JPH1025292A - 新規なピロロキノリンキノン化合物 - Google Patents

新規なピロロキノリンキノン化合物

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JPH1025292A
JPH1025292A JP18061596A JP18061596A JPH1025292A JP H1025292 A JPH1025292 A JP H1025292A JP 18061596 A JP18061596 A JP 18061596A JP 18061596 A JP18061596 A JP 18061596A JP H1025292 A JPH1025292 A JP H1025292A
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JP
Japan
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pqq
compound
reaction
solution
rats
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JP18061596A
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English (en)
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Sadaji Uragami
貞治 浦上
Akinobu Tanaka
昭宣 田中
Yoko Shirai
洋子 白井
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生理活性に優れ、医薬品等に期待されるピロ
ロキノリンキノン化合物を提供する。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 [ただし、Rはメチル基を除くアルキル基、アリル基、
プロパギル基、ベンジル基、フェニル基およびアルコキ
シカルボニルメチル基を示す]で示される新規なピロロ
キノリンキノン化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なピロロキノ
リンキノン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】ピロロキ
ノリンキノン(以下PQQと略す)化合物として、PQ
Qの他に、PQQ・トリエステルが知られているが、そ
の生理活性の強さ、毒性および安定性などから実用する
にはまだ十分なものではない。そこで生理活性がより優
れ、かつ毒性がなく、安定なピロロキノリンキノン化合
物の開発が望まれていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規なピ
ロロキノリンキノン化合物を得るべく種々検討したとこ
ろ、PQQの2位のカルボキシル基のみがエステル化し
た下記の一般式(I)で示される新規なPQQ化合物
(以下PQQ−2−モノエステル化合物と記すことがあ
る)が、生理活性が高く、毒性がなくかつより安定性に
優れていることを見い出し、本発明を完成した。すなわ
ち、本発明は、一般式(I)で表される新規なピロロキ
ノリンキノン化合物である。
【0004】
【化2】 [ただし、Rはメチル基を除くアルキル基、アリル基、
プロパギル基、ベンジル基、フェニル基およびアルコキ
シカルボニルメチル基を示す]
【0005】
【発明の実施の形態】新規なピロロキノリンキノン化合
物であるPQQ−2−エステル化合物を製造する方法と
しては、まずPQQをエステル化し、PQQ−2,7,
9−トリエステルを合成し、それを加水分解することに
よりPQQ−2−エステルを得ることが出来る。
【0006】
【化3】 PQQのエステル化には、アルコールを用いた酸触媒に
よる反応、アルキルハライドと塩基を用いる反応、さら
にアルコールまたはアルコキシドと2−ハロピリジニュ
ーム塩、ジカルボニルイミダゾール、ジシクロヘキシル
カルボジイミド等の反応助剤を用いる反応などによって
行うことが出来る。また、加水分解反応には、塩基また
は酸性条件下の反応以外に、ヨウ化トリメチルシリル、
ヨウ化リチウム、ハロゲン化アルミニウム/アルキルチ
オール、臭化ほう素、青酸カリウム等の反応試薬を用い
ることができる。PQQ−2−エステル化合物の精製
は、適宜抽出、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィ
ー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過、濃縮、遠心、
乾燥等の操作を行うことによりこれを行うことが可能で
ある。PQQ−2−エステル化合物の同定には、元素分
析、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトルおよび
紫外・可視吸収スペクトルなどの手段が用いられる。ま
た、PQQ−2−エステル化合物の定量は、高速液体ク
ロマトグラフィーにより行うことが出来る。
【0007】本発明に係わるPQQ−2−エステル化合
物として、以下の化合物を挙げることが出来る。 化合物1:PQQ−2−EE 7,9−ジカルボキシ−2−エトキシカルボニル−4,
5−ジヒドロ−4,5−ジオキソ−1H−ピロロ[2,
3−f]キノリン 化合物2:PQQ−2−AE 2−アリロキシカルボニル−7,9−ジカルボキシ−
4,5−ジヒドロ−4,5−ジオキソ−1H−ピロロ
[2,3−f]キノリン 化合物3:PQQ−2−BE 2−ベンジロキシカルボニル−7,9−ジカルボキシ−
4,5−ジヒドロ−4,5−ジオキソ−1H−ピロロ
[2,3−f]キノリン 化合物4:PQQ−2−PE 7,9−ジカルボキシ−4,5−ジヒドロ−4,5−ジ
オキソ−2−12−プロパニロキシカルボニル−1H−
ピロロ[2,3−f]キノリン 化合物5:PQQ−2−ECME 7,9−ジカルボキシ−2−エトキシカルボニルメトキ
シカルボニル−4,5−ジヒドロ−4,5−ジオキソ−
1H−ピロロ[2,3−f]キノリン 化合物6:PQQ−2−SE 7,9−ジカルボキシ−4,5−ジヒドロ−2−オクタ
デシロキシカルボニル−4,5−ジオキソ−1H−ピロ
ロ[2,3−f]キノリン
【0008】化合物1のPQQ−2−EEは、PQQと
エチルブロミドから合成されるPQQ−トリエチルエス
テル(PQQ−TEE)を加水分解することにより得る
ことが出来る。化合物2のPQQ−2−AEは、PQQ
とアリルブロミドから合成されるPQQ−トリアリルエ
ステル(PQQ−TAE)を加水分解することにより得
ることが出来る。化合物3のPQQ−2−BEは、PQ
Qとベンジルブロミドから合成されるPQQ−トリベン
ジルエステル(PQQ−TBE)を加水分解することに
より得ることが出来る。化合物4のPQQ−2−PE
は、PQQとプロパギルブロミドから合成されるPQQ
−トリプロパギルエステル(PQQ−TPE)を加水分
解することにより得ることが出来る。化合物5のPQQ
−2−ECMEは、PQQとエチルブロモ酢酸から合成
されるPQQ−トリエトキシカルボニルメチルエステル
(PQQ−TECME)を加水分解することにより得る
ことが出来る。化合物6のPQQ−2−SEは、PQQ
とよう化ステアリルから合成されるPQQ−トリアリル
エステル(PQQ−TSE)を加水分解することにより
得ることが出来る。
【0009】[PQQエステル類の安定性]PQQ−
2,7,9−トリアリルエステル(PQQ−TAE)、
PQQ−2,7−ジアリルエステル(=PQQ−2,7
−DAE)およびPQQ−2−AEを各々0.3mMに
なるようにアセトニトリル/50mMリン酸緩衝液(p
H7.0)(1:1)に溶解し40℃における保存で物
質の安定性を調べた。1日、10日および30日目に各
溶液中に含まれるPQQエステル類濃度を高速クロマト
グラフィーで分析した。結果を表1に示す。PQQ−2
−AEは3日目でも、濃度が変化せず、全く安定であっ
た。一方、PQQ−TAEおよびPQQ−2,7−DA
Eは、各々の濃度が低下し、安定性に問題があった。
【0010】
【表1】 〔PQQおよびPQQ−2−AEの膜透過性試験〕岩田
修造編『水晶体、その生化学機構』(メディカル葵出
版、P436〜440)記載の方法に従って、各物質の
ウシ水晶体カプセルへの膜透過性を調べた。膜透過定数
測定装置に、10mM HEPES緩衝液に溶解した各
物質(PQQ−2−エステル類の場合は、1%DMSO
を含む)を入れ35℃で16時間放置後、移動した各物
質量を紫外部吸収(PQQ・Na2 は243nm、PQ
Q−2−エステルは、255nm)で測定し、膜透過定
数を求めた。表2に示すように、PQQ−2−エステル
類の膜透過定数は、PQQ・Na2の2〜4倍、膜透過
性が著しく改善されていることがわかる。
【0011】
【表2】 〔PQQおよびPQQ−2−AEの急性毒性および腎毒
性試験〕 (1)急性毒性試験−1 SPF−ICRマウス 雄、5週齢(日本チャールズリ
バー株式会社より購入)にPQQ・Na2 、PQQ−2
−AEをマウス体重1kg当たり、40、80、160
および200mgのそれぞれを腹腔投与し、14日間、
25℃で飼育した。なお、一群は、8匹とし、PQQ・
Na2 は生理食塩水で溶解し、PQQ−2−AEは、1
%Tween 80含有生理食塩水で懸濁して投与し
た。その結果、PQQ・Na2 40mg/kgマウス投
与では、マウスは死亡しなかったが、80mg投与で5
匹、160mg投与および200mg投与で8匹全部死
亡した。PQQ・Na2 のLD50は約70mg/kgマ
ウスであった。一方、PQQ−2−AE投与では、すべ
てのマウスが死亡しなかった。
【0012】(2)急性毒性試験−2 SPF−ICRマウス 雄、5週齢(日本チャールズリ
バー株式会社より購入)に、PQQ−2−AEをマウス
体重1kg当たり、40、80、160、200、40
0および800mgのそれぞれを腹腔投与し、14日
間、25℃で飼育した。なお、一群は、8匹とし、PQ
Q−2−AEは、オリーブ油に溶解して投与した。その
結果、PQQ−2−AE 200mg以下の投与では、
すべてのマウスが死亡しなかったが、400mg投与で
3匹、800mg投与で全部死亡した。LD50は約50
0mg/kgマウスであった。急性毒性試験−1、−2
の結果から、PQQ−2−AEは、PQQに比べて毒性
が著しく低下している。
【0013】(3)尿検査による腎毒性 急性毒性試験と同様にして、PQQ・Na2 、PQQ−
2−AEを投与し、マウスを飼育した。マウス体重1k
g当たりの投与量は、PQQ・Na2 では20、40、
80mgとし、PQQ−2−AEでは20、40、8
0、160、200、400、1000mgとした。毎
日、マウスの尿を採取し、臨床検査試薬(商品名:ウリ
ステックスII、マイルス・三共製)を用いてグルコース
濃度を調べた。表3に示すようにPQQ・Na2 を投与
したマウスの尿からは糖が検出されたが、PQQ−2−
AEを投与した全てのマウスの尿からは、糖が検出され
なかった。すなわちPQQは腎毒性が認められたが、P
QQ−2−AEでは腎毒性が認められなかった。
【0014】
【表3】 − グルコース 検出されず ± グルコース 0.10g/ + グルコース 0.25g/ 2+ グルコース 0.50g/ 3+ グルコース 1.00g/ 4+ グルコース 2.00g/
【0015】(4)血液検査による腎毒性(1) 急性毒性試験と同様にして、PQQ・Na2 およびPQ
Q−2−AEを腹腔内投与し、マウスを飼育した。投与
1日後に絶食(水は与える)し、さらに18時間後に採血
して血清を得た。血清中のグルコース、尿素態窒素およ
びクレアチニン(Creatinine)を臨床検査試薬(商品
名:富士ドライケムスライド、富士フィルム製)を用い
て調べた。なお、各々の値は8匹の平均値で示した。結
果を表4に示す。PQQ・Na2 投与では、グルコース
の大幅な減少、尿素態窒素、クレアチニンの大幅な増加
がみられ、腎毒性が認められた。また、GOT増加も認
められた。これに対してPQQ−2−AE投与では、グ
ルコース、尿素態窒素、クレアチニンおよびGOTのそ
れぞれの含有量は、「無投与」の場合と大差はなかっ
た。
【0016】
【表4】
【0017】(5)血液検査による腎毒性−2 急性毒性試験と同様にして、PQQ−2−AEを腹腔内
投与し、マウスを飼育した。なお、マウス体重1kg当
りの投与量は150、400mgあるいは1000mg
とした。投与1日後に絶食(水は与える)し、さらに1
5時間後に採血して血清を得た。血清中のグルコース、
尿素態窒素およびクレアチニン(Creatinine)を臨床検
査試薬(商品名:富士ドライケムスライド、富士フィル
ム製)を用いて調べた。なお、各々の値は8匹の平均値
で示した。結果を表5に示す。PQQ−2−AEを10
00mg/kgマウス投与しても、腎毒性は認められな
かった。
【0018】
【表5】 [PQQ−2−エステル類のスーパーオキシド消去活
性]ヒポキサンチン−キサンチン酸化酵素の系で産生さ
せたO2 -に対するPQQエステル類の消去活性を電子ス
ピン共鳴(以下ESRと略す)を用いたスピントラップ
法(スピントラップ剤として5,5-dimethyl-1-pyrroline
N-oxide(以下DMPOと略す)を使用)で検討した。 下記の試薬を順次試験管に入れ(7) のヒポキサンチンを
添加撹拌し、反応を開始し、ESR測定用石英セルに移
した。反応開始1分後にESRを測定し、産生するO2-を
1/2に減少する薬剤濃度(IC50値)を比較した。な
お、薬剤として、PQQエステル類および対照としてア
スコルビン酸を用い、各々、5種類の濃度でO2-の消去
活性を調べIC50値を算出した。
【0019】 反応液 (1) 50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3) 50μl (2) 10mM ジエチレントリアミン5酢酸(以下DTPAと略す)10μl (3) キサンチン酸化酵素(2U/ml) 20μl (4) 蒸留水 50μl (5) 薬剤(2 %DMSO) 50μl (6) 900mM DMPO 10μl (7) 7.3mM ヒポキサンチン 10μl
【0020】ESRの測定条件 磁場 236.1 ± 5mT 出力 10mW 変調 100kHz、0.079mT 応答時間 0.3秒 掃引時間 2分(10mTの間隔) 増幅比 500 結果を表6に示す。PQQ−2−エステル類のIC50
は、アスコルビン酸のIC50値に比べて1/300〜1
/2000であった。PQQエステル類のO2 - 消去活
性はアスコルビン酸の300〜2000倍と強いO2 -
消去活性を有していた。
【0021】
【表6】 [PQQエステル類のヒドロキシラジカルの消去活性]
2 2 ──(Fe2+−DTPA)の系で産生させた・
OHに対するPQQエステル類の消去活性を電子スピン
共鳴(以下ESRと略す)を用いたスピントラップ法
(スピントラップ剤として5,5-dimethyl-1-pyrroline N
-oxide(以下DMPOと略す)を使用)で検討した。D
TPAはジエチレントリアミン5酢酸の略称。 H2O2 + Fe2+−DTPAcomplex ─→ ・OH + OH- + F
e3+−DTPAcomplex 下記の試薬を順次試験管に入れ(6) のH2O2を添加撹拌
し、反応を開始し、ESR測定用石英セルに移した。反
応開始1分後にESRを測定し、産生する・OHを1/2濃度
にする薬剤濃度(IC50値)を比較した。なお、薬剤と
して、PQQ−2−エステル類および対照としてアスコ
ルビン酸を用い、各々、5種類の濃度でO2 -の消去活性を
調べIC50値を算出した。
【0022】 反応液 (1)50mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.3) 50μl (2)1mM DTPA−Fe2+錯体 10μl (3)蒸留水 70μl (4)薬剤(2%DMSO溶液) 50μl (5)900mM DMPO 10μl (6)10mM H2 2 10μl
【0023】ESRの測定条件 磁場 336±5mT 出力 10mW 変調 100kHz、0.1mT 応答時間 0.1秒 掃引時間 1分(10mTの間隔) 増幅比 125 結果を表7に示す。PQQ−2−エステル類のIC50
は、アスコルビン酸、PQQ・Na2 のIC50値とほぼ
同程度であった。PQQ−2−エステル類はアスコルビ
ン酸と同様強い・ OHの消去活性を有していた。
【0024】
【表7】
【0025】[肝細胞の化学発光量の抑制活性]ウィス
ターラット(雄、7週齢、体重約220g、日本チャー
ルズリバー株式会社より購入)から、コラゲナーゼ還流
法(Seglen P.O.、Methods Cel
l Biol.,13,29−83(1976))によ
り肝細胞を得た。その細胞を1×106コ/mlになる
ように、下記に示したKrebs−Ringer溶液中
に浮遊しこの細胞液100μl、DMSOに溶液した2
00μMのCCl4溶液を50μl、10μMのluc
igenin(Aldrich、U.S.A)を100
μl、薬剤液50μlおよびKrebs−Ringer
液700μlを加え、全体量を1mlとして37℃で2
0分間反応させ、化学発光を行わせ、発光量をlumi
nometer(Laboratorium Berthold、Model LB 95
05、Germany)を用いて測定し、反応20分間の化学発
光量を測定した。なお、薬剤液としては、PQQ−2−
AEをDMSOに500μg/mlになるように溶解し
たものを用い、対照はDMSOを用いた。PQQ−2−
AEを添加することにより対照に比べ、発光量は、3.
17±1.50%に低下した。なお、実験は3回行っ
た。PQQ−2−AEは、CCl4に由来するラジカル
を強力に消去した。
【0026】Krebs−Ringer溶液 120mM NaCl、4.8mM KCl、11mM
グルコース、0.54mM CaCl2 ・4H2 Oお
よび1.2mM MgSO4 ・7H2 Oを含有する1
5.6mMリン酸緩衝液。
【0027】[ヒドロコーチゾン誘発鶏卵白内障に対す
るPQQエステル類の薬理効果]白色レグホン種の受精
鶏卵を温度37℃、湿度70%のふ卵器中でふ卵した。
ふ卵開始日を1日齢とし、15日齢の鶏卵を20個用意
し、5個づつ4群(A〜D)に分けた。B〜D群には、
鶏卵の気質上部卵殻に小穴を開け、気室内にコハク酸ヒ
ドロコルチゾンナトリウムを0.25μmole/0.
2ml投与し、その後セロハンテープにて封入した。C
〜D群には、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム投与
後3、10および20時間後にそれぞれ薬剤を1μmo
le投与した。なお、C群には、PQQ・Na2 を蒸留
水に溶解したものを、D群には、PQQ−2−AEを1
%Tween 80溶液に懸濁したものをそれぞれ投与
した。コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムを投与後4
8時間後に、水晶体を取り出し、西郡らの方法(Nishig
oriら、Inbestigative Ophthalmology & Visual Scienc
e、第25巻、1051頁、1984年)による判定基
準で白内障の判定を行った。 判定基準 I :水晶体に濁りなし II:かすかな不透明のリングがある。 III :明白な白濁リングがある。 IV:ピンホーサイズの白濁が核にある。 V :核全体が白濁している。 結果を表8に示す。PQQ−2−エステル類は、PQQ
と同様明らかに白内障の改善作用を示した。PQQ−2
−エステル類は、ヒドロコルチゾンに由来する活性酸素
を消去しているものと考えられる。
【0028】
【表8】
【0029】[肝障害抑制作用] (1)四塩化炭素誘導肝障害−腹腔投与 SDラット(雄、7週齢、体重約220g、日本チャー
ルズリバー株式会社より購入)を15匹用意し、5匹づ
つ3群(A〜C)に分けた。全てのラットを16時間絶
食させ、C群にはPQQ−2−AE 1mg/mlを含
む液を、それぞれ1.1mlラットの腹腔内へ投与し、
さらに40分後にそれぞれ同量のPQQ−2−AEを腹
腔内へ投与した。なお、PQQ−2−AEはオリーブ油
に溶解したものを用いた。B群には、生理食塩水1.1
mlをPQQ−2−AEの代わりに腹腔内へ投与した。
さらに20分後に、B、C群のラットに10容量%の四
塩化炭素(オリーブ油に溶解)を胃内へ2.2mlづつ
投与した。A群のラットには、PQQ−2−AEおよび
四塩化炭素を投与しなかった。四塩化炭素を投与してか
ら24時間後に、全てのラットについて腹大動脈から採
血を行い、遠心分離により血清を得た。血清中のGP
T、GOTおよび総ビリルビン量を臨床検査試薬(商品
名:富士ドライケムスライド、富士フィルム製)を用い
て測定した。その結果を表9に示す。なお、それぞれの
値は5匹のラットの平均値である。四塩化炭素投与によ
り、増加したGPT、GOTおよび総ビリルビン量がP
QQ−2−AE投与によりいずれも大幅に減少してお
り、PQQ−2−AEは肝障害抑制効果があることが分
かる。
【0030】
【表9】
【0031】(2)四塩化炭素誘導肝障害−経口投与 SDラット(雄、7週齢、体重約260g、日本チャー
ルズリバー株式会社より購入)を25匹用意し、5匹づ
つ8群(A〜E)に分けた。全てのラットを18時間絶
食させ、C群には、PQQ−2−AE2mg/mlを含
む液を、D群には、PQQ−2−AE10mg/mlを
含む液を、E群には、PQQ−2−AE20mg/ml
を含む液を、それぞれ1.3 ラットの経口内へ投与
し、さらに50分後にそれぞれ同量のPQQ−2−AE
を経口内へ投与した。なお、PQQ−2−AEはオリー
ブ油に溶解したものを用いた。B群には生理食塩水1.
3mlをPQQ−2−AEの代わりに経口内へ投与し
た。さらに20分後に、B〜E群のラットに12容量%
の四塩化炭素(オリーブ油に溶解)を経口内へ0.6m
lづつ投与した。A群のラットには、PQQ−2−AE
および四塩化炭素を投与しなかった。四塩化炭素を投与
してから24時間後に、全てのラットについて腹大動脈
から採血を行い、遠心分離により血清を得た。血清中の
GPT、GOTおよび総ビリルビン量を臨床検査試薬
(商品名:富士ドライケムスライド、富士フィルム製)
を用いて測定した。その結果を表10に示す。なお、そ
れぞれの値は5匹のラットの平均値である。四塩化炭素
投与により、増加したGPT、GOTおよび総ビリルビ
ン量がPQQ−2−AEの投与によりいずれも大幅に減
少しており、PQQ−2−AEは経口投与においても腹
腔内投与と同様肝障害抑制効果があることが分かる。
【0032】
【表10】
【0033】(3)D−ガラクトサミン誘発肝障害−腹
腔投与 SDラット(雄、7週齢、体重約240g、日本チャー
ルズリバー株式会社より購入)を25匹用意し、5匹づ
つ5群(A〜E)に分けた。全てのラットを16時間絶
食させ、C群には、PQQ−2−AE0.4mg/ml
を含む液を、D群には、PQQ−2−AE1.0mg/
mlを含む液を、E群には、PQQ−2−AE2.0m
g/mlを含む液を、それぞれ1.2mlをラットの腹
腔内へ投与し、さらに40分後にそれぞれ同量のPQQ
−2−AEを腹腔内へ投与した。なお、PQQ−2−A
Eはオリーブ油に溶解したものを用いた。B群には生理
食塩水1.2mlをPQQ−2−AEの代わりに腹腔内
へ投与した。さらに20分後に、B〜E群のラットにD
−ガラクトサミン2gを生理食塩水10mlに溶解した
液を、それぞれ1.2mlづつ皮下投与した。A群のラ
ットには、PQQ−2−AEおよびD−ガラクトサミン
を投与しなかった。D−ガラクトサミンを投与してから
23時間後に、全てのラットについて腹大動脈から採血
を行い、遠心分離により血清を得た。血清中のGPT、
GOTおよび総ビリルビン量を臨床検査試薬(商品名:
富士ドライケムスライド、富士フィルム製)を用いて測
定した。その結果を表11に示す。なお、それぞれの値
は5匹のラットの平均値である。D−ガラクトサミン投
与により、増加したGPT、GOTおよび総ビリルビン
量がPQQ−2−AEによりいずれも大幅に減少してお
り、PQQ−2−AEは肝障害抑制効果があることが分
かる。
【0034】
【表11】
【0035】(4)D−ガラクトサミン誘発肝障害−経
口投与 SDラット(雄、7週齢、体重約260g、日本チャー
ルズリバー┻より購入)を25匹用意し、5匹づつ5群
(A〜E)に分けた。全てのラットを18時間絶食さ
せ、C群には、PQQ−2−AE1mg/ を含む液
を、D群には、PQQ−2−AE2mg/ を含む液
を、E群には、PQQ−2−AE3mg/ を含む液
を、それぞれ1.3 をラットへ経口投与し、さらに4
0分後にそれぞれ同量のPQQ−2−AEを経口投与し
た。なお、PQQ−2−AEはオリーブ油に溶解したも
のを用いた。B群には生理食塩水1.3 をPQQ−2
−AEの代わりに腹腔内へ投与した。さらに20分後
に、B〜E群のラットにD−ガラクトサミン2gを生理
食塩水10 に溶解した液を、それぞれ1.3 づつ腹
腔内へ投与した。A群には、PQQ−2−AEおよびD
−ガラクトサミンを投与しなかった。D−ガラクトサミ
ンを投与してから23時間後に、全てのラットについて
腹大動脈から採血を行い、遠心分離により血清を得た。
血清中のGPT、GOTおよび総ビリルビン量を臨床検
査試薬(商品名:富士ドライケムスライド、富士フィル
ム製)を用いて測定した。その結果を表12に示す。な
お、それぞれの値は5匹のラットの平均値である。D−
ガラクトサミン投与により、増加したGPT、GOTお
よび総ビリルビン量がPQQ−2−AEによりいずれも
大幅に減少しており、PQQ−2−AEは経口投与にお
いても腹腔内投与と同様肝障害抑制効果があることが分
かる。
【0036】
【表12】
【0037】
【実施例】
実施例1PQQ−2−EE(化合物1)の合成 PQQ−2−EEは、PQQよりPQQ−2,7,9−
トリエチルエステル(=PQQ−TEE)を合成し、そ
れを加水分解することにより取得した。 (1)PQQ−TEEの合成 3.3g(10mmol)のPQQを100mlの乾燥
ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かし、これに15
ml(115mmol)のジエチル硫酸と16.1g
(117mmol)の無水炭酸カリウムを加えた。この
懸濁液を窒素気流下室温にて5日間撹拌した。反応混合
物を1Lの6N塩酸に注意深く注ぎ、析出した結晶を濾
別して除いた。濾液をクロロホルム−四塩化炭素(1:
1、400ml×4)で抽出した。有機層を1N塩酸
(1L×2)、飽和重曹水(200ml×2)、続いて
水(300ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥
した。この溶液をセライト(5g)を通した後、減圧下
濃縮した。残渣赤色油状物に30mlのエーテルを加え
て氷冷しながら結晶を析出させた。結晶を濾別、風乾し
て、300mg(収率7%)のPQQトリエチルエステ
ルを橙色結晶として得た。PQQ−TEEの物性 a.融点:179〜181℃ b.水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3中,テトラ
メチルシラン内部標準);δ 1.42(t,J=7Hz,3H),1.47
(t,J=7Hz,3H),1.53(t,J=7Hz,3H),4.38(q,J=7Hz,2H),
4.49(q,J=7Hz,2H),4.61(q,J=7Hz,2H),7.35(d,J=2Hz,1
H),8.71(s,1H),12.98(br,1H) ppm. c.電子スペクトル;λmax(CH3OH) 209,2
53,376nm. (2)PQQ−2−EEの合成 0.2g(5mmol)のPQQ−TEEをアセトニト
リル0.1M炭酸カリウム水溶液(1:1)50mlに
溶かし、これを25℃で24時間反応させた。反応液を
濃塩酸でpH1に調整し、析出した結晶を濾取し、水で
洗浄した。減圧乾燥後0.15g(収率78%)のPQ
Q−2−EEを橙色結晶として得た。
【0038】実施例2PQQ−2−AE(化合物2)の合成 PQQ−2−AEは、PQQよりPQQ−2,7,9−
トリアリルエステル(=PQQ−TAE)を合成し、そ
れを加水分解することにより取得した。 (1)PQQ−TAEの合成 PQQ1g(3mmol)を50mlの乾燥DMFに溶
かし、これに9gの無水炭酸カリウムを加えた。この懸
濁液に15mlのアリルブロマイドを加え、窒素気流
下、25℃で撹拌しながら反応を7日間行なった。反応
液全量を3N塩酸水溶液200mlに入れ、混合した。
この混合液にクロロホルム・四塩化炭素(3:2容量
比)30mlを加え、振盪し、有機層を回収した。この
抽出操作を3回行なった。この有機層を水で洗浄した
後、硫酸ナトリウム5gを加え脱水した。硫酸ナトリウ
ムを除いた後、減圧下で濃縮した。残渣をエ−テル20
mlに溶解し、5℃で時間放置し、結晶を濾取し、エ−
テルで洗浄した。結晶を乾燥させ、PQQトリアリルエ
ステル0.751g を得た。濾液を濃縮乾固し、シリカ
ゲル薄層クロマトグラフィ−(展開液,エ−テル:クロ
ロホルム=1:9)を行ない、PQQトリアリルエステ
ルを0.060g 回収した。取得したPQQトリアリル
エステルは0.811gであり、PQQに対するPQQ
トリアリルエステルの収率は、約59%(mol)であ
った。PQQ−TAEの物性 a.融 点:142〜144℃ b.溶解性:メタノ−ル,エタノ−ル,アセトンなどに
極めて溶けやすく、水にはほとんど溶けない。 c.水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6中,テ
トラメチルシラン内部標準);δ 4.75−5.10(m,6H),
5.2−6.3(m,9H),7.35(d,J=1.5Hz,1H), 8.73(s,1H),1
3.00(br,1H) ppm. d.電子スペクトル;λmax(CH3OH)208,25
3,376(nm). e.赤外吸収スペクトル(KBr);νmax 3100w ,17
00s,1680s,1190sh,1170vs,1105m,975 w , 920 m
cm-1 . (2)PQQ−2−AEの合成 0.5g(1.1mmol)のPQQ・TAEをアセト
ニトリル−0.1M炭酸カリウム水溶液(1:1)10
0mlに溶かし、これを25℃で24時間撹拌しながら
反応させた。反応液を濃塩酸でpH1に調整し、析出し
た結晶を濾取し水で洗浄した。減圧乾燥後、0.4gの
PQQ−2−AEを橙色結晶として得た。PQQ・TA
Eに対するPQQ−2−AEの収率は約98%(mo
l)であった。PQQ−2−AEの物性 a.融 点:190℃以上で昇華し、明確な融点を与え
ない。 b.水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6中,テ
トラメチルシラン内部標準);δ 4.80(m,2H),5.30-6.
20(m,3H),6.50(br,1H) ,7.27(s,1H),8.65(s,1H) p
pm. c.電子スペクトル;λmax (50mMリン酸カリウム
緩衝液、pH7.0)251,279,324nm. d.赤外吸収スペクトル(KBr);νmax 3437br,w
3109w ,1714s ,1709 s,1655s ,1500m ,1292m ,12
59m,1217m,1192m,669 scm-1
【0039】実施例3PQQ−2−BE(化合物3)の合成 PQQ−2−BEは、PQQよりPQQ−2,7,9−
トリベンジルエステル(=PQQ−TBE)を合成し、
それを加水分解することにより取得した。 (1)PQQ−TBEの合成 PQQ600mg(1.8mmol)を20mlの乾燥
DMFに溶かし、これに1.38gの炭酸カリウムを加
えた。この懸濁液に3.08gのベンジルブロマイドを
加え、窒素気流下、25℃で撹拌しながら反応を5日間
行なった。反応液全量を2N塩酸水溶液100mlに入
れ混合した。この混合液にクロロホルム・四塩化炭素・
酢酸エチル(1:1:1容量比)30mlを加え、振盪
し、有機層を回収した。この抽出操作を3回行なった。
この有機層を0.1N塩酸および水で洗浄した後、無水
硫酸ナトリウム5gを加え、脱水した。濾過により硫酸
ナトリウムを除いた後、減圧下で濃縮し、残渣をシリカ
ゲルクロマトグラフィ−(展開液、エ−テル:クロロホ
ルム=5:95)を行ない、粗PQQ・TBE画分を
得、濃縮乾固した。この乾固物をエ−テル20mlに溶
解し、5℃で10時間放置し、析出した結晶を濾取し、
減圧下で、乾燥させ、PQQ・TBEを520mg得
た。PQQに対するPQQ・TBEの収率は、約48%
(mol)であった。PQQ−TBEの物性 a.融点:233〜236℃ b.溶解性:メタノ−ル、クロロホルム、アセトンなど
に極めて溶けやすく、水にはほとんど溶けない。 c.水素核磁気共鳴スペクトル(DMSO−d6 中,テ
トラメチルシラン内部標準);δ 5.39(s,2H) ,5.43
(s,2H),5.47(s,2H),7.4(m,16H),8.65(s,1H),12.56
(br,1H) ppm. d.電子スペクトル;λmax (CH3 OH)206,2
54,378nm. e.赤外吸収スペクトル(KBr);νmax 3020w ,17
80vs,1765vs,1700sh,1365m ,1230vs,1180vs,970
w ,830 w ,740 s ,685 s cm-1 . (2)PQQ−2−BEの合成 0.3g(0.5mmol)のPQQ−TBEをアセト
ニトリル0.1M炭酸カリウム水溶液(1:1)50m
lに溶かし、これを25℃で24時間反応させた。反応
液を濃塩酸でpH1に調整し、析出した結晶を濾取し、
水で洗浄した。減圧乾燥後0.15g(収率71%)の
PQQ−2−BEを橙色結晶として得た。
【0040】実施例4PQQ−2−PE(化合物4)の合成 PQQ−2−PEは、PQQよりPQQ−2,7,9−
トリプロパギルエステル(PQQ−TPE)を合成し、
それを加水分解することにより取得した。 (1)PQQ−TPEの合成 PQQ990mg(3mmol)を50mlの乾燥DM
Fに溶かし、これに6.21gの無水炭酸カリウムを加
えた。この懸濁液に10.71gのプロパギルブロマイ
ドを加え、窒素気流下、25℃で撹拌しながら10日間
反応を行った。反応液全量を2N塩酸水溶液300ml
に入れ、混合した。この混合液にクロロホルム−四塩化
炭素(1:1容量比)80mlを加え、振盪し、有機層
を回収した。この抽出操作を3回行った。この有機層を
0.1N塩酸および水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウ
ム5gを加え、脱水した。硫酸ナトリウムを除いた後、
減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(展開液、酢酸エチル:クロロホルム=1:4)で
精製し、PQQ・TPE画分を得、濃縮乾固した。この
乾固物をエーテル20mlに溶解し、5℃で10時間放
置し、析出した結晶を濾取し、減圧下乾燥し、270m
g(収率20%)のPQQ・TPEを橙色結晶として得
た。PQQ−TPEの物性 a.融点:94〜97℃ b.水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3 中,テトラ
メチルシラン内部標準); δ 2.57(t,J=2Hz,2H),2.6
9(t,J=2Hz,1H),4.93(d,J=2Hz,2H),5.03(d,J=2Hz,2
H),5.15(d,J=2Hz,2H),7.45(d,J=5Hz,1H),8.82(s,1
H),12.77(br,1H) ppm. c.電子スペクトル;λmax(CH3OH)258,37
0nm. (2)PQQ−2−PEの合成 0.2g(0.45mmol)のPQQ−TPEをアセ
トニトリル0.1M炭酸カリウム水溶液(1:1)50
mlに溶かし、これを25℃で24時間反応させた。反
応液を濃塩酸でpH1に調整し、析出した結晶を濾取
し、水で洗浄した。減圧乾燥後0.11g(収率66
%)のPQQ−2−PEを橙色結晶として得た。
【0041】実施例5PQQ−2−ECME(化合物5)の合成 PQQ−2−ECMEは、PQQよりPQQ−2,7,
9−トリエトキシカルボニルメチルエステル(PQQ−
TECME)を合成し、それを加水分解することにより
取得した。 (1)PQQ−TECMEの合成 PQQ990mg(3mmol)を50mlの乾燥DM
Fに溶かし、これに6.21gの無水炭酸カリウムを加
えた。この懸濁液に15.0gのブロモ酢酸エチルを加
え、窒素気流下、25℃で撹拌しながら8日間反応を行
った。反応液全量を2N塩酸水溶液300mlに入れ、
混合した。この混合液にクロロホルム−四塩化炭素
(1:1容量比)80mlを加え、振盪し、有機層を回
収した。この抽出操作を3回行った。この有機層を0.
1N塩酸および水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム5
gを加え、脱水した。硫酸ナトリウムを除いた後、減圧
下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開液、酢酸エチル:クロロホルム=1:4)で精製
し、PQQ・TECME画分を得、濃縮乾固した。この
乾固物をエーテル20mlに溶解し、5℃で10時間放
置し、析出した結晶を濾取し、減圧下乾燥し、160m
g(収率9%)のPQQ・TECMEを橙色結晶として
得た。PQQ−TECMEの物性 a.融点:136〜141℃ b.水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3中,テトラ
メチルシラン内部標準); δ 1.30(t,J=7Hz,6H),1.3
3(t,J=7Hz,3H),4.24(d,J=7Hz,4H),4.34(q,J=7Hz,2
H),4.85(s,2H),4.97(s,2H),5.07(s,2H),7.51(d,J=
1.5Hz,1H),8.88(s,1H),12.31(br,1H) ppm. c.電子スペクトル;λmax(80%EtOH)25
5,374nm. d.赤外吸収スペクトル(KBr);νmax 3100 w
2970w ,1710s ,1675s,1360m ,1155vs,920 s ,750
w cm-1. (2)PQQ−2−ECMEの合成 0.1g(0.17mmol)のPQQ−TECMEを
アセトニトリル0.1M炭酸カリウム水溶液(1:1)
50mlに溶かし、これを25℃で24時間反応させ
た。反応液を濃塩酸でpH1に調整し、析出した結晶を
濾取し、水で洗浄した。減圧乾燥後0.06g(収率8
5%)のPQQ−2−ECMEを橙色結晶として得た。
【0042】実施例6PQQ−2−SE(化合物6)の合成 PQQ−2−SEは、PQQよりPQQ−2,7,9−
トリステアリルエステル(PQQ−TSE)を合成し、
それを加水分解することにより取得した。 (1)PQQ−TSEの合成 PQQ1.0g(3mmol)をヘキサメチルホスホル
アミド50mlに溶かし、これに酸化銀2g、ヨウ化ス
テアリル5gを添加し、60℃で4時間反応させた。反
応終了後、濾過しクロロホルムで抽出し、有機層を水洗
した。硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した後、メタノ
ール200mlを加え、結晶を析出させ、結晶を濾別
し、乾燥した。これをクロロホルムに溶解し、シリカゲ
ルカラムクロマト(展開液は、クロロホルム)で精製
し、1.8gのPQQ−TSEを橙色結晶として得た。
PQQに対するPQQ−TSEの収率は、約55%(m
ol)であった。PQQ−TSEの物性 a.溶解性:クロロホルムに溶解 エーテル、メタノール、イソプロピルアルコールに難溶 b.電子スペクトル;λmax(CHCl3)259,37
6nm. c.赤外吸収スペクトル(KBr):νmax 2916vs,28
50s ,1714s ,1708s ,1471 m ,1275m ,1219m cm
-1 . d.水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3中,テトラ
メチルシラン内部標準); δ 0.89(t-like,J=7Hz,9
H),2.3(m,96H), 4.48(m,6H),7.51(s,1H),8.88(s,1H)
,12.91(br,1H) ppm. (2)PQQ−2−SEの合成 PQQ−TSE1.0g(0.92mmol)をテトラ
ハイドロフラン(THF)−0.1M炭酸カリウム水溶
液(1:1)400mlに溶解し、50℃で4時間反応
させた。反応液に濃塩酸3.5mlを加え、減圧下でT
HFを留去し、蒸留水200mlを加え、析出した結晶
を濾過した。これをエーテル、メタノール、イソプロピ
ルアルコールで洗浄した後、再度エーテルで洗浄し、乾
燥し、0.5g(収率93%)のPQQ−2−SEを橙
色結晶として得た。PQQ−2−SEの物性 a.赤外吸収スペクトル(KBr):νmax 2918 s
2850s ,1718s ,1686s,1676m ,1655m ,1618m ,127
9m ,1101s cm-1. b.水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl3 中,テトラ
メチルシラン内部標準)δ 0.89(t-like,J=7Hz,3H),2.
3(m,32H), 4.48(m,2H),7.53(s,1H),8.85(s,1H),12.8
3(br,1H) ppm.
【発明の効果】本発明の新規化合物はピロロキノリン化
合物の新規な誘導体であり、活性酸素消去効果及び肝障
害抑制効果を有し、生理活性物質として医薬としての用
途が期待される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 [ただし、Rはメチル基を除くアルキル基、アリル基、
    プロパギル基、ベンジル基、フェニル基およびアルコキ
    シカルボニルメチル基を示す]で示される新規なピロロ
    キノリンキノン化合物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008035686A1 (fr) * 2006-09-19 2008-03-27 Kyowa Hakko Bio Co., Ltd. Agent pour améliorer la résistance à l'insuline
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