JP2002075698A - 高周波加速装置及び環状型加速器 - Google Patents

高周波加速装置及び環状型加速器

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JP2002075698A JP2000261753A JP2000261753A JP2002075698A JP 2002075698 A JP2002075698 A JP 2002075698A JP 2000261753 A JP2000261753 A JP 2000261753A JP 2000261753 A JP2000261753 A JP 2000261753A JP 2002075698 A JP2002075698 A JP 2002075698A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】空間電荷効果が問題となる大強度で低エネルギ
ーのイオンビームを環状型加速器で効率良く捕獲し安定
に加速するための高周波加速装置を提供する。 【解決手段】基本波信号と高調波信号を発生する発振器
1、振幅と位相を制御する振幅調整器2と位相調整器
3、その出力信号を増幅する電力増幅器5、加速電圧を
発生する広帯域動作の加速空胴6、加速電圧を検出する
電圧モニタ7、その出力信号を各周波数成分に分離する
分波器8a、分波用高周波信号を生成する信号変換器1
4、各周波数成分の振幅と位相を検出する振幅検出器9
と位相検出器11、その出力信号を設定値と比較して振
幅調整器2と位相調整器3に制御信号を出力する比較器
10とから構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は荷電粒子ビームを捕
獲し加速する高周波加速装置及びそれを用いたシンクロ
トロンや蓄積リングのような環状型加速器に係わり、特
に、空間電荷効果が問題となる大強度で低エネルギーの
イオンビームを効率良く捕獲し安定に加速できる高周波
加速装置とそれを用いたシンクロトロンや蓄積リングの
ような環状型加速器に関する。
【0002】
【従来の技術】高周波加速装置及びそれを用いた環状型
加速器の動作原理について図17を用いて説明し、本発
明に係わる従来技術について説明する。
【0003】高周波線形加速器や静電加速器などの前段
加速器201からシンクロトロンへ入射したビームは、ま
ず、進行方向に一様連続なビームとして周回する。加速
空胴6に高周波電圧を印加すると進行方向の集束力によ
り、ビーム粒子は高周波電圧のある位相を中心とした安
定領域に集群(バンチ)する。入射直後はビーム粒子を
正味加速せず、進行方向の安定領域に捕獲する。これを
高周波捕獲という。
【0004】その後、バンチ重心が加速位相にずれるよ
うに高周波電圧の周波数(加速周波数)を上昇させ、周
回ビームのエネルギー増加とともに上昇する周回周波数
に同期して加速周波数を制御する。これらの制御は制御
装置208の指令に基づき実行される。
【0005】シンクロトロンを周回するビームは偏向電
磁石204で軌道を曲げられ、四極電磁石205で水平および
垂直方向に集束力を与えられる。ここで、加速中は周回
ビームのエネルギー増加とともに偏向電磁石204の励磁
を強め、ビーム中心軌道が設計軌道を維持するように制
御する。また、周回ビームに対して一定の集束力を与え
るために、四極電磁石205の励磁を偏向電磁石204の励磁
に比例して強める。ビーム粒子は設計軌道のまわりを水
平および垂直方向に振動しながら周回している。これら
をベータトロン振動といい、リング1周あたりの振動数
をそれぞれ水平および垂直チューンという。
【0006】なお、蓄積リングでは周回ビームをバンチ
状に高周波捕獲したまま正味加速を行わず、入射ビーム
を所望のビーム強度に達するまで蓄積する。したがっ
て、高周波電圧の周波数、偏向電磁石と四極電磁石の励
磁量が一定である点だけはシンクロトロンと異なる。
【0007】ところで、シンクロトロンや蓄積リングを
構成する偏向電磁石や四極電磁石には少なからず誤差磁
場や設置誤差が存在する。その結果、水平および垂直チ
ューンの組合せで決まる空間上にベータトロン振動が不
安定となる領域が存在する。四極電磁石の励磁量は、水
平および垂直チューンがその不安定領域からできるだけ
離れるように設定される。
【0008】ところが、空間電荷力で周回ビームに発散
力が作用するとチューンが低下する。これによりベータ
トロン振動が不安定化しビーム損失が生じる可能性があ
る。入射ビームのエネルギーが低い場合や周回ビームの
強度が大きい場合には問題となる。特に、入射ビームが
バンチしピーク電荷密度が高くなる高周波捕獲段階およ
び加速初期が深刻である。チューンの低下が0.25に
達すると、空間電荷の非線形発散力が励起する不安定性
で加速不能になると考えられている。
【0009】空間電荷効果の緩和方法の一つとして、周
回ビームに作用する加速電圧の波形を制御し、バンチ形
状を平坦化してピーク電荷密度を低減する方法が用いら
れる。その場合の高周波加速装置としては、基本波加速
電圧を発生する加速空胴以外に2倍高調波電圧を発生す
る加速空胴と3倍高調波電圧を発生する加速空胴をそれ
ぞれ別々に設け、環状型加速器に各種複数台の加速空胴
を設置している。このことは、例えば、A. Hofmann, 「B
unches with Local Elliptic Energy Distribution」(I
EEE, NS-26, No.3, 1979, p.3526)に記載されている。
【0010】そのような高周波加速装置では各周波数帯
域ごとに独立に高周波信号の制御が可能なため、フィー
ドバック制御により容易に高周波電圧の振幅や位相を制
御できる。しかし、必要な加速空胴や電力増幅器の台数
が増加してコスト高や環状型加速器の大型化を招くとい
う欠点を有する。
【0011】この欠点を解決するために、例えば、特開
平9−219300号公報に記載のごとく広帯域動作の加速空
胴を用い、1台の加速空胴に基本波加速電圧と同時に高
調波電圧を重畳する方法がある。広帯域動作の加速空胴
としては、特開平9−167699号公報に記載されているよ
うな装荷磁性体に新素材を用いた加速空胴が採用でき
る。
【0012】ところが、このような高周波加速装置では
高周波電圧の振幅や位相のフィードバック制御を実施す
る際、基本波からその高調波にわたる広帯域の信号処理
が不可欠となる。従来、この広帯域信号処理は困難と考
えられ、高周波電圧の振幅や位相はプレプログラミング
による調整が考えられてきている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】周回ビームの空間電荷
効果を緩和するために最適な加速電圧波形を図12に示
す。加速電圧波形に平坦部を生成しバンチビームに作用
する進行方向の集束力を弱め、バンチビームを進行方向
に引き伸ばして電荷密度を平坦化する。1台の加速空胴
に基本波加速電圧とその高調波電圧を印加する場合に
は、図12に示すような電圧波形を加速空胴に発生させ
る必要がある。
【0014】そのためには基本波加速電圧とその高調波
電圧の振幅と位相をそれぞれ2%以内及び2度以内の精
度で設定する必要がある。設定誤差が大きいとバンチビ
ームの電荷密度の平坦部が無くなり、ピーク電荷密度が
増加して空間電荷効果が緩和できなくなる。
【0015】上述の特開平9−219300号公報に記載の従
来技術(図16、図17参照)では、発振器1の出力信
号の振幅と位相を振幅調整器2と位相調整器3のプレプ
ログラミング制御208により調整し、基本波とその高調
波の合成信号を電力増幅器5で増幅したのち広帯域動作
の加速空胴6に供給している。
【0016】その場合、電力増幅器5での利得と遅延の
周波数特性、加速空胴6のインピーダンスの周波数特
性、さらには制御系に使用される回路素子の周波数特性
を考慮して振幅と位相をプレプログラミングする必要が
あり極めて多くの時間を要する作業になる。その上、一
度、最適値に設定した後でも、周囲温度による電力増幅
器5での利得や遅延の変化により、加速空胴6に印加す
べき最適な電圧波形が維持できなくなる。
【0017】また、周回ビームの強度が大きい場合に
は、バンチビームが加速空胴6に誘起する高周波電圧が
無視できず、周回ビームの強度が変化すると加速空胴の
電圧波形が変化する。特に、前段加速器201からの入射
ビームの強度が変化すると問題となる。なお、特開平9
−219300号公報にはビームモニタ13の検出信号に基づ
くフィードバック制御が示唆されてはいるが、加速空胴
6に発生する実際の電圧波形に基づきフィードバック制
御を実施しないかぎりは、振幅と位相の設定精度が悪く
所望の電圧波形を維持できないという問題点を有してい
る。
【0018】本発明の目的は、加速空胴に実際に発生す
る電圧波形から基本波電圧とその高調波電圧の振幅と位
相をそれぞれ高精度で検出し、その検出信号に基づき発
振器の出力信号の振幅と位相をフィードバック制御でき
る高周波加速装置、及びそれを用いた環状型加速器を提
供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、基本波
信号とその整数倍周波数の高調波信号の振幅と位相を調
整して加速空洞に加え、加速空洞に高周波電圧を発生さ
せるようにした高周波加速装置において、加速空胴に発
生した高周波電圧を基本波信号とその整数倍周波数の高
調波信号に分離して検出する分波手段を設け、分波手段
により分離して検出された基本波信号とその整数倍周波
数の高調波信号に基づき加速空胴に加える高周波電圧波
形をフィードバック制御することにある。
【0020】具体的に高周波加速装置は、加速周波数の
基本波信号とその整数倍の周波数の高調波信号を発生す
る発振器、その出力信号の振幅と位相を制御する振幅調
整器と位相調整器、その出力信号を増幅する電力増幅
器、増幅された高周波電力を入力し加速電圧を発生する
広帯域動作の加速空胴、加速空胴に発生した電圧波形を
検出する電圧モニタ、その出力信号を各周波数成分(基
本波信号と高調波信号)に分離する分波器、各周波数成
分の振幅と位相を検出する振幅検出器と位相検出器、そ
れらの出力信号を設定値と比較して振幅調整器と位相調
整器に制御信号を出力する比較器とから構成する。
【0021】さらに望ましくは、周回するバンチビーム
の電荷密度を検出するビームモニタ、その出力信号を各
周波数成分に分離する分波器とを設け、ビームモニタの
出力信号を位相検出器の位相基準信号に用いて、各周波
数成分ごとに加速電圧の位相を測定する(図13参
照)。
【0022】環状型加速器が蓄積リングや加速周波数の
変化が小さいシンクロトロンの場合、分波器として各周
波数成分ごとの帯域通過フィルタを用いた高周波加速装
置が適用できる。一方、環状型加速器が加速周波数の変
化が大きいシンクロトロンの場合、振幅と位相の検出精
度向上の観点から、各周波数成分の振幅と位相の情報を
維持したまま一定周波数の信号に変換する信号処理が必
要である。
【0023】分波器での信号処理にヘテロダイン方式を
用いる場合(図14参照)には、加速周波数と一定の関
係にある高周波信号が必要となる。この場合、発振器の
出力信号から分波用高周波信号を生成する周波数変換器
を設けてその出力信号を分波器に供給する高周波加速装
置、あるいは発振器自体で分波用高周波信号を発生し分
波器に供給する高周波加速装置が適用できる。
【0024】また、分波器での信号処理に複素信号処理
方式を用いる場合(図15参照)には、基本波と高調波
のそれぞれの周波数において互いに位相が90度ずれた
2信号が必要になる。この場合、発振器の出力信号から
分波用高周波信号を生成する90度分配器を設けてその
出力信号を分波器に供給する高周波加速装置、あるいは
発振器自体で分波用高周波信号を発生し分波器に供給す
る高周波加速装置が適用できる。なお、90度分配器
は、入力信号を同相及び90度ずれた2信号に分配して
出力する高周波機器である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関する実施例を説
明する。
【0026】(実施例1)図6に本発明の第1の実施例
である高周波加速装置の構成を示す。
【0027】図6において、高周波加速装置160は、基
本波信号及びその整数倍の周波数の高調波信号を発生す
る発振器1、発振器の出力信号の振幅と位相を制御する
振幅調整器2と位相調整器3、その複数の周波数の出力
信号を合成する合成器4、合成波信号を増幅する電力増
幅器5、電力増幅器の高周波電力を入力し高周波電圧を
発生する広帯域動作の加速空胴6、加速空胴に発生した
高周波電圧を検出する電圧モニタ7、電圧モニタの出力
信号を基本波信号及びその整数倍の周波数の高調波信号
に分離する分波器8a、分波器8aの出力信号の振幅と位
相を検出する振幅検出器9と位相検出器11、振幅検出
器と位相検出器の出力信号をそれぞれ設定値と比較して
振幅調整器2と位相調整器3に制御信号を出力する比較
器10とから構成される。
【0028】また、環状型加速器を周回する荷電粒子ビ
ームの電荷密度を検出するビームモニタ13、ビームモ
ニタの出力信号を基本波信号及びその整数倍の周波数の
高調波信号に分離する分波器8bとを設け、その分波器
8bの出力信号を位相検出器11の位相基準信号として
用いる。
【0029】分波器8a、8bで精度よく基本波信号及び
各高調波信号を分離するため、分波器8a、8bでの信号
処理にヘテロダイン検波方式あるいは複素信号処理方式
を用いる。信号変換器14では発振器1の出力信号から
分波器での信号処理に必要な高周波信号を生成し、分波
器8a、8bに出力する。
【0030】以下、ヘテロダイン検波方式と複素信号処
理方式について簡単に説明する。
【0031】ヘテロダイン検波方式では、信号変換器1
4として周波数変換器を用いる。例えば、加速周波数の
基本波信号が0.5−5MHz、2倍高調波信号が1−1
0MHz、3倍高調波信号が1.5−15MHzの場合を
想定する。分波器8a、8bでの信号処理で各周波数帯域
の高周波信号を一定周波数50MHzに変換する場合、
周波数変換器14ではそれぞれ50MHzだけずれた周
波数である50.5−55MHz、51−60MHz、5
1.5−65MHzの高周波信号を生成する必要がある。
【0032】電圧モニタ7から分波器8aへの入力信号
はこれらの高周波信号とのミキシングで、それぞれ分離
した50MHzの高周波信号に変換できる(図14参
照)。50MHzの各高周波信号はそれぞれ電圧モニタ
での検出信号の基本波信号、2倍高調波信号、3倍高調
波信号の振幅と位相の情報を有している。
【0033】一定周波数の高周波信号に変換した後の信
号処理は容易であり、同期検波方式や包絡線検波方式を
用いた振幅検出器9でそれそれの振幅を検出できる。ま
た、バンチビームに対する加速電圧の位相を検出するた
め、ビームモニタ信号を同様に分波器8bで信号処理
し、位相検出器11では各周波数成分ごとに(電圧モニ
タ信号の位相)−(ビームモニタ信号の位相)を演算す
る。
【0034】一方、複素信号処理方式では、発振器1の
出力信号を入力しその位相に対して同相及び90度だけ
ずれた位相の2つの高周波信号に分配する90度分配器
14を設け、その90度分配器の出力信号を分波器8で
の信号処理に用いる。すなわち、図15に示すように、
基本波と高調波のそれぞれの周波数において互いに位相
が90度ずれた2信号が必要になる。図6では簡略化の
ため各周波数成分ごとに1本の信号線で示しているが、
実際は互いに位相が90度ずれた2信号が90度分配器
14から分波器8に伝送される。
【0035】電圧モニタ7から分波器8aへの入力信号
は互いに位相が90度ずれた2信号とのミキシングで、
各周波数成分ごとに正弦波成分と余弦波成分に直交分解
できる。直交分解された2信号の絶対値(各振幅値の2
乗和の平方根)はその周波数成分の振幅を表し、振幅検
出器9では各周波数成分ごとに上記演算を実施する。一
方、直交分解された2信号の振幅値の比はその周波数成
分の位相を表す。バンチビームに対する加速電圧の位相
を検出するため、ビームモニタ信号を同様に分波器8b
で信号処理し、位相検出器11では各周波数成分ごとに
(電圧モニタ信号の位相)−(ビームモニタ信号の位
相)を演算する。
【0036】次に、加速電圧の振幅と位相に関するフィ
ードバック制御について、図18を用いて原理を説明す
る。なお、基本波成分と複数の高調波成分が本発明の分
波器で完全に分離でき、それぞれ独立に制御可能なの
で、図18では一周波数成分についてのみ概念を示して
いる。
【0037】比較器10の振幅と位相の設定値は、加速
空胴に発生する電圧の振幅と位相がそれぞれ設計値と一
致するように与えられる。図18(a)に示すように何ら
かの外乱で振幅と位相が設計値からずれると、その誤差
を補正するように比較器10の出力信号は振幅調整器2
と位相調整器3を駆動する。そのフィードバックにより
発振器1の出力信号の振幅と位相は調整され、加速空胴
に発生する電圧の振幅と位相の誤差は瞬時に修正され
る。
【0038】図18(b)に振幅と位相に関するブロック
ダイアグラムを示している。例えば、外乱として電力増
幅器5での利得や位相の温度ドリフト、周回ビームが加
速空胴6に誘起する高周波電圧がある。外乱で加速空胴
6に発生する電圧の振幅が低下しようとすると、振幅調
整器2での利得が上がり自動的に補正される。同様に、
外乱で加速空胴6に発生する電圧の位相が遅れようとす
ると、位相調整器3での位相が進み自動的に補正され
る。
【0039】本実施例では、分波器8a、8bでの信号処
理にヘテロダイン検波方式あるいは複素信号処理方式を
用いることで、環状型加速器として加速周波数の変化が
大きいシンクロトロンにも適用できる。また、加速電圧
の振幅と位相の両者をフィードバック制御することで、
加速空胴6に発生する電圧波形(基本波成分+高調波成
分)をより精度良く安定に調整できる。
【0040】(実施例2)図1に本発明の第2の実施例
である高周波加速装置の構成を示す。図1において、高
周波加速装置110は、基本波信号及びその整数倍の周波
数の高調波信号を発生する発振器1、発振器1の出力信
号の振幅と位相を制御する振幅調整器2と位相調整器
3、その出力信号を増幅する電力増幅器5、電力増幅器
5の高周波電力を入力し高周波電圧を発生する広帯域動
作の加速空胴6、加速空胴6に発生した高周波電圧を検
出する電圧モニタ7、電圧モニタ7の出力信号を基本波
信号及びその整数倍の周波数の高調波信号に分離する分
波器8、分波器8の出力信号の振幅を検出する振幅検出
器9、振幅検出器9の出力信号を設定値と比較して振幅
調整器2に制御信号を出力する比較器10とから構成さ
れる。
【0041】本実施例の分波器8としては、例えば、各
周波数成分ごとの帯域通過フィルタを用いることができ
る。ただし、この場合は基本波信号と高調波信号の各周
波数帯域が分離されていることが必要条件である。した
がって、環状型加速器が蓄積リングや加速周波数の変化
が小さいシンクロトロンの場合に適用できる。例えば、
基本波信号の周波数帯域が1.8−2.2MHz、2倍高調波
信号の周波数帯域が3.6−4.4MHz、3倍高調波信号
の周波数帯域が5.4−6.6MHzの場合には、分波器と
して(中心周波数±帯域幅)がそれぞれ(2±0.6)M
Hz、(4±0.8)MHz、(6±1)MHzの帯域通過フィ
ルタが採用できる。
【0042】(実施例3)図2に本発明の第3の実施例
である高周波加速装置の構成を示す。図2において、高
周波加速装置120は、基本波信号及びその整数倍の周波
数の高調波信号を発生する発振器1、発振器1の出力信
号の振幅と位相を制御する振幅調整器2と位相調整器
3、その出力信号を増幅する電力増幅器5、電力増幅器
5の高周波電力を入力し高周波電圧を発生する広帯域動
作の加速空胴6、加速空胴6に発生した高周波電圧を検
出する電圧モニタ7、電圧モニタ7の出力信号を基本波
信号及びその整数倍の周波数の高調波信号に分離する分
波器8、分波器8の出力信号の位相を検出する位相検出
器11、位相検出器11の出力信号を設定値と比較して
位相調整器3に制御信号を出力する比較器10とから構
成される。
【0043】本実施例では、発振器1の出力信号を入力
し各周波数成分ごとの位相基準信号を生成する移相器1
2を設け、位相検出器11ではその位相基準信号を用い
て各周波数成分ごとに加速電圧の位相を測定している。
これにより簡単なシステムで位相検出器11を動作させ
ることができる。
【0044】また、図1に示す第2の実施例と同様に本
実施例の分波器8として、例えば、各周波数成分ごとの
帯域通過フィルタを用いることができ、環状型加速器が
蓄積リングや加速周波数の変化が小さいシンクロトロン
に適用できる。
【0045】(実施例4)図3に本発明の第4の実施例
である高周波加速装置の構成を示す。図3において、高
周波加速装置130は、基本波信号及びその整数倍の周波
数の高調波信号を発生する発振器1、発振器1の出力信
号の振幅と位相を制御する振幅調整器2と位相調整器
3、その出力信号を増幅する電力増幅器5、電力増幅器
5の高周波電力を入力し高周波電圧を発生する広帯域動
作の加速空胴6、加速空胴6に発生した高周波電圧を検
出する電圧モニタ7、電圧モニタ7の出力信号を基本波
信号及びその整数倍の周波数の高調波信号に分離する分
波器8、分波器8の出力信号の振幅と位相を検出する振
幅検出器9と位相検出器11、振幅検出器9と位相検出
器11の出力信号をそれぞれ設定値と比較して振幅調整
器2と位相調整器3に制御信号を出力する比較器10と
から構成される。
【0046】本実施例では振幅と位相の両者をフィード
バック制御することで、加速空胴6に発生する電圧波形
をより精度良く安定に調整できる。図1に示す第2の実
施例と同様に本実施例の分波器8として、例えば、各周
波数成分ごとの帯域通過フィルタを用いることができ、
環状型加速器が蓄積リングや加速周波数の変化が小さい
シンクロトロンに適用できる。また、図2に示す第3の
実施例と同様に本実施例では、発振器1の出力信号を入
力し各周波数成分ごとの位相基準信号を生成する移相器
12を設け、位相検出器11ではその位相基準信号を用
いて各周波数成分ごとに加速電圧の位相を測定してい
る。これにより簡単なシステムで位相検出器を動作させ
ることができる。
【0047】(実施例5)図4に本発明の第5の実施例
である高周波加速装置の構成を示す。図4において、高
周波加速装置140は図3に示す第4の実施例の構成に加
え、環状型加速器を周回する荷電粒子ビームの電荷密度
を検出するビームモニタ13、ビームモニタの出力信号
を基本波信号及びその整数倍の周波数の高調波信号に分
離する分波器8bとを設け、その分波器分波器8bの出力
信号を位相検出器11の位相基準信号として用いる。
【0048】本実施例では図3に示す第4の実施例と同
様に振幅と位相の両者をフィードバック制御すること
で、加速空胴6に発生する電圧波形をより精度良く安定
に調整できる。特に本実施例では、ビームモニタ13の
出力信号を位相検出器11の位相基準信号に用いること
で、環状型加速器を周回する実際のバンチビームに対す
る加速電圧の位相を精度よく検出できる。
【0049】(実施例6)図5に本発明の第6の実施例
である高周波加速装置の構成を示す。図5の第6の実施
例における高周波加速装置150は、図1の第2の実施例
の構成に加え、発振器1の出力信号を入力しその周波数
に対して一定周波数だけずれた周波数の高周波信号を生
成する周波数変換器14を設け、その周波数変換器14
の出力信号を分波器8での信号処理に用いている。本実
施例は、分波器8での信号処理にヘテロダイン方式を用
い、加速電圧の振幅のフィードバック制御を実施する場
合である。
【0050】本実施例は環状型加速器として、加速周波
数の変化が大きいシンクロトロンにも適用できる。例え
ば、加速周波数の基本波信号が0.5−5MHz、2倍高
調波信号が1−10MHz、3倍高調波信号が1.5−1
5MHzの場合を想定する。分波器8での信号処理で各
周波数帯域の高周波信号を50MHzに変換する場合、
周波数変換器14ではそれぞれ50MHzだけずれた周
波数である50.5−55MHz、51−60MHz、5
1.5−65MHzの高周波信号を生成する必要がある。
【0051】電圧モニタ7から分波器8への入力信号は
これらの高周波信号とのミキシングで、それぞれ分離し
た50MHzの高周波信号に変換できる。50MHzの各
高周波信号はそれぞれ電圧モニタ7での検出信号の基本
波信号、2倍高調波信号、3倍高調波信号の振幅と位相
の情報を有している。一定周波数の高周波信号に変換し
た後の信号処理は容易であり、同期検波方式や包絡線検
波方式を用いた振幅検出器9でそれそれの振幅を検出で
きる。
【0052】(実施例7)図7に本発明の第7の実施例
である高周波加速装置の構成を示す。図7において、高
周波加速装置170は、分波器8での信号処理に必要な周
波数の高周波信号を発生する発振器1、発振器1の出力
信号から基本波信号及びその整数倍の周波数の高調波信
号を生成する周波数変換器15、周波数変換器15の出
力信号の振幅と位相を制御する振幅調整器2と位相調整
器3、その出力信号を増幅する電力増幅器5、電力増幅
器5の高周波電力を入力し高周波電圧を発生する広帯域
動作の加速空胴6、加速空胴6に発生した高周波電圧を
検出する電圧モニタ7、電圧モニタ7の出力信号を基本
波信号及びその整数倍の周波数の高調波信号に分離する
分波器8a、分波器8aの出力信号の振幅と位相を検出す
る振幅検出器9と位相検出器11、振幅検出器9と位相
検出器11の出力信号をそれぞれ設定値と比較して振幅
調整器2と位相調整器3に制御信号を出力する比較器1
0とから構成され、発振器1の出力信号を分波器8a、
に入力しヘテロダイン方式の信号処理を実施する。
【0053】また、本実施例では図4に示す第5の実施
例と同様に、環状型加速器を周回する荷電粒子ビームの
電荷密度を検出するビームモニタ13、ビームモニタ1
3の出力信号を基本波信号及びその整数倍の周波数の高
調波信号に分離する分波器8bとを設け、その分波器8b
の出力信号を位相検出器11の位相基準信号として用い
ている。
【0054】本実施例では振幅と位相の両者をフィード
バック制御することで、加速空胴6に発生する電圧波形
をより精度良く安定に調整できる。
【0055】また、第1の実施例(図1)、第6の実施
例(図5)と同様に環状型加速器として、加速周波数の
変化が大きいシンクロトロンにも適用できる。例えば、
加速周波数の基本波信号が0.5−5MHz、2倍高調波
信号が1−10MHz、3倍高調波信号が1.5−15M
Hzの場合を想定する。分波器8での信号処理で各周波
数帯域の高周波信号を50MHzに変換する場合、発振
器1ではそれぞれ50MHzだけずれた周波数である5
0.5−55MHz、51−60MHz、51.5−65M
Hzの高周波信号を発生する必要がある。
【0056】電圧モニタ7から分波器8aへの入力信号
はこれらの高周波信号とのミキシングで、それぞれ分離
した50MHzの高周波信号に変換できる。50MHzの
各高周波信号はそれぞれ電圧モニタでの検出信号の基本
波信号、2倍高調波信号、3倍高調波信号の振幅と位相
の情報を有している。一定周波数の高周波信号に変換し
た後の信号処理は容易であり、同期検波方式や包絡線検
波方式を用いた振幅検出器9でそれそれの振幅を検出で
きる。
【0057】一方、バンチビームに対する加速電圧の位
相を検出するため、ビームモニタ信号を同様に分波器8
bで信号処理し、位相検出器11では各周波数成分ごと
に(電圧モニタ信号の位相)−(ビームモニタ信号の位
相)を検出する。図5に示す第6の実施例と比較して、
本実施例の発振器1は発振周波数が高くなるため高価と
なるが、周波数変換器15に関しては高域から低域に周
波数変換する本実施例のほうが製作は容易である。
【0058】(実施例8)図8に本発明の第8の実施例
である高周波加速装置の構成を示す。図8において、高
周波加速装置180は、基本波信号及びその整数倍の周波
数の高調波信号と分波器8での信号処理に必要な高周波
信号を発生する発振器1、発振器1の出力信号の振幅と
位相を制御する振幅調整器2と位相調整器3、その出力
信号を増幅する電力増幅器5、電力増幅器5の高周波電
力を入力し高周波電圧を発生する広帯域動作の加速空胴
6、加速空胴6に発生した高周波電圧を検出する電圧モ
ニタ7、電圧モニタ7の出力信号を基本波信号及びその
整数倍の周波数の高調波信号に分離する分波器8a、分
波器8aの出力信号の振幅と位相を検出する振幅検出器
9と位相検出器11、振幅検出器9と位相検出器11の
出力信号をそれぞれ設定値と比較して振幅調整器2と位
相調整器3に制御信号を出力する比較器10とから構成
され、発振器1の出力信号を分波器8aに入力しヘテロ
ダイン方式あるいは複素信号処理方式の信号処理を実施
する。
【0059】また、本実施例では図4に示す第5の実施
例と同様に、環状型加速器を周回する荷電粒子ビームの
電荷密度を検出するビームモニタ13、ビームモニタ1
3の出力信号を基本波信号及びその整数倍の周波数の高
調波信号に分離する分波器8bとを設け、その分波器8b
の出力信号を位相検出器11の位相基準信号として用い
ている。
【0060】分波器8での信号処理がヘテロダイン方式
の場合、発振器1では分波器での信号処理に必要な周波
数の高周波信号を別途発生する必要がある。一方、分波
器8での信号処理が複素信号処理方式の場合、発振器1
では基本波と高調波のそれぞれの周波数において互いに
位相が90度ずれた2信号を発生する必要がある。デジ
タル発振器には互いに位相が90度ずれた正弦波信号と
余弦波信号の2信号が出力可能なものがあり、それを採
用することができる。なお、分波器8、振幅検出器9、
位相検出器11での信号処理は実施例1、実施例6、実
施例7に記載したことと同様である。
【0061】(実施例9)図9に本発明の第9の実施例
である環状型加速器の構成を示す。図9において、環状
型加速器310は、荷電粒子ビームを発生する前段加速器2
01、荷電粒子ビームを入射する入射器202、荷電粒子ビ
ームが内部を周回する真空ダクト203、荷電粒子ビーム
を偏向し周回させる偏向電磁石204、荷電粒子ビームを
収束させる四極電磁石205、荷電粒子ビームを集群し加
速する高周波加速装置206、荷電粒子ビームを出射する
出射器207、偏向電磁石の磁場強度に対応した設定デー
タを高周波加速装置206に出力する制御装置208とから構
成される。
【0062】本実施例では環状型加速器に加速空胴6を
1台設置している。加速空胴6の1台当たりの高周波電
圧は1−20kVであり、蓄積リングや入射・捕獲・加
速・出射の運転サイクルが数Hz以下の小型シンクロト
ロンではこれで十分である。医療用イオンシンクロトロ
ンは後者の例である。
【0063】加速空胴6を1台設置した高周波加速装置
として、蓄積リングや加速周波数の変化が小さいシンク
ロトロンの場合には実施例1乃至実施例8に記載の高周
波加速装置110〜180が適用できる。一方、加速周波数の
変化が大きいシンクロトロンの場合には実施例1、実施
例6乃至実施例8に記載の高周波加速装置150〜180が適
用できる。
【0064】本実施例では偏向電磁石204の磁場強度を
検出し、制御装置208は偏向電磁石の磁場強度に対応し
た設定データを高周波加速装置206に出力する。設定デ
ータとしては基本波信号とその高調波信号の周波数、振
幅、位相の設定値が含まれ、それぞれ発振器1、振幅調
整器2、位相調整器3に転送される。ただし、フィード
バック制御する制御量に関しては設定値を比較器10に
転送する。
【0065】シンクロトロンの運転サイクル(入射・捕
獲・加速・出射)における設定データの例を図11に示
す。
【0066】空間電荷効果が大きい低エネルギー領域
(捕獲・加速初期)において、基本波加速電圧に重畳し
て2倍高調波電圧と3倍高調波電圧を加速空胴に印加す
る。振幅値の比として1:1:0.4程度で空間電荷効
果を緩和するために最適な電圧波形を生成できる。2倍
高調波電圧と3倍高調波電圧の位相は周回するバンチビ
ームに対して0度に維持し、正味加速・減速しないよう
に設定する。
【0067】一方、基本波加速電圧の振幅と位相は入射
ビームを効率良く捕獲し加速できるように設定する。本
実施例では検出した偏向電磁石の磁場強度に対応して制
御装置208から高周波加速装置206に設定データを転送し
ているが、制御装置208の内部クロックに同期して設
定データを時系列に高周波加速装置に転送する運転も可
能である。
【0068】(実施例10)図10に本発明の第10の
実施例である環状型加速器の構成を示す。図10に示す
実施例の環状型加速器320の構成は基本的には実施例9
と同様であるが、環状型加速器320に加速空胴6を複
数台設置し高い加速電圧を実現している。例えば、入射
・捕獲・加速・出射の運転サイクルが10Hz以上の物
理研究を目的とした大型シンクロトロンがこれに当ては
まる。
【0069】複数台の加速空胴6が発生する高周波電圧
に対して周回ビームが最大加速電圧を受けるためには、
加速空胴6の設置位置に応じて高周波電圧の位相を設定
する必要がある。制御装置208は実施例9と同様に、各
高周波加速装置206a、206bに設定データとして基本波信
号とその高調波信号の周波数、振幅、位相の設定値を出
力する。
【0070】本実施例では別途加速空胴6の設置位置に
応じた位相を位相調整器3の初期設定値として出力す
る。位相調整器3の設定値は加速空胴6に発生する高周
波電圧の位相を検出してフィードバック制御により補正
する。本実施例では高周波加速装置の低コスト化と位相
制御の容易さを考慮し、各高周波加速装置206a、206bで
1台の発振器を共有している。
【0071】以上のようにして加速空洞に加える高周波
電圧波形をフィードバック制御するのであるが、加速空
胴に発生した高周波電圧を基本波信号とその整数倍周波
数の高調波信号に分離して検出する分波手段を設け、分
波手段により分離して検出された基本波信号とその整数
倍周波数の高調波信号に基づき加速空胴に加える高周波
電圧波形をフィードバック制御しているので加速空胴の
電圧波形を高精度で制御できる。
【0072】また、本発明の高周波加速装置では、1台
の加速空胴に基本波加速電圧とその高調波電圧を高精度
で重畳でき、かつ、安定に周回ビームの空間電荷効果を
緩和できる。したがって、本発明の高周波加速装置を用
いた環状型加速器では、リングの大型化やコスト高を招
くことなく、大強度で低エネルギーのイオンビームを効
率良く捕獲し安定に加速できる。特に、本発明の環状型
加速器は医療用に好適であり、前段加速器を含む加速器
システムの小型化と低コスト化、出射ビームの安定かつ
大強度化が実現できる。
【0073】なお、上述の実施例1から10では高調波
として2倍高調波と3倍高調波を用いる場合を例として
示したが、実際は任意次数の高調波を任意に組み合わせ
てもよい。また、必ずしも全ての周波数成分について振
幅と位相をフィードバック制御する必要はなく、どれか
1つだけをフィードバック制御するだけでも効果はあ
る。
【0074】さらに、フィードバック制御としては必ず
しもリアルタイムで実施する必要はなく、環状型加速器
の運転サイクル(入射・捕獲・加速・出射)ごとに振幅
と位相の補正量を検出し、次の運転サイクルの振幅と位
相の設定値にその補正量を反映したり、数回の運転サイ
クルにわたる平均的な補正量を演算して定期的に振幅と
位相の設定値を補正する運転も考えられる。また、実施
例1から10の説明では発振器、振幅調整器、位相調整
器と機能ごとに分離して機器構成を記載したが、振幅調
整や位相調整の機能を有した発振器を代用してもよい。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、加速空胴に発生する電
圧波形から基本波加速電圧とその高調波電圧の振幅と位
相を高精度で検出でき、その検出信号に基づき発振器の
出力信号の振幅と位相をフィードバック制御すること
で、加速空胴の電圧波形を高精度で制御できる。これに
より、周囲温度による電力増幅器の利得や遅延の変化、
周回ビームの強度変化などの外乱を補償し、周回ビーム
の空間電荷効果を緩和するために最適な電圧波形を安定
に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第2の実施例である高周波加速装置の
構成を示す図。
【図2】本発明の第3の実施例である高周波加速装置の
構成を示す図。
【図3】本発明の第4の実施例である高周波加速装置の
構成を示す図。
【図4】本発明の第5の実施例である高周波加速装置の
構成を示す図。
【図5】本発明の第6の実施例である高周波加速装置の
構成を示す図。
【図6】本発明の第1の実施例である高周波加速装置の
構成を示す図。
【図7】本発明の第7の実施例である高周波加速装置の
構成を示す図。
【図8】本発明の第8の実施例である高周波加速装置の
構成を示す図。
【図9】本発明の第9の実施例である環状型加速器の構
成を示す図。
【図10】本発明の第10の実施例である環状型加速器
の構成を示す図。
【図11】本発明の高周波加速装置を用いた環状型加速
器の運転方法を示す図。
【図12】高調波電圧重畳による空間電荷効果緩和の原
理を示す図。
【図13】加速電圧とバンチビームの各周波数成分の位
相関係を示す図。
【図14】本発明に係わる分波器でのヘテロダイン信号
処理方式の原理を示す図。
【図15】本発明に係わる分波器での複素信号処理方式
の原理を示す図。
【図16】従来技術の高周波加速装置の構成を示す図。
【図17】従来技術の環状型加速器の構成を示す図。
【図18】本発明に係わる加速電圧の振幅と位相に関す
るフィードバック制御の説明図。
【符号の説明】
1…発振器、2…振幅調整器、3…位相調整器、4…合
成器、5…電力増幅器、6…加速空胴、7…電圧モニ
タ、8…分波器、9…振幅検出器、10…比較器、11
…位相検出器、12…移相器、13…ビームモニタ、1
4…信号変換器(周波数変換器あるいは90度分配
器)、15…周波数変換器、100…従来の高周波加速
装置、110〜180…本発明の高周波加速装置、20
1…前段加速器、202…入射器、203…真空ダク
ト、204…偏向電磁石、205…四極電磁石、206
…高周波加速装置、207…出射器、208…制御装
置、300…従来の環状型加速器、310〜320…本
発明の環状型加速器

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基本波信号とその整数倍周波数の高調波信
    号の振幅と位相を調整して加速空洞に加え、前記加速空
    洞に高周波電圧を発生させるようにした高周波加速装置
    において、前記加速空胴に発生した高周波電圧を前記基
    本波信号とその整数倍周波数の高調波信号に分離して検
    出する分波手段を設け、前記分波手段により分離して検
    出された前記基本波信号とその整数倍周波数の高調波信
    号に基づき前記加速空胴に加える高周波電圧波形をフィ
    ードバック制御することを特徴とする高周波加速装置。
  2. 【請求項2】基本波信号とその整数倍周波数の高調波信
    号の振幅と位相を調整して荷電粒子ビームを加速する加
    速空洞に加え、前記加速空洞に高周波電圧を発生させる
    ようにした高周波加速装置において、前記加速空胴に発
    生した高周波電圧を前記基本波信号とその整数倍周波数
    の高調波信号に分離して検出する分波手段を設け、前記
    分波手段により分離して検出された前記基本波信号とそ
    の整数倍周波数の高調波信号に基づき前記加速空胴に加
    える高周波電圧の振幅と位相をフィードバック制御する
    ことを特徴とする高周波加速装置。
  3. 【請求項3】基本波信号とその整数倍周波数の高調波信
    号の振幅と位相を調整して荷電粒子ビームを加速する加
    速空洞に加え、前記加速空洞に高周波電圧を発生させる
    ようにした高周波加速装置において、前記加速空胴に発
    生した高周波電圧を前記基本波信号とその整数倍周波数
    の高調波信号に分離して検出する分波手段を設け、前記
    分波手段により分離して検出された前記基本波信号とそ
    の整数倍周波数の高調波信号に基づき前記加速空胴に加
    える高周波電圧の振幅と位相の一方をフィードバック制
    御することを特徴とする高周波加速装置。
  4. 【請求項4】基本波信号とその整数倍周波数の高調波信
    号の振幅と位相を調整して荷電粒子ビームを加速する加
    速空洞に加え、前記加速空洞に高周波電圧を発生させる
    ようにした高周波加速装置において、前記加速空胴に発
    生した高周波電圧を前記基本波信号とその整数倍周波数
    の高調波信号に分離して検出する第1の分波手段と、前
    記荷電粒子ビームを前記基本波信号とその整数倍周波数
    の高調波信号に分離して検出する第2の分波手段とを設
    け、前記第2の分波手段の出力信号を位相基準信号とし
    て第1の分波手段で検出した前記前記加速空胴の高周波
    電圧の位相を検出し前記加速空胴に加える高周波電圧の
    位相をフィードバック制御することを特徴とする高周波
    加速装置。
  5. 【請求項5】基本波信号と整数倍周波数の高調波信号を
    発生する発振手段と、前記発振手段の出力信号の振幅を
    制御する振幅調整手段と、前記発振手段の出力信号の位
    相を制御する位相調整手段と、前記振幅調整手段で振幅
    を、あるいは前記位相調整手段で位相を調整された前記
    発振手段の出力信号を増幅する電力増幅手段と、前記電
    力増幅手段の高周波電力を入力し高周波電圧を発生する
    加速空胴とから構成される高周波加速装置において、前
    記加速空胴に発生した高周波電圧を検出する電圧モニタ
    と、前記電圧モニタの出力信号を前記基本波信号とその
    整数倍周波数の高調波信号に分離する分波手段と、前記
    分波手段の出力信号の振幅あるいはの位相を検出する検
    出手段とを具備し、前記検出手段の検出信号に基づき前
    記加速空胴に加える高周波電圧波形をフィードバック制
    御することを特徴とする高周波加速装置。
  6. 【請求項6】基本波信号と整数倍周波数の高調波信号を
    発生する発振手段と、前記発振手段の出力信号の振幅を
    制御する振幅調整手段と、前記発振手段の出力信号の位
    相を制御する位相調整手段と、前記振幅調整手段で振幅
    を、あるいは前記位相調整手段で位相を調整された前記
    発振手段の出力信号を増幅する電力増幅手段と、前記電
    力増幅手段の高周波電力を入力し高周波電圧を発生する
    加速空胴とから構成される高周波加速装置において、前
    記加速空胴に発生した高周波電圧を検出する電圧モニタ
    と、前記電圧モニタの出力信号を前記基本波信号とその
    整数倍周波数の高調波信号に分離する分波手段と、前記
    分波手段の出力信号の振幅を検出する振幅検出手段ある
    いは前記分波手段の出力信号の位相を検出する位相検出
    手段と、前記振幅検出手段および/または前記位相検出
    手段の出力信号を設定値と比較して前記振幅調整手段お
    よび/または前記位相調整手段に制御信号を出力する比
    較手段とを具備することを特徴とする高周波加速装置。
  7. 【請求項7】請求項6において、環状型加速器を周回す
    る荷電粒子ビームの電荷密度を検出するビームモニタ
    と、前記ビームモニタの出力信号を基本波信号及びその
    整数倍周波数の高調波信号に分離する分波手段とを設
    け、前記分波手段の出力信号を前記位相検出器の位相基
    準信号として用いたことを特徴とする高周波加速装置。
  8. 【請求項8】請求項6において、前記発振手段の出力信
    号、あるいは前記発振手段の出力信号の周波数に対して
    一定周波数だけずれた周波数の高周波信号、もしくは前
    記発振手段の出力信号の位相に対して一定位相だけずれ
    た位相の高周波信号のうち、少なくとも1つを前記分波
    手段での信号処理に用いることを特徴とする高周波加速
    装置。
  9. 【請求項9】荷電粒子ビームを発生する前段加速器と、
    該荷電粒子ビームを入射する入射器と、該荷電粒子ビー
    ムが内部を周回する真空ダクトと、該荷電粒子ビームを
    偏向し周回させる偏向電磁石と、該荷電粒子ビームを収
    束させる四極電磁石と、該荷電粒子ビームを集群し加速
    する高周波加速装置と、該荷電粒子ビームを出射する出
    射器とから構成される環状型加速器において、前記高周
    波加速装置として、請求項1乃至請求項3の何れかに記
    載の高周波加速装置を用いたことを特徴とする環状型加
    速器。
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