JPH10250544A - ブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ装置

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JPH10250544A
JPH10250544A JP5946797A JP5946797A JPH10250544A JP H10250544 A JPH10250544 A JP H10250544A JP 5946797 A JP5946797 A JP 5946797A JP 5946797 A JP5946797 A JP 5946797A JP H10250544 A JPH10250544 A JP H10250544A
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JP
Japan
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brake
master cylinder
pressure chamber
piston
cylinder
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JP5946797A
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Yoshihisa Nomura
佳久 野村
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非ブレーキ操作状態において、遮断弁706に
よりブレーキシリンダ704をマスタシリンダ702か
ら遮断するとともに、ポンプ708により作動液をマス
タシリンダ702から吸入してブレーキシリンダ704
に吐出することにより、ブレーキシリンダ704を加圧
可能なブレーキ装置において、マスタシリンダ702を
利用してポンプ708をアシストすることにより、ポン
プ708の加圧応答性を向上させる。 【解決手段】ブレーキ装置に、ポンプ708の作動開始
に応じて、マスタシリンダ702を作動させ、それによ
り、ポンプ708の吸入圧を増加させる非ブレーキ操作
時作動装置740を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用のブレーキ
装置に関するものであり、特に、非ブレーキ操作状態に
おいてポンプによってブレーキ液圧を発生させることが
可能なブレーキ装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用のブレーキ装置においては、非ブ
レーキ操作状態であるにもかかわらずブレーキ液圧を発
生させ、それによって車輪の回転を適度に抑制する技術
が既に提案されている。その技術として例えば、車両駆
動時に駆動車輪がスピンしないようにブレーキによって
駆動車輪を制動して駆動車輪の過剰な駆動トルクを減殺
するトラクション制御や、車両走行中に車両挙動が不安
定とならないようにブレーキによって左右輪間に制動力
差を発生させて車体の不適当なヨーモーメントを減殺す
る車両安定性制御が既に知られている。
【0003】その技術を実現可能なブレーキ装置の一従
来例が特開平4−230459号公報に記載されてい
る。それは、図22に概念的に示すように、(a) ブレー
キ操作部材700を有するブレーキ操作装置と、(b) そ
のブレーキ操作部材700の操作力に基づいて液圧を発
生させるマスタシリンダ702を有する液圧源と、(c)
そのマスタシリンダ702と液通路703により接続さ
れ、車輪の回転を抑制するブレーキを作動させるブレー
キシリンダ704と、(d) ブレーキ操作部材700の非
操作状態において、遮断弁706によりブレーキシリン
ダ704をマスタシリンダ702から遮断するととも
に、ポンプ708により作動液をマスタシリンダ702
から吸入してブレーキシリンダ704に吐出することに
より、ブレーキシリンダ704を加圧する加圧装置とを
含むブレーキ装置である。
【0004】この従来のブレーキ装置においては、ポン
プによりブレーキシリンダを加圧する際の応答性を向上
させることを目的として、ポンプの作動開始に応じてポ
ンプの吸入圧を上昇させるプリチャージ対策が採用され
ている。
【0005】この従来のブレーキ装置におけるプリチャ
ージ対策の具体的内容は、同図に概念的に示すように、
液通路703のうちポンプ708の吸入通路710との
接続点とマスタシリンダ702との間の部分に加圧シリ
ンダ714を設け、マスタシリンダ702に作動液を補
給するリザーバ716と加圧シリンダ714とを第2の
ポンプ通路718により互いに接続し、その第2のポン
プ通路718の途中に、リザーバ716から作動液を吸
入して加圧シリンダ714に吐出する第2のポンプ72
0を設け、その第2のポンプ720をバイパスするバイ
パス通路722を設け、さらに、そのバイパス通路72
2の途中に、第2のポンプ720の吐出圧を制御する電
磁弁724を設けるというものである。加圧シリンダ7
14は、ハウジングにバルブスプール730が摺動可能
に嵌合されて構成されており、常には、ポンプ吸入通路
710と常時連通した液室731をマスタシリンダ70
2に連通させる状態にあるが、第2のポンプ720の吐
出圧が当該加圧シリンダ714に供給されれば、開閉弁
732が閉じられて液室731を、マスタシリンダ70
2から遮断されて第2のポンプ720により加圧可能な
状態となる。液室731が第2のポンプ720により加
圧されれば、本来のポンプ708の吸入圧が上昇させら
れ、それにより、本来のポンプ708に対するプリチャ
ージが行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】しかしながら、この従来のプリチャージ対策
を講じるためには、ブレーキ装置の構造に大きな変更を
加えなければならない。すなわち、作動部品として加圧
シリンダ714と第2のポンプ720と電磁弁724と
を追加するとともに、液通路として第2のポンプ通路7
18とバイパス通路722とを追加しなければならない
のである。
【0007】そのため、この従来のブレーキ装置には、
プリチャージ実現のために、ブレーキ装置の構造複雑
化,大形化および大幅なコストアップという問題や、ポ
ンプ数の増加に伴う振動および騒音の増加という問題
や、主通路としての液通路703に加圧シリンダ714
を設けることに伴う作動液のみかけの圧縮性の増加に起
因したブレーキ操作フィーリングの悪化という問題が生
じることを避け得ない。
【0008】本発明は以上の事情を背景としてなされた
ものであり、その課題は、専用の液圧源を設けることな
く、既存の液圧源であるマスタシリンダを利用してポン
プをアシストすることにより、上記の問題を解決するこ
とにある。
【0009】この課題は下記態様のブレーキ装置によっ
て解決される。なお、以下の説明において、本発明の各
態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で
記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用するこ
との可能性を明示するためである。
【0010】(1) ブレーキ操作部材を有するブレーキ操
作装置と、そのブレーキ操作部材の操作力に基づいて液
圧を発生させるマスタシリンダを有する液圧源と、その
マスタシリンダと液通路により接続され、車輪の回転を
抑制するブレーキを作動させるブレーキシリンダと、前
記ブレーキ操作部材の非操作状態において、遮断弁によ
り前記ブレーキシリンダを前記マスタシリンダから遮断
するとともに、ポンプにより作動液をマスタシリンダか
ら吸入してブレーキシリンダに吐出することにより、ブ
レーキシリンダを加圧する加圧装置とを含むブレーキ装
置において、前記ブレーキ操作装置または前記液圧源
に、前記加圧装置の作動開始に応じて前記マスタシリン
ダを作動させる非ブレーキ操作時作動装置を設けたこと
を特徴とするブレーキ装置。(請求項1) このブレーキ装置においては、図22に示す従来のブレ
ーキ装置との関係において図23に概念的に示すよう
に、非ブレーキ操作時作動装置740により、加圧装置
の作動開始に応じてマスタシリンダ702が作動させら
れ、それにより、作動液がマスタシリンダ702からポ
ンプ708の吸入側に押し込まれる。その結果、ポンプ
708の吸入圧が増加する。したがって、このブレーキ
装置によれば、ポンプアシストが専用の液圧源を設ける
ことなく、既存の液圧源であるマスタシリンダを利用し
て行われるため、専用の液圧源を利用してポンプアシス
トを行う場合に比較して、ブレーキ装置の構造複雑化,
大形化および大幅なコストアップという問題や、振動お
よび騒音の増加という問題や、ブレーキ操作フィーリン
グの悪化という問題が発生し難くなるという効果が得ら
れる。このブレーキ装置において「加圧装置」は例え
ば、前記トラクション制御または車両安定性制御のため
にブレーキシリンダを加圧する態様とすることができ
る。また、このブレーキ装置において「非ブレーキ操作
時作動装置」は結果的にマスタシリンダが作動させられ
るように作動するものであればよいため、マスタシリン
ダに設けることはもちろん、それより上流側に位置する
バキュームブースタまたは液圧ブースタやブレーキ操作
装置に設けることもできる。ブレーキ操作部材からマス
タシリンダまでの間における如何なる構成要素にも設け
ることができるのである。また、「非ブレーキ操作時作
動装置」は、それの作動開始を、加圧装置の作動開始
(ポンプの作動開始)に先立って行う態様としたり、加
圧装置の作動開始と実質的に同じ時期に行う態様とする
ことができる。また、「非ブレーキ操作時作動装置」
は、それの作動終了を、非ブレーキ操作時作動装置の作
動開始から基準時間の経過時に行う態様としたり、加圧
装置の作動終了と実質的に同じ時期に行う態様とするこ
とができる。 (2) 前記ブレーキ操作装置または前記液圧源が、前記ブ
レーキ操作部材の操作力を前記マスタシリンダに伝達す
る連動部材であって、その連動部材にマスタシリンダの
液圧が増加する向きの運動が付与されればそれに追従し
てブレーキ操作部材もマスタシリンダの液圧が増加する
向きに運動させられるようにそのブレーキ操作部材と連
携させられた連動部材を含み、前記非ブレーキ操作時作
動装置が、前記加圧装置の作動開始に応じて、前記連動
部材に前記マスタシリンダの液圧が増加する向きの運動
を付与する運動付与装置を含む(1) 項に記載のブレーキ
装置。(請求項2) このブレーキ装置においては、マスタシリンダを作動さ
せるために連動部材が作動させられれば、それに追従し
てブレーキ操作部材がマスタシリンダの液圧が増加する
方向に運動させられる。マスタシリンダの作動中、ブレ
ーキ操作部材の操作位置がマスタシリンダの実際の作動
状態の変化に追従して変化させられるのである。したが
って、このブレーキ装置によれば、マスタシリンダの作
動状態で運転者がブレーキ操作を行おうとする場合に
は、ブレーキ操作部材を非操作位置から、マスタシリン
ダの実際の作動状態に対応する操作位置まで操作するこ
とが不要となり、ブレーキ操作部材の無効ストロークの
発生が回避され、その結果、ポンプアシストのためにブ
レーキ操作フィーリングが悪化してしまう事態の発生が
防止されるという効果が得られる。 (3) 前記液圧源が、負圧室とその負圧室と大気とに選択
的に連通させられる変圧室との差圧に基づいて作動する
パワーピストンを備えて前記ブレーキ操作部材と前記マ
スタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操
作力を助勢するバキュームブースタを含み、前記非ブレ
ーキ操作時作動装置が、(a) 前記負圧室内に前記パワー
ピストンに対して相対的に移動可能に設けられた補助ピ
ストンであって、前向き面において負圧室の圧力を受け
るものと、(b) 前記負圧室内にその負圧室から遮断され
るとともに圧力が前記補助ピストンの後向き面に作用す
る状態で形成された第2の変圧室と、(c) 前記負圧室と
前記第2の変圧室との差圧に基づく前記補助ピストンの
作動力に基づいて前記マスタシリンダを作動させる作動
機構と、(d) 前記加圧装置の作動開始に応じて、前記第
2の変圧室を、大気から遮断されて前記負圧室に連通す
る状態から、負圧室から遮断されて大気に連通する状態
に切り換える状態切換装置とを含む請求項1に記載のブ
レーキ装置。(請求項3) このブレーキ装置においては、ポンプアシストの強さが
補助ピストンの作動力の大きさによって決まり、その作
動力の大きさは補助ピストンの受圧面積によって決ま
る。ここに、補助ピストンの受圧面積は、パワーピスト
ンの受圧面積とは無関係に設計することができる。した
がって、このブレーキ装置によれば、ポンプアシストの
強さをブースタの基本的な性能に影響を与えることなく
設計可能となるという効果が得られる。 (4) 前記液圧源が、さらに、前記ブレーキ操作装置と前
記マスタシリンダとの間に設けられたバキュームブース
タであって、(a) 内部に空間を有するブースタハウジン
グと、(b) そのブースタハウジング内に前記内部空間を
負圧室と変圧室とに仕切る状態で移動可能に設けられた
パワーピストンと、(c) 前記ブレーキ操作部材の操作力
を当該バキュームブースタに入力する入力部材であっ
て、前記パワーピストンとは、そのパワーピストンへの
接近が許容されるとともに、そのパワーピストンが前記
マスタシリンダの液圧が増加する向きに前進させられれ
ばそれに追従して前進させられるように連携させられ、
前記ブレーキ操作装置とは、当該入力部材が前記マスタ
シリンダの液圧が増加する向きに前進させられればそれ
に追従してブレーキ操作部材がマスタシリンダの液圧が
増加する向きに運動させられるように連携させられた入
力部材と、(d) 前記変圧室と負圧室との差圧に基づく前
記パワーピストンの作動力を前記マスタシリンダに出力
する出力部材と、(e) 前記入力部材と前記パワーピスト
ンとの相対位置に基づいて前記変圧室の圧力を制御する
コントロールバルブ機構であって、エアバルブがパワー
ピストンに対して相対的に設定方向に移動することによ
り、前記変圧室を大気から遮断する遮断状態から大気に
連通させる連通状態に切り換わるエアバルブ機構を有す
るコントロールバルブ機構とを備えたバキュームブース
タを有し、前記非ブレーキ操作時作動装置が、前記ブー
スタハウジング内に設けられ、前記加圧装置の作動開始
に応じて前記エアバルブを前記パワーピストンに対して
相対的に前記設定方向に移動させ、それにより、前記エ
アバルブ機構を遮断状態から連通状態に切り換えるエア
バルブ移動機構を含む(1) 項に記載のブレーキ装置。
(請求項4) このブレーキ装置においては、ブースタにおいて既存の
エアバルブが利用されてブースタが作動させられ、その
結果、マスタシリンダが作動させられる。したがって、
このブレーキ装置によれば、ブースタにおいて既存のエ
アバルブが利用されるため、ポンプアシスト実現のため
にブレーキ装置に加えられるべき変更を容易に軽減可能
となるという効果が得られる。また、このブレーキ装置
においては、エアバルブが前進させれればパワーピスト
ンが前進させられ、その結果、入力部材も前進させられ
てブレーキ操作部材が、マスタシリンダの液圧が増加す
る向きに作動させられる。すなわち、前記(2)項に記載
のブレーキ装置における連動部材としての入力部材が作
動させられてブースタが作動させられるのである。した
がって、このブレーキ装置によれば、(2) 項に記載のブ
レーキ装置におけると同様に、ブレーキ操作部材の無効
ストロークの発生が回避され、ブレーキ操作フィーリン
グの悪化が防止されるという効果が得られる。 (5) 前記エアバルブ移動機構が、(a) 前記加圧装置の作
動開始に応じて磁気力を発生させる磁気力発生機構と、
(b) 発生させられた磁気力またはその磁気力に基づく機
械的力を前記エアバルブに前記パワーピストンに対して
相対的に前記設定方向に移動する向きに付与する磁気力
付与機構とを含む(4) 項に記載のブレーキ装置。このブ
レーキ装置によれば、圧縮が容易な気体の圧力を利用せ
ずにエアバルブをそれが開かれる方向(以下、開方向と
いう)に移動可能となるため、エアバルブの作動応答性
を容易に向上させ得るという効果が得られる。 (6) 前記エアバルブ移動機構が、(a) 前記加圧装置の作
動開始に応じて、前記負圧室との間に差圧を発生させる
差圧発生機構と、(b) 発生させられた差圧またはその差
圧に基づく機械的力を前記エアバルブに前記パワーピス
トンに対して相対的に前記設定方向に移動する向きに付
与する差圧付与機構とを含む(4) 項に記載のブレーキ装
置。このブレーキ装置によれば、負圧室の負圧が有効に
利用されてエアバルブが開方向に移動させられるため、
ポンプアシスト実現のためにブレーキ装置に加えられる
変更を容易に軽減し得るという効果が得られる。 (7) 前記エアバルブ移動機構が、(a) 前記負圧室内に前
記パワーピストンに対して相対的に移動可能に設けられ
た補助ピストンであって、前向き面において負圧室の圧
力を受けるものと、(b) 前記負圧室内にその負圧室から
遮断されるとともに圧力が前記補助ピストンの後向き面
に作用する状態で形成された第2の変圧室と、(c) 前記
負圧室と前記第2の変圧室との差圧に基づく前記補助ピ
ストンの作動力を前記エアバルブに、前記パワーピスト
ンに対して相対的に前記設定方向に移動する向きに伝達
する作動力伝達機構と、(d) 前記加圧装置の作動開始に
応じて、前記第2の変圧室を、大気から遮断されて前記
負圧室に連通する状態から、負圧室から遮断されて大気
に連通する状態に切り換える状態切換装置とを含む(4)
項に記載のブレーキ装置。(請求項5) したがって、このブレーキ装置によれば、上記(4) また
は(6) 項に記載のブレーキ装置におけると同様に、ポン
プアシスト実現のためにブレーキ装置に加えられるべき
変更を容易に軽減し得るという効果が得られ、また、上
記(3) 項に記載のブレーキ装置におけると同様に、ポン
プアシストの強さをブースタの基本的な性能に影響を与
えることなく設計可能となるという効果が得られる。 (8) 前記設定方向が、前記エアバルブが前記パワーピス
トンに対して相対的に前進する向きであり、前記エアバ
ルブが、前記入力部材にその入力部材に対する相対的な
前進が可能な状態で設けられ、前記エアバルブ移動機構
が、前記加圧装置の作動開始に応じて、前記エアバルブ
を前記入力部材に対して相対的に前進させることによ
り、エアバルブを前記パワーピストンに対して相対的に
前進させるものである(4) 項に記載のブレーキ装置。 (9) 前記設定方向が、前記エアバルブが前記パワーピス
トンに対して相対的に前進する向きであり、前記エアバ
ルブが、前記入力部材にその入力部材に対する相対的な
前進が不能な状態で設けられ、前記エアバルブ移動機構
が、前記加圧装置の作動開始に応じて、前記入力部材を
前記パワーピストンに対して相対的に前進させることに
より、前記エアバルブを前記パワーピストンに対して相
対的に前進させるものである(4) 項に記載のブレーキ装
置。 (10)前記バキュームブースタが、さらに、前記パワーピ
ストンと前記出力部材と前記入力部材との間に設けら
れ、パワーピストンおよび出力部材とはそれぞれ接近限
度を有して相対移動可能な状態、入力部材とは離間限度
を有して相対移動可能な状態でそれらパワーピストン,
出力部材および入力部材と連携させられた連携部材を含
み、前記エアバルブ移動機構が、(a) 前記パワーピスト
ンに前記負圧室内においてその負圧室から遮断された状
態で設けられた第2の変圧室と、(b) その第2の変圧室
と前記負圧室との差圧に基づいて作動することにより、
前記連携部材を前進させる連携部材移動機構と、(c) 前
記加圧装置の作動開始に応じて、前記第2の変圧室が大
気から遮断されて前記負圧室に連通する状態から、負圧
室から遮断されて大気に連通する状態に切り換える状態
切換装置とを含む(4) 項に記載のブレーキ装置。 (11)前記液圧源が、さらに、前記ブレーキ操作装置と前
記マスタシリンダとの間に設けられ、前記ブレーキ操作
部材の操作力を助勢するブースタを有し、前記非ブレー
キ操作時作動装置が、前記加圧装置の作動開始に応じ
て、そのブースタの作動なしで前記マスタシリンダを作
動させるマスタシリンダ作動装置を含む(1) 項に記載の
ブレーキ装置。(請求項6) したがって、このブレーキ装置によれば、ポンプアシス
ト実現のためにブースタに加えられるべき変更を容易に
軽減可能となるという効果が得られる。 (12)前記マスタシリンダが、マスタシリンダハウジング
にマスタシリンダピストンが摺動可能に嵌合され、その
マスタシリンダピストンが前記ブレーキ操作部材の操作
力に基づいて作動させられることにより、マスタシリン
ダハウジングとマスタシリンダピストンとの間に形成さ
れた加圧室に液圧を発生させるものであり、前記ブース
タが、そのブースタが助勢した前記操作力を前記マスタ
シリンダピストンに出力する出力部材を有するものであ
り、前記マスタシリンダ作動装置が、(a) 前記パワーピ
ストンと前記マスタシリンダピストンとの間に設けられ
た加圧シリンダであって、有底の加圧シリンダハウジン
グに加圧シリンダピストンが摺動可能に嵌合されるとと
もに、加圧シリンダハウジングの底部と、加圧シリンダ
ピストンの先端部との一方が前記パワーピストンの側の
部材に連携させられる一方、他方が前記マスタシリンダ
ピストンの側に部材に連携させられた加圧シリンダと、
(b) 前記加圧装置の作動開始に応じて、その加圧シリン
ダを前記加圧シリンダピストンが前記加圧シリンダハウ
ジングの底部から離間する向きに作動させる加圧シリン
ダ作動装置とを含む(11)項に記載のブレーキ装置。した
がって、このブレーキ装置によれば、ポンプアシスト実
現のためにブレーキ装置に加えられるべき変更が主にブ
ースタのパワーピストンとマスタシリンダのマスタシリ
ンダピストンとの間の部分に関する変更で済むため、ポ
ンプアシスト実現のためにブースタまたはマスタシリン
ダに加えられるべき変更を容易に軽減可能となるという
効果が得られる。 (13)前記マスタシリンダが、マスタシリンダハウジング
にマスタシリンダピストンが摺動可能に嵌合され、その
マスタシリンダピストンが前記ブレーキ操作部材の操作
力に基づいて作動させられることにより、マスタシリン
ダハウジングとマスタシリンダピストンとの間に形成さ
れた加圧室に液圧を発生させるものであり、前記ブース
タが、負圧室とその負圧室と大気とに選択的に連通させ
られる変圧室との差圧に基づいてパワーピストンが作動
させられることによって前記操作力を助勢し、その助勢
された操作力が出力部材により前記マスタシリンダピス
トンに出力されるバキュームブースタを含み、前記マス
タシリンダ作動装置が、(a) 前記負圧室内において前記
パワーピストンと前記マスタシリンダピストンとの間に
設けられた加圧シリンダであって、有底の加圧シリン
ダハウジングに加圧シリンダピストンが摺動可能に嵌合
され、それにより、加圧シリンダハウジングの底ブース
タと加圧シリンダピストンとの間に第2の変圧室が負圧
室から遮断された状態で形成されるとともに、加圧シ
リンダハウジングの底部において前記パワーピストンの
側の部材に連携させられる一方、加圧シリンダピストン
の先端部において前記マスタシリンダピストンの側の部
材に連携させられ、かつ、加圧シリンダピストンが、
それの前向き面において前記負圧室の圧力を受ける一
方、後向き面において前記第2の変圧室の圧力を受ける
加圧シリンダと、(b) 前記加圧装置の作動開始に応じ
て、前記第2の変圧室を、大気から遮断されて前記負圧
室に連通する状態から、負圧室から遮断されて大気に連
通する状態に切り換える状態切換装置とを含む(11)項に
記載のブレーキ装置。(請求項7) したがって、このブレーキ装置によれば、上記(12)項に
記載のブレーキ装置におけると同様に、ポンプアシスト
実現のためにブースタまたはマスタシリンダに加えられ
るべき変更を容易に軽減可能となるという効果が得ら
れ、また、負圧室の負圧が有効に利用されてエアバルブ
が開方向に移動させられるため、前記(4)または(6) 項
に記載のブレーキ装置におけると同様に、ポンプアシス
ト実現のためにブレーキ装置に加えられるべき変更を容
易に軽減し得るという効果が得られる。 (14) 前記加圧シリンダが、前記出力部材と前記マスタ
シリンダピストンとの間に、前記加圧シリンダハウジン
グの底部において前記パワーピストンの側の部材として
の出力部材に連携させられる一方、前記加圧シリンダピ
ストンの先端部において前記パワーピストンの側の部材
としてのマスタシリンダピストンに連携させられる状態
で設けられた(12)または(13)項に記載のブレーキ装置。 (15) 前記加圧シリンダが、前記パワーピストンと前記
出力部材との間に、前記加圧シリンダハウジングの底部
において前記パワーピストンの側の部材としてのパワー
ピストンに連携させられる一方、前記加圧シリンダピス
トンの先端部において前記マスタシリンダピストンの側
の部材としてのマスタシリンダピストンに連携させられ
る状態で設けられた(12)または(13)項に記載のブレーキ
装置。 (16) 前記状態切換装置が、(a) 前記第2の変圧室を大
気から遮断して前記負圧室に連通させる負圧室連通状態
と、負圧室から遮断して大気に連通させる大気連通状態
とに切り換わる電磁弁と、(b) 前記加圧装置の作動開始
に応じて、前記電磁弁を負圧室連通状態から大気連通状
態に切り換える電磁弁制御手段とを含む(3) ,(7) ,(1
0)または(13)項に記載のブレーキ装置。 (17) 前記非ブレーキ操作時作動装置が、前記加圧装置
の作動中、前記マスタシリンダを作動状態に維持する作
動状態維持装置を含む(1) ないし(16)項のいずれかに記
載のブレーキ装置。本発明は、加圧装置の作動開始時に
のみマスタシリンダを作動させる態様で実施可能である
が、この(17)項に記載の態様、すなわち、作動開始時の
みならず作動中の全体を通じてマスタシリンダを作動さ
せる態様でも実施可能である。そして、この態様によれ
ば、加圧装置の作動中、ポンプの吸入圧が高圧化(例え
ば、大気圧より高圧な状態に)されるため、ポンプによ
る作動液の吸入が容易になるという効果が得られる。ま
た、この(17)項に記載のブレーキ装置においては、加圧
装置の作動中、図23において符号716で示す如きマ
スタシリンダ用リザーバから作動液がポンプに吸入され
ることはなく、ブレーキ回路における作動液の量が加圧
装置の作動時とそれ以外の時とで異なることがない。加
圧装置の作動中、マスタシリンダが作動状態に維持さ
れ、また、マスタシリンダの作動状態では、マスタシリ
ンダ用リザーバがマスタシリンダによってポンプの吸入
側から遮断され、また、当該ブレーキ装置には作動液を
マスタシリンダを経由することなくマスタシリンダ用リ
ザーバからポンプの吸入側に導入する通路が存在しない
からである。このように、このブレーキ装置によれば、
前記従来のブレーキ装置におけるとは異なり、加圧シリ
ンダ714を追加することなく、加圧装置の作動をマス
タシリンダ用リザーバから遮断した状態で実行可能とな
るのである。したがって、このブレーキ装置によれば、
主通路に加圧シリンダ714を設けることに伴う作動液
のみかけの圧縮性の増加に起因してブレーキ操作フィー
リングが悪化するという事態の発生が防止されるという
効果が得られる。 (18) 前記非ブレーキ操作時作動装置が、(a) 前記マス
タシリンダの作動力に関連する量を検出するマスタシリ
ンダ作動力関連量センサと、(b) 検出されたマスタシリ
ンダ作動力関連量に基づき、前記マスタシリンダの作動
力を電気的に制御する電気的制御装置とを含む(1) ない
し(17)項のいずれかに記載のブレーキ装置。このブレー
キ装置によれば、マスタシリンダの作動力の実際値がフ
ィードバックされてマスタシリンダの作動力が電気的に
制御されるため、ポンプアシスト時におけるマスタシリ
ンダの作動力の制御精度を容易に向上させ得るという効
果が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】まず、本発明の一実施形態であるブレーキ
装置を説明する。このブレーキ装置は、前輪駆動式の4
輪自動車に搭載される。
【0013】図1において符号10はマスタシリンダを
示す。マスタシリンダ10は、ハウジング(マスタシリ
ンダハウジング)に2個の加圧ピストン(マスタシリン
ダピストン)が互いに直列にかつ各々摺動可能に嵌合さ
れ、それにより、ハウジング内に各加圧ピストンの前方
において各加圧室が互いに独立して形成されたタンデム
型である。このマスタシリンダ10は、ブースタとして
のバキュームブースタ(以下、単にブースタという)1
2を介してブレーキ操作部材としてのブレーキペダル1
4に連携させられており、そのブレーキペダル14の踏
力であるブレーキ操作力Fがブースタ12により助勢さ
れてマスタシリンダ10に伝達される。
【0014】マスタシリンダ10の一方の加圧室には左
前輪FLおよび右後輪RR用の第1ブレーキ系統が接続
され、他方の加圧室には右前輪FRおよび左後輪RL用
の第2ブレーキ系統が接続されている。すなわち、本ブ
レーキ装置はダイヤゴナル2系統式なのである。それら
ブレーキ系統は互いに構成が共通するため、以下、第1
ブレーキ系統のみを代表的に説明し、第2ブレーキ系統
については説明を省略する。
【0015】第1ブレーキ系統においては、マスタシリ
ンダ10が主通路48により、左前輪FLの回転を抑制
するブレーキを作動させるブレーキシリンダ50と、右
後輪RRのブレーキのブレーキシリンダ50とにそれぞ
れ接続されている。主通路48は、マスタシリンダ10
から延び出た後に二股状に分岐させられており、1本の
基幹通路54と2本の分岐通路56とが互いに接続され
て構成されている。各分岐通路56の先端にブレーキシ
リンダ50が接続されている。
【0016】基幹通路54の途中には方向制御弁として
電磁式の3方弁57が設けられている。3方弁57は、
後述のリザーバ72にも接続されており、ソレノイドの
OFF状態では、マスタシリンダ10をリザーバ72か
ら遮断してブレーキシリンダ50に連通させる第1状態
にあり、ソレノイドをONすれば、マスタシリンダ10
をブレーキシリンダ50から遮断してリザーバ72に連
通させる第2状態に切り換える。なお、3方弁57は、
3ポート2位置弁である。
【0017】基幹通路54にはまた、それぞれ3方弁5
7をバイパスする逆止弁58とリリーフ弁59とが設け
られている。逆止弁58は、マスタシリンダ10からブ
レーキシリンダ50へ向かう作動液の流れを常時許容す
るために設けられ、これに対して、リリーフ弁59は、
3方弁57においてブレーキシリンダ50の側の液圧が
過大となることを防止するために設けられている。
【0018】各分岐通路56の途中には圧力制御弁とし
て電磁式かつ常開の増圧弁60が設けられ、ソレノイド
のOFF状態すなわち開状態で、マスタシリンダ10と
ブレーキシリンダ50との間における作動液の双方向の
流れを許容する。また、各分岐通路56には各増圧弁6
0をバイパスする逆止弁64が設けられている。逆止弁
64は作動液のマスタシリンダ10への戻りを促進する
ために設けられている。
【0019】各分岐通路56のうち増圧弁60とブレー
キシリンダ50との間の部分から各リザーバ通路66が
延びてリザーバ68に至っている。各リザーバ通路66
の途中には圧力制御弁として電磁式かつ常閉の減圧弁7
0が設けられ、ソレノイドのON状態すなわち開状態
で、ブレーキシリンダ50からリザーバ72へ向かう作
動液の流れを許容する。
【0020】リザーバ72は、ハウジングにリザーバピ
ストン74が実質的に気密かつ摺動可能に嵌合されて構
成され、その嵌合によって形成されたリザーバ室76に
おいて作動液を収容する。リザーバピストン74は弾性
部材としてのスプリング78により、リザーバ室76の
容積が減少する向きに常時付勢されており、その結果、
リザーバピストン74は常にはその先端においてハウジ
ングに当接させられている。
【0021】このリザーバ72はポンプ通路80によ
り、主通路48に3方弁57と各増圧弁60との間の部
分において接続されている。ポンプ通路80の途中に
は、リザーバ72から作動液を汲み上げるポンプ82が
設けられている。このポンプ82の吸入側には逆止弁で
ある吸入弁84、吐出側には逆止弁である吐出弁86が
それぞれ設けられている。ポンプ82はポンプモータ8
8により駆動される。
【0022】リザーバ72はまた、補給通路90により
3方弁57に接続され、その3方弁57を介してマスタ
シリンダ10に接続されている。3方弁57が図示の第
1状態から第2状態に切り換わった場合に、作動液がマ
スタシリンダ10からリザーバ72に導入され、作動液
がポンプ82によりマスタシリンダ10からリザーバ7
2を経由して吸入されるようになっているのである。
【0023】しかし、3方弁57の第2状態でブレーキ
ペダル14が操作されると、リザーバ72においてリザ
ーバピストン74がボトミングした後でないとマスタシ
リンダ10が昇圧できず、ブレーキの効き遅れが生じ
る。したがって、3方弁57の第2状態でブレーキペダ
ル14が操作された場合には、作動液がマスタシリンダ
10からリザーバ72に流出しないようにすることが必
要である。
【0024】また、3方弁57の第2状態で後述のアン
チロック制御が実行され、ポンプ82が作動させられる
と、ポンプ82はリザーバ72からではなくマスタシリ
ンダ10から優先的に作動液を吸入してしまい、アンチ
ロック制御中にブレーキシリンダ50が正常に減圧する
ことができなくなる。したがって、3方弁57の第2状
態でアンチロック制御が実行された場合には、ポンプ8
2が作動液をマスタシリンダ10からではなくリザーバ
72から吸入するようにすることも必要である。
【0025】以上の知見に基づき、本実施形態において
は、補給通路90の途中に流入制御弁92が設けられて
いる。この流入制御弁92は、マスタシリンダ10から
リザーバ72への作動液の補給が必要であるときには開
状態となってマスタシリンダ10からリザーバ72への
作動液の流れを許容し、一方、マスタシリンダ10から
リザーバ72への作動液の補給が必要ではないときには
閉状態となってマスタシリンダ10からリザーバ72へ
の作動液の流れを阻止し、マスタシリンダ10による昇
圧を可能とする。
【0026】この流入制御弁92は後に別の実施形態に
おいて説明するように、電磁式とすることは可能である
が、本実施形態においては、機械式とされており、リザ
ーバ72に対する作動液の流入制御をリザーバピストン
74との共同により実現する。
【0027】具体的には、流入制御弁92は、(a) 弁子
96および弁座98により、リザーバ72からマスタシ
リンダ10へ向かう作動液の流れは許容するがその逆向
きの流れは阻止する逆止弁100と、(b) 弁子96を弁
座98から離間させて逆止弁100を強制的に開かせる
開弁部材102とを有する。その開弁部材102がリザ
ーバピストン74と連携させられているのであり、リザ
ーバピストン74が通常位置(リザーバ室76が空であ
る位置)にあるときには、開弁部材102は弁子96に
当接して逆止弁100を開かせ、それにより、作動液が
マスタシリンダ10からリザーバ72に導入されること
を許容する。これに対して、リザーバピストン74が通
常位置から一定距離以上後退したときには、開弁部材1
02が弁子96から退避して逆止弁100が閉じること
を許容し、逆止弁100が閉じれば、作動液がマスタシ
リンダ10からリザーバ72に導入されることが阻止さ
れる。
【0028】すなわち、本実施形態においては、3方弁
57が「遮断弁」として機能するとともに、流入制御弁
92と共同して、「ポンプ82が作動液をマスタシリン
ダ10から吸入することが必要である場合に、作動液を
マスタシリンダ10からポンプ82の吸入側へ導入する
作動液導入装置」としても機能するように設計されてい
るのであり、また、その作動液導入装置は、3方弁57
の第2状態でブレーキ操作またはアンチロック制御が行
われた場合に作動液がマスタシリンダ10からポンプ8
2の吸入側に導入されることを阻止する機械式の導入阻
止装置を備えているのである。
【0029】図2には、ブースタ12全体がマスタシリ
ンダ10と共に示され、図3には、そのブースタ12の
要部が拡大して示されている。図2には、ブースタ12
およびマスタシリンダ10が非作動状態で示されてい
る。ここに、非作動状態とは、ブレーキペダル14が非
踏み込み位置(初期位置)にあり、かつ、ブースタ12
もマスタシリンダ10も作動させられていない状態をい
う。なお、後述の図12および図15にも同様に、ブー
スタ12およびマスタシリンダ10が非作動状態で示さ
れている。
【0030】ブースタ12は、図2に示すように、内部
に空間を有するハウジング120を備えている。ハウジ
ング120内の空間は、パワーピストン122によりマ
スタシリンダ10の側の負圧室124とブレーキペダル
14の側の変圧室126とに仕切られている。負圧室1
24は、負圧源としてのエンジン吸気管に接続されてい
る。
【0031】パワーピストン122のボス130には、
ブレーキペダル14と連動する入力部材が相対変位可能
に配設させられている。入力部材は、ブレーキペダル1
4の側のバルブオペレーティングロッド132と、パワ
ーピストン122の側のリアクションロッド134とが
同軸に連結されて構成されている。バルブオペレーティ
ングロッド132は、ブレーキペダル14がマスタシリ
ンダ10の液圧が増加する向きに操作されればそれに追
従して前進するとともに、当該バルブオペレーティング
ロッド132が前進させられればそれに追従してブレー
キペダル14がマスタシリンダ10の液圧が増加する向
きに回動(運動)させられるようにブレーキペダル14
と連携させられている。入力部材は、リアクションロッ
ド134においてボス130と軸方向摺動可能に嵌合さ
れている。リアクションロッド134は、それの外周面
に形成された環状溝にストッパキー136が嵌入させら
れている。ストッパキー136は、図4に形状を有して
いる。このストッパキー136により、リアクションロ
ッド134のパワーピストン122に対する接近限度と
離間限度とが規制されている。したがって、このストッ
パキー136により、パワーピストン122がマスタシ
リンダ10の液圧が増加する向きに前進させられれば、
それに追従して入力部材も前進させられ、最終的には、
ブレーキペダル14がマスタシリンダ10の液圧が増加
する向きに回動(変位)させられることになる。すなわ
ち、パワーピストン122も入力部材も「連動部材」な
のである。
【0032】パワーピストン122は、マスタシリンダ
10の側において、ゴム製のリアクションディスク14
0を介して出力部材としてのブースタピストンロッド1
42と連携させられている。ブースタピストンロッド1
42はマスタシリンダ10における2個の加圧ピストン
10a,10bのうちブースタ12の側の加圧ピストン
10bに連携させられ、その加圧ピストン10bにパワ
ーピストン122の作動力を伝達する。
【0033】負圧室124と変圧室126との間にコン
トロールバルブ機構150が設けられている。このコン
トロールバルブ機構150は、図3に示すように、バル
ブオペレーティングロッド132とパワーピストン12
2との相対移動に基づいて作動するものであり、コント
ロールバルブ152と、エアバルブ154と、バキュー
ムバルブ156と、コントロールバルブスプリング15
8とを備えている。エアバルブ154は、コントロール
バルブ152と共同して変圧室126の大気に対する連
通・遮断を選択的に行うものである。このエアバルブ1
54は一般のブレーキ装置においては、常にリアクショ
ンロッド134と一体的に移動するが、本実施形態にお
いては、常にはリアクションロッド134と一体的に移
動し、マスタシリンダ10の非ブレーキ操作時作動時に
はリアクションロッド134に対して図示の位置からエ
アバルブ154が開く向き、すなわち、前進する向きに
リアクションロッド134に対して相対的に移動するよ
うになっている。このようにした理由については後述す
る。コントロールバルブ152は、コントロールバルブ
スプリング158によりエアバルブ154に着座する向
きに付勢されてバルブオペレーティングロッド132に
取り付けられている。バキュームバルブ156は、コン
トロールバルブ152と共同して変圧室126の負圧室
124に対する連通・遮断を選択的に行うものであり、
パワーピストン122のボス130に位置固定に形成さ
れている。図において符号160および161は、ボス
130に形成された各通路を示している。エアバルブ1
54が開かれた状態では、それら通路160および16
1により、負圧室124と変圧室126とが互いに連通
して共に負圧となる。
【0034】このように構成されたブースタ12におい
ては、非ブレーキ操作時(ただし、マスタシリンダ10
の非ブレーキ操作時作動時を除く)には、図2および図
3に示すように、コントロールバルブ152が、エアバ
ルブ154に着座する一方、バキュームバルブ156か
ら離間し、それにより、変圧室126が大気から遮断さ
れて負圧室124に連通させられる。したがって、この
非ブレーキ操作時には、負圧室124も変圧室126も
共に等しい高さの負圧(大気圧以下の圧力)とされる。
【0035】これに対して、ブレーキ操作時には、バル
ブオペレーティングロッド132がパワーピストン12
2に対して相対的に接近し、それにより、やがてコント
ロールバルブ152がエアバルブ154のみならずバキ
ュームバルブ156にも着座し、それにより、変圧室1
26が大気からも負圧室124からも遮断される。その
後、バルブオペレーティングロッド132がパワーピス
トン122に対してさらに相対的に接近すれば、エアバ
ルブ154のみがコントロールバルブ152から離間
し、それにより、変圧室126が負圧室124から遮断
されて大気に連通させられる。この状態では、変圧室1
26が昇圧し、負圧室124との間に差圧が発生し、そ
の差圧に基づいてパワーピストン122が作動させられ
る。
【0036】すなわち、本実施形態においては、コント
ロールバルブ152とエアバルブ154とが互いに共同
して「エアバルブ機構」の一例を構成しているのであ
る。
【0037】以上、本実施形態におけるブースタ12
を、従来のブースタと共通する部分について説明した
が、以下、異なる部分について説明する。
【0038】上述のように、エアバルブ154は、リア
クションロッド134に相対移動可能に取り付けられて
いる。エアバルブ154は、リアクションロッド134
に軸方向摺動可能に嵌合されるとともに、後退限度がリ
アクションロッド134の後端部に形成されたフランジ
162により規制されている。エアバルブ154はリア
クションロッド134にシール164により気密に嵌合
されている。
【0039】パワーピストン122のボス130には、
ブースタソレノイド170が負圧室124の側において
設けられている。ブースタソレノイド170は、ブース
タピストンロッド142により貫通させられた状態でそ
れと同軸に設けられている。ブースタソレノイド170
は、ブースタピストンロッド142にそれの肩面(ブー
スタ12における前向き面であり、マスタシリンダ10
の液圧増加方向に向いた面でもある。)との間において
環状空間を隔てて対向させられており、その環状空間に
吸引部材172が配置されている。吸引部材172は、
ブースタソレノイド170にそれの磁気力によって吸引
される部材であり、ブースタピストンロッド142に軸
方向摺動可能に嵌合されている。この吸引部材172
は、弾性部材としてのスプリング174により、ブース
タソレノイド170から離間する向きに付勢されてい
る。スプリング174の弾性力は、前記コントロールバ
ルブスプリング158の弾性力とコントロールバルブ1
52の最大作動力(コントロールバルブ152の前後間
に生じる最大差圧に基づいてそのコントロールバルブ1
52に生じる作動力)との和より大きくなるように設定
されている。ブースタ12の作動時(ブースタ12の非
ブレーキ操作時作動時を除く)に、エアバルブ154が
予定外に開かれてしまうことを防止するためである。
【0040】この吸引部材172は、伝達部材176と
駆動部材178とによりエアバルブ154と連携させら
れている。伝達部材176は、パワーピストン122の
軸線から半径方向に外れた位置においてその軸線と平行
に延びている。また、伝達部材176は、ボス130に
軸方向摺動可能かつシール177により気密に嵌合され
ている。これに対して、駆動部材178は、図4に示す
形状を有しており、パワーピストン122の一直径方向
に平行に延びるとともに、中心部においてリアクション
ロッド134により貫通させられた状態でボス130内
に配置されている。また、駆動部材178は、リアクシ
ョンロッド134に軸方向摺動可能に嵌合されている。
【0041】したがって、非ブレーキ操作状態において
ブースタソレノイド170がONされ、それにより、吸
引部材172がスプリング174の弾性力に抗してブー
スタソレノイド170に吸引されれば、エアバルブ15
4がコントロールバルブスプリング158の弾性力によ
り、バルブオペレーティングロッド132に対して相対
的に前進すること、すなわち、コントロールバルブ15
2から離間することが許容される。エアバルブ154が
コントロールバルブ152から離間すれば、それに伴っ
てコントロールバルブ152も前進してバキュームバル
ブ156に着座する。さらにエアバルブ154がコント
ロールバルブ152から離間すれば、エアバルブ154
がコントロールバルブ152から離間する。その結果、
変圧室126が負圧室124から遮断されて大気に連通
させられ、変圧室126の圧力が上昇する。それによ
り、負圧室124と変圧室126との間に差圧が発生
し、パワーピストン122に作動力が発生して、パワー
ピストン122が前進を開始する。非ブレーキ操作状態
であるにもかかわらずマスタシリンダ10が作動を開始
させられるのである。また、このようにパワーピストン
122が前進を開始すれば、ストッパキー136によ
り、それに追従してリアクションロッド134およびバ
ルブオペレーティングロッド132が前進させられ、さ
らに、それに追従してブレーキペダル14が非操作位置
から操作位置に変位させられる。マスタシリンダ10の
非ブレーキ操作時作動に追従してブレーキペダル14が
変位させられるのである。
【0042】図3には、ブースタソレノイド170と吸
引部材172との軸方向隙間がδ1で示され、コントロ
ールバルブ152とバキュームバルブ156との軸方向
隙間がδ2 で示されている。それら軸方向隙間δ1 とδ
2 との関係は、軸方向隙間δ 1 が軸方向隙間δ2 より大
きくなるように設定されている。エアバルブ154がコ
ントロールバルブ152から離間するためには、エアバ
ルブ154を、コントロールバルブ152がバキューム
バルブ156に着座した後にも後退させなければならな
いからである。それにより、ブースタソレノイド170
がONされればそれの磁気力によって確実にエアバルブ
154が開かれることとなる。
【0043】図5には、本実施形態の電気的構成が示さ
れている。本ブレーキ装置は、ブレーキコントローラ2
00を備えている。ブレーキコントローラ200は、C
PU202(プロセッサの一例)とROM204(メモ
リの一例)とRAM206(メモリの別の例)とを含む
コンピュータ208を主体として構成されている。ブレ
ーキコントローラ200は、トラクション制御(TR
C),車両安定性制御(VSC),ブレーキアシスト制
御(BA)およびアンチロック制御(ABS)を含む複
数種類のブレーキ圧制御を実行可能に設計されている。
なお、コンピュータ208は、各ブレーキ圧制御毎に設
けられている。
【0044】ここに、「トラクション制御」とは、車両
駆動時に駆動車輪のスピン傾向が過大とならないように
駆動車輪のブレーキシリンダ50の液圧(ブレーキ圧)
を制御することである。「車両安定性制御」とは、車両
の安定性が低下することを防止するのに必要なヨーイン
グモーメントが車体に発生するように各輪のブレーキシ
リンダ50の液圧を左右輪間で互いに異なるように制御
することである。「ブレーキアシスト制御」とは、急ブ
レーキ操作時にマスタシリンダ10の液圧より高い液圧
をポンプ82によりブレーキシリンダ50に発生させる
ことである。「アンチロック制御」とは、車両制動時に
各輪のロック傾向が過大とならないように各輪のブレー
キシリンダ50の液圧を制御することである。
【0045】そして、ROM204には、図6に示すよ
うに、制御要否判定ルーチン,3方弁制御ルーチン,ポ
ンプモータ制御ルーチン,ブースタソレノイド制御ルー
チン,ブレーキ圧制御ルーチン等が記憶されている。
【0046】各ルーチンの内容を概略的に説明すれば、
「制御要否判定ルーチン」は、各ブレーキ圧制御の実行
の要否を判定するためのルーチンである。「3方弁制御
ルーチン」は、実行されるブレーキ圧制御の種類(トラ
クション制御であるか、車両安定性制御であるか、ブレ
ーキアシスト制御であるか、アンチロック制御である
か)に応じて3方弁57を制御するためのルーチンであ
る。この3方弁制御ルーチンは、トラクション制御およ
び車両安定制御に関連する部分(その1)と、ブレーキ
アシスト制御に関連する部分(その2)とを含んでい
る。「ポンプモータ制御ルーチン」は、実行されるブレ
ーキ圧制御の種類に応じてポンプモータ88を制御する
ためのルーチンである。「ブースタソレノイド制御ルー
チン」は、実行されるブレーキ圧制御の種類に応じてブ
ースタソレノイド170を制御するためのルーチンであ
る。「ブレーキ圧制御ルーチン」は、実行されるブレー
キ圧制御の種類に応じて各ブレーキシリンダ50の液圧
を増圧弁60および減圧弁70により制御するためのル
ーチンである。後に、各ルーチンの内容を詳細に説明す
る。
【0047】図5に示すように、ブレーキコントローラ
200の入力側には、各輪毎に設けられた4個の車輪速
センサ210と、ブレーキスイッチ212と、アクセル
スイッチ214と、マスタシリンダ液圧センサ216と
が接続されている。各車輪速センサ210は、各輪の回
転速度である車輪速を検出する。ブレーキスイッチ21
2は、ブレーキ操作を検出するセンサの一例であり、ブ
レーキペダル14が踏み込まれていなければOFF状態
のブレーキ操作信号を出力し、踏み込まれていればON
状態のブレーキ操作信号を出力する。アクセルスイッチ
214は、アクセル操作を検出するセンサの一例であ
り、図示しないアクセルペダルが踏み込まれていなけれ
ばOFF状態のアクセル操作信号を出力し、踏み込まれ
ていればON状態のアクセル操作信号を出力する。マス
タシリンダ液圧センサ216は、マスタシリンダ10に
発生した液圧を検出するセンサである。なお、マスタシ
リンダ液圧センサ216は、前記2つのブレーキ系統に
それぞれ設けることは不可欠ではなく、いずれか一方の
ブレーキ系統にのみ設ければ足りる。
【0048】さらに、ブレーキコントローラ200の入
力側には、舵角センサ218と、車速センサ220と、
ヨーレートセンサ222と、横加速度センサ224とが
接続されている。舵角センサ218は、操舵輪である左
右前輪の舵角を検出する。舵角センサ218は例えば、
ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ
とされる。車速センサ220は、車速を検出する。ヨー
レートセンサ222は、車体のヨーレートを検出する。
横加速度センサ224は、車体の横加速度を検出する。
それらセンサ218,220,222,224は、車両
が強いオーバステア傾向を示すか、強いアンダステア傾
向を示すかという、車両の状態を判定するために使用さ
れる。
【0049】さらに、ブレーキコントローラ200の入
力側には、操作位置センサ226が接続されている。操
作位置センサ226は、ブレーキペダル14の操作位置
を検出する。この操作位置センサ226は、運転者によ
る急ブレーキ操作を検出するために使用される。
【0050】一方、ブレーキコントローラ200の出力
側には、各ブレーキ系統毎にブレーキアクチュエータ2
30が接続されている。各ブレーキアクチュエータ23
0は、1個の3方弁57と2個の増圧弁60と2個の減
圧弁70とを含んでいる。それらのうち2個の増圧弁6
0と2個の減圧弁70とは、ブレーキシリンダ50の液
圧を制御するという意味においてブレーキ圧制御弁装置
232を構成する。この出力側にはさらに、ブースタソ
レノイド170とポンプモータ88とが接続されてい
る。ポンプモータ88は、2つのブレーキ系統に共通に
1個設けられているが、各ブレーキ系統毎に設けること
は可能である。
【0051】図7には、制御要否判定ルーチンがフロー
チャートで表されている。本ルーチンは、車両のイグニ
ションスイッチがONに操作されている間、繰り返し実
行される。
【0052】各回の実行時にはまず、ステップS1(以
下、単にS1で表す。他のステップについても同じとす
る)において、前記センサおよびスイッチから各種信号
が入力される。次に、S2において、入力された各種信
号に基づき、トラクション制御の要否が判定される。必
要であると判定されれば、S3において、0でトラクシ
ョン制御が不要であることを示し、1で必要であること
を示すフラグFTRC が1とされ、これに対して、不要で
あると判定されれば、S4において、フラグF TRC が0
とされる。
【0053】その後、S5において、入力された各種信
号に基づき、車両安定性制御の要否が判定される。必要
であると判定されれば、S6において、0で車両安定性
制御が不要であることを示し、1で必要であることを示
すフラグFVSC が1とされ、これに対して、不要である
と判定されれば、S7において、フラグFVSC が0とさ
れる。
【0054】続いて、S8において、入力された各種信
号に基づき、ブレーキアシスト制御の要否が判定され
る。必要であると判定されれば、S9において、0でブ
レーキアシスト制御が不要であることを示し、1で必要
であることを示すフラグFBAが1とされ、これに対し
て、不要であると判定されれば、S10において、フラ
グFBAが0とされる。
【0055】その後、S11において、入力された各種
信号に基づき、アンチロック制御の要否が判定される。
必要であると判定されれば、S12において、0でアン
チロック制御が不要であることを示し、1で必要である
ことを示すフラグFABS が1とされ、これに対して、不
要であると判定されれば、S13において、フラグF
ABS が0とされる。
【0056】以上で本ルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0057】図8には、3方弁制御ルーチン(その1)
がフローチャートで表されている。本ルーチンも繰り返
し実行される。
【0058】各回の実行時にはまず、S101におい
て、フラグFTRC が1であるか否か、すなわち、トラク
ション制御が必要であるか否かが判定される。1であれ
ば、S104において、3方弁57のソレノイドがON
され、それにより、マスタシリンダ10がブレーキシリ
ンダ50から遮断されてリザーバ72に連通させられ
る。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0059】これに対して、フラグFTRC が1ではない
場合には、S102において、フラグFVSC が1である
か否か、すなわち、車両安定性制御が必要であるか否か
が判定される。1であれば、S104において、3方弁
57のソレノイドがONされる。以上で本ルーチンの一
回の実行が終了する。
【0060】また、フラグFVSC も1ではない場合に
は、S103において、3方弁57のソレノイドがOF
Fされ、それにより、マスタシリンダ10がリザーバ7
2から遮断されてブレーキシリンダ50に連通させられ
る。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0061】図9には、3方弁制御ルーチン(その2)
がフローチャートで表されている。本ルーチンも繰り返
し実行される。
【0062】各回の実行時にはまず、S151におい
て、フラグFBAが1であるか否か、すなわち、ブレーキ
アシスト制御が必要であるか否かが判定される。1であ
れば、S152において、フラグFXが1とされ、その
後、S153において、3方弁57のソレノイドがON
される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0063】これに対して、フラグFBAが1でなけれ
ば、S154において、フラグFXが1であるか否かが
判定される。本ルーチンの前回の実行時にはブレーキア
シスト制御が必要であると判定されたが(前回の実行時
には普通、ブレーキアシスト制御が実行されている)、
今回の実行時にはブレーキアシスト制御が不要であると
判定された場合であるか否かが判定されるのである。前
回もブレーキアシスト制御が不要であると判定されたた
め、フラグFXが0であると仮定すれば、S155にお
いて、3方弁57のソレノイドがOFFされる。以上で
本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0064】また、前回はブレーキアシスト制御が必要
であると判定され、今回は不要であると判定されたた
め、フラグFXが1であると仮定すれば、S156にお
いて、今回のブレーキ操作が終了したか否かが判定され
る。ブレーキ操作の終了は例えば、マスタシリンダ液圧
センサ216により検出されたマスタシリンダ液圧PM
が実質的に0であるか、ブレーキスイッチ212がOF
Fであるか等を検出することによって検出することがで
きる。今回はブレーキ操作が終了してはいないと仮定す
れば、S157において、マスタシリンダ液圧センサ2
16によるマスタシリンダ液圧PM の今回検出値の前回
検出値からの変化量ΔPM が演算される。その後、S1
58において、演算された変化量ΔPM に基づき、3方
弁57のソレノイドに供給すべきソレノイド電流値Iが
演算される。続いて、S159において、演算されたソ
レノイド電流値Iで3方弁57のソレノイドが励磁され
る。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0065】また、ブレーキ操作が終了した場合には、
S160において、フラグFXが0とされ、S155に
おいて、3方弁57のソレノイドがOFFされる。以上
で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0066】一連のブレーキ操作において、ある時点に
おいてブレーキアシスト制御が不要となれば、その直前
の時点におけるブレーキアシスト制御の要否を問わず、
直ちに3方弁57のソレノイドをOFFすると、各ブレ
ーキシリンダ50の液圧が素早くマスタシリンダ10の
液圧まで減圧する。しかし、同じ一連のブレーキ操作に
おいては、ブレーキアシスト制御が必要である状態から
不要である状態に移行しても、各ブレーキシリンダ50
の液圧が緩やかに減圧するようにすれば、運転者に与え
る違和感が少なくて済む。
【0067】以上の知見に基づき、本実施形態において
は、一連のブレーキ操作において、ある時点においてブ
レーキアシスト制御が不要となれば、その直前の時点に
おいてブレーキアシスト制御が必要であると判定されて
ブレーキアシスト制御が行われていた場合には、ブレー
キ操作力Fに関連する量としてのマスタシリンダ液圧P
M の時間的変化に応じて3方弁57のソレノイドの励磁
電流の時間的変化を制御することにより、ブレーキシリ
ンダ50の液圧が緩やかに減圧してマスタシリンダ液圧
M に戻るように設計されており、そのために、S15
2,S154,S156〜S159およびS160が設
けられているのである。
【0068】図8および図9の2つの3方弁制御ルーチ
ンにはいずれも、フラグFABS が1であるか否かを判定
するステップが設けられてはいない。以下、その理由を
説明する。
【0069】本実施形態においては、アンチロック制御
が原則として、3方弁57のソレノイドがOFFされて
いる状態すなわち第1状態で行われる。第2状態で行わ
れると、アンチロック制御中、ポンプ82が、リザーバ
72に汲み上げるべき作動液が存在するにもかかわら
ず、マスタシリンダ10から作動液を汲み上げてしまう
からである。しかし、ブレーキアシスト制御が先行し、
かつ、その実行中に各輪のロック傾向が過大となってア
ンチロック制御が必要となった場合に3方弁57を第2
状態から第1状態に切り換えてしまうと、先行するブレ
ーキアシスト制御により増圧されたブレーキシリンダ5
0がマスタシリンダ10との連通によって必要以上に減
圧されてしまう。そこで、本実施形態においては、ブレ
ーキアシスト制御が優先させられ、ブレーキアシスト制
御中にアンチロック制御が必要となった場合には、例外
として、アンチロック制御が3方弁57のソレノイドが
ONされている状態すなわち第2状態で行われるように
なっており、このことを実現するため、フラグFABS
1であるか否かを判定するステップが設けられてはいな
いのであり、それにより、ブレーキアシスト制御の要否
に基づく3方弁57の制御が優先させられているのであ
る。なお、3方弁57の第2状態でアンチロック制御が
実行されても、前述の流入制御弁100の作用により、
ポンプ82が作動液をマスタシリンダ10からのみ吸入
してしまうことが回避される。
【0070】図10には、ポンプモータ制御ルーチンが
フローチャートで表されている。本ルーチンも繰り返し
実行される。
【0071】各回の実行時にはまず、S201におい
て、フラグFTRC が1であるか否か、すなわち、トラク
ション制御が必要であるか否かが判定される。1であれ
ば、S206において、ポンプモータ88がONされ、
それにより、ブレーキシリンダ50がポンプ82により
増圧される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0072】これに対して、フラグFTRC が1ではない
場合には、S202において、フラグFVSC が1である
か否か、すなわち、車両安定性制御が必要であるか否か
が判定される。1であれば、S206において、ポンプ
モータ88がONされる。以上で本ルーチンの一回の実
行が終了する。
【0073】また、フラグFVSC も1ではない場合に
は、S203において、フラグFBAが1であるか否か、
すなわち、ブレーキアシスト制御が必要であるか否かが
判定される。1であれば、S206において、ポンプモ
ータ88がONされる。以上で本ルーチンの一回の実行
が終了する。
【0074】また、フラグFBAも1ではない場合には、
S204において、フラグFABS が1であるか否か、す
なわち、アンチロック制御が必要であるか否かが判定さ
れる。1であれば、S206において、ポンプモータ8
8がONされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了
する。
【0075】また、フラグFABS も0でない場合には、
S205において、ポンプモータ88がOFFされる。
以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0076】すなわち、本実施形態においては、非ブレ
ーキ操作時に行われるトラクション制御と車両安定性制
御については、ポンプ82により各ブレーキシリンダ5
0が増圧され、また、急ブレーキ操作時に行われるブレ
ーキアシスト制御については、ポンプ82により、マス
タシリンダ10の液圧より高い液圧が各ブレーキシリン
ダ50に発生させられ、それにより、ブレーキ操作力の
不足が補われ、また、ブレーキ操作力が路面の摩擦係数
との関係において過大となった時に行われるアンチロッ
ク制御については、ポンプ82により作動液がリザーバ
72から汲み上げられてマスタシリンダ10の側に戻さ
れるのである。
【0077】図11には、ブースタソレノイド制御ルー
チンがフローチャートで表されている。本ルーチンも繰
り返し実行される。
【0078】各回の実行時にはまず、S301におい
て、フラグFTRC が1であるか否か、すなわち、トラク
ション制御が必要であるか否かが判定される。1であれ
ば、S304において、ブースタソレノイド170がO
Nされる。それにより、非ブレーキ操作時であるにもか
かわらずエアバルブ154が強制的に開かせられ、変圧
室126が昇圧して負圧室124との間に差圧が発生し
て、パワーピストン122が前進する。それにより、ブ
ースタ12が作動させられ、結果的にマスタシリンダ1
0も作動させられる。その結果、作動液がマスタシリン
ダ10からポンプ82の吸入側に押し込まれ、ポンプ8
2の吸入圧が上昇して、ポンプ82に対するアシスト
(プリチャージを含む)が行われて、ポンプ82の吐出
圧の立ち上がり特性が向上する。以上で本ルーチンの一
回の実行が終了する。
【0079】これに対して、フラグFTRC が1ではない
場合には、S302において、フラグFVSC が1である
か否か、すなわち、車両安定性制御が必要であるか否か
が判定される。1であれば、S304においてブースタ
ソレノイド170がONされ、上記の場合と同様にして
ポンプアシストが行われる。以上で本ルーチンの一回の
実行が終了する。
【0080】また、フラグFVSC も1でない場合には、
S303において、ブースタソレノイド170がOFF
される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0081】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、トラクション制御または車両安定性制御
の実行開始に応じてマスタシリンダ10が作動させられ
てポンプアシストが行われるため、ポンプ82の吐出圧
の立ち上がり特性が向上するという効果が得られる。
【0082】さらに、本実施形態によれば、ポンプアシ
ストが従来装置におけるように専用のポンプによって行
われるのではなく、既存のマスタシリンダ10によって
行われるため、ブレーキ通路の構成複雑化が防止され、
その結果、ブレーキ装置全体の構造複雑化,大形化およ
び大幅なコストアップが防止されるという効果が得られ
る。その効果により、例えば、ブレーキ装置の故障に対
する信頼性が向上し、また、ポンプアシスト実現のため
にブレーキ装置の車体搭載性がそれほど悪化せずに済む
という効果が得られる。
【0083】さらに、本実施形態によれば、ポンプアシ
ストのための機械的要素がすべてブースタ12内部に配
置されるため、ブースタ12に外付けされる機械的要素
を含む場合に比較してブースタ12全体の小形化および
コンパクト化を容易に図り得るという効果が得られる。
【0084】さらに、本実施形態によれば、ポンプアシ
ストを行うために、ポンプ82とは別のポンプによる作
動音や振動の発生はないため、音および振動対策を追加
的に講ずることが不可欠ではなくなるという効果が得ら
れる。
【0085】さらに、本実施形態によれば、ポンプアシ
ストがブースタ12を作動させることによって行われ、
ここに、ブースタ12を作動させることはブレーキペダ
ル14がマスタシリンダ10の液圧増加に追従して引き
込まれることを意味するため、ポンプアシストを行った
ためにブレーキペダル14のストロークに遊びが生じて
しまうことが防止され、その結果、ポンプアシストによ
ってブレーキ操作フィーリングが悪化せずに済むという
効果が得られる。
【0086】さらに、本実施形態によれば、ブースタソ
レノイド170は、トラクション制御または車両安定性
制御の実行中、ONし続けられるようになっている。ポ
ンプアシストのうちのプリチャージという目的を達成す
るためには、少なくともポンプ82の作動開始当初の間
に限ってブースタソレノイド170をONすればよい
が、本実施形態においては、プリチャージ完了後にもO
Nし続けられるのである。このようにした理由を以下に
説明する。
【0087】プリチャージ完了後にブースタソレノイド
170をONからOFFに戻してしまうと、ブースタ1
2が非作動状態に戻り、マスタシリンダ10も非作動状
態に戻り、ポンプ82は必要な作動液をマスタシリンダ
用のリザーバ240(図1)からマスタシリンダ10を
経由して汲み上げることとなる。そのため、トラクショ
ン制御または車両安定性制御において、ブレーキ回路
(ブレーキ装置のうちマスタシリンダ10とブレーキシ
リンダ50との間の部分において作動液が流通する部分
を意味し、液通路のみならずマスタシリンダ10の加圧
室およびブレーキシリンダ50の液圧室も含まれる。)
に通常より多量の作動液が存在する可能性がある。
【0088】そのようなトラクション制御または車両安
定性制御が車輪がスリップし易い路面上で行われる場合
には、各輪のブレーキを比較的強く作動させることが必
要となり、比較的多量の作動液がポンプ82からブレー
キシリンダ50に送り込まれてブレーキシリンダ50に
比較的高い液圧が発生する。このようなトラクション制
御または車両安定性制御の実行中にブレーキペダル14
が踏み込まれる場合があり、この場合、その踏み込み時
におけるブレーキシリンダ50の液圧の高さが路面の摩
擦係数との関係において過大であると、アンチロック制
御が開始される。すなわち、トラクション制御または車
両安定性制御の実行によってブレーキシリンダ50に高
い液圧が発生している状態でアンチロック制御が開始さ
れることになるのである。そのため、アンチロック制御
において、ブレーキシリンダ50が減圧されると、多量
の作動液がリザーバ72および3方弁57を順に経てマ
スタシリンダ10へ高圧状態で逆流することになる。そ
の結果、マスタシリンダ10においては、逆流した作動
液によって加圧ピストン10a,10bが押し戻され、
場合によっては、ブレーキペダル14の踏力に逆らって
加圧ピストン10a,10bが初期位置に復帰させられ
る。
【0089】ところで、本実施形態においては、マスタ
シリンダ10の各加圧室10a,10bの残圧を解消す
る対策が講じられている。その対策は、既によく知られ
ているように、マスタシリンダ10のハウジングに各加
圧ピストン10a,10bを気密に嵌合するとともに各
加圧ピストン10a,10bと一体的に移動するゴム製
の各シール10c,10dと、マスタシリンダ10のハ
ウジングに各加圧室10a,10bに対応して形成され
た各ポート10c,10dとの相対変位を利用して各加
圧室10a,10bの残圧を解消する対策である。各加
圧ピストン10a,10bが図示の初期位置に戻る手前
で各シール10c,10dが各ポート10e,10fを
それの開口縁に接触して通過し、各加圧室10a,10
bを各ポート10e,10fを経てリザーバ240に連
通させ、それにより、非ブレーキ操作状態において各加
圧室10a,10bに残圧が発生することを防止するの
である。
【0090】これに対して、ポンプ82の作動開始当初
の間に限ってブースタソレノイド170をONすると、
前述のように、アンチロック制御において、多量の作動
液がマスタシリンダ10へ高圧状態で逆流し、それによ
り、各加圧ピストン10a,10bが初期位置に復帰さ
せられる場合がある。この場合、各シール10c,10
dが前進位置から初期位置に向かう際に、各ポート10
e,10fをそれの開口縁に強く押し付けられて通過
し、それにより、各シール10c,10dが各ポート1
0e,10fの開口縁で削られることになる。そのた
め、各シール10c,10dが早期に損傷するなどの問
題が生じる可能性がある。
【0091】以上の知見に基づき、本実施形態において
は、ブースタソレノイド170が、トラクション制御ま
たは車両安定性制御の実行中、ONし続けられ、それに
より、ブースタ12およびマスタシリンダ10が作動し
続けられ、マスタシリンダ10の連続的作動によってポ
ンプ82がマスタシリンダ用リザーバ240から遮断し
続けられて、ポンプアシストのためにブレーキ回路にお
ける作動液が増加することがないようになっているので
ある。したがって、本実施形態によれば、ポンプアシス
トのためにマスタシリンダ10の耐久性が低下すること
が防止されるという効果が得られる。
【0092】また、そのようにブレーキ回路における作
動液増加を防止するため、前記従来装置におけるとは異
なり、加圧シリンダ714(図23)が主通路48に設
けられていないため、このことによっても、ブレーキ装
置全体の構造複雑化,大形化および大幅なコストアップ
が防止されるという効果が得られる。
【0093】さらに、通常ブレーキ時には不要な加圧シ
リンダ714が主通路48に設けられていないため、加
圧シリンダ714における弾性部材の弾性変形等に起因
して、ブレーキ操作時にブレーキ装置によって消費され
る作動液の量が増加することが防止され、このことによ
っても、ポンプアシストのためにブレーキ操作フィーリ
ングが悪化せずに済むという効果が得られる。
【0094】さらに、本実施形態によれば、エアバルブ
154がブースタソレノイド170の磁気力に基づく機
械的力によって作動させられるため、エアバルブ154
の作動応答性が向上し、その結果、ポンプアシストの応
答性が向上するという効果が得られる。
【0095】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、3方弁57とポンプ82とポンプモータ
84と補給通路90と流入制御弁92とが、ブレーキコ
ントローラ200のうち図9および図10の3方弁制御
ルーチンと図11のポンプモータ制御ルーチンとを実行
する部分と共同して、「加圧装置」の一例を構成し、ま
た、ブースタソレノイド170と吸引部材172とスプ
リング174と伝達部材176と駆動部材178とが、
ブレーキコントローラ200のうち図12のブースタソ
レノイド制御ルーチンを実行する部分と共同して、「非
ブレーキ操作時作動装置」の一例,「運動付与装置」の
一例および「エアバルブ移動機構」の一例を構成してい
るのである。
【0096】図12には、別の実施形態が示されてい
る。本実施形態は、上記実施形態と電気的構成について
は共通であり、また、機械的構成についてはブースタの
みが異なり、他の要素は共通するため、ブースタ300
の構造についてのみ詳細に説明する。なお、図13と図
14とには、ブースタ300の各要部が拡大して示され
ている。
【0097】本実施形態においては、エアバルブ154
が従来のブースタにおけると同様にリアクションロッド
134に相対移動不能に設けられている点で、相対移動
可能に設けられている上記実施形態と相違する。また、
ブースタピストンロッド142が加圧シリンダ304を
介してマスタシリンダ10の加圧ピストン10bに連携
させられ、ポンプアシストのためにその加圧シリンダ3
04によってマスタシリンダ10のみを作動させる点
で、エアバルブ154を強制的に開かせることによって
ブースタ12を作動させてマスタシリンダ10を作動さ
せる上記実施形態と相違する。
【0098】図12および図13に示すように、加圧シ
リンダ304は、ハウジング306に加圧シリンダピス
トン308が摺動可能に嵌合されて構成されている。加
圧シリンダ304はブースタ300の負圧室124内に
おいてパワーピストン122と同軸に設けられている。
ハウジング306はそれの底部においてパワーピストン
122のボス130に位置固定に取り付けられている。
加圧シリンダピストン308は、それの内部に同軸に形
成された内周面において、ブースタピストンロッド14
2の先端部の外周面に軸方向摺動可能に嵌合されてい
る。また、加圧シリンダピストン308は、それの先端
部において、ブースタ300のハウジング120を貫通
して大気に臨まされるとともに加圧ピストン10bの後
端部に連携させられている。
【0099】加圧シリンダピストン308はハウジング
306にシールにより気密に嵌合されており、それによ
り、それらの間に空間が形成されている。その空間は負
圧室124から遮断されており、第2の変圧室310と
されている。
【0100】図14に示すように、ハウジング120に
は、電磁弁320が負圧室124に連通する状態で設け
られている。電磁弁320は、第1ポート322と、第
2ポート324と、第3ポート326と、それらポート
322,324,326の間に配置された連通路328
とを備えている。第1ポート322は、可撓性のホース
332により第2の変圧室310に連通させられてい
る。第2ポート324は、負圧室124に連通させられ
ている。第3ポート326は、大気に連通させられてい
る。電磁弁320は、さらに、第1ポート322を第3
ポート326から遮断して第2ポート324に連通させ
る第1状態(負圧室連通状態)と、第2ポート324か
ら遮断して第3ポート326に連通させる第2状態(大
気連通状態)とに切り換わる弁部334を備えている。
弁部334は、可動部材としての弁子336と、固定部
材としての一対の弁座338,339と、弁子336を
一方の弁座338に着座する向き、すなわち、第1状態
を実現する向きに付勢する弾性部材としてのスプリング
340とを備えている。電磁弁320は、さらにまた、
その弁部334を作動させる弁作動部342を備えてい
る。弁作動部342は、ブースタソレノイド344の磁
気力によってプランジャ346を固定コア348に吸引
することにより、弁子336をスプリング340の弾性
力に抗して一方の弁座338から離間させて他方の弁座
339に着座させ、それにより、第2状態を実現する。
【0101】したがって、本実施形態においては、トラ
クション制御または車両安定性制御の実行開始に応じ
て、ブースタソレノイド344がONされれば、第2の
変圧室310が負圧から上昇を開始して、加圧シリンダ
ピストン308の前後間に差圧が発生する。その結果、
その差圧に基づいて加圧シリンダピストン308がパワ
ーピストン122の前進なしで単独で前進し、それによ
り、マスタシリンダ10が作動させられ、ポンプアシス
トが行われる。また、このポンプアシストは、上記実施
形態におけると同様に、トラクション制御または車両安
定性制御の実行中の全体を通じて行われる。
【0102】以上の説明から明らかなように、本実施形
態によれば、トラクション制御または車両安定性制御の
実行開始に応じてマスタシリンダ10が作動させられて
ポンプアシストが行われるため、ポンプ82の吐出圧の
立ち上がり特性が向上するという効果が得られる。
【0103】さらに、本実施形態によれば、上記実施形
態におけると同様に、ブレーキ装置の構造複雑化,大形
化および大幅なコストアップが防止されるという効果が
得られ、さらに、音および振動対策を追加的に講ずるこ
とが不可欠ではなくなるという効果が得られ、さらに、
ポンプアシストのためにブレーキ操作フィーリングが悪
化せずに済むという効果が得られ、さらに、ポンプアシ
ストのためにマスタシリンダ10の耐久性が低下せずに
済むという効果が得られる。
【0104】さらに、本実施形態によれば、ポンプアシ
ストのためにブースタ300のうちブースタピストンロ
ッド142より上流側の構成要素に変更を加えることが
不可欠ではなくなり、ポンプアシストのためにブースタ
300に加えられるべき変更が少なくて済むという効果
が得られる。
【0105】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、加圧シリンダ304と電磁弁320とホ
ース332とブレーキコントローラ200のうち電磁弁
320を制御する部分とが互いに共同して「非ブレーキ
操作時作動装置」および「マスタシリンダ作動装置」の
一例を構成し、加圧シリンダピストン308が「補助ピ
ストン」の一例を構成し、加圧シリンダ304のうちそ
の加圧シリンダピストン308を除く部分が「作動機
構」の一例を構成し、電磁弁320とブレーキコントロ
ーラ200のうち電磁弁320を制御する部分とが互い
に共同して「状態切換装置」の一例を構成しているので
ある。
【0106】図15には、さらに別の実施形態が示され
ている。本実施形態は、最先の実施形態(図1〜図1
1)と電気的構成については共通であり、また、機械的
構成についてはブースタのみが異なり、他の要素は共通
するため、ブースタ400の構造についてのみ詳細に説
明する。なお、図16と図17とには、そのブースタ4
00の各要部が拡大して示されている。
【0107】本実施形態においては、ブースタ400に
おいてエアバルブ154が従来のブースタにおけると同
様にリアクションロッド134に相対移動不能に設けら
れている点で、相対移動可能に設けられている最先の実
施形態と相違する。また、ポンプアシストのためにリア
クションロッド134をエアバルブ154と一体的に前
進させることによってブースタ400を作動させる点
で、エアバルブ154のみを単独で前進させることによ
ってブースタ300を作動させる最先の実施形態と相違
する。
【0108】図16に示すように、パワーピストン12
2のボス130とブースタピストンロッド142との間
に連携部材404が設けられている。この連携部材40
4は、段付き円筒状を成しており、(a) リアクションロ
ッド134の側の第1円筒部406と、(b) パワーピス
トン122の側の第2円筒部408であって第1円筒部
406より大径のものと、(c) それらを互いに連結する
円環板状の連結部410と、(d) 第2円筒部408の先
端部に外向きに設けられたフランジ部412とを備えて
いる。パワーピストン122のボス130うち負圧室1
24の側の部分には、連携部材404の外周面に嵌合す
る段付きの内周面が形成されており、連携部材404は
パワーピストン122にその内周面において軸方向摺動
可能に嵌合されている。また、連携部材404は第1円
筒部406の外周面においてパワーピストン122とシ
ール416により気密に嵌合されている。連携部材40
4のパワーピストン122に対する接近限度はストッパ
418により規制されている。
【0109】本実施形態においては、リアクションロッ
ド134が、パワーピストン122のボス130に同軸
に形成された内周面にではなく、第1円筒部406の内
周面に軸方向摺動可能に嵌合されている。ただし、それ
ら連携部材404とリアクションロッド134とは、リ
アクションロッド134が連携部材404に対して相対
的に前進することは許容し、相対的に後退することは阻
止するように嵌合されている。具体的には、第1円筒部
406の内周面に環状溝422が形成され、これに対し
て、リアクションロッド134のうち第1円筒部406
との嵌合部の外周面に環状溝424が環状溝422より
広い溝を有する状態で形成され、かつ、それら環状溝4
22,424を跨いで取付部材426が装着されている
のである。
【0110】パワーピストン122の前方には、パワー
ピストン122と同様に薄肉円板状を成す補助ピストン
430が配置されている。この補助ピストン430は、
中央穴を有する円板部432と円筒部434とが同軸に
固定されて構成されている。円板部432は前側に、円
筒部434は後側に配置されていて、円筒部434に連
携部材404とブースタピストンロッド142とが貫通
させられている。補助ピストン430は、円筒部434
においてパワーピストン122に軸方向摺動可能に嵌合
されている。
【0111】円板部432は負圧室124内に配置され
ているが、その円板部432の後面には、負圧室124
から遮断された第2の変圧室436が容積可変に形成さ
れている。その第2の変圧室436の圧力が負圧室12
4の圧力より高圧にされ、それにより、補助ピストン4
30の前後間に差圧が発生し、その差圧に基づいて補助
ピストン430が前進させられるようになっているので
ある。第2の変圧室436は、円板部432の後面に、
薄肉円板状を成して弾性変形可能な変圧室形成部材43
8がそれの内周縁と外周縁とにおいてそれぞれ円板部材
432の内周部と外周部とに気密に固定されることによ
って形成されている。変圧室形成部材438は例えばゴ
ム製とされる。
【0112】前記ハウジング120は、各々カップ状を
成す前側部分ハウジング442と後側部分ハウジング4
44とが互いに開口部において気密に固定されて構成さ
れており、それら部分ハウジング442,444のうち
前側部分ハウジング442と補助ピストン430との間
に弾性部材としてのスプリング446が配設されてい
る。また、補助ピストン430の後端部には、ボス13
0の前向き面に当接する当接部450が形成されてい
る。この当接部450により、スプリング446の弾性
力が補助ピストン430を介してパワーピストン122
に伝達され、それにより、補助ピストン430のみなら
ずパワーピストン122も各後退端位置に向かって付勢
される。
【0113】補助ピストン430の後端部にはさらに、
連携部材404のフランジ部412の後向き面に係合し
て連携部材404に補助ピストン430の作動力を伝達
する力伝達部454も形成されている。したがって、補
助ピストン430が前進すればそれに追従して連携部材
404も前進させられ、さらにリアクションロッド13
4も前進させられ、その結果、エアバルブ154が開か
せられる。それにより、ブースタ12が作動させられ
る。
【0114】補助ピストン430にはそれと同軸に離脱
阻止部材450が取り付けられている。この離脱阻止部
材450は、(a) 円筒部452と、(b) それの前端部に
おいて外向きに形成されたフランジ部454と、(c) 円
筒部452の後端部において内向きに形成されたフラン
ジ部456とを備えている。円筒部452はその外周面
において前記円筒部434の内周面に嵌合されている。
フランジ部454は、補助ピストン430とスプリング
446とに挟まれている。フランジ部456は、それの
内周縁がブースタピストンロッド142の大径部の前方
の空間まで延びており、それにより、ブースタピストン
ロッド142が連携部材404から前方に離脱すること
が阻止される。
【0115】ブースタ400には、前側部分ハウジング
442において電磁弁470が外付けされている。電磁
弁470は、図17に示すように、第1ポート472
と、第2ポート474と、第3ポート476と、それら
ポート472,474,476の間に配置された連通路
478とを備えている。第1ポート472は、負圧室内
通路形成部材としてのベローズ480により第2の変圧
室436に連通させられている。ベローズ480は、パ
ワーピストン122の軸線位置から半径方向に外れた位
置においてその軸線と平行に延びる姿勢で設けられてお
り、パワーピストン122の前進・後退に応じて弾性的
に伸縮させられる。第2ポート474は、負圧室124
に連通させられている。第3ポート476は、大気に連
通させられている。電磁弁470は、さらに、第1ポー
ト472を第3ポート476から遮断して第2ポート4
74に連通させる第1状態(負圧室連通状態)と、第2
ポート474から遮断して第3ポート476に連通させ
る第2状態(大気連通状態)とに切り換わる弁部484
を備えている。弁部484は、可動部材としての弁子4
86と、固定部材としての一対の弁座488,490
と、弁子486を一方の弁座488に着座する向き、す
なわち、第1状態を実現する向きに付勢する弾性部材と
してのスプリング492とを備えている。電磁弁470
は、さらにまた、その弁部484を作動させる弁作動部
494を備えている。弁作動部494は、ブースタソレ
ノイド500の磁気力によってプランジャ502を固定
コア504に吸引することにより、弁子486をスプリ
ング492の弾性力に抗して一方の弁座488から離間
させて他方の弁座490に着座させ、それにより、第2
状態を実現する。
【0116】したがって、本実施形態においては、トラ
クション制御または車両安定性制御の作動開始に応じ
て、ブースタソレノイド500がONされれば、第2の
変圧室436が負圧から上昇し、補助ピストン430の
前後間に差圧が発生する。その結果、その差圧に基づい
て補助ピストン430が当初は、パワーピストン122
の前進は伴わないがブースタピストンロッド142の前
進は伴って前進する。そして、ブースタピストンロッド
142の前進に追従してリアクションロッド134およ
びエアバルブ154が前進し、その結果、ブースタ12
が作動させられ、それによりマスタシリンダ10が作動
させられる。それにより、第1のポンプアシスト(ポン
プ82に対するプリチャージ)が行われる。また、補助
ピストン430の前進に追従してリアクションロッド1
34およびエアバルブ154が前進し、その結果、ブー
スタ12が作動させられ、それにより、マスタシリンダ
10が当初より強く作動させられる。それにより、第2
のポンプアシストが行われる。
【0117】また、リアクションロッド134が前進す
れば、それに追従して入力部材としてバルブオペレーテ
ィングロッド132も前進させられ、その結果、ブレー
キペダル14が非操作位置から操作位置に変位させられ
る。本実施形態においても、最先の実施形態におけると
同様に、非ブレーキ操作状態においてマスタシリンダ1
0の液圧増加に追従してブレーキペダル14が変位させ
られるのである。ただし、本実施形態においては、マス
タシリンダ10の作動時、最先の実施形態におけるとは
異なり、パワーピストン122の前進を介して入力部材
が強制的に前進させられるのではなく、直接に入力部材
が前進させられるため、マスタシリンダ10の作動に迅
速に追従してブレーキペダル14が変位させられること
になる。
【0118】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、トラクション制御または車両安定性制御
の実行開始に応じてポンプアシストが行われるため、ポ
ンプ82の吐出圧の立ち上がり特性が向上するという効
果が得られる。
【0119】さらに、本実施形態によれば、最先の実施
形態におけると同様に、ブレーキ装置の構造複雑化,大
形化および大幅なコストアップが防止されるという効果
が得られ、さらに、音および振動対策を追加的に講ずる
ことが不可欠ではなくなるという効果が得られ、さら
に、ポンプアシストのためにブレーキ操作フィーリング
が悪化せずに済むという効果が得られる。
【0120】さらに、本実施形態によれば、ブースタ4
00のエアバルブ154を利用してブースタ400を作
動させるため、ブースタ400の作動応答性が速いとい
う効果も得られる。
【0121】本実施形態は、エアバルブ154を強制的
に開かせることによってブースタ400を作動させる点
で、最先の実施形態と共通するが、エアバルブ154を
リアクションロッド134に位置固定に設けてそのリア
クションロッド134全体を強制的に作動させる点で、
エアバルブ154をリアクションロッド134に相対移
動可能に設けてエアバルブ154のみを強制的に作動さ
せる最先の実施形態と相違する。したがって、本実施形
態によれば、エアバルブ154を強制的に作動させるた
めにブースタ400の構成に加えられる変更が少なくて
済むという効果も得られる。
【0122】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、連携部材404と補助ピストン430と
取付部材422とベローズ480と電磁弁470とブレ
ーキコントローラ200のうちその電磁弁470を制御
する部分とが互いに共同して「非ブレーキ操作時作動装
置」の一例、「運動付与装置」の一例および「エアバル
ブ移動機構」の一例を構成し、連携部材404と取付部
材422とが互いに共同して「作動機構」の一例および
「作動力伝達機構」の一例を構成し、電磁弁470とブ
レーキコントローラ200のうちその電磁弁470を制
御する部分とが互いに共同して「状態切換装置」の一例
を構成しているのである。
【0123】図18には、さらに別の実施形態が示され
ている。本実施形態は、上記実施形態と機械的構成が共
通し、異なるのは電気的構成のうちブースタソレノイド
制御ルーチンに関する部分である。図には、本実施形態
におけるブースタソレノイド制御ルーチンがフローチャ
ートで表されている。
【0124】上記実施形態においては、ブースタソレノ
イド500が、ONとOFFとの2状態に切り換えられ
るようになっているが、本実施形態においては、トラク
ション制御または車両安定制御の実行中に、ブースタソ
レノイド500の励磁電流が、マスタシリンダ10の液
圧に関連する量に基づいて変化させられるようになって
いる。そのマスタシリンダ液圧量は、本実施形態におい
ては、マスタシリンダ10の液圧そのものとされてい
て、前記マスタシリンダ液圧センサ216からの信号に
基づいてブースタソレノイド500の励磁電流が変化さ
せられるが、例えば、ブースタ12の変圧室126の圧
力をセンサにより検出し、その結果に基づいて励磁電流
を変化させることができる。
【0125】図18のブースタソレノイド制御ルーチン
も繰り返し実行される。各回の実行時にはまず、S40
1において、フラグFTRC が1であるか否か、すなわ
ち、トラクション制御が必要であるか否かが判定され
る。1でなければ、S402において、フラグFVSC
1であるか否か、すなわち、車両安定性制御が必要であ
るか否かが判定される。フラグFVSC も1でなければ、
S403において、ブースタソレノイド500をOFF
する信号が出力される。以上で本ルーチンの一回の実行
が終了する。
【0126】これに対して、フラグFTRC またはフラグ
VSC が1であれば、S404において、マスタシリン
ダ液圧センサ216からの信号に基づいてマスタシリン
ダ液圧PM が検出される。続いて、S405において、
そのマスタシリンダ液圧PMが基準値と比較される。こ
こに、基準値は、ポンプ82に対するプリチャージに必
要なマスタシリンダ液圧PM の高さであり、例えば、数
気圧程度とされる。その後、S406において、その比
較結果に基づき、ブースタソレノイド500の励磁電流
の目標値である目標電流値が演算される。目標電流値
は、マスタシリンダ液圧PM の実際値を基準値に一致さ
せるのに必要な大きさに決定される。続いて、S407
において、目標電流値で励磁電流がブースタソレノイド
500に供給される。以上で本ルーチンの一回の実行が
終了する。
【0127】そして、このブースタソレノイド制御ルー
チンの実行による電流制御式ポンプアシスト(プリチャ
ージを含む。)は、最先の実施形態におけると同様に、
トラクション制御または車両安定性制御の当初のみなら
ず、実行中継続して実行される。
【0128】したがって、本実施形態においては、マス
タシリンダ液圧PM の実際値をフィードバックすること
によってマスタシリンダ液圧PM の実際値が基準値に一
致するようにブースタソレノイド500の励磁電流が制
御されるため、ポンプアシスト時にマスタシリンダ液圧
M の実際値が精度よく基準値に一致するという効果が
得られる。
【0129】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、電磁弁470とマスタシリンダ液圧セン
サ216とブレーキコントローラ200のうち図19の
ブースタソレノイド制御ルーチンを実行する部分とが互
いに共同して「状態切換装置」の一例を構成しているの
である。
【0130】なお付言すれば、本実施形態における電流
制御式ポンプアシストは、図2に示すブレーキ装置や図
12に示すブレーキ装置においても実施することが可能
である。
【0131】図19には、さらに別の実施形態が示され
ている。本実施形態は、作動液をマスタシリンダ10か
らポンプ82に導入するための機械的構成および電気的
構成が最先の実施形態と異なり、他の機械的構成および
電気的構成は共通する。
【0132】本実施形態においては、最先の実施形態に
おける3方弁57と流入制御弁100と補給通路92と
が、マスタシリンダカット弁550と流入制御弁552
と補給通路554と逆止弁556とに変更されている。
マスタシリンダカット弁550は、常開の電磁開閉弁で
あり、また、流入制御弁552は、常閉の電磁開閉弁で
ある。補給通路554は、一端が主通路48に第1開閉
弁552より上流側において接続され、他端がポンプ通
路80のうちリザーバ72と吸入弁84との間の部分に
接続されている。逆止弁556は、ポンプ通路80のう
ち補給通路554との接続点とリザーバ通路70との接
続点との間の部分に接続され、マスタシリンダ10から
リザーバ72へ向かう作動液の流れを阻止し、リザーバ
72からポンプ82へ向かう作動液の流れを許容する。
【0133】図20には、本実施形態の電気的構成が示
されており、マスタシリンダカット弁550と流入制御
弁552とは、ブレーキコントローラ570の出力側に
接続されている。マスタシリンダカット弁550は、最
先の実施形態における3方弁制御ルーチンに準じたルー
チンがCPU202により実行されることにより制御さ
れ、これに対して、流入制御弁552は、ROM204
に記憶されている流入制御弁制御ルーチンがCPU20
2により実行されることにより制御される。すなわち、
本実施形態においては、マスタシリンダカット弁550
が「遮断弁」の一例を構成しているのである。
【0134】図21には、流入制御弁制御ルーチンがフ
ローチャートで表されている。本ルーチンも繰り返し実
行される。各回の実行時にはまず、S61において、現
在アンチロック制御の実行中であるか否かが判定され
る。今回は実行中ではないと仮定すれば、S62におい
て、流入制御弁552のソレノイドにそれをONする信
号、すなわち、流入制御弁552を開かせるための信号
が出力される。これにより、マスタシリンダ10から作
動液が補給通路554を経てポンプ82の吸入側に導入
可能となる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0135】これに対し、現在アンチロック制御の実行
中であると仮定すれば、S63において、リザーバ72
においてポンプ82により汲み上げるべき作動液として
存在する作動液の量の推定演算、すなわち,リザーバ残
量の推定演算が行われる。リザーバ残量の推定演算は、
増圧弁60と減圧弁70との作動履歴に基づいて行われ
る。続いて、S64において、推定されたリザーバ残量
が0であるか否か、すなわち、リザーバ72においてポ
ンプ82により汲み上げるべき作動液が存在しないか否
かが判定される。今回はリザーバ残量が0ではないと仮
定すれば、S65において、流入制御弁552のソレノ
イドにそれをOFFする信号、すなわち、流入制御弁5
52を閉じさせるための信号が出力される。一方、今回
はリザーバ残量が0であると仮定すれば、S62におい
て、流入制御弁552にそれを開かせるための信号が出
力される。いずれの場合も、以上で本ルーチンの一回の
実行が終了する。
【0136】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、マスタシリンダカット弁550と流入制
御弁552と補給通路554とポンプ82とポンプモー
タ88とブレーキコントローラ570のうちマスタシリ
ンダカット弁550を制御する部分(図8および図9の
3方弁制御ルーチンに準ずる。)と図10のポンプモー
タ制御ルーチンおよび図21の流入制御弁制御ルーチン
を実行する部分とが互いに共同して「加圧装置」の一例
を構成しているのである。
【0137】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、それらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
ができるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ装置の機械
的構成を示す系統図である。
【図2】図1におけるバキュームブースタを示す側面断
面図である。
【図3】図2におけるバキュームブースタの要部を拡大
して示す側面断面図である。
【図4】図2におけるバキュームブースタにおけるスト
ッパキーと駆動部材とをそれぞれ示す斜視図である。
【図5】上記ブレーキ装置の電気的構成を示すブロック
図である。
【図6】図5におけるROMの構成を概念的に示す図で
ある。
【図7】図6における制御要否判定ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図8】図6における3方弁制御ルーチン(その1)を
示すフローチャートである。
【図9】図6における3方弁制御ルーチン(その2)を
示すフローチャートである。
【図10】図6におけるポンプモータ制御ルーチンを示
すフローチャートである。
【図11】図6におけるブースタソレノイド制御ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図12】本発明の別の実施形態であるブレーキ装置に
おけるバキュームブースタを示す側面断面図である。
【図13】図12におけるバキュームブースタの一要部
を拡大して示す部分側面断面図である。
【図14】図12におけるバキュームブースタの別の要
部を拡大して示す部分側面断面図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態であるブレーキ
装置におけるバキュームブースタを示す側面断面図であ
る。
【図16】図15におけるバキュームブースタの一要部
を拡大して示す部分側面断面図である。
【図17】図15におけるバキュームブースタの別の要
部を拡大して示す部分側面断面図である。
【図18】上記ブレーキ装置のブレーキコントローラの
ROMに記憶されているブースタソレノイド制御ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図19】本発明のさらに別の実施形態であるブレーキ
装置の機械的構成を示す系統図である。
【図20】そのブレーキ装置の電気的構成を示すブロッ
ク図である。
【図21】そのブレーキ装置のブレーキコントローラの
ROMに記憶されている流入制御弁制御ルーチンを示す
フローチャートである。
【図22】ブレーキ装置の一従来例を概念的に示す系統
図である。
【図23】本発明に係るブレーキ装置の一例を概念的に
示す系統図である。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 12,300,400 バキュームブースタ 14 ブレーキペダル 50 ブレーキシリンダ 57 3方弁 72 リザーバ 82 ポンプ 92,552 流入制御弁 132 バルブオペレーティングロッド 134 リアクションロッド 142 ブースタピストンロッド 150 コントロールバルブ機構 154 エアバルブ 170,344,500 ブースタソレノイド 304 加圧シリンダ 320,470 電磁弁 404 連携部材 550 マスタシリンダカット弁 556 逆止弁

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレーキ操作部材を有するブレーキ操作装
    置と、 そのブレーキ操作部材の操作力に基づいて液圧を発生さ
    せるマスタシリンダを有する液圧源と、 そのマスタシリンダと液通路により接続され、車輪の回
    転を抑制するブレーキを作動させるブレーキシリンダ
    と、 前記ブレーキ操作部材の非操作状態において、遮断弁に
    より前記ブレーキシリンダを前記マスタシリンダから遮
    断するとともに、ポンプにより作動液をマスタシリンダ
    から吸入してブレーキシリンダに吐出することにより、
    ブレーキシリンダを加圧する加圧装置とを含むブレーキ
    装置において、 前記ブレーキ操作装置または前記液圧源に、前記加圧装
    置の作動開始に応じて前記マスタシリンダを作動させる
    非ブレーキ操作時作動装置を設けたことを特徴とするブ
    レーキ装置。
  2. 【請求項2】前記ブレーキ操作装置または前記液圧源
    が、前記ブレーキ操作部材の操作力を前記マスタシリン
    ダに伝達する連動部材であって、その連動部材にマスタ
    シリンダの液圧が増加する向きの運動が付与されればそ
    れに追従してブレーキ操作部材もマスタシリンダの液圧
    が増加する向きに運動させられるようにそのブレーキ操
    作部材と連携させられた連動部材を含み、前記非ブレー
    キ操作時作動装置が、前記加圧装置の作動開始に応じ
    て、前記連動部材に前記マスタシリンダの液圧が増加す
    る向きの運動を付与する運動付与装置を含む請求項1に
    記載のブレーキ装置。
  3. 【請求項3】前記液圧源が、負圧室とその負圧室と大気
    とに選択的に連通させられる変圧室との差圧に基づいて
    作動するパワーピストンを備えて前記ブレーキ操作部材
    と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作
    部材の操作力を助勢するバキュームブースタを含み、前
    記非ブレーキ操作時作動装置が、 (a) 前記負圧室内に前記パワーピストンに対して相対的
    に移動可能に設けられた補助ピストンであって、前向き
    面において負圧室の圧力を受けるものと、 (b) 前記負圧室内にその負圧室から遮断されるとともに
    圧力が前記補助ピストンの後向き面に作用する状態で形
    成された第2の変圧室と、 (c) 前記負圧室と前記第2の変圧室との差圧に基づく前
    記補助ピストンの作動力に基づいて前記マスタシリンダ
    を作動させる作動機構と、 (d) 前記加圧装置の作動開始に応じて、前記第2の変圧
    室を、大気から遮断されて前記負圧室に連通する状態か
    ら、負圧室から遮断されて大気に連通する状態に切り換
    える状態切換装置とを含む請求項1に記載のブレーキ装
    置。
  4. 【請求項4】前記液圧源が、さらに、前記ブレーキ操作
    装置と前記マスタシリンダとの間に設けられたバキュー
    ムブースタであって、 (a) 内部に空間を有するブースタハウジングと、 (b) そのブースタハウジング内に前記内部空間を負圧室
    と変圧室とに仕切る状態で移動可能に設けられたパワー
    ピストンと、 (c) 前記ブレーキ操作部材の操作力を当該バキュームブ
    ースタに入力する入力部材であって、前記パワーピスト
    ンとは、そのパワーピストンへの接近が許容されるとと
    もに、そのパワーピストンが前記マスタシリンダの液圧
    が増加する向きに前進させられればそれに追従して前進
    させられるように連携させられ、前記ブレーキ操作装置
    とは、当該入力部材が前記マスタシリンダの液圧が増加
    する向きに前進させられればそれに追従してブレーキ操
    作部材がマスタシリンダの液圧が増加する向きに運動さ
    せられるように連携させられた入力部材と、 (d) 前記変圧室と負圧室との差圧に基づく前記パワーピ
    ストンの作動力を前記マスタシリンダに出力する出力部
    材と、 (e) 前記入力部材と前記パワーピストンとの相対位置に
    基づいて前記変圧室の圧力を制御するコントロールバル
    ブ機構であって、エアバルブがパワーピストンに対して
    相対的に設定方向に移動することにより、前記変圧室を
    大気から遮断する遮断状態から大気に連通させる連通状
    態に切り換わるエアバルブ機構を有するコントロールバ
    ルブ機構とを備えたバキュームブースタを有し、 前記非ブレーキ操作時作動装置が、前記ブースタハウジ
    ング内に設けられ、前記加圧装置の作動開始に応じて前
    記エアバルブを前記パワーピストンに対して相対的に前
    記設定方向に移動させ、それにより、前記エアバルブ機
    構を遮断状態から連通状態に切り換えるエアバルブ移動
    機構を含む請求項1に記載のブレーキ装置。
  5. 【請求項5】前記エアバルブ移動機構が、 (a) 前記負圧室内に前記パワーピストンに対して相対的
    に移動可能に設けられた補助ピストンであって、前向き
    面において負圧室の圧力を受けるものと、 (b) 前記負圧室内にその負圧室から遮断されるとともに
    圧力が前記補助ピストンの後向き面に作用する状態で形
    成された第2の変圧室と、 (c) 前記負圧室と前記第2の変圧室との差圧に基づく前
    記補助ピストンの作動力を前記エアバルブに、前記パワ
    ーピストンに対して相対的に前記設定方向に移動する向
    きに伝達する作動力伝達機構と、 (d) 前記加圧装置の作動開始に応じて、前記第2の変圧
    室を、大気から遮断されて前記負圧室に連通する状態か
    ら、負圧室から遮断されて大気に連通する状態に切り換
    える状態切換装置とを含む請求項4に記載のブレーキ装
    置。
  6. 【請求項6】前記液圧源が、さらに、前記ブレーキ操作
    装置と前記マスタシリンダとの間に設けられ、前記ブレ
    ーキ操作部材の操作力を助勢するブースタを有し、前記
    非ブレーキ操作時作動装置が、前記加圧装置の作動開始
    に応じて、そのブースタの作動なしで前記マスタシリン
    ダを作動させるマスタシリンダ作動装置を含む請求項1
    に記載のブレーキ装置。
  7. 【請求項7】前記マスタシリンダが、マスタシリンダハ
    ウジングにマスタシリンダピストンが摺動可能に嵌合さ
    れ、そのマスタシリンダピストンが前記ブレーキ操作部
    材の操作力に基づいて作動させられることにより、マス
    タシリンダハウジングとマスタシリンダピストンとの間
    に形成された加圧室に液圧を発生させるものであり、前
    記ブースタが、負圧室とその負圧室と大気とに選択的に
    連通させられる変圧室との差圧に基づいてパワーピスト
    ンが作動させられることによって前記操作力を助勢し、
    その助勢された操作力が出力部材により前記マスタシリ
    ンダピストンに出力されるバキュームブースタを含み、
    前記マスタシリンダ作動装置が、 (a) 前記負圧室内において前記パワーピストンと前記マ
    スタシリンダピストンとの間に設けられた加圧シリンダ
    であって、有底の加圧シリンダハウジングに加圧シリ
    ンダピストンが摺動可能に嵌合され、それにより、加圧
    シリンダハウジングの底部と加圧シリンダピストンとの
    間に第2の変圧室が負圧室から遮断された状態で形成さ
    れるとともに、加圧シリンダハウジングの底部におい
    て前記パワーピストンの側の部材に連携させられる一
    方、加圧シリンダピストンの先端部において前記マスタ
    シリンダピストンの側の部材に連携させられ、かつ、
    加圧シリンダピストンが、それの前向き面において前記
    負圧室の圧力を受ける一方、後向き面において前記第2
    の変圧室の圧力を受ける加圧シリンダと、 (b) 前記加圧装置の作動開始に応じて、前記第2の変圧
    室を、大気から遮断されて前記負圧室に連通する状態か
    ら、負圧室から遮断されて大気に連通する状態に切り換
    える状態切換装置とを含む請求項6に記載のブレーキ装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002154419A (ja) * 2000-11-17 2002-05-28 Aisin Seiki Co Ltd 車両の運動制御装置
JP2002160617A (ja) * 2000-11-28 2002-06-04 Aisin Seiki Co Ltd 車両の運動制御装置
US6805157B2 (en) 2002-04-22 2004-10-19 Hitachi Unisia Automotive, Ltd. Structure for fixing check valve

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