JPH10261500A - 荷電粒子ビーム出射方法及びその出射装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム出射方法及びその出射装置

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JPH10261500A
JPH10261500A JP9783598A JP9783598A JPH10261500A JP H10261500 A JPH10261500 A JP H10261500A JP 9783598 A JP9783598 A JP 9783598A JP 9783598 A JP9783598 A JP 9783598A JP H10261500 A JPH10261500 A JP H10261500A
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昌宏 田所
Kazuo Hiramoto
和夫 平本
Junichi Hirota
淳一 廣田
Masatsugu Nishi
政嗣 西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】出射ビームのエネルギーが変化しても常に高効
率でビーム出射ができる。 【解決手段】制御装置10は、出射ビームのエネルギー
に応じて高周波信号発生装置11を制御する。この制御
により、高周波信号発生装置11はそのエネルギーに応
じた必要な周波数成分を有する高周波信号15を発生さ
せる。高周波信号15はゲインコントローラ13により
電極7に印加すべき振幅に調整され、高周波電圧16と
して電極7に印加される。照射室9では放射線モニター
8で照射線量を測定し、比較器12は放射線モニター8
から出力される照射線量の測定値17と、制御装置10
から出力される照射線量の設定値14bとを比較し、測
定値17が設定値14bとなるように、ゲインコントロ
ーラ13にゲインコントロール信号18を出力し、電極
7に印加する高周波電圧16の振幅を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、荷電粒子ビーム出
射方法及びその出射装置に係り、特に加速・蓄積させた
荷電粒子ビームを円形加速器から出射するのに好適な荷
電粒子ビーム出射方法及びその出射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロン等の円形加速器中の荷電
粒子ビームは、設計軌道を中心としてベータトロン振動
をしながら周回している。この際、セパラトリックスと
呼ばれる安定限界が存在し、安定限界内のビームは安定
に周回するが、安定限界を越えたビームは振動振幅が増
加して発散する性質を有する。従来のビーム出射方法で
はベータトロン振動の低次の共鳴が利用されていた。即
ち、4極磁石を用いて、加速器1周当りのベータトロン
振動数を表すチューンを整数±1/2に近付けると同時
に8極磁石を励磁したり(2次共鳴)、チューンを整数
±1/3に近付け6極磁石を励磁する(3次共鳴)こと
が行われていた。特に出射の過程では、実験物理講座2
8「加速器」:熊谷寛夫編集,共立出版(株),p.5
25に記載のように、4極磁石の励磁量を制御してチュ
ーンを変化させることによりビームの安定限界を徐々に
小さくし、ベータトロン振動振幅が安定限界を越えた荷
電粒子から順次出射していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のビーム出射
方法では、出射位置でのビームの軌道勾配が時間的に変
化するので、ビームの出射効率が悪くなる。これを防ぐ
ためには時間的にビームの軌道を制御する必要があり、
制御が複雑になるという問題がある。また、出射ビーム
のエネルギーを変化させる場合には、エネルギー毎に制
御方法を変える必要があり、制御が更に難しくなる問題
があった。
【0004】本発明の目的は、出射ビームのエネルギー
が変化しても常に高効率でビーム出射が可能な荷電粒子
ビーム出射方法及びその出射装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、加速器の周回軌道を周回する荷電粒子ビ
ームを高周波電磁界を用いて出射する荷電粒子ビーム出
射方法において、出射される前記荷電粒子ビームのエネ
ルギーを用いて出射に使用する前記高周波電磁界の中心
周波数及び周波数幅を求め、該中心周波数及び周波数幅
を有する高周波電磁界を周回する前記荷電粒子ビームに
印加して荷電粒子ビームの出射を行うようにしたもので
ある。
【0006】また、加速器の周回軌道を周回する荷電粒
子ビームを高周波電磁界を用いて出射する荷電粒子ビー
ム出射方法において、出射される前記荷電粒子ビームの
エネルギー及び周回する前記荷電粒子ビームのエネルギ
ー幅を用いて出射に使用する前記高周波電磁界の中心周
波数及び周波数幅を求め、該中心周波数及び周波数幅を
有する前記高周波電磁界を前記周回する荷電粒子ビーム
に印加して前記荷電粒子ビームの出射を行うようにした
ものである。
【0007】また、出射する荷電粒子ビームのエネルギ
ーの設定値を入力し、該エネルギーの設定値に基づいて
出射に必要な中心周波数及び周波数幅を有する高周波信
号を発生する発生装置と、出射する前記荷電粒子ビーム
の電流の設定値を入力し、該電流の設定値を用いて出射
に必要な前記高周波信号の強度を求める演算装置と、該
演算装置で求めた強度に基づいて、前記発生装置の発生
した前記高周波信号の振幅を制御する振幅制御装置と、
該振幅制御装置で振幅制御された高周波信号を用いて、
前記周回軌道を周回する前記荷電粒子ビームに高周波電
磁界を印加する電磁界印加装置とを備えた荷電粒子ビー
ム出射装置としたものである。
【0008】また、出射する荷電粒子ビームのエネルギ
ーの設定値を入力し、該エネルギーの設定値に基づいて
出射に必要な中心周波数及び周波数幅を有する高周波信
号を発生する発生装置と、出射する前記荷電粒子ビーム
による照射線量の設定値を入力し、該照射線量の設定値
を用いて出射に必要な高周波信号の強度を求める演算装
置と、該演算装置で求めた強度に基づいて、前記発生装
置の発生した前記高周波信号の振幅を制御する振幅制御
装置と、該振幅制御装置で振幅制御された高周波信号を
用いて、前記周回軌道を周回する荷電粒子ビームに高周
波電磁界を印加する電磁界印加装置とを備えた荷電粒子
出射装置としたものである。
【0009】上記本発明の出射方法によれば、出射する
荷電粒子ビームのエネルギーの変化に伴って変わる荷電
粒子ビームのエネルギー幅に応じて出射に使用する高周
波電磁界の中心周波数及び周波数幅を決定することによ
り、必要最小限の高周波電磁界を用いてエネルギーに分
布を持つ全ての荷電粒子の振動振幅を確実に増加するこ
とができるので、安定限界一定及び軌道勾配一定で常に
高効率な荷電粒子ビームの出射を行うことができる。
【0010】また、上記本発明の出射装置によれば、発
生装置がエネルギーの設定値に基づいて出射に必要な中
心周波数及び周波数幅を有する高周波信号を発生すると
共に、振幅制御装置が出射する荷電粒子ビームのビーム
電流の設定値又は出射する荷電粒子ビームによる照射線
量の設定値に基づいて出射に必要な高周波信号の振幅を
決定することにより、必要最小限の高周波電磁界を用い
てエネルギーに分布を持つ全ての荷電粒子の振動振幅を
確実に増加することができるので、安定限界一定及び軌
道勾配一定で常に高効率な荷電粒子ビームの出射を行う
ことができる。
【0011】以下、図10を用いて好ましいか電流視ビ
ームの出射法である安定限界一定での荷電粒子ビームの
出射について説明する。同図は、円形加速器の出射器の
位置における位相空間を示す図であり、4極磁石の励磁
電流を一定にして、即ち安定限界を一定にして、高周波
電磁場を荷電粒子ビームに印加し、安定限界内の荷電粒
子のベータトロン振動振幅を徐々に増加させ、安定限界
を越えた荷電粒子を共鳴により出射する。横軸はビーム
の荷電粒子の位置xを、縦軸は軌道の勾配dx/ds
(sは周回方向距離)を表す。破線が安定限界で、破線
内の閉じた太い実線は安定に周回中のビームの軌跡を示
している。安定限界を越えた荷電粒子は、共鳴により振
動振幅が増加し、出射器電極の間から出射されるが、安
定限界を一定にすることによって出射する荷電粒子ビー
ムの軌道勾配が一定となるので、高い効率で荷電粒子ビ
ームを出射できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
例を説明する。図1は本発明を医療用装置に適用した第
1の実施例を示す図である。本実施例の医療用装置は、
加速器室20内に設置される機器と、照射室9内に設置
される機器と、制御室21内に設置される機器とで構成
される。加速器室20内において、前段加速器1は荷電
粒子ビームを発生し、入射器2によりビームをシンクロ
トロンに入射させる。シンクロトロンは、ビームを周回
させる周回軌道を有し、この周回軌道に、ビームを偏向
する偏向磁石3,ビームを収束又は発散させる4極磁石
4,ビームを加速する加速空胴5,ビームを出射する出
射器6、及びビームのベータトロン振動振幅を増加させ
る電極7を設置して構成される。加速空胴5によりビー
ムの進行方向に電場を発生させ、この電場でビームを所
望のエネルギーまで加速した後、電極7によりビームに
高周波電磁場を印加してベータトロン振動振幅を増加さ
せ、出射器6から徐々にビームを出射して照射室9にい
る患者19の患部に照射する。患者19の照射治療の際
は、照射室9に設置したモニターカメラなどを用いて患
者19の様子を見ながら、照射治療を行うことが安全上
も有効となる。
【0013】次に、図2のフローチャートを用いて、図
1の装置によるビームの出射方法を説明する。まず、制
御装置10に、出射ビームのエネルギー,エネルギー
幅,加速器の動作点(チューン)、及び患者に照射する
ビームの線量をデータとして入力する(図2の100,
101,102,103)。ここで、チューンとはシン
クロトロン1周当りのビームのベータトロン振動数であ
る。次に、入力データが正しいかどうかをチェックして
(図2の104)、正しい場合はこれらのデータに基づ
いて、高周波信号発生装置11に出射に必要な周波数成
分を有する高周波信号15を発生させる(図2の10
5)。入力データが正しくない場合は、データを再入力
する。高周波信号15は、アンプ等のゲインコントロー
ラ13により電極7に印加すべき振幅に調整され(図2
の107)、高周波電圧16として電極7に印加される
(図2の108)。
【0014】これと同時に、照射室9では放射線モニタ
ー8で照射線量を測定し(図2の110)、比較器12
は、放射線モニター8から出力される照射線量の測定値
17と、制御装置10から出力される照射線量の設定値
14bとを比較し、測定値17が設定値14bとなるよ
うに、ゲインコントローラ13にゲインコントロール信
号18を出力し、電極7に印加する高周波電圧16の振
幅を制御する(図2の111,107,108)。最後
に、患者19へのビーム照射が終了かどうかチェックし
(図2の109)、終了であればビーム出射を終了し、
照射が終了でなければ再度ゲインコントロール107以
下を繰返す。このようにして、電極7から周回中のビー
ムに高周波電磁場を印加することにより、ビームのベー
タトロン振動振幅を増加させることができるので、ビー
ムの安定限界を一定にしたまま同じ軌道勾配でビームを
効率良く出射することができる。
【0015】尚、図1の実施例ではビームに高周波電磁
場を印加する手段として電極7を用いたが、電極7の替
わりに加速空胴5と同じものを用いてこれに前記の高周
波電圧16を印加したり、又は、電極7の替わりに高速
応答性を有する電磁石を用いてこれに前記の高周波成分
を有する高周波電流を流しても、同様の効果が得られ
る。
【0016】次に、高周波信号発生装置11について詳
しく説明する。初めに、出射に用いる高周波信号につい
て説明する。図3は、出射に必要な理想的な高周波信号
の周波数スペクトルを示す。シンクロトロン中のビーム
は設計軌道の周囲をベータトロン振動をしながら周回し
ており、加速器1周当りのベータトロン振動数を表わす
チューンは幅を持つので、出射に用いる高周波信号はチ
ューンの幅を含む周波数帯域が必要となる。即ち、ビー
ムの周回周波数をfrev 、チューンの最小値及び最大値
の小数部をνmin及びνmaxとすると、必要となる高周波
信号の中心周波数f0 及び周波数幅Δfは次式で与えら
れる。
【0017】
【数1】 f0=frev・(νmax+νmin)/2 …(数1)
【0018】
【数2】 Δf=frev・(νmax−νmin) …(数2) また、周回周波数frev はビームのエネルギーEを用い
て次式で表せる。
【0019】
【数3】 frev=c{1−(m0・c2/E)2}0.5/L …(数3) ここで、cは光速、m0 は荷電粒子の静止質量、Lはビ
ームの軌道長さである。
【0020】従って、ビームのエネルギーEとチューン
の最小値,最大値(νmin,νmax)が与えられれば、数
1〜数3を用いて出射に必要な高周波信号の中心周波数
0及び周波数幅Δfを求めることができる。また、ビ
ームのエネルギーE,エネルギー幅ΔE、及びチューン
の中心値ν0 が与えられても、次式を用いて中心周波数
0及び周波数幅Δfを求めることができる。
【0021】
【数4】 f0=ν0・G(E) …(数4)
【0022】
【数5】 Δf=ν0・{G(E+ΔE/2)−G(E−ΔE/2)} …(数5) ここで、G(E)は数3の右辺を表した関数である。
【0023】尚、通常加速器のチューンと呼ぶ場合は、
上記チューンの中心値ν0 を表しており、チューンの中
心値ν0 ,最大値νmax、及び最小値νminはシンクロト
ロンの設計時点で決まる設計条件と考えることができ
る。従って、上述した実施例の他に、予めビームのエネ
ルギーEとチューン(中心値ν0 ,幅Δν=νmax−ν
min)の関係をメモリに記憶しておき、エネルギーEのみ
をデータとして入力し、これに対応するチューンをメモ
リから読み出して、出射に必要な高周波信号の中心周波
数f0 及び周波数幅Δfを求めることもできる。もちろ
ん、これらの演算に使用するチューンとして測定値を用
いることも可能である。
【0024】更に、周波数強度(振幅)Vは必要とする
照射線量で決まるので、予め振幅Vと照射線量の関係を
試験的又は理論的に求めておくことにより、照射線量か
ら出射に必要な高周波信号の振幅Vを決定できる。
【0025】このようにして求めた高周波成分を有する
電磁場をビームに印加することにより、必要最小限の高
周波電磁界を用いてエネルギーに分布を持つ、即ちチュ
ーンに分布を持つビームを構成する全ての荷電粒子の振
動振幅を確実に増加することができるので、安定限界一
定で高効率なビーム出射が可能となる。
【0026】上記した特徴を備えた本発明の効果を上記
特徴を備えない比較例と比べてみる。例えば、数2,数
4で与えられるΔfより周波数幅の狭い(Δf1 )高周
波信号を用いる場合は、Δf1 に対応するエネルギー幅
ΔE1 に含まれない荷電粒子を確実に出射することはで
きない。また、上記Δfより周波数幅の広い高周波信号
を用いる場合は、全ての荷電粒子を出射することはでき
るものの、ビーム出射に必要以上の電力を要することに
なり、投入電力も考慮した全体としての出射効率は必ず
しも高くならない。
【0027】次に、図4を用いて図1の高周波信号発生
装置11の第1の実施例を説明する。本実施例では、高
周波信号発生装置11は演算器61とD/A(デジタル
/アナログ)コンバータ62で構成される。演算器61
は、制御装置10から出力される出射ビームのエネルギ
ー,エネルギー幅,加速器のチューンに関するデータ1
4aに基づいて、上述したようにして出射に必要な周波
数特性(中心周波数及び周波数幅)を求め、周波数スペ
クトルを周波数領域で作成する。このとき、各周波数成
分の位相をランダムにする。この周波数領域の高周波ス
ペクトルデータを逆フーリエ変換を用いて時間領域に変
換することにより、図3に示した周波数特性を有する高
周波データ63を作成する。D/Aコンバータ62は高
周波データ63をアナログ信号に変換して、高周波信号
15を発生する。
【0028】次に、図5を用いて高周波信号発生装置1
1の第2の実施例を説明する。本実施例では、高周波信
号発生装置11はホワイトノイズ源31と、予め出射ビ
ームのエネルギーに応じて通過させる周波数帯域を別々
に設定したバンドパスフィルタ−32〜35とで構成さ
れる。制御装置10から出力されるデータ14aのう
ち、出射ビームのエネルギーに関するデータに応じて、
バンドパスフィルタ−を選択することにより、図3で示
した周波数スペクトルを有する高周波信号15を発生す
る。この構成のほかに、中心周波数,通過周波数幅が可
変なバンドパスフィルタ−を用いる構成としても同様の
結果が得られる。
【0029】次に、図6を用いて高周波信号発生装置1
1の第3の実施例を説明する。本実施例では、高周波信
号発生装置11はコントローラ46と、発振器41〜4
4と、加算器45とで構成され、複数の発振器41〜4
4の出力を加算器45で加算して、必要な周波数スペク
トルを有する高周波信号15を発生する。このとき、コ
ントローラ46は制御装置10から出力されるデータ1
4aのうち出射ビームのエネルギーに関するデータに応
じて、必要な発振周波数及び位相の制御信号47〜50
を各発振器41〜44に送り、各発振器はこの制御信号
に基づいて必要な高周波信号を出力する。このようにし
て、図3で示した周波数スペクトルを有する高周波信号
15を発生する。
【0030】次に、図7を用いて高周波信号発生装置1
1の第4の実施例を説明する。本実施例では、高周波信
号発生装置11はコントローラ51と、周波数掃引器5
2とで構成される。コントローラ51は、制御装置10
から出力されるデータ14aのうち出射ビームのエネル
ギーに関するデータに応じて、予め各エネルギー毎に設
定された周波数掃引パターンを発生し、周波数掃引器5
2がこのパターンに基づいて必要な周波数範囲で周波数
掃引する。掃引パターンは、照射室に患者がいない状態
でシンクロトロンを運転し、照射線量の測定結果に基づ
いて予め決定する。
【0031】次に、図8を用いて本発明を医療用装置に
適用したの第2の実施例を説明する。図8は図1の実施
例と同じシンクロトロン構成であり、制御装置10に出
射ビームのエネルギー,エネルギー幅,加速器のチュー
ン、及び照射線量に関するデータを入力する。高周波信
号発生装置11は、出射ビームのエネルギー,エネルギ
ー幅、及び加速器のチューンに関するデータ14aに基
づいて出射に必要な周波数特性を有する高周波信号15
を発生する。ゲインコントローラ13は、高周波信号1
5の振幅を出射に必要な大きさに調整し、高周波電圧1
6として電極7に印加する。これと同時に、照射室9と
出射装置6の間のビームラインに電流モニター81を設
置し、照射室9に患者19がいない状態で運転する。
【0032】比較器12は、電流モニター81で測定し
たビーム電流の測定値82と、制御装置10の出力であ
る照射線量の設定値に対応したビーム電流の設定値14
cとを比較して、測定値82が設定値14cとなるよう
にゲインコントローラ13にゲインコントロール信号1
8を出力する。ゲインコントローラ13は、ゲインコン
トロール信号18に基づいて電極7に印加する高周波電
圧16の振幅を制御する。このようにして、照射室9に
患者19がいない状態において、ゲインコントロール信
号18を運転開始から終了まで制御装置10に取込み、
照射のための最適な運転条件を記憶する。その後、患者
19を照射室9に設置し、制御装置10に記憶した運転
条件データ84に従って制御装置10で運転を制御す
る。
【0033】次に、図9を用いて本発明を医療用装置に
適用したの第3の実施例を説明する。図9は図1の実施
例と同じ機器構成で、制御装置10が偏向磁石3の励磁
電流91に基づいて、出射ビームのエネルギーを設定す
る。偏向磁石3の偏向磁場強度とシンクロトロンの軌道
上を安定に周回できるビームのエネルギーには相関があ
るので、このような制御が可能となる。シンクロトロン
を構成する偏向磁石3の励磁電流に基づいて出射に必要
な高周波電圧16を発生するという点以外は図1の実施
例と同じであるので、ここでは説明を省略する。本実施
例では、偏向電磁石3の励磁電流により出射ビームのエ
ネルギーを設定したが、加速空胴5の周波数等により出
射ビームのエネルギーを設定することも可能である。
【0034】以上説明した実施例では、医療用のシンク
ロトロンについて示したが、本発明の出射方法及び装置
は、高周波電磁界を用いて荷電粒子ビームを出射する全
ての円形加速器に適用可能である。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、出射ビームのエネルギ
ーが変化してもこれに伴って変わるビームのエネルギー
幅に応じて、出射に使用する高周波電磁界の中心周波数
及び周波数幅を最適に決定できるので、必要最小限の高
周波電磁界を用いてエネルギー分布を持つ全ての荷電粒
子の振動振幅を確実に増加することができる。従って、
安定限界一定のもとで、出射の軌道勾配を一定にして常
に高効率のビーム出射が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を医療用装置に適用した第1の実施例を
示す図。
【図2】本発明によるビーム出射方法を示す図。
【図3】出射に必要な高周波信号の周波数スペクトルを
示す図。
【図4】高周波信号発生装置の第1の実施例を示す図。
【図5】高周波信号発生装置の第2の実施例を示す図。
【図6】高周波信号発生装置の第3の実施例を示す図。
【図7】高周波信号発生装置の第4の実施例を示す図。
【図8】本発明を医療用装置に適用した第2の実施例を
示す図。
【図9】本発明を医療用装置に適用した第3の実施例を
示す図。
【図10】安定限界一定でのビーム出射を説明する図。
【符号の説明】
1…前段加速器、2…入射器、3…偏向磁石、4…4極
磁石、5…加速空胴、6…出射器、7…電極、8…放射
線モニター、9…照射室、10…制御装置、11…高周
波信号発生装置、12…比較器、13…ゲインコントロ
ーラ、15…高周波信号、16…高周波電圧、17…照
射線量の測定値、20…加速器室、21…制御室、31
…ホワイトノイズ源、32…バンドパスフィルター、3
3…バンドパスフィルター、34…バンドパスフィルタ
ー、35…バンドパスフィルター、41…発振器、42
…発振器、43…発振器、44…発振器、45…加算
器、46…コントローラ、51…コントローラ、52…
周波数掃引器、61…演算機、62…D/Aコンバー
タ、81…電流モニター、82…ビーム電流の測定値。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 政嗣 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加速器の周回軌道を周回する荷電粒子ビー
    ムを高周波電磁界を用いて出射する荷電粒子ビーム出射
    方法において、 出射される前記荷電粒子ビームのエネルギーを用いて出
    射に使用する前記高周波電磁界の中心周波数及び周波数
    幅を求め、 該中心周波数及び周波数幅を有する高周波電磁界を周回
    する前記荷電粒子ビームに印加して荷電粒子ビームの出
    射を行なうことを特徴とする荷電粒子ビーム出射方法。
  2. 【請求項2】加速器の周回軌道を周回する荷電粒子ビー
    ムを高周波電磁界を用いて出射する荷電粒子ビーム出射
    方法において、 出射される前記荷電粒子ビームのエネルギー及び周回す
    る前記荷電粒子ビームのエネルギー幅を用いて出射に使
    用する前記高周波電磁界の中心周波数及び周波数幅を求
    め、 該中心周波数及び周波数幅を有する前記高周波電磁界を
    前記周回する荷電粒子ビームに印加して前記荷電粒子ビ
    ームの出射を行なうことを特徴とする荷電粒子ビーム出
    射方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記周回軌道1
    周当りのビームのベータトロン振動数を表わすチューン
    も用いて前記高周波電磁界の中心周波数及び周波数幅を
    求めることを特徴とする荷電粒子ビーム出射方法。
  4. 【請求項4】出射する荷電粒子ビームのエネルギーの設
    定値を入力し、該エネルギーの設定値に基づいて出射に
    必要な中心周波数及び周波数幅を有する高周波信号を発
    生する発生装置と、 出射する前記荷電粒子ビームの電流の設定値を入力し、
    該電流の設定値を用いて出射に必要な前記高周波信号の
    強度を求める演算装置と、 該演算装置で求めた強度に基づいて、前記発生装置の発
    生した前記高周波信号の振幅を制御する振幅制御装置
    と、 該振幅制御装置で振幅制御された高周波信号を用いて、
    前記周回軌道を周回する前記荷電粒子ビームに高周波電
    磁界を印加する電磁界印加装置とを備えたことを特徴と
    する荷電粒子ビーム出射装置。
  5. 【請求項5】出射する荷電粒子ビームのエネルギーの設
    定値を入力し、該エネルギーの設定値に基づいて出射に
    必要な中心周波数及び周波数幅を有する高周波信号を発
    生する発生装置と、 出射する前記荷電粒子ビームによる照射線量の設定値を
    入力し、該照射線量の設定値を用いて出射に必要な高周
    波信号の強度を求める演算装置と、 該演算装置で求めた強度に基づいて、前記発生装置の発
    生した前記高周波信号の振幅を制御する振幅制御装置
    と、 該振幅制御装置で振幅制御された高周波信号を用いて、
    前記周回軌道を周回する荷電粒子ビームに高周波電磁界
    を印加する電磁界印加装置とを備えたことを特徴とする
    荷電粒子出射装置。
  6. 【請求項6】請求項5において、出射する前記荷電粒子
    ビームによる照射線量を測定する線量検出器を備え、 前記演算装置は、該線量検出器で測定した測定値と前記
    照射線量の設定値とを比較して、前記高周波信号の強度
    を求めることを特徴とする荷電粒子ビーム出射装置。
  7. 【請求項7】請求項4又は5に記載した荷電粒子ビーム
    出射装置の発生装置,演算装置、及び振幅制御装置を設
    置した制御室と、 ビームを発生するビーム発生装置、該ビーム発生装置で
    発生した荷電粒子ビームを入射し,加速し,出射する円
    形加速器、及び請求項4又は5に記載した出射装置の電
    磁界印加装置を設置した加速器室と、 前記加速器から出射したビームを用いて照射を行う照射
    室とを備えた医療装置。
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