JPH11227585A - ブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ装置

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JPH11227585A
JPH11227585A JP3084698A JP3084698A JPH11227585A JP H11227585 A JPH11227585 A JP H11227585A JP 3084698 A JP3084698 A JP 3084698A JP 3084698 A JP3084698 A JP 3084698A JP H11227585 A JPH11227585 A JP H11227585A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バキュームブースタの能力低下を補償するため
に、ブレーキ操作時に、マスタシリンダとは別の液圧源
により、ブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダの液
圧より高い液圧に増圧可能なブレーキ装置において、ブ
レーキ操作フィーリングがブレーキ操作速度の影響を受
けないようにする。 【解決手段】ブレーキシリンダ液圧PB の増圧開始基準
値PTHを、急ブレーキ操作時において通常ブレーキ操
作時におけるより小さくすることにより、ブレーキシ
リンダの増圧開始時期を、急ブレーキ操作時において通
常ブレーキ操作時におけるより早め、それにより、急ブ
レーキ操作に起因したバキュームブースタの負圧低下に
よってブレーキシリンダ液圧PB が低下しないようにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マスタシリンダと
バキュームブースタとを備えた車両用のブレーキ装置に
関するものであり、特に、バキュームブースタの能力低
下をマスタシリンダとは別の液圧源により補償可能なブ
レーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平9−30385号公報には上記ブ
レーキ装置の一従来例が記載されている。これは、(a)
ブレーキ操作部材と、(b) 入力された力により液圧を発
生させるマスタシリンダと、(c) ブレーキ操作部材の操
作力を助勢してマスタシリンダに入力するバキュームブ
ースタと、(d) マスタシリンダと液通路により接続さ
れ、その液通路から供給された液圧により作動するブレ
ーキシリンダを有し、車輪の回転を抑制するブレーキ
と、(e) ブレーキ操作時に、マスタシリンダとは別の液
圧源により、ブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダ
の液圧より高い液圧に増圧する増圧装置とを含むブレー
キ装置である。ここに、バキュームブースタは、エンジ
ン吸気管等、負圧源に接続された負圧室とその負圧室と
大気とに選択的に連通させられる変圧室との差圧によっ
てブレーキ操作部材の操作力を助勢してマスタシリンダ
に入力するように構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび発明の効果】ブレーキ操作部材が操作されれば、バ
キュームブースタの作動によって負圧室の負圧が消費さ
れる(大気圧に近づく)一方、その消費分の負圧が負圧
源により補償されるが、ブレーキ操作が素早く行なわれ
た場合には、負圧源による補償が消費に追いつくことが
できず、その結果、負圧室の負圧が低下する(大気圧に
近づく)。負圧室の負圧が低下すると、バキュームブー
スタの実際の助勢限界点も低下する。
【0004】このような急ブレーキ操作時特性をバキュ
ームブースタが有するにもかかわらず、上記従来技術に
おいては、ブレーキ操作速度を考慮して増圧装置が制御
されるようにはなっていない。そのため、その従来技術
には、増圧装置によるブレーキシリンダの増圧時に、ブ
レーキ操作力と車体減速度との関係がブレーキ操作速度
に応じて変化してしまい、十分には良好なブレーキ操作
フィーリングが得られないという問題があった。
【0005】本発明は、以上の事情を背景としてなされ
たものであり、その課題は、ブレーキ操作フィーリング
がブレーキ操作速度の影響を受けずに済むブレーキ装置
を提供することにある。
【0006】この課題は下記態様によって解決される。
なお、以下の説明において、本発明の各態様を、それぞ
れに項番号を付して請求項と同じ形式で記載する。各項
に記載の特徴を組み合わせて採用することの可能性を明
示するためである。
【0007】(1) ブレーキ操作部材と、入力された力に
より液圧を発生させるマスタシリンダと、前記ブレーキ
操作部材の操作力を助勢して前記マスタシリンダに入力
するバキュームブースタと、前記マスタシリンダと液通
路により接続され、その液通路から供給された液圧によ
り作動するブレーキシリンダを有し、車輪の回転を抑制
するブレーキと、ブレーキ操作時に、前記マスタシリン
ダとは別の液圧源により、前記ブレーキシリンダの液圧
をマスタシリンダの液圧より高い液圧に増圧する増圧装
置とを含むブレーキ装置において、前記増圧装置に、そ
れによる前記ブレーキシリンダの増圧時に、前記ブレー
キ操作部材の操作力と車体減速度との関係がブレーキ操
作部材の操作速度に応じて変化することを抑制する関係
変化抑制装置を設けたことを特徴とするブレーキ装置
〔請求項1〕。この装置によれば、操作力と車体減速度
との関係がブレーキ操作速度に応じて変化することが抑
制されるため、ブレーキ操作フィーリングがブレーキ操
作速度の影響を受けずに済む。 (2) 前記関係変化抑制装置が、前記増圧装置による前記
ブレーキシリンダの増圧開始時期を、前記ブレーキ操作
部材の操作速度が大きい場合において小さい場合におけ
るより早める増圧開始時期制御手段を含む(1) 項に記載
のブレーキ装置〔請求項2〕。この装置においては、増
圧開始がブレーキ操作速度が大きい場合において小さい
場合におけるより早期に行なわれるため、負圧室の負圧
低下によってバキュームブースタの助勢限界点が低下す
れば、それに追従した時期に増圧が開始される。したが
って、この装置によれば、急ブレーキ操作時にバキュー
ムブースタが助勢限界に到達したにもかかわらず増圧が
開始されないために前記関係が変化してブレーキ操作フ
ィーリングが悪化するという事態の発生を回避できる。 (3) 前記増圧装置が、前記マスタシリンダ液圧が増圧開
始基準値に到達した場合に、前記増圧装置に前記ブレー
キシリンダの増圧を開始させる増圧開始手段を含み、前
記増圧開始時期制御手段が、前記増圧開始基準値を、前
記操作速度が大きい場合において小さい場合におけるよ
り小さくなるように決定する増圧開始基準値決定手段を
含む(2) 項に記載のブレーキ装置。 (4) さらに、前記マスタシリンダ液圧またはそれの関連
量と前記操作速度またはそれの関連量とを検出するため
に使用されるそれらに共通のセンサを含む(3)項に記載
のブレーキ装置。前項に記載のブレーキ装置において
は、マスタシリンダ液圧またはそれの関連量と操作速度
またはそれの関連量とを検出することが必要であり、そ
れら2種類の物理量は互いに異なる2種類のセンサを用
いて検出することが可能である。しかし、本項に記載の
ブレーキ装置によれば、それら2種類の物理量が共通の
センサにより検出されるため、センサ数の節減によって
装置コストの低減化が可能となる。 (5) 前記増圧装置が、(a) 前記操作速度に関連する量を
検出する操作速度関連量センサと、(b) 前記マスタシリ
ンダの液圧に関連する量を検出するマスタシリンダ液圧
関連量センサと、(c) 前記マスタシリンダ液圧関連量の
検出値に基づき、前記マスタシリンダ液圧が増圧開始基
準値に到達した場合に、前記増圧装置に前記ブレーキシ
リンダの増圧を開始させる増圧開始手段とを含み、前記
増圧開始時期制御手段が、前記増圧開始基準値を、検出
された操作速度関連量に基づき、操作速度が大きい場合
において小さい場合におけるより小さくなるように決定
する増圧開始基準値決定手段を含む(2) 項に記載のブレ
ーキ装置。この装置において「操作速度関連量」は、ブ
レーキ操作部材の操作速度そのものとしたり、その操作
速度と1対1に対応する物理量、例えば、ブレーキ操作
部材の操作力,操作ストロークまたは操作位置の時間的
変化速度,マスタシリンダ液圧の時間的変化速度等とす
ることができる。したがって、「操作速度関連量セン
サ」は、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストロークま
たは操作位置を検出する操作力センサ,操作ストローク
センサまたは操作位置センサを含み、その検出値の時間
的変化速度を操作速度関連量とする形式としたり、マス
タシリンダ液圧を検出するマスタシリンダ液圧センサを
含み、その検出値の時間的変化速度を操作速度関連量と
する形式とすることができる。また「マスタシリンダ液
圧関連量」は、マスタシリンダ液圧そのものとしたり、
そのマスタシリンダ液圧と1対1に対応する物理量、例
えば、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストロークまた
は操作位置,車体減速度等とすることができる。したが
って、「マスタシリンダ液圧関連量センサ」は、マスタ
シリンダ液圧センサとしたり、操作力センサ,操作スト
ロークセンサまたは操作位置センサとしたり、車体減速
度センサとすることができる。車体減速度センサは、車
体減速度そのものを検出する形式としたり、検出した車
速の時間微分値を車体減速度とする形式とすることがで
きる。 (6) 前記増圧装置が、さらに、(a) 車両のエンジンの回
転数を検出するエンジン回転数センサと、(b) 前記エン
ジンのスロットルの開度を検出するスロットル開度セン
サとを含み、かつ、前記増圧開始基準値決定手段が、前
記操作速度関連量の検出値のみならず、前記エンジン回
転数およびスロットル開度の検出値にも基づいて決定す
る手段を含む(5) 項に記載のブレーキ装置。 (7) 前記バキュームブースタが、負圧源としてのエンジ
ン吸気管に接続された負圧室とその負圧室と大気とに選
択的に連通させられる変圧室との差圧により作動させら
れるものであり、前記増圧開始基準値決定手段が、(a)
前記エンジン回転数およびスロットル開度の検出値に基
づき、前記エンジンの運転状態に応じて前記負圧室の圧
力が変動する第1変動量を推定する第1圧力変動量推定
手段と、(b) 前記操作速度関連量の検出値に基づき、前
記操作速度に応じて前記負圧室の圧力が変動する第2変
動量を推定する第2圧力変動量推定手段と、(c) 前記増
圧開始基準値の初期値に対して前記第1および第2変動
量の推定値の影響を考慮することにより、増圧開始基準
値の今回値を決定する今回値決定手段とを含む(6)項に
記載のブレーキ装置。 (8) 前記関係変化抑制装置が、前記増圧装置が前記ブレ
ーキシリンダの液圧を前記マスタシリンダの液圧より増
圧する量を、前記操作速度が大きい場合において小さい
場合におけるより増加させる増圧量制御手段を含む(1)
ないし(7) 項のいずれかに記載のブレーキ装置〔請求項
3〕。この装置においては、急ブレーキ操作に起因した
負圧室の負圧低下によるバキュームブースタの能力低下
が、ブレーキ操作速度に応じて、すなわち、負圧の低下
分に応じて補償されるため、ブレーキ操作速度が大きい
場合にその補償が不足することも、ブレーキ操作速度が
小さい場合にその補償が過剰になることも抑制される。 (9) 前記増圧装置が、前記液通路の途中に設けられた流
通制御弁を有するとともに、前記液通路のうちその流通
制御弁と前記ブレーキシリンダとの間の部分に吐出側が
接続されたポンプを前記別の液圧源として有し、かつ、
流通制御弁により少なくともブレーキシリンダから前記
マスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止した状態で
ポンプによりブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダ
の液圧より高い液圧に増圧するポンプ型増圧装置を含
み、前記関係変化抑制装置が、前記操作速度が基準値よ
り大きい場合に、前記ポンプの作動開始時期を、前記流
通制御弁の作動開始時期より早めるポンプ作動開始時期
制御手段を含む(1) ないし(8) 項のいずれかに記載のブ
レーキ装置〔請求項4〕。この装置においては、ポンプ
の応答遅れが特に問題となる場合、すなわち、ブレーキ
操作速度が大きい場合に、流通制御弁の作動開始に先行
してポンプの作動が開始させられる。したがって、この
装置によれば、ブレーキ操作速度が大きい場合に、ポン
プの応答遅れがブレーキシリンダ液圧に与える影響が少
なくなり、その結果、操作力と車体減速度との関係がブ
レーキ操作速度に応じて変化することが抑制される。 (10)前記流通制御弁が、(a) 前記ブレーキシリンダの液
圧の高さから前記マスタシリンダの液圧の高さを引き算
した差圧が大きくなろうとすれば、相互に離間すること
により、ブレーキシリンダからマスタシリンダへ向かう
作動液の流れを許容し、一方、前記差圧が小さければ、
相互に密着することにより、前記流れを阻止する弁子お
よび弁座と、(b) 磁気力によりそれら弁子と弁座とを相
互に接近する向きに付勢するとともにその磁気力を連続
的に変化させることにより、それら弁子と弁座とが相互
に離間し始めるときの前記差圧を連続的に制御する連続
的差圧制御装置とを有する圧力制御弁を含み、かつ、前
記ポンプが、前記液通路のうちその圧力制御弁と前記ブ
レーキシリンダとの間の部分に吐出側が接続されている
(9) 項に記載のブレーキ装置。 (11)前記流通制御弁が、開位置と閉位置との2位置に電
磁的に切り換わる2位置弁を含む(9) 項に記載のブレー
キ装置。 (12)前記増圧装置が、前記2位置弁を、常には開位置に
あり、前記増圧の開始に伴って開位置から閉位置に切り
換わり、増圧中は閉位置に維持され、増圧の終了に伴っ
て閉位置から開位置に切り換わるように制御する2位置
弁制御手段を含む(11)項に記載のブレーキ装置。 (13)前記増圧装置が、前記ポンプの吐出量を制御するこ
とにより、前記ブレーキシリンダの液圧のマスタシリン
ダの液圧からの増圧量を可変に制御するポンプ吐出量制
御手段を含む(12)項に記載のブレーキ装置。 (14)前記増圧装置が、さらに、前記ポンプを駆動するモ
ータを含み、前記ポンプ吐出量制御手段が、そのモータ
をデューティ制御することにより、前記ポンプの吐出量
を制御するモータデューティ制御手段を含む(13)項に記
載のブレーキ装置。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】図1には、本発明の第1実施形態であるブ
レーキ装置が示されている。このブレーキ装置はブレー
キペダル10をブレーキ操作部材として備えており、そ
のブレーキペダル10はバキュームブースタ12(以
下、単に「ブースタ」という)を介してマスタシリンダ
14に連結されている。
【0010】ブースタ12は、よく知られた構造である
ため、簡単に説明する。ブースタ12は、中空のハウジ
ング20を備えており、そのハウジング20内の空間は
ダイヤフラム付きのパワーピストン22により、マスタ
シリンダ14の側の負圧室24とブレーキペダル10の
側の変圧室26とに仕切られている。負圧室24は、負
圧源としてのエンジン吸気管28に接続されている。変
圧室26は、図示しない弁機構により、負圧室24と大
気とに選択的に連通させられる。
【0011】マスタシリンダ14も、よく知られた構造
であるため、簡単に説明する。マスタシリンダ14は、
タンデム型であり、ハウジングに2つの加圧ピストンが
互いに直列にかつ各々摺動可能に嵌合され、それによ
り、ハウジング内に各加圧ピストンの前方において2つ
の加圧室が互いに独立して形成されている。マスタシリ
ンダ14は、ブレーキペダル10の踏力であるブレーキ
操作力に応じてそれら加圧室にそれぞれ等しい高さの液
圧を機械的に発生させる。
【0012】このブレーキ装置は前後2系統式であり、
マスタシリンダ14の一方の加圧室には、左右前輪のそ
れぞれのブレーキ50を作動させるブレーキシリンダ6
0が接続されている。ブレーキ50はディスク式または
ドラム式とすることができる。また、図示しないが、他
方の加圧室には、左右後輪のそれぞれのブレーキを作動
させるブレーキシリンダが接続されている。前輪ブレー
キ系統と後輪ブレーキ系統とは構成が共通するため、以
下、前輪ブレーキ系統のみを図1に基づいて代表的に説
明し、後輪ブレーキ系統の説明を省略する。
【0013】マスタシリンダ14は主通路64により左
前輪FLのブレーキシリンダ60と右前輪FRのブレー
キシリンダ60とに接続されている。主通路64は、マ
スタシリンダ14から延び出た後に二股状に分岐させら
れており、1本の基幹通路66と2本の分岐通路68と
が互いに接続されて構成されている。基幹通路66の途
中には圧力制御弁70が設けられている。各分岐通路6
8の先端にはブレーキシリンダ60が接続されている。
主通路64のうち圧力制御弁70とブレーキシリンダ6
0との間の部分にはポンプ通路72が接続され、その途
中にポンプ74が設けられている。
【0014】図2には、圧力制御弁70が拡大して示さ
れている。圧力制御弁70は、マスタシリンダ14とブ
レーキシリンダ60との差圧を電磁的に制御する形式で
ある。圧力制御弁70は、図示しないハウジングと、主
通路64におけるマスタシリンダ側とブレーキシリンダ
側との間における作動液の流通状態を制御する弁子80
およびそれが着座すべき弁座82と、それら弁子80お
よび弁座82の相対移動を制御する磁気力を発生させる
ソレノイド84とを有している。
【0015】この圧力制御弁70においては、ソレノイ
ド84が励磁されない非作用状態(OFF状態)では、
スプリング86の弾性力によって弁子80が弁座82か
ら離間させられ、それにより、主通路64においてマス
タシリンダ側とブレーキシリンダ側との間における双方
向の作動液の流れが許容され、その結果、ブレーキ操作
が行われれば、ブレーキシリンダ60がマスタシリンダ
14と等圧で変化させられる。このブレーキ操作中、弁
子80には、弁座82から離間する向きに力が作用する
ため、ソレノイド84が励磁されない限り、マスタシリ
ンダ液圧すなわちブレーキシリンダ液圧が高くなって
も、弁子80が弁座82に着座してしまうことはない。
すなわち、圧力制御弁70は常開弁なのである。
【0016】これに対し、ソレノイド84が励磁される
作用状態(ON状態)では、ソレノイド84の磁気力に
よりアーマチュア88が吸引され、そのアーマチュア8
8と一体的に移動する可動部材としての弁子80が固定
部材としての弁座82に着座させられる。このとき、弁
子80には、ソレノイド84の磁気力に基づく吸引力F
1 と、ブレーキシリンダ液圧とマスタシリンダ液圧との
差に基づく力F2 とスプリング86の弾性力F3 との和
とが互いに逆向きに作用する。力F2 の大きさは、ブレ
ーキシリンダ液圧の高さからマスタシリンダ液圧の高さ
を引き算した差圧と、弁子80がブレーキシリンダ液圧
を受ける実効受圧面積との積で表される。
【0017】ソレノイド84が励磁される作用状態(O
N状態)であって、ポンプ74の吐出圧すなわちブレー
キシリンダ液圧がそれほど増加せず、 F2 ≦F1 −F3 なる式で表される関係が成立する領域では、弁子80が
弁座82に着座し、ポンプ74からの作動液がマスタシ
リンダ14に逃げることが阻止され、ポンプ74の吐出
圧が増加し、ブレーキシリンダ60にマスタシリンダ1
4より高い液圧が発生させられる。これに対し、ポンプ
74の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がさらに増
加し、 F2 >F1 −F3 なる式で表される関係が成立しようとする領域では、弁
子80が弁座82から離間し、ポンプ74からの作動液
がマスタシリンダ14に逃がされ、その結果、ポンプ7
4の吐出圧すなわちブレーキシリンダ液圧がそれ以上増
加することが阻止される。このようにしてブレーキシリ
ンダ60には、スプリング86の弾性力F 3 を無視すれ
ば、マスタシリンダ液圧に対してソレノイド吸引力F1
に基づく差圧分高い液圧が発生させられることになる。
【0018】また、圧力制御弁70は、図3にグラフで
表されているように、ソレノイド84の磁気力である吸
引力F1 の大きさがソレノイド84の励磁電流Iの大き
さに応じてリニアに変化するように設計されている。
【0019】この圧力制御弁70には図1に示すよう
に、バイパス通路92が設けられており、そのバイパス
通路92の途中にバイパス弁94が逆止弁として設けら
れている。万が一、ブレーキペダル10の踏み込み時に
圧力制御弁70内の可動部材に生ずる流体力により圧力
制御弁70が閉じてしまったり、圧力制御弁70が機械
的にロックして閉じたままになってしまった場合でも、
マスタシリンダ14からブレーキシリンダ60へ向かう
作動液の流れが確保されるようにするためである。
【0020】各分岐通路68の途中には、ポンプ通路7
2との接続点よりブレーキシリンダ60の側において、
常開の電磁開閉弁である保持弁100が設けられてい
る。保持弁100は、励磁されて閉状態となり、その状
態で、ポンプ74からブレーキシリンダ60へ向かう作
動液の流れを阻止し、それにより、ブレーキシリンダ液
圧が保持される状態を実現する。各保持弁100にはバ
イパス通路102が接続され、各バイパス通路102に
は作動液戻り用のバイパス弁104が逆止弁として設け
られている。
【0021】各分岐通路68のうち保持弁100とブレ
ーキシリンダ60との間の部分からリザーバ通路106
が延びてリザーバ108に至っている。各リザーバ通路
106の途中には常閉の電磁開閉弁である減圧弁110
が設けられている。減圧弁110は、励磁されて開状態
となり、その状態では、ブレーキシリンダ60からリザ
ーバ108へ向かう作動液の流れを許容し、それより、
ブレーキシリンダ液圧が減圧される状態を実現する。
【0022】リザーバ108は、ハウジングにリザーバ
ピストン112が実質的に気密かつ摺動可能に嵌合され
て構成されるとともに、その嵌合によりリザーバピスト
ン112の前方に形成されたリザーバ室114において
作動液を付勢手段としてのスプリング116によって圧
力下に収容するものである。リザーバ室114は前記ポ
ンプ通路72により前記主通路64に接続されている。
【0023】ポンプ通路72はポンプ74により吸入通
路120と吐出通路122とに仕切られており、それら
通路120,122には、共に逆止弁である吸入弁12
4と吐出弁126とがそれぞれ設けられている。ポンプ
通路72にはさらに、ダンパ室128とオリフィス12
9とが互いに直列にポンプ74の吐出側に設けられてお
り、それにより、ポンプ74の脈動が軽減される。
【0024】吸入通路120のうち吸入弁124とリザ
ーバ108との間の部分は、補給通路130により、主
通路64のうちマスタシリンダ14と圧力制御弁70と
の間の部分に接続されている。補給通路130の途中に
は、常閉の電磁開閉弁である流入制御弁132が設けら
れている。流入制御弁132は、ポンプ74の作動時
に、そのポンプ74が作動液をリザーバ108から汲み
上げることが必要であって、マスタシリンダ14から汲
み上げることが適当でない場合には閉状態、マスタシリ
ンダ14から汲み上げることが必要である場合には開状
態となるように、後述のECUにより制御される。吸入
通路120のうち補給通路130との接続点とリザーバ
108との間の部分に逆止弁134が設けられている。
この逆止弁134は、流入制御弁132の開状態で作動
液がマスタシリンダ14からリザーバ108に流入する
ことを阻止するために設けられている。よって、この逆
止弁134により、マスタシリンダ14からの作動液が
高圧のままでポンプ74に吸入されることが保証され
る。なお、前記リザーバ通路106と吸入通路120と
の接続点は、その逆止弁134とリザーバ108との間
に設けられている。
【0025】以上、このブレーキ装置のハードウェア構
成を説明したが、次に、ソフトウェア構成を図4に基づ
いて説明する。ただし、同図には、ソフトウェア構成の
うち前輪ブレーキ系統に関する部分のみが代表的に示さ
れている。
【0026】このブレーキ装置は、電子制御ユニット
(以下、「ECU」と略称する)200を備えている。
ECU200は、CPU,ROMおよびRAMを含むコ
ンピュータを主体として構成されており、そのROMに
記憶されている効き特性制御ルーチンおよびアンチロッ
ク制御ルーチンがCPUによりRAMを使用しつつ実行
されることにより、効き特性制御とアンチロック制御と
が実行される。「効き特性制御」は、ブースタ12に助
勢限界があることを考慮し、ブースタ12の助勢限界の
前後を問わず、車体減速度Gがブレーキ操作力FB に対
して同じ勾配で増加するようにそれらブレーキ操作力F
B と車体減速度Gとの関係であるブレーキの効き特性を
制御することをいう。また、「アンチロック制御」は、
よく知られているように、車両制動時に各輪のロック傾
向が過大にならないように各輪のブレーキシリンダ液圧
を制御することをいう。本実施形態においては、アンチ
ロック制御中、ポンプ74により作動液がブレーキ回路
内を還流させられる。そして、本実施形態においては、
ブレーキ操作中、そのポンプ74を利用して効き特性制
御が行われる。すなわち、本実施形態においては、同じ
ポンプ74が効き特性制御とアンチロック制御とで共用
されるようになっているのである。
【0027】ECU200の入力側には、マスタシリン
ダ液圧センサ202と車輪速センサ204とが接続され
ている。マスタシリンダ液圧センサ202は、マスタシ
リンダ14またはそれと等圧の作動液を収容する部分に
設けられ、マスタシリンダ液圧の高さを規定するマスタ
シリンダ液圧信号を出力する。車輪速センサ204は、
各輪毎に設けられ、各輪の車輪速を規定する車輪速信号
を出力する。
【0028】一方、ECU200の出力側には、前記ポ
ンプ74を駆動するポンプモータ210が接続され、そ
のポンプモータ210の駆動回路にモータ駆動信号が出
力される。ECU200の出力側にはさらに、前記圧力
制御弁70のソレノイド84,保持弁100,減圧弁1
10および流入制御弁132の各ソレノイド212も接
続されている。圧力制御弁70のソレノイド84には、
そのソレノイド84の磁気力をリニアに制御するための
電流制御信号が出力され、一方、保持弁100,減圧弁
110および流入制御弁132の各ソレノイド212に
はそれぞれ、ソレノイド212をON/OFF駆動する
ためのON/OFF駆動信号が出力される。
【0029】図5には、効き特性制御ルーチンがフロー
チャートで表されている。以下、本ルーチンを説明する
が、まず、概略的に説明する。
【0030】図6には、ブレーキ操作力FB とブレーキ
シリンダ液圧PB (車体減速度Gに相当する)との関係
が複数、各グラフで表されている。図においてで示す
実線グラフは、効き特性制御を実行させない状態で、ブ
レーキペダル10が通常の速度で操作された場合の関係
を示すものである。この場合には、グラフの勾配すなわ
ちブレーキ操作フィーリングが図においてAで示す助勢
限界点(死点)を超えた後に低下する。これに対して、
で示す実線グラフは、効き特性制御を実行させた状態
で、ブレーキペダル10が通常の速度で操作された場合
の関係を示すものである。この場合には、グラフの勾配
すなわちブレーキ操作フィーリングが図において助勢限
界点(死点ともいう)Aを超えた後にも低下せず、助勢
限界の前後で安定したブレーキ操作フィーリングが実現
される。また、で示す破線グラフは、効き特性制御を
実行させない状態で、ブレーキペダル10が素早く操作
された場合の関係を示すものである。この場合には、助
勢限界点BがAより低下する。また、で示す破線グラ
フは、マスタシリンダ液圧PM が助勢限界点Aに相当す
る通常値P1 (固定値)に到達したときからブレーキシ
リンダ60の増圧を開始する形式の効き特性制御を実行
させた状態で、ブレーキペダル10が素早く操作された
場合の関係を示すものである。この場合には、ブレーキ
シリンダ60の増圧が実際の助勢限界点Bへの到達時期
より遅い時期Cに開始される。そのため、この場合に
は、実際の助勢限界点Bへの到達の前後でグラフが不連
続となり、実際の助勢限界点Bを堺にしてブレーキ操作
フィーリングが互いに異なってしまう。
【0031】この問題を解決するために、本実施形態に
おいては、ブレーキペダル10の操作速度が大きい場合
にも、ブースタ12が実際に助勢限界点に到達した時期
から確実に増圧が開始されることを目的として、操作速
度が大きい場合には、小さい場合におけるより早期に増
圧開始が行なわれるように、増圧開始基準値PTHが変更
される。通常ブレーキ操作時には通常値P1 と等しい
が、急ブレーキ操作時にはその通常値P1 より小さく、
かつ、操作速度に応じて変化するように変更されるので
ある。そして、本実施形態においては、増圧開始基準値
THが、操作速度VB に基づき、 PTH=P1 −αVB なる式を用いて決定される。この式において「α」は実
験的に設定された定数である。また、この式において
「−αVB 」の項は、ブースタ12の助勢限界点が操作
速度VB に応じて通常値P1 から変動する量を表してい
る。
【0032】図7には、それら操作速度VB と増圧開始
基準値PTHとの関係の一例がグラフで示されている。本
実施形態においては、増圧開始基準値PTHが操作速度V
B に対してリニアに、かつ、勾配αを有して変化するよ
うに設計されている。しかし、そのように設計すること
は不可欠なことではなく、曲線的な関係としたり、階段
的な関係とすることができる。
【0033】次に、この効き特性制御ルーチンの内容を
図5に基づいて具体的に説明する。本ルーチンは、運転
者により車両のイグニションスイッチがON状態に操作
された後、繰り返し実行される。各回の実行時にはま
ず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のス
テップについても同じとする)において、現在のマスタ
シリンダ液圧PM が検出される。具体的には、まず、マ
スタシリンダ液圧センサ202からマスタシリンダ液圧
信号が取り込まれ、次に、その取り込まれた信号に基づ
いて現在のマスタシリンダ液圧PM が演算される。
【0034】次に、S2において、現在の操作速度VB
が演算される。具体的には、マスタシリンダ液圧PM
今回演算値PM (n) (現在値)から前回演算値P
M (n-1) (本ルーチンの前回の実行時に検出されたマス
タシリンダ液圧PM )が引き算され、その値が本ルーチ
ンの実行周期Δtで割り算され、さらに、その値に適当
な係数mが掛け算され、その値の絶対値が現在の操作速
度VB とされる。すなわち、現在の操作速度VB は、 VB =|m{(PM (n) −PM (n-1) )/Δt}| なる式で演算されるのである。
【0035】続いて、S3において、増圧開始基準値P
THが決定される。具体的には、現在の操作速度VB に基
づき、前述の、 PTH=P1 −αVB なる式を用いて決定される。ここに「P1 」および
「α」はいずれも定数である。
【0036】その後、S4において、検出されたマスタ
シリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより
高いか否かが判定される。ブースタ12が助勢限界点に
到達したためにブレーキシリンダ液圧PB をマスタシリ
ンダ液圧PM より増圧することが必要であるか否かが判
定されるのである。今回はその必要があると仮定すれ
ば、判定がYESとなり、S5において、増圧制御が行
なわれる。
【0037】図8には、その増圧制御の詳細が増圧制御
ルーチンとしてフローチャートで表されている。まず、
S21において、ブレーキシリンダ液圧PB をマスタシ
リンダ液圧PM より増圧すべき増圧量すなわち目標差圧
ΔPが演算される。マスタシリンダ液圧PM と目標差圧
ΔPとの関係がROMに記憶されており、その関係に従
ってマスタシリンダ液圧PM の現在値に対応する目標差
圧ΔPが演算されるのである。図9には、マスタシリン
ダ液圧PM と目標差圧ΔPとの関係がグラフで示されて
いる。目標差圧ΔPは、ブースタ12の助勢限界後にも
ブレーキシリンダ液圧PB がブレーキ操作力FP に対し
て助勢限界前と同じ勾配で増加するように設計されてい
る。
【0038】次に、S22において、演算された目標差
圧ΔPに応じ、圧力制御弁70のソレノイド84に供給
すべき電流値Iが演算される。目標差圧ΔPとソレノイ
ド電流値Iとの関係がROMに記憶されており、その関
係に従って目標差圧ΔPに対応するソレノイド電流値I
が演算されるのである。図10には、目標差圧ΔPとソ
レノイド電流値Iとの関係の一例として、目標差圧ΔP
とソレノイド電流値Iとを直接に対応させるのではなく
ソレノイド吸引力F1 を媒介として間接に対応させる関
係が示されている。目標差圧ΔPとソレノイド吸引力F
1 との関係と、ソレノイド吸引力F1 とソレノイド電流
値Iとの関係とがそれぞれ示されているのである。
【0039】続いて、S23において、圧力制御弁70
のソレノイド84に、演算された電流値Iで電流が供給
されることにより、電流制御が行われる。その後、S2
4において、流入制御弁132のソレノイド212にそ
れをONにする信号が出され、続いて、S25におい
て、ポンプモータ210にそれをONにする信号が出さ
れる。これにより、ポンプ74によりマスタシリンダ1
4から高圧の作動液が汲み上げられるとともに、その作
動液が各ブレーキシリンダ60に吐出され、その結果、
マスタシリンダ14よりマスタシリンダ液圧PM に応じ
た高さだけ高い液圧が各ブレーキシリンダ60に発生さ
せられる。以上で増圧制御ルーチンの一回の実行が終了
し、以上で効き特性制御ルーチンの一回の実行も終了す
る。
【0040】これに対して、検出されたマスタシリンダ
液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高くはな
い場合には、S4の判定がNOとなり、S6において、
終了処理が行なわれる。
【0041】図11には、その終了処理の詳細が終了処
理ルーチンとしてフローチャートで表されている。ま
ず、S41において、圧力制御弁70のソレノイド84
がOFFにされ、次に、S42において、流入制御弁1
32のソレノイド212がOFFにされ、続いて、S4
3において、ポンプモータ210がOFFにされる。以
上で終了処理ルーチンの一回の実行が終了し、以上で効
き特性制御ルーチンの一回の実行も終了する。
【0042】以上、効き特性制御ルーチンを図面に基づ
いて説明したが、以下、アンチロック制御ルーチンを説
明する。
【0043】アンチロック制御ルーチンは、車輪速セン
サ204により各輪の車輪速および車体の走行速度を監
視しつつ、保持弁100は開状態、減圧弁110は閉状
態とする増圧状態,保持弁100も減圧弁110も閉状
態とする保持状態および保持弁100は閉状態、減圧弁
110は開状態とする減圧状態を選択的に実現すること
により、車両制動時に各輪がロックすることを防止す
る。アンチロック制御ルーチンは、アンチロック制御中
ポンプモータ210を作動させ、ポンプ74によりリザ
ーバ108から作動液を汲み上げて主通路64に戻す。
【0044】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ポンプ74と圧力制御弁70と流入制御
弁132とマスタシリンダ液圧センサ202とが互いに
共同して「増圧装置」を構成し、ポンプ74が「別の液
圧源」を構成し、マスタシリンダ液圧センサ202と、
ECU200のうち図5のS2およびS3を実行する部
分とが互いに共同して「増圧開始時期制御手段」の一例
を構成し、その一例の「増圧開始時期制御手段」が「関
係変化抑制装置」を構成しているのである。
【0045】次に、本発明の第2実施形態であるブレー
キ装置を説明する。ただし、本実施形態は先の第1実施
形態とソフトウェア構成のみが異なり、ハードウェア構
成は共通であるため、ソフトウェア構成のみを詳細に説
明し、ハードウェア構成については同一の符号を使用す
ることによって詳細な説明を省略する。
【0046】第1実施形態においては、操作速度VB
マスタシリンダ液圧PM の検出値を実質的に時間に関し
て微分することによって取得されるようになっている
が、本実施形態においては、ブレーキペダル10の操作
ストロークSB の検出値を実質的に時間に関して微分す
ることによって取得される。
【0047】そのため、本実施形態においては、図12
に示すように、操作ストロークSBを検出する操作スト
ロークセンサ220が追加されている。操作ストローク
センサ220は、ブレーキペダル10の回動に応じて直
線運動する部材のストロークを操作ストロークSB とし
て検出する形式としたり、ブレーキペダル10の回動に
応じて回転する部材の回転位置を操作ストロークSB
して検出する形式とすることができる。
【0048】図13には、本実施形態におけるECU2
00のコンピュータにより実行される効き特性制御ルー
チンが示されている。以下、本ルーチンを説明するが、
第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通する
ステップについては簡単に説明する。
【0049】まず、S101において、前記S1におけ
ると同様に、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出され
る。次に、S102において、現在の操作ストロークS
B が検出される。具体的には、操作ストロークセンサ2
20から操作ストローク信号が取り込まれ、その取り込
まれた信号に基づいて現在の操作ストロークSB が演算
される。続いて、S103において、現在の操作速度V
B が演算される。具体的には、操作ストロークSB の今
回演算値SB (n) から前回演算値SB (n-1) が引き算さ
れ、その値が本ルーチンの実行周期Δtで割り算され、
さらに、その値に適当な係数nが掛け算され、その値の
絶対値が現在の操作速度VB とされる。すなわち、現在
の操作速度VB は、 VB =|n{(SB (n) −SB (n-1) )/Δt}| なる式で演算されるのである。
【0050】続いて、S104において、前記S3にお
けると同様に、増圧開始基準値PTHが決定される。その
後、S105において、検出されたマスタシリンダ液圧
Mが決定された増圧開始基準値PTHより高いか否かが
判定される。今回は高いと仮定すれば、判定がYESと
なり、S106において、増圧制御が行なわれる。これ
に対して、今回は、検出されたマスタシリンダ液圧PM
が決定された増圧開始基準値PTHより高くはないと仮定
すれば、S105の判定がNOとなり、S107におい
て、終了処理が行なわれる。以上で効き特性制御ルーチ
ンの一回の実行が終了する。
【0051】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、操作ストロークセンサ220と、ECU
200のうち図13のS102〜S104を実行する部
分とが互いに共同して「増圧開始時期制御手段」の一例
を構成し、その一例の「増圧開始時期制御手段」が「関
係変化抑制装置」を構成しているのである。
【0052】次に、本発明の第3実施形態であるブレー
キ装置を説明する。ただし、本実施形態は最先の第1実
施形態とソフトウェア構成のみが異なり、ハードウェア
構成は共通であるため、ソフトウェア構成のみを詳細に
説明し、ハードウェア構成については同一の符号を使用
することによって詳細な説明を省略する。
【0053】第1実施形態においては、通常値P1 が固
定値とされている。操作速度VB が同じであれば、ブー
スタ12の助勢限界点も同じになると仮定されているか
らである。しかし、操作速度VB が同じでも、エンジン
の運転状態が異なればエンジンの吸気管28の負圧(以
下、「エンジン負圧」という)が異なる。図16に示す
ように、エンジンのクランクシャフトの回転数(以下、
単に「エンジン回転数」という)が増加するにつれてエ
ンジン負圧が上昇し(負圧傾向が強くなり)、また、図
17に示すように、吸気管28内に設けられたスロット
ルバルブの開度(以下、単に「スロットル開度」とい
う)が増加するにつれてエンジン負圧が低下する(負圧
傾向が弱くなる)。そして、エンジン負圧が異なればブ
ースタ12の負圧室24の圧力も異なり、ひいては、ブ
ースタ12の助勢限界点も異なる。
【0054】そこで、本実施形態においては、通常値P
1 が固定値ではなく、エンジン負圧に応じた可変値とさ
れている。さらに、本実施形態においては、通常値P1
が、ブレーキ操作時であるという条件下でエンジンが通
常示す運転状態でブレーキペダル10が通常の速度で操
作された場合にブースタ12が助勢限界に至るときのマ
スタシリンダ液圧PM に設定されている。その上で、エ
ンジンの運転状態が通常のものとは異なることに起因し
て実際の助勢限界点がその通常値P1 から変動する量が
第1変動量として取得される。さらに、ブレーキペダル
10の操作速度VB が通常のものとは異なることに起因
して実際の助勢限界点がその通常値P1から変動する量
が第2変動量として取得され、そして、それら通常値P
1 と第1および第2変動量とから総合的に実際の助勢限
界点が推定されて増圧開始基準値PTHが決定される。ま
た、本実施形態においては、エンジンの運転状態がスロ
ットル開度とエンジン回転数とに基づいて検出される。
【0055】そのため、本実施形態においては、図14
に示すように、スロットル開度TSを検出するスロット
ル開度センサ240と、エンジン回転数RS を検出する
エンジン回転数センサ242とが第1実施形態に対して
追加されている。
【0056】図15には、本実施形態におけるECU2
00のコンピュータにより実行される効き特性制御ルー
チンが示されている。以下、本ルーチンを説明するが、
第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通する
ステップについては簡単に説明する。
【0057】まず、S161において、前記S1におけ
ると同様に、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出され
る。次に、S162において、前記S2におけると同様
に、現在の操作速度VB が演算される。続いて、S16
3において、現在のスロットル開度TS が検出される。
スロットル開度センサ240からのスロットル開度信号
に基づき、現在のスロットル開度TS が演算されるので
ある。その後、S164において、現在のエンジン回転
数RS が検出される。エンジン回転数センサ242から
のエンジン回転数信号に基づき、現在のエンジン回転数
S が演算されるのである。続いて、S165におい
て、増圧開始基準値PTHが決定される。具体的には、通
常値P1 とスロットル開度TS とエンジン回転数RS
操作速度V B とに基づき、 PTH=P1 −β1 S +β2 S −αVB なる式を用いて演算される。この式において「−β1
S +β2 S 」の項は上記第1変動量を表し、また、
「−αVB 」の項は上記第2変動量を表している。ま
た、「β1 」は、図17のグラフの勾配、「β2 」は、
図16のグラフの勾配を表している。
【0058】その後、S166において、検出されたマ
スタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTH
より高いか否かが判定される。今回は高いと仮定すれ
ば、判定がYESとなり、S167において、増圧制御
が行なわれる。これに対して、今回は、検出されたマス
タシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基準値PTH
り高くはないと仮定すれば、S166の判定がNOとな
り、S168において、終了処理が行なわれる。以上で
効き特性制御ルーチンの一回の実行が終了する。
【0059】なお付言すれば、本実施形態においては、
エンジンの運転状態がスロットル開度TS とエンジン回
転数RS との双方によって検出されるようになっている
が、いずれかのみによって検出することが可能である。
【0060】さらに付言すれば、本実施形態において
は、スロットル開度センサ240とエンジン回転数セン
サ242とはそもそも、エンジン制御またはトランスミ
ッション制御に設けられたものであり、よって、それら
センサ240,242はポンプ74による効き特性制御
に流用されているのである。
【0061】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、マスタシリンダ液圧センサ202とスロ
ットル開度センサ240とエンジン回転数センサ242
と、ECU200のうち図15のS162〜S165を
実行する部分とが互いに共同して「増圧開始時期制御手
段」の一例を構成し、その一例の「増圧開始時期制御手
段」が「関係変化抑制装置」を構成しているのである。
【0062】次に、本発明の第4実施形態であるブレー
キ装置を説明する。ただし、本実施形態は最先の第1実
施形態とソフトウェア構成のみが異なり、ハードウェア
構成は共通であるため、ソフトウェア構成のみを詳細に
説明し、ハードウェア構成については同一の符号を使用
することによって詳細な説明を省略する。
【0063】第1実施形態においては、急ブレーキ操作
時には、通常ブレーキ操作時におけるより早い時期にポ
ンプ74によるブレーキシリンダ60の増圧開始が行な
われるようになっている。
【0064】一方、この種のブレーキ装置においては、
ポンプ74がブレーキシリンダ液圧PB をマスタシリン
ダ液圧PM より増圧する機能を有することに着目すれ
ば、ポンプ74をブースタとみなすことができ、そのよ
うな状況下では、ブースタ12のサーボ比RB とポンプ
74のサーボ比RP との積により、ブレーキ操作力FB
とブレーキシリンダ液圧PB との関係、すなわち、ブレ
ーキ装置全体のサーボ比RTOT を表すことができる。
【0065】急ブレーキ操作時には、ポンプ74による
増圧開始時期を早めるのみならず、ポンプサーボ比RP
を大きくすることが望ましい。急ブレーキ操作時には、
通常ブレーキ操作時におけるより、実際のブースタサー
ボ比RB が低下してしまい、それをポンプサーボ比RP
によって補償することが望ましいからである。そのた
め、ポンプサーボ比RP を、急ブレーキ操作時であるか
通常ブレーキ操作時であるかを問わず、従来のブレーキ
装置におけるより大きく設定することが考えられる。し
かし、このようにしたのでは、通常ブレーキ操作時に全
体サーボ比RTOTが過剰となってブレーキシリンダ液圧
B が過剰となってしまう。
【0066】この問題は、一連の急ブレーキ操作におい
ては、次のような問題として把握することができる。急
ブレーキ操作といっても、その操作中、操作速度VB
常に高いわけではなく、図20の(b) に示すように、最
大値を超えた後には低下して通常値に至るのが一般的で
ある。そのため、急ブレーキ操作においては、操作速度
B が高い急操作域では、全体サーボ比RTOT が適正と
なり、同図の(a) に破線グラフで示すように、ブレー
キシリンダ液圧PB が図において細線グラフで示す設
計値に十分に近い高さとなる。これに対して、後続する
通常操作域では、ブースタ12の負圧室24の負圧がエ
ンジン負圧によって回復し、それによってブースタサー
ボ比RB も回復するため、全体サーボ比RTOT が過剰と
なり、破線グラフで示すように、ブレーキシリンダ液
圧PB が細線グラフで示す設計値に対して過剰となっ
てしまう。なお、同図の(a) のグラフは、ブレーキ操作
力FB の時間的変化勾配が一定と仮定されて作成されて
いるため、そのグラフは結局、ブレーキ操作力FB とブ
レーキシリンダ液圧PB (車体減速度Gに相当する)と
の関係をも表している。
【0067】そこで、本実施形態においては、ポンプサ
ーボ比RP が操作速度VB が大きい場合には大きく、小
さい場合には小さくなるように変化する可変値とされて
いる。本実施形態においては、図19に示すように、操
作速度VB が基準値VTHより小さい通常操作域では、基
準値RP0と等しくなるように決定される。ここに、基準
値RP0は、従来のブレーキ装置におけると同じ値とされ
ている。これに対して、操作速度VB が基準値VTHを超
えた急操作域では、基準値RP0に対して勾配γで増加す
るように決定される。すなわち、 RP =RP0+γ(VB −VTH) なる式を用いて決定されるのである。ただし、このよう
にブレーキ操作状態を基準値VTHを基準にして2つの領
域に明確に分割することは不可欠なことではなく、連続
した関数によりポンプサーボ比RP を決定することは可
能である。
【0068】図18には、本実施形態におけるECU2
00のコンピュータにより実行される効き特性制御ルー
チンが示されている。以下、本ルーチンを説明するが、
第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通する
ステップについては簡単に説明する。
【0069】まず、S201において、前記S1におけ
ると同様に、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出され
る。次に、S202において、前記S2におけると同様
に、現在の操作速度VB が演算される。続いて、S20
3において、前記S3におけると同様に、増圧開始基準
値PTHが決定される。その後、S204において、検出
されたマスタシリンダ液圧PM が決定された増圧開始基
準値PTHより高いか否かが判定される。今回は高いと仮
定すれば、判定がYESとなり、S205において、演
算された操作速度VB が基準値VTHより大きいか否かが
判定される。今回は大きいと仮定すれば、判定がYES
となり、S206において、ポンプサーボ比RP が上記
の式を用いて、基準値RP0より大きい値に決定される。
これに対して、今回は演算された操作速度VB が基準値
THより大きくはないと仮定すれば、S205の判定が
NOとなり、S207において、ポンプサーボ比RP
基準値RP0と等しい値に決定される。いずれの場合に
も、その後、S208において、増圧制御が行なわれ
る。これに対して、今回は、検出されたマスタシリンダ
液圧PM が決定された増圧開始基準値PTHより高くはな
いと仮定すれば、S204の判定がNOとなり、S20
9において、終了処理が行なわれる。以上で効き特性制
御ルーチンの一回の実行が終了する。
【0070】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、マスタシリンダ液圧センサ202と、E
CU200のうち図18のS202およびS203を実
行する部分とが互いに共同して「増圧開始時期制御手
段」の一例を構成し、マスタシリンダ液圧センサ202
と、ECU200の図18のS202,S205〜S2
07を実行する部分とが互いに共同して「増圧量制御手
段」の一例を構成し、それら一例の「増圧開始時期制御
手段」と一例の「増圧量制御手段」とがそれぞれ「関係
変化抑制装置」を構成しているのである。
【0071】次に、本発明の第5実施形態であるブレー
キ装置を説明する。ただし、本実施形態は最先の第1実
施形態とソフトウェア構成のみが異なり、ハードウェア
構成は共通であるため、ソフトウェア構成のみを詳細に
説明し、ハードウェア構成については同一の符号を使用
することによって詳細な説明を省略する。
【0072】ポンプ74による増圧が必要であると判定
されてそのポンプ74に駆動信号が供給されてからポン
プ74が定常回転に至るまでに時間が必要であるが、こ
のようなポンプ74の応答遅れはブレーキシリンダ液圧
B の応答遅れとして現れる。また、ポンプ74による
目標増圧量は、本実施形態においては、マスタシリンダ
液圧PM に応じてリニアで増加するため、マスタシリン
ダ液圧PM の時間的変化勾配が大きいほど、目標増圧量
の時間的変化勾配が大きくなる。マスタシリンダ液圧P
M の時間的変化勾配は、急ブレーキ操作時において通常
ブレーキ操作時におけるより大きい。また、目標増圧量
の時間的変化勾配が大きいほど、ポンプ74の応答遅れ
を少なくすることが望ましい。
【0073】図23の(a) には、ポンプ74の応答遅れ
がブレーキシリンダ液圧PB に及ぼす影響が、急ブレー
キ操作時と通常ブレーキ操作時とについてそれぞれ示さ
れている。実線グラフは、急ブレーキ操作時に、ポン
プ74の応答遅れがないと仮定した場合のブレーキシリ
ンダ液圧PB の時間的変化を示す。これに対して、破線
グラフは、急ブレーキ操作時に、ポンプ74の応答遅
れがある場合のブレーキシリンダ液圧PB の時間的変化
を示す。また、実線グラフは、通常ブレーキ操作時
に、ポンプ74の応答遅れがある場合のブレーキシリン
ダ液圧PB の時間的変化を示す。それらグラフから明ら
かなように、ブレーキシリンダ液圧PB は、通常ブレー
キ操作時には、ポンプ74の応答遅れの影響を急ブレー
キ操作時ほどには受けない。
【0074】なお、グラフ〜は、ブレーキ操作力F
B の時間的変化勾配が一定と仮定されて作成されている
が、グラフおよびとグラフとでは、その時間的変
化勾配が異なるため、グラフの傾きもおよびとと
で異なっている。また、グラフおよびはいずれも、
ブレーキシリンダ液圧PB (車体減速度Gに相当する)
がブレーキ操作力FB に応じてリニアで増加する関係を
も表している。
【0075】それらの事情を背景として、本実施形態に
おいては、圧力制御弁70と流入制御弁132とについ
ては、同図の(c) に実線グラフおよび’で示すよう
に、操作速度VB の大小を問わず、マスタシリンダ液圧
M が基準値P0 に到達したときに駆動信号の供給が開
始される。これに対して、ポンプ74については、同図
の(b) に示すように、急ブレーキ操作時には、実線グラ
フで示すように、圧力制御弁70および流入制御弁1
32への駆動信号供給開始に先行して駆動信号供給が開
始され、一方、通常ブレーキ操作時には、破線グラフ
’で示すように、圧力制御弁70および流入制御弁1
32への駆動信号供給開始とほぼ同期して駆動信号供給
が開始される。
【0076】なお、同図の(a) のグラフには、急ブレー
キ操作に起因したブースタ12の負圧室24の負圧低下
の影響が考慮されてはいない。実際には、急ブレーキ操
作時には、その負圧室24の負圧低下の影響とポンプ7
4の応答遅れの影響との双方により、全体サーボ比R
TOT が低下してブレーキシリンダ液圧PB が低下するこ
とになるが、ここでは、説明を簡単にするために、ポン
プ74の応答遅れの影響のみを考慮することとする。
【0077】上記の作動を実現するために、圧力制御弁
70と流入制御弁132とについては、マスタシリンダ
液圧PM が基準値P0 に到達したときに、駆動信号の供
給が開始される。これに対して、ポンプモータ210に
ついては、マスタシリンダ液圧PM がポンプモータ開始
液圧PPMに到達したときに、駆動信号の供給が開始され
る。ここに、ポンプモータ開始液圧PPMは、急ブレーキ
操作時において通常ブレーキ操作時におけるより低くな
るように決定され、急ブレーキ操作時において通常ブレ
ーキ操作時におけるより容易にポンプ74の作動開始が
行なわれるようになっている。また、ポンプモータ開始
液圧PPMは、本実施形態においては、図22に示すよう
に、操作速度VB が基準値VTH以下の通常操作域では、
基準値P 0 と等しくなるように決定される。一方、基準
値VTHより大きい急操作域では、基準値P0 に対してリ
ニアに、かつ、勾配kを有して減少するように決定され
る。すなわち、 PPM=P0 −k(VB −VTH) なる式を用いて決定されるのである。
【0078】なお付言すれば、基準値P0 は、前記通常
値P1 と等しい値としたり、前記増圧開始基準値PTH
等しい値とすることができる。急ブレーキ操作に起因し
た負圧室24の負圧低下を考慮したり、エンジンの運転
状態の変化に起因したエンジン負圧の低下を考慮して決
定することができるのである。
【0079】図21には、本実施形態におけるECU2
00のコンピュータにより実行される効き特性制御ルー
チンが示されている。以下、本ルーチンを説明するが、
第1実施形態における効き特性制御ルーチンと共通する
ステップについては簡単に説明する。
【0080】まず、S301において、前記S1におけ
ると同様に、現在のマスタシリンダ液圧PM が検出され
る。次に、S302において、前記S2におけると同様
に、現在の操作速度VB が演算される。続いて、S30
3において、演算された操作速度VB が基準値VTHより
大きいか否かが判定される。今回は大きいと仮定すれ
ば、判定がYESとなり、S304において、ポンプモ
ータ開始液圧PPMが、上記の式を用いて基準値P0 より
低い高さに決定される。これに対して、今回は、演算さ
れた操作速度VB が基準値VTHより大きくはないと仮定
すれば、S303の判定がNOとなり、S305におい
て、ポンプモータ開始液圧PPMが基準値P 0 と等しい高
さに決定される。
【0081】いずれの場合にも、その後、S306にお
いて、検出されたマスタシリンダ液圧PM が決定された
ポンプモータ開始液圧PPMより高いか否かが判定され
る。今回は高いと仮定すれば、判定がYESとなり、S
307において、ポンプモータ210がONにされ、続
いて、S308において、検出されたマスタシリンダ液
圧PM が基準値P0 より高いか否かが判定される。今回
は高くはないと仮定すれば、判定がNOとなり、S30
9において、新たなマスタシリンダ液圧PM が検出さ
れ、再び、S308が実行される。それらS308およ
びS309の実行が繰り返されるうちに、最新のマスタ
シリンダ液圧PM が基準値P0 より高くなれば、S30
8の判定がYESとなり、S310において、圧力制御
弁310がONにされ、続いて、S311において、流
入制御弁132がONにされる。
【0082】これに対して、今回は、検出されたマスタ
シリンダ液圧PM が決定されたポンプモータ開始液圧P
PMより高くはないと仮定すれば、S306の判定がNO
となり、S312において、終了処理が行なわれる。以
上で効き特性制御ルーチンの一回の実行が終了する。
【0083】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、マスタシリンダ液圧センサ202と、E
CU200のうち図21のS302〜S307を実行す
る部分とが互いに共同して「ポンプ作動開始時期制御手
段」の一例を構成し、その一例の「ポンプ作動開始時期
制御手段」が「関係変化抑制装置」を構成しているので
ある。
【0084】以上、本発明のいくつかの実施の形態を図
面に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許
請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づい
て種々の変形,改良を施した形態で実施することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるブレーキ装置を示
す系統図である。
【図2】図1における圧力制御弁を拡大して示す断面図
である。
【図3】図2の圧力制御弁におけるソレノイド電流値I
とソレノイド吸引力F1 との関係を示すグラフである。
【図4】上記ブレーキ装置のソフトウェア構成を示すブ
ロック図である。
【図5】図4のECUのコンピュータにより実行される
効き特性制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】その効き特性制御ルーチンの内容を説明するた
めのグラフである。
【図7】その効き特性制御ルーチンにおける操作速度V
B と増圧開始基準値PTHとの関係を示すグラフである。
【図8】図5におけるS5の詳細を増圧制御ルーチンと
して示すフローチャートである。
【図9】その増圧制御ルーチンにおけるマスタシリンダ
液圧PM と目標差圧ΔPとの関係を示すグラフである。
【図10】その増圧制御ルーチンにおける目標差圧ΔP
とソレノイド吸引力F1 とソレノイド電流値Iとの関係
を示すグラフである。
【図11】図5におけるS6の詳細を終了処理ルーチン
として示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態であるブレーキ装置の
ソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図13】図12のECUのコンピュータにより実行さ
れる効き特性制御ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図14】本発明の第3実施形態であるブレーキ装置の
ソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図15】図14のECUのコンピュータにより実行さ
れる効き特性制御ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図16】その効き特性制御ルーチンの内容を説明する
ためのグラフである。
【図17】その効き特性制御ルーチンの内容を説明する
ためのグラフである。
【図18】本発明の第4実施形態であるブレーキ装置の
ECUのコンピュータにより実行される効き特性制御ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図19】その効き特性制御ルーチンにおける操作速度
B とポンプサーボ比RP との関係を示すグラフであ
る。
【図20】その効き特性制御ルーチンの内容を説明する
ためのグラフである。
【図21】本発明の第5実施形態であるブレーキ装置の
ECUのコンピュータにより実行される効き特性制御ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図22】その効き特性制御ルーチンにおける操作速度
B とポンプモータ開始液圧PPMとの関係を示すグラフ
である。
【図23】その効き特性制御ルーチンの内容を説明する
ためのグラフである。
【符号の説明】
10 ブレーキペダル 12 バキュームブースタ 14 マスタシリンダ 50 ブレーキ 60 ブレーキシリンダ 70 圧力制御弁 74 ポンプ 132 流入制御弁 200 電子制御ユニット(ECU) 202 マスタシリンダ液圧センサ 220 操作ストロークセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁田 博史 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレーキ操作部材と、 入力された力により液圧を発生させるマスタシリンダ
    と、 前記ブレーキ操作部材の操作力を助勢して前記マスタシ
    リンダに入力するバキュームブースタと、 前記マスタシリンダと液通路により接続され、その液通
    路から供給された液圧により作動するブレーキシリンダ
    を有し、車輪の回転を抑制するブレーキと、 ブレーキ操作時に、前記マスタシリンダとは別の液圧源
    により、前記ブレーキシリンダの液圧をマスタシリンダ
    の液圧より高い液圧に増圧する増圧装置とを含むブレー
    キ装置において、 前記増圧装置に、それによる前記ブレーキシリンダの増
    圧時に、前記ブレーキ操作部材の操作力と車体減速度と
    の関係がブレーキ操作部材の操作速度に応じて変化する
    ことを抑制する関係変化抑制装置を設けたことを特徴と
    するブレーキ装置。
  2. 【請求項2】前記関係変化抑制装置が、前記増圧装置に
    よる前記ブレーキシリンダの増圧開始時期を、前記ブレ
    ーキ操作部材の操作速度が大きい場合において小さい場
    合におけるより早める増圧開始時期制御手段を含む請求
    項1に記載のブレーキ装置。
  3. 【請求項3】前記関係変化抑制装置が、前記増圧装置が
    前記ブレーキシリンダの液圧を前記マスタシリンダの液
    圧より増圧する量を、前記操作速度が大きい場合におい
    て小さい場合におけるより増加させる増圧量制御手段を
    含む請求項1または2に記載のブレーキ装置。
  4. 【請求項4】前記増圧装置が、前記液通路の途中に設け
    られた流通制御弁を有するとともに、前記液通路のうち
    その流通制御弁と前記ブレーキシリンダとの間の部分に
    吐出側が接続されたポンプを前記別の液圧源として有
    し、かつ、流通制御弁により少なくともブレーキシリン
    ダから前記マスタシリンダへ向かう作動液の流れを阻止
    した状態でポンプによりブレーキシリンダの液圧をマス
    タシリンダの液圧より高い液圧に増圧するポンプ型増圧
    装置を含み、前記関係変化抑制装置が、前記操作速度が
    基準値より大きい場合に、前記ポンプの作動開始時期
    を、前記流通制御弁の作動開始時期より早めるポンプ作
    動開始時期制御手段を含む請求項1ないし3のいずれか
    に記載のブレーキ装置。
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