JP2000330106A - 反射型液晶表示装置用電極基板及びそれを用いた反射型液晶表示装置 - Google Patents

反射型液晶表示装置用電極基板及びそれを用いた反射型液晶表示装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】反射型液晶表示装置において、その利点を維持
したまま、表示欠陥が無く外光光源の位置に関わりなく
視野角が広く、高性能の散乱膜にて、明るい画面表示が
可能なものを低コストで提供する。 【解決手段】マトリックス樹脂(低屈折率樹脂)との相
溶性の差を用いた散乱粒(高屈折率樹脂)を有する光散
乱膜を一構成要素とすること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射型液晶表示装
置用電極基板及び反射型液晶表示装置に係わり、特に、
明るく、表示品位が高く、視野角の広い画面表示を可能
とする光散乱膜を形成した反射型液晶表示装置用電極基
板及びそれを用いた反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、一般的に、偏光膜と液
晶駆動用の電極が各々配設された対向する一対の電極基
板と、これら電極基板間に封入された液晶物質とでその
主要部が構成されている。
【0003】画面表示を行なう際、対向する電極間に電
圧を印加することにより電極基板間に封入された液晶物
質の配向状態を変化させて、この液晶物質を透過する光
の偏光面を制御すると共に、偏光フィルムによりその透
過、不透過を制御している。
【0004】液晶表示装置として、背面側に位置する電
極基板(上記液晶を封入する一対の電極基板のうち、観
察者と反対側に位置する電極基板であり、以下背面側電
極基板と記す)の裏面もしくは側面に光源(ランプ)を
配置し、背面側電極基板に光線を入射させることで明る
い画面表示を実現する、バックライト型もしくはライト
ガイド型と呼称されるランプ内蔵式の透過型液晶表示装
置が広く普及している。
【0005】従来より液晶表示装置においては、低消費
電力で軽量化が可能という特徴を活かし、モバイル機器
等の携帯用表示装置への利用が期待されている。しか
し、上記ランプ内蔵式の透過型液晶表示装置では内蔵し
た光源(ランプ)による消費電力が大きい(例えば、C
RTやプラズマディスプレイ装置等の表示装置と略同等
の電力を消費する)。このため、ランプ内蔵式透過型液
晶表示装置はバッテリーの使用時間が短く、かつ、バッ
テリーの占める割合が大きいため装置が重く、かさ張る
ことになる。すなわち、ランプ内蔵式透過型液晶表示装
置は液晶表示装置が本来有すべき利点を活かしきれてい
るとはいえない。
【0006】このため、光源(ライト)を内蔵しない反
射型液晶表示装置が提案されている。反射型液晶表示装
置は、背面側電極基板に光反射機能を有する光反射板も
しくは液晶駆動用電極と光反射板とを兼用させた反射電
極を配設している。すなわち、観察者側電極基板(液晶
を封入する一対の基板のうち、観察者側に位置する電極
基板)側から室内光や自然光等の外光を液晶表示装置内
に入射させ、この入射光を前記光反射板もしくは反射電
極で反射させ、この反射光を観察者側電極基板より射出
することで画面表示を行なうものである。
【0007】反射型液晶表示装置に適用される背面側電
極基板としては、例えば、図4に示すように、基板41
b上にTFT(薄膜トランジスタ)アレイ48を形成
し、表面に光散乱のための凹凸を形成した絶縁膜43の
上に、各画素に対応する部位に金属反射膜42を積層
し、下層のTFTアレイ48と金属反射膜42をビアホ
ール49で結び液晶表示駆動を行うもの、あるいは、図
5に示すように金属反射膜52が透明電極55bとは反
対側の、基板51bの外側に一様に設けられたもの等が
知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の反射
型液晶表示装置においては、上記金属反射膜が入射光線
を反射するため、外光光源の位置によっては視野角が制
限されるという問題を有していた。
【0009】また、図4に示された構造の背面側電極基
板Bにおいては、視野角確保のための絶縁膜43の表面
の凹凸形成並びに金属反射膜42と回路配線(TFTア
レイ48)との電気的導通を得るためのビアホール49
の形成工程が複雑であり、かつ金属反射膜42の表面の
凹凸が大きく、液晶の配向に問題を生じる等の問題点を
有していた。
【0010】他方、図5に示す構造の背面側電極基板B
においても、金属反射膜52が基板51bの裏面にある
ため基板51bの厚みにより光路差を生じる。この光路
差により、画素を透過し反射した光が、隣の画素に入射
することになり、混色等の表示欠陥を生じることにな
る。あるいは、入射した光が透明電極55b表面と裏面
の金属反射膜52の双方で反射し2重画を生じる等の問
題点も有するといえる。
【0011】本発明者らは、上記の問題を解決する手段
として、光散乱膜を配設することを、特開平7−280
55号、及び特開平7−98446号にて提案してい
る。この提案は、液晶と対向する基板面側に光散乱膜を
配設する、すなわち光散乱膜を液晶パネルの内側の面に
形成することで、光のスイッチである液晶との位置ズレ
(視野)が小さくなり、高精細表示に適した構成とした
ものである。
【0012】かかる手段に用いた光散乱膜は、透明な樹
脂に、該樹脂と屈折率の異なる透明粒子を分散させた塗
膜にて容易に光の散乱性を確保することができる。しか
し、光を効率良く散乱させるため、粒子の径は0.4〜
1μm、もしくはそれ以上の大きさを必要とした。この
ような大きい径の粒子を用いるため、塗膜として形成さ
れた光散乱膜の表面には0.2〜1μm程度の凹凸が生
じてしまい、液晶の配向を妨げる要因となった。このた
め本発明者らは、光散乱膜と異なる屈折率を有する透明
樹脂を平坦化膜として積層形成することを提案した。
【0013】しかし、光散乱膜の塗膜となる塗布液は、
透明粒子として無機粒子やプラスチックビーズ等を分散
させているもので、適正な粒径の透明粒子を選別するた
めの濾過が難しい。また、濾過の際に塗布液への異物の
混入も生じやすく、さらには、2次凝集による異物が形
成されやすいものであった。このような塗布液で形成さ
れた塗膜は、異物や規格から外れた粒径の透明粒子によ
る突起で液晶パネルに表示欠陥等の重欠陥をもたらすこ
とが多かった。また、無機粒子を分散させた塗膜では、
透過光や反射光が黄色味を帯びやすく、真っ白な白(い
わゆるパーパーホワイトな白)の再現は難しい。
【0014】また本発明者らは、感光性の樹脂材料を用
いて、マイクロレンズ等の光学散乱素子を形成し光散乱
を生じさせる技術を提案している。この技術は良好な光
散乱性を得ることが可能であるが、フォトリソグラフィ
ーの製造プロセスが必要となり製造工程が多く、製造コ
ストが高くなるという問題があった。くわえて、規則的
なパターンによるモアレに起因する虹色の着色等を防止
するためマイクロレンズ等の光学散乱素子をランダムな
パターンで形成する必要がある。フォトリソグラフィー
にはパターン露光用フォトマスクが必要であるが、ラン
ダムなパターンを有する大面積のパターン露光用フォト
マスクを用意することは難しい。さらに、マイクロレン
ズの高さを1〜2μmに形成する必要があるが、この凹
凸を平坦にすることが難しいという問題もある。
【0015】本発明は、以上のような問題点に鑑みなさ
れたもので、その課題とするところは、高効率の光散乱
性を有する光散乱膜を提供することで、外光光源の位置
に関わり無く視野角を広くした、表示欠陥の無い明るい
画面表示を可能とする反射型液晶表示装置用電極基板及
び反射型液晶表示装置を低コストで得ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求
項1においては、光散乱膜が配設された反射型液晶表示
装置用電極基板であって、前記光散乱膜は、透明なマト
リックス樹脂と下記、、、の特徴を有する複数
の散乱粒とで構成されていることを特徴とする反射型液
晶表示装置用電極基板。 溶剤存在下でマトリックス樹脂と溶解混合した塗液で
あり、前記塗液で形成された塗膜より溶剤が蒸発し光散
乱膜となった際、マトリックス樹脂との相溶性の差によ
りマトリックス樹脂中に分散形成される樹脂からなる散
乱粒 マトリックス樹脂と屈折率が異なる散乱粒 光散乱膜面上から見た大きさ・配設位置が少なくとも
2次元的にランダマイズされた散乱粒 光散乱膜面上から見た形状が略円形である散乱粒
【0017】また、請求項2においては、マトリックス
樹脂の屈折率が、散乱粒の屈折率より低いことを特徴と
する請求項1に記載の反射型液晶表示装置用電極基板と
したものである。
【0018】また、請求項3においては、マトリックス
樹脂が、フッ素基を導入した樹脂であることを特徴とす
る請求項1または2に記載の反射型液晶表示装置用電極
基板としたものである。
【0019】また、請求項4においては、マトリックス
樹脂の量が、散乱粒の樹脂の量より多いことを特徴とす
る請求項1、2または3に記載の反射型液晶表示装置用
電極基板としたものである。
【0020】また、請求項5においては、光散乱膜面上
から見た散乱粒の平均粒径が、0.7μmから30μm
の範囲内にあることを特徴とする請求項1、2、3また
は4に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたもの
である。
【0021】また、請求項6においては、光散乱膜面上
から見た散乱粒の平均粒径が、2μmから15μmの範
囲内にあることを特徴とする請求項1、2、3、4また
は5に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたもの
である。
【0022】また、請求項7においては、マトリックス
樹脂及び散乱粒の、光波長430nmにおける消衰係数
を、1.5×10-3以下としたことを特徴とする請求項
1、2、3、4、5または6に記載の反射型液晶表示装
置用電極基板としたものである。
【0023】また、請求項8においては、光散乱膜表面
に透明樹脂からなる平坦化膜を形成したことを特徴とす
る請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の反射
型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0024】また、請求項9においては、反射型液晶表
示装置に組み込んだ際に、液晶と対向する面側、かつ、
液晶に近い位置となるよう光散乱膜を形成していること
を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または
8に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたもので
ある。
【0025】また、請求項10においては、光散乱膜の
形成に先立ち、マトリックス樹脂との被着性が高く、か
つ、散乱粒となる樹脂とは被着性の低い層を下引層とし
て形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、
5、6、7、8または9に記載の反射型液晶表示装置用
電極基板としたものである。
【0026】また、請求項11においては、反射型液晶
表示装置用電極基板が観察者側電極基板であることを特
徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9ま
たは10に記載の反射型液晶表示装置用電極基板とした
ものである。
【0027】また、請求項12においては、光散乱膜
を、平均粒径の異なった散乱粒を有する2層以上の光散
乱膜からなる積層構造としたことを特徴とする請求項1
1に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたもので
ある。
【0028】また、請求項13においては、基板寄りに
位置する光散乱膜中の散乱粒の平均粒径を液晶寄りに位
置する光散乱膜中の散乱粒の平均粒径より小さくし、か
つ、基板寄りに位置する光散乱膜中の散乱粒の平均粒径
を2μm以下としたことを特徴とする請求項12に記載
の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0029】また、請求項14においては、カラーフィ
ルタを配設したことを特徴とする請求項11、12また
は13に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたも
のである。
【0030】また、請求項15においては、反射型液晶
表示装置用電極基板が背面側電極基板であることを特徴
とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9また
は10に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたも
のである。
【0031】また、請求項16においては、カラーフィ
ルタを配設したことを特徴とする請求項15に記載の反
射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0032】次いで、請求項17においては、観察者側
電極基板もしくは背面側電極基板のいずれか一方に請求
項1乃至請求項16に記載の反射型液晶表示装置用電極
基板を用いたことを特徴とする反射型液晶表示装置とし
たものである。
【0033】さらに、請求項18においては、装置外部
に出射される反射光の明るさのピークを、正反射光の明
るさのピーク位置より4°から15°ずれた範囲とした
ことを特徴とする請求項17に記載の反射型液晶表示装
置としたものである。
【0034】上述したように本発明に係わる光散乱膜
は、相溶性の低い、もしくは非相溶性の2種以上の樹脂
からなる混合樹脂の塗液を利用して形成される。塗液は
溶剤を含み、溶剤の存在下で樹脂同志は溶解混合した状
態にあり、塗液は透明状態である。塗液が塗布された塗
膜より溶剤が蒸発するにつれ、相溶性の差により混合樹
脂の相分離が始まり、透明樹脂(マトリックス樹脂)中
に樹脂粒が形成され始め塗膜は徐々に白濁してくる。最
終的に溶剤が蒸発した段階で、透明樹脂(マトリックス
樹脂)中に相分離した樹脂からなる複数の樹脂粒が分散
形成され、光散乱効果を有する光散乱膜となる。
【0035】マトリックス樹脂と散乱粒に用いる樹脂
は、透明で液晶表示装置の製造プロセスに耐えうるもの
であれば良く、限定するものではない。しかし、光散乱
を持たせるため、マトリックス樹脂と散乱粒の樹脂とは
屈折率に差(例えば、0.05〜0.3程度の差)を有
することが必要である。また、マトリックス樹脂中に形
成される散乱粒の大きさが揃い、規則的な配列になった
場合、モアレに起因する干渉ムラ(虹色の着色)が生じ
る。このため、散乱粒の大きさ・配設位置のランダマイ
ズ(ランダム化、不均一化)が必要である。ランダマイ
ズは、塗液を構成する樹脂や溶剤の選択、濃度・粘度、
塗布や乾燥の条件の設定により可能であり、ランダマイ
ズのための設定は適宜行って構わない。また、散乱粒は
マトリックス樹脂中に球状、碁石状、円盤状等の形状で
形成されるが、光の散乱効率を高くするため略球状の散
乱粒を数多く配設することが望ましい。このためにも、
塗液を形成する樹脂や溶剤の選択、濃度・粘度、塗布や
乾燥の条件を適宜調整する。こうして得られた散乱粒
は、光散乱膜面上から見ると略円形に見える。
【0036】一般的に透明樹脂の屈折率は1.3〜1.
7の範囲にあるといえ、液晶表示装置の製造プロセスに
耐えうる透明樹脂であれば、マトリックス樹脂、散乱粒
の樹脂材料として適宜組み合わせを選ぶことができる。
すなわち、散乱粒に高屈折率樹脂を使用した場合、マト
リックス樹脂には低屈折率樹脂を使用し、散乱粒に低屈
折率樹脂を使用した場合、マトリックス樹脂には高屈折
率樹脂を使用すればよい。しかし、反射型液晶表示装置
の場合、装置に入射する光量に限りがあるため、装置よ
り射出する光を観察者の位置に集める、いわゆる集光効
果のある方が好ましいといえる。つまり、散乱粒をマト
リックス樹脂より高屈折率の樹脂で形成し、散乱粒に凸
レンズとしての効果を付与することが好ましい。
【0037】また、マトリックス樹脂をフッ素基を導入
した樹脂とすることで、散乱粒をマトリックス樹脂中に
安定した形で相分離することができるようになる。
【0038】次いで、本発明に係わる光散乱膜に使用す
る高屈折率材料としては、光透過率と屈折率の高いもの
が好ましく、かつ、波長分散の小さいものが好ましい。
このような材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルエステル樹脂、
フローレン系アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、あるいは
これらの共重合樹脂が利用できる。また、カラーフィル
タの基材やオーバーコート樹脂として市販されているア
クリル系の樹脂は好適に利用可能である。
【0039】一方、低屈折率樹脂としては、テトラフル
オロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン共重合体(屈
折率n=1.34)やフッ素系アクリル樹脂(屈折率n
=1.34〜1.45)に代表されるフッ素樹脂、東京
応化工業(株)製の商品名「MOFシリーズ」または
「PCFシリーズ」(屈折率n=1.46〜1.48)
に代表される有機シリケート樹脂、あるいはオルガノポ
リシラン樹脂やポリシロキサン樹脂等、シリコン基を有
する樹脂が使用できる。なお、フッ素系アクリル樹脂の
使用はより好ましいといえる。
【0040】次いで、マトリックス樹脂としてフッ素基
を導入した樹脂を用いる場合、マトリックス樹脂を散乱
粒を形成する樹脂と同量以上に多めに入れた混合樹脂液
にて光散乱膜を形成することが、散乱粒を安定して再現
性ある形にてマトリックス樹脂中に形成しやすいことを
本発明者らは見いだした。
【0041】次いで、本発明者らは散乱粒の大きさにつ
き検討を行った結果、散乱粒の大きさを光の波長の2倍
以上とすれば効率的な光散乱を得られることを見いだし
た。Blue(青)光の波長は0.35μm程度である
ことから、散乱粒の大きさは少なくともこの2倍の0.
7μm以上あることが必要といえる。また、本発明者ら
は、液晶表示面から見た散乱粒の粒径が光散乱膜の厚み
の10倍以上になると散乱効率が極端に悪くなり、反射
型液晶表示装置の視野角が狭くなることを見いだした。
このことより、液晶表示面から見た(すなわち、光散乱
膜面上から見た)光散乱膜中の散乱粒の平均粒径は、
0.7μm〜30μmの範囲内が好ましいとえる。
【0042】しかし、液晶表示面から見た散乱粒の平均
粒径を、例えば15μm〜30μmという比較的大きい
粒径とすると光散乱性が不足し、また、反射型液晶表示
装置に組み込んだ際、白の表示がメタリック調となり画
面表示が不十分となる。一方、液晶表示面から見た散乱
粒の平均粒径を2μm〜15μmの範囲とすると、白の
表示はかなりペーパーホワイトに近づけられ、視野角も
比較的広いものとなる。散乱粒の平均粒径を2μm以下
とすると、オフアクシスの傾向(正反射方向から角度の
ずれたところに明るい反射光が観察される傾向)が強く
出てくるようになり、表示画面中央部が周辺部よりやや
暗いものとなる。
【0043】さらに、液晶表示面から見た散乱粒の平均
粒径が0.7μmより小さくなる(例えば0.3μm前
後)と、入射光の入射角度が表示面の法線方向(垂直)
に近い場合に光散乱性が低くなり、表示面に垂直方向か
ら見たときに観察者の顔が表示面に映るようになる。同
時に、正反射方向から角度のずれた方向に出射光が観察
されるオフアクシスの傾向がより顕著になり、虹色の干
渉光も発生するようになる。
【0044】上記したように粒径の小さい散乱粒が光散
乱膜中に多くなると正反射に近い部分の反射光の強度が
下がるといえる(但し、0°の正反射は除く)が、広角
側の反射光強度が上がることになり好ましいとはいえな
い。また、粒径が大きくても画面表示が不十分となる。
このことより本発明者らは、液晶表示面から見た(すな
わち、光散乱膜面上から見た)散乱粒の平均粒径が2μ
m〜15μmの範囲とすれば、視野角が広く白い表示を
得るうえでより好ましいことを見いだし、これを提案す
るものである。
【0045】ちなみに図6は、本発明に係わる光散乱膜
を用いた反射型液晶表示装置に平行光を入射した際に反
射型液晶表示装置より射出される光の明るさを測定した
一例を示すグラフ図である。射出光の明るさの測定は正
反射方向から10°変角した位置で測定したものであ
り、光散乱膜中に分散される散乱粒の大きさを変化させ
た以外は光散乱膜の構成、反射型液晶表示装置の構成、
測定等は同一の条件にて測定を行った。図6に示すよう
に、散乱粒の平均粒径が2μm〜15μmの範囲で十分
な明るさの射出光が得られている。この傾向は、光散乱
膜を構成する樹脂同志の屈折率差、マトリックス樹脂中
の散乱粒の分布、光散乱膜の膜厚、測定系(光の平行
度、光の入射角等)等を種々変化させた場合においても
同様の結果が得られた。
【0046】次いで、光散乱膜を用いた反射型液晶表示
装置では、装置に入射した光が装置より射出されるまで
に2回光散乱膜を通過することになる。このため、光散
乱膜が特定の光波長域で光を吸収する性質を有すると表
示面に着色等の不具合が生じる。特に、Blue(青)
の短波長域(光波長430nm前後)での光散乱膜によ
る光吸収があると表示面が黄色くなってしまう。本発明
者らは、表示面が黄色くなることを防止するため、光散
乱膜の材質として消衰係数を1.5×10-3以下の樹脂
を用いることを提案する。
【0047】本発明に係わる光散乱膜は、用いる樹脂の
骨格や末端基、導入基、溶剤、あるいは塗布条件、硬膜
条件等によって、散乱粒の大きさが変化しやすいが、散
乱粒が大きくなると光散乱膜の表面が凹凸となりやす
い。光散乱膜の表面が凹凸となると、光散乱膜上に液晶
駆動用電極や配向膜等を形成した際、液晶駆動用電極や
配向膜も表面凹凸となり、表示装置として表示ムラや応
答ムラを生じやすい。これを防止するため、光散乱膜の
表面に平坦化膜を形成し平坦化を行うことは望ましい。
すなわち、本発明者らは、光散乱膜の表面に透明樹脂か
らなる平坦化膜を形成することを提案するものである。
【0048】なお、平坦化膜上に液晶駆動用電極を設け
る際に、平坦化膜と液晶駆動用電極との間に別に透明樹
脂層を介在させ、より一層の平坦性の改善を行うことで
あっても構わない。このような、改善された平坦性を有
する電極基板は、液晶駆動用電極表面に高度の平坦性が
要求される液晶表示装置(例えば、STN液晶、TN液
晶、OCB、ECBやBTN液晶、強誘電液晶等)に適
しているといえる。
【0049】なお、後述するように光散乱膜を2層以上
に積層する場合には、平坦化膜は光散乱膜間に挿入する
ことであっても構わない。この場合、平坦化膜の屈折率
を光散乱膜を構成するマトリックス樹脂の屈折率と異な
ったものとすれば、対向する光散乱膜面の凹凸による光
の散乱に加えて、光散乱膜と平坦化膜との屈折率差によ
る拡散も加わり、散乱性を向上させることが可能とな
る。
【0050】ここで、本発明の光散乱膜を形成する反射
型液晶表示装置用電極基板は、観察者側電極基板であっ
ても、または背面側電極基板であっても構わず、どちら
とするかは反射型液晶表示装置の構成、または用途に応
じて適宜選択して構わない。しかし、本発明に係わる光
散乱膜は観察者側電極基板もしくは背面側電極基板のい
ずれかの、液晶に近い面側、かつ、液晶に近い位置に配
設することが望ましい。なぜならば、光の透過、不透過
が制御される液晶部位は光の透過、不透過を行うシャッ
ター部といえ、液晶部位(シャッター部)から光散乱膜
が遠い位置に配設されると、コントラストの高い表示が
困難となるためである。例えば、背面側電極基板に光反
射板と液晶駆動用電極とを兼用した反射電極を配設した
場合、観察者側電極基板を本発明に係わる光散乱膜を配
設した電極基板とし、光散乱膜は液晶に近い位置に配設
することが好ましい。
【0051】次いで、散乱粒の粒径のバラツキを抑制す
るため、光散乱膜の形成に先立ち、塗液中のマトリック
ス樹脂との被着性が高く、かつ、塗液中の散乱粒となる
樹脂とは被着性の低い層を、例えば低屈折率の樹脂液を
用いて下引層として形成することは、粒径のバラツキが
抑制された安定した大きさの散乱粒を得るうえで好まし
い。すなわち、下引層と被着性を有するマトリックス樹
脂は連続相となり、下引層と被着性を有しない樹脂は分
散相となり、連続相であるマトリックス樹脂中に分散相
である散乱粒が分散しやすくなり粒径のバラツキが抑制
された安定した大きさの散乱粒が得られる。
【0052】次いで、本発明者らは、光散乱膜を平均粒
径の異なる散乱粒を有する2層以上の光散乱膜の積層構
成とすることで光散乱性がより向上し、視野角が広く白
い散乱光が得られることを見いだし、これを提案する。
光散乱膜を積層構成とする場合、一方の光散乱膜中の散
乱粒の平均粒径は大きめの粒径とし、他方の光散乱膜中
の散乱粒の平均粒径は2μm以下の小さい微小粒径とす
ることが好ましく、平均粒径の小さい散乱粒を有する光
散乱膜を基板側に、平均粒径の大きい散乱粒を有する光
散乱膜を液晶寄りに形成することが好ましい。かかる構
成とすることで視野角が広く白い散乱光が得られる効果
はより大きくなる。また、粒径の異なる光散乱膜の積層
とすることで、散乱粒子が規則的な配列になった場合に
生じる、モアレに起因する干渉ムラ(虹色の着色)を防
止できる。
【0053】なお、平均粒径の小さい散乱粒を有する光
散乱膜は上述した下引層としての役目も有することにな
り、平均粒径の小さい散乱粒を有する光散乱膜の上に形
成する平均粒径の大きい散乱粒を有する光散乱膜は粒径
のバラツキの少ない安定した粒径の散乱粒を得やすくな
る。また、平均粒径の小さい散乱粒を有する光散乱膜の
表面は平坦性が優れるため、平均粒径の小さい散乱粒を
有する光散乱膜の上にさらに積層形成する光散乱膜の表
面平坦性の向上に寄与することができる。
【0054】次いで、本発明者らは、本発明の反射型液
晶表示装置用電極基板にカラーフィルタを配設すること
を提案する。すなわち、各画素部を透過する透過光をそ
れぞれ対応する色に着色させるカラーフィルタを備える
ことで、液晶表示装置のカラー表示が可能になるもので
ある。
【0055】ここで、本発明の反射型液晶表示装置用電
極基板を観察者側電極基板とし、観察者側電極基板にカ
ラーフィルタを配設する場合、光散乱膜の形成位置は、
カラーフィルタの上(液晶に対向するカラーフィルタ面
側)、または、基板とカラーフィルタの間として構わな
い。一方、本発明の反射型液晶表示装置用電極基板を背
面側電極基板とし、背面側電極基板にカラーフィルタを
配設する場合、光散乱膜の形成位置は、金属反射膜の上
として構わない。なお、カラーフィルタに光の回折機能
を付与させる場合は、基板とカラーフィルタとの間に光
散乱膜を形成することが好ましい。また、本発明に係わ
る光散乱膜が形成された電極基板とカラーフィルタを配
設する電極基板とが別であっても構わない。すなわち、
本発明の反射型液晶表示装置用電極基板を観察者側電極
基板とし、カラーフィルタは背面側電極基板に配設する
ことであっても、または、本発明の反射型液晶表示装置
用電極基板を背面側側電極基板とし、カラーフィルタは
観察者側電極基板に配設することであっても構わない。
さらにカラーフィルタの色の組合せは、R(赤)、G
(緑)、B(青)の3原色系、または、Y(黄)、M
(マゼンタ)、C(シアン)の補色系、さらには他の色
の組合せとしても構わず、液晶表示装置の仕様に応じ、
適宜選択して構わない。
【0056】上述したように、本発明の反射型液晶表示
装置用電極基板は観察者側電極基板もしくは背面側電極
基板のいずれか一方に用いることが可能である。しか
し、背面側電極基板を本発明の反射型液晶表示装置用電
極基板とする場合、光散乱膜を金属反射膜上に形成する
と、液晶駆動用の電極は透明電極として光散乱膜上に積
層する必要がある。しかし、金属反射膜−光散乱膜−透
明電極の積層構成とすると製造プロセスが複雑となり、
また、製造コストの面からも好ましいとはいえない。こ
のため、光散乱膜を形成した本発明の反射型液晶表示装
置用電極基板を観察者側電極基板とし、また、観察者側
電極基板にカラーフィルタを配設することはより好まし
いといえる。かかる構成とすれば、背面側電極基板には
金属反射膜と液晶駆動用の電極とを兼用した反射電極の
形成で良いことになり、製造プロセスが簡単となり、製
造コストの低減が可能となる。
【0057】次いで、図7は、本発明に係わる光散乱膜
において、視角の変化による反射光の明るさの変化を示
す反射特性の一例を示したグラフ図である。図7のグラ
フ図の測定は変角光度計を用いて行ったもので、横軸は
測定角度を示す。測定にあたりリファレンスとして硫酸
バリウム標準白色板を用い、グラフ図の縦軸はゲイン
((試料の光度)/(硫酸バリウム標準白色板の光
度))を示す。また、測定の際、正反射成分を拾わない
よう、あおり角度5°(被検査体を5°傾けた状態)に
て測定したもので、被測定体への照射光は平行光とし
た。図7中の実線は、本発明に係わる光散乱膜を形成し
た疑似液晶パネルの反射特性を示す。疑似液晶パネル
は、観察者側基板Aと反射基板Bとで屈折率1.52の
樹脂液を挟持させた。反射基板Bはガラス基板上に光反
射膜として銀合金(金1at%(原子パーセント)、銅
0.5at%、残部銀とした銀合金)を200nmの膜
厚で形成した。また、観察者側基板Aはガラス基板上に
後述する実施例1に記す光散乱膜3を単層で形成した。
疑似液晶パネルは銀合金薄膜と光散乱膜3とを対向させ
ている(図3参照)。次いで、比較のため、TFT反射
板を用いた疑似液晶パネルの反射特性を、図7中の破線
に示す。なお、TFT反射板は、表面を凹凸としたアル
ミニウムからなる金属薄膜(図4に示す従来の反射型液
晶表示装置で、反射電極としてTFT素子とともに配設
する金属反射膜42)をガラス基板上に配設したもので
あり、TFT反射板とガラス基板単体との間に屈折率
1.52の樹脂液を挟持し、比較のための疑似液晶パネ
ルとした。図7に示すように、上述したオフアクシスの
効果により、正反射方向の光軸から少しずれた、およそ
視角7°のところに明るさのピークが存在する。これに
より、液晶パネル表面のまぶしい正反射を避けて、見や
すく明るい画面表示が可能となる。
【0058】上記の反射光の明るさのピークの正反射方
向からのズレは、4°から15°程度が良い。散乱粒の
粒径がおよそ3μmから5μm近辺で7°程度のズレと
なる。散乱粒が微細になると、この角度が大きくなる
が、あまり大きくズラすと、基板(液晶パネル)を傾け
て見なければならなくなり、不便である。
【0059】よって、装置内に入射後、光散乱膜および
反射電極を介して装置外に出射される反射光の明るさの
ピークが、正反射光の明るさのピーク位置より4°から
15°ずれた範囲にあることを特徴とする反射型液晶表
示装置とすることが望ましい。
【0060】本発明の反射型液晶表示装置においては、
画素のパターンもしくは透明電極、反射電極等のパター
ンはいずれも周知の形状で良く、液晶の駆動方式は単純
マトリックス方式でも、または、TFT(薄膜トランジ
スタ)等の駆動素子を用いたアクティブマトリックス方
式でも構わず、適宜選択して構わない。
【0061】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を、実施
例に基づき説明する。 <実施例1>本実施例1に係わる液晶表示装置は、図1
に示すように、観察者側電極基板Aおよび背面側電極基
板Bで液晶10を挟持、封止している。観察者側電極基
板Aは、厚さ0.7mmのガラス板からなるガラス基板
1a上にカラーフィルタ6、光散乱膜3、平坦化膜4を
順次形成しており、平坦化膜4上のカラーフィルタ6に
対応する部位を覆うよう透明電極5を形成している。
【0062】次いで、背面側電極基板Bには、液晶駆動
用の電極と金属反射膜とを兼用させた、銀合金薄膜から
なる反射電極2を形成している。
【0063】カラーフィルタ6は、赤(R)、緑
(G)、青(G)色からなる複数のカラーフィルタで構
成している。赤色カラーフィルタ6Rの形成には、アク
リル系透明感光性樹脂と赤色顔料との混合物からなる赤
色感光性樹脂を用いた。赤色感光性樹脂をガラス基板1
a上に塗布してその被膜を形成した後、所定のパターン
を有する露光用パターンマスクを用いたパターン露光、
現像、硬膜処理等を行い、所定の画素に対応する部位に
被膜を選択的に残存させ赤色カラーフィルタ6Rを形成
した。続いて、アクリル系透明感光性樹脂と緑色顔料と
の混合物からなる緑色感光性樹脂および、アクリル系透
明感光性樹脂と青色顔料との混合物からなる青色感光性
樹脂を各々用い、同様の方法により、順次、緑色カラー
フィルタ6G、青色カラーフィルタ6Bをそれぞれ形成
した。
【0064】次いで、カラーフィルタ6を含めた基板1
a上に、下引層としてフッ素系アクリル樹脂層を膜厚
0.3μmで形成した後、光散乱膜3(膜厚約2.5μ
m)を形成した。光散乱膜3は、屈折率1.44のフッ
素系アクリル樹脂からなるマトリックス樹脂中に、屈折
率1.56の熱硬化性アクリル樹脂からなる平均粒系4
μmの散乱粒を分散させている。
【0065】光散乱膜3の形成にあたっては、熱硬化性
のフッ素系アクリル樹脂(屈折率1.44、消衰係数
0.6×10-3)と熱硬化性アクリル樹脂(屈折率1.
56、衰係数1.0×10-3)とを1.1:1の比率で
有機溶剤に混合し各々が溶解した塗布液を用いた。この
塗布液を約800回転/分のスピンコーティングで塗布
し、光散乱膜3となる塗膜を形成した。次いで、ホット
プレートを用い、塗布した混合樹脂に100℃〜200
℃まで段階的に加熱を行った。塗膜から有機溶剤が蒸発
乾燥する際、相溶性の差により、フッ素系アクリル樹脂
(マトリックス樹脂)中に熱硬化性アクリル樹脂からな
る複数の散乱粒が分散形成される。液晶表示面から見た
散乱粒は略円形状(平均粒系が約4μm)となってお
り、その大きさ・位置はランダマイズしていた。
【0066】光散乱膜3を形成後、光散乱膜3表面の平
坦化のため、透明アクリル樹脂を約800回転/分のス
ピンコーティングで塗布し、平坦化膜4を形成した。こ
こで カラーフィルタ6、光散乱膜3、および平坦化膜
4からなる積層体の合計の厚さは約4μmとした。
【0067】次いで、平坦化膜4上にITO薄膜(酸化
インジウムと酸化錫とからなる混合酸化物の薄膜)を一
様にスパッタ成膜した後、ポジ型レジストを用いた周知
のフォトエッチング法にてITO薄膜からなるストライ
プ形状の透明電極5を得、観察者側電極基板Aとした。
【0068】次いで、背面側電極基板Bには、厚さ0.
7mmのガラス板からなるガラス基板1bを用いた。ま
ず、ガラス基板1b表面を洗浄した後、スパッタリング
成膜にて順次、酸化インジウム系混合酸化物薄膜(膜厚
20nm)、銀系薄膜(膜厚150nm)、酸化インジ
ウム系混合酸化物薄膜(膜厚5nm)をガラス基板1b
上に積層した。なお、酸化インジウム系混合酸化物は、
酸化セリウムを金属元素換算(酸素原子を換算しない)
の原子パーセント(at%)で20at%含む、酸化イ
ンジウムとの混合酸化物とした。また、銀系薄膜は、銀
に、金を2at%、銅を0.5at%混合させた銀合金
で形成した。次いで、周知のフォトエッチング法を用い
上記積層体を所定の形状にパターニングし反射電極2と
した。すなわち、レジストの塗布、パターン露光、現像
等を行った後、硫酸、硝酸、および酢酸からなる混酸で
エッチングを行った。
【0069】上記観察者側電極基板Aおよび背面側電極
基板Bを電極同志が対向するよう貼り合わせ、電極基板
間に液晶10を封入し、図1に示す反射型液晶表示装置
を得た。 なお、図1においては、透明電極5上および
反射電極2上に形成した配向膜の図示は省略している。
【0070】上述した本実施例1に係わる反射型液晶表
示装置の表示品質を目視にて観察したところ、視角が1
0°から25°(液晶表示面に対し、垂直方向を0°と
する)の範囲で、図4および図5の例に示す従来の反射
型液晶表示装置より明るい表示が得られた。また、本実
施例1に係わる反射型液晶表示装置は、平行光を照射光
とする変角光度計を用いた反射光測定においても、正反
射方向からややズレた視角範囲(すなわち視角が10°
から25°の範囲)でアルミニウム反射電極(従来より
反射型液晶表示装置に用いられている、表面を凹凸とし
たアルミニウム反射電極)を用いた反射型液晶表示装置
と比べて約2倍の明るさが確保できた。
【0071】<実施例2>本実施例2に係わる液晶表示
装置は、図2に示すように、観察者側電極基板Aおよび
背面側電極基板Bで液晶20を挟持、封止している。観
察者側電極基板Aには、厚さ0.7mmのガラス板から
なるガラス基板21a上に光散乱膜23と平坦化膜2
4、カラーフィルタ26、およびカラーフィルタ26の
画素に対応する部位にストライプ状の透明電極25を形
成している。
【0072】次いで、背面側電極基板Bには液晶駆動用
の電極と金属反射膜とを兼用させたアルミニウム合金薄
膜からなる反射電極22を形成している。
【0073】光散乱膜23(膜厚約2μm)は、屈折率
1.44のフッ素系アクリル樹脂からなるマトリックス
樹脂中に屈折率1.56の熱硬化性アクリル樹脂からな
る樹脂粒を、これら樹脂の相溶性の差を利用して分散さ
せている。すなわち、マトリックス樹脂となる熱硬化性
のフッ素系アクリル樹脂と樹脂粒となる熱硬化性アクリ
ル樹脂とを体積比率で1.2:1の割合で有機溶剤に混
合し各々が溶解した塗布液を用い、スピンコーティング
にて塗布液を塗布し塗膜を形成した。次いで、ホットプ
レートを用い、塗布した混合樹脂に100℃〜200℃
まで段階的に加熱を行った。この塗膜から有機溶剤が蒸
発乾燥する際に、相溶性の差により、フッ素系アクリル
樹脂(マトリックス樹脂)中に熱硬化性アクリル樹脂か
らなる複数の散乱粒が分散形成される。液晶表示面から
見た散乱粒は略円形状(平均粒系は約4μm)となって
おり、その大きさ・位置はランダマイズしていた。
【0074】光散乱膜23の上に熱硬化性アクリル樹脂
(屈折率1.55)からなる中間膜を平坦化膜24とし
て形成した。平坦化膜24の形成にあたっては、散乱膜
23と平坦化膜24との合計の膜厚が約2.5μmとな
るようにした。
【0075】次いで、散乱膜23と平坦化膜24が形成
された基板21a上に、上述した実施例1と同様の手法
にて、赤色カラーフィルタ26R、緑色カラーフィルタ
26G、および青色カラーフィルタ26Bからなるカラ
ーフィルタ26を形成した。
【0076】次いで、散乱膜23、平坦化膜24および
カラーフィルタ26が形成された基板21a上にITO
薄膜を一様にスパッタ成膜した後、フォトエッチング法
にてITO薄膜をストライプ状パターンに形成し透明電
極25とした。
【0077】また、反射電極22の形成にあたっては、
基板21bの表面を洗浄した後、順次Cr(クロム)薄
膜、Al(アルミ)合金薄膜をスパッタリング成膜し、
この積層膜をフォトエッチング法にて所定の形状にパタ
ーン形成した。なお、Cr(クロム)薄膜は、Al(ア
ルミ)合金薄膜と基板21bとの密着性を向上させるた
めに形成している。
【0078】次いで、観察者側電極基板Aと背面側電極
基板Bとを貼り合わせ、液晶20を両電極基板間に封入
して、図2に示す反射型液晶表示装置とした。なお、上
述した実施例1および実施例2では平坦化膜4および平
坦化膜24を形成し、表面平坦としている。しかし、本
発明に係わる光散乱膜は平坦性に優れるので、平坦化膜
や中間膜を省略することが可能であり、平坦化膜や中間
膜の形成の有無は必要とされる平坦性に応じ適宜選択し
て構わない。すなわち、本発明の反射型液晶表示装置
は、光散乱膜が十分な平坦性を有するため、光散乱膜を
介して形成される電極も平坦とすることができ、電極形
成面に高度の平坦性が要求される、TN、GH、ST
N、OCB、ECB、BTN、反強誘電、コレステリッ
ク等の反射型液晶表示装置として用いることが可能であ
る。さらに、光散乱膜の平坦性が不十分な場合は、保護
膜や平坦化膜を光散乱膜上に設けても良い。
【0079】<実施例3>本実施例3においては、図3
に示すように、厚さ0.7mmの透明ガラス基板31a
上に2層からなる光散乱膜を形成したもので、第1光散
乱膜33aの膜厚は約1μmとし、当該第1光散乱膜3
3a上の第2光散乱膜33bは膜厚約2.5μmとし
た。第1光散乱膜33aおよび第2光散乱膜33bは、
上述した実施例1または実施例2と同様に低屈折率マト
リックス樹脂(屈折率1.44のフッ素系アクリル樹
脂)中に相溶性の差を利用して分散形成された高屈折率
樹脂(屈折率1.56の熱硬化性アクリル樹脂)からな
る散乱粒を有している。なお、第1光散乱膜33a中の
散乱粒は、液晶表示面から見た平均粒系を約0.5μm
の略円形状の散乱粒とし、第2光散乱膜33b中の散乱
粒は、液晶表示面から見た平均粒系を約3μmの略円形
状の散乱粒とした。
【0080】ここで、上記2層構成の光散乱膜を形成し
た透明ガラス基板31aを仮に観察者側基板Aとした。
また、基板31b上に表面平坦としたAl(アルミ)反
射電極を形成し、これを仮に背面側基板Bとした。観察
者側基板Aと背面側基板Bとを対向させ、両基板間に屈
折率1.52の樹脂液を疑似液晶30として挟みこみ、
図3に示す本実施例3に係わる疑似液晶セルを得た。
【0081】次いで、上記疑似液晶セルに平行光を入射
し変角反射率を測定した。変角反射率の測定にあたって
は、本実施例3に係わる疑似液晶セル(本発明に係わる
光散乱膜を形成した疑似液晶セル)との比較のため、以
下に記す比較用疑似液晶セル1および比較用疑似液晶セ
ル2も同様に測定を行った。
【0082】比較用疑似液晶セル1は、図4に示す従来
の反射型液晶表示装置を想定したもので、基板31b上
に表面凹凸としたAl(アルミ)反射電極を形成し、こ
れを背面側基板Bとした。観察者側基板Aは上述した透
明ガラス基板31aと同質の透明ガラス基板単体とした
もので、観察者側基板Aと背面側基板Bとを対向させ、
両基板間に屈折率1.52の樹脂液を疑似液晶30とし
て挟みこみ、上記疑似液晶セルと略同一の構成とした比
較用疑似液晶セル1を得た。
【0083】次いで、比較用疑似液晶セル2は、本発明
者らが以前に提案した技術(特開平10−206837
号)での光散乱膜を用いた反射型液晶表示装置を想定し
たもので、光散乱膜は無機粒子分散型とした。すなわち
光散乱膜は、平均粒径0.7μmの酸化セリウム(Ce
2 )を固形比の重量比で25%、平均粒径0.8μm
の酸化珪素(SiO2 )を固形比の重量比で25%、残
りを屈折率1.41のフッ素系樹脂とした無機粒子分散
型とした。
【0084】比較用疑似液晶セル2においては、上述し
た疑似液晶セルと同様に基板31b上に表面凹凸とした
Al(アルミ)反射電極を形成し、これを背面側基板B
とした。また、透明ガラス基板31aと同質の透明ガラ
ス基板上に上記無機粒子分散型光散乱膜を膜厚約1.5
μmで形成し、次いで光散乱膜上に屈折率1.41のフ
ッ素系樹脂からなる平坦化膜を膜厚約1.5μmで形成
し観察者側基板Aとした。これら観察者側基板Aと背面
側基板Bとを対向させ、両基板間に屈折率1.52の樹
脂液を疑似液晶30として挟みこみ、上記疑似液晶セル
と略同一の構成とした比較用疑似液晶セル2を得た。
【0085】疑似液晶セル、比較用疑似液晶セル1、比
較用疑似液晶セル2に同一条件で平行光を入射し各々の
変角反射率を同一条件で測定した。測定にあたっては変
角光度計(村上色彩技術研究所(株)製、商品名「GP
−200」)を用いた。このときの測定結果を以下の
(表1)に示す。なお(表1)では、透過型液晶表示装
置に組み込まれている導光板(光源(ランプ)から出た
光を反射させ液晶パネル内に導く表面凹凸としたAl
(アルミ)反射板)単体の正反射(R0°)の明るさを
リファレンスとし、この明るさを100%としたときの
各測定値の%を(表1)に記している。また(表1)中
に記したRの次の角度(°)は正反射からの測定角度を
示すもので、例えば正反射はR0°を示す。
【0086】
【表1】
【0087】上記(表1)に示すように、表面凹凸とし
たAl(アルミ)反射電極にて光散乱を行う比較用疑似
液晶セル1や無機粒子分散型光散乱膜にて光散乱を行う
比較用疑似液晶セル2より、本発明に係わる光散乱膜を
用いた疑似液晶セルの方が光反射率が高く、明るい画面
表示が得られる。
【0088】<実施例4>本実施例4は、反射型液晶表
示装置を構成する背面側電極基板に本発明を適用した例
であり、図8は本実施例4に係わる背面側電極基板Bを
模式的に示す図面である。本実施例4に係わる背面側電
極基板Bは、図8に示すように、厚さ0.7mmのガラ
ス基板 81b上に、画素パターン(1画素:横90μm×
縦310μm、配列のピッチ:横方向110μm、縦方
向330μm)に対応した部位に設けられた、アルミニ
ウムからなる厚さ0.2μmの矩形状の金属反射膜82が
形成されている。次いで、金属反射膜82上にはスピンコ
ート法で塗布された光散乱膜83と、金属反射膜82と位置
整合して設けられた三色(赤色R、緑色G、及び青色
B)のカラーフィルタ86と、全面に一様に塗布形成され
た平坦化膜84とを形成している。この平坦化膜84(厚さ
1μmのフェノール・ノボラック・エポキシ感光性樹脂
膜)上に、画素パターンに位置整合したストライプ状の
透明電極85(厚さ240nmのITO薄膜)を形成して
いる。
【0089】光散乱膜83は、上述した実施例1で形成し
た光散乱膜3と同様に形成した。すなわち、光散乱膜83
の形成にあたっては、熱硬化性のフッ素系アクリル樹脂
(屈折率1.44、消衰係数0.6×10-3)と熱硬化
性アクリル樹脂(屈折率1.56、消衰係数1.0×1
-3)とを1.1:1の比率で有機溶剤に混合し各々が
溶解した塗布液を用いた。この塗布液を約800回転/
分のスピンコーティングで塗布し、光散乱膜83となる塗
膜を形成した。次いで、ホットプレートを用い、塗布し
た混合樹脂に100℃〜200℃まで段階的に加熱を行
った。塗膜から有機溶剤が蒸発乾燥する際、相溶性の差
により、フッ素系アクリル樹脂(マトリックス樹脂)中
に熱硬化性アクリル樹脂からなる複数の散乱粒が分散形
成される。液晶表示面から見た散乱粒は略円形状(平均
粒系が約4μm)となっており、その大きさ・位置はラ
ンダマイズしていた。
【0090】なお、金属反射膜82および透明電極85を所
定のパターン形状とするにあたっては、一様にスパッタ
リング成膜した後に周知のフォトエッチング法を用い
た。また、カラーフィルタ86は、顔料分散型感光性樹脂
(アクリル系透明感光性樹脂に着色顔料を分散させた感
光性樹脂)を用い、周知のフォトリソグラフィー法にて
所定のパターンに形成した。
【0091】以上、本発明の実施例につき説明したが、
本発明の実施の形態は上述した説明および図面に限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形を
行っても構わないことは言うまでもない。
【0092】例えば、上記実施例では、電極をストライ
プパターン状に加工した単純マトリックス型の反射型液
晶表示装置としたが、観察者側電極基板Aに配設する透
明電極をベタ状に(表示部全面を覆うように)に形成
し、反射電極をTFT等のアクティブ素子と電気的に接
続させた個別電極としても構わない。なお、アクティブ
素子は、ポリシリコンTFTでも良く、あるいはMIM
等のダイオード素子でも良い。また、電極基板を構成す
る基板は、ガラス板の他、樹脂の板、プラスチックフィ
ルム等であってもよく、または、基板そのものが半導体
素子を形成したシリコン基板であってもよく、適宜選択
することが出来る。
【0093】次いで、上記実施例では、光散乱膜の塗布
にあたり、スピンコーティングを用いたが、塗布方式
は、カーテンコーティング、スリットアンドスピン、印
刷方式、転写方式もしくは他の方式を用いても構わな
い。
【0094】さらに、光散乱膜を形成する樹脂は熱硬化
型とする必要は無く、紫外線硬化型の樹脂、電子線硬化
型の樹脂等も使用可能であり、適宜選択して構わない。
また、光散乱膜を形成する樹脂として光硬化型の樹脂を
用いれば、公知のフォトリソプロセスを用い、光散乱膜
を所望するパターン形状とすることも可能である。
【0095】
【発明の効果】上述したように本発明では、光散乱膜
は、相溶性の低い、もしくは非相溶性の2種以上の樹脂
を含む混合樹脂の塗液を利用して形成される。塗液は溶
剤を含み、溶剤の存在下では樹脂同志は溶解混合状態に
あるが、塗液が塗布された後、塗液より溶剤が蒸発し光
散乱膜となる際、相溶性の差により樹脂は相分離し、透
明樹脂(マトリックス樹脂)中に樹脂粒が分散して形成
される。マトリックス樹脂と樹脂粒(散乱粒)とは屈折
率に差をもたせたもので、この屈折率差により光散乱膜
に光散乱効果が生じる。かかる光散乱膜を形成した電極
基板にて反射型液晶表示装置を構成することで、観察者
側電極基板から入射した光は、光散乱膜により均一に散
乱され、かつ、背面側電極基板に形成した光反射板もし
くは反射電極で反射され観察者側電極基板から射出され
ることになる。このため、入射光の入射角度によらず広
い視野角にて明るい表示画面を観察することが可能とな
る。
【0096】また、本発明に係わる光散乱膜は、スピン
コート等の簡単な塗布方法にて極めて簡便に形成でき
る。このため、本発明の電極基板では表面凹凸とした反
射電極の形成という複雑な製造工程を必要とせず、製造
コストを低減できる。また、光散乱膜として無機粒子、
あるいは固形の微粒子を散乱材として使用した場合、こ
れらの粒子の2次凝集に起因する異物突起が発生し、液
晶表示装置に表示欠陥等の重欠陥をもたらしていた。す
なわち、無機粒子、あるいは固形の微粒子を分散させた
光散乱膜の使用は、電極基板、もしくは表示装置の収率
を低下させていた。しかし、本発明に係わる光散乱膜は
無機粒子、あるいは固形の微粒子を散乱材として使用し
ないため、2次凝集による異物突起が発生しない。この
ため、本発明に係わる光散乱膜を用いた電極基板、もし
くは表示装置においては収率が向上し、かつ、表示欠陥
の無い良好な画面表示が可能となる。
【0097】さらに、表面凹凸とした反射電極やマイク
ロレンズを配設することで光散乱を行う反射型液晶表示
装置では、フォトリソグラフィーの製造プロセスが必要
となり製造工程が多く、製造コストが高くなるという問
題があった。くわえて、規則的なパターンによるモアレ
に起因する虹色の着色等を防止するためマイクロレンズ
等の光学散乱素子をランダムなパターンで形成する必要
がある。フォトリソグラフィーにはパターン露光用フォ
トマスクが必要であるが、ランダムなパターンを有する
大面積のパターン露光用フォトマスクを用意することは
難しかった。しかるに、本発明に係わる光散乱膜は、ス
ピンコート法等を用い塗液を塗布した後、溶剤の蒸発と
同時に散乱粒のランダマイズができる。すなわち、本発
明の電極基板もしくは反射型液晶表示装置では、複雑な
ランダマイズパターンを有するパターン露光用フォトマ
スクの使用を不要としたもので、製造プロセスの大幅な
簡略化が可能となる。
【0098】また、本発明に係わる光散乱膜は、用いる
樹脂および樹脂量を適宜設定することで散乱粒を所望す
る光散乱に適した形状とすることが可能であり、高い光
散乱性を有する安定した光散乱膜を簡便な製造プロセス
で製造でき、かつ、本発明に係わる光散乱膜を形成した
電極基板にカラーフィルタを配設することで高品質のカ
ラー反射型液晶表示装置を提供できる。
【0099】なお、本発明に係わる光散乱膜は、反射型
液晶表示装置のみならず、例えばSTN液晶、TN、O
CB、HAN、ECBやBTN液晶、反強誘電液晶、強
誘電液晶、IPSタイプの液晶等を用いた透過型の液晶
表示装置への適用も可能である。なお、本発明に係わる
光散乱膜は、反射型のゲストホスト型液晶表示装置への
応用も可能であるが、その場合、偏光フィルムや位相差
フィルムを省略した構成とすることも可能である。
【0100】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる反射型液晶表示装置の第1の実
施形態を模式的に示す断面説明図。
【図2】本発明に係わる反射型液晶表示装置の第2の実
施形態を模式的に示す断面説明図。
【図3】本発明に係わる反射型液晶表示装置の第3の実
施形態を模式的に示す断面説明図。
【図4】従来の反射型液晶表示装置の一例を模式的に示
す断面説明図。
【図5】従来の反射型液晶表示装置の他の例を模式的に
示す断面説明図。
【図6】光散乱膜中の散乱粒の粒径を変化させたときの
反射光の明るさの変化の一例を示すグラフ図。
【図7】本発明の電極基板において視角を変化させたと
きの反射光の明るさの変化の一例を示すグラフ図。
【図8】本発明に係わる反射型液晶表示装置用電極基板
の実施形態の例を模式的に示す断面説明図。
【符号の説明】
A 観察者側電極基板 B 背面側電極基板 1a、1b、 21a、 21b、 31a、 31b 基板 41a、41b 、51a 、51b 、 81b 基板 2、22、32 反射電極 42、52、82 金属反射膜 3、23、 33a、 33b、83 光散乱膜 4、24、34、84、54 平坦化膜 5、25、35、45、 55a、55b 、85 透明電極 6、26、36、46、56、86 カラーフィルタ 7、27、57 偏光フィルムと位
相差フィルム 8、28、38 背面側電極基板 48 TFTアレイ 49 ビアホール 10、20、40、50 液晶 30 疑似液晶 43 絶縁膜

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光散乱膜が配設された反射型液晶表示装置
    用電極基板であって、前記光散乱膜は、透明なマトリッ
    クス樹脂と下記、、、の特徴を有する複数の散
    乱粒とで構成されていることを特徴とする反射型液晶表
    示装置用電極基板。 溶剤存在下でマトリックス樹脂と溶解混合した塗液で
    あり、前記塗液で形成された塗膜より溶剤が蒸発し光散
    乱膜となった際、マトリックス樹脂との相溶性の差によ
    りマトリックス樹脂中に分散形成される樹脂からなる散
    乱粒 マトリックス樹脂と屈折率が異なる散乱粒 光散乱膜面上から見た大きさ・配設位置が少なくとも
    2次元的にランダマイズされた散乱粒 光散乱膜面上から見た形状が略円形である散乱粒
  2. 【請求項2】マトリックス樹脂の屈折率が、散乱粒の屈
    折率より低いことを特徴とする請求項1に記載の反射型
    液晶表示装置用電極基板。
  3. 【請求項3】マトリックス樹脂が、フッ素基を導入した
    樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    反射型液晶表示装置用電極基板。
  4. 【請求項4】マトリックス樹脂の量が、散乱粒の樹脂の
    量より多いことを特徴とする請求項1、2または3に記
    載の反射型液晶表示装置用電極基板。
  5. 【請求項5】光散乱膜面上から見た散乱粒の平均粒径
    が、0.7μmから30μmの範囲内にあることを特徴
    とする請求項1、2、3または4に記載の反射型液晶表
    示装置用電極基板。
  6. 【請求項6】光散乱膜面上から見た散乱粒の平均粒径
    が、2μmから15μmの範囲内にあることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4または5に記載の反射型液晶表
    示装置用電極基板。
  7. 【請求項7】マトリックス樹脂及び散乱粒の、光波長4
    30nmにおける消衰係数を、1.5×10-3以下とし
    たことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6
    に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
  8. 【請求項8】光散乱膜表面に透明樹脂からなる平坦化膜
    を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6または7に記載の反射型液晶表示装置用電極基
    板。
  9. 【請求項9】反射型液晶表示装置に組み込んだ際に、液
    晶と対向する面側、かつ、液晶に近い位置となるよう光
    散乱膜を形成していることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5、6、7または8に記載の反射型液晶表示装
    置用電極基板。
  10. 【請求項10】光散乱膜の形成に先立ち、マトリックス
    樹脂との被着性が高く、かつ、散乱粒となる樹脂とは被
    着性の低い層を下引層として形成したことを特徴とする
    請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載
    の反射型液晶表示装置用電極基板。
  11. 【請求項11】反射型液晶表示装置用電極基板が観察者
    側電極基板であることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9または10に記載の反射型液晶
    表示装置用電極基板。
  12. 【請求項12】光散乱膜を、平均粒径の異なった散乱粒
    を有する2層以上の光散乱膜からなる積層構造としたこ
    とを特徴とする請求項11に記載の反射型液晶表示装置
    用電極基板。
  13. 【請求項13】基板寄りに位置する光散乱膜中の散乱粒
    の平均粒径を液晶寄りに位置する光散乱膜中の散乱粒の
    平均粒径より小さくし、かつ、基板寄りに位置する光散
    乱膜中の散乱粒の平均粒径を2μm以下としたことを特
    徴とする請求項12に記載の反射型液晶表示装置用電極
    基板。
  14. 【請求項14】カラーフィルタを配設したことを特徴と
    する請求項11、12または13に記載の反射型液晶表
    示装置用電極基板。
  15. 【請求項15】反射型液晶表示装置用電極基板が背面側
    電極基板であることを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6、7、8、9または10に記載の反射型液晶
    表示装置用電極基板。
  16. 【請求項16】カラーフィルタを配設したことを特徴と
    する請求項15に記載の反射型液晶表示装置用電極基
    板。
  17. 【請求項17】観察者側電極基板もしくは背面側電極基
    板のいずれか一方に請求項1乃至請求項16に記載の反
    射型液晶表示装置用電極基板を用いたことを特徴とする
    反射型液晶表示装置。
  18. 【請求項18】装置外部に出射される反射光の明るさの
    ピークを、正反射光の明るさのピーク位置より4°から
    15°ずれた範囲としたことを特徴とする請求項17に
    記載の反射型液晶表示装置。
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