JP3637722B2 - ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用のブレーキ装置に関するものであり、特に、運転者によるブレーキ操作中におけるブレーキ操作力とブレーキシリンダ液圧との関係を制御する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキ装置は一般に、運転者により操作されて車両を制動するために、図43に概念的に示すように、ブレーキ操作部材500と車輪502との間にいくつかの要素が直列に並んで構成される。ブレーキ操作機構504,ブースタ506,マスタシリンダ508,ブレーキシリンダ510,ブレーキ摩擦材512および回転体514が直列に並んで構成されているのである。
【0003】
ここに、ブレーキ操作機構504は、運転者によりブレーキ操作部材500に付与された操作力Fをブースタ506に伝達する。ブースタ506は、ブレーキ操作機構504から入力された力を圧力を利用して倍力し、その力をマスタシリンダ508に出力する。ブースタ506は、図44に示すように、助勢限界に達するまでは、入力された力をいわゆるサーボ比で倍力した力を出力とすることができるが、助勢限界に達した後には、倍力はできない。マスタシリンダ508は、加圧ピストンを有し、ブースタ506から出力された力を加圧ピストンにより液圧に変換する。このマスタシリンダ508も倍力装置の一つである。ブレーキシリンダ510は、ブレーキピストンを有し、マスタシリンダ508から供給された液圧を力に変換する。ブレーキ摩擦材512は、ブレーキシリンダ510から出力された力により、制動すべき車輪502と共に回転する回転体514(ブレーキロータ,ブレーキドラム等)に押し付けられ、その回転体514と共同して車輪502の回転を抑制する。その回転の抑制により車体に減速度Gが発生することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用および効果】
ブレーキ装置には、ブレーキ操作力の割りに高い液圧をブレーキシリンダに発生させたいという要望がある。例えば、ブレーキの鳴きおよび振動を低減させるための対策として、ブレーキ摩擦材に摩擦係数が低い材料を使用したり、圧縮歪みが大きい材料を使用する対策があり、それら対策を講じると、図45に示すように、車体減速度Gの操作力Fに対する比で表されるブレーキの効きが低下してしまうから、それら対策をブレーキの効きを低下させることなく講じるために、ブレーキ操作力の割りに高い液圧をブレーキシリンダに発生させたいという要望があるのである。
【0005】
このブレーキシリンダ液圧の高圧化という要望を満たすための対策として、例えば、マスタシリンダにおける加圧ピストンを小径化する対策がある。しかし、この対策を講じると、加圧ピストンの押しのけ容積が減少し、加圧ピストンの必要ストロークが増加して、マスタシリンダの長手寸法が増大するという新たな問題が生じる。また、ブレーキシリンダ液圧の高圧化という要望を満たすための対策として、ブースタのサーボ比を増加させるという対策もある。しかし、この対策を講じると、図46に示すように、ブースタの助勢限界点が低下し、操作力Fが小さい領域でブレーキの効きが大きく変化してしまい、ブレーキ操作フィーリングが低下してしまうという新たな問題が生じる。
【0006】
以上要するに、ブレーキ操作力の割に高い液圧をブレーキシリンダに発生させるために、マスタシリンダおよびブースタという倍力装置で対応するには限界があり、ブレーキ操作力とブレーキシリンダ液圧との関係を自由に制御することが困難であるという問題があるのである。
【0007】
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その課題は、マスタシリンダおよびブースタとは別の液圧源により、ブレーキ操作力とブレーキシリンダ液圧との関係を制御可能なブレーキ装置を提供することにある。
【0008】
この課題は下記態様のブレーキ装置によって解決される。なお、以下の説明において、本発明の各態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用することの可能性を明示するためである。
【0009】
(1) 運転者により操作されて車両を制動するブレーキ装置であって、
ブレーキ操作部材の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、
車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記マスタシリンダと主通路により接続されて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
前記マスタシリンダの液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させる増圧装置であって、
(a) 前記主通路の途中に設けられ、マスタシリンダとブレーキシリンダとの間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とを含む複数の状態に切り換わる流通制御装置と、
(b) 主通路のうちその流通制御装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に補助通路により接続された液圧源と、
(c) 運転者が車両を緊急に制動するために前記ブレーキ操作部材を操作する場合に、前記液圧源に作動液を供給させる緊急ブレーキ操作時制御手段を含む液圧源制御装置と、
(d) 前記ブレーキシリンダの液圧を、前記マスタシリンダの液圧より高い状態において前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて変化させる変圧装置と
を有する増圧装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置(請求項1)
【0010】
このブレーキ装置によれば、マスタシリンダとは無関係に作動する液圧源、すなわち、マスタシリンダおよびブースタとは別の液圧源により、ブレーキ操作力とブレーキシリンダ液圧との関係が制御可能となり、ブレーキ操作力の割りに高い液圧をブレーキシリンダに容易に発生可能となるという効果が得られる。
【0011】
そして、この効果により、マスタシリンダおよびブースタはもちろん、ブレーキ摩擦材に要求される性能が低減可能となり、よって、ブレーキ構成部品のうちその液圧源以外の構成部品にかかる負担を増加させることなく、例えば、ブレーキの効きの特性を制御する効き特性制御や、緊急ブレーキ操作時にブレーキ操作力の不足を補うブレーキアシスト制御を実行することが可能となる。
【0012】
さらに、このブレーキ装置によれば、ブレーキシリンダの液圧の高さがブレーキ操作力に応じて決定されるため、ブレーキ操作力とは無関係に決定される場合とは異なり、ブレーキ操作力の大きさがブレーキシリンダの液圧の高さに反映され、よって、ブレーキシリンダ液圧の高さをブレーキ操作力との関係において容易に適正化し得るという効果が得られる。
【0013】
このブレーキ装置において「液圧源」は例えば、ブレーキ用の液圧源としたり、ブレーキ以外の用途を有する液圧源、例えば、パワーステアリング用の液圧源とすることができる。また、「液圧源」は例えば、常時高圧の作動液を蓄える形式の液圧源、例えば、アキュムレータを主体とする形式としたり、必要に応じて高圧の作動液を発生させる形式の液圧源、例えば、ポンプを主体とする形式とすることができる。ただし、「液圧源」をアキュムレータを主体とする形式とする場合には、アキュムレータの他に、アキュムレータが作動液を放出することを許可する状態と禁止する状態とに切り換える制御弁が設けられるのが普通であり、この場合には、その制御弁の作用によって液圧源が作動液を供給する状態と供給しない状態とに切り換えられることになる。
【0014】
また、このブレーキ装置において「液圧源制御装置」は例えば、液圧源からの作動液供給を、ブレーキ操作力に関連するブレーキ操作力関連量が基準値を超えた場合に行なう形式としたり、運転者により緊急ブレーキ操作が行われた場合に行う形式としたり、当該ブレーキ装置に設けられているブースタの倍力が正常でない場合に行う形式としたり、そのブースタが助勢限界に到達した場合に行う形式としたり、当該ブレーキ装置のブレーキにヒートフェードやウォータフェードが発生している場合に行う形式としたり、当該車両が走行している路面の摩擦係数が標準値より高い場合に行う形式としたり、当該車両の積載荷重が標準値より大きい場合に行う形式としたり、運転者がブレーキシリンダ液圧を高めにしたいという意思表示をした場合に行う形式としたり、それら形式のうちの複数を組み合わせた形式とすることができる。
【0015】
ここに、「ブレーキ操作力関連量」には例えば、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストローク、マスタシリンダ液圧,ブレーキシリンダ液圧,車輪制動力,車体減速度等、ブレーキ操作に関連する物理量や、ブレーキ操作の有無等、ブレーキ操作に関連する状態が含まれる。
【0016】
また、このブレーキ装置において「変圧装置」は例えば、「流通制御装置」を電気的にまたは機械的に制御することによってブレーキシリンダの液圧を制御する形式としたり、「流通制御装置」を前記第2状態に維持しつつ、「液圧源」からの作動液の吐出量を制御することによってブレーキシリンダの液圧を制御する形式とすることができる。後者の形式においては、「液圧源」がポンプを主体とする形式である場合に、そのポンプを駆動するモータの励磁電流をデューティ制御する態様としたり、ポンプが吸入側に、そのポンプによる作動液の吸入を許容する状態と阻止する状態とに切り換わる電磁吸入弁を有する場合に、その電磁吸入弁を駆動するソレノイドの励磁電流をデューティ制御する態様とすることができる。また、「変圧装置」は、当該ブレーキ装置が、アンチロック制御等、自動液圧制御機能を果たすために後述の電磁液圧制御装置を含む場合に、「流通制御装置」を前記第2状態に維持しつつ、その電磁液圧制御装置を制御することによってブレーキシリンダの液圧を制御する形式とすることもできる。
【0017】
また、このブレーキ装置によれば、前記ブレーキアシスト制御を実行可能となり、車両の安全性が向上するという効果が得られる。
このブレーキ装置の一実施形態においては、前記緊急ブレーキ操作時制御手段に、緊急ブレーキ操作を検出する緊急ブレーキ操作検出手段が設けられる。この緊急ブレーキ操作検出手段は例えば、前記ブレーキ操作力関連量の変化速度(ブレーキ操作部材の操作位置の変化速度である操作速度を含む)が基準値より大きい状態を検出することにより、緊急ブレーキ操作を検出する手段を含むものとすることができる。また、この緊急ブレーキ操作検出手段は例えば、その変化速度(動的検出値)とブレーキ操作力関連量(静的検出値)との双方に基づいて緊急ブレーキ操作を検出する手段を含むものとすることもできる。例えば、ブレーキ操作部材の操作速度が基準値を超え、かつ、マスタシリンダ液圧が基準値を超えたときに緊急ブレーキ操作を検出する手段を含むものとすることもできるのである。
【0018】
( ) 前記流通制御装置および前記変圧装置が、前記主通路に設けられた圧力制御装置であって、前記液圧源から作動液が供給されている状態では、圧力制御装置よりブレーキシリンダ側の第2液圧がマスタシリンダ側の第1液圧より高いがその差が目標差圧以下であれば前記第2状態に切り換わり、第2液圧が第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧より大きくなろうとすれば前記第1状態に切り換わることにより、第2液圧を第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧となるように制御する圧力制御装置により構成されている(1)項記載のブレーキ装置(請求項)。
【0019】
このブレーキ装置においては、圧力制御装置が液圧源からの余剰の作動液をマスタシリンダに逃がすとともにその逃がすときの液圧源の液圧の高さをマスタシリンダ液圧に基づいて変化させる。マスタシリンダは、それに外部から作動液が供給されても、それの加圧室の容積が増加してブレーキ操作部材が非作用位置に向かって戻されるのみで、運転者によりブレーキ操作力がほぼ一定に保持されるから、マスタシリンダに液圧源から余剰の作動液が供給されても、ブレーキ操作力はほとんど増加しない。このようなマスタシリンダの性質を積極的に利用することにより、マスタシリンダ液圧より目標差圧だけ高い液圧がブレーキシリンダに発生させられるのである。
【0020】
したがって、このブレーキ装置によれば、マスタシリンダ液圧を基準としてブレーキシリンダ液圧が相対的に制御されるため、マスタシリンダ液圧の高さがブレーキシリンダ液圧の高さに容易に反映され、よって、ブレーキシリンダ液圧の制御性が向上するという効果が得られる。
【0021】
このブレーキ装置において「目標差圧」は、一定値としたり可変値とすることができる。可変値とする場合には、その大きさをブレーキ操作力関連量に基づいて変化させたり、そのブレーキ操作力関連量とブースタ倍力状態関連量等、他の変数との共同によって変化させることができる。
【0022】
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記圧力制御装置が、前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子および弁座を有し、前記液圧源から作動液が供給されていない状態では、前記弁子および弁座により、前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の双方向の流れを許容し、液圧源から作動液が供給されている状態では、同じ弁子および弁座により、ブレーキシリンダ側の第2液圧がマスタシリンダ側の第1液圧より高いがその差が目標差圧以下であれば、前記液圧源から前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止し、第2液圧が第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧より大きくなろうとすれば、液圧源からマスタシリンダへ向かう作動液の流れを許容することにより、第2液圧を第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧となるように制御するものとされる。
【0023】
( )前記圧力制御装置が、(a) 前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子および弁座と、それら弁子および弁座の少なくとも一方に、それら弁子と弁座との相対移動を制御するために作用する磁気力を発生させる磁気力発生手段とを有し、その磁気力に基づいて前記目標差圧が変化する電磁式圧力制御弁と、(b) 前記磁気力を制御する磁気力制御装置とを含む(2) 項に記載のブレーキ装置(請求項)。
【0024】
したがって、このブレーキ装置によれば、磁気力発生手段の磁気力を制御することにより、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係が制御されるため、両液圧間の差を自由に制御可能となり、マスタシリンダ液圧に対して常に同じ量だけ増加するようにブレーキシリンダ液圧を制御したり、マスタシリンダ液圧に対してリニアまたは非リニアである予め定められた特性で増加するようにブレーキシリンダ液圧を制御することが可能となるという効果が得られる。
【0025】
また、このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作中においてある時期と別の時期とで、同じ高さのブレーキシリンダ液圧に対応するマスタシリンダ液圧からの相対増加量を互いに異ならせることも可能となり、例えば、ブレーキ操作状態のうち緊急ブレーキ操作時においてそうでない時におけるより、ブレーキシリンダ液圧が高くなるように制御することにより、緊急ブレーキ操作時には前記ブレーキアシスト制御を実行し、そうでないときには前記効き特性制御を実行可能となるという効果が得られる。
【0026】
さらに、このブレーキ装置によれば、磁気力発生手段の磁気力を制御することにより、ブレーキシリンダ液圧をマスタシリンダ液圧より高める制御の実行時期も自由に制御可能となり、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係をより自由に制御可能となるという効果が得られる。
【0027】
このブレーキ装置において、マスタシリンダとブレーキシリンダとの差圧と磁気力との関係は、磁気力が増加するにつれて差圧が増加する関係とすることも、逆に、磁気力が減少するにつれて差圧が増加する関係とすることもできる。後者の関係は例えば、磁気力とは逆向きに作用するスプリングにある程度大きな予荷重を与えておき、それを磁気力によって減殺することによって実現可能である。
【0028】
また、このブレーキ装置における「磁気力制御装置」は例えば、磁気力を電磁的に制御したり、機械的に制御するものとすることが可能であり、例えば、磁気力を電磁的に制御する場合には、磁気力発生手段に与える電流値や電圧値を制御することになる。
【0029】
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記電磁式圧力制御弁が、前記磁気力発生手段としてのソレノイドを有し、そのソレノイドの磁気力に基づき、前記弁子が前記弁座に着座することを阻止する非作用状態とその着座を許容する作用状態とに切り換わり、非作用状態では、前記主通路において前記マスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間での双方向の作動液の流れを許容し、作用状態では、前記第2液圧が第1液圧に対して前記ソレノイドの磁気力に基づく前記目標差圧より高くなろうとすれば、ブレーキシリンダ側からマスタシリンダ側へ向かう作動液の流れを許容し、第2液圧が第1液圧より高いがその差が前記ソレノイドの磁気力に基づく前記目標差圧以下であれば、ブレーキシリンダ側からマスタシリンダ側へ向かう作動液の流れを阻止するものとされる。
【0030】
別の実施態様においては、前記磁気力制御装置が、(a) 前記ブレーキ操作力に関連する量を検出するブレーキ操作力関連量センサと、(b) 検出されたブレーキ操作力関連値に基づいて前記磁気力発生部材の磁気力を制御することにより、前記ブレーキ操作部材の操作力に基づいて前記目標差圧を変化させる磁気力制御手段とを含むものとされる。ここに、「磁気力制御手段」は例えば、ブースタの助勢限界の前後を問わず、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧に対してほぼリニアに増加する態様で前記効き特性制御を実行するものとされる。
【0031】
さらに別の実施態様においては、前記磁気力制御装置が、(a) 前記ブレーキ操作力関連量センサと、(b) 前記ブースタの倍力状態を表す倍力状態量を検出する倍力状態量センサと、(c) 検出されたブレーキ操作力関連量と倍力状態量とに基づいて前記磁気力発生手段の磁気力を制御することにより、ブースタの倍力状態に基づいて前記目標差圧を変化させる磁気力制御手段とを含むものとされる。ここに、「磁気力制御手段」は例えば、ブースタの異常の有無を問わず、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧に対してほぼリニアに増加する態様で前記効き特性制御を実行するものとされる。具体的には、「磁気力制御手段」は例えば、前記倍力状態量センサからの出力信号に基づき、倍力状態を正常状態と異常状態とのいずれかに判定し、その結果に基づき、目標磁気力を2種類に決定するものとすることができる。また、「磁気力制御手段」は、倍力状態量センサからの出力信号に基づき、倍力状態を倍力状態量の正常状態量からのずれ量で判定し、その結果に基づき、目標磁気力を3以上の種類に決定するものとすることもできる。特に、後者の場合には、ブースタが失陥したとは言えない程度の異常がブースタに発生した場合にも、その異常に伴うブースタの倍力低下量が補われるように磁気力を制御可能となり、ブースタの倍力状態の変化にきめ細かく対応可能となる。
【0032】
さらに別の実施態様においては、前記磁気力制御装置が、(a) 前記ブレーキ摩擦材と前記回転体との間の摩擦係数が低下したことを検出する摩擦係数低下検出手段と、(b) その摩擦係数の低下が検出された場合において検出されない場合におけるより前記ブレーキシリンダ液圧を高くするのに必要な大きさに前記磁気力発生手段の磁気力を制御する磁気力制御手段とを含むものとされる。ここに、「磁気力制御手段」は例えば、ヒートフェード,ウォータフェード等により、ブレーキ摩擦材と回転体との間の摩擦係数が低下した否かを問わず、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧に対してほぼ同じ勾配で増加する態様で前記効き特性制御を実行するものとされる。
【0033】
さらに別の実施態様においては、前記磁気力制御装置が、(a) 緊急ブレーキ操作を検出する緊急ブレーキ操作検出手段と、(b) 緊急ブレーキ操作が検出された場合において検出されない場合におけるより前記ブレーキシリンダ液圧を高くするのに必要な大きさに前記磁気力発生手段の磁気力を制御する磁気力制御手段とを含むものとされる。ここに、「磁気力制御手段」は例えば、前記ブレーキアシスト制御を実行するものとされる。
【0034】
( )前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含み、かつ、当該ブレーキ装置が、さらに、前記ブレーキシリンダの液圧を自動制御する自動液圧制御装置であって、(a) 前記ポンプの吸入側とポンプ通路により接続され、作動液を蓄えるリザーバと、(b) 前記主通路のうち前記補助通路との接続点と前記ブレーキシリンダとの間の部分に接続され、ブレーキシリンダを前記ポンプの吐出側に連通させる状態と前記リザーバに連通させる状態とを含む複数の状態を選択的に実現する電磁液圧制御装置とを有するものを含み、かつ、前記磁気力制御装置が、その自動液圧制御装置による自動制御時に、前記圧力制御装置において弁子が弁座に着座し続けることにより前記ポンプから前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れが阻止されるように前記磁気力発生手段の磁気力を制御する自動制御時磁気力制御装置を含む(3) 項に記載のブレーキ装置(請求項)。
【0035】
したがって、このブレーキ装置によれば、本来マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係を制御する際に使用される圧力制御弁が自動制御時にも使用されることとなり、圧力制御弁の有効利用が図れて、自動制御をマスタシリンダの影響を受けることなく行うためにブレーキ装置の部品点数が増加せずに済む。
【0036】
( )前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項)。
【0037】
したがって、このブレーキ装置によれば、液圧源としてポンプを採用することによってブレーキシリンダ液圧の増圧が可能となるという効果が得られる。
【0038】
特に、このブレーキ装置を前記(2)項に記載のブレーキ装置と共に実施する場合には、次のような効果が得られる。すなわち、液圧源をポンプとし、それから吐出される作動液を直接に前記圧力制御装置に供給する場合には、ポンプは、それの吐出圧の高さが吐出先の液圧の高さに依存し、吐出先の液圧の高さの変化に追従して変化するという性質を有することから、液圧源をアキュムレータとする場合に比較して、液圧源の液圧をマスタシリンダ液圧の変化に追従させることが容易となる。したがって、本項に記載のブレーキ装置を(2)項に記載のブレーキ装置と共に実施する場合には、ブレーキシリンダ液圧をマスタシリンダ液圧の変化に追従させるために、圧力制御装置の構造が複雑にならずに済むという特有の効果が得られるのである。
【0039】
この本項に記載のブレーキ装置を(2)項に記載のブレーキ装置と共に実施する際の一態様においては、図1に概略的に示すように、ブレーキシリンダ10の液圧源として、ブレーキ操作部材12の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダ14と、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプ16とがそれぞれ設けられ、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10とを互いに接続する主通路18の途中に、補助通路20によりポンプ16の吐出側が接続され、その主通路18のうち補助通路20との接続点とマスタシリンダ14との部分に圧力制御弁22(圧力制御装置の一例)が設けられ、かつ、その圧力制御弁22が、ポンプ16の非作動時には、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との間の作動液の双方向の流れを許容し、一方、ポンプ16の作動時には、ポンプ16からの余剰の作動液をマスタシリンダ14に逃がすとともにその逃がすときのポンプ16の吐出圧の高さをマスタシリンダ液圧に基づいて変化させるものとされ、さらに、ポンプ16に、運転者によるブレーキ操作中であって、マスタシリンダ14の液圧より高い液圧をブレーキシリンダ10に発生させることが必要である場合に、ポンプ16を作動させるポンプ作動装置24(液圧源制御装置の一例)が設けられる。
【0040】
( )前記液圧源制御装置が、運転者による車両の運転状態が設定運転状態である場合に、前記液圧源に作動液を供給させる設定運転状態時制御手段を含む(1)ないし(5) のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項)。
【0041】
したがって、このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作力とブレーキシリンダ液圧との関係を運転状態との関係において適正化可能となるという効果が得られる。
【0042】
( )前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含み、かつ、当該ブレーキ装置が、さらに、前記主通路のうち前記マスタシリンダと前記圧力制御装置との間の部分である上流側部分と前記ポンプの吸入側とにそれぞれ接続され、その上流側部分の作動液をそれの液圧を低下させることなく前記ポンプの吸入側に導入する作動液導入装置を含む(1)ないし(6) のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項)。
【0043】
主通路の上流側部分内の作動液を利用してポンプによる作動液の加圧を行うためには、その高圧の作動液を一旦、作動液をほぼ大気圧下に収容するリザーバ内に供給し、その後、ポンプによりリザーバからその作動液を汲み上げてブレーキシリンダ側に吐出することが考えられる。しかし、この場合には、マスタシリンダにより加圧された作動液がリザーバによって低圧された後にポンプにより加圧されることとなる。これに対し、本項に記載のブレーキ装置によれば、マスタシリンダにより加圧された作動液がリザーバによって低圧にされることなくポンプにより加圧されるため、低圧にされた作動液を加圧する場合に比較してポンプの作動応答性が向上するとともに、ポンプはマスタシリンダ液圧からの差圧分だけ作動液を加圧すればよくなるため、ポンプの低能力化および消費エネルギの節減が容易となる。
【0044】
このブレーキ装置の一実施態様においては、当該ブレーキ装置が、さらに、前記ブレーキシリンダの液圧を自動制御する自動液圧制御装置であって、(a) 前記ポンプの吸入側とポンプ通路により接続され、作動液を蓄えるリザーバと、(b) 前記主通路のうち前記補助通路との接続点と前記ブレーキシリンダとの間の部分に接続され、ブレーキシリンダを前記ポンプの吐出側に接続する状態と前記リザーバに接続する状態とを含む複数の状態を選択的に実現する電磁液圧制御装置とを有するものを含み、かつ、前記作動液導入装置が、(c) 前記主通路のうち前記マスタシリンダと前記圧力制御装置との間の部分と前記ポンプ通路とを互いに接続する第2の補助通路と、(d) 前記ポンプ通路のうち前記第2の補助通路との接続点と前記リザーバとの間の部分に設けられ、前記リザーバから前記ポンプへ向かう作動液の流れは許容するがその逆向きの流れは阻止する逆止弁とを含んでいる。本実施態様によれば、ポンプの吸入側にリザーバが接続されているにもかかわらず、マスタシリンダからリザーバへ向かう作動液の流れが逆止弁により阻止される。
【0045】
別の実施態様においては、前記作動液導入装置が、(a) 前記第2の補助通路と、(b) 前記逆止弁と、(c) 前記第2の補助通路の途中に設けられた流入制御弁であって、前記ポンプの作動中であって、前記自動液圧制御中でない場合に、前記マスタシリンダから前記リザーバへ向かう作動液の流れを許容する状態となり、ポンプの作動中であって、自動液圧制御中であり、かつ、少なくとも、ポンプにより汲み上げるべき作動液がリザーバに存在する場合に、マスタシリンダからリザーバへ向かう作動液の流れを阻止する状態となるものとを含んでいる。本実施態様によれば、自動液圧制御中であって、ポンプにより汲み上げるべき作動液がリザーバに存在する場合に、ポンプが作動液をマスタシリンダから優先的に汲み上げることが阻止され、リザーバが作動液であふれる状態が継続しなくなり、リザーバによるブレーキシリンダの減圧作用が確保される。
【0046】
さらに別の実施態様においては、前記作動液導入装置が、前記第2の補助通路の途中に設けられた流入制御弁であって、前記ポンプの非作動中に、前記マスタシリンダから前記リザーバへ向かう作動液の流れを許容する状態にあり、ポンプの作動中の少なくとも一時期に、その作動液の流れを阻止するものを含んでいる。本実施態様によれば、ポンプの非作動中、すなわち、ブレーキシリンダがポンプによってではなくマスタシリンダによって増圧されるブレーキ操作時に、マスタシリンダからブレーキシリンダへ向かう作動液の流れが前記主通路のみならず第2の補助通路および流入制御弁によっても実現され、万が一、主通路によるその流れが阻止されても、ブレーキシリンダに正常に液圧が発生させられる。
【0047】
( )前記増圧装置が、さらに、少なくとも1つの前記ブレーキ操作部材の操作力に関連する量を検出するブレーキ操作力関連量センサを含み、前記液圧源制御装置が、検出された少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々がそれらに対応する基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる基準値到達時制御手段を含む(1)ないし(7) のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項)。
【0048】
( )さらに、前記ブレーキ操作部材と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操作力を助勢してマスタシリンダに伝達するブースタを含み、前記基準値が、そのブースタが助勢限界に到達したときに取ることを予想される前記少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々とされる(8) に記載のブレーキ 装置(請求項)。
このブレーキ装置において、「ブースタ」は、負圧と大気圧との差圧に基づいてブレーキ操作力を助勢するバキュームブースタとしたり、液圧に基づいてブレーキ操作力を助勢する液圧ブースタとしたりすることができる。
【0049】
( 10 )前記ブレーキ操作力関連量センサが、車体減速度を検出する車体減速度センサを含む(8) 項または (9) 項に記載のブレーキ装置(請求項10)。
【0050】
「ブレーキ操作力関連量センサ」として例えば、ブレーキ操作力センサ,ブレーキ操作ストロークセンサ,マスタシリンダ液圧センサ等、ブレーキ操作力関連量を直接に検出するセンサを使用することが考えられる。しかし、この場合には、ブレーキ操作力関連量を直接に検出するセンサが必要となるとともに、そのセンサが故障した場合には、ブレーキ操作力に関連付けた増圧装置の作動が実現されない。
【0051】
一方、ブレーキ装置を備えた車両においては一般に、ブレーキ操作力の大きさがマスタシリンダ液圧の高さに反映され、マスタシリンダ液圧の高さがブレーキシリンダ液圧の高さに反映され、ブレーキシリンダ液圧の高さが車両制動力の大きさに反映され、車両制動力の大きさが車体減速度の高さに反映される。したがって、(15)に記載のブレーキ装置を実施する際、ブレーキ操作力関連量を直接に検出することができない場合であっても、車体減速度さえ取得することができれば、ブレーキ操作力に関連付けた増圧装置の作動が可能となる。
【0052】
かかる知見に基づいて本項に記載のブレーキ装置はなされたのであり、したがって、このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作力関連量を直接に検出することができない場合であっても、ブレーキ操作力に関連付けた増圧装置の作動が可能となるという効果が得られる。
【0053】
このブレーキ装置において「車体減速度センサ」は、車体減速度を直接に検出する形式とすることは可能であるが、車両においては普通、車速を検出する車速センサが設けられており、しかも、車速を時間に関して微分すれば車体減速度を取得することができるという事実に着目し、車速を時間に関して微分することによって車体減速度を間接に検出する形式とすることも可能である。
【0054】
ところで、車速センサには、ドップラセンサ等、車速を直接に検出する形式があるが、車輪の回転速度である車輪速に基づいて間接に検出する形式もある。後者の形式の一例は、アンチロック制御装置において採用されている。アンチロック制御装置は、よく知られているように、(a) 複数個の車輪の各々の車輪速を検出する複数個の車輪速センサと、(b) 各輪のブレーキシリンダ液圧を制御する電磁液圧制御弁と、(c) それら複数個の車輪速センサにより検出された車輪速に基づき、車両制動時に各輪のロック傾向が過大にならないように、前記電磁液圧制御弁を制御するコントローラとを含むように構成される。ここに、コントローラは一般に、複数個の車輪速センサにより検出された複数個の車輪速に基づいて車速を推定し、その推定車速と各輪の車輪速との関係に基づいて電磁液圧制御弁を制御するように設計される。
【0055】
したがって、この本項に記載のブレーキ装置において「車体減速度センサ」を、車速センサにより検出された車速を時間に関して微分することによって車体減速度を間接に検出する形式とした場合には、ハードウェアを追加することなくソフトウェアのみを追加することによって「車体減速度センサ」が構成されることとなり、「車体減速度センサ」の構造簡単化,軽量化およびコストダウンが図られるという効果が得られる。
【0056】
( 11 )前記ブレーキ操作力関連量センサが複数個設けられた(8) 項ないし (10) のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項11)
【0057】
したがって、このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作力関連量センサが1個しか設けられていない場合に比較して、ブレーキ操作力関連量センサの故障に対する増圧装置の信頼性を容易に向上させ得るという効果が得られる。
【0058】
( 12 )前記液圧源制御装置が、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち予め定められた少なくとも一つの第1センサが正常である場合には、その第1センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させ、正常ではない場合には、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち第1センサとは異なる少なくとも一つの第2センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させるフェイルセーフ手段を含む(11) 項に記載のブレーキ装置(請求項12)。
【0059】
したがって、このブレーキ装置によれば、複数個のブレーキ操作力関連量センサすべてが故障しない限り、ブレーキ操作力に関連付けた増圧装置の作動が可能となり、増圧装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0060】
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記フェイルセーフ手段が、(a) 前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち予め定められた少なくとも一つの第1センサが正常であるか否かを判定する判定手段と、(b) 第1センサが正常であると判定された場合には、その第1センサを選択し、正常ではないと判定された場合には、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち第1センサとは異なる少なくとも一つの第2センサを選択する選択手段と、(c) 選択されたブレーキ操作力関連量センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる作動液供給手段とを含むものとされる。
【0061】
( 13 )前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサと、車体減速度を検出する車体減速度センサとを含み、前記第1センサが、前記マスタシリンダ液圧センサを含み、前記第2センサが、前記車体減速度センサを含む(12) に記載のブレーキ装置(請求項13)。
【0062】
( 14 )前記液圧源制御装置が、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサにより検出された複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させるフェイルセーフ手段を含む(11) 項ないし (13) のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項14)。
【0063】
複数個のブレーキ操作力関連量センサすべてが正常である場合には、ブレーキ装置が増圧装置を作動させるべき状態に到達すれば、それら複数個のブレーキ操作力関連量センサにより検出された複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達する。これに対して、複数個のブレーキ操作力関連量センサの中に故障したものが存在する場合には、ブレーキ装置が増圧装置を作動させるべき状態に到達しても、それら複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達するわけではない。よって、それら複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達した場合に限って液圧源に作動液を供給させることとすれば、複数個のブレーキ操作力関連量センサがすべて正常である場合に限って液圧源からの作動液供給が行われ、それら複数個のブレーキ操作力関連量センサの一つが故障したために誤って液圧源から作動液が供給されてしまうことが防止される。
【0064】
したがって、本項に記載のブレーキ装置によれば、ブレーキ操作力関連量センサの故障によって誤って液圧源から作動液が供給されることが防止され、増圧装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0065】
( 15 )前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサと、前記ブレーキ操作部材の操作を検出するブレーキ操作センサとを含み、前記フェイルセーフ手段が、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させる第1手段を含む(14) に記載のブレーキ装置(請求項15)。
【0066】
したがって、このブレーキ装置によれば、マスタシリンダ液圧センサが故障したため、ブレーキ操作中でないにもかかわらずマスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が基準値に到達した場合には、誤って液圧源から作動液が供給されることが防止され、増圧装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0067】
( 16 )前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、さらに、車体減速度を検出する車体減速度センサを含み、前記第1手段が、前記ブレーキ操作センサが正常である場合には、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させ、ブレーキ操作センサが正常ではない場合には、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記車体減速度センサにより検出された車体減速度が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる第2手段を含む(15) に記載のブレーキ装置(請求項16)。
【0068】
したがって、このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作センサが故障すれば代わりに車体減速度センサが使用されるため、マスタシリンダ液圧センサが実際値より高めにマスタシリンダ液圧を検出してしまうモードで故障するとともに、ブレーキ操作センサが実際にはブレーキ操作中でないにもかかわらずブレーキ操作を検出してしまうモードで故障した場合であっても、誤って液圧源から作動液が供給されることが防止され、増圧装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0069】
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記第2手段が、(a) 前記ブレーキ操作センサが正常であるか否かを判定する判定手段と、(b) ブレーキ操作センサが正常であると判定された場合には、ブレーキ操作センサを選択し、正常ではないと判定された場合には、前記車体減速度センサを選択する選択手段と、(c) 前記ブレーキ操作センサが正常であると判定された場合には、マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させ、ブレーキ操作センサが正常ではないと判定された場合には、マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記車体減速度センサにより検出された車体減速度が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる作動液供給手段とを含むものとされる。
【0070】
なお、本項に記載のブレーキ装置においては、「車体減速度センサ」が、ブレーキ操作センサの故障時にそれに代えて使用されるようになっているが、マスタシリンダ液圧センサの故障時にそれに代えて使用する態様で(23)項に記載のブレーキ装置を実施することができる。
【0071】
( 17 )前記増圧装置が、(a) 車両の停止状態を検出する停止状態検出手段と、(b) 車両の停止状態の検出時において非検出時におけるより、当該増圧装置の作動開始を困難にする作動開始制御手段とを含む(1) 項に記載のブレーキ装置(請求項17)。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0073】
まず、それら実施形態に共通の構成を概略的に説明する。
このブレーキ装置は、図1に示すように、ブレーキシリンダ10の液圧源として、ブレーキ操作部材12の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダ14とポンプ16とをそれぞれ有する。このブレーキ装置においては、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10とを互いに接続する主通路18の途中に、補助通路20によりポンプ16の吐出側が接続されるとともに、その主通路18のうち補助通路20との接続点とマスタシリンダ14との部分に圧力制御弁22が設けられている。圧力制御弁22は、ポンプ16の非作動時には、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との間の作動液の双方向の流れを許容し、一方、ポンプ16の作動時には、ポンプ16からの作動液をマスタシリンダ14に逃がすとともにその逃がすときのポンプ16の吐出圧の高さをマスタシリンダ14の液圧に基づいて変化させる。さらに、ポンプ16に、運転者によるブレーキ操作中であって、マスタシリンダ14の液圧より高い液圧をブレーキシリンダ10に発生させることが必要である場合に、ポンプ16を作動させるポンプ作動装置24が設けられている。
【0074】
次に、それら実施形態の各々を具体的に説明する。
図2には、第1実施形態の機械的構成が示されている。本実施形態は、4輪車両に設けられるダイヤゴナル2系統式のブレーキ装置である。このブレーキ装置は、アンチロック制御機能を有し、また、アンチロック制御中、ポンプ16により作動液を還流させる。そして、本実施形態は、ブレーキ操作中、そのポンプ16を利用してブレーキ効き特性制御(以下、単に「効き特性制御」という。)を実行する。ここで、「効き特性制御」とは、図42に示すように、ブレーキ操作力Fを倍力してマスタシリンダ14に伝達するブースタの特性(図44参照)により決定される折れ線のグラフで表されるブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの基本的な関係を補正することにより、車体減速度Gがブレーキ操作力Fに対して理想的な勾配で(例えば、ブースタの助勢限界の前後を問わず、ほぼ同じ勾配で)増加するようにそれらブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの関係を制御することをいう。
【0075】
マスタシリンダ14は、互いに独立した2個の加圧室が互いに直列に配置されたタンデム型である。マスタシリンダ14は、図2に示すように、バキューム式のブースタ30を介してブレーキ操作部材12としてのブレーキペダル32に連携させられており、ブレーキペダル32の踏力によって各加圧室に互いに等しい高さの液圧を機械的に発生させる。
【0076】
マスタシリンダ14の一方の加圧室には左前輪FLおよび右後輪RR用の第1ブレーキ系統が接続され、他方の加圧室には右前輪FRおよび左後輪RL用の第2ブレーキ系統が接続されている。それらブレーキ系統は互いに構成が共通するため、以下、第1ブレーキ系統のみを代表的に説明し、第2ブレーキ系統については説明を省略する。
【0077】
第1ブレーキ系統においては、マスタシリンダ14が主通路18により左前輪FLのブレーキシリンダ10と右後輪RRのブレーキシリンダ10とにそれぞれ接続されている。主通路18は、マスタシリンダ14から延び出た後に二股状に分岐させられており、1本の基幹通路34と2本の分岐通路36とが互いに接続されて構成されている。それら各分岐通路36の先端に各ブレーキシリンダ10が接続されている。それら各分岐通路36の途中には常開の電磁開閉弁である各増圧弁40が設けられ、開状態でマスタシリンダ14からブレーキシリンダ10へ向かう作動液の流れを許容する増圧状態を実現する。各増圧弁40にはバイパス通路42が接続され、各バイパス通路42には作動液戻り用の逆止弁44が設けられている。各分岐通路36のうち各増圧弁40と各ブレーキシリンダ10との間の部分から各リザーバ通路46が延びてリザーバ48に至っている。各リザーバ通路46の途中には常閉の電磁開閉弁である減圧弁50が設けられ、開状態でブレーキシリンダ10からリザーバ48へ向かう作動液の流れを許容する減圧状態を実現する。
【0078】
リザーバ48は、ハウジングにリザーバピストン54が実質的に気密かつ摺動可能に嵌合されて構成されるとともに、その嵌合によって形成されたリザーバ室56において作動液を弾性部材としてのスプリング58によって圧力下に収容するものである。このリザーバ48はポンプ通路60により、ポンプ16の吸入側に接続されている。ポンプ16の吸入側には逆止弁である吸入弁62、吐出側には逆止弁である吐出弁64がそれぞれ設けられている。ポンプ16の吐出側と主通路18とを互いに接続する補助通路20には、絞りとしてのオリフィス66と固定ダンパ68とがそれぞれ設けられており、それらにより、ポンプ16の脈動を軽減する。
【0079】
以上説明した要素は、従来のアンチロック型ブレーキ装置にもある要素であり、以下、従来のアンチロック型ブレーキ装置にはない要素を説明する。
【0080】
圧力制御弁22は、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係を電磁的に制御する形式である。
【0081】
圧力制御弁22は具体的には、図3に示すように、図示しないハウジングと、主通路18におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子70およびそれが着座すべき弁座72と、それら弁子70および弁座72の相対移動を制御する磁気力を発生させるソレノイド74とを有している。
【0082】
この圧力制御弁22においては、ソレノイド74が励磁されない非作用状態(OFF状態)では、弾性部材としてのスプリング76の弾性力によって弁子70が弁座72から離間させられ、それにより、主通路18においてマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間での双方向の作動液の流れが許容され、その結果、ブレーキ操作が行われれば、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧と等圧で変化させられる。このブレーキ操作中、弁子70には、弁座72から離間する向きに力が作用するため、ソレノイド74が励磁されない限り、マスタシリンダ液圧すなわちブレーキシリンダ液圧が高くなっても、弁子70が弁座72に着座してしまうことはない。すなわち、圧力制御弁22は常開弁なのである。
【0083】
これに対し、ソレノイド74が励磁される作用状態(ON状態)では、ソレノイド74の磁気力によりアーマチュア78が吸引され、そのアーマチュア78と一体的に移動する可動部材としての弁子70が固定部材としての弁座72に着座させられる。このとき、弁子70には、ソレノイド74の磁気力に基づく吸引力F1 と、ブレーキシリンダ液圧とマスタシリンダ液圧との差に基づく力F2 およびスプリング76の弾性力F3 の和とが互いに逆向きに作用する。力F2 の大きさは、ブレーキシリンダ液圧とマスタシリンダ液圧との差と、弁子70がブレーキシリンダ液圧を受ける実効受圧面積との積で表される。
【0084】
ソレノイド74が励磁される作用状態(ON状態)であって、ポンプ16の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がそれほど増加せず、
2 ≦F1 −F3
なる式で表される関係が成立する領域では、弁子70が弁座72に着座し、ポンプ16からの作動液がマスタシリンダ14に逃げることが阻止され、ポンプ16の吐出圧が増加し、ブレーキシリンダ10にマスタシリンダ液圧より高い液圧が発生させられる。これに対し、ポンプ16の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がさらに増加し、
2 >F1 −F3
なる式で表される関係が成立しようとする領域では、弁子70が弁座72から離間し、ポンプ16からの作動液がマスタシリンダ14に逃がされ、その結果、ポンプ16の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がそれ以上増加することが阻止される。このようにしてブレーキシリンダ10には、スプリング76の弾性力F3 を無視すれば、マスタシリンダ液圧に対してソレノイド吸引力F1 に基づく差圧分高い液圧が発生させられることになる。
【0085】
ソレノイド74の磁気力は、ブレーキ操作力に基づいて制御され、そのため、マスタシリンダ14には、図2に示すように、マスタシリンダ液圧センサ(図において「Pセンサ」で表す。)80が設けられている。マスタシリンダ液圧センサ80は、「ブレーキ操作力関連量センサ」の一例であり、ブレーキ操作力関連量としてマスタシリンダ液圧を検出する。
【0086】
圧力制御弁22にはバイパス通路82が設けられており、そのバイパス通路82の途中に逆止弁84が設けられている。逆止弁84はマスタシリンダ14からブレーキシリンダ10へ向かう作動液の流れは許容するがその逆向きの流れは阻止する。圧力制御弁22をバイパスする逆止弁84付き通路82を設けた理由は次のようである。すなわち、この圧力制御弁22においては、図3に示すように、可動部材としての弁子70が固定部材としての弁座72に着座するときの移動の向きと、ブレーキペダル32の踏み込み操作時にマスタシリンダ14からブレーキシリンダ10へ向かう作動液の流れによって可動部材に生じる流体力によってその可動部材が移動する向きとが互いに一致しているため、ブレーキペダル32が踏み込み操作される際に圧力制御弁22が自ら閉じてしまう可能性がある。そのため、万が一、ブレーキペダル32の踏み込み時に可動部材の流体力によって圧力制御弁22が閉じることがあっても、マスタシリンダ14からブレーキシリンダ10へ向かう作動液の流れが確保されるように、圧力制御弁22をパイパスする逆止弁84付きの通路82が設けられているのである。
【0087】
効き特性制御の実行中には、ポンプ16がリザーバ48から作動液を汲み上げ、その作動液を各ブレーキシリンダ10に吐出することによって各ブレーキシリンダ10が増圧されるが、アンチロック制御が実行されていない限り、リザーバ48に汲み上げるべき作動液が存在しないのが普通であり、効き特性制御の実行を確保するためには、アンチロック制御の実行の有無を問わず、リザーバ48に作動液を補給することが必要となる。そのため、本実施形態においては、基幹通路34のうちマスタシリンダ14と圧力制御弁22との間の部分から延びてリザーバ48に至る補給通路88が設けられている。
【0088】
しかし、この補給通路88により常時マスタシリンダ14とリザーバ48とを互いに連通させたのでは、ブレーキペダル32が踏み込み操作されても、リザーバ48においてリザーバピストン54がボトミングした後でないとマスタシリンダ14が昇圧できず、ブレーキの効き遅れが生じる。そのため、補給通路88の途中に流入制御弁90が設けられている。
【0089】
流入制御弁90は、マスタシリンダ14からリザーバ48への作動液の補給が必要であるときには開状態となり、マスタシリンダ14からリザーバ48への作動液の流れを許容し、一方、マスタシリンダ14からリザーバ48への作動液の補給が必要ではないときには閉状態となり、マスタシリンダ14からリザーバ48への作動液の流れを阻止し、マスタシリンダ14による昇圧を可能とする。
【0090】
流入制御弁90は、本実施形態においては、パイロット制御式とされており、リザーバ48に対する作動液の流入制御を、リザーバピストン54との共同により実現する。そのため、リザーバ48は次のような構成とされている。すなわち、リザーバ室56の容積が通常値から増加するときにはリザーバピストン54が通常位置から容積増加位置に、リザーバ室56の容積が通常値から減少するときにはリザーバピストン54が通常位置から容積減少位置にそれぞれ変位する構成とされているのである。リザーバピストン54の通常位置は、スプリング58によりリテーナ92を介してリザーバピストン54を容積減少位置に向かって付勢する一方で、リザーバピストン54が通常位置にあるときにリテーナ92をハウジングの段付き部に当接させることによって規定され、リザーバ室56の容積が通常値から減少すれば、リザーバピストン54が通常位置から単独で前進し、逆に、リザーバ室56の容積が通常値から増加すれば、リザーバピストン54が通常位置からリテーナ92と共にスプリング58を圧縮させつつ後退する。
【0091】
流入制御弁90は、弁子96および弁座98により、リザーバ48からマスタシリンダ14へ向かう作動液の流れは許容するがその逆向きの流れは阻止する逆止弁100と、弁子96を弁座98から離間させて逆止弁100を強制的に開かせる開弁部材102とを有する。その開弁部材102がリザーバピストン54と連携させられているのであり、リザーバピストン54が通常位置にあるときには、開弁部材102は弁子96に当接せず、リザーバ室56の容積が減少してリザーバピストン54が通常位置から前進したときに、弁子96に当接し、逆止弁100を強制的に開かせる。この開きにより、マスタシリンダ14からリザーバ48へ向かう作動液の流れが許容され、リザーバ室56にマスタシリンダ14から作動液が補給される。なお、流入制御弁90は、図2においては、リザーバピストン54が通常位置にあるときにわずかに開くように示されているが、閉じるように設計することが可能である。
【0092】
図4には、本実施形態の電気的構成が示されている。本実施形態は、電子制御ユニット(以下、「ECU」と略称する。)110を備えている。ECU110は、CPU(プロセッサの一例),ROM(メモリの一例)およびRAM(メモリの別の例)を含むコンピュータを主体として構成されており、そのROMに記憶されている効き特性制御ルーチンおよびアンチロック制御ルーチンがCPUによりRAMを使用しつつ実行されることにより、効き特性制御とアンチロック制御とがそれぞれ実行される。
【0093】
ECU110の入力側には前記マスタシリンダ液圧センサ80が接続され、マスタシリンダ液圧を表すマスタシリンダ液圧信号がそのセンサ80から入力される。ECU110の入力側にはさらに、車輪速センサ112も接続され、各輪の回転速度である車輪速を表す車輪速信号がそのセンサ112から入力される。一方、ECU110の出力側には、前記ポンプ16を駆動するポンプモータ114が接続され、そのポンプモータ114の駆動回路にモータ駆動信号が出力される。ECU110の出力側にはさらに、前記圧力制御弁22のソレノイド74,増圧弁40および減圧弁50の各ソレノイド116も接続されている。圧力制御弁22のソレノイド74には、ソレノイド74の励磁電流をリニアに制御するための電流制御信号が出力され、一方、増圧弁40および減圧弁50の各ソレノイド116にはそれぞれ、ソレノイド116をON/OFF駆動するためのON/OFF駆動信号が出力される。
【0094】
図5には、前記効き特性制御ルーチンがフローチャートで表されている。本ルーチンは繰り返し実行され、各回の実行時にはまず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、マスタシリンダ液圧センサ80からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれ、次に、S2において、そのマスタシリンダ液圧信号が表すマスタシリンダ液圧PM が効き特性制御を開始するときのマスタシリンダ液圧PM の高さである基準値PM0より高いか否かが判定される。ここで、「基準値PM0」は、ブースタ30が助勢限界に達するときのマスタシリンダ液圧PM の高さに設定されている。今回は、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高くはないと仮定すれば判定がNOとなり、S3において、圧力制御弁22のソレノイド74にそれをOFFする信号が出され、さらに、ポンプモータ114にそれをOFFする信号が出される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0095】
これに対し、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高い場合には、S2の判定がYESとなり、S4において、ブレーキシリンダ液圧PB をマスタシリンダ液圧PM より高めるべき量すなわち目標差圧ΔPが演算される。マスタシリンダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係がROMに記憶されており、その関係に従ってマスタシリンダ液圧PM の現在値に対応する目標差圧ΔPが演算されるのである。図6には、マスタシリンダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係の一例がグラフで示されており、この例は、目標差圧ΔPがマスタシリンダ液圧PM に対してリニアに変化する場合の例である。
【0096】
ここで、「マスタシリンダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係」は例えば、「基準値PM0」をブースタ30が助勢限界に達するときのマスタシリンダ液圧PM の高さに設定した上で、マスタシリンダ液圧PM と、ブースタ30が助勢限界に達したためにブレーキシリンダ液圧PB がブースタ30が助勢限界に達することはないと仮定した場合のブレーキシリンダ液圧PB からの減少量との関係に等しく設定することができる。このように設定すれば、ブレーキシリンダ液圧PB の、ブースタ30が助勢限界に達することによって減少すべき量がポンプ16によって補われることとなり、ブースタ30のサーボ比を増加させるためにブースタ30の助勢限界点が低下することとなってもその影響がブレーキシリンダ液圧PB に現れずに済み、ブレーキの効きを向上させつつブレーキ操作フィーリングが良好に維持される。
【0097】
その後、S5において、演算された目標差圧に応じ、圧力制御弁22のソレノイド74に供給すべき電流値Iが演算される。目標差圧ΔPとソレノイド電流値Iとの関係がROMに記憶されており、その関係に従って目標差圧ΔPに対応するソレノイド電流値Iが演算されるのである。図7には、目標差圧ΔPとソレノイド電流値Iとの関係の一例として、目標差圧ΔPとソレノイド電流値Iとを直接に対応させるのではなくソレノイド吸引力F1 を媒介として間接に対応させる関係が示されている。目標差圧ΔPとソレノイド吸引力F1 との関係と、ソレノイド吸引力F1 とソレノイド電流値Iとの関係とがそれぞれ示されているのである。
【0098】
続いて、S6において、圧力制御弁22のソレノイド74に、演算された電流値Iで電流が供給されることにより、電流制御が行われる。ただし、この電流制御においては、図8に示すように、一回の効き特性制御の実行開始時期からの経過時間Tが設定時間T0 を超えない制御初期は、ソレノイド74にマスタシリンダ液圧PM に基づく電流値Iより大きい電流値、例えば、予め定められた最大電流値IMAX が供給される。これにより、圧力制御弁22において弁子70の作動応答性が向上し、素早く弁座72に着座することになる。すなわち、このS6においては、図9に示すように、まず、S6aにおいて、効き特性制御開始後設定時間T0 が経過した否かが判定され、経過していなければ判定がNOとなり、S6bにおいて、ソレノイド74への供給電流値IS が最大電流IMAX とされ、これに対し、効き特性制御の制御開始後設定時間T0 が経過したならば、S6aの判定がYESとなり、S6cにおいて、ソレノイド74への供給電流値IS が目標差圧ΔPに基づく通常値IN に決定されるのである。
【0099】
その後、S7において、ポンプモータ114にそれをONする信号が出力され、これにより、ポンプ16によりリザーバ48から作動液が汲み上げられ、作動液が各ブレーキシリンダ10に吐出され、これにより、各ブレーキシリンダ10がマスタシリンダ液圧PM よりそのマスタシリンダ液圧PM に応じた高さだけ高い液圧が発生させられる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0100】
以上、効き特性制御ルーチンの内容を図面に基づいて詳細に説明したが、アンチロック制御ルーチンは、本発明と直接に関係しないため、簡単に説明する。アンチロック制御ルーチンは、車輪速センサ112により各輪の車輪速および車体の走行速度を監視しつつ、増圧弁40は開状態、減圧弁50は閉状態とする増圧状態,増圧弁40も減圧弁50も閉状態とする保持状態および増圧弁40は閉状態、減圧弁50は開状態とする減圧状態を選択的に実現することにより、車両制動時に各輪がロックすることを防止する。さらに、アンチロック制御ルーチンは、アンチロック制御中ポンプモータ114を作動させ、ポンプ16によりリザーバ48から作動液を汲み上げて主通路18に戻す。
【0101】
したがって、本実施形態によれば、従来のアンチロック型ブレーキ装置にハード部品としてマスタシリンダ液圧センサ80,圧力制御弁22および流入制御弁90を追加するだけで、本来アンチロック制御用として設けられたポンプ16が積極的に流用されてブレーキの効き特性制御が実現されるという効果が得られる。
【0102】
なお付言すれば、本実施形態においては、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0を超えた場合には、アンチロック制御の要否を問わず、効き特性制御が実行され、マスタシリンダ液圧PM より高い液圧がポンプ16の吐出側に発生させられるが、アンチロック制御の実行中には、効き特性制御の実行を禁止することができる。
【0103】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、マスタシリンダ液圧センサ80とECU110のうち図5のS2,S3およびS7を実行する部分とによってポンプ作動装置24が構成されているのである。また、ポンプ16が「液圧源」に対応し、ポンプ作動装置24が「液圧源制御装置」,「設定運転状態時制御手段」,「ブースタ助勢限界時制御手段」および「基準値到達時制御手段」にそれぞれ対応し、圧力制御弁22が「流通制御装置および変圧装置」の一例である「圧力制御装置」に対応し、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0を超えるように運転者がブレーキペダル32を操作する状態が「設定運転状態」に対応し、圧力制御弁22が「電磁式圧力制御弁」に対応し、マスタシリンダ液圧センサ80とECU110のうち図5のS4ないしS6を実行する部分とが「磁気力制御装置」に対応しているのである。また、圧力制御弁22とポンプ16とポンプ作動装置24とによって「増圧装置」の一例が構成されているのである。
【0104】
図10には、第2実施形態の機械的構成が示されている。本実施形態は先の第1実施形態と共通する要素が多いため、それら共通する要素は同一の符号を付することによって詳細な説明を省略し、異なる要素のみを詳細に説明する。
【0105】
第1実施形態においては、効き特性制御時にマスタシリンダ14からの高圧の作動液は一旦リザーバ48に収容されて減圧されてからポンプ16により汲み上げられるが、本実施形態においては、マスタシリンダ14からの高圧の作動液はリザーバ48を経ることなく直ちにポンプ16の吸入側に補給される。具体的には、本実施形態においては、補給通路130が、基幹通路34のうちマスタシリンダ14と圧力制御弁22との間の部分と、ポンプ通路60のうちポンプ16の吸入弁62とリザーバ132との間の部分と互いに接続する構成とされ、さらに、ホンプ通路60のうち補給通路130とリザーバ132との間の部分に、補給通路130からリザーバ132への作動液の流れを阻止するがその逆向きの流れは許容する逆止弁134が設けられている。
【0106】
各リザーバ通路46は、ポンプ通路60のうち逆止弁134とリザーバ132との間の部分に接続されている。
【0107】
補給通路130の途中には常閉の電磁開閉弁である流入制御弁138が設けられており、その流入制御弁138はECU110により、アンチロック制御中、マスタシリンダ14から作動液を導入することが必要である場合に開状態に切り換えられる。ここで、マスタシリンダ14から作動液を導入することが必要である場合であるか否かの判定は、本実施形態においては、アンチロック制御中、リザーバ132においてポンプ16により汲み上げるべき作動液が存在しないか否かの判定とされ、また、その作動液の存否判定は、本実施形態においては、増圧弁40が増圧状態にある時間の積算値と、減圧弁50が減圧状態にある時間の積算値とがそれぞれ演算され、それら増圧時間および減圧時間の関係に基づき、リザーバ132における作動液の残量が推定されることによって行われる。
【0108】
なお、本実施形態においては、流入制御弁138が電磁式とされており、先の第1実施形態におけるようにパイロット制御式ではないため、リザーバ132はリザーバ48は異なる構成とされ、すなわち、単に作動液を圧力下に蓄える構成とされているのである。
【0109】
図11には、本実施形態の電気的構成(ソフトウェア構成を含む)が示されている。
図12には、以上の内容の効き特性制御を実現するために、ECU110のROMに記憶されている効き特性制御ルーチンがフローチャートで表されている。以下、本ルーチンの内容を同図に基づいて説明するが、第1実施形態におけると共通する内容については簡単に説明する。
【0110】
本ルーチンにおいてはまず、S101において、マスタシリンダ液圧センサ80からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれ、次に、S102において、そのマスタシリンダ液圧信号が表すマスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高いか否かが判定される。今回は高くはないと仮定すれば判定がNOとなり、S103において、圧力制御弁22のソレノイド74と流入制御弁130のソレノイドと前記ポンプモータ114とにそれぞれ、それらをOFFとする信号が出力される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0111】
これに対し、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高いと仮定すれば、S102の判定がYESとなり、S104において、マスタシリンダ液圧PM とブレーキシリンダ液圧PB との目標差圧ΔPが演算され、次に、S105において、その目標差圧ΔPに応じて圧力制御弁22のソレノイド74に供給すべき電流値Iが演算される。続いて、S106において、その演算された電流値Iに基づき、圧力制御弁22のソレノイド74に対して電流制御が行われ、その後、S107において、ポンプモータ114にそれをONする信号が出力される。
【0112】
続いて、S108において、現在アンチロック制御の実行中であるか否かが判定される。実行中ではないと仮定すれば判定がNOとなり、S109において、流入制御弁138のソレノイドにそれをONする信号、すなわち、流入制御弁138を開かせるための信号が出力される。これにより、マスタシリンダ14から作動液が減圧されることなくポンプ16に導入されることにより、効き特性制御が適正に実現される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0113】
これに対し、現在アンチロック制御の実行中であると仮定すればS108の判定がYESとなり、S110において、リザーバ132においてポンプ16により汲み上げるべき作動液として存在する作動液の量の推定演算、すなわち,リザーバ残量の推定演算が行われる。続いて、S111において、推定されたリザーバ残量が0であるか否か、すなわち、リザーバ132においてポンプ16により汲み上げるべき作動液が存在しないか否かが判定される。今回はリザーバ残量が0ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、S112において、流入制御弁138のソレノイドにそれをOFFする信号、すなわち、流入制御弁138を閉じさせるための信号が出力される。一方、今回はリザーバ残量が0であると仮定すれば、S111の判定がYESとなり、S109において、流入制御弁138にそれを開かせるための信号が出力される。いずれの場合も、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0114】
したがって、本実施形態によれば、マスタシリンダ14からの作動液をポンプ16により汲み上げてブレーキシリンダ10を増圧する際に、マスタシリンダ14からの作動液を減圧することなくポンプ16により加圧してブレーキシリンダ10に供給可能となり、必要な分だけポンプ16により加圧すれば済むため、ポンプモータ114の負荷低減に伴う小形化および作動音の低減,ポンプモータ114の初期応答性の向上,ポンプモータ114の寿命延長の効果が得られる。
【0115】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、増圧弁40および減圧弁50が「電磁液圧制御装置」に対応し、それら増圧弁40および減圧弁50とリザーバ132とECU110のうちアンチロック制御ルーチンを実行する部分とが「自動液圧制御装置」に対応し、補給通路130,逆止弁134,流入制御弁138およびECU110のうち図11のS102,S103,S108ないしS112を実行する部分が「作動液導入装置」に対応しているのである。
【0116】
図13には、第3実施形態の機械的構成が示されている。本実施形態は、先の第1実施形態と圧力制御弁の構造のみが異なり、それ以外の要素については第1実施形態と共通する。したがって、以下、圧力制御弁のみを詳細に説明する。
【0117】
圧力制御弁150は、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係を機械的に制御する形式である。
【0118】
圧力制御弁150は、図14に示すように、ハウジング152を備えている。そのハウジング152には段付きのシリンダボア154が形成されており、そのシリンダボア154の大径部においてマスタシリンダ側、それの小径部においてブレーキシリンダ側とそれぞれ連通している。シリンダボア154にはピストン156が摺動可能に嵌合されている。ピストン156も段付きとされており、それらシリンダボア154とピストン156とは、それぞれの大径部同士と小径部同士とにおいてそれぞれ実質的に気密かつ摺動可能に嵌合されているのである。このようにシリンダボア154にピストン156が嵌合されることにより、ハウジング152内には、マスタシリンダ側の第1液室160と、ブレーキシリンダ側の第2液室162と、シリンダボア154の段付き部とピストン156の段付き部との間の大気圧室164とがそれぞれ形成されている。ピストン156の大径部168は第1液室160の液圧である第1液圧P1 を受圧面積S1 で受け、一方、ピストン156の小径部170は第2液室162の液圧である第2液圧P2 を受圧面積S2 (<S1 )で受ける。大気圧室164には、弾性部材としてのスプリング172がハウジング152とピストン156とに挟まれて圧縮された状態で設けられており、ピストン156を大気圧室164の容積が増加する向き、すなわち、それの大径部168がシリンダボア154の大径部の底部に当接する非作用位置に向かって力F3 で付勢している。ピストン156の大径部168の端部がシリンダボア154の大径部の底部に当接することによってピストン156の後退端位置(非作用位置)が規定され、ピストン156の段付き部がハウジング152の段付き部に当接することによってピストン156の前進端位置が規定されている。
【0119】
ピストン156には、第1液室160と第2液室162とを互いに連通させる連通路174が形成されており、その連通路174は開閉弁176により開閉させられる。開閉弁176は、弁子178,弁座180,弁子178の弁座180への接近限度を規定する接近限度規定部材181,および弁子178をその接近限度位置に向かって付勢する弾性部材としてのスプリング182を備えている。弁座180は、連通路174に連通するとともに、ピストン156と一体的に移動し、かつ、第2液室162に対向するように形成されている。また、接近限度規定部材181は、ハウジング152に固定されている。すなわち、開閉弁176においては、弁子178と弁座180との相対移動がピストン156によって制御されるようになっているのである。
【0120】
次に、この圧力制御弁150の作動を図14に基づいて説明する。
ブレーキ操作が行われておらず、よって、効き特性制御が実行されず、ポンプ16が作動せず、ポンプ16からの作動液が第2液室162に供給されない状態(効き特性制御の不実行状態)では、同図の(a) に示すように、ピストン156が後退端位置にあり、弁子178が弁座180に着座せず、連通路174が開かれている。
【0121】
この状態でブレーキ操作が行われ、マスタシリンダ14により第1液圧P1 が0より増加すると、連通路174が開かれているため、第2液圧P2 が第1液圧P1 と等圧に増加し、結局、ピストン156に、第1液圧P1 に基づく力F1 (=第1液圧P1 ×受圧面積S1 )から第2液圧P2 (この状態では、P1 に等しい。)に基づく力F2 (=第2液圧P2 ×受圧面積S2 )を引いた値で表される軸方向力(=F1 −F2 )が作用する。
【0122】
その後、ブレーキ操作が強められ、第1液圧P1 すなわち第2液圧P2 が増加してピストン156の軸方向力がスプリング172の弾性力F3 に打ち勝つに至れば、すなわち、
1 ×(S1 −S2 )≧F3
なる式で表される関係が成立すれば、ピストン156が後退端位置から前進して、弁座180がピストン156と一体的に移動し、弁座180に接近限度位置にある弁子178に着座し、これにより連通路174が閉じられる。しかし、弁子178が弁座180に着座する位置からピストン156がわずかに前進すると、同図の(b) に示すように、ピストン156がそれの段付き部がハウジング152の段付き部に当接する前進端位置に達し、ピストン156のさらなる前進が阻止される。すなわち、ハウジング152のうちピストン156が前進端位置にあるときにピストン156の段付き部と当接する部分が前進限度規定部材184を構成しているのである。
【0123】
ピストン156が前進端位置にある状態では、弁子178において、第1液圧P1 と第2液圧P2 とが互いに逆向きに作用することとなり、第1液圧P1 が第2液圧P2 より高められれば(スプリング180の弾性力は無視できるほどに小さい。)、弁子178がその位置から後退して弁座180から離間し、再び連通路174が開かれ、第1液室160から第2液室162へ向かう作動液の流れが許容され、第2液圧P2 が第1液圧P1 と等圧に増加される。
【0124】
すなわち、効き特性制御の不実行状態では、前進限度規定部材184により圧力制御弁150の機能が実質的に無効され、ブレーキシリンダ10にマスタシリンダ液圧と等圧の液圧が発生させられるのである。
【0125】
次に、ブレーキ操作中に効き特性制御が実行され、ポンプ16が作動させられてポンプ16からの作動液が第2液室162に供給される状態(効き特性制御の実行状態)について説明する。
【0126】
この状態では、第2液圧P2 が第1液圧P1 より高くなれば、まず、弁子178が弁座180に着座し、第2液圧P2 がさらに高められれば、弁子178がピストン156と一体的に前進端位置から後退する。この状態では、それら弁子178およびピストン156に、
1 ×S1 =P2 ×S2 +F3
なる式で表される力のつりあいが成立し、その結果、第2液圧P2 が、
2 =P1 ×(S1 /S2 )−F3 /S2
なる式で表されることになり、結局、ブレーキシリンダ10に、第1液圧P1 すなわちマスタシリンダ液圧PM より、
1 ×{(S1 /S2 )−1}−F3 /S2
だけ高い液圧が発生させられることになる。
【0127】
ポンプ16により第2液圧P2 がさらに増加させられ、ピストン156が弁子178の弁座180への接近限度位置を超えて後退した状態では、第2液室162から第1液室160へ向かう作動液の流れが許容され、第2液圧P2 が増加することが阻止され、これにより、第2液圧P2 は、上記式で表される高さに維持される。ポンプ16からの作動液が圧力制御弁150を経てマスタシリンダ14に逃がされることにより、第2液圧P2 が上記式で表される高さに維持されるのである。
【0128】
本実施形態においては、上記式から明らかなように、第2液圧P2 が第1液圧P1 をピストン156の大径部168の受圧面積S1 を小径部170の受圧面積S2 で割った値で増圧したものに等しくなる(スプリング172の弾性力F3 は無視できるほどに小さく設定されている。)。したがって、マスタシリンダ液圧PM とブレーキシリンダ液圧PB との関係は、図15の(a) にグラフで示されているように、ポンプモータ作動時においてポンプモータ非作動時におけるより勾配が増加するものとなる。また、ブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの関係は、同図の(b) にグラフで示されているように、ポンプモータ作動時においてポンプモータ非作動時におけるより勾配が増加するものとなる。ただし、その勾配は、ブースタ30が助勢限界に達する前と後とで互いに異なっている。
【0129】
なお付言すれば、本実施形態における圧力制御弁150においては、可動部材としての弁子178が固定部材としての弁座180(前進端位置にある弁座180)に着座するときの移動の向きと、ブレーキペダル32の踏み込み時にマスタシリンダ14からブレーキシリンダ10へ向かう作動液の流れによって可動部材に生じる流体力によってその可動部材が移動する向きとが互いに逆向きであり、ブレーキペダル32が踏み込み操作される際に可動部材の流体力によって圧力制御弁150が閉じてしまう可能性はないため、先の第1および第2実施形態とは異なり、圧力制御弁150をパイパスする逆止弁付き通路が設けられてはいない。
【0130】
図16には、本実施形態の電気的構成が示されている。本実施形態においては、圧力制御弁150が機械的に作動する形式であるため、先の実施形態とは異なり、ソレノイドが増圧弁40および減圧弁50のソレノイド116のみとされている。
【0131】
図17には、ECU194のコンピュータのROMに記憶されている効き特性制御ルーチンがフローチャートで表されている。本ルーチンにおいては、まず、S201において、マスタシリンダ液圧センサ80からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれ、次に、S202において、そのマスタシリンダ液圧信号が表すマスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高いか否かが判定される。今回は高くはないと仮定すれば判定がNOとなり、S203において、ポンプモータ114にそれをOFFする信号が出力される。これに対し、今回はマスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高いと仮定すれば、S202の判定がYESとなり、S204において、ポンプモータ114にそれをONする信号が出力される。本実施形態においては、効き特性制御に際し、ポンプモータ114に対する電気制御のみが行われるのである。
【0132】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、圧力制御弁150が「機械式圧力制御弁」に対応しているのである。
【0133】
なお付言すれば、本実施形態においては、効き特性制御の実行開始時期がマスタシリンダ14の液圧の高さによって決定されるようになっているが、他の条件が成立した場合、例えば、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル32が通常より素早く操作された場合などに、効き特性制御が実行されるようにすることができる。
【0134】
図18に、第4実施形態の機械的構成が示されている。本実施形態は、先の第2実施形態における電磁式の圧力制御弁22を第3実施形態における機械式の圧力制御弁150に置換したものである。このように、本実施形態は先の実施形態と共通する要素を使用しつつ単にその組合せを変えたものであるため、詳細な説明を省略する。
【0135】
図19には、第5実施形態の機械的構成が示されている。
先のすべての実施形態によれば、ポンプ16を利用することによってブレーキシリンダ液圧をマスタシリンダ液圧より高めることができるため、ブースタ30のサーボ比を増加させることにより、ブースタ30の助勢限界点が低下するという欠点を補いつつブレーキの効きを向上させることができる。しかし、ブースタ30のサーボ比を増加させるということは、ブレーキシリンダ液圧におけるブースタ30の寄与率が高くなることを意味するとともに、効き特性制御の開始時期はブースタ30の影響を受けたマスタシリンダ液圧の高さに依存しており、一方、ブースタ30が全く故障しないとは言えない。例えば、ブースタ30が故障すると、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0を超えることができなくなり、ブースタ30の故障に伴う制動力の低下と、効き特性制御の実行が開始されないことに伴う制動力の低下とが同時に生じることになるのである。そこで、本実施形態においては、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係を電磁的に制御する圧力制御弁22が使用された上で、操作力Fに基づいてブレーキシリンダ液圧のマスタシリンダ液圧に対する相対増圧量が決定されるのみならず、ブースタ30の故障の有無にも基づいてブレーキシリンダ液圧の相対増圧量が決定される。
【0136】
そして、本実施形態は、その特徴的な技術、すなわち、ブースタ30の故障の有無にも基づいてブレーキシリンダ液圧の増圧量を決定するという技術を先の第1実施形態に付加したものに相当する。したがって、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0137】
本実施形態においては、ブースタ30がバキューム式であるため、ブースタ30の故障の有無がそれのバキューム圧の高さによって判定される。そのため、本実施形態には、図19および図20にそれぞれ示すように、図2および図3にそれぞれ示されている第1実施形態にバキューム圧センサ200が追加された構成とされている。バキューム圧センサ200は、それが検出したバキューム圧PV を表すバキューム圧信号をECU210に出力する。
【0138】
ECU210のコンピュータのROMには図21にフローチャートで表されている効き特性制御ルーチンが記憶されている。以下、本ルーチンを同図に基づいて具体的に説明するが、図5に示す第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通するステップについては簡単に説明する。
【0139】
本ルーチンにおいてはまず、S301において、マスタシリンダ液圧センサ80からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれ、次に、S302において、バキューム圧センサ200からバキューム圧信号が取り込まれる。その後、S303において、そのバキューム圧信号が表すバキューム圧PV の絶対値が判定値PV0より小さいか否かが判定される。ブースタ30が正常に倍力作用を行い得るか否かが判定されるのである。今回はバキューム圧PV の絶対値が判定値PV0より小さくはない仮定すれば、判定がNOとなり、S304において、ブースタ30が正常状態にあると判定されるとともに、効き特性制御を開始する基準値PM0が通常値PMNとされる。これに対し、今回はバキューム圧PV の絶対値が判定値PV0より小さいと仮定すれば、S303の判定がYESとなり、S305において、ブースタ30が失陥状態にあると判定されるとともに、基準値PM0が通常値PMNより小さい特別値PMSとされる。特別値PMSは例えば、0とされる。このように基準値PM0がブースタ30が異常である場合において正常である場合におけるより低く設定されることにより、より容易に効き特性制御によるブレーキシリンダ液圧の増圧制御が開始されることになる。
【0140】
いずれの場合にもその後、S306において、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高いか否かが判定される。今回は高くはないと仮定すれば判定がNOとなり、S307において、圧力制御弁22のソレノイド74がOFFされるとともに、ポンプモータ114もOFFされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0141】
これに対し、今回はマスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高いと仮定すれば、S306の判定がYESとなり、S308において、マスタシリンダ液圧PM とブレーキシリンダ液圧PB との目標差圧ΔPが演算される。具体的には、ブースタ正常時には、例えば、図22の(a) に示すように、目標差圧ΔPが、マスタシリンダ液圧PM が0から通常値PMNまでの間にある領域では0となり、マスタシリンダ液圧PM が通常値PMNから増加した領域では、マスタシリンダ液圧PM に応じてリニアに増加するように演算される。これに対し、ブースタ失陥時には、例えば、同図の(b) に示すように、目標差圧ΔPが、マスタシリンダ液圧PM が特別値PMSである0から増加を開始し、マスタシリンダ液圧PM に応じてリニアに増加するように演算される。その後、S309において、その目標差圧ΔPに応じてソレノイド電流値Iが演算され、続いて、S310において、その目標ソレノイド電流値Iに基づいて圧力制御弁22のソレノイド74に対して電流制御が行われる。その後、S311において、ポンプモータ114がONされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0142】
したがって、本実施形態によれば、ブースタ30が失陥しても、それに伴うブレーキシリンダ液圧の低下量をできる限り小さく抑えることが可能となり、例えば、ブースタ失陥時でありながらブースタ正常時と実質的に同じ高さのブレーキシリンダ液圧を発生させることも可能となり、これにより、ブレーキ装置の信頼性が向上する。
【0143】
なお付言すれば、本実施形態は、特徴的な技術、すなわち、ブースタ30の故障の有無にも基づいてブレーキシリンダ液圧の増圧量を決定するという技術を第1実施形態に適用したものであるが、その特徴的な技術は、先のいくつかの実施形態にも後のいくつかの実施形態にも適用することができる。
【0144】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ブースタ30のバキューム圧PV の絶対値が判定値PV0より小さい場合が「ブースタによる倍力が正常でない場合」に対応しており、バキューム圧センサ200とECU210のうち図21のS303ないしS305を実行する部分とが「ブースタ倍力異常時制御手段」に対応しているのである。また、本実施形態においては、ブースタ30による倍力が正常でないことに起因するブレーキシリンダ液圧の低下を回避するための磁気力を圧力制御弁22に発生させるために、ECU210のうち図21のS303〜S305およびS308〜S310を実行する部分がブースタ失陥時磁気力制御装置として設けられているのである。
【0145】
図23には、第6実施形態の機械的構成が示されている。本実施形態は、図10に示す第2実施形態と機械的構成が基本的に共通しており、異なる点は、第2実施形態がポンプ16を利用して行う増圧制御が効き特性制御であるのに対し、本実施形態が行う増圧制御がBA制御であることである。ここで、「BA制御」とは、緊急ブレーキ操作時に実行され、運転者によるブレーキ操作力Fの不足が原因で、必要な制動減速度が得られないことを回避するために、図42に示すように、ブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの基本的な関係を補正することにより、同じブレーキ操作力Fに対して大きなブレーキシリンダ液圧が発生し、その結果、大きな車体減速度Gが発生するようにすることをいう。
【0146】
そのため、本実施形態においては、図23および図24にそれぞれ示すように、制動操作状態検出手段として、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル32の操作速度を検出する操作速度センサ230が設けられている。操作速度センサ230は操作速度を検出し、それを表す操作速度信号をECU240に供給する。操作速度センサ230は例えば、ブレーキペダル32の操作位置を検出する操作位置センサと、その操作位置センサからの信号に基づき、検出された操作位置の変化速度を操作速度として演算する演算回路とを含む構成とされる。
【0147】
本実施形態においては、BA制御を実行するために、ECU240のコンピュータのROMに図25にフローチャートで表されているBA制御ルーチンが記憶されている。
【0148】
本ルーチンにおいてはまず、S401において、操作速度センサ230から操作速度信号が取り込まれ、次に、S402において、その操作速度信号が表す操作速度に基づき、運転者による緊急ブレーキ操作時であるか否かが判定される。例えば、操作速度が設定速度より大きいときに緊急ブレーキ操作時であると判定される。今回は緊急ブレーキ操作時ではないと仮定すれば判定がNOとなり、S403において、圧力制御弁22のソレノイド74にそれをOFFする信号が出力されるとともに、ポンプモータ114にそれをOFFする信号が出力され、さらに、流入制御弁138のソレノイドにそれを閉じさせるためのOFF信号が出力される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0149】
これに対し、今回は緊急ブレーキ操作時であると仮定すれば、S402の判定がYESとなり、S404において、圧力制御弁22のソレノイド74に供給すべき電流値Iが緊急ブレーキ操作時に適した値として設定された設定電流値IEBとされる。設定電流値IEBは例えば、BA制御時にブレーキシリンダ10に、アンチロック制御が開始されるのに必要な高さの液圧が発生するのに必要な大きさに設定される。その後、S405において、そのソレノイド電流値Iで電流が圧力制御弁22のソレノイド74に供給される。続いて、S406において、ポンプモータ114にそれをONする信号が出力されるとともに、流入制御弁138のソレノイドにそれを開かせるためのON信号が出力される。それにより、ブレーキシリンダ10にマスタシリンダ液圧より高い液圧が発生させられ、やがて、アンチロック制御が開始されることによりできる限り短い制動距離で車両が制動させられる。
【0150】
なお付言すれば、本実施形態におけるBA制御は、先の第2ないし第5実施形態または後のいくつかの実施形態における機械的構成を採用して実行可能である。また、BA制御は、同じブレーキ装置において、先の第1ないし第5実施形態または後のいくつかの実施形態における効き特性制御と共に実行することができる。後者の場合、例えば、ブレーキ操作時のうち、緊急ブレーキ操作時ではない時には、効き特性制御を選択して実行し、緊急ブレーキ操作時には、BA制御を選択して実行することができる。
【0151】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、運転者がブレーキペダル32をそれの操作速度が設定速度を超えるように操作する状態が「運転者が車両を緊急に制動するためにブレーキ操作部材を操作する状態」に対応し、操作速度センサ230とECU240のうち図25のS401〜S403およびS406を実行する部分とが「緊急ブレーキ操作時制御手段」に対応しているのである。また、本実施形態においては、緊急ブレーキ操作時にブレーキ操作力Fの不足を補うBA制御を行うために、ECU240のうち図25のS401,S402,S404およびS405を実行する部分が緊急ブレーキ操作時磁気力制御装置として設けられているのである。
【0152】
図26には、第7実施形態の機械的構成が示されている。本実施形態は、先のすべての実施形態とダイヤゴナル2系統式のアンチロック型ブレーキ装置である点では共通しているが、流路構成および制御弁配置の点では異なっている。以下、先のすべての実施形態と共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素については詳細に説明する。
【0153】
このブレーキ装置の一方のブレーキ系統を代表的に説明すれば、マスタシリンダ14の一方の加圧室が主通路300により左前輪FLのブレーキシリンダ10と右後輪RRのブレーキシリンダ10とにそれぞれ接続されている。主通路300は、1本の基幹通路302と2本の分岐通路304,306とが互いに接続されて構成されている。一方の分岐通路304の先端には左前輪FLのブレーキシリンダ10、他方の分岐通路306の先端には右後輪RRのブレーキシリンダ10がそれぞれ接続されている。基幹通路302の途中には第1,第2,第5および第6実施形態におけると同じ圧力制御弁22が設けられている。マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係を電磁的に制御する形式の圧力制御弁22が設けられているのである。
【0154】
分岐通路306の途中には、第1電磁弁310および第2電磁弁312がそれらの順に設けられている。いずれの電磁弁310,312も常開の電磁開閉弁とされている。分岐通路306のうち第1電磁弁310と第2電磁弁312との間の部分からリザーバ通路314が延び出し、その先端に第2実施形態におけると同じリザーバ132が接続されている。リザーバ通路314の途中には、第3電磁弁316が設けられている。第3電磁弁316は常閉の電磁開閉弁とされている。
【0155】
リザーバ132はポンプ通路318によりポンプ16の吸入側が接続されており、ポンプ16の吐出側は補助通路320により分岐通路306のうち第1電磁弁310とその分岐通路306とリザーバ通路314との接続点との間の部分に接続されている。ポンプ16には吸入弁62と吐出弁64とがそれぞれ設けられている。
【0156】
先の第2および第4実施形態におけると同様に、補給通路130が設けられている。補給通路130は、基幹通路302のうちマスタシリンダ14と圧力制御弁22との間の部分と、ポンプ通路318のうち吸入弁62とリザーバ132との間の部分とを互いに接続する。さらに、それら実施形態におけると同様に、ポンプ通路318のうち補助通路130との接続点とリザーバ通路314との接続点との間の部分に、マスタシリンダ14からリザーバ132への作動液の流れを阻止するための逆止弁134が設けられている。本実施形態も、マスタシリンダ14からの作動液をリザーバ132を経ないで直接にポンプ16の吸入側に供給する形式とされているのである。
【0157】
補給通路130の途中には流入制御弁324が設けられている。この流入制御弁324も第2および第4実施形態におけると同様に、電磁式とされているが、それら実施形態とは異なり、常開式とされている。流入制御弁324を常開式とした理由は次のようである。すなわち、第2実施形態においては、流入制御弁138が常閉型であり、その流入制御弁138が開かれるのは効き特性制御の実行中だけであるため、ブレーキ操作中において、マスタシリンダ14からの作動液がブレーキシリンダ10に供給される経路として常に存在するのは、主通路18のみである。この主通路18には圧力制御弁22が設けられているが、この圧力制御弁22は、前述のように、ブレーキペダル32の踏み込み操作時に可動部材としての弁子70に生じる流体力によって自ら閉じてしまう可能性があり、この圧力制御弁22の自閉によってもなおマスタシリンダ14からブレーキシリンダ10への作動液の流れが確保されるように、圧力制御弁22をバイパスする逆止弁84付きの通路82が設けられている。これに対し、流入制御弁324を常開型とし、ブレーキ操作時には、効き特性制御の実行の有無を問わず、開かられているようにすれば、万が一、圧力制御弁22が閉じることがあっても、補給通路130,流入制御弁324,ポンプ16,補助通路320,分岐通路306および分岐通路304の一部を経た経路によってマスタシリンダ14からの作動液が両ブレーキシリンダ10にそれぞれ供給され、圧力制御弁22をパイパスする逆止弁付き通路をあえて設ける必要はない。したがって、本実施形態においては、圧力制御弁22が第2実施形態におけると同じものでありながら、圧力制御弁22をパイパスする逆止弁付き通路を省略するために、流入制御弁324が常開式とされているのである。
【0158】
先のすべての実施形態においては、同じブレーキ系統における2個のブレーキシリンダ10がそれぞれ増圧弁40および減圧弁50の組合せを備えているが、本実施形態においては、制御弁の数を減らすために、それら実施形態とは異なる制御弁配置が採用されており、第1電磁弁310,第2電磁弁312および第3電磁弁316により2個のブレーキシリンダ10の液圧がそれぞれ制御される。
【0159】
具体的には、左前輪FLのブレーキシリンダ10については、第1電磁弁310を開かせ、第2電磁弁312も第3電磁弁316も閉じさせることによって増圧が行われ、第1電磁弁310を閉じさせることによって保圧が行われ、第1電磁弁310も第3電磁弁316も開かせるとともに、第2電磁弁312を閉じさせることによって減圧が行われる。これに対し、右後輪RRのブレーキシリンダ10については、第2電磁弁312を開かせるとともに、第3電磁弁316を閉じさせることによって増圧が行われ、第2電磁弁312を閉じさせることによって保圧が行われ、第2電磁弁312も第3電磁弁316も開かせることによって減圧が行われる。また、本実施形態においては、左前輪FLのブレーキシリンダ10を減圧する必要がある際に、第2電磁弁312を閉じさせれば、そのブレーキシリンダ10が単独で減圧され、また、右後輪RRのブレーキシリンダ10を減圧する必要がある際に、第1電磁弁310を閉じさせれば、そのブレーキシリンダ10が単独で減圧される。このように、本実施形態においては、左前輪FLのブレーキシリンダ10と右後輪RRのブレーキシリンダ10とでリザーバ通路314を共用するものの、それら各ブレーキシリンダ10を互いに独立に減圧することが可能となっているのである。
【0160】
また、先のすべての実施形態においては、アンチロック制御中でも、同時に効き特性制御が実行されていない場合には、圧力制御弁22,150がマスタシリンダ14からブレーキシリンダ10へ向かう作動液の流れを許容する状態にあるため、ポンプ16はマスタシリンダ液圧以上の吐出圧でないと作動液を吐出できない。これに対し、本実施形態においては、アンチロック制御中、圧力制御弁22がマスタシリンダ14からブレーキシリンダ10へ向かう作動液の流れを阻止する状態とされるため、ポンプ16はマスタシリンダ液圧以下の吐出圧で作動液を吐出できる。そのため、本実施形態においては、アンチロック制御中、同時に効き特性制御が実行されていない場合でも、圧力制御弁22において弁子70が弁座72に着座するようにソレノイド74の励磁電流が制御される。
【0161】
図27には、本実施形態の電気的構成が示されている。
第2実施形態においては、アンチロック制御と効き特性制御との双方を行うために、各ブレーキ系統毎に6個の電磁弁が必要であるのに対し、本実施形態においては、電磁弁が5個あれば足りる。しかも、各ブレーキ系統における2個のブレーキシリンダ10は互いに独立に、増圧,保圧および減圧を行うことが可能となっている。このように、本実施形態によれば、少ない数の電磁弁で各ブレーキシリンダ液圧を互いに独立に制御することができるのである。
【0162】
以上説明した5個の電磁弁のうち、圧力制御弁22と流入制御弁324とをそれぞれ制御するルーチンが図28にフローチャートで表されている。圧力制御弁22は、効き特性制御に関係するとともに、アンチロック制御時にはブレーキシリンダ10をマスタシリンダ14から遮断する機能を果たさなければならない。そのため、そのルーチンは、効き特性制御に関係する部分のみならず、アンチロック制御時に圧力制御弁22を制御する部分も含んでいる。さらに、そのルーチンは、アンチロック制御時にポンプモータ114を制御する部分も含んでいる。以下、本ルーチンの内容を説明するが、第2実施形態におけると共通するステップについては簡単に説明する。
【0163】
まず、効き特性制御もアンチロック制御も実行されない場合について説明する。
【0164】
この場合、まず、S501において、マスタシリンダ液圧センサ80からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれ、次に、S502において、そのマスタシリンダ液圧信号が表すマスタシリンダ液圧PM が基準値PM0より高いか否かが判定される。今回は高くはなく、効き特性制御が実行されないと仮定されているから、判定がNOとなり、S503において、アンチロック制御の実行中であるか否かが判定される。今回は実行中ではないと仮定されているから、判定がNOとなり、S504において、流入制御弁324のソレノイドにそれをOFF(開状態)する信号が出力されるとともに、ポンプモータ114にそれをOFFする信号が出力される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0165】
次に、効き特性制御は実行されるが、アンチロック制御は実行されない場合について説明する。
【0166】
この場合、S502の判定がYESとなり、S505において、マスタシリンダ液圧PM とブレーキシリンダ液圧PB との目標差圧ΔPが演算され、その後、S506において、その目標差圧ΔPに応じた目標ソレノイド電流値Iが演算され、続いて、S507において、その目標ソレノイド電流値Iに基づいて圧力制御弁22のソレノイド74に対して電流制御が行われる。その後、S508において、ポンプモータ114がONされる。続いて、S509において、現在アンチロック制御の実行中であるか否かが判定される。今回は実行中ではないと仮定されているから、判定がNOとなり、S510において、流入制御弁324のソレノイドにそれをOFFする信号、すなわち、流入制御弁324を開かせるための信号が出力される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0167】
次に、効き特性制御もアンチロック制御も実行される場合について説明する。
【0168】
この場合、S502の判定がYESとなり、上記の場合と同様にしてS505〜S509が実行され、今回はアンチロック制御が実行中であると仮定されているから、そのS509の判定がYESとなる。その後、S511において、リザーバ132においてポンプ16により汲み上げるべき作動液として存在する作動液の量が推定される。リザーバ液残量推定が行われるのである。続いて、S512において、推定されたリザーバ残量が0であるか否かが判定される。今回はリザーバ残量が0ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、S513において、流入制御弁324のソレノイドにそれをONする信号、すなわち、流入制御弁324を閉じさせるための信号が出力される。一方、今回はリザーバ残量が0であると仮定すれば、S512の判定がYESとなり、S510において、流入制御弁324のソレノイドにそれをOFFする信号、すなわち、流入制御弁324を開かせるための信号が出力される。いずれの場合も、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0169】
なお、効き特性制御もアンチロック制御も実行される場合には、アンチロック制御が、圧力制御弁22において弁子70が弁座72に着座する状態で行われるため、ポンプ16は作動液をマスタシリンダ液圧以下の吐出圧で吐出することが可能となる。
【0170】
次に、効き特性制御は実行されないが、アンチロック制御は実行される場合を説明する。
【0171】
この場合、S502の判定はNO、S503の判定はYESとなり、S514において、ポンプモータ114にそれをONする信号が出力される。アンチロック制御中に各ブレーキシリンダ10をポンプ16によって増圧するためである。続いて、S515において、アンチロック制御が開始されてから設定時間が経過したか否かが判定される。経過していない場合には判定がNOとなり、S516において、圧力制御弁22のソレノイド74が最大電流IMAX で励磁されることにより、圧力制御弁22において弁子70が素早く弁座72に着座させられる。これに対し、アンチロック制御が開始されてから設定時間が経過した場合には、S515の判定がYESとなり、S517において、圧力制御弁22への電流供給が終了させられる。
【0172】
アンチロック制御の開始当初においては、圧力制御弁22の弁子70においてマスタシリンダ側における液圧とブレーキシリンダ側における液圧との差がほとんどないため、ソレノイド74を強く励磁して弁子70を弁座72に素早く押し付けることが必要であるのに対し、アンチロック制御の開始後であって、ブレーキシリンダ10の減圧が行われた後には、圧力制御弁22の弁子70においてマスタシリンダ側における液圧がブレーキシリンダ側における液圧より高くなり、ソレノイド74の磁気力なしでも弁子70が弁座72に着座し続ける。マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との差圧に基づいて弁子70が自ら弁座72に着座し続けるのである。したがって、本実施形態においては、アンチロック制御中、圧力制御弁22のソレノイド74を連続して励磁するのでなく、励磁することが必要な期間に限ってソレノイド74を励磁することにより、電力の消費量を節減するのである。ただし、アンチロック制御中、ブレーキペダル32の踏み込みが弱められ、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との差がスプリング76の弾性力F3 に打ち勝つことができなくなれば、弁子70が弁座72から離間し、ブレーキシリンダ10がマスタシリンダ14によって減圧されることになる。
【0173】
いずれの場合にもその後、S511以下のステップに移行し、リザーバ132においてポンプ16によって汲み上げるべき作動液が存在しない場合に限り、流入制御弁324が開かれるようにされる。
【0174】
なお付言すれば、本実施形態においては、効き特性制御中、マスタシリンダ14からの作動液がリザーバ132を経ることなく直ちにポンプ16の吸入側に供給される上に、アンチロック制御中、ポンプ16とマスタシリンダ14とが互いに遮断され、ポンプ16が作動液を主通路300に戻す際にマスタシリンダ液圧に打ち勝つことが不要となるため、ポンプ16およびポンプモータ114の低容量化が可能となるという効果が得られる。
【0175】
さらに付言すれば、以上説明したすべての実施形態においては、ブースタの存在を前提に効き特性制御やBA制御が行われるようになっているが、ブースタなしでも効き特性制御やBA制御を行うことが可能である。
【0176】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、第1ないし第3電磁弁310,312,316が「電磁液圧制御装置」に対応し、それら第1ないし第3電磁弁310,312,316とリザーバ132とECU260のうちアンチロック制御ルーチンを実行する部分とが「自動液圧制御装置」に対応し、ECU260のうち図28のS503ないしS517を実行する部分が「自動制御時磁気力制御装置」に対応しているのである。
【0177】
図29には、第8実施形態が示されている。本実施形態は図2〜図10に示す第1実施形態と機械的構成が共通し、異なるのは電気的構成である。
【0178】
図に示すように、本実施形態においては、第1実施形態と異なり、マスタシリンダ液圧センサ80が設けられていない。ECU340のコンピュータのROMには、図30にフローチャートで表されている効き特性制御ルーチンが示されている。本ルーチンにより実行される効き特性制御は、ブレーキ操作力関連量としての車体減速度Gに関連付けてポンプ16を制御するものである。
【0179】
具体的には、まず、S551において、車体減速度Gが演算される。本実施形態においては、前記アンチロック制御ルーチンの実行により、車輪速センサ112により検出された各輪の車輪速に基づいて推定車速が演算されるようになっており、このS551においては、その推定車速の時間微分値として車体減速度Gが演算される。図31には、車輪速の検出から車体減速度Gの演算までの過程が機能ブロック図で示されている。各輪の車輪速センサ112の出力側が推定車速演算手段346の入力側に接続され、その推定車速演算手段306の出力側が車体減速度演算手段348の入力側に接続されている。そして、ECU340のうちこのS551を実行する部分が車体減速度演算手段348に対応している。
【0180】
次に、S552において、ブースタ30が助勢限界に到達したか否かが判定される。具体的には、車体減速度Gが、ブースタ30が助勢限界に到達したときに取ることが予想される基準値G0 を超えているか否かが判定される。今回は超えていないと仮定すれば、判定がNOとなり、S553において、増圧制御の終了処理が行われる。具体的には、図5におけるS3におけると同様に、圧力制御弁30のソレノイド74にそれをOFFする信号が出力され、さらに、ポンプモータ114にもそれをOFFする信号が出力される。これに対して、車体減速度Gが基準値G0 を超えていると仮定すれば、S552の判定がYESとなり、S554において、増圧制御が実行される。具体的には、図5におけるS4〜S7におけるに準じて、車体減速度G(マスタシリンダ液圧PM に相当する値として使用)に基づく目標差圧ΔPの演算,目標差圧ΔPに基づくソレノイド電流値Iの演算,圧力制御弁30のソレノイド74の制御およびポンプモータ114のONへの移行が行われる。いずれの場合にも、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0181】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、「ブレーキ操作力関連量センサ」が専用のハードウェアとしてではなく車体減速度演算手段348というソフトウェアとして設けられ、かつ、車体減速度Gに基づいて増圧制御の要否が判定される。
【0182】
したがって、本実施形態によれば、ブレーキ操作力関連量を検出する専用のセンサを付加することなく、ブレーキ操作力に関連付けてポンプ16が制御されるため、ブレーキ装置の大形化およびコストアップを回避しつつ増圧制御を実行可能となるという効果が得られる。
【0183】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、車体減速度演算手段348が「ブレーキ操作力関連量センサ」の一例である「車体減速度センサ」に対応し、また、ECU340のうち図30のS552を実行する部分が、「液圧源制御装置」,「設定運転状態時制御手段」,「ブースタ助勢限界時制御手段」および「基準値到達時制御手段」にそれぞれ対応しているのである。
【0184】
図32には、第9実施形態が示されている。本実施形態は図2〜図10に示す第1実施形態と機械的構成が共通し、異なるのは電気的構成である。
【0185】
図32に示すように、本実施形態においては、第1実施形態と異なり、ブレーキスイッチ350が付加されている。ブレーキスイッチ350は、ブレーキペダル12の操作の有無を検出し、ブレーキ操作の有無を規定するブレーキ操作信号を出力する。本実施形態においては、ブレーキ操作時にはON信号を出力し、非ブレーキ操作時にはOFF信号を出力する。すなわち、ブレーキスイッチ350は、「ブレーキ操作力関連量センサ」の一例である「ブレーキ操作センサ」の一例なのである。ECU352のコンピュータのROMには、図38にフローチャートで表されている効き特性制御ルーチンが示されている。本ルーチンにより実行される効き特性制御は、マスタシリンダ液圧PM とブレーキ操作の有無と車体減速度Gとに関連付けてポンプ16を制御するものである。
【0186】
具体的には、まず、S601において、マスタシリンダ液圧センサ80が正常であるか否かが判定される。例えば、マスタシリンダ液圧センサ80に断線や短絡が発生しているか否かが判定され、いずれも発生していなければマスタシリンダ液圧センサ80が正常であると判定される。今回はマスタシリンダ液圧センサ80が正常であると仮定すれば、判定がYESとなり、S602において、マスタシリンダ液圧センサ80からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれ、次に、S603において、ブースタ30が助勢限界に到達したか否かが判定される。具体的には、マスタシリンダ液圧信号により規定されるマスタシリンダ液圧PM が、ブースタ30が助勢限界に到達したときに取ることが予想される基準値PM0を超えているか否かが判定される。今回は超えていないと仮定すれば、判定がNOとなり、S604において、増圧制御の終了処理が行われる。これに対して、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0を超えていると仮定すれば、S603の判定がYESとなり、S605において、増圧制御が実行される。具体的には、図5におけるS4〜S7におけるに準じて、マスタシリンダ液圧PM に基づく目標差圧ΔPの演算,ソレノイド電流値Iの演算,圧力制御弁30のソレノイド74の制御およびポンプモータ114のONへの移行が行われる。いずれの場合にも、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0187】
以上、マスタシリンダ液圧センサ80が正常である場合を説明したが、正常でない場合には、S601の判定がNOとなり、S606において、図30におけるS551におけると同様に車体減速度Gが演算される。その後、S607において、ブレーキスイッチ350がONであるか否か、すなわち、ブレーキ操作中であるか否かが判定される。今回はブレーキスイッチ350がONではないと仮定すれば、判定がNOとなり、S608において、増圧制御の終了処理が行われる。これに対して、ブレーキスイッチ350がONであると仮定すれば、S607の判定がYESとなり、S609において、車体減速度Gが基準値G0 を超えているか否かが判定される。基準値G0 は、本実施形態においては、ブースタ30が助勢限界に到達したときに取ることが予想される車体減速度Gとして設定されている。すなわち、本実施形態においては、このS609がマスタシリンダ液圧センサ80の故障時にS603の機能を代替するものとして設けられているのである。今回は車体減速度Gが基準値G0 を超えていないと仮定すれば、判定がNOとなり、S608において、増圧制御の終了処理が行われ、今回は車体減速度Gが基準値G0 を超えていると仮定すれば、判定がYESとなり、S610において、S605におけると同様にして増圧制御が実行される。いずれの場合にも、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0188】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、「ブレーキ操作力関連量センサ」としてマスタシリンダ液圧センサ80とブレーキスイッチ350とS606とが設けられ、かつ、マスタシリンダ液圧センサ80の正常時にはマスタシリンダ液圧PM に基づいて増圧制御の要否が判定され、マスタシリンダ液圧センサ80の故障時にはブレーキ操作の有無と車体減速度Gとに基づいて増圧制御の要否が判定される。
【0189】
したがって、本実施形態によれば、マスタシリンダ液圧センサ80の故障時でも、増圧制御の要否が精度よく判定され、ブレーキ装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0190】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ECU352のうち図33のS601〜S603,S606およびS609を部分が「フェイルセーフ手段」に対応し、また、車体減速度演算手段348が「車体減速度センサ」に対応しているのである。
【0191】
図34には、第10実施形態が示されている。本実施形態は図32および図33に示す先の実施形態と効き特性制御ルーチンが異なる。その効き特性制御ルーチンは、ECU360のコンピュータのROMに記憶されている。
【0192】
図35には、その効き特性制御ルーチンがフローチャートで表されている。本ルーチンにおいては、まず、S701において、マスタシリンダ液圧センサ80からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれる。次に、S702において、ブースタ30が助勢限界に到達したか否か、すなわち、マスタシリンダ液圧PM が前記基準値PM0を超えているか否かが判定される。今回は超えていないと仮定すれば、判定がNOとなり、S703において、増圧制御の終了処理が行われる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0193】
これに対して、今回はマスタシリンダ液圧PM が基準値PM0を超えていると仮定すれば、S702の判定がYESとなり、S704において、ブレーキスイッチ350が正常であるか否かが判定される。具体的には、図33におけるS601におけるに準じて判定される。今回はブレーキスイッチ350が正常であると仮定すれば、判定がYESとなり、S705において、ブレーキスイッチ350がONであるか否かが判定される。今回はOFFであると仮定すれば、判定がNOとなり、S703に移行し、今回はONであると仮定すれば、判定がYESとなり、S706において、増圧制御が実行される。
【0194】
これに対して、今回はブレーキスイッチ350が正常でないと仮定すれば、S704の判定がNOとなり、S707において、図30におけるS606におけると同様にして車体減速度Gが演算される。その後、S708において、車体減速度Gが基準値G0 を超えているか否かが判定される。本実施形態においては、基準値G0 が、ブレーキ操作中に取ることが予想される車体減速度Gとして設定されており、例えば、0.3Gに設定されている。すなわち、本実施形態においては、このS708がブレーキスイッチ300の故障時にS705を代替するものとして設けられているのである。今回は車体減速度Gが基準値G0 を超えていないと仮定すれば、判定がNOとなり、S703において終了処理が行われ、今回は超えていると仮定すれば、判定がYESとなり、S706において増圧制御が実行される。いずれの場合にも、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0195】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、「ブレーキ操作力関連量センサ」としてマスタシリンダ液圧センサ80とブレーキスイッチ350と前記車体減速度演算手段348とが設けられ、かつ、ブレーキスイッチ350の正常時にはマスタシリンダ液圧PM とブレーキ操作の有無とに基づいて増圧制御の要否が判定され、ブレーキスイッチ350の故障時にはマスタシリンダ液圧PM と車体減速度Gとに基づいて増圧制御の要否が判定される。
【0196】
したがって、本実施形態によれば、ブレーキスイッチ350の故障時でも、増圧制御の要否が精度よく判定されるため、ブレーキ装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0197】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ECU360のうち図35のS704,S705およびS708を実行する部分が「フェイルセーフ手段」に対応し、また、車体減速度演算手段348が「車体減速度センサ」に対応しているのである。
【0198】
図36には、第11実施形態が示されている。本実施形態は図2〜図10に示す第1実施形態と効き特性制御ルーチンの内容のみが異なる。その効き特性制御ルーチンはECU380のROMに記憶されている。
【0199】
図37には、その効き特性制御ルーチンがフローチャートで表されている。まず、S801において、マスタシリンダ液圧センサ80からマスタシリンダ液圧信号が取り込まれる。次に、S802において、前記推定車速演算手段346から推定車速が車速Vとして取り込まれる。その後、S803において、車両が停止状態にあるか否かが判定される。例えば、車速Vが設定値(例えば、5km/h)以下であるときに車両が停止状態にあると判定され、または、車速Vが設定値以下であり、かつ、車体減速度または車体加速度の絶対値が設定値以下であることきに車両が停止状態にあると判定される。ここに、車体減速度または車体加速度は、車速Vの時間微分値として取得することができる。今回は車両が停止状態にはないと仮定すれば、判定がNOとなり、S804において、増圧制御を開始するときのマスタシリンダ液圧PM である基準値PM0が設定値Aとされ、これに対して、今回は車両が停止状態にあると仮定すれば、判定がYESとなり、S805において、基準値PM0が設定値Bとされる。ここに、設定値Aは先の実施形態における基準値PM0と等しく設定され、また、設定値Bは、図38にグラフで表されているように、設定値Aより大きい値に設定されている。したがって、車両の停止状態において非停止状態におけるより基準値PM0が大きくなり、マスタシリンダ液圧PM が超えることが困難となり、その結果、増圧制御の開始が困難となる。
【0200】
いずれの場合にも、その後、S806において、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0を超えているか否かが判定される。今回は超えていないと仮定すれば、判定がNOとなり、S807において、増圧制御の終了処理が行われ、これに対して、今回はマスタシリンダ液圧PM が基準値PM0を超えていると仮定すれば、判定がYESとなり、S808において、増圧制御が実行される。いずれの場合にも、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0201】
したがって、本実施形態によれば、車両の停止状態では、増圧制御の開始が困難となるため、作動音が気になり易い車両停止状態においてポンプ16,ポンプモータ114等の作動音が発生せずに済み、車両の静粛性が向上するという効果が得られる。
【0202】
また、本実施形態においては、ポンプ16が作動液をマスタシリンダ14から吸入するようになっていて、ポンプ16が作動を開始するとマスタシリンダ14から作動液が排出される。そのため、運転者は操作力を一定に保ってブレーキペダル32を踏み込むにもかかわらず、ブレーキペダル32の操作位置が深くなる傾向にあるが、本実施形態においては、車両の停止状態において、ポンプ16の作動開始が困難となるため、ブレーキペダル32の操作位置が深くなることが回避され、ブレーキ操作フィーリングの悪化が防止されるという効果も得られる。
【0203】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ECU380のうち図37のS802およびS803を実行する部分が「停止状態検出手段」に対応し、また、S804とS805とを選択的に実行する部分が「作動開始制御手段」および「基準値設定手段」にそれぞれ対応しているのである。
【0204】
図39には、第12実施形態が示されている。本実施形態は「流通制御装置および変圧装置」として先のすべての実施形態におけるとは異なる態様のものを備えている。また、本実施形態は、それ以外の機械的構成および電気的構成については先のすべての実施形態におけると同様である。
【0205】
本実施形態は、主通路18の途中に設けられ、励磁電流に基づいて磁気力を発生させるソレノイドを有し、その磁気力に基づき、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダ10からマスタシリンダ14へ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とに切り換わる電磁弁400を備えている。さらに、その電磁弁400のソレノイドの励磁電流を制御する制御回路402を備えている。制御回路402は、その励磁電流を、液圧源としてのポンプ16からマスタシリンダ14およびブレーキシリンダ10への作動液の分配比率を制御することによってマスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との差圧が目標差圧となるようにデューティ制御するものである。
【0206】
すなわち、本実施形態においては、電磁弁400が「流通制御装置」の一例を構成し、また、制御回路402が「変圧装置」の一例を構成しているのである。
【0207】
図40には、第13実施形態が示されている。本実施形態は別の態様の「流通制御装置および変圧装置」を備えている。
【0208】
本実施形態は、上記電磁弁400を備え、さらに、その電磁弁400を制御する制御回路410を備えている。制御回路410は、ブレーキシリンダ10からマスタシリンダ14に向かう作動液の流れを阻止する状態に保持しつつ、ポンプモータ114への供給電流を、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との差圧が目標差圧となるようにデューティ制御するものである。
【0209】
すなわち、本実施形態においては、電磁弁400が「流通制御装置」の別の例を構成し、制御回路410が「変圧装置」の別の例を構成しているのである。
【0210】
図41には、第14実施形態が示されている。本実施形態はさらに別の態様の「流通制御装置および変圧装置」を備えている。
【0211】
本実施形態は、上記電磁弁と同様な第1電磁弁418を備えている。さらに、ポンプ16の吸入側に接続され、励磁電流に基づいて磁気力を発生させるソレノイドを有し、その磁気力に基づき、吸入側からポンプ16への作動液の流れを許容する状態と阻止する状態とに切り換わる第2電磁弁420を備えている。さらにまた、それら第1電磁弁418と第2電磁弁420とを制御する制御回路422を備えている。制御回路422は、第1電磁弁418を、ブレーキシリンダ10からマスタシリンダ14に向かう作動液の流れを阻止する状態に保持しつつ、第2電磁弁420のソレノイドの励磁電流を、ポンプ16の吸入量を制御して吐出量を制御することによってマスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との差圧が目標差圧となるようにデューティ制御するものである。
【0212】
すなわち、本実施形態においては、第1電磁弁418が「流通制御装置」のさらに別の例を構成し、第2電磁弁420と制御回路422とが互いに共同して「変圧装置」のさらに別の例を構成しているのである。
【0213】
なお付言すれば、図10,図18,図23および図26に示す先の各実施形態において、流入制御弁138を上記第2電磁弁420として使用してデューティ制御することにより、本実施形態におけると同様に、ブレーキシリンダ10の増圧制御を実現することができる。
【0214】
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施することができるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のいくつかの実施形態であるブレーキ装置に共通の構成を示す系統図である。
【図2】 本発明の一実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図3】 図2における圧力制御弁22の構成および作動を説明するための断面図である。
【図4】 上記実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】 図4におけるECU110のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】 図5におけるS4の内容を説明するためのグラフである。
【図7】 図5におけるS5の内容を説明するためのグラフである。
【図8】 図5におけるS6の内容を説明するためのグラフである。
【図9】 図5におけるS6の詳細を示すフローチャートである。
【図10】 本発明の別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図11】 その実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】 その実施形態におけるECU190のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図13】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図14】 図13における圧力制御弁150の構造および作動を説明するための断面図である。
【図15】 上記実施形態におけるマスタシリンダ液圧PM とブレーキシリンダ液圧PB との関係を示すグラフとブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの関係を示すグラフとである。
【図16】 上記実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図17】 図16におけるECU194のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図18】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図19】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図20】 その実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図21】 図20におけるECU210のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図22】 上記実施形態におけるマスタシリンダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係をブースタ正常時とブースタ失陥時とでそれぞれ示すグラフである。
【図23】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図24】 その実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図25】 図24におけるECU240のコンピュータにより実行されるBA特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図26】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図27】 その実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図28】 図27におけるECU260のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図29】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図30】 図29におけるECU340のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図31】 上記実施形態における車体減速度の検出原理を説明するための機能ブロック図である。
【図32】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図33】 図32におけるECU352のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図34】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図35】 図34におけるECU360のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図36】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図37】 図36におけるECU380のコンピュータにより実行される効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図38】 上記実施形態におけるマスタシリンダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係を示すグラフである。
【図39】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図40】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図41】 本発明のさらに別の実施形態であるアンチロック型ブレーキ装置を示す系統図である。
【図42】 本発明のいくかつの実施形態により実行される効き特性制御とBA特性制御とのそれぞれの内容とそれらの関係を説明するためのグラフである。
【図43】 ブレーキ装置の一般的な構成を示すブロック図である。
【図44】 ブースタの一般的な特性を説明するためのグラフである。
【図45】 ブレーキ摩擦材の摩擦係数によってブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの関係が変化する様子を説明するためのグラフである。
【図46】 ブースタのサーボ比によってブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの関係が変化する様子を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
10 ブレーキシリンダ
12 ブレーキ操作部材
14 マスタシリンダ
16 ポンプ
18 主通路
20 補助通路
22,150 圧力制御弁
80 マスタシリンダ液圧センサ
110,190,194,210,240,260,340,352,360,380 ECU
200 バキューム圧センサ
230 操作速度センサ
348 車体減速度演算手段
350 ブレーキスイッチ

Claims (17)

  1. 運転者により操作されて車両を制動するブレーキ装置であって、
    ブレーキ操作部材の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、
    車輪の回転を抑制するブレーキと、
    前記マスタシリンダと主通路により接続されて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
    前記マスタシリンダの液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させる増圧装置であって、
    (a) 前記主通路の途中に設けられ、マスタシリンダとブレーキシリンダとの間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とを含む複数の状態に切り換わる流通制御装置と、
    (b) 主通路のうちその流通制御装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に補助通路により接続された液圧源と、
    (c) 運転者が車両を緊急に制動するために前記ブレーキ操作部材を操作する場合に、前記液圧源に作動液を供給させる緊急ブレーキ操作時制御手段を含む液圧源制御装置と、
    (d) 前記ブレーキシリンダの液圧を、前記マスタシリンダの液圧より高い状態において前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて変化させる変圧装置と
    を有する増圧装置と
    を含むことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 前記流通制御装置および前記変圧装置が、前記主通路に設けられた圧力制御装置であって、前記液圧源から作動液が供給されている状態では、圧力制御装置よりブレーキシリンダ側の第2液圧がマスタシリンダ側の第1液圧より高いがその差が目標差圧以下であれば前記第2状態に切り換わり、第2液圧が第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧より大きくなろうとすれば前記第1状態に切り換わることにより、第2液圧を第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧となるように制御する圧力制御装置により構成されている請求項に記載のブレーキ装置。
  3. 前記圧力制御装置が、(a) 前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子および弁座と、それら弁子および弁座の少なくとも一方に、それら弁子と弁座との相対移動を制御するために作用する磁気力を発生させる磁気力発生手段とを有し、その磁気力に基づいて前記目標差圧が変化する電磁式圧力制御弁と、(b) 前記磁気力を制御する磁気力制御装置とを含む請求項に記載のブレーキ装置。
  4. 前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含み、当該ブレーキ装置が、さらに、前記ブレーキシリンダの液圧を自動制御する自動液圧制御装置であって、(a) 前記ポンプの吸入側とポンプ通路により接続され、作動液を蓄えるリザーバと、(b) 前記主通路のうち前記補助通路との接続点と前記ブレーキシリンダとの間の部分に接続され、ブレーキシリンダを前記ポンプの吐出側に連通させる状態と前記リザーバに連通させる状態とを含む複数の状態を選択的に実現する電磁液圧制御装置とを有するものを含み、かつ、前記磁気力制御装置が、その自動液圧制御装置による自動制御時に、前記圧力制御装置において弁子が弁座に着座し続けることにより前記ポンプから前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れが阻止されるように前記磁気力を制御する自動制御時磁気力制御装置を含む請求項に記載のブレーキ装置。
  5. 前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  6. 前記液圧源制御装置が、運転者による車両の運転状態が設定運転状態である場合に、前記液圧源に作動液を供給させる設定運転状態時制御手段を含む請求項1ないし5のいずれかに記載のブレーキ装置。
  7. 前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含み、当該ブレーキ装置が、さらに、前記主通路のうち前記マスタシリンダと前記流通制御装置との間の部分である上流側部分と前記ポンプの吸入側とにそれぞれ接続され、その上流側部分の作動液をそれの液圧を低下させることなく前記ポンプの吸入側に導入する作動液導入装置を含む請求項1ないし6のいずれかに記載のブレーキ装置。
  8. 前記増圧装置が、さらに、少なくとも1つの前記ブレーキ操作部材の操作力に関連する量を検出するブレーキ操作力関連量センサを含み、前記液圧源制御装置が、検出された少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々がそれらに対応する基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる基準値到達時制御手段を含む請求項1ないし7のいずれかに記載のブレーキ装置。
  9. さらに、前記ブレーキ操作部材と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操作力を助勢してマスタシリンダに伝達するブースタを含み、前記基準値が、そのブースタが助勢限界に到達したときに取ることを予想される前記少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々とされる請求項に記載のブレーキ装置。
  10. 前記ブレーキ操作力関連量センサが、車体減速度を検出する車体減速度センサを含む請求項8または9に記載のブレーキ装置。
  11. 前記ブレーキ操作力関連量センサが複数個設けられている請求項8ないし10のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  12. 前記液圧源制御装置が、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち予め定められた少なくとも一つの第1センサが正常である場合には、その第1センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させ、正常ではない場合には、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち第1センサとは異なる少なくとも一つの第2センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させるフェイルセーフ手段を含む請求項11に記載のブレーキ装置。
  13. 前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサと、車体減速度を検出する車体減速度センサとを含み、前記第1センサが、前記マスタシリンダ液圧センサを含み、前記第2センサが、前記車体減速度センサを含む請求項12に記載のブレーキ装置。
  14. 前記液圧源制御装置が、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサにより検出された複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させるフェイルセーフ手段を含む請求項11ないし13のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  15. 前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサと、前記ブレーキ操作部材の操作を検出するブレーキ操作センサとを含み、前記フェイルセーフ手段が、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させる第1手段を含む請求項14に記載のブレーキ装置。
  16. 前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、さらに、車体減速度を検出する車体減速度センサを含み、前記第1手段が、前記ブレーキ操作センサが正常である場合には、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させ、ブレーキ操作センサが正常ではない場合には、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記車体減速度センサにより検出された車体減速度が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる第2手段を含む請求項15に記載のブレーキ装置。
  17. 前記増圧装置が、(a) 車両の停止状態を検出する停止状態検出手段と、(b) 車両の停止状態の検出時において非検出時におけるより、当該増圧装置の作動開始を困難にする作動開始制御手段とを含む請求項1に記載のブレーキ装置。
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