JP2008112693A - 環状型加速装置及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波捕獲時における空間電荷効果によるビーム損失を抑制できる環状型加速装置を提供する。
【解決手段】シンクロトロン10は空芯四極電磁石11a、11bを備える。シンクロトロン10へのイオンビームの入射に基づいた、加速器制御装置18からのタイミング信号が、チューン補正制御装置12に入力される。チューン補正制御装置12は、空芯四極電磁石11a,11bに対する各励磁パターンの情報に基づいて、高周波捕獲期間前のチューン補正期間で空芯四極電磁石11a,11bの励磁量を制御する。励磁パターンは高周波捕獲時でのチューン低下量を補償してチューンを増加させる励磁量のパターンである。その制御により、チューンはチューン補正期間において補正されて増大する。このため、チューンは、チューン補正期間後の、高周波捕獲期間及び加速期間においても不安定領域に入らない。
【選択図】図1

Description

本発明は、環状型加速装置及びその運転方法に係り、特に、荷電粒子ビームであるイオンビームを高周波電圧の印加で捕獲して加速するシンクロトロン及び蓄積リングに適用するのに好適な環状型加速装置及びその運転方法に関する。
周回軌道を周回するイオンビームを高周波加速空胴から印加される高周波電圧によって加速する従来のシンクロトロン(特開平8−148298号公報及び特開平11−111500号公報参照)の概要を以下に説明する。
前段加速器からシンクロトロンへ入射されたイオンビームは、周回軌道に沿って一様に連続して周回する。シンクロトロンに設けられた高周波加速空胴に高周波電圧を印加すると、周回しているイオンビームは高周波電圧のある位相を中心とした安定領域内に集群(バンチ)する。シンクロトロンへのイオンビームの入射後における高周波電圧の印加直後では、イオンビームは、シンクロトロン内で正味加速されず、進行方向における安定領域内に集群する。高周波電圧の印加によってイオンビームを集群化する過程を、高周波捕獲といい、集群化したイオンビームをバンチビームという。高周波捕獲でバンチされたイオンビームを加速させるためには、印加する高周波電圧の周波数(加速周波数)を上昇させ、周回するイオンビームのエネルギーの増加と共に上昇する周回周波数に対応させて加速周波数を制御する。
シンクロトロン内を周回するイオンビームは、偏向電磁石で軌道を曲げられ、収束四極電磁石及び発散四極電磁石によって水平方向及び垂直方向に収束力を与えられる。加速中ではイオンビームのエネルギーの増加とともに偏向電磁石の励磁電流を増大させる。これによって、イオンビームの中心軌道が周回軌道の設計軌道上に保たれる。また、周回しているイオンビームに一定の収束力を与えるため、四極電磁石の励磁電流を偏向電磁石の励磁電流に比例させて増大させる。
イオンビームは、設計軌道を中心として水平方向及び垂直方向に振動しながら周回している。これらのイオンビームの振動をベータトロン振動といい、ベータトロン振動の周回軌道一周あたりの振動数を水平チューン及び垂直チューンという。水平チューン及び垂直チューンは、四極電磁石の励磁量の偏向電磁石の励磁量に対する比によって設定される。
ところで、シンクロトロンを構成する偏向電磁石及び四極電磁石にそれぞれ存在する誤差磁場及び設置誤差のため、水平チューン及び垂直チューンの組み合わせを平面上にとると、ベータトロン振動が共鳴を生じ不安定となる領域が存在する。また、シンクロトロンへのイオンビームの入射効率はチューンに大きく影響される。高周波捕獲はイオンビームの入射に引き続いて連続的に行われるため、チューンは、入射効率が高く、かつ前述の不安定領域からできるだけ離れた値に設定する必要がある。
なお、蓄積リングでは、周回するイオンビームをバンチ状に高周波捕獲したまま正味加速を行わずに、入射したイオンビームを所望のビーム強度に達するまで蓄積する。したがって、蓄積リングは、シンクロトロンとは、高周波電圧の周波数及び偏向電磁石と四極電磁石の励磁量が一定である点においてのみ異なっている。
シンクロトロン及び蓄積リングでは、空間電荷効果により周回しているイオンビームに発散力が働くとチューンが低下する。このため、イオンビームのチューンが不安定領域に入ると、ベータトロン振動の共鳴が発生してビーム損失が生じやすくなる。このビーム損失は、入射されたイオンビームが低エネルギーである場合、及び周回しているイオンビームの強度が大きい場合に生じやすい。特に、ビーム損失は、高周波捕獲から加速初期の段階において問題となる。チューンの低下量が0.25に達すると、ベータトロン振動の共鳴によりイオンビームを安定に高周波捕獲し、加速することができなくなると考えられている。
特開平8−148298号公報は、シンクロトロンに設けた八極電磁石を用いてイオンビームに収束力を作用させ、空間電荷効果によるチューンの低下を抑えることでベータトロン振動の共鳴を阻止する技術を記載している。この技術は空間電荷効果によるビーム損失を低減できる。特開平11−111500号公報は、イオンビームの入射開始時、入射中、加速中または蓄積中にイオンビームのベータトロン振動の振幅を増加させる振動振幅増加手段を備えたシンクロトロンを記載している。振動振幅増加手段は、周回するイオンビームに含まれる複数の荷電粒子のうち予め設定された値のチューンを有する荷電粒子のベータトロン振動の振幅を増加させる。このため、振幅が増加した荷電粒子の振動の範囲はイオンビームの半径方向で外側に広がるので、空間電荷効果によるチューンの変化を防止できる。したがって、共鳴の発生を抑え、ビーム損失を防止しながら安定にイオンビームを入射、加速または蓄積することができる。特開平10−321400号公報は、四極電磁石、荷電粒子のベータトロン振動の共鳴を励起する共鳴励起用六極電磁石、及び荷電粒子のクロマティシティを補正するためのクロマティシティ補正用六極電磁石が設けられた円形加速器を記述している。この円形加速器は、ベータトロン振動数が整数±1/3と同一もしくは略同一の値になるように四極電磁石の励磁量を調整し、クロマティシティ補正用六極電磁石で荷電粒子のクロマティシティ補正を行うことができる。このため、イオンビームの運動を安定させて、効率良くイオンビームを入射することができる。IEEE,NS-26,No.3,1979,p3526は、空間電荷効果によるビーム損失を抑制する方法として、例えば高周波加速空洞に印加する高周波電圧の波形を制御し、バンチ形状を平坦化することでピーク電荷密度を低減する技術を記載している。
特開平8−148298号公報 特開平11−111500号公報 特開平10−321400号公報 A. Hofmann, "Bunches with Local Elliptic Energy Distributions" (IEEE, NS-26, No.3, 1979, p3526)
八極電磁石を用いてイオンビームに収束力を作用させ、空間電荷効果によるチューンの低下を抑えることでベータトロン振動の共鳴を阻止する特開平8−148298号公報に記載された技術は、以下の問題がある。イオンビームの強度が大きくなると八極電磁石に必要な励磁量が大きくなる。その結果、八極電磁石による非線形磁場の影響が大きくなり、ビーム損失が生じる。
IEEE,NS-26,No.3,1979,p3526に記載された上記の技術は、以下の問題を有する。すなわち、大強度かつ低エネルギーのイオンビームの場合には、空間電荷効果によるチューンの低下が非常に大きくなり、バンチ形状を平坦化しただけではベータトロン振動の共鳴によるビーム損失を十分に抑制できない。
本発明の目的は、高周波捕獲時における空間電荷効果によるビーム損失を抑制できる環状型加速装置及びその運転方法を提供することである。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、環状加速器への荷電粒子ビームの入射後から、高周波加速装置に印加した高周波信号による荷電粒子ビームの捕獲が終了するまでの期間において、荷電粒子ビームのチューンを補正することにある。
荷電粒子ビームの入射後から捕獲が終了するまでの期間において、荷電粒子ビームのチューンを補正するので、チューンが不安定領域に入ることを防止することができる。このため、高周波捕獲時における空間電荷効果によるビーム損失を著しく抑制することができ、大強度で低エネルギーの荷電粒子ビームを効率良く環状加速器に入射することができる。また、その荷電粒子ビームを安定に捕獲でき、加速することができる。
本発明によれば、高周波捕獲時における空間電荷密度の増大によるビーム損失が著しく抑制されるため、大強度で低エネルギーの荷電粒子ビームを効率良く入射し、安定に捕獲し加速することができる。
本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の環状型加速装置を、図1、図2及び図3を用いて説明する。本実施例の環状型加速装置9は、直線型加速器である前段加速器5、シンクロトロン(環状加速器)10、チューン補正制御装置12、加速器制御装置18及び信号処理装置(チューン測定装置)15を備えている。前段加速器5に連絡されるシンクロトロン10は、偏向電磁石1、収束四極電磁石2、発散四極電磁石3、高周波加速空胴4、入射器6、出射器7、空芯四極電磁石11a、11b、高周波印加装置13、ビーム位置モニタ14及びビーム電流測定装置16を、周回軌道に設置している。環状型加速装置9は、例えば、陽子線治療装置等の粒子線治療装置、及びイオンビームを材料等に照射する物理研究用加速装置に使用される。一例である図1に示す粒子線治療装置は、ビーム輸送系19によって、環状型加速装置9に設けられたシンクロトロン10の出射器7と照射装置8を連絡して構成される。
前段加速器5から出射されたイオンビームは、入射器6からシンクロトロン10に入射される。このイオンビームは、シンクロトロン10で設定エネルギーまで加速された後、出射器6からビーム輸送系19に出射され、照射装置8に導かれる。照射装置8から出射されたイオンビームは、図示されていないが、ベッド上に横たわっている患者のがんの患部に照射される。
収束四極電磁石2はイオンビームを水平方向に収束して垂直方向に発散させ、発散四極電磁石3はイオンビームを水平方向に発散して垂直方向に収束させる。収束四極電磁石2及び発散四極電磁石3は鉄心入りの四極電磁石である。高周波加速空胴4は、周回しているイオンビームに高周波発振器(図示せず)からの高周波電圧を印加し、イオンビームを設定エネルギーまで加速する。高周波印加装置13は、高周波電源(図示せず)、及びシンクロトロン10に設けられた高周波印加用電極(図示せず)を有する。高周波電源からの高周波信号を高周波印加用電極に印加することによって、周回しているイオンビームに水平方向あるいは垂直方向の高周波電磁場が印加される。これにより、イオンビームのベータトロン振動振幅が増大される。空芯四極電磁石11a、11bは、チューン補正制御装置12によって励磁電流を制御され、周回しているイオンビームのチューンを補正する。これらの空芯四極電磁石は、鉄心入りの四極電磁石に比べて応答速度が速く、チューンを高速に補正する用途に適している。加速器制御装置18は、偏向電磁石1、収束四極電磁石2、発散四極電磁石3、高周波加速空洞4及び高周波印加装置13を制御し、空芯四極電磁石11を励磁するためのタイミング信号をチューン補正制御装置12へ出力している。
ビーム位置モニタ14は、図2に示すように、それぞれ、三角形の形をした、対となる電極21a,21b、及び他の対となる電極22a,22bを含んでいる。電極21aと電極21b、及び電極22aと電極22bが周回軌道を挟んで対向して配置されている。電極21aと電極21bが電気的に接続され、電極22aと電極22bが電気的に接続される。ビーム位置モニタ14は、ビーム進行方向に垂直な方向で電極21a、電極21b、電極22a、電極22bに平行な方向でのビーム位置を測定する。電気的に接続された二組の電極の間をイオンビームが通過すると、静電誘導によって電極21a,21b,22a,22bに電荷が誘起され、ビーム位置に応じた電圧が電極21aと電極21bの間、及び電極22aと電極22bの間に生成される。これらの電極間に生成された電圧は、電圧信号となって信号処理装置15の位置検出回路23に入力される。信号処理装置15は、位置検出回路23、スペクトラム測定回路24及びチューン演算回路25を有する(図2参照)。スペクトラム測定回路24は位置検出回路23及びチューン演算回路25に接続され、チューン演算回路25は表示装置17、及びチューン補正制御装置12の演算処理装置52に接続される。
チューン補正制御装置12は、図3に示すように、演算処理装置52、電源制御装置54及び記憶装置53を有する。演算処理装置52は、電源制御装置54、記憶装置53、表示装置17、ビーム電流測定装置16及び加速器制御装置18に接続される。信号処理装置15は加速器制御装置18に接続されている。電源制御装置54は、電源55a,55bを制御する。電源55aは空芯四極電磁石11aに接続され、電源55bは空芯四極電磁石11bに接続される。
ここで、空芯四極電磁石(例えば、空芯四極電磁石11a,11b)を用いた本実施例におけるチューンの補正の概念を、図4を用いて説明する。図4において横軸はイオンビームの入射終了時点からの経過時間、縦軸はチューンをそれぞれ表している。特性27が空芯四極電磁石によるチューンの補正を行わない場合でのチューンの時間変化(チューン測定値の時系列情報)を示し、特性28が空芯四極電磁石によるチューンの補正を行った場合でのチューンの時間変化を示す。斜線部の領域26a、26bはチューンの不安定領域であり、チューンの不安定領域はベータトロン振動が共鳴を生じて不安定となるチューンの範囲である。以下、領域26a,26bを不安定領域26a,26bと表記する。空芯四極電磁石によるチューンの補正は水平方向及び垂直方向について行われるが、図4では簡単のため一方向のみのチューンの時間変化を示した。高周波捕獲によりイオンビームの空間電荷密度が増大すると、空間電荷効果の影響が増大してチューンが低下する(特性27参照)。29はそのときにおけるチューンの低下量である。チューンが不安定領域26a内に入ると、ベータトロン振動の共鳴によりビーム損失が生じ易くなる。このため、本実施例は、高周波捕獲期間より前のチューン補正期間において、空芯四極電磁石の励磁量を制御し、例えば、チューン低下量29に見合ったチューン補正量だけチューンを増加させる(特性28参照)。
周回しているイオンビームの入射効率が最大となるチューンと高周波捕獲時でのビーム損失が最小となるチューンは必ずしも一致しない。そこで、本実施例では、イオンビームの入射終了時から高周波捕獲開始までの間に空芯四極電磁石11a,11bを励磁し、チューンをビーム入射効率が最大となる値から高周波捕獲時でのビーム損失が最小となる値へ補正する。これにより、高いイオンビーム入射効率の確保、及び高周波捕獲時のビーム損失抑制の両立が可能となる。なお、チューンの不安定領域は、水平方向及び垂直方向ともにチューンがおよそ0.25変化するごとに存在するから、本実施例におけるチューン補正量の絶対値は、水平方向及び垂直方向とも0.25以下で良い。
空芯四極電磁石の励磁量とチューン補正量の関係について説明する。チューン補正量の絶対値は、空芯四極電磁石の励磁量の偏向磁場強度に対する比にほぼ比例する。チューン補正量の符号は、空芯四極電磁石の励磁量の極性に依存する。詳しくは、空芯四極電磁石を水平方向に収束力を与えるように励磁した場合、水平チューンは増加し、垂直チューンは減少する。また、これらを垂直方向に収束力を与えるように励磁した場合、水平チューンは減少し、垂直チューンは増加する。水平方向及び垂直方向のチューン補正量の比は、空芯四極電磁石が設置される位置によって異なるので、2台の空芯四極電磁石11a、11bを用いて、水平チューン及び垂直チューンを所望の値に補正することができる。換言すれば、水平チューン及び垂直チューンの補正量から2台の空芯四極電磁石11a、11bの励磁量が求められる。
本実施例における空芯四極電磁石の励磁パターンの一例を図6に示す。図6において横軸はイオンビームの入射終了時点からの経過時間を示し、縦軸は空芯四極電磁石の励磁量を示している。特性41が空芯四極電磁石11aの励磁量、特性42が空芯四極電磁石11bの励磁量を表している。空芯四極電磁石の励磁量は、イオンビームを水平方向に収束させる場合に正、垂直方向に収束させる場合に負であるとした。空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量は、イオンビームの入射が終了するまで0に設定されている。空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量は、ビーム入射終了から高周波捕獲開始までの間に存在するチューン補正期間で所定の値に達し、高周波捕獲開始後は一定に保たれる。なお、空芯四極電磁石11a,11bの励磁量は水平チューン及び垂直チューンの各補正量により定まる値であるため、図6に示す励磁パターンと符合及び絶対値が異なる励磁パターンとなる場合もある。これは、後述の他の実施例においても同様である。
環状型加速装置9を用いたチューン補正量の決定方法(励磁パターンの作成方法)を、以下に説明する。環状型加速装置9におけるチューン補正量の決定は、試運転(ビーム調整)の段階で行われる。環状加速装置9を適用した加速器システム、例えば、粒子線治療装置及び物理研究用加速装置では、据付け後で目標対象にイオンビームを照射する前に、所望のイオンビームをシンクロトロン10から出射できるかを確認するビーム調整が行われる。
目標対象へのイオンビームの照射時だけでなくビーム調整時においても、環状型加速装置9は、シンクロトロン10へのイオンビームの入射、高周波捕獲、加速、出射及び減速を含む一つの運転周期を繰り返すことによって運転される。このような環状型加速装置9の運転は、加速器制御装置18が、設定されている各電磁石(偏向電磁石1等)の励磁電流パターン情報に基づいてシンクロトロン10に設けられた各電磁石の励磁量を制御し、例えば、イオン源(図示せず)から前段加速器5へのイオンビームの入射を制御することによって行われる。イオン源から前段加速器5へのイオンビームの入射を制御することは、実質的に、イオンビームのシンクロトロン10への入射を制御することである。
ビーム調整では、空芯四極電磁石11a,11bによるチューン補正を行う前に、シンクロトロン10へのイオンビーム入射時のチューンを測定する。このチューンの測定を具体的に説明する。前段加速器5からシンクロトロン10にイオンビームが入射され、このイオンビームがシンクロトロン10内を周回する。高周波印加装置13の高周波印加電極を用いて周回しているイオンビームに適切な帯域の高周波電磁場を印加した場合には、ビーム位置の時間変化はチューンに対応した周波数成分を有するようになる。印加すべき高周波電磁場の帯域は、イオンビームの周回周波数及びチューンの理論値を用いて求められる。
位置検出回路23は、ビーム位置モニタ14の、電極21a及び電極21bで測定された電圧信号、及び電極22a及び電極22bで測定されたそれぞれの電圧信号を入力する。位置検出回路23は、それらの電圧信号に基づいてビーム位置情報を生成し、時系列ごとのビーム位置情報をスペクトラム測定回路24に出力する。スペクトラム測定回路24は、ビーム位置情報を用いてビーム位置の周波数成分を解析し、周波数スペクトラムのデータを得る。チューン演算回路25は、周波数スペクトラムのデータを用いてチューンを算出し、算出したチューン(チューンの測定値)をチューン補正制御装置12の演算処理装置52に出力する。チューンの算出をチューンの測定という。このチューン測定値は記憶装置53に記憶される。チューンの測定値は、表示装置17に出力されて表示される。さらに、上記したチューンの測定は、イオンビームの入射終了時からイオンビームの加速終了時まで継続して行われる。この間にチューン演算回路25で得られたチューンの測定値は、チューンの時間変化(チューンの時系列データ)として記憶装置53に記憶されると共に、表示装置17に表示される。イオンビームの入射終了時から周回するイオンビームが設定エネルギーになるまでの間、高周波加速空胴4からイオンビームに高周波電磁場が印加されてイオンビームが加速される。なお、チューンの時系列データの取得は、イオンビームの入射終了から加速終了までの期間のうち一部の期間に対して行っても良い。
チューンの時系列データの表示と共に、シンクロトロン10に設けられた各機器のパラメータの時間変化(パラメータの時系列データ)、及びイオンビームのパラメータの時間変化のそれぞれの情報を表示装置17に表示してもよい。上記の各機器のパラメータ情報としては、偏向電磁石1の励磁電流、収束四極電磁石2の励磁電流、発散四極電磁石3の励磁電流等がある。これらの情報は加速器制御装置18から表示装置17に入力される。イオンビームのパラメータ情報の一例として、周回しているイオンビームのビーム電流値がある。ビーム電流測定装置16によって測定されたビーム電流値は表示装置17に入力される。チューンの時系列データ、及びシンクロトロン10に設けられた各機器及びイオンビームのそれぞれのパラメータの時間変化を表示装置17において同じ時間軸上に表示するために、加速器制御装置18は信号処理装置15及びビーム電流測定装置16にタイミング信号を出力している。
本実施例におけるチューン補正量の決定方法(励磁パターン情報の作成方法)を、図3及び図5を用いて詳細に説明する。チューンの補正量の決定はビーム調整の段階で行われる。ビーム調整において、加速器制御装置18は、イオン源、シンクロトロン10に設けられた各電磁石、高周波加速空胴4の高周波発信器及び高周波印加装置13にタイミング信号を出力し、イオンビームの入射、高周波捕獲、加速及び減速を含む一つの周期の運転を繰り返す。図5に示すチューン補正量の決定(励磁パターン情報の作成)の処理において、ステップ31,32及び35〜39の処理は演算処理装置52で実行され、残りのステップ33,34の処理は電源制御装置52で実行される。ビーム調整段階でステップ31の処理を実行する前に、イオンビームの入射時のチューンが、ビーム位置モニタ14及び信号処理装置15を用いて前述のように測定されている。このチューン測定時には空芯四極電磁石11a,11bは励磁されていない。
まず、高周波捕獲開始時点における目標チューンを設定する(ステップ31)。オペレータは、入力装置(図示せず)から演算処理装置52に上記の目標チューンを入力する。この目標チューンは演算処理装置52により記憶装置53に記憶される。チューンが高周波捕獲時における低下によって不安定領域26aに入らないようにするためには、目標チューンを、図4の不安定領域26bに入らない範囲で、入射時のチューンより大きな値に設定すれば良い。設定される目標チューンは、高周波捕獲によるビーム損失が少ないと予想されるチューンの値である。チューン補正量の初期値を設定する(ステップ32)。ただし、入射時のチューンは予め入射効率が最大となるような値に調整されているものとする。演算処理装置52は、記憶装置53から読み込んだ目標チューン値と入射時のチューン測定値を基にチューン補正量の初期値を算出することによって、複数のチューン補正量の候補を求める。各チューン補正量候補は目標チューン値とビーム入射時のチューン測定値との差分である。例えば、各チューン補正量候補は、上記初期値±0.05の範囲で水平方向及び垂直方向とも0.01刻みで設定する。チューン補正量候補は記憶装置53に記憶される。演算処理装置52は、チューン補正量候補のそれぞれに対応した空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量を計算する。演算処理装置52は、さらに空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量を基に空芯四極電磁石11a,11bの各励磁パターン(励磁電流パターン)を作成し、記憶装置53に記憶する。チューン補正量候補に対する各励磁パターンは励磁パターン候補である。演算処理装置52は、記憶装置53に記憶されている各励磁パターン情報(各励磁パターン候補の情報)を電源制御装置54に出力する。これらの励磁パターン情報は電源制御装置54の記憶メモリ(図示せず)に記憶される。
イオンビーム入射のタイミング信号を入力する(ステップ33)。電源制御装置54には、シンクロトロン10へのイオンビームの入射を示すタイミング信号が加速器制御装置18から入力される。その後、チューン補正電磁石を励磁する(ステップ34)。電源制御装置54は、そのタイミング信号を入力したとき、演算処理装置52から予め入力している、チューン補正電磁石である空芯四極電磁石11a,11bの各励磁パターンに基づいて電源55a,55bを制御し、空芯四極電磁石11a,11bに供給する各励磁電流を調節する。それらの励磁パターンはあるチューン補正量候補に対応したものである。そのようにして空芯四極電磁石11a,11bはチューン補正量に基づいて励磁される。空芯四極電磁石11a,11bが励磁された段階で、加速器制御装置18は、タイミング信号に基づいて、高周波捕獲を行うために高周波発振器を制御し、高周波加速空胴4に高周波電圧を印加する。この高周波電圧が高周波加速空胴4から周回軌道を周回しているイオンビームに印加され、高周波捕獲が行われる。なお、周回しているイオンビームに高周波印加用電極から高周波電磁場を印加した場合にはイオンビームのベータトロン振動振幅が増大してビーム損失を生じる可能性があるため、空芯四極電磁石11a,11bによるチューンの補正を行う際には高周波電磁場の印加及びチューンの測定を行わない。
ビーム電流の測定値が入力される(ステップ35)。加速器制御装置18は、ビーム電流値の時間変化とイオンビーム入射後の経過時間を対応させるためにタイミング信号をビーム電流測定装置16に出力する。ビーム電流測定装置16は、タイミング信号に対応させてイオンビームのビーム電流を測定してその測定値を演算処理装置52に出力する。演算処理装置52は、ビーム電流測定値の時系列データから高周波捕獲終了時点のビーム電流測定値を抽出し、この抽出したビーム電流測定値、該当するチューン補正量、及びビーム電流値の時系列データを併せて記憶装置53に記憶する。チューン補正の効果を確認するため、チューン補正量が0、つまりチューンを補正しない場合についても高周波捕獲とビーム電流値の測定が行われる。
演算処理装置52は、全てのチューン補正量候補に対してステップ35の処理が実行されたかを判定する(ステップ36)。この判定が「Yes」の場合には、ステップ38の処理が実行される。その判定が「No」の場合、チューン補正量の変更が行われる(ステップ37)。すなわち、演算処理装置52は、残りのチューン補正量候補のうち1つのチューン補正量候補を選択し、選択したチューン補正量候補の情報を電源制御装置54に伝える。選択されたチューン補正量候補に対してステップ33〜35の処理が実行される。繰り返されれたステップ34において、電源制御装置54は、選択されたチューン補正量候補に対応する励磁パターン情報を用いて空芯四極電磁石11a,11bを励磁する。選択されたチューン補正量候補に対するステップ33〜35の処理の実行は、高周波捕獲時におけるビーム損失が最小となるチューン補正量を探索するために繰り返される。ビーム損失が最小となるチューン補正量は、ステップ32で設定した初期値に近い値であると考えられるから、チューン補正量は初期値を中心とした狭い範囲内で変更すれば良い。具体的には、ステップ32で設定した初期値を含む複数のチューン補正量候補(初期値に近い値)を求め、全てのチューン補正量候補に対してステップ33〜35の処理を繰り返す。
ステップ36の判定が「Yes」の場合、チューン補正量とビーム電流測定値の組み合わせを比較する(ステップ38)。演算処理装置52は、記憶装置53から読み出したチューン補正量とビーム電流測定値の組み合わせを比較する。その後、チューン補正量を決定する(ステップ39)。高周波捕獲終了時点でのビーム電流測定値が最大となるチューン補正量を、チューン補正量の決定値とし、記憶装置53に記憶する。チューン補正量の決定値に対応する励磁パターン候補が、空芯四極電磁石の励磁量を制御するために用いられる励磁パターン情報となる。この励磁パターン情報も記憶装置53に記憶される。
演算処理装置52は、チューン補正量の決定値、チューン補正量の決定値に対応する空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量及び各励磁パターン情報、チューン補正量の決定値に対応するビーム電流値の時系列データ、及びチューン補正量の決定値に対応する高周波捕獲終了時点のビーム電流値の各情報をそれぞれ表示装置17へ出力する。表示装置17はこれらの情報を加速器制御装置18から入力するシンクロトロン10の運転パラメータの情報と共に表示する。また、表示装置17はその決定値以外のチューン補正量及びそれに対応する励磁量などの情報を表示させることもできる。これにより、運転者は高周波捕獲前のチューン補正による効果を視覚的に確認することが可能である。
図5に示す処理手順によって決定されたチューン補正量の決定値に対応する励磁パターンを用いた、環状型加速装置9の運転方法、すなわち図1に示す粒子線治療装置の運転方法を説明する。チューン補正量の決定値に対応する励磁パターンはステップ32で作成される。
イオン源から前段加速器5にイオンビームが入射され、加速されたイオンビームが前段加速器5からシンクロトロン10に入射される。加速器制御装置18からイオンビーム入射のタイミング信号が演算処理装置52に入力されると、演算処理装置52は、空芯四極電磁石11a,11bに対する各励磁パターン(例えば、図6に示す励磁パターン)の情報を電源制御装置54に出力する。それらの励磁パターンはチューン補正量の決定値に対応するものである。電源制御装置54は、高周波捕獲期間前のチューン補正期間において、それらの励磁パターンの情報に基づいて電源55a,55bを制御し、空芯四極電磁石11a,11bに供給する励磁電流を調節する。空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量は、それぞれ、そのチューン補正期間において図6の特性41,42に示すように変化する。演算処理装置52からの励磁変更終了出力信号を入力した加速器制御装置18は、高周波発信器を制御して高周波加速空胴4に高周波電圧を印加させる。この高周波電圧が高周波加速空胴4から周回軌道を周回しているイオンビームに印加され、高周波捕獲が行われる。高周波捕獲期間が終了した後、高周波加速空胴4に印加される高周波電圧の周波数を増加することによって周回しているイオンビームが加速され、ビームエネルギーが設定エネルギーまで高められる。シンクロトロン10へのイオンビーム入射後、チューン補正期間、高周波捕獲期間及びその後の加速期間において、周回しているイオンビームのチューンは、図4の特性28のように変化する。チューン補正期間における空芯四極電磁石11a,11bの励磁量の制御によって、イオンビームのチューンは、チューン補正期間後の最大値を示す場合でも不安定領域26bに入らず、高周波捕獲期間後の加速期間においても不安定領域26a,26b内に入らない。空芯四極電磁石11a,11bを用いたチューンの補正は、イオンビームの入射、高周波捕獲、イオンビームの加速、イオンビームの出射及び減速を繰り返す度に、高周波捕獲の前で実施される。
設定エネルギーまで加速されたイオンビームは、シンクロトロン10から出射されて照射装置8より照射対象である患者の患部に照射される。イオンビームの照射を行っている場合にもビーム電流測定装置16によってビーム電流を測定する。測定されたビーム電流の時間変化に基づいて、チューン補正による効果を確認することができる。
図6に示した励磁パターンは、イオンビームの入射時における空芯四極電磁石11a,11bの励磁量を0にしている。イオンビームの入射前から空芯四極電磁石11a,11bを励磁しておき、その入射終了時から高周波捕獲開始までの間に存在するチューン補正期間において空芯四極電磁石11a,11bの励磁量を変更することによっても同様なチューン補正が可能である。
本実施例は、シンクロトロン10へのイオンビーム入射後で高周波捕獲開始前の間に存在するチューン補正期間において、チューン補正電磁石(例えば、空芯四極電磁石11a,11b)を用いてチューンの補正を行っているため、高周波捕獲時において空間電荷密度の増大によって生じるビーム損失を抑制することができる。このため、大強度で低エネルギーのイオンビームを効率よくシンクロトロン10に入射させることができ、安定な高周波捕獲が可能となる。また、イオンビームのチューンが不安定領域26a,26bに入らないので、安定にイオンビームを加速することができる。本実施例は、チューン補正量の決定(励磁パターン情報の作成)を、環状型加速装置9の据付け後に行われるそのビーム調整時に行うので、以下の効果を得ることができる。すなわち、長時間を有する、演算処理装置52から電源制御装置54への励磁パターン情報の伝送、及び試運転完了後に行われる環状型加速装置の運転(例えば、粒子線治療装置の治療時の運転)に用いる励磁パターン情報の確認を、容易に行うことができる。
本実施例におけるチューン補正量の決定方法及びチューンの補正方法は、高周波捕獲後にビームエネルギーが正味変化しない蓄積リングにも適用することができる。
本発明の他の実施例である実施例2の環状型加速装置9Aを、図7を用いて説明する。環状型加速装置9Aは、環状型加速装置9において空芯四極電磁石11a,11bの替りにチューン補正電磁石として鉄心を有する収束四極電磁石2及び発散四極電磁石3を用いたものである。環状型加速装置9Aにおける他の構成は環状型加速装置9と同じである。本実施例におけるチューン補正制御装置12の電源制御装置54は、実施例1と同様に、チューン補正期間において収束四極電磁石2及び発散四極電磁石3の励磁量を制御し、チューンの補正を行う。チューン補正量の決定方法及びチューン補正方法の本質は、実施例1と同じである。本実施例におけるチューン補正方法は、制御対象が実施例1と異なっているのである。
本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、空芯四極電磁石11a,11bを備えていないので、環状型加速装置9Aの構成を実施例1の環状型加速装置9よりも簡略化することができる。
本発明の他の実施例である実施例3の環状型加速装置を、以下に説明する。本実施例の環状型加速装置の構成、及びこの環状型加速装置を適用した加速器システムの一例である粒子線治療装置の構成は図1に示す構成と同じである。本実施例の環状型加速装置は、実施例1の環状型加速装置9と、チューン補正時における空芯四極電磁石11a,11bの励磁パターンが異なっている。
実施例1の環状型加速装置9は、高周波捕獲によるチューンの低下量が大きい場合に高周波捕獲時のビーム損失を十分に抑制できない可能性がある。この現象を、図8を用いて説明する。図8において横軸はイオンビームの入射終了時点からの経過時間、縦軸はチューンをそれぞれ表している。特性43が空芯四極電磁石によるチューンの補正を行わない場合でのチューンの時間変化を示し、特性44が空芯四極電磁石11a,11bによるチューンの補正を行った場合でのチューンの時間変化を示す。特性44が示すように、高周波捕獲によるチューン低下量29Aが大きいと、実施例1と同様な空芯四極電磁石11a,11bを用いたチューンの補正を行っても高周波捕獲期間においてチューンが不安定領域26aに入ってしまう。
本実施例におけるチューン補正の概念を、図9を用いて説明する。本実施例は、高周波捕獲期間におけるチューンの低下を補償するように、高周波捕獲期間において空芯四極電磁石11a,11bの励磁量を制御することによってチューンの補正を行う。このようなチューン補正により、高周波捕獲期間においてチューンが不安定領域に入ることを防止することができる。本実施例の環状型加速装置におけるチューン補正前及びチューン補正後におけるチューンの時間変化を、図9に比較して示している。特性43は図8と同じであり、特性45が空芯四極電磁石11a,11bによるチューンの補正を行った場合でのチューンの時間変化を示す。本実施例は、空芯四極電磁石11a,11bによりチューンを補正するチューン補正期間は、高周波捕獲期間内に含まれる。すなわち、高周波捕獲期間におけるチューン低下量を補償するように、高周波捕獲期間においてチューンを補正する目的で空芯四極電磁石11a,11bが励磁されるため、高周波捕獲期間でチューンは一定に保たれる。これにより、高周波捕獲によるチューン低下量が大きい場合でも高周波捕獲時におけるビーム損失を著しく抑制することができる。高周波捕獲終了後の加速期間においても、チューンは不安定領域26a,26bに入らず、一定に保持される。
本実施例における空芯四極電磁石の励磁パターンの一例を図10に示す。図10は図6と同様に空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量の時間変化を示している。特性46が空芯四極電磁石11aの励磁量、特性47が空芯四極電磁石11bの励磁量を表している。各空芯四極電磁石のそれぞれの励磁量は、高周波捕獲開始時点まで0に設定されており、高周波捕獲期間では高周波捕獲によるチューンの低下量29Aを補償するようにパターンが設定されている。各空芯四極電磁石のそれぞれの励磁量は、高周波捕獲期間終了後に一定となる。空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量とチューンの補正量は比例関係にあるので、高周波捕獲期間において制御される空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量はチューンの低下量29Aに比例する。ここで言うチューンの低下量とは、空芯四極電磁石によるチューン補正を行わない場合におけるチューンの低下量を意味する。
ところで、高周波捕獲期間ではチューン低下によりビーム損失が生じると空間電荷密度が低下する。したがって、高周波捕獲期間におけるチューンは、高周波捕獲による空間電荷密度の増加、及びビーム損失による空間電化密度の低下の両方の影響を受ける。高周波捕獲期間においてチューンの補正を行いビーム損失が抑制されると、ビーム損失による空間電荷密度低下の影響は小さくなる。チューン補正量に基づいて空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量を求める際、チューン補正によるビーム損失低減の影響は考慮されていない。このため、空芯四極電磁石による補正を行わない場合のチューンの時間変化に対して作成した空芯四極電磁石の励磁パターンは、高周波捕獲期間でのビーム損失を十分に抑制できない可能性がある。そこで、本実施例は、ビーム調整において高周波捕獲期間でのチューン補正を行いながらチューンの時間変化を測定し、この測定結果に基づいて空芯四極電磁石11a,11bの各励磁パターンを修正する。
本実施例の環状型加速装置を用いてビーム調整時に行われる励磁パターンの決定方法(励磁パターンの作成方法)を、図11を用いて以下に説明する。ビーム調整時において、加速制御装置18は、実施例1と同様に、タイミング信号を用いてイオンビームの入射、高周波捕獲、加速及び減速を含む一つの周期の運転を繰り返す。図11に示すチューン補正量の決定(励磁パターン情報の作成)の処理において、ステップ60,62及び64〜66の処理は演算処理装置52で実行され、残りのステップ61,34及び63の処理は電源制御装置52で実行される。
まず、チューン変化量の許容範囲を設定する(ステップ60)。オペレータは、不安定領域26aの上限のチューンの値及び不安定領域26bの下限のチューンの値を基に決定した、チューン変化量の許容範囲の情報を入力装置(図示せず)から演算処理装置52に入力する。チューン変化量の許容範囲は、実現可能な範囲で狭く設定することが望ましい。ビーム調整では、まず、空芯四極電磁石11a,11bを励磁しない状態で環状型加速装置を運転する。前段加速器5から入射されたイオンビームはシンクロトロン10内を周回する。加速器制御装置18は、高周波印加装置13の高周波電源を制御し高周波印加用電極からイオンビームに高周波電磁場を印加する。高周波捕獲開始のタイミング信号を入力する(ステップ61)。加速器制御装置18は、タイミング信号に基づいて高周波発信器に高周波電圧を出力させる。この高周波電圧は高周波加速空胴4から周回するイオンビームに印加され、高周波捕獲が開始される。電源制御装置54は、その高周波捕獲開始のタイミング信号を加速器制御装置18から入力する。
そのタイミング信号を入力した電源制御装置54は、空芯四極電磁石の励磁(ステップ34)を実施する。高周波捕獲開始に併せてチューンの時間変化の情報が入力される(ステップ62)。ステップ34では、電源制御装置54が、実施例1と同様に、記憶メモリに記憶されている空芯四極電磁石11a,11bの各励磁パターン情報に基づいて空芯四極電磁石11a,11bの励磁量を制御し、イオンビームのチューンの補正を行う。後述のステップ66が行われる前の励磁パターンは励磁パターン候補である。環状型加速装置における初回の運転周期における空芯四極電磁石11a,11bの各励磁パターンでは、励磁量が0で一定となっている。初回の運転周期における高周波捕獲期間では、空芯四極電磁石11a,11bの励磁量は0に合わせられ、チューン補正が行われない。演算処理装置52は、電源制御装置54による空芯四極電磁石11a,11bの励磁量の制御に先立って、作成した各励磁パターン情報を電源制御装置54に伝えている。ステップ62では、演算処理装置52が、チューンの時間変化の情報を信号処理装置15から入力する。高周波捕獲期間を通して、高周波捕獲開始のタイミング信号を入力した信号処理装置15は、実施例1で述べたように、ビーム位置モニタ14から出力された電圧信号に基づいてチューンを測定する。この測定されたチューンの時間変化の情報が、演算処理装置52に入力され、記憶装置53に記憶される。チューンの時間変化の情報は、例えば、高周波捕獲期間で所定の時間間隔で測定された多数のチューン測定値の群である。初回の運転周期では、高周波捕獲期間においてチューン補正を行わない状態でチューンの時間変化が測定される。
高周波捕獲終了のタイミング信号を入力する(ステップ63)。電源制御装置54には、高周波捕獲が終了したときに加速器制御装置18から出力される高周波捕獲終了のタイミング信号が入力される。加速器制御装置18は、高周波捕獲が終了した後も、高周波加速空胴4に印加する高周波電圧の周波数を制御し、さらにシンクロトロン10に設けられた偏向電磁石1等の電磁石の励磁量を制御し、イオンビームを加速する。演算処理装置52は、電源制御装置54での高周波捕獲終了のタイミング信号の入力に併せて、すなわち、演算処理装置52へのチューンの時間変化の情報の入力が終了した後、ステップ64の処理を実行する。信号処理装置15は、高周波捕獲終了のタイミング信号が入力されたとき、チューン測定値の出力を停止する。ステップ64では、ステップ62で測定されたチューンの時間変化の情報に含まれる各チューン測定値がステップ60で設定したチューン変化量の許容範囲内に収まっているか判定する。チューンの時間変化の情報がその許容範囲内に収まらない場合には、ステップ64の判定が「No」となり、空芯四極電磁石の励磁パターンを修正する(ステップ65)。具体的には、演算処理装置52は、ステップ62で測定されたチューンの時間変化の情報を基に、チューンの時間変化を打ち消すような、空芯四極電磁石11a,11bの各励磁パターンを作成する。さらに、演算処理装置52は、作成した各励磁パターンを元のそれぞれの励磁パターンに別々に加算することによって、空芯四極電磁石11a,11bに対するそれぞれの修正励磁パターンを作成する。これらの修正された励磁パターン(励磁電流パターン)の情報は、記憶装置53に記憶される。修正された各励磁パターン情報は、次の運転周期での環状型加速装置の運転が開始されるまでの期間において、演算処理装置52から電源制御装置54に伝えられる。換言すれば、次の運転周期でのイオンビームの入射は、励磁パターン情報の電源制御装置54への伝送が完了するまでは行われない。次の運転周期において、ステップ61,34,62〜64の処理が繰り返される。この運転周期におけるステップ34での空芯四極電磁石11a,11bの励磁量は、ステップ65で作成された修正励磁パターン情報に基づいて制御される。ステップ62でのチューンの測定も、空芯四極電磁石11a,11bによってチューンが補正されている間でも行われる。ステップ64での再判定でも「No」になった場合は、ステップ65においてその運転周期で測定されたチューンの時間変化の情報を用いて励磁パターンが再度修正される。更にその次の運転周期において、ステップ61,34,62〜64の処理が繰り返される。このように、ステップ64の判定が「Yes」になるまで、励磁パターンの修正が行われ、運転周期を替えながらステップ61,34,62〜64の処理が繰り返される。チューンの時間変化の情報に含まれる各チューン測定値が許容範囲内に収まったとき、すなわち、ステップの判定が「Yes」になったとき、最終励磁パターンを決定する(ステップ66)。演算処理装置52は、ステップの判定が「Yes」になったときの励磁パターンを、空芯四極電磁石11a,11bに対する最終的な各励磁パターン(最終励磁パターン)に決定する。すなわち、空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量を制御する励磁パターン情報が作成される。これらの最終励磁パターンの情報は、記憶装置53に記憶される。
空芯四極電磁石の励磁パターンを作成するためにビーム電流の測定値は必要ではない。しかしながら、ビーム電流測定値は、高周波捕獲期間におけるチューンの補正効果を確認するのに有益な情報である。ビーム電流測定装置16から演算処理装置52へ入力されたビーム電流測定値の時系列データは、対応する空芯四極電磁石11a,11bの各励磁パターン情報及びチューンの時間変化の情報と共に記憶装置53に記憶され、表示装置17に表示される。なお、空芯四極電磁石の励磁パターンに対応するチューンの時間変化の情報とは、当該励磁パターンに基づいて空芯四極電磁石の励磁を行った場合に測定されたチューン測定値を時系列に並べた情報のことであり、チューンの時間変化をビーム電流の時間変化に置き換えても同じことが言える。
チューン測定のために高周波印加用電極からイオンビームに印加する高周波電磁場の振幅が大きい場合には、イオンビームのベータトロン振動振幅が増大し過ぎてビーム損失を生じやすくなる。一方、印加する高周波電磁場の振幅が小さい場合には、ビーム位置を周波数解析した際のチューンに応じた周波数成分の強度が小さくなり、チューンの測定が困難となる。本実施例では、チューン測定のために印加する高周波電磁場の振幅は、チューンの測定が可能であり、かつベータトロン振動振幅の増大によるビーム損失が問題とならない範囲に設定する。
演算処理52は、空芯四極電磁11a,11bのそれぞれの最終励磁パターン、最終励磁パターンに対応するチューンの時間変化、及び最終励磁パターンに対応するビーム電流値の時間変化の各情報を表示装置17へ出力する。表示装置17は、これらの情報を加速器制御装置18から入力するシンクロトロン10の運転パラメータの情報と共に表示する。表示装置17は最終励磁パターン以外の励磁パターンの情報及びこれに対応する各情報を入力して表示させることができる。これにより、運転者は高周波捕獲期間におけるチューンの補正効果を視覚的に確認することが可能である。
図11に示す処理手順によって決定された最終励磁パターン情報を用いた、環状型加速装置の運転方法、すなわち図1に示す粒子線治療装置の運転方法を、実施例1と異なる部分について説明する。
イオンビームが前段加速器5からシンクロトロン10に入射された後、加速器制御装置18から高周波捕獲開始のタイミング信号が演算処理装置52に入力される。このとき、演算処理装置52は、空芯四極電磁石11a,11bに対する各最終励磁パターン(例えば、図10に示す励磁パターン)の情報を電源制御装置54に出力する。電源制御装置54はそれらの最終励磁パターンの情報に基づいて、高周波捕獲期間において電源55a,55bを制御し、空芯四極電磁石11a,11bに供給する励磁電流を調節する。空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量は、それぞれ、高周波捕獲期間において図10の特性46,47に示すように変化する。これによって、チューンは、高周波捕獲期間では不安定領域26aと不安定領域26bの間で特性45のようにほぼ一定に保持される。高周波捕獲期間が終了した後の加速期間でも、チューンは同じように一定に保持される。設定エネルギーまで加速されたイオンビームは照射装置8から患者のがんの患部に照射される。空芯四極電磁石11a,11bを用いたチューンの補正は、イオンビームの入射、高周波捕獲、イオンビームの加速、イオンビームの出射及び減速を繰り返す度に、高周波捕獲期間において実施される。
本実施例は、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、高周波捕獲期間においてチューンの補正を行っているので、実施例1によるチューンの補正を行ってもチューンが不安定領域に入ってしまうようなチューンの低下量の大きなケースでも、チューンを安定な領域に保持することができる。このため、本実施例は、実施例1よりも強度の大きな強度のイオンビームを効率良くシンクロトロンに入射させることができる。
本実施例でも、実施例2と同様に、空芯四極電磁石11a,11bの替りに収束四極電磁石2及び発散四極電磁石3を用いてチューンの補正を行うことができる。収束四極電磁石2及び発散四極電磁石3は、高周波捕獲期間においてそれぞれの最終励磁パターン情報に基づいて励磁量が制御される。
本発明の他の実施例である実施例4の環状型加速装置を、以下に説明する。本実施例の環状型加速装置の構成、及びこの環状型加速装置を適用した加速器システムの一例である粒子線治療装置の構成は図1に示す構成と同じである。本実施例の環状型加速装置は、実施例1の環状型加速装置9と、チューン補正時における空芯四極電磁石11a,11bの励磁パターンが異なっている。本実施例で用いられる空芯四極電磁石の励磁パターンは、実施例1で用いられる高周波捕獲開始前でチューン補正を行う励磁パターンの特徴及び、実施例2で用いられる高周波捕獲期間においてチューン補正を行う励磁パターンの特徴を含んでいる。本実施例は、イオンビーム入射後で高周波捕獲開始前に存在するチューン補正期間において空芯四極電磁石11Aa,11bを励磁してチューンの補正を行い、さらに高周波捕獲期間において高周波捕獲によるチューンの低下を補償するように空芯四極電磁石11a,11bの励磁量をそれぞれの励磁パターンの情報を用いて制御する(図12及び図13参照)。
本実施例におけるチューン補正の概念を、図12を用いて説明する。本実施例は、上記したように、イオンビーム入射後で高周波捕獲開始前に存在するチューン補正期間、及び高周波捕獲期間の両方において、それぞれチューンの補正を行う。本実施例は、入射時のチューンが不安定領域に近接していて実施例3の適用が困難な場合にも、高周波捕獲中のチューン低下を補償して、チューンが不安定領域に入ることを防止できる。図12において、特性48が空芯四極電磁石11a,11bによるチューンの補正を行わない場合でのチューンの時間変化を示し、特性49がそれらの空芯四極電磁石でチューンの補正を行った場合におけるチューンの時間変化を示している。本実施例では、チューンが上記のチューン補正期間で補正により増加し、その後、チューンは高周波捕獲期間及び加速期間を通して一定に保持される。本実施例は、高周波捕獲期間におけるチューン補正を単独で適用する場合に比べ、より効果的に高周波捕獲時におけるビーム損失を抑制できる。
本実施例における空芯四極電磁石の励磁パターンの一例を図13に示す。特性50が空芯四極電磁石11aの励磁量、特性51が空芯四極電磁石11bの励磁量をそれぞれ表している。空芯四極電磁石11a,11bの各励磁パターンは、イオンビームの入射終了時点まで励磁量が0に設定されており、上記のチューン補正期間では励磁量が所定の励磁量になるまで直線的に変化し、さらに、高周波捕獲期間においては高周波捕獲によるチューンの低下量29Bを補償するように励磁量が設定されている。高周波捕獲終了以降の加速期間では、各励磁パターンの励磁量は一定に保たれている。
本実施例の環状型加速装置を用いてビーム調整時に行われる励磁パターンの決定方法を、図14を用いて以下に説明する。図14に示す励磁パターンの決定方法の処理手順は、実施例1及び3と同様に、演算処理装置52及び電源制御装置54で実行される。この処理手順は、ステップ31〜37、34A及び60〜66を含んでおり、図14に示す順序で実行される。本実施例で実行されるステップ31〜37の各処理の内容は、実施例1で説明したステップ31〜37と同じである。本実施例で実行されるステップ60〜66の各処理の内容は、実施例2で述べたステップ60〜66と同じである。また、本実施例におけるステップ34Aの処理内容は、実施例2で実行されるステップ34と同じである。ステップ66で決定された最終励磁パターンの情報、及びステップ39で決定されたチューン補正量の決定値を含む励磁パターン情報(例えば、図13に示す各励磁パターン情報)が演算処理装置52で作成され、記憶装置53に記憶される。
図14に示す処理手順によって決定されたチューン補正量の決定値に対応する励磁パターン、及び最終励磁パターンを含む励磁パターンを用いた、環状型加速装置9の運転方法、すなわち図1に示す粒子線治療装置の運転方法を説明する。
加速されたイオンビームが前段加速器5からシンクロトロン10に入射される。加速器制御装置18からイオンビーム入射のタイミング信号が演算処理装置52に入力されると、演算処理装置52は、空芯四極電磁石11a,11bに対する各励磁パターン(例えば、図13に示す励磁パターン50,51)の情報を電源制御装置54に出力する。電源制御装置54は、高周波捕獲前のチューン補正期間でそれらの励磁パターンの情報に基づいて電源55a,55bを制御し、空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量を調節する。これにより、チューンは、補正され、図12に示すように、そのチューン補正期間で増加する。加速器制御装置18から出力された高周波捕獲開始のタイミング信号が演算処理装置52を経由して(または直接)電源制御装置54に入力される。このとき、電源制御装置54は、高周波捕獲期間において、励磁パターン50,51の高周波捕獲期間の部分を用いて、空芯四極電磁石11a,11bの各励磁量を調節する。これらの励磁量の調節により、高周波捕獲によるチューン低下量が補償され、高周波捕獲期間においてチューンは一定に保持される。高周波捕獲期間が終了した後、高周波加速空胴4に印加される高周波電圧の周波数が増大されることによって周回しているイオンビームが加速され、ビームエネルギーが設定エネルギーまで高められる。このイオンビームが照射装置8より患者の患部に照射される。
本実施例は、実施例1及び実施例2で生じる効果を得ることができる。本実施例においても、空芯四極電磁石11a,11bを設置しないで替りに収束四極電磁石2及び発散四極電磁石3を用いてチューンを補正することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の環状型加速装置を適用した粒子線治療装置の構成図である。 図1に示すビーム位置モニタ及び信号処理装置の詳細構成図である。 図1に示すチューン補正制御装置の詳細構成図である。 図1の実施例におけるチューン補正前及びチューン補正後におけるチューンの時間変化を示す特性図である。 実施例1で実行されるチューン補正量を決定する手順を示す説明図である。 図1に示す各空芯四極電磁石のそれぞれの励磁パターンの一例を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例2の環状型加速装置を適用した粒子線治療装置の構成図である。 チューンの低下量が図4に示す特性27よりも大きい場合におけるチューン補正前及びチューン補正後におけるチューンの時間変化を示す特性図である。 本発明の他の実施例である実施例3の環状型加速装置を適用した粒子線治療装置でのチューン補正前及びチューン補正後におけるチューンの時間変化を示す特性図である。 実施例3に用いられる各空芯四極電磁石のそれぞれの励磁パターンの一例を示す説明図である。 実施例3で実行されるチューン補正量を決定する手順を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例4の環状型加速装置を適用した粒子線治療装置でのチューン補正前及びチューン補正後におけるチューンの時間変化を示す特性図である。 実施例4に用いられる各空芯四極電磁石のそれぞれの励磁パターンの一例を示す説明図である。 実施例4で実行されるチューン補正量を決定する手順を示す説明図である。
符号の説明
4…高周波加速空洞、5…前段加速器、8…照射装置、9…環状型加速装置、9,9A…シンクロトロン、11a,11b…空芯四極電磁石、12…チューン補正制御装置、14…ビーム位置モニタ、15…信号処理装置、16…ビーム電流測定装置、17…表示装置、18…加速器制御装置、21a,21b,22a,22b…電極、23…位置検出回路、24…スペクトラム測定回路、25…チューン演算回路、52…演算処理装置、53…記憶装置、54…電源制御装置、55a,55b…電源。

Claims (16)

  1. 環状加速器と、前記環状加速器に設けられたチューン補正電磁石と、前記環状加速器に設けられて高周波信号が印加される高周波加速装置と、前記環状加速器への荷電粒子ビームの入射後から、前記高周波信号による前記荷電粒子ビームの捕獲が終了するまでの期間において、前記チューン補正電磁石を制御して前記荷電粒子ビームのチューンを補正する制御装置とを備えたことを特徴とする環状型加速装置。
  2. 環状加速器と、前記環状加速器に設けられたチューン補正電磁石と、前記環状加速器に設けられて高周波信号が印加される高周波加速装置と、前記環状加速器への荷電粒子ビームの入射後から、前記高周波信号による前記荷電粒子ビームの捕獲が終了するまでの期間において、前記チューン補正電磁石の励磁量を制御する制御装置とを備えたことを特徴とする環状型加速装置。
  3. 前記チューン補正電磁石が前記環状加速器に設けられた少なくとも2台の空芯四極電磁石である請求項2に記載の環状型加速装置。
  4. 前記チューン補正電磁石が前記環状加速器に設けられた収束四極電磁石及び発散四極電磁石である請求項2に記載の環状型加速装置。
  5. 前記制御装置は、前記荷電粒子ビームの入射後から前記捕獲が開始される前までの期間において、前記チューン補正電磁石の励磁量を制御する請求項2に記載の環状型加速装置。
  6. 前記制御装置は、前記捕獲が開始されてからその捕獲が終了するまでの期間において、前記チューン補正電磁石の励磁量を制御する請求項2または請求項5に記載の環状型加速装置。
  7. 環状加速器、及び前記環状加速器に設けられて高周波信号が印加される高周波加速装置を備えた環状型加速装置の運転方法において、
    前記環状加速器に荷電粒子ビームを入射し、
    前記荷電粒子ビームの入射後、前記高周波加速装置への前記高周波信号の印加により、前記荷電粒子ビームを捕獲し、
    前記荷電粒子ビームの入射後から前記捕獲が終了するまでの期間において、前記荷電粒子ビームのチューンを補正し、
    捕獲された前記荷電粒子ビームを加速し、
    加速された前記荷電粒子ビームを前記環状加速器から出射することを特徴とする環状型加速装置の運転方法。
  8. 前記チューンの補正を、前記荷電粒子ビームの入射後から前記捕獲が開始される前までの期間において行う請求項7に記載の環状型加速装置の運転方法。
  9. 前記チューンの補正を、前記捕獲が開始されてからその捕獲が終了するまでの期間において行う請求項7または請求項8に記載の環状型加速装置の運転方法。
  10. 前記チューンの補正は、前記環状加速器に設けられたチューン補正電磁石の励磁量を制御することによって行う請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の環状型加速装置の運転方法。
  11. 前記荷電粒子ビームのチューン測定値の時系列情報及びビーム電流測定値の時系列情報の少なくとも一方と、前記環状加速器に設けられた機器に関するパラメータの時系列情報を表示装置に表示する請求項7ないし請求項10のいずれか1項に記載の環状型加速装置の運転方法。
  12. 環状加速器、及び前記環状加速器に設けられて高周波信号が印加される高周波加速装置を備えた環状型加速装置に用いられる電磁石の励磁パターン情報を作成する方法において、
    前記環状加速器への荷電粒子ビームの入射時における前記荷電粒子ビームのチューン測定値を基に求められた複数のチューン補正量のそれぞれごとに第1励磁パターン情報を作成し、
    前記荷電粒子ビームの入射後から、前記高周波信号による前記荷電粒子ビームの捕獲が終了するまでの期間において、前記環状加速器に設けられたチューン補正電磁石の励磁量を前記第1励磁制御パターン情報に基づいて制御し、
    前記環状加速器内を周回する前記荷電粒子ビームのビーム電流の測定値が前記捕獲が終了した時点で最大となる前記第1励磁パターン情報を、前記チューン補正電磁石の励磁量の制御に用いる第2励磁パターン情報として選択することを特徴とする励磁パターン情報を作成する方法。
  13. 環状加速器、及び前記環状加速器に設けられて高周波信号が印加される高周波加速装置を備えた環状型加速装置に用いられる電磁石の励磁パターン情報を作成する方法において、
    前記高周波信号による荷電粒子ビームの捕獲が行われる期間において、前記環状加速器に設けられたチューン補正電磁石の励磁量を励磁パターン情報に基づいて制御し、
    前記期間において前記荷電粒子ビームのチューンを測定し、
    前記期間において測定された前記チューンの測定値の時系列情報が前記チューンの許容範囲に入っているとき、その時系列情報を得た前記励磁パターン情報を、前記チューン補正電磁石の励磁量の制御に用いる励磁パターン情報とすることを特徴とする励磁パターン情報を作成する方法。
  14. 前記時系列情報が前記許容範囲に入っていないとき、その時系列情報を得た前記励磁パターン情報を前記時系列情報に基づいて修正し、
    前記期間において、前記チューン補正電磁石の励磁量を修正された前記励磁パターン情報に基づいて制御すると共に、前記荷電粒子ビームのチューンを再度測定し、
    再度測定された前記チューンの測定値の時系列情報が前記チューンの許容範囲に入っているとき、その時系列情報を得た前記修正された励磁パターン情報を、前記チューン補正電磁石の励磁量の制御に用いる励磁パターン情報とする請求項13に記載の励磁パターン情報を作成する方法。
  15. 前記チューン補正電磁石の励磁量の制御及び前記ビーム電流の測定を前記高周波加速装置の試運転の期間に行う請求項12に記載の励磁パターン情報を作成する方法。
  16. 前記チューン補正電磁石の励磁量の制御及び前記チューンの測定を前記高周波加速装置の試運転の期間に行う請求項13または請求項14に記載の励磁パターン情報を作成する方法。
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