JP3992009B2 - ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
ブレーキ操作部材の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、
車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記マスタシリンダと主通路により接続されて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
前記ブレーキ操作部材と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操作力を倍力してマスタシリンダに伝達するブースタと、
前記マスタシリンダの液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させる増圧装置であって、
(a) 前記主通路の途中に設けられ、マスタシリンダとブレーキシリンダとの間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とを含む複数の状態に切り換わる流通制御装置と、
(b) 主通路のうちその流通制御装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に補助通路により接続された液圧源と、
(c) 前記ブースタが倍力作用を為さない場合に、前記液圧源に作動液を供給させる液圧制御装置と、
(d) 前記ブレーキシリンダの液圧を、前記マスタシリンダの液圧より高い状態において前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて変化させる変圧装置と
を有する増圧装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置(請求項1)。
このブレーキ装置によれば、マスタシリンダとは無関係に作動する液圧源、すなわち、マスタシリンダおよびブースタとは別の液圧源により、ブレーキ操作力とブレーキシリンダ液圧との関係が制御可能となり、ブレーキ操作力の割りに高い液圧をブレーキシリンダに容易に発生可能となるという効果が得られる。
そして、この効果により、マスタシリンダおよびブースタはもちろん、ブレーキ摩擦材に要求される性能が低減可能となり、よって、ブレーキ構成部品のうちその液圧源以外の構成部品にかかる負担を増加させることなく、例えば、ブレーキの効きの特性を制御する効き特性制御や、緊急ブレーキ操作時にブレーキ操作力の不足を補うブレーキアシスト制御を実行することが可能となる。
さらに、このブレーキ装置によれば、ブレーキシリンダの液圧の高さがブレーキ操作力に応じて決定されるため、ブレーキ操作力とは無関係に決定される場合とは異なり、ブレーキ操作力の大きさがブレーキシリンダの液圧の高さに反映され、よって、ブレーキシリンダ液圧の高さをブレーキ操作力との関係において容易に適正化し得るという効果が得られる。
このブレーキ装置において「液圧源」は例えば、ブレーキ用の液圧源としたり、ブレーキ以外の用途を有する液圧源、例えば、パワーステアリング用の液圧源とすることができる。また、「液圧源」は例えば、常時高圧の作動液を蓄える形式の液圧源、例えば、アキュムレータを主体とする形式としたり、必要に応じて高圧の作動液を発生させる形式の液圧源、例えば、ポンプを主体とする形式とすることができる。ただし、「液圧源」をアキュムレータを主体とする形式とする場合には、アキュムレータの他に、アキュムレータが作動液を放出することを許可する状態と禁止する状態とに切り換える制御弁が設けられるのが普通であり、この場合には、その制御弁の作用によって液圧源が作動液を供給する状態と供給しない状態とに切り換えられることになる。
また、このブレーキ装置において「液圧源制御装置」は例えば、液圧源からの作動液供給を、ブレーキ操作力に関連するブレーキ操作力関連量が基準値を超えた場合に行なう形式としたり、運転者により緊急ブレーキ操作が行われた場合に行う形式としたり、当該ブレーキ装置に設けられているブースタの倍力が正常でない場合に行う形式としたり、そのブースタが助勢限界に到達した場合に行う形式としたり、当該ブレーキ装置のブレーキにヒートフェードやウォータフェードが発生している場合に行う形式としたり、当該車両が走行している路面の摩擦係数が標準値より高い場合に行う形式としたり、当該車両の積載荷重が標準値より大きい場合に行う形式としたり、運転者がブレーキシリンダ液圧を高めにしたいという意思表示をした場合に行う形式としたり、それら形式のうちの複数を組み合わせた形式とすることができる。
ここに、「ブレーキ操作力関連量」には例えば、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストローク、マスタシリンダ液圧,ブレーキシリンダ液圧,車輪制動力,車体減速度等、ブレーキ操作に関連する物理量や、ブレーキ操作の有無等、ブレーキ操作に関連する状態が含まれる。
また、このブレーキ装置において「変圧装置」は例えば、「流通制御装置」を電気的にまたは機械的に制御することによってブレーキシリンダの液圧を制御する形式としたり、「流通制御装置」を前記第2状態に維持しつつ、「液圧源」からの作動液の吐出量を制御することによってブレーキシリンダの液圧を制御する形式とすることができる。後者の形式においては、「液圧源」がポンプを主体とする形式である場合に、そのポンプを駆動するモータの励磁電流をデューティ制御する態様としたり、ポンプが吸入側に、そのポンプによる作動液の吸入を許容する状態と阻止する状態とに切り換わる電磁吸入弁を有する場合に、その電磁吸入弁を駆動するソレノイドの励磁電流をデューティ制御する態様とすることができる。また、「変圧装置」は、当該ブレーキ装置が、アンチロック制御等、自動液圧制御機能を果たすために後述の電磁液圧制御装置を含む場合に、「流通制御装置」を前記第2状態に維持しつつ、その電磁液圧制御装置を制御することによってブレーキシリンダの液圧を制御する形式とすることもできる。
このブレーキ装置において「ブースタ」は、負圧と大気圧との差圧に基づいてブレーキ操作力を助勢するバキュームブースタとしたり、液圧に基づいてブレーキ操作力を助勢する液圧ブースタとすることができる。
ブレーキ操作部材の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、
車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記マスタシリンダと主通路により接続されて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
前記ブレーキ操作部材と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操作力を助勢してマスタシリンダに伝達するブースタと、
前記マスタシリンダの液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させる増圧装置であって、
(a) 前記主通路の途中に設けられ、マスタシリンダとブレーキシリンダとの間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とを含む複数の状態に切り換わる流通制御装置と、
(b) 主通路のうちその流通制御装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に補助通路により接続された液圧源と、
(c) 前記ブースタの助勢限界時に、前記液圧源に作動液を供給させるブースタ助勢限界時制御手段を含む液圧源制御装置と、
(d) 前記ブレーキシリンダの液圧を、前記マスタシリンダの液圧より高い状態において前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて変化させる変圧装置と
を有する増圧装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置(請求項2)。
このブレーキ装置によれば、当該ブレーキ装置がブースタを有する場合にブースタの助勢限界後には、ブースタに代わって液圧源によってブレーキ操作力が助勢されるため、ブースタの助勢限界の前後を問わず、ブレーキの効きが安定するという効果が得られる。
(3)前記変圧装置が、前記ブースタの助勢限界後に、前記ブレーキシリンダの液圧を、そのブレーキシリンダの液圧の前記ブレーキ操作部材の操作力に対する変化勾配がブースタの助勢限界前におけると実質的に同じとなるように変化させる手段を含む(2)項に記載のブレーキ装置(請求項3)。
このブレーキ装置によれば、ブレーキシリンダの液圧のブレーキ操作部材の操作力に対する変化勾配、すなわち、ブレーキの効きがブースタの助勢限界の前と後とで実質的に同じとなり、ブースタの助勢限界の存在にもかかわらずブレーキの効きが安定するという効果が得られる。
ブレーキ操作部材の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、
車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記マスタシリンダと主通路により接続されて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
前記ブレーキ操作部材と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操作力を倍力してマスタシリンダに伝達するブースタと、
前記マスタシリンダの液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させる増圧装置であって、
(a) 前記主通路の途中に設けられ、マスタシリンダとブレーキシリンダとの間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とを含む複数の状態に切り換わる流通制御装置と、
(b) 主通路のうちその流通制御装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に補助通路により接続された液圧源と、
(c) 前記ブースタによる倍力が正常でない場合に、前記液圧源に作動液を供給させるブースタ倍力異常時制御手段を含む液圧源制御装置と、
(d) 前記ブレーキシリンダの液圧を、前記マスタシリンダの液圧より高い状態において前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて変化させる変圧装置と
を有する増圧装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置(請求項4)。
したがって、ブースタの異常に伴う車両制動力の低下を抑制することが可能となるという効果が得られる。すなわち、ブースタの異常の有無とは無関係に、ブレーキ操作力とブレーキシリンダ液圧との関係を適正に維持することが可能となるという効果が得られるのである。
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記ブースタ倍力異常時制御手段に、ブースタの倍力状態を表す倍力状態量を検出する倍力状態量検出手段が設けられる。ここに、倍力状態量検出手段は、ブースタが例えばバキュームブースタである場合には、それのバキューム圧を倍力状態量として検出するバキューム圧センサを含むものとすることができる。
このブレーキ装置においては、圧力制御装置が液圧源からの余剰の作動液をマスタシリンダに逃がすとともにその逃がすときの液圧源の液圧の高さをマスタシリンダ液圧に基づいて変化させる。マスタシリンダは、それに外部から作動液が供給されても、それの加圧室の容積が増加してブレーキ操作部材が非作用位置に向かって戻されるのみで、運転者によりブレーキ操作力がほぼ一定に保持されるから、マスタシリンダに液圧源から余剰の作動液が供給されても、ブレーキ操作力はほとんど増加しない。このようなマスタシリンダの性質を積極的に利用することにより、マスタシリンダ液圧より目標差圧だけ高い液圧がブレーキシリンダに発生させられるのである。
このブレーキ装置によれば、マスタシリンダ液圧を基準としてブレーキシリンダ液圧が相対的に制御されるため、マスタシリンダ液圧の高さがブレーキシリンダ液圧の高さに容易に反映され、よって、ブレーキシリンダ液圧の制御性が向上するという効果が得られる。
このブレーキ装置において「目標差圧」は、一定値としたり可変値とすることができる。可変値とする場合には、その大きさをブレーキ操作力関連量に基づいて変化させたり、そのブレーキ操作力関連量とブースタ倍力状態関連量等、他の変数との共同によって変化させることができる。
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記圧力制御装置が、前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子および弁座を有し、前記液圧源から作動液が供給されていない状態では、前記弁子および弁座により、前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の双方向の流れを許容し、液圧源から作動液が供給されている状態では、同じ弁子および弁座により、ブレーキシリンダ側の第2液圧がマスタシリンダ側の第1液圧より高いがその差が目標差圧以下であれば、前記液圧源から前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止し、第2液圧が第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧より大きくなろうとすれば、液圧源からマスタシリンダへ向かう作動液の流れを許容することにより、第2液圧を第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧となるように制御するものとされる。
(6)前記圧力制御装置が、(a) 前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子および弁座と、それら弁子および弁座の少なくとも一方に、それら弁子と弁座との相対移動を制御するために作用する磁気力を発生させる磁気力発生手段とを有し、その磁気力に基づいて前記目標差圧が変化する電磁式圧力制御弁と、(b) 前記磁気力を制御する磁気力制御装置とを含む(5) 項に記載のブレーキ装置(請求項6)。
このブレーキ装置によれば、磁気力発生手段の磁気力を制御することにより、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係が制御されるため、両液圧間の差を自由に制御可能となり、マスタシリンダ液圧に対して常に同じ量だけ増加するようにブレーキシリンダ液圧を制御したり、マスタシリンダ液圧に対してリニアまたは非リニアである予め定められた特性で増加するようにブレーキシリンダ液圧を制御することが可能となるという効果が得られる。
また、このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作中においてある時期と別の時期とで、同じ高さのブレーキシリンダ液圧に対応するマスタシリンダ液圧からの相対増加量を互いに異ならせることも可能となり、例えば、ブレーキ操作状態のうち緊急ブレーキ操作時においてそうでない時におけるより、ブレーキシリンダ液圧が高くなるように制御することにより、緊急ブレーキ操作時には前記ブレーキアシスト制御を実行し、そうでないときには前記効き特性制御を実行可能となるという効果が得られる。
さらに、このブレーキ装置によれば、磁気力発生手段の磁気力を制御することにより、ブレーキシリンダ液圧をマスタシリンダ液圧より高める制御の実行時期も自由に制御可能となり、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係をより自由に制御可能となるという効果が得られる。
このブレーキ装置において、マスタシリンダとブレーキシリンダとの差圧と磁気力との関係は、磁気力が増加するにつれて差圧が増加する関係とすることも、逆に、磁気力が減少するにつれて差圧が増加する関係とすることもできる。後者の関係は例えば、磁気力とは逆向きに作用するスプリングにある程度大きな予荷重を与えておき、それを磁気力によって減殺することによって実現可能である。
また、このブレーキ装置における「磁気力制御装置」は例えば、磁気力を電磁的に制御したり、機械的に制御するものとすることが可能であり、例えば、磁気力を電磁的に制御する場合には、磁気力発生手段に与える電流値や電圧値を制御することになる。
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記電磁式圧力制御弁が、前記磁気力発生手段としてのソレノイドを有し、そのソレノイドの磁気力に基づき、前記弁子が前記弁座に着座することを阻止する非作用状態とその着座を許容する作用状態とに切り換わり、非作用状態では、前記主通路において前記マスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間での双方向の作動液の流れを許容し、作用状態では、前記第2液圧が第1液圧に対して前記ソレノイドの磁気力に基づく前記目標差圧より高くなろうとすれば、ブレーキシリンダ側からマスタシリンダ側へ向かう作動液の流れを許容し、第2液圧が第1液圧より高いがその差が前記ソレノイドの磁気力に基づく前記目標差圧以下であれば、ブレーキシリンダ側からマスタシリンダ側へ向かう作動液の流れを阻止するものとされる。
別の実施態様においては、前記磁気力制御装置が、(a) 前記ブレーキ操作力に関連する量を検出するブレーキ操作力関連量センサと、(b) 検出されたブレーキ操作力関連値に基づいて前記磁気力発生部材の磁気力を制御することにより、前記ブレーキ操作部材の操作力に基づいて前記目標差圧を変化させる磁気力制御手段とを含むものとされる。ここに、「磁気力制御手段」は例えば、ブースタの助勢限界の前後を問わず、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧に対してほぼリニアに増加する態様で前記効き特性制御を実行するものとされる。
さらに別の実施態様においては、前記磁気力制御装置が、(a) 前記ブレーキ操作力関連量センサと、(b) 前記ブースタの倍力状態を表す倍力状態量を検出する倍力状態量センサと、(c) 検出されたブレーキ操作力関連量と倍力状態量とに基づいて前記磁気力発生手段の磁気力を制御することにより、ブースタの倍力状態に基づいて前記目標差圧を変化させる磁気力制御手段とを含むものとされる。ここに、「磁気力制御手段」は例えば、ブースタの異常の有無を問わず、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧に対してほぼリニアに増加する態様で前記効き特性制御を実行するものとされる。具体的には、「磁気力制御手段」は例えば、前記倍力状態量センサからの出力信号に基づき、倍力状態を正常状態と異常状態とのいずれかに判定し、その結果に基づき、目標磁気力を2種類に決定するものとすることができる。また、「磁気力制御手段」は、倍力状態量センサからの出力信号に基づき、倍力状態を倍力状態量の正常状態量からのずれ量で判定し、その結果に基づき、目標磁気力を3以上の種類に決定するものとすることもできる。特に、後者の場合には、ブースタが失陥したとは言えない程度の異常がブースタに発生した場合にも、その異常に伴うブースタの倍力低下量が補われるように磁気力を制御可能となり、ブースタの倍力状態の変化にきめ細かく対応可能となる。
さらに別の実施態様においては、前記磁気力制御装置が、(a) 前記ブレーキ摩擦材と前記回転体との間の摩擦係数が低下したことを検出する摩擦係数低下検出手段と、(b) その摩擦係数の低下が検出された場合において検出されない場合におけるより前記ブレーキシリンダ液圧を高くするのに必要な大きさに前記磁気力発生手段の磁気力を制御する磁気力制御手段とを含むものとされる。ここに、「磁気力制御手段」は例えば、ヒートフェード,ウォータフェード等により、ブレーキ摩擦材と回転体との間の摩擦係数が低下した否かを問わず、ブレーキシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧に対してほぼ同じ勾配で増加する態様で前記効き特性制御を実行するものとされる。
さらに別の実施態様においては、前記磁気力制御装置が、(a) 緊急ブレーキ操作を検出する緊急ブレーキ操作検出手段と、(b) 緊急ブレーキ操作が検出された場合において検出されない場合におけるより前記ブレーキシリンダ液圧を高くするのに必要な大きさに前記磁気力発生手段の磁気力を制御する磁気力制御手段とを含むものとされる。ここに、「磁気力制御手段」は例えば、前記ブレーキアシスト制御を実行するものとされる。
(7)前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含み、かつ、当該ブレーキ装置が、さらに、前記ブレーキシリンダの液圧を自動制御する自動液圧制御装置であって、(a) 前記ポンプの吸入側とポンプ通路により接続され、作動液を蓄えるリザーバと、(b) 前記主通路のうち前記補助通路との接続点と前記ブレーキシリンダとの間の部分に接続され、ブレーキシリンダを前記ポンプの吐出側に連通させる状態と前記リザーバに連通させる状態とを含む複数の状態を選択的に実現する電磁液圧制御装置とを有するものを含み、かつ、前記磁気力制御装置が、その自動液圧制御装置による自動制御時に、前記圧力制御装置において弁子が弁座に着座し続けることにより前記ポンプから前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れが阻止されるように前記磁気力発生手段の磁気力を制御する自動制御時磁気力制御装置を含む(6) 項に記載のブレーキ装置(請求項7)。
このブレーキ装置によれば、本来マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係を制御する際に使用される圧力制御弁が自動制御時にも使用されることとなり、圧力制御弁の有効利用が図れて、自動制御をマスタシリンダの影響を受けることなく行うためにブレーキ装置の部品点数が増加せずに済む。
(8)前記圧力制御装置が、(i) 前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子および弁座と、(ii) 前記第1液圧を大径部、前記第2液圧を小径部でそれぞれ互いに逆向きに受ける段付きのピストンであって、前記弁子および弁座の少なくとも一方に、それら弁子と弁座との相対移動を制御するために作用する機械的力を発生させるものとを有し、そのピストンの大径部および小径部のそれぞれの受圧面積と前記第1液圧とに基づいて目標差圧が変化する機械式圧力制御弁を含む圧力制御弁装置を有する(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項8)。
このブレーキ装置によれば、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係が機械的に制御されるため、それら両者の関係を車両における電力の消費量を増加させることなくかつ比較的高い信頼性の下に制御可能となる。
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記機械式圧力制御弁が、(a) ハウジングと、(b) そのハウジングに形成された段付きのシリンダボアであって、大径部において前記マスタシリンダ側、それの小径部において前記ブレーキシリンダ側とそれぞれ連通するものと、(c) 前記シリンダボアに摺動可能に嵌合され、前記マスタシリンダ側において大径部、前記ブレーキシリンダ側において小径部がそれぞれ形成された前記ピストンと、(d) そのピストンが前記ハウジングに嵌合されることにより形成された、マスタシリンダ側の第1液室,ブレーキシリンダ側の第2液室,およびシリンダボアの段付き部とピストンの段付き部との間の大気圧室と、(e) 前記ピストンに形成され、前記第1液室と第2液室とを互いに連通させる連通路と、(f) その連通路を開閉する連通路開閉弁であって、前記ピストンと一体的に移動可能に形成され、連通路に連通するとともに第2液室に対向する弁座,その弁座に着座すべき弁子,それら弁子と弁座との接近限度を規定する接近限度規定部材,およびそれら弁子と弁座とを接近限度位置に向かって付勢するスプリングを有するものと、(g) 前記ハウジングに設けられ、前記ピストンに当接することによってそのピストンの前進限度を規定する前進限度規定部材であって、その前進限度が、前記連通路開閉弁において弁子が弁座に着座した位置から前記ピストンが一定距離前進した位置に規定されているものとを含む機械式圧力制御弁とされる。
このブレーキ装置によれば、液圧源としてポンプを採用することによってブレーキシリンダ液圧の増圧が可能となるという効果が得られる。
特に、このブレーキ装置を前記(5)項に記載のブレーキ装置と共に実施する場合には、次のような効果が得られる。すなわち、液圧源をポンプとし、それから吐出される作動液を直接に前記圧力制御装置に供給する場合には、ポンプは、それの吐出圧の高さが吐出先の液圧の高さに依存し、吐出先の液圧の高さの変化に追従して変化するという性質を有することから、液圧源をアキュムレータとする場合に比較して、液圧源の液圧をマスタシリンダ液圧の変化に追従させることが容易となる。したがって、本項に記載のブレーキ装置を(5)項に記載のブレーキ装置と共に実施する場合には、ブレーキシリンダ液圧をマスタシリンダ液圧の変化に追従させるために、圧力制御装置の構造が複雑にならずに済むという特有の効果が得られるのである。
この本項に記載のブレーキ装置を(5)項に記載のブレーキ装置と共に実施する際の一態様においては、図1に概略的に示すように、ブレーキシリンダ10の液圧源として、ブレーキ操作部材12の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダ14と、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプ16とがそれぞれ設けられ、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10とを互いに接続する主通路18の途中に、補助通路20によりポンプ16の吐出側が接続され、その主通路18のうち補助通路20との接続点とマスタシリンダ14との部分に圧力制御弁22(圧力制御装置の一例)が設けられ、かつ、その圧力制御弁22が、ポンプ16の非作動時には、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との間の作動液の双方向の流れを許容し、一方、ポンプ16の作動時には、ポンプ16からの余剰の作動液をマスタシリンダ14に逃がすとともにその逃がすときのポンプ16の吐出圧の高さをマスタシリンダ液圧に基づいて変化させるものとされ、さらに、ポンプ16に、運転者によるブレーキ操作中であって、マスタシリンダ14の液圧より高い液圧をブレーキシリンダ10に発生させることが必要である場合に、ポンプ16を作動させるポンプ作動装置24(液圧源制御装置の一例)が設けられる。
(10)前記液圧源制御装置が、運転者による車両の運転状態が設定運転状態である場合に、前記液圧源に作動液を供給させる設定運転状態時制御手段を含む(1)ないし(9)項のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項10)。
このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作力とブレーキシリンダ液圧との関係を運転状態との関係において適正化可能となるという効果が得られる。
(11)前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含み、かつ、当該ブレーキ装置が、さらに、前記主通路のうち前記マスタシリンダと前記圧力制御装置との間の部分である上流側部分と前記ポンプの吸入側とにそれぞれ接続され、その上流側部分の作動液をそれの液圧を低下させることなく前記ポンプの吸入側に導入する作動液導入装置を含む(1)ないし(10)項のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項11)。
主通路の上流側部分内の作動液を利用してポンプによる作動液の加圧を行うためには、その高圧の作動液を一旦、作動液をほぼ大気圧下に収容するリザーバ内に供給し、その後、ポンプによりリザーバからその作動液を汲み上げてブレーキシリンダ側に吐出することが考えられる。しかし、この場合には、マスタシリンダにより加圧された作動液がリザーバによって低圧された後にポンプにより加圧されることとなる。これに対し、本項に記載のブレーキ装置によれば、マスタシリンダにより加圧された作動液がリザーバによって低圧にされることなくポンプにより加圧されるため、低圧にされた作動液を加圧する場合に比較してポンプの作動応答性が向上するとともに、ポンプはマスタシリンダ液圧からの差圧分だけ作動液を加圧すればよくなるため、ポンプの低能力化および消費エネルギの節減が容易となる。
このブレーキ装置の一実施態様においては、当該ブレーキ装置が、さらに、前記ブレーキシリンダの液圧を自動制御する自動液圧制御装置であって、(a) 前記ポンプの吸入側とポンプ通路により接続され、作動液を蓄えるリザーバと、(b) 前記主通路のうち前記補助通路との接続点と前記ブレーキシリンダとの間の部分に接続され、ブレーキシリンダを前記ポンプの吐出側に接続する状態と前記リザーバに接続する状態とを含む複数の状態を選択的に実現する電磁液圧制御装置とを有するものを含み、かつ、前記作動液導入装置が、(c) 前記主通路のうち前記マスタシリンダと前記圧力制御装置との間の部分と前記ポンプ通路とを互いに接続する第2の補助通路と、(d) 前記ポンプ通路のうち前記第2の補助通路との接続点と前記リザーバとの間の部分に設けられ、前記リザーバから前記ポンプへ向かう作動液の流れは許容するがその逆向きの流れは阻止する逆止弁とを含んでいる。本実施態様によれば、ポンプの吸入側にリザーバが接続されているにもかかわらず、マスタシリンダからリザーバへ向かう作動液の流れが逆止弁により阻止される。
別の実施態様においては、前記作動液導入装置が、(a) 前記第2の補助通路と、(b) 前記逆止弁と、(c) 前記第2の補助通路の途中に設けられた流入制御弁であって、前記ポンプの作動中であって、前記自動液圧制御中でない場合に、前記マスタシリンダから前記リザーバへ向かう作動液の流れを許容する状態となり、ポンプの作動中であって、自動液圧制御中であり、かつ、少なくとも、ポンプにより汲み上げるべき作動液がリザーバに存在する場合に、マスタシリンダからリザーバへ向かう作動液の流れを阻止する状態となるものとを含んでいる。本実施態様によれば、自動液圧制御中であって、ポンプにより汲み上げるべき作動液がリザーバに存在する場合に、ポンプが作動液をマスタシリンダから優先的に汲み上げることが阻止され、リザーバが作動液であふれる状態が継続しなくなり、リザーバによるブレーキシリンダの減圧作用が確保される。
さらに別の実施態様においては、前記作動液導入装置が、前記第2の補助通路の途中に設けられた流入制御弁であって、前記ポンプの非作動中に、前記マスタシリンダから前記リザーバへ向かう作動液の流れを許容する状態にあり、ポンプの作動中の少なくとも一時期に、その作動液の流れを阻止するものを含んでいる。本実施態様によれば、ポンプの非作動中、すなわち、ブレーキシリンダがポンプによってではなくマスタシリンダによって増圧されるブレーキ操作時に、マスタシリンダからブレーキシリンダへ向かう作動液の流れが前記主通路のみならず第2の補助通路および流入制御弁によっても実現され、万が一、主通路によるその流れが阻止されても、ブレーキシリンダに正常に液圧が発生させられる。
(12)前記増圧装置が、さらに、少なくとも1つの前記ブレーキ操作部材の操作力に関連する量を検出するブレーキ操作力関連量センサを含み、前記液圧源制御装置が、検出された少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々がそれらに対応する基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる基準値到達時制御手段を含む(1)ないし(11)項のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項12)。
(13)前記基準値が、そのブースタが助勢限界に到達したときに取ることを予想される前記少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々とされる(12)項に記載のブレーキ装置(請求項13)。
(14)前記ブレーキ操作力関連量センサが、車体減速度を検出する車体減速度センサを含む(12)項または(13)項に記載のブレーキ装置(請求項14)。
「ブレーキ操作力関連量センサ」として例えば、ブレーキ操作力センサ,ブレーキ操作ストロークセンサ,マスタシリンダ液圧センサ等、ブレーキ操作力関連量を直接に検出するセンサを使用することが考えられる。しかし、この場合には、ブレーキ操作力関連量を直接に検出するセンサが必要となるとともに、そのセンサが故障した場合には、ブレーキ操作力に関連付けた増圧装置の作動が実現されない。
一方、ブレーキ装置を備えた車両においては一般に、ブレーキ操作力の大きさがマスタシリンダ液圧の高さに反映され、マスタシリンダ液圧の高さがブレーキシリンダ液圧の高さに反映され、ブレーキシリンダ液圧の高さが車両制動力の大きさに反映され、車両制動力の大きさが車体減速度の高さに反映される。したがって、(12)に記載のブレーキ装置を実施する際、ブレーキ操作力関連量を直接に検出することができない場合であっても、車体減速度さえ取得することができれば、ブレーキ操作力に関連付けた増圧装置の作動が可能となる。
かかる知見に基づいて本項に記載のブレーキ装置はなされたのであり、したがって、このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作力関連量を直接に検出することができない場合であっても、ブレーキ操作力に関連付けた増圧装置の作動が可能となるという効果が得られる。
このブレーキ装置において「車体減速度センサ」は、車体減速度を直接に検出する形式とすることは可能であるが、車両においては普通、車速を検出する車速センサが設けられており、しかも、車速を時間に関して微分すれば車体減速度を取得することができるという事実に着目し、車速を時間に関して微分することによって車体減速度を間接に検出する形式とすることも可能である。
ところで、車速センサには、ドップラセンサ等、車速を直接に検出する形式があるが、車輪の回転速度である車輪速に基づいて間接に検出する形式もある。後者の形式の一例は、アンチロック制御装置において採用されている。アンチロック制御装置は、よく知られているように、(a) 複数個の車輪の各々の車輪速を検出する複数個の車輪速センサと、(b) 各輪のブレーキシリンダ液圧を制御する電磁液圧制御弁と、(c) それら複数個の車輪速センサにより検出された車輪速に基づき、車両制動時に各輪のロック傾向が過大にならないように、前記電磁液圧制御弁を制御するコントローラとを含むように構成される。ここに、コントローラは一般に、複数個の車輪速センサにより検出された複数個の車輪速に基づいて車速を推定し、その推定車速と各輪の車輪速との関係に基づいて電磁液圧制御弁を制御するように設計される。
したがって、この本項に記載のブレーキ装置において「車体減速度センサ」を、車速センサにより検出された車速を時間に関して微分することによって車体減速度を間接に検出する形式とした場合には、ハードウェアを追加することなくソフトウェアのみを追加することによって「車体減速度センサ」が構成されることとなり、「車体減速度センサ」の構造簡単化,軽量化およびコストダウンが図られるという効果が得られる。
このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作力関連量センサが1個しか設けられていない場合に比較して、ブレーキ操作力関連量センサの故障に対する増圧装置の信頼性を容易に向上させ得るという効果が得られる。
(16)前記液圧源制御装置が、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち予め定められた少なくとも一つの第1センサが正常である場合には、その第1センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させ、正常ではない場合には、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち第1センサとは異なる少なくとも一つの第2センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させるフェイルセーフ手段を含む(15)項に記載のブレーキ装置(請求項16)。
このブレーキ装置によれば、複数個のブレーキ操作力関連量センサすべてが故障しない限り、ブレーキ操作力に関連付けた増圧装置の作動が可能となり、増圧装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記フェイルセーフ手段が、(a) 前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち予め定められた少なくとも一つの第1センサが正常であるか否かを判定する判定手段と、(b) 第1センサが正常であると判定された場合には、その第1センサを選択し、正常ではないと判定された場合には、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち第1センサとは異なる少なくとも一つの第2センサを選択する選択手段と、(c) 選択されたブレーキ操作力関連量センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる作動液供給手段とを含むものとされる。
(17)前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサと、車体減速度を検出する車体減速度センサとを含み、前記第1センサが、前記マスタシリンダ液圧センサを含み、前記第2センサが、前記車体減速度センサを含む(16)項に記載のブレーキ装置(請求項17)。
(18)前記液圧源制御装置が、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサにより検出された複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させるフェイルセーフ手段を含む(15)項ないし(17)項のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項18)。
複数個のブレーキ操作力関連量センサすべてが正常である場合には、ブレーキ装置が増圧装置を作動させるべき状態に到達すれば、それら複数個のブレーキ操作力関連量センサにより検出された複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達する。これに対して、複数個のブレーキ操作力関連量センサの中に故障したものが存在する場合には、ブレーキ装置が増圧装置を作動させるべき状態に到達しても、それら複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達するわけではない。よって、それら複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達した場合に限って液圧源に作動液を供給させることとすれば、複数個のブレーキ操作力関連量センサがすべて正常である場合に限って液圧源からの作動液供給が行われ、それら複数個のブレーキ操作力関連量センサの一つが故障したために誤って液圧源から作動液が供給されてしまうことが防止される。
本項に記載のブレーキ装置によれば、ブレーキ操作力関連量センサの故障によって誤って液圧源から作動液が供給されることが防止され、増圧装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
(19)前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサと、前記ブレーキ操作部材の操作を検出するブレーキ操作センサとを含み、前記フェイルセーフ手段が、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させる第1手段を含む(18)項に記載のブレーキ装置(請求項19)。
このブレーキ装置によれば、マスタシリンダ液圧センサが故障したため、ブレーキ操作中でないにもかかわらずマスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が基準値に到達した場合には、誤って液圧源から作動液が供給されることが防止され、増圧装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
(20)前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、さらに、車体減速度を検出する車体減速度センサを含み、前記第1手段が、前記ブレーキ操作センサが正常である場合には、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させ、ブレーキ操作センサが正常ではない場合には、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記車体減速度センサにより検出された車体減速度が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる第2手段を含む(19)項に記載のブレーキ装置(請求項20)。
このブレーキ装置によれば、ブレーキ操作センサが故障すれば代わりに車体減速度センサが使用されるため、マスタシリンダ液圧センサが実際値より高めにマスタシリンダ液圧を検出してしまうモードで故障するとともに、ブレーキ操作センサが実際にはブレーキ操作中でないにもかかわらずブレーキ操作を検出してしまうモードで故障した場合であっても、誤って液圧源から作動液が供給されることが防止され、増圧装置の信頼性が向上するという効果が得られる。
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記第2手段が、(a) 前記ブレーキ操作センサが正常であるか否かを判定する判定手段と、(b) ブレーキ操作センサが正常であると判定された場合には、ブレーキ操作センサを選択し、正常ではないと判定された場合には、前記車体減速度センサを選択する選択手段と、(c) 前記ブレーキ操作センサが正常であると判定された場合には、マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させ、ブレーキ操作センサが正常ではないと判定された場合には、マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記車体減速度センサにより検出された車体減速度が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる作動液供給手段とを含むものとされる。
なお、本項に記載のブレーキ装置においては、「車体減速度センサ」が、ブレーキ操作センサの故障時にそれに代えて使用されるようになっているが、マスタシリンダ液圧センサの故障時にそれに代えて使用する態様で(20)項に記載のブレーキ装置を実施することができる。
このブレーキ装置によれば、前記ブレーキアシスト制御を実行可能となり、車両の安全性が向上するという効果が得られる。
このブレーキ装置の一実施態様においては、前記緊急ブレーキ操作時制御手段に、緊急ブレーキ操作を検出する緊急ブレーキ操作検出手段が設けられる。この緊急ブレーキ操作検出手段は例えば、前記ブレーキ操作力関連量の変化速度(ブレーキ操作部材の操作位置の変化速度である操作速度を含む)が基準値より大きい状態を検出することにより、緊急ブレーキ操作を検出する手段を含むものとすることができる。また、この緊急ブレーキ操作検出手段は例えば、その変化速度(動的検出値)とブレーキ操作力関連量(静的検出値)との双方に基づいて緊急ブレーキ操作を検出する手段を含むものとすることもできる。例えば、ブレーキ操作部材の操作速度が基準値を超え、かつ、マスタシリンダ液圧が基準値を超えたときに緊急ブレーキ操作を検出する手段を含むものとすることもできるのである。
(22)前記液圧源制御装置が、前記ブースタの助勢限界時に、前記液圧源に作動液を供給させるブースタ助勢限界時制御手段を含む(1)または(4)項に記載のブレーキ装置(請求項22)。
(23)前記増圧装置が、(a) 車両の停止状態を検出する停止状態検出手段と、(b) 車両の停止状態の検出時において非検出時におけるより、当該増圧装置の作動開始を困難にする作動開始制御手段とを含む(1)項ないし(22)項のいずれかに記載のブレーキ装置(請求項23)。
例えば、前記(1) 項に記載のブレーキ装置をブレーキ操作力関連量が基準値に到達したならば必ず増圧装置を作動させる態様で実施する場合には、ブレーキ操作力関連量の基準値への到達が車両の停止状態において行われても、増圧装置が作動させられる。しかしながら、増圧装置が作動すると、それに伴って音が発生するとともに、車両の停止状態においては液圧源によるブレーキシリンダの加圧を必要とすることは稀である。そのため、ブレーキ操作力関連量が基準値に到達したならば必ず増圧装置を作動させる態様で(1) 項に記載のブレーキ装置を実施する場合には、車両部品の作動音が運転者にとって気になり易い車両停止状態において、増圧装置が無駄に作動させられるという問題が生じる。
かかる知見に基づいて本項に記載のブレーキ装置がなされたのであり、したがって、このブレーキ装置によれば、増圧装置の無駄な作動を防止することにより、車両の静粛性を容易に向上させ得るという効果が得られる。
(24)前記増圧装置が、さらに、少なくとも1つの前記ブレーキ操作部材の操作量に関連する量を検出するブレーキ操作力関連量センサを含み、前記液圧源制御装置が、検出された少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々がそれらに対応する基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる基準値到達時制御手段を含み、前記作動開始制御手段が、前記基準値を、前記ブレーキ操作力関連量の到達が前記停止状態検出手段による車両の停止状態の検出時において非検出時におけるより困難となるように設定する基準値設定手段を含む(23)項に記載のブレーキ装置(請求項24)。
このブレーキ装置は、図1に示すように、ブレーキシリンダ10の液圧源として、ブレーキ操作部材12の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダ14とポンプ16とをそれぞれ有する。このブレーキ装置においては、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10とを互いに接続する主通路18の途中に、補助通路20によりポンプ16の吐出側が接続されるとともに、その主通路18のうち補助通路20との接続点とマスタシリンダ14との部分に圧力制御弁22が設けられている。圧力制御弁22は、ポンプ16の非作動時には、マスタシリンダ14とブレーキシリンダ10との間の作動液の双方向の流れを許容し、一方、ポンプ16の作動時には、ポンプ16からの作動液をマスタシリンダ14に逃がすとともにその逃がすときのポンプ16の吐出圧の高さをマスタシリンダ14の液圧に基づいて変化させる。さらに、ポンプ16に、運転者によるブレーキ操作中であって、マスタシリンダ14の液圧より高い液圧をブレーキシリンダ10に発生させることが必要である場合に、ポンプ16を作動させるポンプ作動装置24が設けられている。
図2には、第1実施形態の機械的構成が示されている。本実施形態は、4輪車両に設けられるダイヤゴナル2系統式のブレーキ装置である。このブレーキ装置は、アンチロック制御機能を有し、また、アンチロック制御中、ポンプ16により作動液を還流させる。そして、本実施形態は、ブレーキ操作中、そのポンプ16を利用してブレーキ効き特性制御(以下、単に「効き特性制御」という。)を実行する。ここで、「効き特性制御」とは、図42に示すように、ブレーキ操作力Fを倍力してマスタシリンダ14に伝達するブースタの特性(図44参照)により決定される折れ線のグラフで表されるブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの基本的な関係を補正することにより、車体減速度Gがブレーキ操作力Fに対して理想的な勾配で(例えば、ブースタの助勢限界の前後を問わず、ほぼ同じ勾配で)増加するようにそれらブレーキ操作力Fと車体減速度Gとの関係を制御することをいう。
F2 ≦F1 −F3
なる式で表される関係が成立する領域では、弁子70が弁座72に着座し、ポンプ16からの作動液がマスタシリンダ14に逃げることが阻止され、ポンプ16の吐出圧が増加し、ブレーキシリンダ10にマスタシリンダ液圧より高い液圧が発生させられる。これに対し、ポンプ16の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がさらに増加し、
F2 >F1 −F3
なる式で表される関係が成立しようとする領域では、弁子70が弁座72から離間し、ポンプ16からの作動液がマスタシリンダ14に逃がされ、その結果、ポンプ16の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がそれ以上増加することが阻止される。このようにしてブレーキシリンダ10には、スプリング76の弾性力F3 を無視すれば、マスタシリンダ液圧に対してソレノイド吸引力F1 に基づく差圧分高い液圧が発生させられることになる。
図12には、以上の内容の効き特性制御を実現するために、ECU110のROMに記憶されている効き特性制御ルーチンがフローチャートで表されている。以下、本ルーチンの内容を同図に基づいて説明するが、第1実施形態におけると共通する内容については簡単に説明する。
ブレーキ操作が行われておらず、よって、効き特性制御が実行されず、ポンプ16が作動せず、ポンプ16からの作動液が第2液室162に供給されない状態(効き特性制御の不実行状態)では、同図の(a) に示すように、ピストン156が後退端位置にあり、弁子178が弁座180に着座せず、連通路174が開かれている。
P1 ×(S1 −S2 )≧F3
なる式で表される関係が成立すれば、ピストン156が後退端位置から前進して、弁座180がピストン156と一体的に移動し、弁座180に接近限度位置にある弁子178に着座し、これにより連通路174が閉じられる。しかし、弁子178が弁座180に着座する位置からピストン156がわずかに前進すると、同図の(b) に示すように、ピストン156がそれの段付き部がハウジング152の段付き部に当接する前進端位置に達し、ピストン156のさらなる前進が阻止される。すなわち、ハウジング152のうちピストン156が前進端位置にあるときにピストン156の段付き部と当接する部分が前進限度規定部材184を構成しているのである。
P1 ×S1 =P2 ×S2 +F3
なる式で表される力のつりあいが成立し、その結果、第2液圧P2 が、
P2 =P1 ×(S1 /S2 )−F3 /S2
なる式で表されることになり、結局、ブレーキシリンダ10に、第1液圧P1 すなわちマスタシリンダ液圧PM より、
P1 ×{(S1 /S2 )−1}−F3 /S2
だけ高い液圧が発生させられることになる。
先のすべての実施形態によれば、ポンプ16を利用することによってブレーキシリンダ液圧をマスタシリンダ液圧より高めることができるため、ブースタ30のサーボ比を増加させることにより、ブースタ30の助勢限界点が低下するという欠点を補いつつブレーキの効きを向上させることができる。しかし、ブースタ30のサーボ比を増加させるということは、ブレーキシリンダ液圧におけるブースタ30の寄与率が高くなることを意味するとともに、効き特性制御の開始時期はブースタ30の影響を受けたマスタシリンダ液圧の高さに依存しており、一方、ブースタ30が全く故障しないとは言えない。例えば、ブースタ30が故障すると、マスタシリンダ液圧PM が基準値PM0を超えることができなくなり、ブースタ30の故障に伴う制動力の低下と、効き特性制御の実行が開始されないことに伴う制動力の低下とが同時に生じることになるのである。そこで、本実施形態においては、マスタシリンダ液圧とブレーキシリンダ液圧との関係を電磁的に制御する圧力制御弁22が使用された上で、操作力Fに基づいてブレーキシリンダ液圧のマスタシリンダ液圧に対する相対増圧量が決定されるのみならず、ブースタ30の故障の有無にも基づいてブレーキシリンダ液圧の相対増圧量が決定される。
第2実施形態においては、アンチロック制御と効き特性制御との双方を行うために、各ブレーキ系統毎に6個の電磁弁が必要であるのに対し、本実施形態においては、電磁弁が5個あれば足りる。しかも、各ブレーキ系統における2個のブレーキシリンダ10は互いに独立に、増圧,保圧および減圧を行うことが可能となっている。このように、本実施形態によれば、少ない数の電磁弁で各ブレーキシリンダ液圧を互いに独立に制御することができるのである。
12 ブレーキ操作部材
14 マスタシリンダ
16 ポンプ
18 主通路
20 補助通路
22,150 圧力制御弁
80 マスタシリンダ液圧センサ
110,190,194,210,240,260,340,352,360,380 ECU
200 バキューム圧センサ
230 操作速度センサ
348 車体減速度演算手段
350 ブレーキスイッチ
Claims (24)
- 運転者により操作されて車両を制動するブレーキ装置であって、
ブレーキ操作部材の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、
車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記マスタシリンダと主通路により接続されて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
前記ブレーキ操作部材と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操作力を倍力してマスタシリンダに伝達するブースタと、
前記マスタシリンダの液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させる増圧装置であって、
(a) 前記主通路の途中に設けられ、マスタシリンダとブレーキシリンダとの間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とを含む複数の状態に切り換わる流通制御装置と、
(b) 主通路のうちその流通制御装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に補助通路により接続された液圧源と、
(c) 前記ブースタが倍力作用を為さない場合に、前記液圧源に作動液を供給させる液圧源制御装置と、
(d) 前記ブレーキシリンダの液圧を、前記マスタシリンダの液圧より高い状態において前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて変化させる変圧装置と
を有する増圧装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。 - 運転者により操作されて車両を制動するブレーキ装置であって、
ブレーキ操作部材の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、
車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記マスタシリンダと主通路により接続されて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
前記ブレーキ操作部材と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操作力を助勢してマスタシリンダに伝達するブースタと、
前記マスタシリンダの液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させる増圧装置であって、
(a) 前記主通路の途中に設けられ、マスタシリンダとブレーキシリンダとの間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とを含む複数の状態に切り換わる流通制御装置と、
(b) 主通路のうちその流通制御装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に補助通路により接続された液圧源と、
(c) 前記ブースタの助勢限界時に、前記液圧源に作動液を供給させるブースタ助勢限界時制御手段を含む液圧源制御装置と、
(d) 前記ブレーキシリンダの液圧を、前記マスタシリンダの液圧より高い状態において前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて変化させる変圧装置と
を有する増圧装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。 - 前記変圧装置が、前記ブースタの助勢限界後に、前記ブレーキシリンダの液圧を、そのブレーキシリンダの液圧の前記ブレーキ操作部材の操作力に対する変化勾配がブースタの助勢限界前におけると実質的に同じとなるように変化させる手段を含む請求項2に記載のブレーキ装置。
- 運転者により操作されて車両を制動するブレーキ装置であって、
ブレーキ操作部材の操作力に応じた高さの液圧を発生させるマスタシリンダと、
車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記マスタシリンダと主通路により接続されて前記ブレーキを作動させるブレーキシリンダと、
前記ブレーキ操作部材と前記マスタシリンダとの間に設けられ、ブレーキ操作部材の操作力を倍力してマスタシリンダに伝達するブースタと、
前記マスタシリンダの液圧より高い液圧を前記ブレーキシリンダに発生させる増圧装置であって、
(a) 前記主通路の途中に設けられ、マスタシリンダとブレーキシリンダとの間における作動液の双方向の流れを許容する第1状態と、少なくともブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止する第2状態とを含む複数の状態に切り換わる流通制御装置と、
(b) 主通路のうちその流通制御装置と前記ブレーキシリンダとの間の部分に補助通路により接続された液圧源と、
(c) 前記ブースタによる倍力が正常でない場合に、前記液圧源に作動液を供給させるブースタ倍力異常時制御手段を含む液圧源制御装置と、
(d) 前記ブレーキシリンダの液圧を、前記マスタシリンダの液圧より高い状態において前記ブレーキ操作部材の操作力に応じて変化させる変圧装置と
を有する増圧装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。 - 前記流通制御装置および前記変圧装置が、前記主通路に設けられた圧力制御装置であって、前記液圧源から作動液が供給されている状態では、圧力制御装置よりブレーキシリンダ側の第2液圧がマスタシリンダ側の第1液圧より高いがその差が目標差圧以下であれば前記第2状態に切り換わり、第2液圧が第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧より大きくなろうとすれば前記第1状態に切り換わることにより、第2液圧を第1液圧より高くかつその差が前記目標差圧となるように制御する圧力制御装置により構成されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記圧力制御装置が、(a) 前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子および弁座と、それら弁子および弁座の少なくとも一方に、それら弁子と弁座との相対移動を制御するために作用する磁気力を発生させる磁気力発生手段とを有し、その磁気力に基づいて前記目標差圧が変化する電磁式圧力制御弁と、(b) 前記磁気力を制御する磁気力制御装置とを含む請求項5に記載のブレーキ装置。
- 前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含み、当該ブレーキ装置が、さらに、前記ブレーキシリンダの液圧を自動制御する自動液圧制御装置であって、(a) 前記ポンプの吸入側とポンプ通路により接続され、作動液を蓄えるリザーバと、(b) 前記主通路のうち前記補助通路との接続点と前記ブレーキシリンダとの間の部分に接続され、ブレーキシリンダを前記ポンプの吐出側に連通させる状態と前記リザーバに連通させる状態とを含む複数の状態を選択的に実現する電磁液圧制御装置とを有するものを含み、かつ、前記磁気力制御装置が、その自動液圧制御装置による自動制御時に、前記圧力制御装置において弁子が弁座に着座し続けることにより前記ポンプから前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れが阻止されるように前記磁気力を制御する自動制御時磁気力制御装置を含む請求項6に記載のブレーキ装置。
- 前記圧力制御装置が、(i) 前記主通路におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態を制御する弁子および弁座と、(ii) 前記第1液圧を大径部、前記第2液圧を小径部でそれぞれ互いに逆向きに受ける段付きのピストンであって、前記弁子および弁座の少なくとも一方に、それら弁子と弁座との相対移動を制御するために作用する機械的力を発生させるものとを有し、そのピストンの大径部および小径部のそれぞれの受圧面積と前記第1液圧とに基づいて目標差圧が変化する機械式圧力制御弁を含む圧力制御弁装置を有する請求項5ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含む請求項1ないし8のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記液圧源制御装置が、運転者による車両の運転状態が設定運転状態である場合に、前記液圧源に作動液を供給させる設定運転状態時制御手段を含む請求項1ないし9のいずれかに記載のブレーキ装置。
- 前記液圧源が、作動液を吸入側から吸入して吐出側に吐出するポンプであって、その吐出側が前記補助通路により前記主通路に接続されているものを含み、当該ブレーキ装置が、さらに、前記主通路のうち前記マスタシリンダと前記流通制御装置との間の部分である上流側部分と前記ポンプの吸入側とにそれぞれ接続され、その上流側部分の作動液をそれの液圧を低下させることなく前記ポンプの吸入側に導入する作動液導入装置を含む請求項1ないし10のいずれかに記載のブレーキ装置。
- 前記増圧装置が、さらに、少なくとも1つの前記ブレーキ操作部材の操作力に関連する量を検出するブレーキ操作力関連量センサを含み、前記液圧源制御装置が、検出された少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々がそれらに対応する基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる基準値到達時制御手段を含む請求項1ないし11のいずれかに記載のブレーキ装置。
- 前記基準値が、前記ブースタが助勢限界に到達したときに取ることを予想される前記少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々とされる請求項12に記載のブレーキ装置。
- 前記ブレーキ操作力関連量センサが、車体減速度を検出する車体減速度センサを含む請求項12または13に記載のブレーキ装置。
- 前記ブレーキ操作力関連量センサが複数個設けられている請求項12ないし14のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記液圧源制御装置が、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち予め定められた少なくとも一つの第1センサが正常である場合には、その第1センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させ、正常ではない場合には、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサのうち第1センサとは異なる少なくとも一つの第2センサにより検出されたブレーキ操作力関連量が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させるフェイルセーフ手段を含む請求項15に記載のブレーキ装置。
- 前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサと、車体減速度を検出する車体減速度センサとを含み、前記第1センサが、前記マスタシリンダ液圧センサを含み、前記第2センサが、前記車体減速度センサを含む請求項16に記載のブレーキ装置。
- 前記液圧源制御装置が、前記複数個のブレーキ操作力関連量センサにより検出された複数のブレーキ操作力関連量がすべて各基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させるフェイルセーフ手段を含む請求項15ないし17のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、前記マスタシリンダの液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサと、前記ブレーキ操作部材の操作を検出するブレーキ操作センサとを含み、前記フェイルセーフ手段が、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させる第1手段を含む請求項18に記載のブレーキ装置。
- 前記複数個のブレーキ操作力関連量センサが、さらに、車体減速度を検出する車体減速度センサを含み、前記第1手段が、前記ブレーキ操作センサが正常である場合には、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、ブレーキ操作センサによりブレーキ操作が検出されたときに、前記液圧源に作動液を供給させ、ブレーキ操作センサが正常ではない場合には、前記マスタシリンダ液圧センサにより検出されたマスタシリンダ液圧が前記基準値に到達し、かつ、前記車体減速度センサにより検出された車体減速度が前記基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる第2手段を含む請求項19に記載のブレーキ装置。
- 前記液圧源制御装置が、運転者が車両を緊急に制動するために前記ブレーキ操作部材を操作する場合に、前記液圧源に作動液を供給させる緊急ブレーキ操作時制御手段を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記液圧源制御装置が、前記ブースタの助勢限界時に、前記液圧源に作動液を供給させるブースタ助勢限界時制御手段を含む請求項1または4に記載のブレーキ装置。
- 前記増圧装置が、(a) 車両の停止状態を検出する停止状態検出手段と、(b) 車両の停止状態の検出時において非検出時におけるより、当該増圧装置の作動開始を困難にする作動開始制御手段とを含む請求項1ないし22のいずれかに記載のブレーキ装置。
- 前記増圧装置が、さらに、少なくとも1つの前記ブレーキ操作部材の操作力に関連する量を検出するブレーキ操作力関連量センサを含み、前記液圧源制御装置が、検出された少なくとも1つのブレーキ操作力関連量の各々がそれらに対応する基準値に到達したときに、前記液圧源に作動液を供給させる基準値到達時制御手段を含み、前記作動開始制御手段が、前記基準値を、前記ブレーキ操作力関連量の到達が前記停止状態検出手段による車両の停止状態の検出時において非検出時におけるより困難となるように設定する基準値設定手段を含む請求項23に記載のブレーキ装置。
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