JP4385646B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の入射角度に応じて散乱性が異なる(あるいは、入射角度選択性を持つ)ような光学的異方性を有する光散乱フィルムを適用して表示画像の視認性(明るさやコントラストなど)を向上したり、表示装置の消費電力を軽減することが実現される表示装置に関する。
【0002】
上記の表示装置としては、バックライトやエッジライトなどの特殊光源を必要とせず、周辺光(日光や室内照明光など)からの反射光を表示光とするタイプの「反射型液晶表示装置」や、前記の特殊光源を擁するタイプの「透過型液晶表示装置」が含まれるが、特に本発明では、カラーフィルタを備えるフルカラー画像の表示が可能な反射型液晶表示装置への適用が有効であり、以降は主として前記の反射型液晶表示装置について説明する。
【0003】
【従来の技術】
液晶表示装置は、その基本構造として、対向する2枚の透明基板(一般に、ガラス基板)のそれぞれの内面に電極(一般に、透明導電層からなる上部電極と、反射性金属からなる下部電極が、それぞれパターニングされてなる),および配向膜が順次形成され、その間隙に液晶が封入された液晶セルを有しており、その液晶セルの両側にそれぞれ偏光板が配置されて、液晶パネルの主要部が構成されており、更に一方の偏光板の外側に白色光源(バックライト)が配された構造を有している。
【0004】
また、フルカラー画像を表示するカラー液晶表示装置にあっては、上記一対の電極の何れか一方にカラーフィルタを配置する。
カラーフィルタは、光の3原色に応じて、赤色(R)の波長領域の光を選択的に透過するRフィルタ,緑色(G)の波長領域の光を選択的に透過するGフィルタ,及び青色(B)の波長領域の光を選択的に透過するBフィルタからなる。
【0005】
画像表示を行う際、対向する透明電極間に電圧を印加することにより電極基板間に封入された液晶の配向状態を変化させて、この液晶を透過する光の偏光面を制御すると共に、偏光板によりその透過/不透過を制御している。
【0006】
液晶表示装置では、観察の際の視野角を確保する(すなわち、表示装置の前面には、明るく表示画像を見せる)ことや、表示画面の全面に渡って均一な明るさで表示画像を見えるようにする目的で、装置の前面に光散乱フィルムを配置することが行なわれている。
【0007】
本出願人は、
各種の視野角制御フィルムのうち、光散乱の異方性(前方散乱または後方散乱,入射角度選択性,出射角度の指向性)を制御可能とし、観察位置によって表示光の色変化が少ない異方性散乱フィルムとそれを用いた液晶表示装置に係る提案を行なっている。(例えば、特許文献1参照)
【0008】
前記提案では、フィルム内部に、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布することにより、屈折率の高低からなる濃淡模様が形成されており、その屈折率の異なる部分が、フィルムの厚さ方向に対して傾斜して層状に分布している構造の光散乱フィルムを採用する。
【0009】
上記提案で採用されるフィルムは非ホログラフィックな光散乱フィルムであるが、ホログラムを視野角制御フィルムとして採用する提案も行なわれている。(例えば、特許文献2参照)
【0010】
特許文献2による提案は、液晶パネルを介して反射面とは反対側の観察者側に透過型ホログラムが配置された構成の反射型液晶表示装置である。
また、前記ホログラムが体積位相透過型ホログラムであり、
前記ホログラムが有する角度選択性により、入射する照明光は回折せずに透過し、出射する表示光を透過回折(拡散回折に係る記載もある)することも、前記提案では開示されている。
【0011】
また、液晶表示装置は、低消費電力で軽量化が可能という特徴を活かし、モバイル機器等の携帯用表示装置への利用が期待されている。
【0012】
しかし、光源内蔵式透過型液晶表示装置では内蔵した光源(ランプ)による消費電力が大きく、例えば、CRTやプラズマディスプレイ等の表示装置より消費電力は少ないが、略同等の電力を消費する。
従って、電池の占める割合が大きくなり装置が重く、かさばることになる。即ち、光源内蔵式透過型液晶表示装置は液晶表示装置が本来有すべき利点を活かしきれているとはいえない。
【0013】
このため、光源を内蔵しない反射型液晶表示装置が注目されている。反射型液晶表示装置は、背面側電極基板に光反射機能を有する反射板もしくは液晶駆動用電極と光反射板を兼用させた反射電極を配設し、観察者側電極基板(液晶を挟持する一対の基板のうち、観察者側に位置する電極基板)側から室内光や自然光等の外光を液晶表示装置内に入射させ、この入射光を前記光反射板もしくは反射電極で反射させ、この反射光を観察者側電極基板より射出することで画面表示を行うものである。
反射型液晶表示装置では、さらなる低消費電力を実現でき、また、光源を内蔵しない分、装置を小型、軽量、薄型とすることができ、携帯用表示装置として適している。
【0014】
反射型液晶表示装置においては、携帯用として使用場所を選ばない以上、室内照明光や自然光等の外光があらゆる角度で入射することを想定しなければならず、同時に、特定の領域のみの光源も想定しなくてはならない。
従って、明るく鮮明で適度の視野角を有する画面表示を得るため、装置内に入射した光を効率良く液晶に導入し、反射した光を効率良く観察者の位置に導き、且つ入射光を散乱させる機能を持たせることが必要となる。
【0015】
反射型液晶表示装置において、入射光を散乱反射させて表示光として射出する方式を、図1〜図3を用いて説明する。
【0016】
図1に示す背面散乱膜付の反射型液晶表示装置200は、最も基本的な構造であって、液晶セル内部には光散乱反射機能はなく、外部に光散乱膜210および反射板203を配置した構成である。
【0017】
透明基板201と透明基板209の間にカラーフィルタ204、液晶駆動用の透明電極205、液晶202、および透明電極206を形成し、光散乱反射機能は表示装置の外部に持たせられる。
即ち、背面側電極基板208の外側に、光散乱膜210と反射板203を配設し、観察者側電極基板207より入射した光214は、背面側電極基板208を通過した後、光散乱膜210と接した反射板203で折り返し再度光散乱膜210を通過して散乱光215になり表示装置内に戻る。
【0018】
図1に示す背面散乱膜付の反射型液晶表示装置200は、製造方法が平易である反面、光散乱反射機能を担う光散乱膜210および反射板203が、画像表示を担う液晶202と透明基板209の厚み分だけ離れているので解像性を劣化させている。
【0019】
図2に示す前面散乱膜付の反射型液晶表示装置300では、前面に光散乱膜309を配設し光散乱を生じさせている。即ち、観察者側電極基板307を構成する透明基板301の観察者と相対する面に光散乱膜309を配設しており、透明基板301の他方の面にカラーフィルタ304と液晶駆動用の透明電極305を順次積層している。
背面側電極基板308には光反射板と液晶駆動用の電極を兼用させた反射電極303を配設しており、観察者側電極基板307と背面側電極基板308とで液晶302を挟持している。反射電極303は平坦な表面であり、反射電極に入射する光を正反射させるもので、光散乱は観察者側電極基板307上に設けた光散乱膜309で行われる。
【0020】
図2に示される光散乱現象で、入射光314が光散乱膜309に対して入射する際に生じる光散乱が「前方散乱」であり、表示装置内で反射してきた光が再度光散乱膜309に対して入射する際に生じる光散乱が「後方散乱」である。
光散乱膜309に異方性の光散乱特性(特定角度での入射光についてのみ、光散乱を生じる特性)がなく、等方性の光散乱特性(特定角度での入射光に限らずあらゆる角度での入射光について、同様に光散乱を生じる特性)を有する場合、表示装置への入射時,表示装置からの射出時の双方で、同様に光散乱が生じることになり、図2に示す前方散乱光317と後方への散乱光316が存在する。
図2に示す前面散乱膜付の反射型液晶表示装置300では、後方への散乱光316は液晶302を通過せずに戻る光であり、画面表示に寄与しないだけでなく画面のコントラストを低下させる原因になる。
【0021】
図1に示す背面散乱膜付の反射型液晶表示装置200および図2に示す前面散乱膜付の反射型液晶表示装置300に共通して、光を散乱させる場所が液晶とは透明基板を挟む距離にあるため、図2の背面側電極基板208、あるいは図3の観察者側電極基板307の厚みによって解像性が劣化するので高精細の表示装置には不向きである。
通常、透明基板209、或いは透明基板301の厚みの数百μm程度に対し、画素サイズは数十μmであり、解像性を著しく劣化させる。このことはモバイル機器等の小型携帯用表示装置にとっては致命的弱点になりかねない。
【0022】
図3に示す散乱反射板付きの反射型液晶表示装置400においては、透明基板401に透過光を所定の色に着色させるためのカラーフィルタ404および液晶駆動用の透明電極405を順次積層した観察者側電極基板407と背面側電極基板408とで液晶402を挟持している。
背面側電極基板408には、光反射板と液晶駆動用の電極とを兼用させた反射電極403を配設している。反射電極403の表面を凹凸に形成することで反射電極403に入射する光を散乱光として反射させている。
【0023】
図3に示す光の散乱方式では、入射光が反射電極で一部吸収される以外は、光の損失が無いため、光の利用効率が優れ且つ後方散乱がないのでコントラストの低下が少ない。
しかし、反射電極403の表面凹凸の形成にあたり、フォトリソグラフィー法、即ち感光性樹脂の塗布・露光・現像・焼成・金属薄膜形成等の処理工程を用いなければならないため、製造工程数の増加,製造歩留まりの低下等、製造コストの上昇が避けられない。
【0024】
本出願人は、上述の特許文献1,2で説明したような、液晶パネル(2枚の透明基板で挟持された構造)の外側に光学フィルムを採用する提案だけでなく、図1〜図3で説明したような、カラーフィルターを含む液晶パネル内に光散乱膜を配置した構成の反射型液晶表示装置に係る提案も行なっている。(例えば、特許文献3参照)
【0025】
【特許文献1】
特開2000−171619号公報
【特許文献2】
特開平11−84372号公報
【特許文献3】
特開2001−194514号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような図1〜図3に示す何れの方式においても、光散乱膜による光散乱特性は等方性であり、光散乱に指向性を持たせることはできず、表示画像が良好に視覚可能な方向・範囲を、光散乱膜によって規定することはできない。
【0027】
他方、上述した特許文献1,2に示される、光散乱に異方性を有する光学フィルムを用いた場合では、光散乱に指向性も持たせることが可能であるため、上記の課題は解消される。
しかしながら、上記光学フィルムを用いることにも課題があり、上記光学フィルムは、主に回折散乱やレイリー散乱によって光を拡散するために、拡散光が黄色く着色する場合が多く、また、横方向からの入射光(異方性に合致しない角度での入射光)に対しての拡散性が小さくなるという問題がある。黄色味の生じる原因は、青成分(短波長)の光が大きく散乱し、補色関係にある黄色成分の光が余り散乱せずに観察者に至るためである。
従って、異方性光拡散体を用いた液晶表示装置もまた、黄色味を帯びたり、像が暗くなってしまうという問題がある。
【0028】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、等方性の光拡散体と異方性の光拡散体とを光学的に重ね合わせることによって光拡散特性を調整し、もって、黄色味を帯びることなく、かつ、明るい表示画面を実現することが可能な光拡散体を適用した液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明による液晶表示装置は、
透光性樹脂内に、前記樹脂とは屈折率の異なり表面が滑らかであり、その表面が凸面と平面から構成されている光拡散性微粒子を分散混合してなる構成の光学的等方性の光散乱性を有する光散乱層を、内部に一体化してなるカラーフィルターを備える液晶表示装置において、
入射角度選択性および拡散回折特性を有する体積位相透過型ホログラムからなる光学的異方性を有する光散乱フィルムを、何れかの箇所に配置してなる構成であることを特徴とする。
【0030】
請求項2の発明による液晶表示装置は、
透光性樹脂内に、前記樹脂とは屈折率の異なり表面が滑らかであり、その表面が凸面と平面から構成されている光拡散性微粒子を分散混合してなる構成の光学的等方性の光散乱性を有する光散乱層を、内部に一体化してなるカラーフィルターを備える液晶表示装置において、
光学的異方性を有する非ホログラフィックな光散乱フィルムを、何れかの箇所に配置してなる構成であることを特徴とする。
【0031】
請求項3の発明による液晶表示装置は、
透光性樹脂内に、前記樹脂とは屈折率の異なり表面が滑らかであり、その表面が凸面と平面から構成されている光拡散性微粒子を分散混合してなる構成の光学的等方性の光散乱性を有する光散乱層を、内部に一体化してなるカラーフィルターを備える液晶表示装置において、
対向する2枚の透明基板それぞれの内面に電極,および配向膜が順次形成され、その間隙に液晶が封入された液晶セルを有しており、
前記電極の一方は透明導電層からなる上部電極であり、他方は反射性金属からなる下部電極であり、
前記カラーフィルタは、何れか一方の透明基板に直接配置してなり、かつ前記カラーフィルタの形成される側の電極は、前記カラーフィルタ上にパターニングされており、
観察側(上部電極側)の透明基板の表面(上部電極と反対側)に、光学的異方性を有する光散乱フィルムを配置してなる構成であることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
光学的異方性の光散乱フィルム(光拡散フィルムと同義)の機能(光学特性)や製造方法に係る説明は、上記の特許文献1と共通し、光学的等方性の光散乱層の機能(光学特性)や製造方法に係る説明は、上記の特許文献3と共通する。
【0033】
<光学的異方性の光散乱フィルム>
図4は、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布して、屈折率の高低(同図では、黒と白で表現する)からなる濃淡模様が形成された光散乱フィルム1を示す説明図であり、図4(a)が平面図,図4(b)が断面図である。
【0034】
図4(a)から分かるように、屈折率の異なる部分の形状は横長である。また、図4(b)から分かるように、屈折率の異なる部分は、フィルムの厚さ方向に対して傾斜して層状に分布した構造である。
図4では、屈折率の異なる部分が、層状に傾斜している方向については、屈折率の分布は一様(傾斜方向では、色が変化していない)である。
【0035】
図5は、別の実施形態に係る光散乱フィルム1を示す説明図であり、図5(a)が平面図,図5(b)が断面図である。図5では、屈折率の異なる部分の形状は縦長であり、また、屈折率の異なる部分が、層状に傾斜している方向については、屈折率の分布は不規則(傾斜方向でも、色が変化している)である。
【0036】
図4,図5の光散乱フィルムの光学特性について、まず、断面図で考える。
屈折率の異なる部分が層状に分布した上記傾斜方向に沿った角度(フィルムの垂線から角度θをなす、図の矢印2の方向)で入射する光に対しては、光散乱が生じることになる。
【0037】
上記傾斜方向とは垂直な角度(図の矢印3の方向)で入射する光に対しては、単なる透明フィルムとして機能し、入射光は散乱されずに出射する。
【0038】
次に、平面図で考えると、屈折率の異なる部分の形状が縦長(あるいは、横長)であると、その部分に入射する光が散乱出射する場合には、それぞれの部分からの出射光の光散乱特性が、横長(あるいは、縦長)となるような異方性を持つ。
図4では形状が横長であるから出射光は縦長に散乱し、図5では形状が縦長であるから出射光は横長に散乱することになる。
【0039】
以下、本発明の光散乱フィルムを作製する手段の一例について説明する。本発明の光散乱フィルムは光学的な露光手段により作製することができる。
【0040】
図6は、図4に示す構造の光散乱フィルムを、ランダムマスクパターンを利用して作製する光学系の一例を示す説明図である。
UV光源15から出た紫外光をコリメート光学系16により平行光17とし、マスク原版18を照射する。マスク原版18は、ガラス基板20とランダムパターンであるクロムパターンとからなる。
【0041】
マスク原版18のUV照射側とは反対の面には感光材料19を密着して配置しており、マスク原版18のパターンを感光材料19に露光照射する。
この際、図示のようにUV平行光17とマスク原版18は所定角度αだけ傾いて配置されているため、パターン露光は感光材料19中で、所定角度傾いてなされることになる。この角度が、光散乱フィルム中の屈折率の異なる部分の傾斜角度(すなわち、入射角度依存性の散乱ピーク角度θ)に相当しすることになるので、前記角度は用途に応じて0〜60°程度の範囲内で適宜選択される。
【0042】
また、ここで使用する感光材料19は、UV光の露光部と未露光部との屈折率の変調度で記録できる感光材料であり、記録しようとする濃淡模様より高い解像力を持ち、その厚みの方向にもパターンを記録できるような材料である必要がある。
【0043】
光散乱フィルムは、後工程で液晶パネルに組み込まれる際、液晶パネルを構成する部材と粘着剤を介して積層される場合もあるが、それ自身に粘着性があっても良く、光散乱フィルムを構成する感光材料(光重合性ポリマー)は、露光記録(作製)後にも、表面の粘着性を残すものであっても良い。
【0044】
光重合性ポリマーとしては、例えば、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、あるいは臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、(B)ラジカル重合性を有する化合物と、(C)分子内に少なくともひとつのカチオン重合性基を有した化合物、(D)化学放射線によってラジカル種を発生する光重合開始剤からなる組成物を挙げることができる。
【0045】
上記光重合性ポリマーを重合すると、(B)ラジカル重合性を有する化合物の屈折率が、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、あるいは臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び(C)分子内に少なくともひとつのカチオン重合性基を有した化合物より低い構成となる。
【0046】
ここで、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、あるいは臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂の、エポキシ当量は、400〜5000の範囲が好適である。 そして、(A)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、あるいは臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対して、(B)ラジカル重合性を有する化合物を20〜80重量部配合してあることが好ましい。
【0047】
上記のような光重合性ポリマーでは、露光記録された製造物にも、未反応の光硬化性樹脂(モノマー)を含む場合が多く、一般的には、未反応の光硬化性樹脂(モノマー)を重合部分に移動させる目的で加熱処理が行なわれている。
モノマーとして、未反応では粘着性を有する材料を選択することにより、露光記録された光散乱フィルム自身に、加熱処理を控えることにより、粘着性を付与することが可能となる。
【0048】
未反応では粘着性を有するモノマーとして、アクリル系モノマー,シリコーン系モノマーが挙げられる。このモノマーを、通常より過剰に配合することにより、光散乱フィルム自身に粘着性が保持されることになる。
【0049】
<光学的異方性の光散乱フィルム(2)>
上記は、非ホログラフィックな光学フィルムに係る説明であるが、本発明ではホログラフィックな光学フィルムも採用可能である。
【0050】
ホログラムでは、撮影方法や被写体(露光記録される光)に応じて、入射光を所望の出射光とすることが可能である。その際の出射光とは、ホログラムからの回折光(再生光)であり、ホログラム撮影記録の際の物体光(被写体からの光)
【0051】
上記関係によって、特定角度(方向)からの入射光に対してのみ、特定角度(方向)への回折光を出射するようなホログラムの光学特性(異方性=角度選択性)が規定される。
【0052】
透過型ホログラムを液晶パネル表面側(観察者側)に配置することで、反射型液晶表示装置の表示出射光を透過回折させ、所望の方向に所望の散乱性にて出射することが可能で、結果として明るく見易い反射型液晶表示装置を提供することができる。
【0053】
また、ホログラムを体積位相透過型ホログラムとすることで、前記ホログラムが有する角度選択性により、反射型液晶表示装置に入射する照明光は回折せずに透過し、出射する表示光だけをホログラムで回折することができ、光の利用効率が高く最適な角度と散乱性にて、より明るく見易い反射型液晶表示装置を提供することができる。
【0054】
<光学的等方性の光散乱層>
まず、本発明の原理並びに本発明の光散乱膜について順次説明する。図7は、従来構成に係る光散乱膜を概略的に示す断面図である。
【0055】
図7に示す光散乱膜104は、透明樹脂121と、この透明樹脂121中に分散された透明粒子122とで構成されている。これら透明粒子122の形状は、一定ではなく不定形である。すなわち、これら粒子は、表面形状が不規則で滑らかではなく、凹部と凸部とを有している。また、優れた光散乱性を得るために、一般的に、透明樹脂121と透明粒子122とには、互いに屈折率が異なる材料が用いられる。
【0056】
光散乱膜104に光111を照射すると、光111の進行方向の前方に出射する散乱光である前方散乱光113と、光111の進行方向とは反対側に射出する散乱光である後方への散乱光114とが生ずる。
以後、「後方への散乱光」も「後方散乱光」として表記する。
なお、参照番号117は直進光を示している。
また、後方散乱光114は、透明樹脂121と透明粒子122との界面で生じる反射により入射側に戻る反射光と、透明粒子122の内部に入射した光が透明粒子122の内部で全反射を繰り返した後に入射側に戻る光との和で構成されている。
【0057】
光散乱膜104に入射する光111の一部が後方散乱を生ずることは避けられない。しかしながら、透明粒子122の形状が後方散乱光の発生に大きな影響を与えているものであり、すなわち、透明樹脂121中に分散させた透明粒子122の形状が不定形であると、入射光111が透明粒子122の界面に衝突する回数が増加し、それら衝突のつど反射光成分が発生するため、後方散乱が多くなるのである。
【0058】
また、透明粒子122が不定形であり且つ透明粒子122の屈折率が透明樹脂121の屈折率よりも大きい場合は、透明粒子122内に入射した光は透明粒子122の内部で全反射を繰り返して後方へと戻る機会が増加する。この場合、光散乱性を高めるために透明樹脂121の屈折率に対する透明粒子122の屈折率の比を大きくすると、透明粒子122の界面での反射率が高くなり且つ透明粒子122の内部での全反射に起因して後方に戻る光が増加するため、後方散乱はさらに増加することとなる。
【0059】
一方、透明粒子122が不定形であり且つ透明樹脂121の屈折率が透明粒子122の屈折率よりも大きい場合は、透明粒子122の内部での全反射は生じない。しかしながら、光が透明樹脂121から透明粒子122に入射する際に透明粒子122への光の入射角が臨界角以上であった場合、その光は透明粒子122の表面で全反射される。透明樹脂121の屈折率が透明粒子122の屈折率よりも大きい場合は、このような全反射が他の透明粒子122でさらに2回以上繰り返されることにより後方散乱が生ずるのである。
【0060】
以上の知見から、本出願人は、光散乱膜に光を入射させた際に後方散乱が発生するのを抑制するには、[1]透明粒子の形状及び[2]透明樹脂の屈折率と透明粒子の屈折率との比を制御することが特に重要であり、[3]光の入射方向から見た透明粒子の断面積及び[4]光散乱膜中の透明粒子の密度を制御することも重要であることに想達した。
【0061】
そこで、まず、後方散乱の発生を抑制し得る透明粒子の形状について検討を行った。その結果、透明粒子の表面が滑らかであり、その滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成されていれば、後方散乱が著しく減少することを見出した。本発明者らは、透明粒子の形状についてさらに検討を進めたところ、透明粒子が対称中心を有している場合、換言すれば、透明粒子の外形が点対称である場合、後方散乱の発生を効果的に抑制することができ、特に、透明粒子が、真球状、楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状、または円盤状である場合に、後方散乱の発生を効果的に抑制することができることを見出した。
【0062】
透明粒子がそのような形状であり且つ透明粒子の屈折率が透明樹脂の屈折率よりも高い場合、透明粒子は凸レンズとして機能して、透明粒子の後方から入射した光を透明粒子の前方に集光させる。一方、透明粒子が上述した形状であり且つ透明粒子の屈折率が透明樹脂の屈折率よりも低い場合、透明粒子は凹レンズとして機能して、透明粒子の後方に焦点があるかのように光を透明粒子の前方に向けて散乱させる。すなわち、いずれの場合においても、不定形な透明粒子を用いた場合に比べて、後方散乱を著しく減少させることができる。
【0063】
図8は、本発明に係る光散乱膜の断面構造を概略的に示す図である。
図8に示す光散乱膜414は、透明樹脂421と、この透明樹脂421中に分散された真球状の透明粒子422とで構成されている。また、図8に示す光散乱膜414では、透明粒子422の屈折率をn1、透明樹脂221の屈折率をn2とすると、不等式n1>n2に示す関係が満たされている。
なお、図8では、透明粒子422は1個のみ描かれているが、実際には、光散乱膜414は多数個の透明粒子422を含んでいる。
また、図8において、各破線は、以下の説明のために描かれた線であって、例えば、破線425は透明粒子422の中心423を通り且つ入射光31a〜31cと直交する直線である。
【0064】
図8に示すように、透明樹脂421に入射した入射光31a〜31cのうち、透明粒子422の中心線上を進行する入射光31aは、散乱されることなく透明粒子422を透過し、直進光432として出射される。
【0065】
光散乱膜414で効率よく光を散乱させるためには、光散乱膜414中に透明粒子422を高密度に充填する必要がある。
また、上述のように、光散乱膜414は厚さが充分に薄いことが望まれる。したがって、光散乱膜414内で透明粒子422が単層構造,二層構造,または三層構造を形成するように光散乱膜414を形成することが好ましい。
【0066】
上記光散乱膜414の透明樹脂421には、例えば、アクリル系透明樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、及びフルオレン樹脂等を使用することができる。フォトリソグラフィ法等を用いて光散乱膜414を所定のパターンに形成する際には、透明樹脂221の材料として、例えば、メタクリル酸、ブチルメタクリレート、及びヒドロキシメタクリレート等からなるアクリル重合体と、アクリルモノマーと、光重合開始剤との混合物のような感光性樹脂組成物を使用することができる。
【0067】
上記光散乱膜414の透明粒子422は、光学的に等方性の材料で構成することが好ましい。透明粒子422が光学的に異方性の材料で構成されている場合、すなわち、透明粒子422が屈折率異方性を有している場合、この粒子422中を進行する光線のそれぞれの偏光面に対応して、透明粒子422は互いに異なる屈折率を有することとなる。そのため、透明粒子422に入射した光は、偏光面が互いに直交する2以上の光成分に分離され、それぞれの光成分は互いに異なる速度で透明粒子422中を進行する。すなわち、透明粒子422を出射した光成分は互いに位相が異なる。そのため、それら光成分を合成してなる光の偏光面が回転する。したがって、この光散乱膜を反射型液晶表示装置に用いた場合には、偏光膜による光透過と遮光との間の制御が困難となり、表示コントラストが低下することがある。また、上記光成分の位相差は波長に応じて異なるため、偏光膜を透過した後の光強度が波長に応じて異なることなり、その結果、表示画像に不所望な着色を生じることがある。
【0068】
これに対し、透明粒子422を、等軸晶系の結晶や非晶質のように光学的に等方性の材料で構成した場合、そのような材料は屈折率異方性を有していないため、上述した表示コントラストの低下や表示画像への不所望な着色を確実に防止することが可能となる。
【0069】
また、上記光散乱膜414の透明粒子422の材料としては、屈折率、入手しやすさ、及び形状の制御しやすさ等を考慮すると、無機化合物や樹脂を用いることが好ましい。特に、無機化合物として無機酸化物を用いた場合或いは樹脂を用いた場合には、透明粒子422を非晶質とすることが容易である。一般に、結晶化し易い材料を用いた場合、得られる粒子はその結晶構造に影響されて不定形となり易い。そのため、結晶化し易い材料を用いて、表面が滑らかであり、その滑らかな表面が凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された透明粒子422を得ることは困難である。それに対し、無機酸化物や樹脂のように非晶質になり易い材料を用いた場合、粒子の形状は表面張力等によって決定されるため、表面が滑らかであり、その滑らかな表面が凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された透明粒子422を容易に得ることができる。なお、透明粒子422の結晶性は、X線回折分析法を用い、結晶面での回折に起因するピークの有無を調べることにより判別することができる。また、透明粒子422として、非晶質の透明粒子と結晶質の透明粒子との混合物を用いる場合は、全透明粒子に対する結晶質の透明粒子の割合を30質量%以下とすることが好ましい。
【0070】
無機酸化物からなる透明粒子422としては、例えば、シリカやアルミナ等からなる粒子を挙げることができる。また、樹脂からなる透明粒子422としては、アクリル粒子やスチレンアクリル粒子及びその架橋体;メラミン−ホルマリン縮合物の粒子;PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、及びETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー粒子;シリコーン樹脂粒子等を挙げることができる。そのような樹脂の中でも、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、及びフッ素系アクリレート樹脂等を用いることが好ましい。また、透明樹脂21の多くは比較的屈折率が低いので、これらの中でも、シリカ粒子やシリコーン樹脂粒子は、屈折率が1.40〜1.45(ハロゲンランプD線589nm)と小さいため特に好適である。
【0071】
上述した透明粒子422には、溶剤に対する分散性を向上させる目的や透明樹脂421に対する分散性を向上させる目的で、適当な表面処理を施すことができる。そのような表面処理としては、例えば、透明粒子422の表面にSiO2、ZrO2、Al2O3、ZnO、透明樹脂、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤やアルミネートカップリング剤のようなカップリング剤、または界面活性剤等を塗布被覆する処理を挙げることができる。また、アルコール、アミン、または有機酸等を用いて透明粒子422の表面で反応を生じさせる処理も挙げることができる。
【0072】
透明樹脂421と透明粒子422との組み合わせに特に制限はないが、光散乱膜414としては、以下の組み合わせを有するもの:(1)屈折率が1.55のアクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.45のシリコーン樹脂粒子が分散された構造の光散乱膜、(2)屈折率が1.45のフッ素系アクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.55のメラミン粒子が分散された構造の光散乱膜、(3)屈折率が1.44のシリコーン系アクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.55のメラミン粒子が分散された構造の光散乱膜、(4)屈折率が1.563のアクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.45のシリコーン樹脂粒子が分散された構造の光散乱膜、(5)屈折率が1.55のアクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.44のシリカ粒子と平均粒径が2.5μmであり屈折率が1.45のシリコーン樹脂粒子とが分散された構造の光散乱膜、(6)屈折率が1.604のフルオレン樹脂を主成分とする混合樹脂中に平均粒径が1.8μmであり屈折率が1.49のアクリル系粒子が分散された構造の光散乱膜、(7)硬化時の屈折率が1.55のエポキシアクリレート樹脂溶液と硬化時の屈折率が1.45のフッ素系アクリレート樹脂溶液とを樹脂分の質量比が4:6となるように混合してなる塗布液を塗布し、さらにその塗膜を硬化することにより得られる光散乱膜、及び(8)硬化時の屈折率が1.55のエポキシアクリレート樹脂溶液と硬化時の屈折率が1.45のフッ素系アクリレート樹脂溶液とを樹脂分の質量比が7:3となるように混合してなる塗布液を塗布し、さらにその塗膜を硬化することにより得られる光散乱膜、等を挙げることができる。
【0073】
上記(1)〜(6)の光散乱膜414は、未硬化の透明樹脂421中に透明粒子222を分散させてなる粒子分散型の塗布液を用いて形成することができる。一方、上記(7)及び(8)の光散乱膜414は、互いに非相溶性(相分離性)を有する樹脂を混合してなる塗布液を調製し、この塗布液を塗布し、それにより得られる塗膜を硬化することにより形成することができる。
【0074】
なお、これら塗布液は、有機溶剤や、分散助剤、レベリング剤、及びカップリング剤のような添加剤を含有することができる。
【0075】
特開2001−194514号公報に開示される上記の光散乱膜では、高温の焼成に対する耐性も十分であり、液晶パネルの製造過程で要する焼成プロセスに対しても変性を招くことがないので、上述のように液晶パネル内に一体化された構造とすることが可能である。
【0076】
図9は、本発明の一実施形態に係る反射型液晶表示装置の構成を概略的に示す説明図である。
観察者側(同図で上側)から順に、ホログラム層/透明基板/カラーフィルター/光散乱膜/透明電極/液晶/反射電極/透明基板を有する構成であり、ホログラム層以降の、一対の透明基板で挟持された部分が液晶パネルである。
【0077】
同図で、ホログラム層に代えて、非ホログラフィックな異方性光散乱層を採用しても良い。
また、光反射層と背面側電極を兼ねる反射電極に代えて、別体としての光反射層を、同図下側の透明基板のさらに背面(下側)に配置した構成であっても良い。
さらに、カラーフィルターの配置箇所は、同図で下側の透明基板表面であっても良い。
【0078】
図9に示す表示装置の製造工程を、構成毎に説明する。
<液晶パネル>
ガラス基板の一方の表面に、既知の顔料分散法により、赤・緑・青の3原色をパターニングしてなるカラーフィルターを形成した。
次いで、カラーフィルター上に、等方性の光散乱性を有する光散乱膜を形成した。
【0079】
光散乱膜は、透明樹脂中に透明微粒子が分散された構造であり、非相溶性の樹脂を混合してなる塗布液を用いて形成した。
すなわち、まず、以下に示すA液、B液、及びC液を44:60:1.2の重量比で混合することにより塗布液を調製した。なお、A液を230℃で60分間焼成することにより得られる透明材料の屈折率は1.55であった。また、B液とC液とを60:1.2の重量比で混合してなる塗布液を用いて得られる塗膜を乾燥させ、さらに230℃で60分間焼成することにより得られる透明薄膜の屈折率は1.45であった。
A液:JSR社製のJSS−319
B液:トリフルオロメタクリレート、ヒドロキシプロピル、メタクリル酸共重合体の固形分20質量%溶液
C液:メラミン樹脂
【0080】
次に、上記塗布液をカラーフィルタ上に滴下し、ガラス基板を毎分800回転の回転速度で5秒間回転させて塗膜を形成した。さらに、この塗膜を乾燥させ、230℃で60分間焼成することにより、厚さ2.0μmの光散乱膜を形成した。
【0081】
形成された光散乱膜の表面はきわめて平坦であり、その平坦性は0.1μm以下であった。また、この光散乱膜は、B液とC液とを原料とし硬化後の屈折率が1.45の透明樹脂中に、A液を原料とし直径が1μm〜4μmであり硬化後の屈折率が1.55の透明粒子が分布した構造を有しており、この光散乱膜のより詳細な観察により、粒径が1μm〜2μmの真球状の透明粒子と、短径が2μm程度であり長径が2μm〜4μmの回転楕円体状の透明粒子とが分布していることが分かった。なお、回転楕円体状の透明粒子は、いずれも、その長径が膜面に平行となるように配向していた。
【0082】
さらに、上述した方法により得られた光散乱膜上に、スパッタリング法によりITOからなる透明電極を形成した。
以上のようにして、上部基板(透明基板に、カラーフィルタと透明電極が形成された構成)を得た。
【0083】
別工程で作製した下部基板(透明基板に、反射電極が形成された構成)とで、液晶層を挟持した構造の反射型液晶表示装置を作製した。
なお、上部基板および下部基板のそれぞれの対向面には配向膜を設け、反射型液晶表示装置の両面には偏光膜を設けた。(図9では、図示を省略する)
【0084】
<ホログラム層>
既知の2ステップ法に基づく撮影記録により、アルゴンイオンレーザ(514.5nm)を使用して、感光材料層(厚さ15μm)を有するフィルムにホログラムを撮影記録した。
ホログラムの有する光学特性(異方性=角度選択性)は、ホログラム平面に対して垂直(法線方向)に入射する光線と、ホログラム平面に対して垂直(法線方向)から30°すれた角度で入射する光線との干渉記録に基づく設計とした。
【0085】
上記ホログラム層を、上記液晶パネルの観察者側の透明基板に積層して、反射型液晶表示装置とした。
積層にあたっては、高温多湿での変性が少ない粘着剤を選定して用いた。
【0086】
得られた反射型液晶表示装置による光学特性を調べるために、村上色彩研究所製の自動半角光度計GP−200型で、各種の射出角度での反射輝度の測定を、図10に示すように、入射角度30°の条件で行なった。
また、日本電色工業(株)製の濁度計NOH2000を用いて、濁度を測定した。
【0087】
また、比較サンプルとして、
1)ホログラム層のない反射型液晶表示装置
2)ホログラム層および液晶パネル内に光散乱膜のない反射型液晶表示装置
3)液晶パネル内には光散乱膜がなく、観察者側にホログラム層を有する反射型液晶表示装置
の3タイプを用意し、上記と同様に、反射輝度,濁度を測定した。
【0088】
反射輝度の測定結果,濁度の測定結果から、本発明による装置では、
1)入射光の正反射方向(−30°方向)以外の、表示装置の正面方向(ホログラム平面に対する法線方向)への輝度向上も確認され、表示画像の視域が一層広がった。この際、観察者側にのみホログラム層を有する反射型液晶表示装置(上記の比較タイプ3)と比べて、表示装置の正面方向からずれていく場合の輝度の低下が、比較タイプ3では急激であったのに対し、なだらかに低下した。
2)観察者側にのみホログラム層を有する反射型液晶表示装置(上記の比較タイプ3)と比べて、黄色味の少ない反射光が得られた。
【0089】
【発明の効果】
光散乱特性に異方性を持たない光散乱膜のみ,または光散乱特性に異方性を有する光散乱膜のみを備える液晶表示装置に比べて、等方性の光拡散体と異方性の光拡散体との相乗作用により、光拡散特性の調整が可能となり、ホログラム層を用いた場合には、特に反射型液晶表示として、入射光の正反射方向以外での表示光の輝度を高く制御でき、視点の移動に伴う輝度が急激に変化しないようにできるだけでなく、表示画像への不所望な着色を伴うことがない液晶表示装置を実現することができる。
【0090】
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型液晶表示装置において、入射光を散乱反射させて表示光として射出する一方式について示す説明図。
【図2】反射型液晶表示装置において、入射光を散乱反射させて表示光として射出する一方式について示す説明図。
【図3】反射型液晶表示装置において、入射光を散乱反射させて表示光として射出する一方式について示す説明図。
【図4】光学的異方性の光散乱フィルムの一例を示す説明図。図4(a)は平面図。図4(b)は断面図。
【図5】光学的異方性の光散乱フィルムの一例を示す説明図。図5(a)は平面図。図5(b)は断面図。
【図6】光学的異方性の光散乱フィルムを作製する光学系の一例を示す説明図。
【図7】光学的等方性の光散乱フィルム(光散乱膜)の一例を示す説明図。
【図8】光学的等方性の光散乱フィルム(光散乱膜)の断面構造を概略的に示す説明図。
【図9】本発明の一実施形態に係る反射型液晶表示装置の構成を概略的に示す説明図。
【図10】反射型液晶表示装置による光学特性を調べる条件の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1…光散乱フィルム
15…UV光源
16…コリメート光学系
17…平行光
18…マスク原版
20…ガラス基板
104,414…光散乱膜
121,421…透明樹脂
122,422…透明粒子
200,300,400…反射型液晶表示装置
201,209,301…透明基板
202,302…液晶
203…反射板
204,304,404…カラーフィルタ
205,206,305,405…透明電極
207,307…観察者側電極基板
208,408…背面側電極基板
210,309…光散乱膜
214,314…入射光
215…散乱光
303,403…反射電極
114,316…後方散乱光
113,317…前方散乱光
Claims (3)
- 透光性樹脂内に、前記樹脂とは屈折率の異なり表面が滑らかであり、その表面が凸面と平面から構成されている光拡散性微粒子を分散混合してなる構成の光学的等方性の光散乱性を有する光散乱層を、内部に一体化してなるカラーフィルターを備える液晶表示装置において、
入射角度選択性および拡散回折特性を有する体積位相透過型ホログラムからなる光学的異方性を有する光散乱フィルムを、何れかの箇所に配置してなる構成であることを特徴とする液晶表示装置。 - 透光性樹脂内に、前記樹脂とは屈折率の異なり表面が滑らかであり、その表面が凸面と平面から構成されている光拡散性微粒子を分散混合してなる構成の光学的等方性の光散乱性を有する光散乱層を、内部に一体化してなるカラーフィルターを備える液晶表示装置において、
光学的異方性を有する非ホログラフィックな光散乱フィルムを、何れかの箇所に配置してなる構成であることを特徴とする液晶表示装置。 - 透光性樹脂内に、前記樹脂とは屈折率の異なり表面が滑らかであり、その表面が凸面と平面から構成されている光拡散性微粒子を分散混合してなる構成の光学的等方性の光散乱性を有する光散乱層を、内部に一体化してなるカラーフィルターを備える液晶表示装置において、
対向する2枚の透明基板それぞれの内面に電極,および配向膜が順次形成され、その間隙に液晶が封入された液晶セルを有しており、
前記電極の一方は透明導電層からなる上部電極であり、他方は反射性金属からなる下部電極であり、
前記カラーフィルタは、何れか一方の透明基板に直接配置してなり、かつ前記カラーフィルタの形成される側の電極は、前記カラーフィルタ上にパターニングされており、
観察側(上部電極側)の透明基板の表面(上部電極と反対側)に、光学的異方性を有する光散乱フィルムを配置してなる構成であることを特徴とする液晶表示装置。
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