JPH07111199A - 加速器とそのビーム出射方法並びに医療用装置 - Google Patents

加速器とそのビーム出射方法並びに医療用装置

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JPH07111199A
JPH07111199A JP19396294A JP19396294A JPH07111199A JP H07111199 A JPH07111199 A JP H07111199A JP 19396294 A JP19396294 A JP 19396294A JP 19396294 A JP19396294 A JP 19396294A JP H07111199 A JPH07111199 A JP H07111199A
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昌宏 田所
Junichi Hirota
淳一 廣田
Masatsugu Nishi
政嗣 西
Akira Noda
章 野田
Makoto Inoue
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Abstract

(57)【要約】 【目的】機器構成が簡単で且つ小型であり、しかも制御
が容易で良質な荷電粒子ビームを得ることができる加速
器とそれを用いた医療用装置を提供することにある。 【構成】偏向電磁石による偏向機能によって荷電粒子ビ
ームを周回させ、ベータトロン振動しながら周回する荷
電粒子ビームのチューンを4極磁場により所要値に設定
し、該所要値のチューンで周回する荷電粒子ビームに共
鳴を発生させてベータトロン振動振幅を安定限界を越え
て増大させ当該荷電粒子ビームを出射する円形加速器の
偏向電磁石として、周回する荷電粒子ビームを水平方向
に収束させ且つ垂直方向に発散させる4極磁場成分を発
生させる偏向電磁石と、周回する荷電粒子ビームを水平
方向に発散させ且つ垂直方向に収束させる4極磁場成分
を発生させる偏向電磁石とを用いる構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は荷電粒子ビームを周回さ
せながらエネルギーを高め出射させる加速器とこれを利
用した医療用装置に係り、特に、ビーム径が一定の良質
な荷電粒子ビームを容易に得るのに好適な小型の加速器
と医療用装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図2に示す従来の加速器では、荷電粒子
ビームを加速した後、出射・輸送し、物理実験や医療等
に利用してきた。前段加速器34から入射器15と入射
用パルス電磁石35を使って円形加速器内に取り込まれ
た荷電粒子ビ−ムは、真空ダクト10の中心のビ−ム中
心軌道1の回りをベータトロン振動しながら周回してい
る。このような周回形加速器を通常、円形加速器と呼ん
でいる。この荷電粒子ビームを円形加速器から出射する
ときは、収束4極電磁石5と発散4極電磁石6と共鳴発
生用多極電磁石9を用いてビームの水平面内のベータト
ロン振動に共鳴を発生させてベータトロン振動振幅を増
大させ、出射器4から荷電粒子ビームを取り出せる様に
している。
【0003】収束4極電磁石5は、水平方向に収束作用
を持つと共に垂直方向に発散作用を持つ。即ち、光学系
にすれば、水平方向には凸レンズに対応し、垂直方向に
は凹レンズに対応する。一方、発散4極電磁石6は、水
平方向に発散作用を持ち垂直方向に収束作用を持つ。即
ち、光学系にすれば、水平方向には凹レンズに対応し、
垂直方向には凸レンズに対応する。また、共鳴が発生し
た粒子は、ベータトロン振動振幅が増加するが、その
際、真空ダクト10に衝突することなく出射器4から出
射されるように、出射用バンプ電磁石61,62が使用
されている。
【0004】ベータトロン振動の共鳴は、エー・アイー
・ピー・コンファランス・プロシーディングズNo.1
27(1983年)(AIP Conference Proceedings)の
第53頁から第61頁において論じられている。これ
は、次のような現象である。荷電粒子は、水平方向及び
垂直方向に振動しながら周回する。これをベータトロン
振動という。ベータトロン振動の周回軌道一周あたりの
振動数をチューンという。チューンを〔整数+1/3〕
もしくは〔整数+2/3〕に近付けるかあるいは〔整数
+1/2〕に近づけると同時に、周回軌道上に設けられ
た共鳴発生用多重極磁場を励磁すると、多数周回してい
る荷電粒子のうち、ある一定以上のベータトロン振動振
幅を持つ荷電粒子の振幅が急激に増加する。この現象を
ベータトロン振動の共鳴という。チューンを〔整数+1
/2〕に近付けた時の共鳴を2次共鳴、チューンを〔整
数+1/3〕または〔整数+2/3〕に近付けた時の共
鳴を3次共鳴と呼ぶ。共鳴が発生する境界を安定限界と
呼び、その大きさは、共鳴発生用多極磁場とチューンの
少数部の値により変化する。チューンの値は、4極磁場
の強度により決まる。
【0005】以下では、チューンを〔整数+1/3〕に
近付ける3次共鳴の場合を例にとって説明する。共鳴の
安定限界の大きさは、チューンの〔整数+1/3〕から
の偏差が小さい程、共鳴発生用多極磁場の強度が大きい
程、小さくなる。そこで従来は、チューンをまず〔整数
+1/3〕に近付け、周回中の荷電粒子のうちベータト
ロン振動振幅が大きな荷電粒子に共鳴を発生させ、その
後、チュ−ンをさらに〔整数+1/3〕に近付けて安定
限界を小さくし、振動振幅が小さな荷電粒子にも共鳴を
発生させている。上記のチューンの制御は、周回軌道上
に設けられた4極電磁石5,6の磁場強度、即ち、4極
電磁石5,6に流す電流を制御することにより行われて
いる。
【0006】ベータトロン振動に共鳴が発生した粒子
は、周回ごとに振動振幅が増加し、真空ダクト10の内
壁と粒子との距離が減小する。そこで、真空ダクト内壁
と衝突する前にビームを出射器4から取り出せるよう
に、出射用バンプ電磁石61,62を用いて、振動する
ビ−ムの中心軌道1を出射前に局所的に出射器4側へ寄
せる。バンプ電磁石により局所的に移動させた軌道をバ
ンプ軌道とよぶ。図3は、バンプ電磁石61,62の間
を直線的に示したときのバンプ軌道11を示す図であ
る。図3の20は、出射器4の電極であり、共鳴により
振動振幅が増加した粒子は、電極20の間から外部へ出
射される。図2、図3では、出射用バンプ電磁石は2台
使用しているが、4〜5台使用されることもある。バン
プ軌道11は、出射器4から出射される軌道の位置を一
定にするために、出射過程で移動させており、そのた
め、複数のバンプ電磁石は、出射過程で磁場強度を変化
させていた。
【0007】一方、従来技術には、チューン一定、即
ち、4極電磁石5,6の磁場強度を一定とし、ベータト
ロン振動振幅を増加させて共鳴を発生させる方法があ
る。この場合の機器構成を、図4に示す。図2と異なる
点は、後述する高周波印加装置14を使用する点であ
り、Nuclear Instruments & Methods in PhysicsResear
ch vol A322 pp154−160 K. Hiramoto and M. Nishi
“Resonant BeamExtraction Scheme with Constant Sep
aratrix”に記載されているように、チュ−ンを一定、
即ち、4極電磁石5,6の励磁量を一定に制御し、ま
た、共鳴励起用多極電磁石9を励磁し、更に高周波印加
装置14を用いて高周波をビームに印加して、ベータト
ロン振動振幅を増加させて共鳴を発生させることで、径
の小さなビームを出射させている。この出射のとき、図
2,図3の従来技術と同様に、バンプ電磁石を励磁し、
バンプ軌道を作っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術は、次
のような問題点が有る。
【0009】第1の問題点は、4極電磁石を多数設置す
るために加速器が大型化することである。
【0010】第2の問題点は、多数の4極電磁石を制御
する必要があるため、制御が複雑化することである。
【0011】第3の問題点は、出射ビ−ムの軌道の変化
を補正するためのバンプ電磁石を設置する必要があり、
更に加速器が大型化し、しかも、出射過程でのバンプ電
磁石の連携制御が複雑化してしまうことである。
【0012】本発明の目的は、機器構成が簡単で且つ小
型であり、しかも制御が容易で良質な荷電粒子ビームを
得ることができる加速器とそれを用いた医療用装置を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は、荷電粒子ビ
ームを加速する高周波加速空胴と,前記荷電粒子ビーム
のベータトロン振動振幅を増加させることにより安定限
界を越えさせる高周波印加装置と,該安定限界を越えた
荷電粒子ビームのベータトロン振動に共鳴を発生させる
多極電磁石と,前記荷電粒子ビームを水平方向に収束さ
せ且つ垂直方向に発散させると共に該荷電粒子ビームの
偏向も行う第1偏向電磁石と,前記荷電粒子ビームを水
平方向に発散させ且つ垂直方向に収束させると共に該荷
電粒子ビームの偏向も行う第2偏向電磁石とを備えるこ
とで達成される。
【0014】また、荷電粒子ビームを加速する高周波加
速空胴と,前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅
を増加させることにより安定限界を越えさせる高周波印
加装置と,該安定限界を越えた荷電粒子ビームのベータ
トロン振動に共鳴を発生させると共に該荷電粒子ビーム
の偏向も行う第1偏向電磁石と,前記荷電粒子ビームを
水平方向に収束させ且つ垂直方向に発散させると共に該
荷電粒子ビームの偏向も行う第2偏向電磁石と,前記荷
電粒子ビームを水平方向に発散させ且つ垂直方向に収束
させると共に該荷電粒子ビームの偏向も行う第3偏向電
磁石とを備えることで達成される。
【0015】また、荷電粒子ビームを加速する高周波加
速空胴と,前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅
を増加させることにより安定限界を越えさせる高周波印
加装置と,該安定限界を越えた荷電粒子ビームのベータ
トロン振動に共鳴を発生させる多極電磁石と,前記荷電
粒子ビームを水平方向及び垂直方向に収束させると共に
該荷電粒子ビームの偏向も行う偏向電磁石と,前記荷電
粒子ビームの水平方向チューンを変える4極電磁石とを
備えることで達成される。
【0016】
【作用】荷電粒子ビームは、加速器の真空ダクト内をそ
の中心軌道に沿って周回するのではなく、その中心軌道
の周囲を水平方向・垂直方向にベータトロン振動しなが
ら周回しており、出射させるときはこのベータトロン振
動の共鳴現象を利用して出射させる。本発明では、荷電
粒子ビームを水平方向,垂直方向において収束,発散さ
せる4極電磁石の機能を偏向電磁石に併せ持たせたこと
により、この機能を果たす4極電磁石が不要になる分だ
け装置が小型化し、制御が容易になる。また、高周波印
加装置で荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加
させて安定限界を越えさせることにより、荷電粒子ビー
ムの出射軌道を安定化できるので、ビームの径変化や位
置変化が小さい良質のビームを出射することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。
【0018】図1は、本発明の一実施例に係る円形加速
器の構成図である。本実施例に係る円形加速器は、前段
加速器34から出射されビーム輸送系を通ってくる荷電
粒子ビームを円形加速器内に取り込む入射器15及び入
射用パルス電磁石35と、円形加速器内を周回する荷電
粒子ビ−ムを加速する高周波加速空胴8と、収束4極電
磁石機能付き偏向電磁石2と、発散4極電磁石機能付き
偏向電磁石3と、共鳴の安定限界を発生させる多極電磁
石9と、荷電粒子ビ−ムのベータトロン振動振幅を増加
して共鳴の安定限界を越えさせるために使用する高周波
印加装置14と、出射器4で構成し、従来の加速器で使
用していた出射用バンプ電磁石(図2の61,62)
と、4極電磁石単体(図2の5,6)は使用しない。
【0019】高周波印加装置14は、ビ−ムのベータト
ロン振動振幅を増加させ、共鳴の安定限界を越えさせる
ことにより、ベータトロン振動に共鳴を発生させる。こ
の共鳴を発生させるとき、従来は、多数設置した4極電
磁石の強度を一定に制御することで安定限界を一定に保
っていた。しかし、本実施例では4極電磁石を用いてい
ないので、偏向電磁石2,3により安定限界を一定に保
たせる。このため、本実施例の偏向電磁石は、その磁極
形状を選定して、偏向用の2極磁場だけでなく4極(あ
るいはそれ以上の)磁場を発生させる構成とし、偏向電
磁石2,3の励磁により適切な4極磁場を発生させてい
る。即ち、適切なチューンになるように偏向電磁石2,
3の磁極形状を選定し、目標エネルギまで加速するよう
に偏向電磁石2,3の電流を増加すれば、加速終了段階
で、自動的に出射に必要なチュ−ンになる。尚、本実施
例の共鳴に必要な多極磁場は、これも偏向電磁石で発生
させる構成とすることが可能であり、また、独立に設置
した電磁石(図1の多極電磁石9)で発生させる構成と
することも可能である。
【0020】このように、本実施例では、偏向電磁石
2,3で適切な4極磁場を発生させる構成としているの
で、従来は多数設置ししかもその制御が複雑であった4
極電磁石が省略できる。その結果、加速器の小型化を図
ることができ、加速器の周長をおよそ20mに低減でき
るほか、運転の簡単化を図ることができる。本実施例の
ように、ビームを加速したのち出射する加速器では、直
線部の最大長さは図3に示すように、4極電磁石5,6
と出射器4の長さで決まり、従来はおよそ3m以上の長
さが必要であった。しかし、本実施例では、前述のよう
に4極電磁石を省略できるので、直線部を2m以下に抑
えることができ、加速器の小型化が図れる。その結果、
加速器全体も小型となり、周長をおよそ20m以下に低
減できると共に、運転も簡単になる。
【0021】図5は、4極磁場成分を発生させる発散4
極磁石機能付き偏向電磁石3の磁極及び磁極間ギャップ
Gの一部を示す図で、図1のV−V′断面を示してい
る。図5で、ビームは紙面裏側から表側へ向かって進
む。図5の101は磁極のギャップに面している部分
で、電磁石の曲率中心Cはx軸の負方向側にあり、x軸
の正方向側すなわち径方向外側に向かうに伴いギャップ
サイズが大きくなっている。曲率中心からの距離rの位
置でのギャップ幅yを、y0 を定数として次式のように
する。
【0022】
【数1】
【0023】ここで、ρは偏向電磁石の曲率半径で、図
5の曲率中心Cからx=y=0の原点Oまでの距離であ
る。
【0024】その結果、図5に示す磁場の方向から分か
るように、y=0の面では磁場はy方向成分のみであ
る。x方向の位置と垂直方向(y方向)磁場の関係はほ
ぼ1次式で表わすことができ、4極磁場が発生される。
垂直方向(y方向)の磁場は、径方向外側ほど弱くな
る。その結果、x=0の位置を通るビームに比べて径方
向位置が外側のビームは軌道の曲率半径が大きくなり、
x=0の位置のビームから離れる傾向になる。また、x
=0の位置より径方向内側にあるビームは、軌道の曲率
半径が小さくなり、x=0の位置のビームから離れる傾
向になる。このようにして、水平方向(x方向)には発
散作用を有する。
【0025】次に、y=0の面から垂直方向に離れる
と、水平方向の磁場成分は直線的に増加する。但し、y
が正方向に離れる場合と、負方向に離れる場合では、水
平方向磁場の向きが逆転する。しかし、何れの場合でも
y=0の面に戻る力が働く。従って、垂直方向(y方
向)には収束作用を有する。これらの収束作用・発散作
用の強さは、ギャップGの変化、即ちnの大きさを適切
に選定することにより制御できる。
【0026】上記ではnが1以上の場合について説明し
たが、次に、nが1以下の場合について説明する。ま
ず、n<0の場合を説明する。n<0の場合、径方向外
側ほどギャップGの垂直方向の大きさは小さくなる。こ
の結果、径方向外側ほど垂直方向磁場は強くなり、水平
方向に収束作用を有する。一方、y=0の面から離れる
と水平方向磁場は強くなるが、n>1の場合と水平方向
磁場の向きが逆となるので、垂直方向に発散作用を有す
る。但し、n=0の場合は、垂直方向には収束作用も発
散作用も持たないが、水平方向には収束作用を有する。
【0027】上述したように、n<0で垂直方向に発散
作用を持ち、n=0では垂直方向に収束作用も発散作用
も持たないので、0<n<1の場合には垂直方向に収束
作用を持つようになる。しかし、水平方向については、
n<0でもn=0でも収束作用を持つので、0<nとな
ってもすぐには発散作用にならず、収束作用を持つ。こ
の結果、0<n<1では、水平方向・垂直方向共に収束
作用を持つようになる。
【0028】以上から、ギャップGの変化、即ちnの大
きさを適切に選定することにより、収束作用・発散作用
の強さを制御できることがわかる。
【0029】図6は発散4極電磁石機能付き偏向電磁石
3の部分断面積であり、磁極3Aに一対のコイル3Bが
巻かれ、磁極3A間にギャップが形成されている。
【0030】図1の円形加速器では、偏向電磁石2を上
記のnが負になるように構成し、ビームの軌道を偏向さ
せる本来の機能の他に、水平方向に収束作用を持つ4極
電磁石の機能を併せ持たせている。偏向電磁石3は、n
が1より大きくなるようにしたもので、ビームの軌道を
偏向させる本来の機能の他に、水平方向に発散作用,垂
直方向に収束作用を持つ4極電磁石の機能を持たせてい
る。
【0031】次に、本実施例では従来使用していたバン
プ電磁石を省略でき、更に小型化できる点について説明
する。座標系を、図1に示すように、ビーム周回方向を
s,水平方向をxとし、xは、真空ダクト中心を0と
し、径方向外側を正とする。
【0032】以下では3次の共鳴を例にとり、ビームを
水平方向から取り出す場合について説明する。
【0033】偏向電磁石2,3各々で必要な4極磁場成
分を発生させて、水平方向チューンを〔整数±1/3〕
に近い値に設定しておき、同時に、共鳴発生に必要な多
極磁場を図1の電磁石9で発生させると、共鳴の安定限
界は一定となっている。図1の出射器4が設置されてい
るs方向位置をso とし、s=so におけるビームの周
回毎のxとdx/dsの関係(位相空間)を図7に示
す。図7に示す破線が、位相空間における安定限界を示
している。ベータトロン振動振幅が安定限界以上になる
と、共鳴により、一周毎に振動振幅が急激に増加する。
振動振幅が増加すると真空ダクトに衝突する荷電粒子が
増える。そこで、真空ダクトに衝突する前に出射器4か
ら荷電粒子を取り出せる様に、本実施例では、出射前に
偏向電磁石により加速器一周にわたりビームの中心軌道
を、図1の符号1で示す軌道から出射器4側に寄せてお
く。この移動したビーム中心軌道を図1の符号11で示
す。この状態における図1のs=s0 の位相空間を図8
に示す。図8の20は出射器4の2枚の電極で、200
は真空ダクト壁を示す。尚、同図では、xが負の対称位
置に存在する真空ダクト壁は省略している。ビーム中心
軌道の移動に伴い、同じs=s0 での位相空間を示した
図7と比較して、安定限界の中心が出射器4の2枚の電
極20に近づく。ビーム中心軌道を移動させた後、高周
波ノイズをビームに印加すると、その結果、ベータトロ
ン振動の振幅が増加し、初期の振動振幅の大きな粒子か
ら順次、安定限界を越える。図8中に示す番号は周回数
を示しており、3周毎にほぼ等しい変位となるが、安定
限界を越えた粒子は徐々に振動振幅が増加し、出射器4
の電極20から軌道勾配dx/ds=Aで出射されるこ
とがわかる。安定限界を一定に保つことにより、出射軌
道勾配は一定になり、従来のバンプ電磁石を使用する必
要がなく、また、従来行っていた、出射過程で電磁石の
磁場強度を変えてビームの中心軌道位置を移動させるこ
とも不要になる。このように、バンプ電磁石を用いない
で、ビーム中心軌道を平均的に移動できるのは、多数の
4極電磁石を省略し、4極磁場を偏向電磁石で発生させ
ているからであり、図2の従来の加速器で、偏向電磁石
の強度のみを変えると、多数の4極電磁石での軌道勾配
変化の影響により、ビーム中心軌道は、平均的に出射器
側に寄らなくなる。その結果、出射前に真空ダクトに衝
突する粒子が増えて、ビーム損失がかえって増加する。
従って、バンプ電磁石を出射時に使わざるを得ない構成
になっている。しかし、本発明実施例のように、偏向電
磁石に4極磁場発生機能をもたせてチューンを一定に保
ち、即ち、共鳴の安定限界を一定に保ち、高周波により
ベータトロン振動振幅を増加させることにより、バンプ
電磁石を省略することが可能になる。
【0034】共鳴の安定限界内にある粒子のベータトロ
ン振動振幅を増加させるには、(1)ビームに時間的に
変動する電場または磁場を印加する、(2)出射ビーム
と異なる粒子を出射ビームと衝突させる、などの方法が
ある。
【0035】(1)の方法で磁場を用いる場合は、出射
する面が水平面の時は、垂直方向(y方向)に印加し、
出射面が垂直面の時は、水平方向(x方向)に印加し、
ビームの軌道勾配を繰り返し変化させる。磁場の時間変
化は、規則的,不規則のどちらでも良いが、その周波数
は、ベータトロン振動の周波数、即ち、チューンに周回
周波数をかけた周波数に近いことが望ましい。電場を印
加する場合は、ビームの周回方向即ちs方向に印加する
か、あるいは出射する面が水平面の時は、水平方向(x
方向)に印加し、出射面が垂直面の時は、垂直方向(y
方向)に印加する。ビームのs方向に電場を印加する
と、ビームのエネルギが変化する。ビームのエネルギが
変化すると、偏向電磁石部での軌道の曲率半径が変化す
るためベータトロン振動の中心軌道位置が変化し、結果
的にベータトロン振動の振幅が変化する。x方向又はy
方向に印加する場合は、磁場と同様に、ビームの軌道勾
配を変化させ、ベータトロン振動の振幅を拡大してい
く。電場の時間変化も、磁場の場合と全く同じである。
【0036】(2)の方法は、衝突により軌道勾配が代
わってベータトロン振動の振幅が増加する効果を用いる
もので、(1)の電磁場を用いる場合と同一原理であ
る。
【0037】以下、本発明の実施例を更に具体的に説明
する。
【0038】図1に示す円形加速器において、エネルギ
がおよそ20MeVのプロトンを入射し、100MeV
まで加速し、その後、出射する。6極電磁石9と、高周
波印加装置14と、出射器4は、ビームを目標エネルギ
まで加速した後の出射する過程でのみ使用する。
【0039】入射器15から入射されたビームは、周回
する過程で偏向電磁石2,3により軌道が曲げられる。
同時に、偏向電磁石2,3では、ビーム中心軌道1から
のずれに比例した力で軌道勾配が変えられる。偏向電磁
石2は、ビームを水平方向に収束するように軌道勾配を
変える働きを持ち、垂直方向にはビームを発散させる働
きをする。即ち、nインデックスが負の電磁石で、図9
に示す断面構造になっている。偏向電磁石3は、水平方
向にビームを発散させる方向に軌道勾配を変える働きを
し、垂直方向にはビームを収束させる働きをする。即
ち、nインデックスが正の電磁石で、図10に示す断面
構造になっている。これらの偏向電磁石の働きにより、
ビームは軌道1のまわりをベータトロン振動しながら周
回し、ベータトロン振動の振動数は、偏向電磁石2,3
の4極磁場成分の強度、即ち、nインデックスの大きさ
により決まる。本実施例では水平方向チューンνxを1.
70、垂直方向チューンνyを0.75 になるように偏向
電磁石2,3のnインデックス、即ち、磁極形状を設定
しておく。この状態でビームは加速器内を安定に周回す
るが、その過程で高周波加速空胴8からビームが周回す
る周波数の高周波エネルギをビームに加える。高周波加
速空胴8からビームにエネルギを与えながら偏向電磁石
2及び3の電流を増加させる。偏向電磁石の電流を増加
させると、2極磁場と4極磁場は、一定の比を保ちなが
ら増加し、チューン一定で高エネルギまで加速できる。
【0040】図11は、目標エネルギまで加速した荷電
粒子を出射する運転手順を示すフローチャートである。
まずステップS1で、高周波加速空胴8からビームへ与
えていたエネルギ付与を停止する。次にステップS2
で、6極電磁石9に共鳴励起のための電流を流す。ステ
ップS3では、偏向電磁石の強度を若干減少させ、ビー
ムの中心軌道を図1の破線11で示すように加速器1周
にわたって出射器側に寄せる。出射器が加速器の内側に
ある場合は、偏向電磁石の強度を逆に、わずかに強め、
ビーム中心軌道を内側に移動させる。この時の出射位置
s=s0 での位相空間(x,dx/ds)上の軌跡が図
8である。図8の破線で囲まれた三角形PQRが安定限
界であり、粒子の位相空間上の軌跡は、大きさが異なる
相似形の三角形状になる。6極電磁石9に流す電流は、
周回中のビームでベータトロン振動振幅が大きい粒子が
安定限界内におさまる程度の値にしておくが、その値は
予め計算で求めるか、出射の運転の繰り返しを通じて求
める。
【0041】次のステップS4では、円形加速器の高周
波印加装置14より、不規則な時間変化をする高周波、
即ち、高周波ノイズを荷電粒子ビームに印加する。図1
2に、高周波印加装置14の構造を示す。電極25,2
6は、棒状電極で、水平方向に対向させて時間変化信号
を印加する。棒状電極25,26に符号が逆の電流を電
源24から流すと、図12に示す方向の磁場と電場が荷
電粒子ビームに加わる。負荷抵抗23は、印加した電流
が電極端部から電源側に反射しないように両電極を接続
している。ビームの軌道勾配が電場,磁場の効果で変化
し、図8に示す位相空間内のビームのベータトロン振動
の振幅が増加し始め、安定限界を越えた粒子は、共鳴に
よりベータトロン振動の振幅が急激に増加して出射器4
の2枚の電極20間に到り、ここから出射される。その
後も電極25,26に不規則信号を加えると、各粒子の
ベータトロン振動の振幅は増加していき、初期のベータ
トロン振動の振幅が小さな粒子も図8の安定限界を越
え、出射器4から出射される(ステップS5)。図8の
位相空間で安定限界は一定であり、出射ビームの軌道勾
配dx/dsも出射過程で一定値Aに保たれる。
【0042】ビームのベータトロン振動を増加させる高
周波は、ベータトロン振動の周波数を含んでいることが
望ましい。ベータトロン振動の基本周波数は、周回周波
数とチューンの小数部の積になる。一方、周回している
ビームには、運動量が設計値からずれている粒子も含ま
れており、これらの粒子のチューンは、設計値からずれ
る。また、多極電磁石を励磁すると、ベータトロン振動
振幅の大きな粒子のチューンは、振動振幅の小さな粒子
のチューンからずれてくる。従って、図12の高周波源
24は、frを周回周波数として、およそ周波数0.7fr
を中心に±0.05fr程度の幅を持つ周波数スペクトルにな
るようにする。また、mを正整数として(m+0.7
0)fr を中心に、上記と同様の幅を持たせても、同様
の出射が実現できる。
【0043】このようにして、安定限界を一定にして出
射することにより、出射用のバンプ電磁石を用いること
なく、また、出射過程で偏向電磁石の出射器の強度を変
えることなく、軌道勾配一定の出射が実現でき、ビーム
径の小さな良質の荷電粒子ビームを治療室(あるいは実
験室)33へ輸送できる。また、安定限界の大きさの変
化は、およそ20%以下であれば、出射ビームの軌道勾
配の変化はわずかであり、安定限界一定の場合と実質的
差異はない。安定限界の大きさはチューンの小数部(本
実施例では0.70 )と2/3もしくは1/3の差(2
次共鳴の場合は、チューン小数部と0.5の差)に比例
するため、チューンの変化をおよそ0.005以下に保て
ば、安定限界の変化をおよそ20%以下に抑さえること
ができる、上記と同様の出射が可能である。
【0044】図13は、本発明の第2実施例に係る円形
加速器の構成図である。この第2実施例では、図1の第
1実施例と異なり、偏向電磁石を1種類のみとする。本
実施例で用いる偏向電磁石12は、径方向外側に磁極間
隔が広がる構造をしており、nインデックスは正であ
る。第1実施例で説明したように、径方向外側ほど磁極
間ギャップが広がるタイプの偏向電磁石は、垂直方向に
ビーム収束作用を有する。また、ギャップの変化を緩や
かにして、nインデックスが0から1の範囲内にあるよ
うにすると、水平方向にも収束作用を有する。そこで、
第2実施例では、偏向電磁石12として、nが0から1
の範囲にあり、水平方向・垂直方向の何れについても収
束作用を持つ1種類のものを用いる。具体的には、磁極
間ギャップを水平方向チューン,垂直方向チューンとも
0.75 となるようにする。また、本実施例では、4極
電磁石13を一台設置し、これを用いて、出射前に水平
方向チューンを0.75から0.70まで移動させる。本
実施例では、移動後のチューンの値を0.70 としてい
るが、これはチューンの小数部の1/3,2/3あるい
は1/2からの偏差がおよそ0.05 以下であればよ
い。入射器15からビームを入射したのち、高周波加速
空胴8から高周波エネルギを荷電粒子ビームに加えなが
ら偏向電磁石12の強度を増加させることにより、ビー
ムを必要エネルギまで加速する。この間、チューンは一
定に保たれる。必要エネルギに到達したのちの運転手順
を示すフローチャートが図14である。
【0045】必要エネルギに達した後、ステップS11
に示すように、高周波エネルギの供給を停止し、その
後、ステップS12に示すように、4極電磁石13を使
用して水平方向チューンを0.70 に設定し、一定に保
つ。ステップS13では、共鳴励起用6極電磁石9を励
磁し、共鳴の安定限界が、周回しているビームのベータ
トロン振動振幅より大きくなるように設定する。次のス
テップS14では、偏向電磁石12の強度を減少させ
て、ビーム中心軌道を一周にわたって出射器4側に寄せ
る。このようにした後、電磁石強度を一定に保ったま
ま、高周波印加装置14からベータトロン振動の振幅を
増加させるための高周波をビームに加えると(ステップ
S15)、ステップS16で荷電粒子ビームが出射器4
から出射される。
【0046】本実施例では、単一周波数の交流信号源を
用いて、周波数がfの交流信号を印加する。周波数f
は、ビームが周回する周波数と出射時のチューンの小数
部、即ち、0.7 との積に等しい値とする。このような
周波数の信号を加えると、電極から加えられる外部信号
の周期とベータトロン振動の周期が概ね一致し、この結
果、共鳴の安定限界内の粒子のベータトロン振動の振幅
が増加して安定限界を越え、第1実施例と同様に出射さ
れる。ただし、第1実施例で述べたように、ビームに
は、チューンが設計値からずれた粒子も含まれており、
ベータトロン振動と印加高周波が十分には同期しないた
めに、ベータトロン振動振幅の増加速度が低下する場合
がある。この場合には、印加高周波の強度を十分大きく
しておくことにより、高い効率で出射できる。また、高
周波印加装置14から高周波を印加する場合を述べた
が、前述したように、他粒子との衝突を利用してもベー
タトロン振動振幅を増加できる。例えば、中性ガスを出
射時のみ注入すれば、同様の出射が実現できる。
【0047】尚、第1,第2実施例で述べた加速器は、
癌治療等の医療用装置に適用できる。この場合、出射器
4から出射されたビームを、ビーム輸送系32を通じて
治療室に輸送し、患者の治療を行う。本実施例の円形加
速器を使用することで、勾配一定でビームを出射でき、
ビーム径や位置変化が小さい医療に適した良質のビーム
を得ることが可能である。ベータトロン振動振幅を増加
させるためにビームに加える高周波強度を制御すること
により、医療に必要なビームの量を制御することができ
る。この高周波強度の制御は、あらかじめ時間変化パタ
ーンを定めておき、出射過程でのビームを測定し、所望
値と比較して時間変化パターンを最適値に近づけ、ある
いは、実時間でフィードバックをかける等により行う。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、運転が簡単な小型の加
速器で、ビームの径変化及び位置変化が小さな良質のビ
ームを出射できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る円形加速器の平面構
成図である。
【図2】従来の円形加速器の平面構成図である。
【図3】従来の円形加速器におけるバンプ軌道を示す図
である。
【図4】従来の円形加速器の別の例を示す平面構成図で
ある。
【図5】第1実施例における偏向電磁石で4極磁場成分
を発生する構成の説明図である。
【図6】第1実施例における偏向電磁石で4極磁場成分
を発生する構成を説明する斜視図である。
【図7】第1実施例における共鳴の安定限界内で周回す
る荷電粒子ビームの位相空間を示す図である。
【図8】共鳴が発生した荷電粒子ビームと共鳴の安定限
界内で周回する荷電粒子ビームの位相空間を示す図であ
る。
【図9】図1に示す偏向電磁石の断面図である。
【図10】図1に示す偏向電磁石の断面図である。
【図11】第1実施例の出射時の運転手順を示すフロー
チャートである。
【図12】第1実施例の高周波印加装置の構成図であ
る。
【図13】本発明の第2実施例に係る円形加速器の平面
構成図である。
【図14】第2実施例の出射時の運転手順を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
1…ビーム中心軌道、2…収束4極電磁石機能付き偏向
電磁石、3…発散4極電磁石機能付き偏向電磁石、4…
出射器、5…収束4極電磁石、6…発散4極電磁石、8
…高周波加速空胴、9…共鳴励起用電磁石、10…真空
ダクト、11…出射のために移動したビーム中心軌道
(バンプ軌道)、12…0<n<1の偏向電磁石、13
…チューン設定用4極電磁石、14…高周波印加装置、
15…入射器、20…出射器電極、22…真空ダクト、
23…負荷抵抗、24…高周波源、25,26…棒状電
極、31…4極磁場のない偏向電磁石、32…ビーム輸
送系、33…治療室あるいは物理実験室、34…前段加
速器、35…入射用パルス電磁石、61,62…出射用
バンプ電磁石、101,102…磁極面、103…コイ
ル、104…ギャップ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西 政嗣 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 野田 章 京都府京都市右京区東奉行町伏見合同宿舎 143 (72)発明者 井上 信 京都府京都市右京区西院西田町30ロイヤル シャトー葛野702

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】荷電粒子ビームを加速する高周波加速空胴
    と,前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加
    させることにより安定限界を越えさせる高周波印加装置
    と,該安定限界を越えた荷電粒子ビームのベータトロン
    振動に共鳴を発生させる多極電磁石と,前記荷電粒子ビ
    ームを水平方向に収束させ且つ垂直方向に発散させると
    共に該荷電粒子ビームの偏向も行う第1偏向電磁石と,
    前記荷電粒子ビームを水平方向に発散させ且つ垂直方向
    に収束させると共に該荷電粒子ビームの偏向も行う第2
    偏向電磁石とを備えることを特徴とする加速器。
  2. 【請求項2】荷電粒子ビームを加速する高周波加速空胴
    と,前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加
    させることにより安定限界を越えさせる高周波印加装置
    と,該安定限界を越えた荷電粒子ビームのベータトロン
    振動に共鳴を発生させると共に該荷電粒子ビームの偏向
    も行う第1偏向電磁石と,前記荷電粒子ビームを水平方
    向に収束させ且つ垂直方向に発散させると共に該荷電粒
    子ビームの偏向も行う第2偏向電磁石と,前記荷電粒子
    ビームを水平方向に発散させ且つ垂直方向に収束させる
    と共に該荷電粒子ビームの偏向も行う第3偏向電磁石と
    を備えることを特徴とする加速器。
  3. 【請求項3】荷電粒子ビームを加速する高周波加速空胴
    と,前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加
    させることにより安定限界を越えさせる高周波印加装置
    と,該安定限界を越えた荷電粒子ビームのベータトロン
    振動に共鳴を発生させる多極電磁石と,前記荷電粒子ビ
    ームを水平方向及び垂直方向に収束させると共に該荷電
    粒子ビームの偏向も行う偏向電磁石と,前記荷電粒子ビ
    ームの水平方向チューンを変える4極電磁石とを備える
    ことを特徴とする加速器。
  4. 【請求項4】請求項3において、 前記偏向電磁石は、周回する荷電粒子ビームを水平方向
    及び垂直方向に収束させる磁場成分を発生し、且つ該荷
    電粒子ビームの水平方向チューン及び垂直方向チューン
    を共に所定値にし、 前記4極電磁石は、出射前に前記荷電粒子ビームの水平
    方向チューンを前記所定値より若干変化させることを特
    徴とする加速器。
  5. 【請求項5】請求項3において、前記4極電磁石で変化
    させた水平方向チューンはその小数部と1/3,2/
    3,1/2の何れかとの差が0.05 以下であることを
    特徴とする加速器。
  6. 【請求項6】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、ベ
    ータトロン振動を共鳴状態にして前記荷電粒子ビームを
    出射用デフレクタから出射する出射装置を備える加速器
    において、 前記電磁石のうち偏向電磁石を、2極磁場成分と4極以
    上の多重極磁場成分を発生する電磁石とし、該偏向電磁
    石の4極磁場成分と、該偏向電磁石による多極磁場とで
    共鳴の安定限界を発生させ、前記ベータトロン振動の振
    幅を増加させて共鳴の安定限界を越えさせることにより
    共鳴を励起し、ビ−ムを出射させることを特徴とする加
    速器。
  7. 【請求項7】荷電粒子ビームを周回させる電磁石と、ベ
    ータトロン振動を共鳴状態にして前記荷電粒子ビームを
    出射用デフレクタから出射する出射装置を備える加速器
    において、 前記電磁石のうち偏向電磁石を、2極磁場成分と4極以
    上の多重極磁場成分を発生する電磁石とし、該偏向電磁
    石による多極磁場と4極電磁石で発生させる4極磁場と
    で共鳴の安定限界を発生させ、前記ベータトロン振動の
    振幅を増加させて共鳴の安定限界を越えさせることによ
    り共鳴を励起し、ビ−ムを出射させることを特徴とする
    加速器。
  8. 【請求項8】請求項1において、共鳴が発生する安定限
    界値の変化を、出射開始時の安定限界値の20%以下と
    することを特徴とする加速器。
  9. 【請求項9】請求項1において、出射中における前記荷
    電粒子ビームのチュ−ンの変化を、0.005 以下とす
    ることを特徴とする加速器。
  10. 【請求項10】請求項1において、周波数が単一もしく
    は多周波成分を持つ高周波によりベータトロン振動振幅
    を増加させ、共鳴を励起することを特徴とする加速器。
  11. 【請求項11】請求項1において、加速終了後、出射前
    に前記荷電粒子ビームの中心軌道を偏向電磁石により出
    射器側に移動することを特徴とする加速器。
  12. 【請求項12】請求項11において、ビーム出射中の偏
    向電磁石及び出射用偏向器の強度変化が1%以下である
    ことを特徴とする加速器。
  13. 【請求項13】請求項1において、ベータトロン振動振
    幅の増加速度を変えてビ−ムを制御することを特徴とす
    る加速器。
  14. 【請求項14】加速器をベータトロン振動しながら周回
    する荷電粒子ビームのチューンを第1の4極電磁石機能
    付き偏向電磁石及び第2の4極電磁石機能付き偏向電磁
    石を用いて所定値とし、該所定値のチューンで周回する
    前記荷電粒子ビームをエネルギー付与手段を用いて目標
    エネルギーまで加速した後、該荷電粒子ビームに共鳴を
    発生させて出射する荷電粒子ビーム出射方法において、 前記エネルギー付与手段のエネルギー付与動作を停止す
    る段階と、前記第1及び第2の4極電磁石機能付き偏向
    電磁石の強度を制御して前記荷電粒子ビームの中心軌道
    を出射器側に移動させる段階と、前記荷電粒子ビームに
    共鳴を発生させるために高周波信号を印加する段階とを
    備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム出射方法。
  15. 【請求項15】請求項14において、前記高周波信号が
    高周波ノイズであることを特徴とする荷電粒子ビーム出
    射方法。
  16. 【請求項16】請求項14において、前記高周波信号が
    単一周波数であることを特徴とする荷電粒子ビーム出射
    方法。
  17. 【請求項17】荷電粒子ビームにより治療を行う治療室
    と、請求項1乃至3の何れかに記載の加速器と、該加速
    器から出射された荷電粒子ビームを前記治療室に輸送す
    る輸送系とを備えることを特徴とする医療用装置。
  18. 【請求項18】偏向電磁石による偏向機能によって荷電
    粒子ビームを周回させ、該荷電粒子ビームのベータトロ
    ン振動に共鳴を発生させて出射する加速器であって、出
    射器が設置されている直線部の長さが2m以下であるこ
    とを特徴とする加速器。
  19. 【請求項19】偏向電磁石による偏向機能によって荷電
    粒子ビームを周回させ、該荷電粒子ビームのベータトロ
    ン振動に共鳴を発生させて出射する加速器であって、周
    長が20m以下であることを特徴とする加速器。
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