JPH10260638A - レンチキュラースクリーン及びその製造方法 - Google Patents

レンチキュラースクリーン及びその製造方法

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JPH10260638A
JPH10260638A JP6592597A JP6592597A JPH10260638A JP H10260638 A JPH10260638 A JP H10260638A JP 6592597 A JP6592597 A JP 6592597A JP 6592597 A JP6592597 A JP 6592597A JP H10260638 A JPH10260638 A JP H10260638A
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JP
Japan
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light
layer
photosensitive resin
lenticular
absorbing layer
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JP6592597A
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English (en)
Inventor
Takeo Kuroki
丈雄 黒木
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レンチキュラースクリーンにおいて、これま
で得られなかった視野角、透過光の明るさ、画像のシャ
ープさを得ると共に、この透過光の明るさや画像のシャ
ープさをより向上させる光吸収層3を容易かつ精度良く
得る。 【解決手段】 入射光面側に突出した複数のレンズを有
する透明樹脂製のレンズ層1の出射光面側に、透明樹脂
に拡散材2が分散された拡散層4が積層され、この拡散
層4上に積層された感光性樹脂層5を入射光面側から露
光し、現像してパターン成形し、このパターンを用いて
黒化することで設けられた光吸収層3を有するレンチキ
ュラースクリーンとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば背面透過型
プロジェクションテレビ用スクリーン等に用いられるレ
ンチキュラースクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】背面透過型プロジェクションテレビのス
クリーン構成は、内部側からフレネルレンズシート、レ
ンチキュラースクリーンの2枚構成となっている。この
背面透過型プロジェクションテレビは、全体の厚みを薄
くでき、CRTや液晶の技術を応用できると共に、部屋
を暗くする必要無しに見ることができることから、最近
急速に普及し始めている。
【0003】しかし、背面透過型プロジェクションテレ
ビは、輝度や画像の解像度、視野角、色ムラの問題があ
る。その主な原因は、画像を結像し、かつ視野角を水平
及び垂直に広げるためのレンチキュラースクリーンにあ
る。
【0004】従来、レンチキュラースクリーンとして
は、微粒子状の拡散材をレンチキュラーシート全体に分
散させると共に、上下金型によるプレス成形やロール押
出成形によるレンチキュラーシートの成形時に、その出
射光面側の画像光非透過領域に凸条を形成しておき、こ
の凸条を印刷で黒色化して光吸収層としたものが知られ
ている(特開昭58−59436号公報)。このレンチ
キュラースクリーンにおける拡散材は、画像光を拡散し
て視野角を拡大するためのもので、また光吸収層は、ブ
ラックストライプと称されるもので、外光を反射するこ
となく吸収することで、画面のコントラストを向上させ
るためのものである。
【0005】一方、光吸収層の形成方法としては、上記
のような凸条を形成することなく、出射光面側に直接印
刷で設ける方法も知られている。また、全体が透明なレ
ンチキュラーシートの出射光面側に感光性樹脂層を設
け、入射光面側から感光性樹脂層を露光し、現像してパ
ターン形成し、このパターンを用いて黒色化して光吸収
層を設る方法も知られている(特公昭53−31017
号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のレンチキュラースクリーンは、レンチキュラーシー
ト全体に拡散材を分散させているため、光源からの光が
レンチキュラーシート内を通過する間に大きく拡散さ
れ、迷光が発生し、その結果、出射光面側に設けた光吸
収層に到達してしまう光や光源側にもどる光が発生し、
出射光の光量のロスとなり、画像輝度及び解像度が低下
する問題がある。明るい画像を得るために拡散材を省略
したりその分散濃度を低くすると、画像輝度は高くなる
が、レンチキュラーレンズとフレネルレンズとの干渉縞
(モアレ)や、テレビの映像光源が観察者に水平な帯条
に見えるホットバンドが発生し、さらには視野角が狭く
なる問題を生じる。
【0007】また、凸条上への印刷で光吸収層を設けて
いるので、レンチキュラーレンズのピッチが細かくなる
と、レンチキュラーレンズの中心と凸条の中心との位相
合わせが難しくなる問題がある。さらに、凸条をロール
押出成形で形成すると凸条のエッジ部分の形状が丸くな
りやすく、これに光吸収層をスクリーン印刷、オフセッ
ト印刷、又は感熱紙で設ける場合に、インキのダレ、感
熱紙の剥離ムラ等により光吸収層の線幅が全体に不均一
となって外観が悪くなり、さらには室内が明るい場合
に、丸くなったエッジ部により外光が反射し、コントラ
ストが低下して映像の質が低下してしまうという問題が
ある。
【0008】光吸収層を直接印刷する場合、レンチキュ
ラーシートの画像光非透過領域の中心と光吸収層の中心
の位置を整合させるのが困難で、少しでも位置合わせが
ずれると、画像光が光吸収層にかかり、輝度が低下する
原因となる。
【0009】光吸収層を感光性樹脂を用いて設ける場
合、従来全体が透明なレンチキュラーシートを用いてい
ることから、このレンチキュラーシート全体のレンズ形
状の精度や板厚の精度が悪いと、感光性樹脂を露光する
時の光源が集光する位置がずれ、光吸収層の線幅の乱れ
や厚みの不均一を生じる原因となる。また、全体が透明
なレンチキュラーシートのままでは、画像光を拡散して
視野角を拡大することができないので、この光吸収層の
形成後ラッカーを塗布して拡散層を形成しているが、拡
散性が不均一になりやすく、しかも剥れやすいという問
題を生じている。
【0010】上記感光性樹脂を用いた光吸収層の形成
を、前記拡散材を分散させたレンチキュラーシートに用
いることも考えられるが、拡散材の分散濃度が低い場
合、透明なレンチキュラーシートの場合と同様の問題を
生じる。逆に拡散材の分散濃度が高い場合は、レンチキ
ュラーレンズの形状精度及び板厚の精度による問題点は
軽減されるが、レンチキュラーシート内部や光源側に光
が散乱する迷光と呼ばれる現象が生じ、この迷光により
集光分布が広がり、不必要な部分まで感光性樹脂を露光
してしまうために、光吸収層を所定の線幅に形成するこ
とが難しくなる。
【0011】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、乱反射によって発生する迷光の影響をなくし、視
野角が広く、明るく解像度高い画像が得られるようにす
ると共に、コントラストを向上させる光吸収層を均一に
精度を良く、かつ容易に形成できるようにすることを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するもので、入射光面側に突出した複数のレンズを有
する透明樹脂製のレンズ層の出射光面側に、透明樹脂に
下記式(I)及び(II)の条件を満たす拡散材が4w
t%以上20wt%以下の濃度で分散された厚み20〜
500μmの拡散層が積層され、この拡散層上に積層さ
れた感光性樹脂層を入射光面側から露光し、現像してパ
ターン形成し、このパターンを用いて黒色化することで
形成された光吸収層を有することを特徴とするレンチキ
ュラースクリーンを提供するものである。
【0013】 0.01≦|Nd−Nm|≦0.2 …(I) (Ndは拡散材の屈折率、Nmは拡散層の透明樹脂の屈
折率を示す。) 1μm≦Dd≦20μm …(II) (Ddは拡散材の平均粒径を示す。) また、本発明は、上記レンチキュラースクリーンの光吸
収層を形成するに際し、ネガ型の感光性樹脂を用い、こ
の感光性樹脂層の画像光透過領域を入射光面側から露光
した後、画像光非透過領域の未露光感光性樹脂を除去す
る現像を行ってパターン形成し、この未露光感光性樹脂
が除去された部分を黒色化して光吸収層を形成した後、
残留する画像光透過領域の感光性樹脂層を除去する方法
と、前記感光性樹脂層の画像光非透過領域を入射光面側
から露光した後、画像光透過領域の未露光感光性樹脂を
除去する現像を行ってパターン形成し、残留する画像光
非透過領域の感光性樹脂層を黒色化して光吸収層を形成
する方法とを提供するものである。
【0014】さらに本発明は、やはり前記レンチキュラ
ースクリーンの光吸収層を形成するに際し、ポジ型の感
光性樹脂を用い、この感光性樹脂層の画像光非透過領域
を入射光面側から露光した後、画像光透過領域の露光分
解した感光性樹脂を除去する現像を行ってパターン形成
し、残留する画像光非透過領域の感光性樹脂層を黒色化
して光吸収層を形成する方法と、前記感光性樹脂層の画
像光非透過領域を入射光面側から露光した後、露光分解
した画像光非透過領域の感光性樹脂を除去する現像を行
ってパターン形成し、この露光分解した感光性樹脂が除
去された部分を黒色化して光吸収層を形成した後、残留
する画像光透過領域の感光性樹脂層を除去する方法とを
提供するものでもある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に係るレンチキュラースク
リーンは、2つのタイプに分れる。その第1は図1に示
されるもので、入射光面側に突出した複数のレンチキュ
ラーレンズを有する透明樹脂製のレンズ層1の出射光面
側に、透明樹脂に拡散材2が分散された拡散層4が積層
され、この拡散層4上の画像光非透過領域にライン状の
光吸収層3がじかに設けられたものである。その第2は
図2に示されるもので、上記と同様のレンズ層1の出射
光面側に同様の拡散層4が積層され、この拡散層4上の
画像光非透過領域にライン状の感光性樹脂層5が設けら
れ、さらに感光性樹脂層5上に光吸収層3が設けられた
ものである。いずれのレンチキュラースクリーンも、そ
の光吸収層3は、後述するように、拡散層4上に積層し
た感光性樹脂層5を入射光面側から露光し、現像してパ
ターン形成し、このパターンを用いて黒色化することで
形成さるものである。
【0016】本発明において用いられる透明樹脂は、特
に限定されることなく種々の材料を用いることができ
る。具体的にはアクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカー
ボネート、スチレンーアクリル共重合樹脂等を挙げるこ
とができるが、これらのなかでも光線透過率が高いアク
リル樹脂が好ましい。このアクリル樹脂のなかでも、光
線透過率が高く、二次加工後の薄肉部分の強度維持を図
りやすいことから、耐衝撃性アクリル樹脂が好ましい。
耐衝撃性アクリル樹脂は、特開昭53−58554号公
報、同55−94917号公報、同61−32346号
公報等に開示されているように、アクリル系重合体芯材
料のまわりに弾性層と非弾性層を交互に生成させる多段
階逐次重合法により製造される多段重合体である。
【0017】上記透明樹脂は、レンズ層1と拡散層4の
両者に用いられるが、レンズ層1に用いる透明樹脂と、
拡散層4に用いる透明樹脂とは同一でも異なっていても
よい。これらの透明樹脂は、無色透明であってもよい
が、例えば画像の黒色を沈めるために薄黒色に着色した
有色透明であってもよい。特に、画像の解像度を向上さ
せるために、光吸収スペクトルが、可視波長において選
択波長特性を有する材料を含有していることが好まし
い。
【0018】本発明で用いる拡散材2の屈折率と、拡散
層4の熱可塑性透明樹脂の屈折率との差は、光拡散性と
画像の結像性、即ちレンチキュラースクリーンの性能
と、得られる光吸収層3の幅及び精度、更には解像度に
大いに関係している。このことから、本発明において
は、拡散材2の屈折率Ndと、拡散層4の熱可塑性透明
樹脂の屈折率Nmとが下記式(I)を満たすことが必要
である。
【0019】 0.01≦|Nd−Nm|≦0.2 …(I) 拡散層4の透明樹脂の屈折率Nmと、拡散材2の屈折率
Ndとの差の絶対値が無いかきわめて小さい場合、透明
樹脂と拡散材2の界面で光が屈折しないため、表面の凸
凹状況が光拡散性に影響を及ぼすのみであって光拡散性
は少ない。一方、本発明のように拡散層4の透明樹脂と
拡散材2とに屈折率の差がある場合には、透明樹脂と拡
散材2の界面で光が屈折するため、光拡散性は大きくな
る。この透明樹脂と拡散材2の屈折率の差の絶対値は、
上記(I)式で示されるように、0.01〜0.2であ
ることが必要である。屈折率の差の絶対値が0.01よ
り小さい場合、透明樹脂と拡散材2との界面での光の屈
折はほとんど生じず、必要な拡散効果が得られない。そ
の結果、感光性樹脂を用いて光吸収層3を設ける場合
に、拡散層4による露光用光の拡散がなくなり、光吸収
層3の線幅が細くなり過ぎてしまう。逆に、屈折率の差
の絶対値が0.2より大きいと、全反射が大きくなり、
スクリーン内部や光源側に光が散乱する、迷光と呼ばれ
る現象が生じ、その結果光が遮蔽されるので、透過率が
低下してしまうことになる。その結果、感光性樹脂を用
いて光吸収層3を設ける場合に、拡散層4による露光用
光の拡散が大きくなり過ぎ、画像光が通る部分にまで光
吸収層3が形成されてしまうことになる。透明樹脂と拡
散材2との界面の光の屈折を有効に利用し、迷光の影響
を少なくし、感光性樹脂をレンズ面から露光して光吸収
層3をより最適な線幅に設けるために、透明樹脂と拡散
材2の屈折率の差の絶対値は、0.01〜0.1が好ま
しく、更に好ましくは0.02〜0.07である。
【0020】本発明に用いる微粒子状の拡散材2の平均
粒径は、その拡散材2の透明樹脂に対する屈折率の差の
絶対値と相関関係があり、屈折率の差の絶対値が大きい
拡散材2には粒径の小さい微粒子を、屈折率の差の絶対
値が小さい拡散材2には粒径の大きな微粒子を用いるこ
とが好ましい。用いる拡散材2の平均粒径Ddは、下記
(II)式の範囲であることが必要である。
【0021】 1μm≦Dd≦20μm …(II) 平均粒径Ddが1μmより小さいと、光拡散性が高くて
も光源が透けてしまい、20μmより大きいと、光拡散
性が、表面状態に影響されてしまう。好ましくは3〜1
0μmである。
【0022】拡散材2は拡散層4の透明樹脂に対する屈
折率の差の絶対値が0.01〜0.2の範囲で、透明性
を有するものであれば、例えばガラスビーズ、シリコー
ン系架橋ビーズ、有機系微粒子等を用いることができ
る。その形状は、例えば球、楕円形、直方体、三角錐、
鱗片形状等のいずれをも用いることができる。しかし、
好ましい拡散材2は、表面状態が良好で、透明性が高
く、光を均等方向に拡散することのできる球(真球)形
状への制御が簡単で、かつ、屈折率差を容易に調整でき
るスチレン−アクリル系架橋重合体微粒子である。この
スチレン−アクリル系架橋重合体微粒子とは、スチレン
モノマーとメチルメタクリレートと架橋剤とを懸濁重合
方法等で重合した球状微粒子である。架橋剤としては、
例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジビニル
ベンゼン、1,6−へキサンジオール、トリメチルプロ
パントリメタクリレート、トリメチルプロパントリアク
リレート等の多官能性モノマーを用いることができる。
この重合の際、スチレンモノマーとメチルメタクリレー
トの重合比を変化することにより、屈折率が1.49〜
1.59の範囲の微粒子を調整して合成することができ
る。
【0023】拡散層4における拡散材2は、4wt%以
上20wt%以下であることが必要であるが、その濃度
が高い方が画像の結像及び光拡散性がよいので好まし
い。4wt%より少ないと、視野角が広がらず、光源が
ぎらついて見える箇所を生じやすい。20wt%より多
いと、光線透過率が低下して画像輝度及び解像度が低下
すると共に、得られる光吸収層2の線幅が広くなり過ぎ
だけでなく、拡散材2を透明樹脂に分散させるのが難し
くなる。好ましい拡散材2の濃度は5wt%以上15w
t%以下である。
【0024】拡散層4の厚みは、拡散層4中の拡散材2
の濃度とも相関があり、上記濃度範囲において、20〜
500μmであることが必要である。20μmより薄い
と、ホットバンドが発生しやすく、500μmより厚く
なると、光線透過率が低下し、また拡散層4内で迷光の
発生が多くなり、得られる光吸収層3の線幅が広くなり
過ぎる。好ましくは50〜250μmで、画像の結像性
も考えると、特に好ましいのは50〜150μmであ
る。
【0025】次に、図3〜図8に基づいて図1に示され
るレンチキュラースクリーンの製造方法について説明す
る。
【0026】先ず、前述した透明樹脂を用いてレンズ層
1を成形すると共に、このレンズ層1の出射光面側に、
前述の拡散材2が分散した明樹脂で拡散層4を積層し、
図3に示される積層レンチキュラーシートを製造する。
【0027】上記積層方法としは、接着剤を用いたラミ
ネート、熱溶着、振動溶着、共押出し等が挙げられる
が、これらに限定されることはない。しかし、作業工程
が少なく、また、積層界面の乱れが少なく、また拡散層
4の透明樹脂と拡散材2の屈折率差を十分に生かして光
を屈折でき、しかも二次加工時に層剥離を生じにくい積
層レンチキュラーシートが得られることから共押出が特
に好ましい。
【0028】共押出は、通常の押出機を2台以上使う。
レンズ層1部分の押し出しには40mmφ、60mm
φ、90mmφ等の押出機を用い、拡散層4の押し出し
には、それよりも小さい20mmφ、30mmφ、45
mmφ等の押出機を用いる。拡散層4に用いる原料は、
拡散材2を予めブレンダー等を使って透明樹脂中に分散
し、その後押出機でペレタイズしたものを用いる。
【0029】レンズ層1へのレンズ形状の付与方法とし
ては、例えばレンズ形状をつけた金型にフラットな透明
樹脂板を挟み、熱プレスして形状を賦形する方法や、同
じくレンズ形状をつけた金型内に溶融した透明樹脂を流
し込み、冷却してから金型を外して得る方法が考えられ
る。特に、押出成形で透明樹脂を押し出して、レンズ形
状を付与したロールに挟み込んでシート状に形成しなが
らレンズ形状を付与する方法が作業工程が少なく好まし
い。
【0030】レンズ層1に形成するレンズの形状につい
ては、円形の凸レンズを縦横配列した形状や、かまぼこ
形の凸レンズを横に配列した形状が好ましい。かまぼこ
形については、その断面形状が一定の半径を持った半円
状や円弧状でもよいし、縦長や横長の楕円形状であって
もよく、さらには曲線部分が複数の多次項の方程式で形
成された形状であってもよい。好ましくは、基礎金型が
作成しやすい半円形もしくは円弧状のかまぼこ形レンズ
である。また、レンズのピッチ及びその曲率について
は、ピッチが0.03〜1.0mm、曲率が0.05〜
1.5mmであることが好ましい。後述する光吸収層3
の線幅は、このレンズのピッチ、曲率と関係しており、
上記レンズのピッチ、曲率の範囲において、0.01〜
0.5mmが好ましい。
【0031】上記のレンズの出射光の焦点は、拡散層4
内に存在することが好ましい。拡散層4内で焦点が合う
ことにより、拡散層4内で画像が結像し、かつ、拡散層
4により、結像した画像を視野角広く映写することがで
きる。また、焦点は拡散層4内に設ければよく、拡散層
4の厚みの範囲内における焦点のずれは、レンズ形状の
ムラとして許容することができる。焦点が拡散層4内に
あれば、画像は結像することができるので、輝度ムラや
色ムラ無く画像を見ることができる。
【0032】図3に示されるような積層レンチキュラー
シートを製造した後、図4に示されるように、拡散層4
上に感光性樹脂層5を積層する。この感光性樹脂層5
は、ネガ型の感光性樹脂を用いたものでもポジ型の感光
性樹脂を用いたものでもよい。ネガ型の感光性樹脂及び
ポジ型の感光性樹脂共に公知のものが用いられる。ネガ
型の感光性樹脂の種類としては、環化ゴム系、ポリメチ
ルイソプロペニルケトン系、ポリビニルフェノール系、
ポリイミド系等があり、ポジ型感光性樹脂の種類として
はノボラック樹脂系等がある。
【0033】感光性樹脂層5の積層に際しては、感光性
樹脂層5と拡散層4の密着性を良くするためにコート層
(図示されていない)を介在させてもよい。このコート
層は、親水性アクリル樹脂や親水性エチレン樹脂等の親
水基を有する層、酸化シリカを添加したアクリル樹脂層
や酸化シリカの蒸着層若しくはスパッタ層として設ける
ことができる。
【0034】次いで、上記感光性樹脂層5を入射光面側
から露光する。この感光性樹脂層5を露光する露光用光
の光源としては、水銀灯、アーク灯、キセノンランプ、
紫外線用蛍光灯等を用いることができる。必要な光線の
波長領域としては、紫外線領域、特に400nm以下が
好ましい。さらに好ましくは380nm以下の領域であ
る。また光線は、平行光がよく、平行光にする方法とし
ては、公知のように、レンチキュラーレンズの配列に平
行になるように偏光フィルターやスリットを用いて平行
光にすることが挙げられる。この露光を容易にする上で
は、レンズ層1及び拡散層4に用いる透明樹脂に、露光
用光の紫外線領域を吸収する物質が含有されていないこ
とが好ましい。
【0035】露光範囲は、感光性樹脂層5にネガ型のも
のを用いた場合とポジ型のものを用いた場合で相違す
る。ネガ型の感光性樹脂層5とした場合には、図5に示
されるように、画像光透過領域の感光性樹脂層5を露光
し、当該領域の感光性樹脂を露光硬化させる。ポジ型の
感光性樹脂層5とした場合には、図6に示されるよう
に、画像光非透過領域の感光性樹脂層5を露光し、当該
領域の感光性樹脂を露光分解する。いずれの場合も、露
光用光の照射角度を調整することで、上記範囲の感光性
樹脂層5を露光する。
【0036】上記露光後、現像を行い、パターン形成す
る。ネガ型の感光性樹脂層5の場合には、画像光非透過
領域に残された未露光感光性樹脂が除去され、ポジ型の
感光性樹脂層5の場合には、露光分解された画像光非透
過領域の感光性樹脂が除去され、いずれの場合にも図7
に示されるようなパターンが形成される。即ち、画像光
透過領域に感光性樹脂層5が残され、画像光非透過領域
は感光性樹脂が除去されてライン状の凹部となったパタ
ーンが形成される。
【0037】次に、図8に示されるように、上記パター
ンを利用し、形成されたライン状の凹部を、印刷による
黒色インキの埋設等で黒色化し、光吸収層3を形成す
る。そして、この光吸収層3の形成後、残存するパター
ン化した感光性樹脂層5を剥離除去することで、図1の
レンチキュラースクリーンを得ることができる。
【0038】さらに、図3、図4〜図6、図9に基づい
て図2に示されるレンチキュラースクリーンの製造方法
について説明する。
【0039】図3に示されるような積層レンチキュラー
シートを製造した後、図4に示されるように感光性樹脂
層5を積層し、図5又は図6に示されるように露光する
点は、図1のレンチキュラースクリーンの製造手順と同
様である。この場合、露光する範囲は図1のレンチキュ
ラースクリーンの製造時とは逆となり、ネガ型の感光性
樹脂層5の場合には、図6に示されるように、画像光非
透過領域であり、ポジ型の感光性樹脂層5の場合には、
図5に示されるように、画像光透過領域である。
【0040】上記露光後現像すると、ネガ型の感光性樹
脂層5の場合には、画像光透過領域の未露光の感光性樹
脂が除去され、露光硬化して残された感光性樹脂層5に
より、図9に示されるようなパターンが形成される。ま
た、ポジ型の感光性樹脂層5の場合には、画像光透過領
域の露光分解された感光性樹脂が除去され、未露光のま
ま残された感光性樹脂層5により、やはり図9に示され
るようなパターンが形成される。即ち、いずれの場合に
も、画像光非透過領域にライン状に感光性樹脂層5が残
されたパターンが形成される。そして、このライン状の
パターンを利用し、印刷等によって、ライン状に残され
た感光性樹脂層5の頂部を黒色化光吸収層3を形成する
ことで、図2に示されるレンチキュラースクリーンを得
ることができる。
【0041】得られたレンチキュラースクリーンの表面
に、必要に応じて、反射防止効果、帯電防止効果、表面
保護効果、汚れ防止等の効果を有する材料をコートして
もよい。これらの性能を付与する材料としては、例え
ば、一般に用いられているバインダー樹脂に、酸化ズ
ズ、粉体シリカ、アルミナ等を混ぜたもの、フッ素樹
脂、界面活性剤等が挙げられる。また、紫外線硬化剤を
表面に塗布して硬化させて保護層としたり、上記の効果
を有するフィルムを粘着剤や接着剤を介してレンチキュ
ラースクリーンの片面又は両面に張り合わせてもよい。
さらには、反射防止効果や帯電防止性能を持たせるため
に、スパッタリングや蒸着で、酸化スズ、酸化チタン、
ITO等を単層又は多層に設けることも好ましい。
【0042】
【実施例】以下、実施例、比較例によって本発明をさら
に具体的に説明する。尚、各実施例、比較例で用いた評
価及び測定方法は次の通りである。
【0043】(1)1/3視野角の評価 3次元ゴニオフォトメーター「GP−III」(オプテ
ック社製)を用いて評価した。白色光源をサンプル面に
垂直に照射するように向け、光軸上、すなわち透過率が
最大になる位置にフォトマルを設置した。サンプルは拡
散材の分散した層のある面を光源側に向けて設置した。
このときの光強度(V)とする。フォトマルをサンプル
の中心を軸として回転して行き、光強度が1/3Vとな
る角度を測定した。
【0044】(2)ゲインの評価 プロジェクションテレビ本体のフレネルレンズ、レンチ
キュラースクリーンの前に、作成したレンチキュラース
クリーンを置いた。置き方は、先に本体に取り付けられ
ているレンチキュラースクリーンのレンチキュラーレン
ズが上下方向であるので、作成したレンチキュラースク
リーンのレンチキュラーレンズが、それと直角になり、
光吸収層が観察者側に向く方向とした。プロジェクショ
ンテレビに信号発生器[「Model−435YC」テ
ストシグナルジェネレーター(リーダー電子社製)]よ
りホワイトウィンドウの信号を与え、輝度計[「CS−
100」(ミノルタ株式会社製)]を用いてスクリーン
の最大輝度(K)を測定した。次に、セットした総ての
スクリーンを外し、スクリーン位置での最大照度(S)
を照度計(ミノルタ株式会社製)で測定した。ゲインの
算出は、次式で行った。
【0045】 ゲイン=最大輝度(K)×3.14/最大照度(S) (3)コントラストの評価 プロジェクションテレビ本体のフレネルレンズ、レンチ
キュラースクリーンの前に、作成したレンチキュラース
クリーンを置いた。置き方は、先に本体に取り付けられ
ているレンチキュラースクリーンのレンチキュラーレン
ズが上下方向であるので、作成したレンチキュラースク
リーンのレンチキュラーレンズが、それと直角になり、
光吸収層が観察者側に向く方向とした。プロジェクショ
ンテレビに信号発生器[「Model−435YC」テ
ストシグナルジェネレーター(リーダー電子社製)]よ
り1%ブラックウィンドウの信号を与え、ブラックの輝
度値(B)を測定した。ブラックウィンドウを一個分横
にずらし、ホワイト部分の輝度値(W)を測定し、その
比を、コントラスト=W:Bとして算出した。
【0046】(4)解像度の評価 作成したレンチキュラースクリーンをフレームにセット
し、レンズ側の後方1m離れた位置に設置した投影機に
解像度評価テストチャートのスライドをセットし、レン
チキュラースクリーンのレンズ側から投影し、中央部の
解像度のくさびの見分けられる線数を読むことで行っ
た。
【0047】(5)位相差の測定 レンチキュラーレンズの1周期と光吸収層のピッチの位
相差を測定する。評価箇所はレンチキュラースクリーン
の中心部とし、これをサンプリングして、入射光側のレ
ンチキュラーレンズの中心と出射光面の中心を万能工具
顕微鏡[「TUM−170EH」(トプコン社製)」を
用いて、倍率200倍で位相差を測定した。
【0048】(6)耐衝撃強度の評価 JIS・K・5400に基づき、デュポン衝撃試験機
(東洋精機製作所社製)を用いて50%の破壊エネルギ
ーを測定した。撃ち型及び受け台は、1/4インチを用
いた。所定の高さよりピンを抜くことでおもりを落下さ
せて撃ち型に衝撃させた。また、レンズ層が受け台側に
くるようにサンプルを置いた。おもりは100gを用
い、撃ち型先端より衝撃を加えることで試験した。この
とき、サンプルが割れた場合には高さを2.5cm下
げ、サンプルが割れない場合には2.5cm上げて試験
を行った。このようにして割れた回数と割れなかった回
数が10回ずつとなる連続20回の試験点を選んだ。そ
のときの平均の高さを平均値より求め、この平均の高さ
と用いたおもりの重さ100gより、50%破壊エネル
ギーを求めた。
【0049】実施例1 先ず、図3に示した構造の積層レンチキュラーシートを
作成した。レンチキュラーレンズの曲率は0.75m
m、ピッチは0.55mmとし、積層体全体の厚みは
2.0mm、レンズ層の厚みは1.9mm、拡散層の厚
みは0.1mmとした。
【0050】透明層及び拡散層に用いる透明樹脂として
は、屈折率計(アタゴ社製「アッベ式屈折率計・typ
e3」)を用い、ナトリウムD線を用いて測定する方法
で確認した屈折率Nmが1.49のアクリル樹脂と耐衝
撃性アクリル樹脂を用いた。耐衝撃アクリル樹脂として
は、メチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重
合体からなる連続相中にブチルアクリレートを主成分と
したアクリル酸エステルエラストマーを分散させた「デ
ルペットSR7175」(旭化成工業社製)を用いた。
【0051】拡散層に用いる拡散材としては、スチレン
モノマーとメチルメタクリレートの重合比を4:6と
し、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート
を5wt%添加して重合させて得られたスチレン−アク
リル系架橋共重合体微粒子であって、上記屈折率計を用
い、ナトリウムD線を用いて測定する方法で、屈折率N
dが1.53(透明樹脂との屈折率差:|Nd−Nm|
=0.04)のものを、界面活性剤水溶液中に超音波で
分散させ、遠心式自動粒度分布測定装置[「CAPA−
700型」(堀場製作所社製)]を用いて、光透過型沈
降粒度分布測定法により粒子径分布を測定し、さらに、
粒子の沈降速度の差を利用した沈降分級法と遠心力を利
用した遠心分級法を組み合わせた方法で、重量平均粒径
5.0μmになるように粒子の分級を行なったものを用
いた。得られた拡散材を8.0wt%濃度で上記透明樹
脂と配合し、タンブラーもしくはヘンシェルミキサーを
用いて均質に混合後、30mmφのベント付押出機にて
樹脂温度250℃で溶融混練し、ペレット化したものを
拡散層に用いた。
【0052】上記のように調整した原料ペレットと図1
0のような押出成形機を用い、共押出成形法により積層
レンチキュラーシートを製造した。この押出成形機は、
拡散層を押し出すための直径20mm、L/D=32の
サブ押出機6と、レンズ層部分を押し出すための直径4
0mm、L/D=32のメイン押出機7とを備えてお
り、両者を用いて共押し出しを行なった。ポリッシング
ロール8,9,10の温度は、上、中、下段とも70℃
にし、ダイス11は2種2層のフィードブロック式、リ
ップ開度は4.0mm、押出機温度は265℃とした。
積層レンチキュラーシート全体の厚みはポリッシングロ
ール8,9,10間のクリアランスで2.0mmを目標
に調整し、あらかじめレンチキュラーレンズの形状が加
工されている中段のポリッシングロール9と上段のポリ
ッシングロール8の間に押し出しを行い、拡散層3の厚
みは押出成形機の押し出し量で調整を行った。
【0053】このように共押出成形した積層レンチキュ
ラーシートに対して光吸収層を形成するにあたり、ネガ
型の感光性樹脂を用いた。
【0054】先ず、積層レンチキュラーシートの共押出
成形中に、図10に示す引取ロール12,12の前で、
拡散層面全体に、ネガ型の感光性樹脂[「AQ−403
N」(旭化成工業社製)をコーティングした感光性樹脂
付フィルム13をホットラミネートして、ネガ型の感光
性樹脂層を形成した。次いで、積層レンチキュラーシー
トの入射光面側から、スリット及び偏光板を用いて平行
光に調整した、5KWの超高圧水銀灯を光源とした露光
用光を照射し、レンチキュラーレンズにより一定幅に集
光して通過させることで、画像光透過領域のネガ型の感
光性樹脂層を3分間露光した。この後、ラミネートした
フィルムを剥離し、未露光部分、即ち入射光面側からの
露光用光が通過していない画像光非透過領域部分の未硬
化のネガ型の感光性樹脂を、30℃、1.0重量%濃度
の炭酸ナトリウム水溶液をスプレーすることで除去して
現像した。さらに水洗、乾燥を行った後、感光性樹脂層
に形成されたストライプ状の凹部に、スクリーン印刷に
より黒インキを埋設し、光吸収層を形成した後、50
℃、3.0重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で、露
光硬化して残留している感光性樹脂層を剥離し、水洗、
乾燥して、図1に示すようなレンチキュラースクリーン
を製造した。
【0055】得られたレンチキュラースクリーンについ
ての評価及び測定結果を表2に示す。
【0056】実施例2 実施例1と同様にして作成した積層レンチキュラーシー
トに光吸収層を形成するにあたり、ポジ型の感光性樹脂
を用いて光吸収層を形成した。
【0057】先ず、積層レンチキュラーシートの拡散層
面全体に、ポジ型の感光性樹脂[「ZPP−3000」
(日本ゼオン社製)]を均一に塗布し、乾燥して、ポジ
型の感光性樹脂層を積層形成した。次いで、積層レンチ
キュラーシートの入射光面側から、スリットおよび偏光
板を用いて平行光に調整した、2.0KWの水銀灯を光
源とした露光用光を照射し、レンチキュラーレンズによ
り一定幅に集光して通過させることで、画像光透過領域
の感光性樹脂層を5分間露光した。この後、アルカリ現
像を行い、露光部分、即ち入射光面側からの露光用光が
通過した画像光透過領域の露光分解されたポジ型の感光
性樹脂を剥離除去することで現像した。この後、水洗
し、2.0KWの水銀灯で10分間後露光し、乾燥を行
った後、残されたストライプ状の感光性樹脂層の凸条上
面に黒色インキをスクリーン印刷して光吸収層を形成
し、図2に示されるようなレンチキュラースクリーンを
製造した。
【0058】得られたレンチキュラースクリーンについ
ての評価及び測定結果を表2に示す。
【0059】実施例3 実施例1と同様にして作成した積層レンチキュラーシー
トに光吸収層を形成するにあたり、実施例1と同様にネ
ガ型の感光性樹脂を用いたが、露光用光の入射角度を変
えて露光を行った。
【0060】積層レンチキュラーシートの入射光側か
ら、スリットおよび偏光板を用いて平行光に調整した、
5KWの超高圧水銀灯を光源とした露光用光を、レンズ
面に対して78度傾けた角度を中心として、±6度前後
に振りながら照射し、レンチキュラーレンズにより一定
幅に集光して通過させることで、画像光非透過領域の感
光性樹脂層を3分間露光した。この後、ラミネートした
フィルムを剥離し、未露光部分、即ち入射光面側からの
露光用光が通過していない画像光透過領域に残された未
硬化感光性樹脂を、30℃、1.0重量%濃度の炭酸ナ
トリウム水溶液をスプレーすることで除去して現像し
た。さらに水洗、乾燥を行った後、残されたストライプ
状の感光性樹脂層の凸条上面に黒色インキをスクリーン
印刷して光吸収層を形成し、図2に示されるようなレン
チキュラースクリーンを製造した。
【0061】得られたレンチキュラースクリーンについ
ての評価及び測定結果を表2に示す。
【0062】実施例4 実施例1と同様にして作成した積層レンチキュラーシー
トに光吸収層を形成するにあたり、実施例2と同様にポ
ジ型の感光性樹脂を用いたが、露光用光の入射角度を変
えて露光を行った。
【0063】積層レンチキュラーシートの入射光側か
ら、スリットおよび偏光板を用いて平行光に調整した、
2KWの水銀灯を光源とした露光用光をレンズ面に対し
て78度傾けた角度を中心として、±6度前後振りなが
ら照射し、レンチキュラーレンズにより一定幅に集光し
て通過させることで、画像光透過領域の感光性樹脂層を
5分間露光した。この後、アルカリ現像を行い、露光部
分、即ち入射光面側からの露光用光が通過した画像光通
過領域の露光分解されたポジ型の感光性樹脂を剥離除去
することで現像した。この後、水洗し、2KWの水銀灯
で10分間後露光し、乾燥を行った後、感光性樹脂層に
形成されたストライプ状の凹部に、スクリーン印刷によ
り黒インキを埋設し、光吸収層を形成し、レンチキュラ
ースクリーンを製造した。
【0064】得られたレンチキュラースクリーンについ
ての評価及び測定結果を表2に示す。
【0065】実施例5〜8 図3に示す積層レンチキュラーシートのパラメータを表
1のように種々変化させて、積層レンチキュラーシート
を実施例1と同様に共押出で成形し、この積層レンチキ
ュラーシートに対し、光吸収層をネガ型感光性樹脂を用
いた実施例1と同様の方法で形成してレンチキュラース
クリーンを製造した。
【0066】拡散材としては、スチレンモノマーとメチ
ルメタクリレートの重合比を8対2とし、架橋剤として
エチレングリコールジメタクリレートを5wt%添加し
て、実施例1と同様にして重合させて得られたスチレン
−アクリル系架橋共重合体微粒子であって、実施例1と
同様の測定方法による屈折率Ndが1.55のものを界
面活性剤水溶液中に超音波で分散させ、実施例1と同様
にして、重量平均粒径5.0μmになるように粒子の分
級を行なったものを用意した。また、スチレンモノマー
とメチルメタクリレートの重合比が4対6とした以外は
上記と同様で、同様の測定方法による屈折率Ndが1.
53のスチレン−アクリル系架橋共重合体微粒子を上記
と同様の方法で分級して重量平均粒径20.0μmとし
た拡散材も用意した。これらの拡散材を、表1に示す配
合で、タンブラーもしくはヘンシェルミキサーを用いて
均質に混合後、30mmφのベント付押出機にて樹脂温
度250℃で溶融混練し、ペレット化したものを拡散層
に用いた。
【0067】得られたレンチキュラースクリーンについ
ての評価及び測定結果を表2に示す。
【0068】比較例1 図11に示した構造のレンチキュラーシートを作成し
た。レンチキュラーレンズのピッチは0.55mm、レ
ンチキュラーシート全体の厚みは2.0mmとした。
【0069】上記レンチキュラーシートの作成は、アク
リル樹脂[「デルペットLP−1」(旭化成工業社
製)]に、実施例1で用いた拡散材を2.0wt%濃度
で加え、タンブラーもしくはヘンシェルミキサーを用い
て均質に混合後、30mmφのベント付押出機にて樹脂
温度250℃で溶融混練しペレット化した原料を、図1
0に示される、直径40mm、L/D=32のメイン押
出機7を用いて押出成形することで行った。ポリッシン
グロール8,9,10の温度は、上、中、下段とも70
℃、ダイス11は2種2層のフィードブロック式、リッ
プ開度は2.0mm、押出機温度は265℃とした。レ
ンチキュラーシートの厚みは各ポリッシングロール8,
9,10のクリアランスで2.0mmを目標に調整し、
あらかじめレンチキュラーレンズの形状が加工されてい
る中段のポリッシングロール9と、光吸収層3(図12
参照)を設ける凸条14(図11、図12参照)が加工
されている上ロール8の間に押し出しを行い、図11に
示されるように、全体に拡散材2が分散されたレンチキ
ュラーシートを得た。
【0070】このように押出成形したレンチキュラーシ
ートに対して、凸条14の上部にスクリーン印刷で黒イ
ンキの印刷を施し、図12に示されるように、凸条14
上に光吸収層3を設けたレンチキュラースクリーンを製
造した。
【0071】得られたレンチキュラースクリーンについ
ての評価及び測定結果を表2に示す。
【0072】比較例2 図13に示した構造のレンチキュラースシートを、比較
例1と同様の原料及び押出条件で押出成形した。レンチ
キュラーレンズの形状は図10の中段のポリッシングロ
ール9で付与し、拡散材2が全体に分散された図13の
レンチキュラーシートに対して、図14に示されるよう
に、光吸収層3を実施例1と同様の方法で設けてレンチ
キュラースクリーンを製造した。
【0073】得られたレンチキュラースクリーンについ
ての評価及び測定結果を表2に示す。
【0074】表2から明らかなように、実施例1〜7は
いずれも1/3視野角が広く、ゲイン及び解像度も高
く、さらに光吸収層の位相差がほとんど生じていないこ
とから、必要な画像光をカットすることがなく、光の利
用効率が高く、レンチキュラースクリーンとして好まし
いことが分かる。実施例1〜6は透明樹脂に耐衝撃アク
リル樹脂を用いているために、耐衝撃性が高く、より好
ましいことも分かる。
【0075】一方、比較例1、2では拡散材6がスクリ
ーン全面に分散しているために、図12及び図14に示
すような迷光15による画像光のロスが大きく、ゲイン
が下がっている。また、解像度も実施例1〜7に比べる
と劣り、はっきり視認できる線数も少なく、全体にぼや
けた感じとなっていることが分かる。
【0076】比較例1においては、図12に示されるよ
うに、凸条14の上に黒インキによるスクリーン印刷で
光吸収層3を設けたが、凸条14の外向き面全面に印刷
できず、凸条14の傾斜した側面に印刷されていない部
分が残り、そこが外光16を反射することでコントラス
トを低下させていることが判明した。
【0077】また、比較例2においては、図14に示す
ように、光吸収層3を形成する際の露光用光の一部が迷
光15となり、ネガ型の感光性樹脂層の露光幅が広くな
って、現像後の黒インキを埋設する凹部の幅が狭くなっ
てしまい、スクリーン印刷によって形成される光吸収層
3の幅が狭くなってコントラストを低下させていること
が判明した。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
画像のコントラストを向上させる光吸収層を容易にかつ
精度良く設けることができ、しかも視野角を十分に確保
すると共に、光の利用効率を向上させて、これまでにな
い明るく、解像度の高いシャープな映像が得られるレン
チキュラースクリーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレンチキュラースクリーンの一例
を示す断面概念図である。
【図2】本発明に係るレンチキュラースクリーンの他の
例を示す断面概念図である。
【図3】積層レンチキュラーシートを示す断面概念図で
ある。
【図4】積層レンチキュラーシートに感光性樹脂層を積
層した状態を示す断面概念図である。
【図5】感光性樹脂層の露光方法の一例を示す断面概念
図である。
【図6】感光性樹脂層の露光方法の他の例を示す断面概
念図である。
【図7】感光性樹脂層の露光と現像を経て得られるパタ
ーンの一例を示す断面概念図である。
【図8】図7の感光性樹脂層のパターンを用いて光吸収
層を設けた状態を示す断面概念図である。
【図9】感光性樹脂層の露光と現像を経て得られるパタ
ーンの他の例を示す断面概念図である。
【図10】共押出成形の説明図である。
【図11】比較例1で作成したレンチキュラーシートを
示す断面概念図である。
【図12】比較例1で製造したレンチキュラースクリー
ンを示す断面概念図である。
【図13】比較例2で作成したレンチキュラーシートを
示す断面概念図である。
【図14】比較例2で製造したレンチキュラースクリー
ンを示す断面概念図である。
【符号の説明】
1 レンズ層 2 拡散材 3 光吸収層 4 拡散層 5 感光性樹脂層 6 サブ押出機 7 メイン押出機 8 ポリッシングロール 9 ポリッシングロール 10 ポリッシングロール 11 ダイス 12 引取ロール 13 感光性樹脂付フィルム 14 突条 15 迷光 16 外光

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射光面側に突出した複数のレンズを有
    する透明樹脂製のレンズ層の出射光面側に、透明樹脂に
    下記式(I)及び(II)の条件を満たす拡散材が4w
    t%以上20wt%以下の濃度で分散された厚み20〜
    500μmの拡散層が積層され、この拡散層上に積層さ
    れた感光性樹脂層を入射光面側から露光し、現像してパ
    ターン形成し、このパターンを用いて黒色化することで
    形成された光吸収層を有することを特徴とするレンチキ
    ュラースクリーン。 0.01≦|Nd−Nm|≦0.2 …(I) (Ndは拡散材の屈折率、Nmは拡散層の透明樹脂の屈
    折率を示す。) 1μm≦Dd≦20μm …(II) (Ddは拡散材の平均粒径を示す。)
  2. 【請求項2】 請求項1のレンチキュラースクリーンの
    光吸収層を形成するに際し、ネガ型の感光性樹脂を用
    い、この感光性樹脂層の画像光透過領域を入射光面側か
    ら露光した後、画像光非透過領域の未露光感光性樹脂を
    除去する現像を行ってパターン形成し、この未露光感光
    性樹脂が除去された部分を黒色化して光吸収層を形成し
    た後、残留する画像光透過領域の感光性樹脂層を除去す
    ることを特徴とするレンチキュラースクリーンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1のレンチキュラースクリーンの
    光吸収層を形成するに際し、ネガ型の感光性樹脂を用
    い、この感光性樹脂層の画像光非透過領域を入射光面側
    から露光した後、画像光透過領域の未露光感光性樹脂を
    除去する現像を行ってパターン形成し、残留する画像光
    非透過領域の感光性樹脂層を黒色化して光吸収層を形成
    することを特徴とするレンチキュラースクリーンの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1のレンチキュラースクリーンの
    光吸収層を形成するに際し、ポジ型の感光性樹脂を用
    い、この感光性樹脂層の画像光非透過領域を入射光面側
    から露光した後、画像光透過領域の露光分解した感光性
    樹脂を除去する現像を行ってパターン形成し、残留する
    画像光非透過領域の感光性樹脂層を黒色化して光吸収層
    を形成することを特徴とするレンチキュラースクリーン
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1のレンチキュラースクリーンの
    光吸収層を形成するに際し、ポジ型の感光性樹脂を用
    い、この感光性樹脂層の画像光非透過領域を入射光面側
    から露光した後、露光分解した画像光非透過領域の感光
    性樹脂を除去する現像を行ってパターン形成し、この露
    光分解した感光性樹脂が除去された部分を黒色化して光
    吸収層を形成した後、残留する画像光透過領域の感光性
    樹脂層を除去することを特徴とするレンチキュラースク
    リーンの製造方法。
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