JPH10257860A - 油ちょう済冷凍天ぷらとその製造方法 - Google Patents
油ちょう済冷凍天ぷらとその製造方法Info
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- JPH10257860A JPH10257860A JP9065781A JP6578197A JPH10257860A JP H10257860 A JPH10257860 A JP H10257860A JP 9065781 A JP9065781 A JP 9065781A JP 6578197 A JP6578197 A JP 6578197A JP H10257860 A JPH10257860 A JP H10257860A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、天ぷらの衣の酸化と乾燥を防ぎ、
好ましい色でしかも色むらのないソフトな衣をもった油
ちょう済冷凍天ぷらとその製造方法に関するものであ
る。 【構成】 本発明は、種材に衣付けし、油ちょうした
後、凍結し、凍結保存したうえ二次油ちょう又はレンジ
加熱して食する油ちょう済冷凍天ぷらの製造方法におい
て、油ちょうした後、凍結する前に、50〜90℃の温
水に浸漬するか又は温水をかけ流して、衣の表層部の油
の一部を除去するとともに、当該衣の表層部に水分を補
給置換し、その後、衣の表面に卵白液又は小麦粉や米粉
などの溶き粉水溶液によりコーティング処理を行うよう
にしたことを特徴とする油ちょう済冷凍天ぷらの製造方
法と、それによって出来た油ちょう済冷凍天ぷらであ
る。
好ましい色でしかも色むらのないソフトな衣をもった油
ちょう済冷凍天ぷらとその製造方法に関するものであ
る。 【構成】 本発明は、種材に衣付けし、油ちょうした
後、凍結し、凍結保存したうえ二次油ちょう又はレンジ
加熱して食する油ちょう済冷凍天ぷらの製造方法におい
て、油ちょうした後、凍結する前に、50〜90℃の温
水に浸漬するか又は温水をかけ流して、衣の表層部の油
の一部を除去するとともに、当該衣の表層部に水分を補
給置換し、その後、衣の表面に卵白液又は小麦粉や米粉
などの溶き粉水溶液によりコーティング処理を行うよう
にしたことを特徴とする油ちょう済冷凍天ぷらの製造方
法と、それによって出来た油ちょう済冷凍天ぷらであ
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天ぷらの衣の酸化と乾
燥を防ぎ、好ましい色で、しかも色むらのないソフトな
衣をもった油ちょう済冷凍天ぷらと、その製造方法に関
するものである。
燥を防ぎ、好ましい色で、しかも色むらのないソフトな
衣をもった油ちょう済冷凍天ぷらと、その製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】古来、魚介類や野菜に小麦粉を主体とし
た粉に水を混合してなる衣を付けて油で揚げた食品であ
る天ぷらは、多くの日本人に人気のある調理食品の一種
である。この天ぷらは、なんといっても新鮮な天ぷら種
を高温の油中で、適度にカラッと揚げた直後に食するの
が、本来の美味しい食べ方である。これに対して、フラ
イ類の冷凍食品は古くから普及しているが、これはフラ
イ類がパン粉など加熱変性したものを付着して衣として
いるため、冷凍後の変性が少なく揚げたての美味しさを
比較的容易に維持できるのに対し、天ぷらの場合には、
衣の変性による品質低下が激しく冷凍食品化は衣が技術
的に困難であるとされてきた。
た粉に水を混合してなる衣を付けて油で揚げた食品であ
る天ぷらは、多くの日本人に人気のある調理食品の一種
である。この天ぷらは、なんといっても新鮮な天ぷら種
を高温の油中で、適度にカラッと揚げた直後に食するの
が、本来の美味しい食べ方である。これに対して、フラ
イ類の冷凍食品は古くから普及しているが、これはフラ
イ類がパン粉など加熱変性したものを付着して衣として
いるため、冷凍後の変性が少なく揚げたての美味しさを
比較的容易に維持できるのに対し、天ぷらの場合には、
衣の変性による品質低下が激しく冷凍食品化は衣が技術
的に困難であるとされてきた。
【0003】しかし、近年のライフスタイルと食生活の
変化は、デリカ食品や冷凍食品が普及し、天ぷらの冷凍
食品化も望まれるようになった。そのため、衣の配合、
油ちょう条件などの技術が進歩し、品質低下を少なく押
さえることができるようになったので、天ぷらの冷凍食
品化が商品化するようになった。特に、油ちょう又は半
油ちょうしたうえ凍結する天ぷらは、喫食前の二次油ち
ょう又はレンジ加熱調理が簡便になることと、殺菌効果
が高いという利点から、近年急速に普及してきた。
変化は、デリカ食品や冷凍食品が普及し、天ぷらの冷凍
食品化も望まれるようになった。そのため、衣の配合、
油ちょう条件などの技術が進歩し、品質低下を少なく押
さえることができるようになったので、天ぷらの冷凍食
品化が商品化するようになった。特に、油ちょう又は半
油ちょうしたうえ凍結する天ぷらは、喫食前の二次油ち
ょう又はレンジ加熱調理が簡便になることと、殺菌効果
が高いという利点から、近年急速に普及してきた。
【0004】従来の油ちょう済冷凍天ぷらも、揚げたて
の天ぷらの美味しさを維持出来ず、品質が低下するとい
うのが問題であった。そのため各方面では中の種材の水
分が衣側に滲み出さないように工夫したり、油が滲みだ
しにくい衣にする等の工夫がなされているが、これまで
の工夫では満足できるまでにはなっていない。
の天ぷらの美味しさを維持出来ず、品質が低下するとい
うのが問題であった。そのため各方面では中の種材の水
分が衣側に滲み出さないように工夫したり、油が滲みだ
しにくい衣にする等の工夫がなされているが、これまで
の工夫では満足できるまでにはなっていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】当該油ちょう済冷凍天
ぷらは、衣に含まれている油が冷凍保存中に急速に酸化
して衣の色が褐変したり、凍結中の乾燥により衣の含有
水分が必要以上に低減して衣のα化が不十分になった
り、フライ類と異なる天ぷら特有の風味とソフトな油ち
ょうの食感が失われるなどの品質低下が起こり、揚げた
ての美味しさを維持できないという欠点があった。
ぷらは、衣に含まれている油が冷凍保存中に急速に酸化
して衣の色が褐変したり、凍結中の乾燥により衣の含有
水分が必要以上に低減して衣のα化が不十分になった
り、フライ類と異なる天ぷら特有の風味とソフトな油ち
ょうの食感が失われるなどの品質低下が起こり、揚げた
ての美味しさを維持できないという欠点があった。
【0006】このような油ちょう済冷凍天ぷらの欠点
は、事前に油ちょうしてあるため衣に油が含まれている
ことと、冷凍保存により油ちょう後長期間経過後に食さ
れることになること、喫食直前に再度油ちょうしたり、
レンジ加熱するなどの仕上げ調理することに起因してい
る。つまり、本発明者は、長年の経験と研究の結果、冷
凍保存中の衣に含まれている油の酸化と乾燥や、二次油
ちょうやレンジ加熱等による衣の表層部の過剰乾燥や過
剰油含有が、その品質低下の主な原因であるとの知見を
得た。そこで、本発明者は、油ちょう後に温水通し処理
とコーティング処理を行うことにより、衣の表層部の油
の除去と、当該表層部への水分の補給と置換とを行い、
更に、喫食前の再油ちょうやレンジ加熱等による調理操
作を利用して天ぷらの衣の表面の更生を図り、これによ
って衣の酸化防止と乾燥防止と、仕上り時の衣の油含有
量を調整し、最初に揚げた時の美味しさを再現する製造
法を開発した。
は、事前に油ちょうしてあるため衣に油が含まれている
ことと、冷凍保存により油ちょう後長期間経過後に食さ
れることになること、喫食直前に再度油ちょうしたり、
レンジ加熱するなどの仕上げ調理することに起因してい
る。つまり、本発明者は、長年の経験と研究の結果、冷
凍保存中の衣に含まれている油の酸化と乾燥や、二次油
ちょうやレンジ加熱等による衣の表層部の過剰乾燥や過
剰油含有が、その品質低下の主な原因であるとの知見を
得た。そこで、本発明者は、油ちょう後に温水通し処理
とコーティング処理を行うことにより、衣の表層部の油
の除去と、当該表層部への水分の補給と置換とを行い、
更に、喫食前の再油ちょうやレンジ加熱等による調理操
作を利用して天ぷらの衣の表面の更生を図り、これによ
って衣の酸化防止と乾燥防止と、仕上り時の衣の油含有
量を調整し、最初に揚げた時の美味しさを再現する製造
法を開発した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明は、前記課題を
解決するための手段として、次のように構成した。
解決するための手段として、次のように構成した。
【0008】特許を受けようとする第1発明は、種材に
衣付けし、油ちょうした後、凍結し、凍結保存したうえ
二次油ちょう又はレンジ加熱して食する油ちょう済冷凍
天ぷらの製造方法において、油ちょうした後、凍結する
前に、50〜90℃の温水に浸漬するか又は温水をかけ
流して、衣の表層部の油の一部を除去するとともに、当
該衣の表層部に水分を補給置換し、その後、衣の表面に
卵白液又は小麦粉や米粉などの溶き粉水溶液によりコー
ティング処理を行うようにしたことを特徴とする油ちょ
う済冷凍天ぷらの製造方法である。
衣付けし、油ちょうした後、凍結し、凍結保存したうえ
二次油ちょう又はレンジ加熱して食する油ちょう済冷凍
天ぷらの製造方法において、油ちょうした後、凍結する
前に、50〜90℃の温水に浸漬するか又は温水をかけ
流して、衣の表層部の油の一部を除去するとともに、当
該衣の表層部に水分を補給置換し、その後、衣の表面に
卵白液又は小麦粉や米粉などの溶き粉水溶液によりコー
ティング処理を行うようにしたことを特徴とする油ちょ
う済冷凍天ぷらの製造方法である。
【0009】第1発明は、油ちょう後で凍結する前に、
温水通し処理とコーティング処理を行うことにより、衣
の表層部の油の除去と、水分の補給と、水分の維持とを
行い、これによって衣の酸化防止と乾燥防止効果を揚げ
るものである。同時に、喫食前の再油ちょうやレンジ加
熱等の仕上げ調理によっておこる衣の過剰な乾燥防止
と、仕上り時の衣における油の過剰含有を緩和調整し、
さらに表面のコーティング材であった卵白液又は小麦粉
や米粉などの溶き粉水溶液を二次油ちょう等の再加熱処
理により新たに加熱変性して衣の表面を再形成する。そ
の結果、当該天ぷらの衣は、油の酸化による渇変現象も
水分不足による白化現象もがみられず、その揚げ色が良
好で、しかも色むらもない外観の好ましい天ぷらとなっ
ている。また、食してみると、適度なクリスピー感のあ
るソフトな食感の衣となっている。
温水通し処理とコーティング処理を行うことにより、衣
の表層部の油の除去と、水分の補給と、水分の維持とを
行い、これによって衣の酸化防止と乾燥防止効果を揚げ
るものである。同時に、喫食前の再油ちょうやレンジ加
熱等の仕上げ調理によっておこる衣の過剰な乾燥防止
と、仕上り時の衣における油の過剰含有を緩和調整し、
さらに表面のコーティング材であった卵白液又は小麦粉
や米粉などの溶き粉水溶液を二次油ちょう等の再加熱処
理により新たに加熱変性して衣の表面を再形成する。そ
の結果、当該天ぷらの衣は、油の酸化による渇変現象も
水分不足による白化現象もがみられず、その揚げ色が良
好で、しかも色むらもない外観の好ましい天ぷらとなっ
ている。また、食してみると、適度なクリスピー感のあ
るソフトな食感の衣となっている。
【0010】特許を受けようとする第2発明は、種材に
衣付けし、油ちょうした後、凍結し、凍結保存したうえ
二次油ちょう又はレンジ加熱して食する油ちょう済冷凍
天ぷらにおいて、油ちょう済衣の表層部の油の一部を抜
き、水に置換した含水層を形成し、その衣の表面に卵白
液又は小麦粉や米粉などの溶き粉水溶液によりコーティ
ング層を形成したうえ、凍結したことを特徴とする油ち
ょう済冷凍天ぷらである。
衣付けし、油ちょうした後、凍結し、凍結保存したうえ
二次油ちょう又はレンジ加熱して食する油ちょう済冷凍
天ぷらにおいて、油ちょう済衣の表層部の油の一部を抜
き、水に置換した含水層を形成し、その衣の表面に卵白
液又は小麦粉や米粉などの溶き粉水溶液によりコーティ
ング層を形成したうえ、凍結したことを特徴とする油ち
ょう済冷凍天ぷらである。
【0011】第2発明は、第1発明で製造して商品化し
た段階、換言すれば二次油ちょう又はレンジ加熱前の段
階の油ちょう済冷凍天ぷらである。油ちょう済衣の表層
部は、油が少なく水が補給置換された含水層になってお
り、更にその表面がコーティング層によって被覆され、
これによって衣に含まれている水分が冷凍保存中に蒸発
乾燥しないように、また衣に含まれている油が酸素に触
れ酸化ないようにしている。更に、衣の表面にコーティ
ング層が形成されているが、このコーティング層は、卵
白液又は小麦粉や米粉などの溶き粉水溶液でできてお
り、これは未加熱状態でα化されていない。従って、後
で二次油ちょう又はレンジ加熱処理されたときには、そ
の加熱によって水分が急速に蒸発し、卵白液又は小麦粉
や米粉などの溶き粉水溶液がα化され衣の表面に新しい
衣が形成されることになる。このように、本発明は、冷
凍保存中の品質劣化防止と、将来の二次油ちょうやレン
ジ加熱処理を予定し、それに対応する準備処理をしたも
のである。
た段階、換言すれば二次油ちょう又はレンジ加熱前の段
階の油ちょう済冷凍天ぷらである。油ちょう済衣の表層
部は、油が少なく水が補給置換された含水層になってお
り、更にその表面がコーティング層によって被覆され、
これによって衣に含まれている水分が冷凍保存中に蒸発
乾燥しないように、また衣に含まれている油が酸素に触
れ酸化ないようにしている。更に、衣の表面にコーティ
ング層が形成されているが、このコーティング層は、卵
白液又は小麦粉や米粉などの溶き粉水溶液でできてお
り、これは未加熱状態でα化されていない。従って、後
で二次油ちょう又はレンジ加熱処理されたときには、そ
の加熱によって水分が急速に蒸発し、卵白液又は小麦粉
や米粉などの溶き粉水溶液がα化され衣の表面に新しい
衣が形成されることになる。このように、本発明は、冷
凍保存中の品質劣化防止と、将来の二次油ちょうやレン
ジ加熱処理を予定し、それに対応する準備処理をしたも
のである。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。図1は、第1発明に係る油ちょう済冷凍天ぷらの
製造方法の一実施例の製造工程を示す説明図であり、図
2は、第2発明に係る油ちょう済冷凍天ぷらを示す縦断
側面図で、図3は、従来の油ちょう済冷凍天ぷらを示す
縦断側面図である。
する。図1は、第1発明に係る油ちょう済冷凍天ぷらの
製造方法の一実施例の製造工程を示す説明図であり、図
2は、第2発明に係る油ちょう済冷凍天ぷらを示す縦断
側面図で、図3は、従来の油ちょう済冷凍天ぷらを示す
縦断側面図である。
【0013】図1に示すように第1発明は、次のような
製造工程で製造される油ちょう済冷凍天ぷらの製造方法
である。
製造工程で製造される油ちょう済冷凍天ぷらの製造方法
である。
【0014】第1工程:衣付け工程 海老、きす、いか、あなご、帆立て、などの海産物、た
らの芽、しいたけ、春菊、アスパラガス、などの農産物
などを前処理してなる天ぷら種材1の周囲を天ぷら用衣
液で被覆処理する。この種材1への衣付けの方法は、常
法で良い。
らの芽、しいたけ、春菊、アスパラガス、などの農産物
などを前処理してなる天ぷら種材1の周囲を天ぷら用衣
液で被覆処理する。この種材1への衣付けの方法は、常
法で良い。
【0015】第2工程:油ちょう工程 油ちょうは、160〜190℃に熱した油の中に衣付し
た種材を30秒〜3分間入れて、油ちょうして衣2を形
成する。なお、本発明においては、喫食前に再油ちょう
したりレンジ加熱することを考慮して、少し油ちょう時
間を短めの半油ちょうにすることが好ましい。
た種材を30秒〜3分間入れて、油ちょうして衣2を形
成する。なお、本発明においては、喫食前に再油ちょう
したりレンジ加熱することを考慮して、少し油ちょう時
間を短めの半油ちょうにすることが好ましい。
【0016】第3工程:油抜き・水置換工程 油ちょうまたは半油ちょうした天ぷらを冷却コンベアー
上に乗せて移動しながら油切りと放冷し、ほぼ常温に冷
めた油ちょう済天ぷらを50〜90℃の温水に1〜5秒
位浸漬する。すると、衣の表層部の油が温水に滲み出て
水面に浮き出し、その一部が除去されるとともに、油抜
きされた衣の表層部に水分を置換吸収させて、その表層
部を含有水分を増加させた含水層となす。例えば海老天
ぷらの場合、油ちょう直後に100gであったものを前
記のように温水通しにより油抜き・水置換工程処理を行
うことにより含有水分が増加して、その重量が106〜
115gに増えている。つまり油ちょう直後の製品に対
して、表層部に6〜15%の水が置換吸収されるように
するのである。尚、当該油抜き・水置換方法として、温
水通しする方法だけでなく、温水を天ぷらの表面にかけ
流す方法によって行っても良いこと勿論である。
上に乗せて移動しながら油切りと放冷し、ほぼ常温に冷
めた油ちょう済天ぷらを50〜90℃の温水に1〜5秒
位浸漬する。すると、衣の表層部の油が温水に滲み出て
水面に浮き出し、その一部が除去されるとともに、油抜
きされた衣の表層部に水分を置換吸収させて、その表層
部を含有水分を増加させた含水層となす。例えば海老天
ぷらの場合、油ちょう直後に100gであったものを前
記のように温水通しにより油抜き・水置換工程処理を行
うことにより含有水分が増加して、その重量が106〜
115gに増えている。つまり油ちょう直後の製品に対
して、表層部に6〜15%の水が置換吸収されるように
するのである。尚、当該油抜き・水置換方法として、温
水通しする方法だけでなく、温水を天ぷらの表面にかけ
流す方法によって行っても良いこと勿論である。
【0017】第4工程:コーティング工程 卵白を3〜10%の水に溶いた卵白液を用意しておき、
この卵白液中に前工程で油抜き・水置換した天ぷらを浸
漬し、衣の表面に卵白液によりコーティング処理を行う
ようにする。尚、卵白液に代わって小麦粉や米粉などの
溶き粉を水で溶いた溶き粉水溶液であっても良い。これ
は、置換吸収した水分が凍結保存中および再油ちょう又
はレンジ加熱処理中に乾燥し過ぎないようにするためで
ある。尚、コーティング用の卵白液または溶き粉水溶液
には、必要に応じて調味料や香料や保存料など常法の添
加物を少量添加しても良い。前工程で重量を計った海老
天ぷらの場合、110〜120gに増量していた。
この卵白液中に前工程で油抜き・水置換した天ぷらを浸
漬し、衣の表面に卵白液によりコーティング処理を行う
ようにする。尚、卵白液に代わって小麦粉や米粉などの
溶き粉を水で溶いた溶き粉水溶液であっても良い。これ
は、置換吸収した水分が凍結保存中および再油ちょう又
はレンジ加熱処理中に乾燥し過ぎないようにするためで
ある。尚、コーティング用の卵白液または溶き粉水溶液
には、必要に応じて調味料や香料や保存料など常法の添
加物を少量添加しても良い。前工程で重量を計った海老
天ぷらの場合、110〜120gに増量していた。
【0018】第5工程:凍結工程 油ちょう済天ぷらの衣の表層部の油抜き・水置換を行っ
たうえ、コーティング処理したものを常法により急速凍
結する。凍結された天ぷらを冷凍庫内で長期間保存(2
週間〜6ケ月間冷蔵保管)する。実際には、この期間が
冷凍食品としての流通過程となる。従来の油ちょう済天
ぷらの冷凍食品の場合は、2週間経過すると、明らかに
油の酸化による品質劣化が進んでいる。しかし、本発明
の製造法により製造された油ちょう済天ぷらの冷凍食品
の場合は、酸化による品質劣化が見られない。
たうえ、コーティング処理したものを常法により急速凍
結する。凍結された天ぷらを冷凍庫内で長期間保存(2
週間〜6ケ月間冷蔵保管)する。実際には、この期間が
冷凍食品としての流通過程となる。従来の油ちょう済天
ぷらの冷凍食品の場合は、2週間経過すると、明らかに
油の酸化による品質劣化が進んでいる。しかし、本発明
の製造法により製造された油ちょう済天ぷらの冷凍食品
の場合は、酸化による品質劣化が見られない。
【0019】第6工程:二次油ちょう又はレンジ加熱 油ちょう済天ぷらの冷凍食品を商品化し流通に乗せた場
合には、二次油ちょう又はレンジ加熱調理は、消費者が
行うことになる。本実施例の場合には、1ケ月冷凍保存
した後の本発明に係る油ちょう済天ぷらの冷凍食品を1
60〜180℃の油中で二次油ちょうした。その結果、
当該天ぷらの衣は、油の酸化による渇変現象も水分不足
による白化現象もがみられず、その揚げ色が良好で、し
かも色むらもない。このため、外観の好ましい天ぷらと
なっている。また、これを食してみると、適度なクリス
ピー感のあるソフトな食感の衣となっている。つまり、
従来のような、再油ちょう調理による過剰な乾燥感や油
吸収感がほぼ改良され、揚げたて衣の美味しさが再現さ
れている。これは、衣が酸化していないことと、衣の表
層部に置換吸収された水分の作用と、表面にコーティン
グされた卵白液または溶き粉水溶液が二次油ちょうによ
って新しく表面衣を形成したためであると思われる。
合には、二次油ちょう又はレンジ加熱調理は、消費者が
行うことになる。本実施例の場合には、1ケ月冷凍保存
した後の本発明に係る油ちょう済天ぷらの冷凍食品を1
60〜180℃の油中で二次油ちょうした。その結果、
当該天ぷらの衣は、油の酸化による渇変現象も水分不足
による白化現象もがみられず、その揚げ色が良好で、し
かも色むらもない。このため、外観の好ましい天ぷらと
なっている。また、これを食してみると、適度なクリス
ピー感のあるソフトな食感の衣となっている。つまり、
従来のような、再油ちょう調理による過剰な乾燥感や油
吸収感がほぼ改良され、揚げたて衣の美味しさが再現さ
れている。これは、衣が酸化していないことと、衣の表
層部に置換吸収された水分の作用と、表面にコーティン
グされた卵白液または溶き粉水溶液が二次油ちょうによ
って新しく表面衣を形成したためであると思われる。
【0020】本発明に係る製造方法により出来た油ちょ
う済天ぷらの冷凍食品の断面状態(1ケ月冷凍保存のも
の)と、二次油ちょう済天ぷらの断面状態について、従
来の油ちょう済天ぷらの冷凍食品の断面状態(1ケ月冷
凍保存のもの)と、二次油ちょう済天ぷらの断面状態と
を対比観察してみた。
う済天ぷらの冷凍食品の断面状態(1ケ月冷凍保存のも
の)と、二次油ちょう済天ぷらの断面状態について、従
来の油ちょう済天ぷらの冷凍食品の断面状態(1ケ月冷
凍保存のもの)と、二次油ちょう済天ぷらの断面状態と
を対比観察してみた。
【0021】その結果、図3に示すように従来の油ちょ
う済天ぷらの冷凍食品(1ケ月冷凍保存のもの)の断面
状態は、衣2の表層部の水分が蒸発して過剰に乾燥した
状態となって白変する2aとともに、衣の表層部の油分
が酸化により渇変して色むら2bが出来ている。これを
二次油ちょう又はレンジ加熱すると、衣の白化現象と渇
変現象が強調され、衣全体の色が悪く、色むらが顕著に
発現した状態になる。しかもこれを食すると、油の酸化
によって衣の風味が低下するとともに、乾燥によって衣
が硬いものになって天ぷら特有のクリスピー感を低下さ
せ、更に再油ちょうによって油ぽさの強いものとなって
いる。
う済天ぷらの冷凍食品(1ケ月冷凍保存のもの)の断面
状態は、衣2の表層部の水分が蒸発して過剰に乾燥した
状態となって白変する2aとともに、衣の表層部の油分
が酸化により渇変して色むら2bが出来ている。これを
二次油ちょう又はレンジ加熱すると、衣の白化現象と渇
変現象が強調され、衣全体の色が悪く、色むらが顕著に
発現した状態になる。しかもこれを食すると、油の酸化
によって衣の風味が低下するとともに、乾燥によって衣
が硬いものになって天ぷら特有のクリスピー感を低下さ
せ、更に再油ちょうによって油ぽさの強いものとなって
いる。
【0022】これに対し、本発明に係る製造方法により
出来た油ちょう済天ぷらの冷凍食品を1ケ月冷凍保存後
にその断面状態を観察してみると、図2に示すように、
衣2の表層部の油分が減少しこれに換わって水分が置換
した状態の含水層2cとなっており、更にその表面がコ
ーティング層2dによって被覆されている。その結果、
衣の油は酸化変性しておらず、水分が充分に存在するの
で、白化現象もおこしていない。これを二次油ちょう又
はレンジ加熱すると、衣の色は一次油ちょう直後のよう
に良好であり、色むらも起こしていない。しかもこれを
食すると、衣の風味の低下も少なく、天ぷら特有のソフ
トなクリスピー感があり、更に再油ちょうにもかかわら
ず油ぽさもさっぱりとしていて後味が良いものとなって
いる。
出来た油ちょう済天ぷらの冷凍食品を1ケ月冷凍保存後
にその断面状態を観察してみると、図2に示すように、
衣2の表層部の油分が減少しこれに換わって水分が置換
した状態の含水層2cとなっており、更にその表面がコ
ーティング層2dによって被覆されている。その結果、
衣の油は酸化変性しておらず、水分が充分に存在するの
で、白化現象もおこしていない。これを二次油ちょう又
はレンジ加熱すると、衣の色は一次油ちょう直後のよう
に良好であり、色むらも起こしていない。しかもこれを
食すると、衣の風味の低下も少なく、天ぷら特有のソフ
トなクリスピー感があり、更に再油ちょうにもかかわら
ず油ぽさもさっぱりとしていて後味が良いものとなって
いる。
【0023】
【効果】第1発明は、叙上のように、油ちょう済冷凍天
ぷらの製造方法において、油ちょうした後、凍結する前
に、50〜90℃の温水に浸漬するか又は温水をかけ流
して、衣の表層部の油の一部を除去するとともに、当該
衣の表層部に水分を補給置換した後、衣の表面に卵白液
又は小麦粉や米粉などの溶き粉水溶液によりコーティン
グ処理を行うようにしたので、衣の油の酸化防止と乾燥
防止をするとともに、仕上り時の衣の表層部の油の含有
量調整を同時に果たし、最初に揚げた時の美味しさを再
現する製造法を具現化できた。
ぷらの製造方法において、油ちょうした後、凍結する前
に、50〜90℃の温水に浸漬するか又は温水をかけ流
して、衣の表層部の油の一部を除去するとともに、当該
衣の表層部に水分を補給置換した後、衣の表面に卵白液
又は小麦粉や米粉などの溶き粉水溶液によりコーティン
グ処理を行うようにしたので、衣の油の酸化防止と乾燥
防止をするとともに、仕上り時の衣の表層部の油の含有
量調整を同時に果たし、最初に揚げた時の美味しさを再
現する製造法を具現化できた。
【0024】第2発明は、油ちょう済冷凍天ぷらにおい
て、油ちょう済衣の表層部の油の一部を抜き水に置換し
た含水層を形成し、更にその衣の表面には卵白液又は小
麦粉や米粉などの溶き粉水溶液によりコーティング層を
形成したうえ、凍結したので、長期冷凍保存しても衣の
油は酸化変性せず、白化現象もおこさない。更に、これ
を二次油ちょう又はレンジ加熱すると、衣の色は一次油
ちょう直後のように良好となり色むらもない。しかもこ
れを食すると、その衣の風味の低下もほとんどなく、天
ぷら特有のソフトなクリスピー感が維持されており、油
ぽさも少なく後味が良いものとなる。
て、油ちょう済衣の表層部の油の一部を抜き水に置換し
た含水層を形成し、更にその衣の表面には卵白液又は小
麦粉や米粉などの溶き粉水溶液によりコーティング層を
形成したうえ、凍結したので、長期冷凍保存しても衣の
油は酸化変性せず、白化現象もおこさない。更に、これ
を二次油ちょう又はレンジ加熱すると、衣の色は一次油
ちょう直後のように良好となり色むらもない。しかもこ
れを食すると、その衣の風味の低下もほとんどなく、天
ぷら特有のソフトなクリスピー感が維持されており、油
ぽさも少なく後味が良いものとなる。
【0025】その結果、本発明に係る製法で造った油ち
ょう済冷凍天ぷらは、従来のものより外観的にも食感や
風味の点でも揚げたての状態に近い高品質の商品とな
る。
ょう済冷凍天ぷらは、従来のものより外観的にも食感や
風味の点でも揚げたての状態に近い高品質の商品とな
る。
【図1】第1発明に係る油ちょう済冷凍天ぷらの製造方
法の一実施例の製造工程を示す説明図である。
法の一実施例の製造工程を示す説明図である。
【図2】第2発明に係る油ちょう済冷凍天ぷらを示す縦
断側面図である。
断側面図である。
【図3】従来の油ちょう済冷凍天ぷらを示す縦断側面図
である。
である。
1…種材 2…衣 2a…乾燥した状態 2b…酸化した状態 2c…含水層 2d…コーティング層
Claims (2)
- 【請求項1】種材に衣付けし、油ちょうした後、凍結
し、凍結保存したうえ二次油ちょう又はレンジ加熱して
食する油ちょう済冷凍天ぷらの製造方法において、油ち
ょうした後、凍結する前に、50〜90℃の温水に浸漬
するか又は温水をかけ流して、衣の表層部の油の一部を
除去するとともに、当該衣の表層部に水分を補給置換
し、その後、衣の表面に卵白液又は小麦粉や米粉などの
溶き粉水溶液によりコーティング処理を行うようにした
ことを特徴とする油ちょう済冷凍天ぷらの製造方法。 - 【請求項2】種材に衣付けし、油ちょうした後、凍結
し、凍結保存したうえ二次油ちょう又はレンジ加熱して
食する油ちょう済冷凍天ぷらにおいて、油ちょう済衣の
表層部の油の一部を抜き、水に置換した含水層を形成
し、その衣の表面に卵白液又は小麦粉や米粉などの溶き
粉水溶液によりコーティング層を形成したうえ、凍結し
たことを特徴とする油ちょう済冷凍天ぷら。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9065781A JPH10257860A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 油ちょう済冷凍天ぷらとその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9065781A JPH10257860A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 油ちょう済冷凍天ぷらとその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10257860A true JPH10257860A (ja) | 1998-09-29 |
Family
ID=13296933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9065781A Pending JPH10257860A (ja) | 1997-03-19 | 1997-03-19 | 油ちょう済冷凍天ぷらとその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10257860A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017070254A (ja) * | 2015-10-08 | 2017-04-13 | 有限会社旬工房 | 河豚空揚げ冷凍食品の製造方法 |
-
1997
- 1997-03-19 JP JP9065781A patent/JPH10257860A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017070254A (ja) * | 2015-10-08 | 2017-04-13 | 有限会社旬工房 | 河豚空揚げ冷凍食品の製造方法 |
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