JP4675364B2 - アンボンド工法に於けるpc鋼棒定着方法、及び該方法の実施に用いる器具 - Google Patents
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Description
また、被覆PC鋼材をコンクリート型枠内に配置してコンクリート打設し、コンクリート躯体構築後に、PC鋼材を緊張定着するアンボンド工法も慣用されており、PC鋼材として、単本のPC鋼棒を採用する工法も慣用されている。
本発明の属する、アンボンド工法に於けるPC鋼棒の典型的定着方法としては、図9に示す従来例がある。
アンボンドPC鋼棒は、図9(B)に示す如く、表面を防錆材処理してポリプロピレン樹脂で被覆し、ポリエチレンシース内に挿通して準備したものである。
そして、図9(A)に示す如く、26mm径のPC鋼棒を採用する場合は、32mm厚で一辺が165mmの正方形の鋼板のアンカープレートと、4.5mm厚で外径が72mmの座金と、高さが40mmで対角寸法が57.7mmのナットとを採用し、コンクリート欠込み穴底部に樹脂モルタルを塗布して、着座面の不陸を調整し、PC鋼棒がアンカープレート及び座金を貫通する形態に配置してナットを螺入嵌合し、ナットから前方に突出するPC鋼棒にテンションロッドを螺着し、ジャッキを用いてPC鋼棒を所定応力付与まで引張り、浮いたナットを締め付けてPC鋼棒を定着する。
この場合、コンクリート欠込み穴は、深さ137.5mmで、欠込み穴表面は一辺が140mmの正方形の角錐穴が必要となる。
高周波熱錬(株)の「ネツレンPC鋼棒」のカタログ11頁「アンボンドPC鋼棒」の項
本発明は、上記従来の、アンボンドPC鋼棒定着工法の問題点を一挙に解決、又は改善するものであり、新規なPC鋼棒定着具を採用し、小さなコンクリート欠込みの下に、且つ、PC鋼棒の、緊張定着後のコンクリート欠込み穴内での切断を不要とするPC鋼棒定着工法を提供するものである。
また、エンドキャップ71の後方円筒部71Sは、貫入したアンボンドPC鋼棒6との隙間からの打設コンクリートの浸入を阻止するものであり、アンボンドPC鋼棒が隙間無く嵌合出来る内径とするのが好ましいが、作業性の観点から、アンボンドPC鋼棒6を後方円筒部71Sに緩嵌合して、生じる隙間を接着テープで捲回被覆しても良い。
また、ポケットフォーマは、例えば、図1の如く、支圧板1Aの前面で挿入用孔H1の外周に、円錐筒のスリーブパイプを着脱可能に配置すれば良く、支圧板1Aのポケットフォーマ14の外側域はコンクリート内埋設域となるため、支圧板の保持力増大化が得られ、ポケットフォーマ14の、支圧板1Aに当接する径は、小さい程好ましい。
そして、エンドキャップ71内へのグラウトモルタル充填によって、PC鋼棒6の緊張定着部は防錆保護され、高耐久性となる。
更に、PC鋼棒6の緊張作業は、PC鋼棒6と同径の継手ボルト16Bを備えた緊張装置(トルクレンチ)を採用し、継手ボルト16Bをカプラー3に螺入して実施するため、PC鋼棒6を定着体1に定着した状態では、PC鋼棒6の先端はカプラー3の後半部に位置し、従来の如く、PC鋼棒6先端がアンカープレート(支圧板)から突出することがないので、PC鋼棒6の定着作業に於いて、特に困難であった、PC鋼棒6の余長の切断作業が不要となる。
しかも、緊張装置の継手ボルト16Bを螺合係止したカプラー3の前半部は、空洞ねじ部として残存するため、コンクリートプレストレスト建物の増築時には、カプラー3の該空洞ねじ部は、新規増築側のPC鋼棒基端固着用に、再度採用出来るため、プレストレスト建物の合理的な増築施工も可能となる。
この場合、エンドキャップ71の前方円錐筒部71Tは、図1(B)に示す如く、前方へ拡径形態の外側円錐筒71Aと、前方へ縮径形態の内側円錐筒71Cとの二重筒形態を採用するのが好ましく、且つ、外側円錐筒71Aと内側円錐筒71Cとの挟角は、定着体後端の筒状テーパー突出片1Dを弾力挟着する形状とすれば良い。
カプラー3は、後半部にはPC鋼棒6の先端ねじ面S6を螺合固定し、前半部には緊張装置のボルト軸16Bを螺入固定し、ボルト軸16Bの緊張装置による引張りによって、カプラー3をPC鋼棒6と共に引出す部材であるため、PC鋼棒6の先端ねじ面S6との螺合長さも、ボルト軸16Bとの螺合長さも、共にねじ面を破壊しない「限界はめ合い長さ」が必要である。
しかも、仕切りボルト3Bの介在によって、PC鋼棒6定着後のカプラー3は、継手ボルト16Bを抜脱した外側半分が、建物増改築時の新規PC鋼棒6の固定端の定着部に利用出来、プレストレスト建物の増改築の合理的施工を可能とする。
この場合、定着体1は、PC鋼棒6の緊張応力をコンクリート躯体に、コンクリート剪断破壊を生ずることなく伝達するものであり、支圧板1Aは、有効表面で一様に応力を負担するものであるため、例えば、PC鋼棒に26mm径を採用する場合は、従来技術では、正方形であれば、28mm厚で一辺135mmの支圧板が要求されるが、本発明にあっては、支圧板1Aの標準は、曲率半径200mmの弯曲形態とするため、一辺が125mmの正方形板と小寸化出来る。
しかも、定着体円筒部1Tが外周中間部にリブ状突起1Cを備えたことにより、リブ状突起1Cは、定着体1の強度増大と共に、コンクリートC0の保持力の増大も果たし、定着体1の小型化と保持力増大とを達成する。
尚、テーパーナット2は、外周円錐面が定着体1の挿入用孔H1に着座するものであり、カプラー3は、PC鋼棒6の伸長量によってテーパーナット2内の前後位置が決まるものである。
そして、PC鋼棒6の定着状態では、テーパーナットの円錐筒2T部は、定着体1の挿入用孔H1の内周面に密着して着座しているが、テーパーナット2の外周面の空気溝G2は、エンドキャップ71内へのグラウトモルタル充填時に、充満モルタルの前面への流出を生ずるため、エンドキャップ71内へのグラウトモルタル7の充填作業停止時が知見出来、モルタル7の完全な充填作業の目視が可能となる。
この場合、PC鋼棒6の緊張定着時に、図4(A)の如く、カプラー3の前端T3がテーパーナット2内であれば、テーパーナット2の前端T2を布、テープ等の防水性シート材で接着閉止すれば良く、カプラー3の前端T3がテーパーナット2の前端T2より突出する場合は、カプラー3のテーパーナット2からの突出部のねじ孔H3を、布、テープ等で接着閉止すれば良い。
この場合、スリーブパイプ14は、図1(C)に示す如く、前方へ拡径する円錐筒14Aを用意し、前端適所には、アングル形態で釘孔nhを備えた取付用ピース14Bを円錐筒14Aから外方に突出形態で、後端適所には、アングル形態でボルト孔bhを備えた取付用ピース14Bを円錐筒14Aから内方に突出形態で付設すれば良い。
勿論、必要に応じて、せき板13B及び円形合板13Aのみを取外して、スリーブパイプ14は取外さなくても良い。
従って、定着体1の前面のコンクリート欠込み11Aは、支圧板1Aのコンクリート埋設形態の下に、簡単に形成出来、円形合板13Aで形成出来る拡開拡大域Z13を備えたコンクリート欠込み11Aは、復元補修のモルタル充填を平滑、且つきれいに仕上ることが出来る。
また、テーパーナット2は、JISG5111の構造用高張力炭素鋼、及び低合金鋼鋳鋼品の規定を満足する鋳鋼品であり、円錐筒2Tが、定着体1の挿入用孔H1内に着座し、内周のねじ面S2がカプラー3と螺合するものである。
また、カプラー3は、JISG4051の機械構造用炭素鋼であって、典型的には、肉厚t3が12.5mm、外径d3が52mmのねじ面S3で、内径d3´が27mmのねじ面S3´を備えた円筒体である。
また、エンドキャップ71は一般肉厚2mmのプラスチック製である。
また、定着具1は、支圧板1Aの前部には、テーパーナット2もカプラー3も突出しない形態でPC鋼棒6を定着出来るため、支圧板1Aの前方のコンクリート被り厚Sxは、支圧板1Aのみの被り厚(規定厚30mm+余裕厚10mm)と出来、前方のコンクリート被り厚Sxも小さく出来る。
従って、本願の請求項1の方法の発明が、好適に実施出来る。
しかも、カプラー3は、後半部でPC鋼棒6を螺着保持し、前半部に緊張装置の継手ボルト16Bを螺着してPC鋼棒6の緊張定着が実施出来るため、PC鋼棒6定着後のカプラー3の前半部は、コンクリートプレストレスト建物の増改築時に、再度、PC鋼棒6の固定端の螺合確保に採用出来る。
この場合、支圧板1Aの曲率半径は、あまり小さくすれば、応力破壊面は水平に近づき、圧縮応力度が大となるが、圧縮域が小さくなって周辺のコンクリートの圧縮力が利用出来なくなる。
そのため、一辺が125mm正方の支圧板1Aにあっては、200〜250mmが現実的であり、典型的には、200mmである。
また、突起1Cは、定着体円筒部1Tの強度増大と、円筒部1Tのコンクリート付着力増大、及び、円筒部1Tの補強を図るものであるため、高さhcが10mm前後(標準:9mm)の断面半円状突起であれば良い。
そのため、筒状のテーパー突出片1Dは、エンドキャップ前端の前方円錐筒部71Tに対する圧接嵌合面を提供し、エンドキャップ前端の前方円錐筒部71Tが図1(B)の如く、外側円錐筒71Aと内側円錐筒71Cとを備えておれば、定着体1の後端のテーパー突出片1Dは、段部1Gが内側円錐筒71Cのストッパー機能を奏し、エンドキャップ71の弾性挟着接続を可能とする。
そして、円筒部1Tは、後端に、段部1Gを介した拡径状の嵌合用孔H1´を備えているため、前方円錐筒部71Tを備えたエンドキャップ71の嵌合接続を容易とし、エンドキャップ71によってコンクリート打設時の定着体1の内部へのコンクリート浸入が阻止出来るため、アンボンド工法でのPC鋼棒定着に於いて、定着体1内にテーパーナット2及びPC鋼棒螺着カプラー3を内挿した定着装置をコンクリート型枠内に配置することが可能となり、定着体1の小サイズ化及びコンクリート欠込み11Aの小サイズ化の可能な、且つ、プレストレスト建物の増築にも対処可能な、画期的なPC鋼棒緊張定着技術を提供する。
テーパーナット2は、定着体1のコンクリート型枠へのセット時には、PC鋼棒6を螺着したカプラー3を螺合保持して定着体1の挿入用孔H1内に着座しており、PC鋼棒6の緊張と共に挿入用孔H1内を前方へ移動し、PC鋼棒6の緊張定着時に、角ナット2Cを介したカプラー3上でのねじ締め付けにより、再度、挿入用孔H1の同一着座位置を占めるものであり、テーパーナット2は、定着体1の挿入用孔H1内を前後に移動するものである。
また、エンドキャップ71の前方円錐筒部71Tは、コンクリート型内でのセット時に定着体円筒部1Tの後端のテーパー突出片1Dに嵌合するものである。
そして、テーパーナット2の外周面の空気溝G2は、エンドキャップ71内へのグラウトモルタル注入作業時に、グラウトモルタル7の空気溝G2からの流出によって、グラウトモルタルの充填完了を目視可能とする。
従って、カプラー3は、ねじ孔H3内へ、後方からPC鋼棒6を、前方から緊張装置の継手ボルト16Bを螺合して、継手ボルト16Bを緊張装置で引張っても、ねじ面破壊を生ずることなく緊張定着出来、アンボンドPC鋼棒6の長さを、予め伸び量を算定して準備することにより、カプラー3の前端T3が定着体前面1Fより内方位置で定着出来るため、支圧板1Aのみの必要コンクリート被り厚Sxの基準で設計出来、定着具Dは小型化出来る。
そして、PC鋼棒6の定着状態で、カプラー前端T3が支圧板前面1Fより内方位置を占めるため、建物増築可能に必要な、カプラー3の内周ねじ面S3´の充填モルタルからの保護も、接着テープ等で簡便に達成出来る。
この場合、「アンボンドPC鋼棒」は、PC鋼棒にプラスチックシースを被覆した慣用品であり、PC鋼棒6自体の径が26mmであれば、アンボンドPC鋼棒6の外径は29.4mmである。
この場合、エンドキャップ71の後方円筒部71Sは、典型的には、長さLsが20mmで内径が31.4mmであり、アンボンドPC鋼棒の外径が29.4mmであるため、アンボンドPC鋼棒6は、外周に1mmの隙間を保つ嵌合となるが、後方円筒部71Sが20mm長であるため、該隙間はコンクリート流入を実質上阻止する。
また、環状係合溝G71の前方への拡開角は、定着体1の円筒部後端の筒状のテーパー突出片1Dを弾性挟着するように、テーパー突出片1Dの拡開角より若干(1〜2°)狭くしておくと良い。
また、エンドキャップ71の後方円筒部71Sも、アンボンドPC鋼棒6を、貫入可能な最小限の隙間の下に、実質上当接保持するため、後方円筒部71Sの長さL74(標準:20mm)での面保持と相俟って、例え、後方円筒部71S内面に1mm前後の隙間が生じても、打設コンクリートのエンドキャップ内部への流入は阻止出来る。
この場合、前端の取付用ピースはアングル形態で外方に突出して釘孔nhを、後端の取付用ピース14Bは内方に突出してボルト孔bhを配置し、且つ、支圧板1Aの対応位置にもボルト孔bhを配置しておけば良い。
従って、スリーブパイプ14の簡単な取付け、及び抜脱により、且つ、周面がテーパーt13を備えた円形合板13Aの併用により、所望のコンクリート欠込み11Aが形成出来、円形合板13Aの併用によって、補修復元がきれいに仕上がる拡大域Z13を備えたコンクリート欠込み11Aが形成出来る。
そのため、支圧板1Aの前面のコンクリート被り厚Sxが小さく出来る。
そして、支圧板1Aが、円筒部1Tと共にコンクリートC0内に埋設されるため、定着体1に対するコンクリートC0の固着支持力が増大し、支圧板1Aと床スラブ表面Sfとの寸法、即ち、床スラブコンクリートC0の被り厚Syも小さく出来る。
また、コンクリート型枠内にセットした定着体1の内部への打設コンクリートの流入阻止手段も、エンドキャップ71の、前方円錐筒部71Tを定着体1の後端に嵌合し、後方円筒部71Sで、貫入したグラウトPC鋼棒6を嵌合支持させるだけであるから施工が簡単であり、テープ捲回などの隙間処理の煩雑な作業は不要となる。
しかも、緊張装置の継手ボルト16Bを螺合係止したカプラー3の前半部は、コンクリートプレストレスト建物の増築時には、新規増築側のPC鋼棒6の基端固定に採用出来るため、プレストレスト建物の合理的な増築施工が可能になる。
従って、スリーブパイプ14の簡単な取付け、及び抜脱により、且つ、円形合板13Aの併用により、所望サイズの、且つ、充填モルタルによる補修復元がきれいに仕上がる、拡大域Z13を備えたコンクリート欠込み11Aが形成出来、本願の方法発明が好適に実施出来る。
PC鋼棒6は、固定端及び緊張端にねじ面S6を備えたものであり、固定端側を、定着体1、テーパーナット2及びカプラー3で固定し、緊張端を定着具D内で緊張定着するものであり、定着具Dは、図2(B)に示す如く、定着体1と、定着体内に着座するテーパーナット2と、PC鋼棒6の端部ねじ面S6を螺合係止し、且つテーパーナット2内に螺合するカプラー3と、定着体1の後端に接続するエンドキャップ71とから成るものである。
図5(A)は、定着体1の前方からの全体斜視図であり、図5(B)は定着体1の全体側面図、図5(C)は、定着体1の前面図、図5(D)は、定着体1の図5(A)のD−D線縦断面図である。
定着体1は、前面の垂直形態の支圧板1Aと、支圧板1Aの中央部から後方に延出した縮径形態の円筒部1Tとから成り、支圧板1Aの中央部からは、円筒部1T後部まで貫通するテーパーナット着座用の挿入用孔H1を、挿入用孔H1の後端には、拡径段部1G及び段部に引続く、短寸の嵌合用孔H1´を備えたものであり、図5(D)に示す如く、嵌合用孔H1´は、挿入用孔H1の後端から、急拡径段部1Gを介して緩拡径するものである。
そして、図5(D)に示す如く、支圧板1Aの後面から後方へ、縮径形態で引続く円錐状の円筒部1Tは、肉厚t1が10mmで、円筒部1Tの長手方向中央部の外周には、高さhcが9mmの環状リブ状の断面半円状突起1Cを備えており、定着体1の全長L1は87.7mmである。
テーパーナット2は、中央の貫通ねじ孔H2にカプラー3を螺着保持し、円錐筒2Tの外周面で定着体1の円錐形態の挿入用孔H1内に着座する部材であり、図6(A)は全体斜視図、図6(B)は正面図、図6(C)は側面図、図6(D)は(A)図のD−D線縦断側面図である。
テーパーナット2は、JISG5111の、構造用高張力炭素鋼、及び低合金鋼鋳鋼品の規格を満足する鋳鋼品であって、テーパーナット全体形状は、図6(C)に示す如く、円錐筒本体としての、前面2Fから後面B2まで縮径する裁頭円錐状の円錐筒2Tが、前面2Fから前方に突出する六角形状のナット2Cを備えたものであり、中央に、ナット2C及び円錐筒2Tを貫通するねじ孔H2を備えたものである。
ナット2Cの厚さLnは10mmで、円錐筒2Tの長さL2´は51mmで、テーパーナット2の全長L2は61mmである。
また、六角ナット2Cは、対角隅距離dcが67mmで、対向辺間径Lcが58mmであり、円錐筒2Tは、前面2Fの径dtが75.6mm、後面B2の径dbが58mmであり、テーパーナット2の中央を、径dsが52mmのねじ孔H2が貫通している。
そして、円錐筒2Tの外周面には、半径9mmの半円形の空気溝G2を1本、前端から後端まで貫通形態で形成している。
カプラー3は、PC鋼棒6のねじ面S6を備えた端部をねじ孔H3に螺入収容し、且つ、外周のねじ面S3でテーパーナット2のねじ孔H2に螺合する部材であり、図7(A)は全体斜視図、図7(B)は正面図、図7(C)は側面図、図7(D)は、図7(A)のD−D線縦断面図である。
カプラー3の全体形状は、図7(A)に示す如く、外周面も内周面もねじ面のねじパイプ3Tであって、JISG4051の機械構造用炭素鋼のねじパイプであり、長さL3が85mm、外径d3が52mm、肉厚t3が12.5mmで、中心部を内径(d3´)27mmのねじ孔H3が貫通するものである。
そして、長さ方向中央には、図7(B)に示す如く、外周ねじ面S3からねじ孔H3内に、仕切用ボルトを螺入するボルト挿入用孔(仕切孔)H3´を貫通したものである。
エンドキャップ71は、定着体1の円筒部1T後端に嵌合接続して、コンクリート型内にセットした定着体1の円筒部1T後端からの、及び定着体1内へ貫入したアンボンドPC鋼棒6の外周からの、定着体1内部への打設コンクリートの流入を阻止するものであって、図8(A)は全体斜視図、図8(B)は前面図、図8(C)は側面図、図8(D)は図8(A)のB−B線断面図である。
エンドキャップ71の全体形状は、図8(A)に示す如く、円錐筒を二重に備えた前方円錐筒部71Tと、注入口71Eを突設した中間円筒部71Mと、小径の後方円筒部71Sとから成り、一般肉厚2mmのプラスチック成形品である。
そして、前方円錐筒部71Tの立上り辺71D位置からは、外径dMが67mmで、長さLMが58mmの中間円筒部71Mが内側円錐筒71Cに接続し、中間外周から、外径15mm、高さ30mmの注入口71Eを突出し、中間円筒部71Mの後面B71の中央からは、外径dsが35.4mm、長さLsが20mmの後方円筒部71Sを突出したものであり、エンドキャップ71は、全長L71が100mmである。
スリーブパイプ14は、コンクリート型セット時に、定着体1の前面に配置する型材であって、定着体1の前面に、PC鋼棒6の緊張定着作業用のコンクリート欠込み11Aを形成するポケットフォーマである。
図1(C)は、スリーブパイプ14と、スリーブパイプ14の前面に付設する円形合板との分解斜視図である。
スリーブパイプ14は、一般肉厚2.3mmの鋼板成形体であり、図1(C)の如く、円錐筒14Aは、前端径h14が130mm、後端径h14´が120mm、長さL14が28mmである。
また、円形合板13Aは、厚さ12mmで、外面径(d13)が160mm、周側面が、外面側から内面側にテーパー面t13で縮径するもので、内面をスリーブパイプ前端の取付用ピース14Bと釘打ち固定するものである。
図1(A)は、PC鋼棒の緊張端側の型セット状態図であり、図2(A)は、PC鋼棒の固定端側の型セット状態図であり、図2(B)は定着具Dの分解斜視図である。
図1(A)に示す如く、定着体1の円筒部後端の筒状テーパー突出片1Dに、エンドキャップ71の前方円錐筒部71Tを嵌合して、定着体1とエンドキャップ71をコンクリート型枠内に配置する。
また、アンボンドPC鋼棒6は、予め伸び量を計算して慣用のポリエチレンのシースパイプP6を被覆して、エンドキャップ71の後方円筒部71Sを貫通した状態で、先端のねじ面S6部をカプラー3の後半部に螺入固定する。
この場合、エンドキャップ71の後方円筒部71Sの嵌合用孔H71´の内径は31mm強(標準:31.4mm)であって、アンボンドPC鋼棒外径が29.4mmであるため、若干(標準:1mm)の隙間のある嵌合となるが、後方円筒部の長さLsが20mmであるため、PC鋼棒とエンドキャップとの嵌合は、実質上コンクリート流入が阻止出来る。
また、カプラー3の長手方向中央のボルト挿入用孔H3´には、仕切りボルト3Bを螺入してねじ孔H3内に突出させて、PC鋼棒6のカプラー3内への螺入位置を規定する。
そして、注入口71Eにはグラウトホース4Bを接続しておく。
この場合、テーパーナット2は、空気溝G2を切削形成した物でも、空気溝G2を切削形成していない物でも良い。
そして、カプラー3の外端面には、ビニールテープ12を添着して、打設コンクリートのカプラー3内への流入を阻止しておく。
そして、コンクリート型枠にコンクリートを打設し、コンクリートが硬化したら型枠を解体する。
PC鋼棒6の緊張定着は、ラチェットレンチを貫通して継手ボルト16Bをカプラー3の前半部の締着用ねじ孔H3に螺入締着し、継手具角孔H16にトルクレンチの回転出力軸15を挿入し、回動すれば、カプラー3及びPC鋼棒6が前方に引出されてPC鋼棒6は緊張され、予め算出した伸び量、又はトルクレンチのゲージの緊張荷重でPC鋼棒の所定緊張値を確認してトルクレンチの作動を停止し、ラチェットレンチでテーパーナット2のナット2Cを回動して、テーパーナット2を締め込んで、定着具1の挿入用孔H1内に着座させる。
次いで、カプラー3のねじ孔H3の前端(外端)面を防水性のシート又はテープで閉止し、グラウトホース4Bから、グラウト注入口71Eを介して、グラウトモルタル7を、エンドキャップ71内に注入し、テーパーナット2の空気溝G2からの流出が目視出来るまで充填する。
次いで、定着体1の前面のコンクリート欠込み11Aに無収縮モルタル11Bを充填する。
図3に示す如く、定着体1は、それ自体慣用のスパイラル筋8で強化保持され、コンクリート欠込み11Aは無収縮モルタル11Bで補修され、且つ、エンドキャップ71内にはグラウトモルタル7が充填された、アンボンドのPC鋼棒定着構造となった。
そして、PC鋼棒6の、緊張端側Pにあっても、固定端側Lにあっても、定着体1の前面1Fからの突出物が存在しないため、コンクリート被り厚Sxは40mm(設計限界値30mm+余裕10mm)と小さく出来た。
また、緊張端側Pでのコンクリート欠込み11Aに対する無収縮モルタル11Bでの復元補修も、スリーブパイプ14に付設採用した円形合板13Aによる拡大域Z13の存在により、固着力の増大の下にきれいに仕上られた。
1A 支圧板
1C リブ状突起(突起)
1D 筒状テーパー突出片(テーパー突出片、突出片)
1F,2F 前面
1G 段部
1T 円筒部
2 テーパーナット
2C ナット(六角ナット)
2T 円錐筒(円筒)
3 カプラー
3B ボルト(仕切りボルト)
3T ねじパイプ
4B グラウトホース
5 スパイラルシース
6 PC鋼棒
7 グラウトモルタル
8 スパイラル筋
11A コンクリート欠込み(欠込み)
11B 無収縮モルタル
12 接着テープ(ビニールテープ)
13A 円形合板(型板)
13B せき板(型板)
14 スリーブパイプ(ポケットフォーマ)
14A 円錐筒
14B 取付用ピース
15 回転出力角軸
16 継手部材
16B 継手ボルト(ねじボルト、ボルト軸)
17A セパレータ
17B フォームタイ
17C Pコン
71 エンドキャップ
71A 外側円錐筒
71C 内側円錐筒
71D 立上り辺
71E 注入口(グラウト注入口)
71M 中間円筒部
71S 後方円筒部
71T 前方円錐筒部(円錐筒部)
B1,B2 後面
b13 ボルト
bh ボルト孔
C0 コンクリート(打設コンクリート、コンクリート躯体)
D 定着具
G2 空気溝
G71 係合溝(環状係合溝)
H1 挿入用孔
H1´,H71´ 嵌合用孔
H2,H3 ねじ孔
H3´ ボルト挿入用孔
n13 釘
nh 釘孔
P6 ポリエチレンシース(シースパイプ)
S2,S3,S3´,S6 ねじ面
Sf 床スラブ表面
Sx,Sy 被り厚(深さ)
T2,T3 前端(前面)
t13 テーパー面
Z13 拡大域
Zb 後側コンクリート域
Zf 前側コンクリート域
Claims (13)
- 前端が垂直形態の支圧板(1A)と、支圧板(1A)から後方に、水平に引続く縮径形状の円筒部(1T)とを備え、且つ、貫通する挿入用孔(H1)を有する定着体(1)をコンクリート型枠内に配置し、円筒部(1T)後端には前方円錐筒部(71T)と、グラウト注入口(71E)を備えた中間円筒部(71M)と、PC鋼棒嵌合用の後方円筒部(71S)とから成るエンドキャップ(71)を、前方円錐筒部(71T)の円筒部(1T)後端への嵌合により接続し、エンドキャップ(71)を貫通するアンボンドPC鋼棒(6)の先端のねじ面(S6)を、内周及び外周がねじ面であるカプラー(3)の後半部に螺入固定し、カプラー(3)をテーパーナット(2)の内周ねじ面(S2)に螺合してテーパーナット(2)を定着体(1)に嵌着し、定着体(1)の支圧板(1A)前面にはポケットフォーマ(14)を配置して、コンクリート型枠をセットし、コンクリートの打設硬化後にコンクリート型枠を解体し、次いで、支圧板(1A)の前面に形成したコンクリート欠込み(11A)を介して、緊張装置の継手部材(16)のねじボルト(16B)をカプラー(3)の前半部に螺入し、PC鋼棒(6)を、カプラー(3)及びテーパーナット(2)と共に引出し、所定緊張値に達した段階で、テーパーナット(2)を締め込んで定着体(1)の挿入用孔(H1)に着座させ、次いで、エンドキャップ(71)内に、注入口(71E)からグラウトモルタル(7)を充填する、アンボンド工法に於けるPC鋼棒定着方法。
- 定着体(1)が、挿入用孔(H1)の後端から、拡径状段部(1G)を介して後端へと拡径する小寸の嵌合用孔(H1´)によって、円筒部(1T)の後端にテーパー突出片(1D)を備え、エンドキャップ(71)の前方円錐筒部(71T)を定着体のテーパー突出片(1D)に嵌合する、請求項1のPC鋼棒定着方法。
- カプラー(3)が長さ方向中央にボルト挿入用孔(H3´)を備え、ボルト挿入用孔(H3´)に仕切りボルト(3B)を螺入して、PC鋼棒(6)の先端位置をボルト(3B)で規定する、請求項1又は2のPC鋼棒定着方法。
- 定着体(1)の支圧板(1A)は、方形板形態であって後方へ弯曲し、円筒部(1T)の長さ方向中間の外周にリブ状突起(1C)を備えている、請求項1乃至3のいずれか1項のPC鋼棒定着方法。
- テーパーナット(2)は、円錐筒(2T)部外周に、前端から後端へと貫通する空気溝(G2)を備え、前端(T2)を定着体前面(1F)より内方に設置し、PC鋼棒(6)の伸び量を予め計算して、PC鋼棒(6)の定着状態で、カプラー(3)の前端(T3)を定着体前面(1F)より内方に定着する、請求項1乃至4のいずれか1項のPC鋼棒定着方法。
- PC鋼棒(6)の定着後、カプラー内周ねじ面(S3´)を保護した後、無収縮モルタル(11B)をコンクリート欠込み(11A)に充填する、請求項1乃至5のいずれか1項のPC鋼棒定着方法。
- ポケットフォーマとして、前端と後端に取付用ピース(14B)を備えた円錐筒のスリーブパイプ(14)を採用し、前端の取付用ピース(14B)をせき板(13B)の内面に仮固定する円形合板(13A)に、後端の取付用ピース(14B)を支圧板(1A)の前面に取付ける、請求項1乃至6のいずれか1項のPC鋼棒定着方法。
- 請求項1の発明の実施に用いるための、定着体(1)と、テーパーナット(2)と、カプラー(3)と、エンドキャップ(71)とを含む定着具(D)であって、定着体(1)は、前端の垂直形態で後方に緩弯曲した支圧板(1A)と、支圧板(1A)から後方に引続く縮径形態で、後端にテーパー突出片(1D)を有する円筒部(1T)とを備えると共に、前端から後方へ縮径形態の挿入用孔(H1)を備え、テーパーナット(2)は、内周面がねじ面(S2)であるねじ孔(H2)を備え、外周面が定着体(1)の挿入用孔(H1)に嵌着する縮径形態の円錐筒(2T)であって、円錐筒(2T)の前端に角ナット(2C)を備え、カプラー(3)は、外周がテーパーナット(2)のねじ孔(H2)と螺合するねじ面(S3)であり、内周がPC鋼棒(6)の先端ねじ面(S6)と螺合するねじ孔(H3)を備えたねじパイプ(3T)であり、エンドキャップ(71)は、定着体(1)の円筒部後端のテーパー突出片(1D)に嵌合するための前方円錐筒部(71T)と、注入口(71E)を備えた中間円筒部(71M)と、貫入PC鋼棒(6)を支持する小径の後方円筒部(71S)とを備えたものである定着具。
- 定着体(1)は、支圧板(1A)が、正方形状板体であって、後方へ200〜250mmの曲率半径で弯曲し、円筒部(1T)の長さ方向中間外周にリブ状突起(1C)を備え、且つ、後方へ縮径する挿入用孔(H1)が、拡開状段部(1G)を介して後端へと拡径する短寸の嵌合用孔(H1´)と連通している、請求項8の定着具。
- テーパーナット(2)は、円錐筒(2T)の外周面に、前端から後端へ貫通する空気溝(G2)を備え、定着体(1)の挿入用孔(H1)への着座形態では、円錐筒(2T)の最小外径(db)の後面(B2)が定着体(1)の挿入用孔(H1)の段部(1G)に干渉しない位置を占め、前端(T2)が支圧板(1A)の前面(1F)より内方位置を占め、且つ、円錐筒前面(2F)から突出した角ナット(2C)の対向角隅径(dc)が円錐筒(2T)の前端の最大外径(dt)より小である、請求項8又は9の定着具。
- カプラー(3)は、長さ(L3)が、少なくともPC鋼棒(6)の限界はめ合い長さの2倍であって、PC鋼棒(6)の定着状態では、前端(T3)が定着体(1)の前面(1F)より内方位置を占めるものであって、長さ方向中央に、仕切りボルト(3B)螺入用のボルト挿入用孔(H3´)を備えている、請求項8、又は9、又は10の定着具。
- エンドキャップ(71)は、前方円錐筒部(71T)が、前方への拡径形態の外側円錐筒(71A)と、前方への縮径形態の内側円錐筒(71C)とを立上り辺(71D)で接続して、両円錐筒(71A,71C)間に、前方へ拡開する環状係合溝(G71)を形成し、後方円筒部(71S)は、貫通するアンボンドPC鋼棒(6)を、コンクリート流入を阻止する形態で貫入保持する、請求項8乃至11のいずれか1項の定着具。
- 請求項1の発明の実施に用いるポケットフォーマであって、裁頭円錐筒(14A)の、前端には型板(13A,13B)に取付けるための複数の取付用ピース(14B)を、後端には定着体(1)の支圧板(1A)に取付けるための複数の取付用ピース(14B)を備えたスリーブパイプ(14)。
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