で貫きつつ、梁やスラブの前打コンクリート101の表面に対して、水平に設置し、その上に壁の型枠を組み、壁の後打コンクリート103を打設するといった手順で施工される。更に、耐震水平スリット材100の屋外側には目地部を設け、型枠解体後に目地部にシーリング材104を充填することにより、漏水の防止が行われる。
しかし、シーリング材104には、長期の自然条件下における劣化や、地震、強風による伸縮等の変形によって、破断や剥離が生じることがある。その場合、雨水等が耐震水平スリット材100とコンクリート101、103との間の隙間を通り、屋内への漏水が発生する。そこで、この漏水を防止するために、図8に示すように耐震水平スリット材100の上下面の一部にブチルゴム(防水テープ)105を、耐震水平スリット材100の長手方向に帯状に貼設することが行われている。
しかし、単にブチルゴム105を帯状に貼設しただけでは、十分に漏水を防止することはできない。更に、耐震水平スリット材100の上面の一部にブチルゴム105を設置しても、後打コンクリートを打設する前に、ブチルゴム105に埃が付着すると、コンクリートとブチルゴムの接着が弱くなり漏水の原因となってしまう。建築現場は、コンクリートの粉や木屑などの埃が充満していることから、埃が舞うことが多く、埃がブチルゴム105の上に付着することを避けることはできない場所である。特に、風が吹くと埃の付着が激しくなる傾向がある。
また、耐震スリット工法におけるコンクリート打継部分の止水機構として、図9に示すように、シーリング部を段差型の構造にすることも行われている(特許文献1)。これはシーリング材104及び段差型打ち継ぎ目地106を耐震水平スリット材100よりも屋外側下部に配置して、雨水の浸入経路となる隙間を一段下げることにより、屋外側から屋内側に雨水等が侵入し難くするという構造である。
しかし、段差型の止水構造の場合、耐震水平スリット材100の屋外側上端縁のコンクリート部分に応力集中が起きやすいことから、この部分にクラック107が発生しやすく、クラック107を通って激しい漏水が発生してしまう。
これらの問題を解決する方法として、図10に示すように、耐震水平スリット材100の屋外側端面に、板状部材108の表面の長手方向にブチルゴム層109が設けられている止水材110が、止水材110の短手方向が上下方向となり、ブチルゴム層109の長手方向がコンクリート構造物の外壁の上端縁と平行になるように、前打コンクリート101にそのブチルゴム層109の一部が埋設された状態で後打コンクリート103を打設してなる止水構造が開示されている(特許文献2)。
特許文献2に開示された止水構造を採用すると、屋外からの漏水を防止することはできる。しかし、ブチルゴム層109が設けられている止水材110を前打コンクリート101に差込んで、ブチルゴム層109の一部を前打コンクリート101に埋設するという作業が煩雑で、作業性が低下するという問題が新たに発生してしまう。また、前打コンクリート101の上に板状部材108が突出しているため、作業員が其の上に乗ったり、蹴飛ばしたりして、止水材110を傾かせてしまうことを避けることができないという問題もある。
特開2001−3492号公報 特開2006−200173号公報
本考案は、前記従来の問題点に鑑み、施工が容易なコンクリート打継部分の止水構造であって、屋外からの漏水を効果的に防ぐことができるコンクリート打継部分の止水構造、及び該止水構造に用いる耐震スリット材を提供することを目的とする。
本考案よれば、以下に示すコンクリート打継部分の止水構造、耐震水平スリット材が提供される。
(1) コンクリート建造物外壁における耐震水平スリット材が設けられたコンクリート打継部分の止水構造において、前記耐震水平スリット材が、耐震板状体と止水部材とからなり、該止水部材は、水平板状部と垂直板状部とにより、断面L型又は逆T型の形状をなして前記耐震板状体の上面に貼設されており、前記水平板状部の上面には防水テープが貼設されており、前記耐震板状体の下面とコンクリートの間に、防水コーキングが設けられており、前記耐震板状体の屋外側の端面に沿って、水平目地部シーリングが設けられてなることを特徴とするコンクリート打継部分の止水構造。
(2) (1)に記載のコンクリート打継部分の止水構造において、耐震垂直スリット材が設けられており、該耐震垂直スリット材の下方の端面から上方に向けて垂直切込み部が形成されており、該垂直切込み部に前記止水部材の垂直板状部が差込まれていることを特徴とするコンクリート打継部分の止水構造。
(3)(1)又は(2)に記載のコンクリート打継部分の止水構造において、垂直振れ止め筋が前記耐震板状体を貫通しており、前記垂直振れ止め筋を境にして、前記耐震板状体とコンクリートの間の屋内側と屋外側の各々に、前記防水コーキングが設けられていることを特徴とするコンクリート打継部分の止水構造。
(4) 前記耐震板状体に屋内側端面から外壁の厚み方向に向けて水平切込み部が形成されており、前記垂直振れ止め筋が該水平切込み部を貫きつつ、前記耐震板状体が前記コンクリート上に載置されている(1)〜(3)のいずれかに記載のコンクリート打継部分の止水構造。
(5) 止水部材と耐震板状体とからなり、該止水部材が、水平板状部と垂直板状部とにより、断面L型又は逆T型の形状をなして前記耐震板状体の上面に貼設され、前記水平板状部の上面には防水テープが貼設されていることを特徴とする耐震スリット材。
本考案の耐震スリット工法によるコンクリート打継部分の止水構造においては、耐震水平スリット材と水平目地部シーリングとを前打コンクリート上に配置するという構造を採用しているので、下梁と壁の縁を切る水平方向の耐震スリット構造の施工が容易である。しかも、応力集中によりクラックが発生し、クラックから雨水が漏水するということが防止される。
本考案のコンクリート打継部分の止水構造においては、特定の耐震水平スリット材を使用することにより、屋外側の水平目地部シーリング、耐震水平スリット上面の止水部材と防水テープ、耐震水平スリット下面の防水コーキングの3つが効果的に機能することから、従来問題であった漏水が防止される。即ち、耐震水平スリット材の上面に止水部材が設けられ、其の水平部分(水平板状部)に貼設されている防水テープにより、耐震水平スリット材と後打コンクリートの間を通る漏水が遮断され、更に止水部材の垂直部分(垂直板状部)によっても漏水が遮断される。また、止水部材を両面粘着テープで耐震水平スリット材を構成する耐震板状体に貼着すれば、止水部材と耐震板状体の間を通る漏水を遮断することができる。また、耐震水平スリット材の下面には、屋外側と屋内側の二重の防水コーキングが設けられているので、耐震水平スリット材と前打コンクリートの間を通る漏水が効果的に遮断される。
更に、止水部材の垂直部分(垂直板状部)と後打コンクリートの外側型枠の働きにより、風に運ばれた埃が、水平板状部に貼設された防水テープに付着することが防止されるので、防水テープの効果が低減することが防止される。
本考案の耐震スリット工法によるコンクリート打継部分の止水構造においては、一対のコの字型力骨材で挟まれた耐震垂直スリット材が、前記耐震水平スリット材の上に設けられるという構造を採用しているので、左右の柱と壁の縁を切る垂直方向の耐震スリット構造を容易に施工することができる。
また、コの字型力骨材を構成するコの字の開口部に向かう板状体の外側に、鉤状の水返しを垂直方向に設けることにより、コの字型力骨材と後打コンクリートの間を通る漏水が遮断され、鉤状の水返しに対して屋外側のコの字型力骨材の側面に垂直防水層を貼設することにより、コの字型力骨材と後打コンクリートの間を通る漏水がより効果的に遮断される。しかも、鉤状の水返しと後打コンクリートの屋外側型枠の働きにより、風に運ばれた埃が、前記垂直防水層に付着することが防止されるので、垂直防水層の効果の低減が防止される。
また、耐震スリット材の垂直切込み部に、前記止水部材の垂直板状部が差込まれているので、耐震垂直スリット材と耐震水平スリット材の間を通る漏水を効果的に防ぐことができ、更に、地震により耐震垂直スリットと耐震水平スリットとの間に隙間ができた場合であっても、漏水を防ぐことができる。
以下、本考案のコンクリート打継部分の止水構造及び該止水構造に用いる耐震水平スリット材について、図面を用いて詳細に説明する。
本考案で用いる耐震水平スリット材1は、図1に示すように、長尺の耐震板状体2と長尺の止水部材3とからなるものである。
更に、長尺の耐震板状体2は、屋外側板状発泡体2aと、屋内側板状発泡体2bと、前記2つの板状発泡体2a、2bで挟まれた中央の板状不燃材2cとが、互いの長手方向端面同士を衝合させて一体化してなるものである。
なお、屋外側板状発泡体2aと板状不燃材2cと屋内側板状発泡体2bとは、通常では図1に示すように、同一平面上で、夫々が其の短手方向を同一直線方向を向くように配置される。但し、互いの長手方向端面同士を衝合させて一体化してさえいれば、屋外側板状発泡体2a、板状不燃材2c、屋内側板状発泡体2b夫々の短手方向を異なる方向に向けることができる。例えば、板状不燃材2cと屋内側板状発泡体2bの短手方向を同一方向に向け、屋外側板状発泡体2aの短手方向を異なる方向に向けることもできれば、屋外側板状発泡体2a、板状不燃材2c、屋内側板状発泡体2bの夫々の短手方向を異なる方向に向けることもできる。
なお、屋外側板状発泡体2a、板状不燃材2c、屋内側板状発泡体2bの夫々の短手方向を異なる方向に向けた場合、後述する止水部材は、水平方向を向けて配置される屋外側板状発泡体上に設けることが好ましい。
なお、耐震板状体2を取扱いやすいものとするために、其の上面及び/又は下面に粘着テ−プ4を貼ることにより、屋外側板状発泡体2aと中央の板状不燃材2cと屋内側板状発泡体2bとが一体化されている。粘着テープ4は、布粘着テープが好ましい。
耐震板状体2の大きさに制限はないが、長手方向の寸法は1500〜3000mmであり、好ましくは1800〜2500mmである。長手方向の寸法が1500mm以上であれば、多数の耐震板状体2を取り付けなければならないことにより施工が煩雑になるということがなく、3000mm以下であれば、長すぎて施工性が悪くなるということがない。該短手方向の寸法は90〜400mmであり、好ましくは100〜300mmである。短手方向の寸法が90mm以上であれば、所望される耐震特性を発揮することができ、400mm以下であれば、長すぎて壁の中に収まらないということがない。厚み方向の寸法は15〜60mmであり、好ましくは20〜50mmである。厚みが15mm以上であれば、所望される耐震特性を発揮することができ、60mm以下であれば、過度のコストアップに繋がる虞がない。
屋外側板状発泡体2aと屋内側板状発泡体2bの短手方向寸法は、耐震板状体2の短手方向の寸法の1/6〜1/2、中央の板状不燃材2cの短手方向寸法は30〜70mmである。屋外側板状発泡体2aや屋内側板状発泡体2bの短手方向寸法が短すぎると、小さな地震でも壁に亀裂が入るおそれがあり、長すぎると火災の際に屋外に火が飛び散りやすくなる等の耐火性が低下する虞がある。板状不燃材2cの短手方向寸法が短すぎると、火災の際に屋外に火が飛び散りやすくなる等の耐火性が低下する虞があり、長すぎると、耐火性は良いものの小さな地震でも壁に亀裂が入る虞がある。
但し、屋外側板状発泡体2a、屋内側板状発泡体2b、板状不燃材2cの短手方向寸法の合計は、耐震板状体2の短手方向の寸法である。
耐震板状体2を構成する屋外側板状発泡体、屋内側板状発泡体としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる熱可塑性樹脂発泡体、或いは炭酸カルシウムを主成分とする無機系の不燃性発泡体等が用いられる。
また、板状不燃材2cとしては、セラミックスファイバー、ロックウール、グラスウール、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂に炭酸カルシウムを主成分とする無機粉体を多量に(不燃性発泡体中で75〜90重量%)混合した組成物からなる不燃性発泡体、コンクリート、れんが、瓦、陶磁器質タイル、石綿スレート、繊維強化セメント板、厚さ3mm以上のガラス繊維混入セメント板、厚さ5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板、鉄鋼、アルミニウム、金属板、ガラス、モルタル、しっくい、石、石膏ボード(厚さ12mm以上、ボード用原紙の厚さ0.6mm以上)等が用いられる。
なお、板状不燃材2cが無機繊維素材で形成されている場合には、コンクリートの侵入を防止するために、通常、板状不燃材2cの全体を粘着テープ4で被覆する。
本考案の止水部材3においては、長尺の止水部材3が屋外側板状発泡体2aの上面に設けられている。該止水部材3は、長尺の水平板状部3aと長尺の垂直板状部3bとが互いの短手方向を直角に向けて結合し、断面L型(L字型)又は逆T型(逆T字型)の形状をなしている。但し、水平板状部3aと垂直板状部3bとは、厳密に90度の角度で交わっている必要はなく、90度より小さな角度や大きな角度で結合することにより、厳密なL字型や逆T字型をなしていなくてもよく、水平板状部3aや垂直板状部3bが短手方向に湾曲することにより、厳密な断面L型(L字型)又は逆T型(逆T字型)の形状をなしていなくてもよい。
この止水部材3は、図1に示すように、水平板状部3aの長手方向を屋外側板状発泡体2aの長手方向に向けると共に水平板状部3aの短手方向先端を、耐震板状体、好ましくは屋外側板状発泡体2aの開放されている短手方向端面側に向けて屋外側板状発泡体2aの上に、水平に貼設されている。この場合、貼設する方法としては、作業が容易で止水性に優れることから、両面粘着テープ5を用いることが好ましい。但し、止水部材3は、板状不燃材2cや、屋外側板状発泡体2aと板状不燃材2cとを跨いで設けられていても良い。
更に、水平板状部3aの上面には防水テープ6が貼設されている。この場合、防水テープ6は、水平板状部3aの上面と屋外側板状発泡体2aとに亘って設けることが好ましい。該防水テープ6が設けられていることにより、水平板状部3aの上面を通る漏水が遮断され、更に、その屋内側に垂直板状部3bが設けられていることにより、漏水は効果的に遮断される。また、水平板状部3aの下面を通る漏水は、両面粘着テープ5と防水テープ6により遮断される。
また、建築現場にはコンクリートの粉や木屑などの埃が充満しており、しかも防水テープ6を貼設し、離形紙を剥がしてから、直ちに後記後打コンクリートを打設することはない。従って、埃が防水テープ6に付着しがちで、特に風が吹くと埃が防水テープ6に付着しやすくなる。しかし、止水部材3が設けられていると、垂直板状部3bと後記外側型枠21が、風が吹き付けることを防止するので、埃が防水テープ6に付着しにくくなる。
なお、防水テープ6は後述するように粘着性の材料からなり、それ自体を水平板状部3aの上面に貼り付けることができるものである。そして、貼り付けられた防水テープ6の表面には離形紙が設けられており、この離形紙を剥がしてから後打コンクリートが打設される。
止水部材3、即ち、水平板状部3a及び垂直板状部3bは、漏水を通さない耐水性のある材料からなり、3000mmの長さのものであっても、その端部を片持ちした場合、他方の端部が大きく垂れ下がらない程度の剛性を有するものである。このような剛性を有する止水部材は、金属又は合成樹脂からなることが好ましく、コストを考慮すると、金属としては亜鉛鋼板が好ましく、合成樹脂としては塩化ビニル樹脂が好ましい。但し、本考案はこれらの材料に限定されるものではなく、前記剛性を有し、耐水性のある材料から適宜選定することができる。
止水部材3の長手方向寸法は、通常1500〜3000mmであり、好ましくは1800〜2500mmである。該長手方向寸法が長すぎると取扱いにくくなり、短すぎると、作業が煩雑になり作業性が悪くなる。
水平板状部3a、垂直板状部3bの短手方向寸法は、5〜50mmが好ましく、7〜30mmがより好ましく、9〜20mmが更に好ましい。尚、水平板状部3aと垂直板状部3bの夫々の短手方向寸法は、同一でも異なっていてもよく、水平板状部3aの短手方向寸法が垂直板状部3bの短手方向寸法より長くても良い。
水平板状部3aの短手方向寸法が短すぎると、耐震板状体1にしっかりと固定することが困難になり、長すぎると、取扱いにくくなると共に過度なコストアップに繋がる虞がある。垂直板状部3bの短手方向寸法が短すぎると、防水テープ6への埃の付着を防止する効果が得られにくくなり、長すぎると、取扱いにくくなると共に過度なコストアップに繋がる虞がある。
止水部材3を構成する水平板状部3a、垂直板状部3bの厚さは、好ましくは0.1mm〜10mmであり、更に好ましくは0.3〜3mmであり、より好ましくは0.4〜2mm、更に好ましくは0.5〜1.5mmである。厚さが上記範囲内であれば、取り付け時やコンクリート打設時の圧力により曲がったり、破壊したりすることがない剛性を有し、十分な止水効果を発揮することができると共に、軽量性に優れ、コンクリート構造物の強度への悪影響もなく、施工コスト、材料コストの点においても優れたものとなる。
水平板状部3aの上面に設けられる防水テープ6に用いられる防水材料は、コンクリートとの密着性が良好であり、止水性能を有する材料であることを要する。具体的には、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン・プロピレン共重合体(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム、多硫化ゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴム、天然ゴム、多硫化ゴム系液状ゴム、シリコーン系液状ゴム、ウレタン系液状ゴム、ジエン系液状ゴム等の液状ゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
また、前記防水材料としては、粘着性を有する材料が、コンクリートとの接着性が良く、止水性能を発揮できることから好ましい。防水テープ6を構成する防水材料としては、加硫ブチルゴム、非加硫ブチルゴム、水膨張性のシーラント剤等の防水性を有する材料が挙げられる。特にブチルゴムは、耐スチーム性・耐ガス透過性、耐水性に優れていることから好ましい。ブチルゴムには、非加硫ブチルゴム、加硫ブチルゴムがあるが、非加硫ブチルゴムが粘着性、可塑性を有することから、特に好ましい。
前記防水テープ6は、水平板状部3aの上面に予め所定の厚さの帯状に形成されたものを貼設することが好ましい。防水テープ6の厚さは、0.5mm〜5mmが好ましく、更に好ましくは0.8mm〜3mmである。防水テープ6の厚さが0.5mm以上であれば、コンクリートの乾燥収縮等による動き等に追従することができ、十分な止水性能を発揮することができる。また防水テープ6の厚さが5mm以下であれば、過度なコストアップに繋がることがなく、更に防水テープ6と水平板状部3との間に隙間ができやすくなって防水性が低下する虞もない。
防水テープ6は、水平板状部3aの長手方向全体に亘って貼設されることが好ましいが、一部分設けられていない部分があってもよい。また、防水テープ6の短手方向長さは、5〜50mmが好ましく、より好ましくは8〜40mmである。短手方向長さが5mm以上あれば、所望される漏水防止特性を発揮することができ、40mm以下であれば、施工性が良く、過度なコストアップに繋がる虞がない。
また、耐震板状体2の上面における屋外側の長手方向端縁と防水テープ6の屋外側の長手方向端縁との間隔dを5〜30mmの範囲内にすることが好ましい。間隔dが5mm以上あれば、防水テープ6が含有する溶剤が染み出ることがあっても、耐震板状体2の屋外側の長手方向端面に接して設けられる後記水平目地部シーリング36まで達することが防止され、水平目地部シーリングが溶剤により損傷することを防ぐことができる。一方、間隔dが30mm以下であれば、垂直振れ止め筋12に対して屋外側で止水できるので、垂直振れ止め筋12が漏水で錆びることがない。
間隔dを5〜30mmの範囲内にするためには、防水テープ6の短手方向の寸法、防水テープ6を貼設する水平板状部3aの短手方向の寸法などを考慮して定めるべきである。
次に、本考案の耐震水平スリット材を用いて、耐震スリット工法によるコンクリート建造物における止水構造の施工例、及びそれによって得られる止水構造について図2〜図7を用いて説明する。
本考案の止水構造を形成するには、まず、コンクリート建造物の梁やスラブ等を形成するための鉄筋等を配し、型枠を組み、前打コンクリートを打設する。前打コンクリートが多少硬化したところで、垂直振れ止め筋12を、図2に示すように、打設した前打コンクリート11上に建造物の外壁の上端縁に平行に等間隔で垂直方向に刺し込むことで配置する。その後、後打コンクリートの打設が可能となるまで前打コンクリート11を養生させる。前打コンクリート11の養生が終わってから、又はその養生の途中で前打コンクリート用の型枠を解体する。
なお、図示はしないが、垂直振れ止め筋を梁やスラブに配筋される鉄筋等に固定することもできる。
垂直振れ止め筋12は、通常300〜500mm間隔で等間隔に配置される。但し、垂直振れ止め筋は、その機能を果たすことさえできれば、厳密な意味で等間隔に配置される必要はなく、多少不揃いな間隔であってもよい。
前打コンクリート11の養生が終わってから、図2に示すように、屋外側の型枠21を立設し、次に外壁の上端縁13に沿って外壁側の型枠に衝合させて水平目地棒14を配置する。
次に、図2に示すように、前打コンクリート11の上に屋外側防水コーキング15を外壁の上端縁13に対して平行に、且つ外壁の上端縁13と垂直振れ止め筋12との間の後記屋外側板状発泡体2aが載置されると予想される範囲内の位置に線状に形成する。更に、前打コンクリート11の上に屋内側防水コーキング16を外壁の上端縁13に対して平行に、且つ垂直振れ止め筋12より屋内側の後記屋内側板状発泡体2bが載置されると予想される範囲内の位置に線状に形成する。
屋外側防水コーキング、屋内側防水コーキング夫々の線状の幅は、通常5〜40mmであり、好ましくは8〜30mmである。該幅が5mm以上あれば、止水効果を発揮することができ、40mm以下であれば、施工性が良く、過度なコストアップに繋がる虞もない。
屋外側防水コーキング15、屋内側防水コーキング16を構成する材料としては、前記防水テープ6を構成する材料と同様に、コンクリートとの粘着性が良く、止水性能を発揮できるものが用いられる。具体的には、加硫ブチルゴム、非加硫ブチルゴム、水膨張性のシーラント剤等が挙げられ、これらの中では非加硫ブチルゴム、加硫ブチルゴムが耐スチーム性・耐ガス透過性、耐水性に優れていることから好ましく、非加硫ブチルゴムが粘着性、可塑性を有することから、特に好ましい。
屋外側防水コーキング15、屋内側防水コーキング16を形成する方法としては、例えば、建築シーリング用のカートリッジ式ガンに前記非加硫ブチルゴムを充填し、ガンの吐出口から前打コンクリート11の上に放出する方法が挙げられる。
屋外側防水コーキング15、屋内側防水コーキング16を形成したら、次に、図3に示すように、前打コンクリート11の表面に、耐震板状体2と止水部材3とからなる長尺の耐震水平スリット材1を載置する。即ち、長尺の耐震水平スリット材1を、其の長手方向を建造物の外壁の上端縁13に平行に向けると共に其の短手方向を外壁の上端縁13に対して直角に向け、さらに耐震板状体2を各垂直振れ止め筋12で貫いて、耐震板状体2を前打コンクリート11の上に載置する。
このとき、屋外側防水コーキング15は、前記の通り、屋外側板状発泡体2aが載置されると予想される位置に形成されているので、屋外側板状発泡体2aと前打コンクリート11の間に線状に形成され、屋内側防水コーキング16は、前記の通り、屋内側板状発泡体2bが載置されると予想される位置に形成されているので、屋内側板状発泡体2bと前打コンクリート11の間に線状に形成されることとなる。このように、屋外側防水コーキング15と屋内側防水コーキング16の二重の防水コーキングが設けられているので、耐震水平スリット材1と前打コンクリート11の間を通る漏水は効果的に遮断される。
なお、前打コンクリート11の上に載置される耐震水平スリット材1は、前記の通り、耐震板状体2と止水部材3とからなり、止水部材3が耐震板状体2を構成する屋外側板状発泡体2a上に両面粘着テープ5を介して貼設されることにより一体化されており、更に、水平板状部3aの上面に、前記防水テープ6が貼設されているものである(図1)。
かかる耐震水平スリット材1を前打コンクリート11の上に載置する際、図3に示すように、耐震板状体2に、カッター等で水平切込み部17を耐震板状体2の屋内側端面から外壁の厚み方向に向けて形成することが好ましい。水平切込み部17が形成されていると、垂直振れ止め筋12を水平切込み部17に貫通させる作業が容易になるので、耐震板状体2を前打コンクリート11の上に効率よく配置することができる。
但し、垂直振れ止め筋12を貫通させる場所を中心として、耐震板状体2に×型の切込み部を形成して、該切込み部に垂直振れ止め筋12を差込んで貫くこともできる。但し、×型の切込み部を形成すると、耐震板状体がバラバラになりやすく、それにより漏水しやすくなるので注意を要する。
本考案の耐震スリット工法においては、前記の通り、まず前打コンクリート11を打設することにより下梁を構築し、次に、屋外側の型枠21を立設してから、前打コンクリート11の上に耐震水平スリット材1を載置して、下梁と壁の下縁を切ることにより、吊下げ壁の下縁における止水構造を構築する。次に、図4に示すように、左右の柱と壁の縁を切る耐震垂直スリット材23を立設し、更に室内側の型枠22を立設し、型枠21と型枠22の間に、後打コンクリートを打設して、上階の外壁を構成する。このように、耐震垂直スリット材23を右の柱20と左の柱(図示せず)の各々の近傍の壁の中に垂直に設置して柱と壁の縁を切ることにより、外壁を吊下げ壁として構築する。
なお、耐震垂直スリット材23は壁20の近傍に垂直に設置され、耐震垂直スリット材23と壁20との間隔d2は0〜50mmである(図4)。
次に、柱と壁の縁を切るための耐震垂直スリット材23の設置について詳細に説明する。
まず、長尺板状の耐震垂直スリット材23と一対の長尺なコの字型力骨材24a、24bを準備し、コの字型力骨材24a、24bのコの字の開口部に耐震垂直スリット材23の長手方向端面から耐震垂直スリット材23を挿入し勘合させて予め一体化する。
次に、一体化されたコの字型力骨材24a、24bと耐震垂直スリット材23を、その短手方向を耐震水平スリット材1の長手方向に対して直角に向けて耐震水平スリット材1の上に載置しつつ立設する。なお、耐震垂直スリット材23の短手方向は、止水部材3の短手方向と一致することになる。
この場合、屋外側の型枠21に垂直方向に予め取付けられている垂直目地棒28a(図4、図5)を、コの字型力骨材24に設けられている垂直目地棒挿入部25に挿入して、耐震垂直スリット材23を固定する。垂直目地棒挿入部25は、力骨材24のコの字の縦棒部を構成する板状体241のコの字の開口部の反対側に設けられ、力骨材24のコの字の逆方向を向いて開口する長尺の逆向きコの字型(コの字型の開口部が八の字状に開いていることが好ましい。)の部材である(図4、5、6、7)。
同時に、耐震垂直スリット材23の短手方向下方の端面から上方に向けて形成された垂直方向上向きの垂直切込み部26に、前記止水部材3の垂直板状部3bを挿入する(図5、図7)。止水性を向上させるために、垂直切込み部26は、屋外側のコの字型力骨材24aのコの字の開口先端の下端同士を結ぶ線からコの字の先端同士を結ぶ面に沿って耐震垂直スリット材23に形成されている。この構造により、耐震垂直スリット材23と耐震板状体2との接触面で漏水を効果的に防ぐことができる。
耐震垂直スリット材の材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等からなる熱可塑性樹脂発泡体、前記発泡体と前記段落0024に記載の板状不燃材との複合体や、炭酸カルシウムを主成分とする無機系の不燃性発泡体が用いられる。
耐震垂直スリット材23の長手方向寸法は、通常1500〜3000mmであり、好ましくは1800〜2500mmである。長手方向寸法がこの範囲内であれば、施工性に優れたものとなる。
耐震垂直スリット材23の短手方向寸法は、通常90〜400mmであり、好ましくは100〜300mmである。該短手方向寸法が90mm以上であれば、所望される耐震特性を発揮することができ、400mm以下であれば、施工性が良く、大幅なコストアップに繋がることもない。
耐震垂直スリット材23の厚みは、通常15〜60mmであり、好ましくは20〜50mmである。該厚みが15mm以上であれば、所望される耐震特性を発揮することができ、60mm以下であれば、施工性が良く、大幅なコストアップに繋がることもない。
コの字型力骨材の材料としては、前記止水部材と同様のものが用いられる。具体的には、亜鉛鋼板又は塩化ビニル樹脂が好ましく用いられる。
コの字型力骨材の厚さは、好ましくは0.1mm〜10mmであり、更に好ましくは0.3〜5mmであり、より好ましくは0.4〜3mm、更に好ましくは0.5〜2.5mmである。厚さがこの範囲内であれば、取り付け時やコンクリート打設時の圧力により曲がったり、破壊したりすることがない剛性を有し、十分な止水効果を発揮することができると共に、軽量性に優れ、コンクリート構造物の強度への悪影響もなく、施工コスト、材料コストの点においても優れたものとなる。
次に、図5に示すように、両端に螺子が切られた捨てセパレーター29aを、その一方の端部を屋内側に向け、他方の端部をピーコン30aに螺着し、同時に両端に螺子が切られた短いセパレーター29bを屋外側の型枠21に差込み、その両端にピーコン30aとナット31aを螺着し、型枠21を挟んで締付けて捨てセパレーター29aを固定する。
次に、図5に示すように、捨てセパレーター29aを利用して水平振れ止め筋32を取り付ける。この場合、水平振れ止め筋32を捨てセパレーター29aに対して直角に向け、且つ耐震垂直スリット材23に対しても直角に向け、更に水平振れ止め筋32が耐震垂直スリット材23に突き当たる位置に孔を開け、水平振れ止め筋32にはストッパ33を取付けて、ストッパ33が耐震垂直スリット材23に突き当たるまで、水平振れ止め筋32を耐震垂直スリット材23に差込んで、水平振れ止め筋32が捨てセパレーター29の上に載置されるようにクリップ34で固定することにより、水平振れ止め筋32を捨てセパレーター29aと耐震垂直スリット材23とに取り付ける。
捨てセパレーター29は、縦方向に100〜400mm間隔で取り付けることが好ましい。該間隔が100mm以上であれば、取付けの際に手を容易に入れることができるので施工しやすい。一方、該間隔が400mm以下であれば、後打コンクリートを打設する際に、耐震垂直スリット材23が側圧に対して容易に耐えることができる。
また、捨てセパレーター29は、水平方向に100〜600mm間隔で取り付けることが好ましい。該間隔が100mm以上であれば、取付けの際に手を容易に入れることができるので施工しやすい。一方、該間隔が600mm以下であれば、後打コンクリートを打設する際に、耐震垂直スリット材23が側圧に対して容易に耐えることができる。特に、下側部分に取り付ける場合には、100〜300mm間隔で取り付けると、耐震垂直スリット材23の下側に側圧がかかってもズレにくくなる。
次に、図5、図6、図7に示すように、セパレーター29b挿入用の孔38が穿設された室内側型枠22と、型枠22に垂直方向に取り付けられた垂直目地棒28bを、コの字型力骨材24bの逆向きコの字型の垂直目地棒挿入部25に挿入し勘合させる。同時に前記捨てセパレーター29の開放端をピーコン30bに螺着し、同時に両端に螺子が切られた短いセパレーター29cを屋内側の型枠22に差込み、その両端にピーコン30bとナット31bを螺着し、型枠22を挟んで締付けて捨てセパレーター29aの前記開放端を固定する。更に、ピーコン30bとナット31bを締付けて、コの字型力骨材24a、24bの短手方向両側から、耐震垂直スリット材23を押圧して固定する。
なお、屋外側に配置されたコの字型力骨材24の開口部に向かう板状体242の各々の外側に、長尺で短手方向断面が鉤状の水返し35が、其の長手方向をコの字型力骨材の長手方向に向けて、且つ鉤状の先端35aをコの字型力骨材の開口部側の反対側に向けて設けられている(図4)。更に、垂直防水層37が、該コの字型力骨材24の開口部に向かう板状体242の各々の外側且つ該水返し35に対してコの字型の開口部側と反対側に設けられている。従って、コの字型力骨材24の板状体242の各々の表面と後打コンクリートの間を通って室内側に向かう漏水は、垂直防水層37と水返し35によって遮断される。また、コの字型力骨材24と耐震垂直スリット材23の下端面を通って室内側に向かう漏水は、前記止水部材3に設けられた防水テープ6により遮断される。
なお、水返し35は、屋外側に配置されたコの字型力骨材24aに設けられていれば足りるが、屋内側に配置されたコの字型力骨材24bに設けられていても良い。特に、工法の単純化の観点から、同一のコの字型力骨材を一対として用いることが好ましく、その場合には屋内側に配置されたコの字型力骨材24bにも水返し35が設けられることとなる。但し、垂直防水層37は、屋外側に配置されたコの字型力骨材24aのみに設けられていればよい。
垂直防水層37の材料、厚みは前記防水テープ6と同様である。垂直防水層37の長手方向寸法は、耐震垂直スリット材23の長手方向と同様である。垂直防水層37の短手方向寸法は、5〜30mmが好ましく、より好ましくは8〜20mmである。該短手方向寸法が5mm以上であれば、止水性を発揮することができ、30mm以下であれば、無駄な垂直防水層37を形成することなく漏水を効果的に防止することができる。
次に、型枠21と型枠22の間に後打コンクリートを流し込んで、コンクリートを硬化させる。後打コンクリートが硬化し、更に所定期間コンクリートを養生した後、型枠21、22を解体すると、後打コンクリートが硬化した吊下げ壁が現れる。水平目地棒14を取外した跡は水平方向の凹部が形成されており、該凹部にバックアップ材を入れてからシーリング材を充填して、水平目地部シーリングを形成する。
また、垂直目地棒28aを取外した跡は垂直方向の凹部が形成されており、屋外側の凹部にはバックアップ材を入れてからシーリング材を充填して、垂直目地部シーリングを形成する。室内側の垂直目地棒28bを取外した跡は垂直方向の凹部が形成されており、吹付けウレタンで凹部を含む屋内側壁前面を仕上げる。
垂直振れ止め筋12は、下梁と吊下げ壁とを結んだ状態で、コンクリートの中に埋め込まれ、水平振れ止め筋32は柱20と吊下げ壁とを結んだ状態で、コンクリートの中に埋め込まれる。型枠21と型枠22を固定するのに用いた捨てセパレーター29aの中央部は吊下げ壁の中に埋め込まれているが、ピーコン30a、bが螺合されていた両端は吊下げ壁から飛び出しているので切断する。
目地棒を取外した跡に充填するシーリング材としては、湿気硬化型のシリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、酸素硬化型の変成ポリサルファイド系、乾燥硬化型のエマルションタイプアクリル系、溶剤タイプブチルゴム系の1成分形シーリング材、反応硬化型のシリコーン系、ポリイソブチレン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系、アクリルウレタン系、ポリウレタン系の2成分型のものが使用できる。
図1(a)は、本考案の耐震水平スリット材の平面図である。同(b)は、図1(a)のI−I線に沿う断面図である。 図2は、本考案のスリット材を施工して止水機構を形成する工程を示す斜視図である。 図3は、本考案のスリット材を施工して止水機構を形成する工程を示す斜視図である。 図4は、本考案のスリット材を施工して垂直方向の止水機構を形成し、後打コンクリートを打設する直前の工程を示す平面図である。 図5は、本考案のスリット材を施工して止水機構を形成する工程を示す断面図である。 図6は、本考案のスリット材を施工して止水機構を形成する工程を示す断面図である。 図7は、本考案のスリット材を施工して垂直方向の止水機構を形成し、後打コンクリートを打設する直前の工程を示す斜視図である。 図8は、従来の止水機構を示す断面図である。 図9は、従来の止水機構を示す断面図である。 図10は、従来の止水機構を示す断面図である。
符号の説明
1 耐震水平スリット材
2 耐震板状体
2a 屋外側板状発泡体
2b 屋内側板状発泡体
2c 板状不燃材
3 止水部材
3a 水平板状部
3b 垂直板状部
4 粘着テ−プ
5 両面粘着テープ
6 防水テープ
11 前打コンクリート
12 垂直振れ止め筋
13 外壁の上端縁
14 水平目地棒
15 屋外側防水コーキング
16 屋内側防水コーキング
17 水平切込み部
20 柱
21 屋外側の型枠
22 室内側の型枠
23 耐震垂直スリット材
24、24a、24b コの字型力骨材
241 コの字の両端が固定された縦棒部を構成する板状体
242 コの字型力骨材の開口部に向かう板状体
25 垂直目地棒挿入部
26 垂直切込み部
28a、28b 垂直目地棒
29a 捨てセパレーター
29b、c セパレーター
30a、b ピーコン
31a、b ナット
32 水平振れ止め筋
33 ストッパ
34 クリップ
35 鉤状の水返し
35a 鉤状の水返しの先端
37 垂直防水層
38 ピーコンのねじ部の孔
39 ピーコンのねじ部
100 耐震水平スリット材
100a 発泡体
100b 不燃材
100c 発泡体
101 前打コンクリート
102 垂直振れ止め筋
103 後打コンクリート
104 シーリング材
105 ブチルゴム
106 段差型打ち継ぎ目地
107 クラック
108 板状部材
109 ブチルゴム層
110 止水材

Claims (5)

  1. コンクリート建造物外壁における耐震水平スリット材が設けられたコンクリート打継部分の止水構造において、前記耐震水平スリット材が、耐震板状体と止水部材とからなり、該止水部材は、水平板状部と垂直板状部とにより、断面L型又は逆T型の形状をなして前記耐震板状体の上面に貼設されており、前記水平板状部の上面には防水テープが貼設されており、前記耐震板状体の下面とコンクリートの間に、防水コーキングが設けられており、前記耐震板状体の屋外側の端面に沿って、水平目地部シーリングが設けられてなることを特徴とするコンクリート打継部分の止水構造。
  2. 請求項1に記載のコンクリート打継部分の止水構造において、耐震垂直スリット材が設けられており、該耐震垂直スリット材の下方の端面から上方に向けて垂直切込み部が形成されており、該垂直切込み部に前記止水部材の垂直板状部が差込まれていることを特徴とするコンクリート打継部分の止水構造。
  3. 請求項1又は2に記載のコンクリート打継部分の止水構造において、垂直振れ止め筋が前記耐震板状体を貫通しており、前記垂直振れ止め筋を境にして、前記耐震板状体とコンクリートの間の屋内側と屋外側の各々に、前記防水コーキングが設けられていることを特徴とするコンクリート打継部分の止水構造。
  4. 前記耐震板状体に屋内側端面から外壁の厚み方向に向けて水平切込み部が形成されており、前記垂直振れ止め筋が該水平切込み部を貫きつつ、前記耐震板状体が前記コンクリート上に載置されている請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート打継部分の止水構造。
  5. 止水部材と耐震板状体とからなり、
    該止水部材が、水平板状部と垂直板状部とにより、断面L型又は逆T型の形状をなして前記耐震板状体の上面に貼設され、
    前記水平板状部の上面には防水テープが貼設されていることを特徴とする耐震スリット材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114753413A (zh) * 2022-06-07 2022-07-15 河海大学 一种基于水泥基渗透结晶型防水涂料层的防水结构

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