JPH10247694A - 不揮発性半導体記憶装置 - Google Patents

不揮発性半導体記憶装置

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JPH10247694A
JPH10247694A JP9138965A JP13896597A JPH10247694A JP H10247694 A JPH10247694 A JP H10247694A JP 9138965 A JP9138965 A JP 9138965A JP 13896597 A JP13896597 A JP 13896597A JP H10247694 A JPH10247694 A JP H10247694A
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明弘 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】MONOS型等の不揮発性記憶装置は、FG型
に比べデータ保持特性が悪くセル面積が大きい。また、
リードディスターブを改善する必要がある。 【解決手段】半導体のチャネル形成領域11a上に、ト
ンネル膜12、窒化膜13a、トップ酸化膜13bをゲ
ート電極14との間に下層から順に積層してなり、トン
ネル膜12の膜厚Tが、基板11中の電荷がトンネル膜
12をダイレクトトンネリングする範囲でかつ2.2
(好ましくは3.4)nm以上である。この場合、トン
ネル膜12の膜厚増加に応じて、トップ酸化膜13bの
膜厚を従来の4nmより薄く設定して、消去側のトンネ
ル膜12と書き込み側のトップ酸化膜13bとの電界強
度(膜通過キャリアの遷移量)を均衡させる。好ましく
は、トップ酸化膜13bはトンネル膜12より薄い。ま
た、窒化膜13aは、その化学量論比(Si:N=3:
4)よりもシリコンの含有比が多い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不揮発性記憶装置
に関し、特に半導体基板や、半導体基板表面に形成され
たウェル等のチャネル形成領域上に、トンネル膜、絶縁
膜、ゲート電極を下層から順に積層してなる不揮発性記
憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】MNOS(Metal-Nitride-Oxide Semicon
ductor) 型やMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide S
emiconductor) 型の不揮発性記憶装置(以下、MIOS
型ともいう)は、ゲート電極が単層であり、ゲート電極
が2層構造であるフローティングゲート(以下、FGと
記す)型の不揮発性記憶装置と比較して単純な素子構造
を有している。図11には、MONOS型の不揮発性記
憶装置の断面図を示す。この図に示すように、MONO
S型の不揮発性記憶装置6は、半導体基板11のチャネ
ル形成領域11a上に、酸化シリコン膜または酸化窒化
膜などからなるトンネル膜12、窒化シリコン膜13a
とその上層の酸化シリコン膜13bとからなる絶縁膜1
3、ゲート電極14を下層から順に積層した構造になっ
ている。本発明で「チャネル形成領域」とは、その表面
側内部に、電子または正孔が導電するチャネルが形成さ
れる領域をいい、たとえば、半導体基板そのものの表面
部分、半導体基板表面に形成されたウェルの表面部分
等、各種の形態が存在する。
【0003】上記MONOS型の不揮発性記憶装置にお
けるトンネル膜12は、その膜厚が記憶素子としての諸
特性を決定する意味で重要であり、例えば一例を挙げる
ならば、Cheng Wang著「Hot Carrier Design Considera
tion for MOS Devices and Circuits 」p.219で
は、上記トンネル膜12の膜厚がT=1.5nm〜2.
0nm程度の範囲内に設定されている。これは、上記絶
縁膜13が窒化シリコン膜13aの単層からなるMNO
S型の不揮発性記憶装置でも同様である。そして、上記
トンネル膜12の膜厚は、FG型の不揮発性記憶装置に
おけるトンネル酸化膜の膜厚と比較して、1/5程度の
薄さである。
【0004】また、これらMIOS型の不揮発性記憶装
置は、上記のようにトンネル膜12が薄いため、FG型
の不揮発性記憶装置と比較して低電圧での電荷注入が可
能であり、書き込み特性に優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記MIOS
型の不揮発性記憶装置は、FG型の不揮発性記憶装置と
比較してデータの保持特性が劣るものであった。一般
に、FG型の不揮発性記憶装置におけるデータ保持の保
証期間は、125℃で10年である。これに対して、M
IOS型の不揮発性記憶装置におけるデータ保持の保証
期間は、85℃で10年である。
【0006】また、上記MIOS型の不揮発性記憶装置
では、上述のように低電圧での書き込み特性が優れてい
る反面、リードディスターブ、すなわち、読み出し時の
低いゲート電圧で絶縁膜に電荷が蓄積され、これによっ
て誤書き込みが発生するという問題があった。このた
め、各記憶素子ごとに選択トランジスタを個別に設けた
2トランジスタ構成にすることによって、上記リードデ
ィスターブによる誤書き込みの発生を防止してきた。し
たがって、従来のMIOS型の不揮発性記憶装置は、各
記憶素子ごとに選択トランジスタを設ける必要のないF
G型の不揮発性記憶装置との比較において、セル面積が
1.5倍以上にもなっていた。
【0007】本発明は、かかる実情に鑑みてなされ、デ
ータ保持特性およびリードディスターブ耐性を向上させ
た不揮発性半導体記憶装置を提供することを目的とす
る。また、本発明の目的は、リードディスターブ耐性を
向上させることにより、望ましくは更に記憶素子をエン
ハンスメント形とすることにより、選択トランジスタを
設けない、いわゆる1トランジスタセル構成を実現する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した従来技術の問題
点を解決し、上記目的を達成するために、本発明にかか
る不揮発性半導体記憶装置では、半導体のチャネル形成
領域上にトンネル膜、絶縁膜、ゲート電極を下層から順
に積層してなる不揮発性半導体記憶装置であって、前記
トンネル膜の膜厚は、半導体基板中の電荷が当該トンネ
ル膜をダイレクトトンネリングする範囲でかつ2.2n
m以上であることを特徴とする。
【0009】上記不揮発性半導体記憶装置では、チャネ
ル形成領域中の電荷がトンネル膜をダイレクトトンネリ
ングする範囲に当該トンネル膜の膜厚が設定されている
ことから、従来と同様な Modified F−N(Fowler-Nor
dheim)Tunneling のメカニズムによって上記絶縁膜に電
荷が注入される。また、トンネル膜の膜厚が2.2nm
以上と従来のMIOS型不揮発性記憶装置と比較して厚
いため、このトンネル膜がバリアになって絶縁膜に注入
された電荷が半導体基板中にリークし難くなり、データ
保持特性が向上する。これとともに、読み出しの際の低
いゲート電圧では絶縁膜に電荷が注入されにくくなる。
【0010】また、上記不揮発性記憶装置において、上
記絶縁膜は化学量論比であるSi34 (Si:N=
3:4)よりもシリコンの含有比が多いことを特徴とす
る。
【0011】上記のようなシリコンの含有比が多い窒化
シリコンで絶縁膜を構成することによって、当該絶縁膜
における電荷のトラップ密度が増加し、当該絶縁膜の導
電性が高くなる。このため、ゲート電極に電圧を印加し
た際には、トンネル膜に対しより強い電界がかかるよう
になり、トンネル膜を従来より厚くすることによる書き
込み/消去時の印加電圧の上昇を低く抑えることができ
る。
【0012】一方、リードディスターブが起こり難くす
るためには、MONOS型の不揮発性記憶装置におい
て、必要な書き込み時のしきい値電圧の変化幅が得られ
る範囲内で、トップ酸化膜厚を薄くするとよい。この場
合、本発明の前記絶縁膜は、前記トンネル膜上の窒化膜
と、当該窒化膜上のトップ酸化膜とから構成され、前記
トップ酸化膜は、トンネル膜の膜厚を2.2nm以上と
設定し、かつトップ酸化膜の膜厚を、その膜質によって
絶対膜厚は変わるが、キャリアの遷移量という観点から
等価的にトンネル膜の膜厚と同じか、それ以下の膜厚に
設定されていることを他の特徴とする。このことを更に
具体的に定義すると、前記トップ酸化膜は、そのトップ
酸化膜を通過するキャリアの遷移量が前記トンネル膜を
通過するキャリアの遷移量とほぼ等しいか多くなる膜厚
に設定されている。好ましくは、前記トップ酸化膜は、
前記トンネル酸化膜の膜厚より薄い膜厚に設定されてい
る。
【0013】上述したように、トンネル膜を厚くすると
読み出しの際の低いゲート電圧では絶縁膜に電荷が注入
され難くなる。これに加えて、トップ酸化膜を薄くする
と、データ読み出し時の消去側のトンネル膜と書き込み
側のトップ酸化膜とにかかる電界強度を均衡する方向に
膜厚が調整され、リードディスターブが起こり難くな
る。すなわち、注入された電荷が厚いトップ酸化膜でブ
ロッキングされるようなことがなくなり、特に消去側の
しきい値電圧上昇が抑えられ、読み出し時の誤書き込み
が防止される。これらの構成により、リードディスター
ブが改善されるので、読み出し時に選択トランジスタが
不要となり、いわゆる1トランジスタセルが実現可能と
なる。さらに、トンネル膜を規定の値(3.4nm)以
上に厚くすると、記憶素子についてエンハンスメント形
の範囲で書き込み、消去動作が可能となり、1トランジ
スタセル構成に有利となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の不揮発性記憶装置
の実施の形態を説明する。ここでは、MIOS型の不揮
発性記憶装置の一つであるMONOS型の不揮発性記憶
装置を例に、本発明の実施形態を説明する。
【0015】第1実施形態 図1は、MONOS型の不揮発性記憶装置の断面図であ
る。図1に示すように、この不揮発性記憶装置1と、従
来のMONOS型の不揮発性記憶装置とが異なるところ
は、半導体基板の一部をなすチャネル形成領域11a上
のトンネル膜12の膜厚Tにある。なお、先に記述した
チャネル形成領域の定義から明らかなように、チャネル
形成領域11aはウェルまたはエピタキシャル成長層や
SOIの半導体層等に形成される場合もあり得る。
【0016】従来のMIOS型の不揮発性記憶装置で
は、上記トンネル酸化膜の膜厚が通常、1.5〜2.0
nmに設定されていたのに対して、この不揮発性記憶装
置1のトンネル膜12の膜厚Tは、チャネル形成領域1
1a中の電荷が当該トンネル膜12をダイレクトにトン
ネリングする範囲でかつ2.2nm以上に設定されてい
る。具体的な一例としては、トンネル膜12は、これに
10MV/cmの電界がかけられる条件下において、
2.2nm〜3.5nmの範囲に設定され、好ましく
は、例えば動作電圧の印加範囲でエンハンスメント形で
のみ動作を可能にする膜厚に設定されている。エンハン
スメント形のみでの動作を可能とするためには、トンネ
ル膜12を3.4nm以上の膜厚とすることが望まし
い。なお、上記トンネル膜12は、熱酸化法、酸窒化法
またはCVD法等によってチャネル形成領域11aの表
面に生成した酸化シリコンや酸化窒化シリコンからな
る。
【0017】上記構成の不揮発性記憶装置1では、トン
ネル膜12の膜厚Tが、半導体基板11中の電荷が当該
トンネル膜12をダイレクトにトンネリングする範囲に
設定されていることから、書き込みの際に絶縁膜13に
は従来と同様のメカニズム、すなわち Modified F−N
Tunnelingによって電荷が注入される。したがって、書
き込み特性を従来と同様に維持できるとともに、従来と
同様にトンネル膜12にダメージを及ぼすことなく書き
込みを行うことができる。
【0018】また、上記トンネル膜12の膜厚Tは、
2.2nm以上と従来のMIOS型の不揮発性記憶装置
と比較して厚いため、このトンネル膜12がバリアにな
って絶縁膜に注入された電荷が半導体基板11中にリー
クしにくくなる。図2には、トンネル膜12の膜厚Tに
対する不揮発性記憶装置1のデータ保持特性のグラフを
示す。このグラフに示すように、トンネル膜12の膜厚
Tが2.2nm以上の範囲では、データの保持時間はト
ンネル膜12の膜厚Tに依存して上昇することがわか
る。このため、上述のように、トンネル膜12の膜厚T
が2.2nm以上に設定された不揮発性記憶装置1で
は、従来のトンネル酸化膜の膜厚が1.5〜2.0nm
に設定されたMIOS型の不揮発性記憶装置よりもデー
タ保持特性が良好なものになる。
【0019】また、上述のようにトンネル膜12の膜厚
Tを厚くしたことによって、読み出しの際の低いゲート
電圧では絶縁膜に電荷が注入されにくくなり、ディスタ
ーブによる誤書き込みが生じにくくなる。これととも
に、絶縁膜13中にホールが注入されにくくなることか
ら、消去特性がデプレッションになりずらいメモリ特性
が得られる。図3は、MONOS型の不揮発性記憶装置
のヒステリシス特性をトンネル膜の膜厚ごとに示したグ
ラフである。ただし、この測定時の不揮発性記憶装置
は、窒化シリコン膜13aがアンモニアガスとジクロロ
シランガスとを22sccm:40sccmの流量に設定して1
4nmの膜厚で成膜され、トップ酸化膜13bが4.0
nmの膜厚を有するものである。また、しきい値電圧V
thの測定は、プログラム電圧Vppの印加時間を1秒に設
定して行っている。
【0020】このグラフに示すように、消去側のしきい
値電圧は、トンネル膜12の膜厚Tを厚くすると+側、
すなわちエンハンスメント形の動作範囲にシフトしてい
く。そして、上記設定の不揮発性記憶装置におけるトン
ネル膜12の膜厚Tについて、図3の実験値を内挿して
求めた3.4nm以上の範囲では、エンハンスメント
側、すなわちしきい値電圧Vthがプラスになる範囲のみ
でのプログラム制御が可能になることが読み取れる。
【0021】以上のことから、エンハンスメント形のみ
での動作が可能になり、デプレッション形での動作を防
止するための制御回路を設ける必要がなくなる。これと
ともに、各記憶素子ごとに選択トランジスタを個別に設
けた回路構成にする必要はなく、NOR型、NAND
型、DINOR型のような回路を構成することが可能に
なる。本発明では、1トランジスタセル構成と呼ぶこと
にする。1トランジスタセル構成では、選択トランジス
タがないぶん従来よりもセル面積を縮小化することがで
きる。
【0022】また、絶縁膜13中にホールが注入されに
くくなることから、トンネル膜12、窒化シリコン膜1
3aの劣化が防止され、書き込み消去の繰り返し特性が
向上する。
【0023】また、上記実施形態のMONOS型の不揮
発性記憶装置1において、電荷の蓄積部になる絶縁膜1
3を構成する窒化シリコン膜13aを、化学量論比であ
るSi3 4 (Si:N=3:4)よりもシリコンの含
有比を多くしてもよい。
【0024】このような構成にした場合、絶縁膜13に
おける電荷のトラップ密度が増加して、絶縁膜13の導
電性が向上する。このため、ゲートに印加した際にトン
ネル膜12により高い電界がかかるようになり、動作電
圧を低電圧化することが可能になる。また、蓄積電荷量
が多くなり、エンハンスメント形のみでの動作が、より
容易になる。
【0025】図4は、動作電圧として6Vの低電圧を印
加した場合におけるMONOS型の不揮発性記憶装置の
電圧印加時間に対するしきい値電圧Vthを、上記窒化シ
リコン膜からなる絶縁膜の成膜条件ごとに示すグラフで
ある。図4(a)は書き込み、図4(b)は消去の場合
である。各絶縁膜13は、LP−CVD(Low-Pressure
Chemical Vapor Deposition)法によって成膜されたも
のであり、成膜の際の反応ガス(アンモニアガスNH3
とジクロロシランSiH2 Cl2 :DCS)の流量比を
変化させている。この際、ジクロロシランの流量をほぼ
一定にしてアンモニアガスの流量を変化させている。な
お、成膜時の基板温度は680℃に設定した。また、測
定を行った不揮発性記憶装置においては、トンネル膜1
2は2.2nmの膜厚に設定され、トップ酸化膜13b
の膜厚は4nmに設定されたものである。
【0026】上記図中におけるグラフは、化学量論比
であるSi3 4 (Si:N=3:4)よりもシリコン
の含有比が多い窒化シリコンが生成される反応ガスの流
量比(NH3 :DCS=20:20)で窒化シリコン膜
13aを成膜してなる不揮発性記憶装置に関するもので
ある。また、グラフは、化学量論比であるSi3 4
が生成される反応ガスの流量比(NH3 :DCS=15
0:22)で窒化シリコン膜13aを成膜してなる不揮
発性記憶装置に関するものである。さらに、グラフ
は、化学量論比であるSi3 4 よりも窒素の含有比が
多い窒化シリコンが生成される反応ガスの流量比(NH
3 :DCS=660:33)で窒化シリコン膜13aを
成膜してなる不揮発性記憶装置に関するものである。
【0027】これらのグラフ〜に示すように、書き
込み動作においては、シリコンの含有比が多いほど、よ
り短時間の電圧印加でしきい値電圧Vthが上昇し、消去
動作においてはシリコンの含有比が多いほど、より短時
間でしきい値電圧Vthが降下する。しかも、シリコンの
含有比の増加にともない、急激なしきい値電圧Vthの増
加がみられる。このことから、絶縁膜13を構成する窒
化シリコン膜13aにおけるシリコンの含有比を化学量
論比よりも多くすることで、より低電圧での動作が可能
になることがわかる。
【0028】また、上記のように動作電圧が低電圧化さ
れることから、書き込み消去の際に用いるプログラム回
路のトランジスタを、高耐圧トランジスタとして形成す
る必要がなくなる。このため、例えば読み出しの際に用
いる論理回路のトランジスタと、上記プログラム回路の
トランジスタとを同一工程で形成することが可能にな
る。これにともなって、工程削減ができ、同時にフォト
マスクの枚数削減が可能となる。一例を挙げると、ゲー
トエッチング,しきい値電圧Vth調整用のイオン注入,
ドレイン耐圧を上げるためのS/D形成用イオン注入に
用いる各マスク等を減らすことができる。
【0029】上記実施形態では、本発明をMONOS型
の不揮発性記憶装置1に適用した場合を例にとって説明
を行った。しかし、本発明は、図5に示すようなMNO
S型の不揮発性記憶装置5にも適用可能であり、この場
合も上記実施形態のMONOS型の不揮発性記憶装置1
と同様に、チャネル形成領域11aと絶縁膜13との間
のトンネル膜12の膜厚Tを設定することとする。
【0030】第2実施形態 本実施形態は、第1実施形態でトンネル膜12を従来よ
り厚くすることに対応して、トップ酸化膜13bを薄く
し、リードディスターブ耐性を向上させたMONOS型
の不揮発性記憶装置に関する。図1に示すMONOS型
の不揮発性記憶装置1は、絶縁膜13の厚みをMNOS
型より薄くでき、プログラム電圧Vppを最小にしてい
る。本実施形態では、プログラブ電圧Vppを最小に保つ
ために、必要な書き込み時のしきい値電圧Vthが得られ
る範囲内で、トンネル膜12とトップ酸化膜13bの膜
厚の和を余り変化させずに、両者の膜厚を最適化する。
【0031】以下では、トップ酸化膜13bが4nm程
度と比較的に厚い従来に近い場合と、逆に薄い(ここで
は、0nm)場合の問題点をそれぞれ指摘した後、トッ
プ酸化膜13bをトンネル膜12に対し最適化する。
【0032】図6は、トップ酸化膜が4nm程度と比較
的に厚いときのリードディスターブ耐性を示すグラフで
ある。ここでのトンネル膜12は、その膜厚が2.3n
mと図2のデータ保持時間が上昇し始める変曲点付近で
ある。電気的なストレス条件としては、ソースおよびド
レインをGNDにし、ゲート電圧Vg を0V〜5Vまで
変化させている。また、RTN(Rapid Thermal Nitriza
tion) を行っており、条件的には厳しいものとなってい
る。この条件下、図6は、書き込み状態および消去状態
のしきい値電圧Vthの変化を、ストレス印加時間の経過
でプロットしたものである。Vg =0Vがデータ保持時
間の測定時(図2)と同じ条件であり、書き込み側で既
に劣化が始まっている。また、実際の使われかたでは、
電源電圧が3Vの場合はVg =2〜3V程度であり、こ
のときの劣化はみられない。しかし、より差を明確にす
るためにVg =5Vとすると、消去側のしきい値電圧V
thが大幅に上昇し、リードディスターブ耐性が劣化して
いることがわかる。
【0033】この消去側のしきい値電圧Vthの上昇は、
トンネル膜12の膜厚に対して、トップ酸化膜13bが
厚いことに起因する。すなわち、トンネル膜12が2.
3nmと未だ薄くトップ酸化膜13bが4nmと厚すぎ
ると、トンネル膜12にかかる電界が、蓄積されている
正孔(ホール)の電荷量分だけトップ側よりきつくな
る。消去時に、溜まっている電荷がホールの場合のしき
い値電圧Vthが上昇するメカニズムは、まず蓄積されて
いるホールがチャネル形成領域11aに抜けるが、厚い
トップ酸化膜13b側からはホールが注入されにくい一
方で基板側へは抜けやすく、膜中のホールの蓄積量が減
少する結果、しきい値電圧Vthが上昇する。前記のよう
に、トンネル膜12にかかる電界がトップ酸化膜13b
にかかる電界より大きいと、このホールの放出が効率よ
く行われ、図6に示したようにリードディスターブ特性
が早く劣化する。
【0034】書き込み側の溜まっている電荷が電子の場
合にも同様で、トンネル膜12にかかる電界は消去時に
トンネル膜12にかかる電界より小さいが、蓄積電子は
厚いトップ酸化膜13bにブロックされて抜けにくい一
方で、膜厚が薄くてしかも電界がきついトンネル膜12
を介して基板側から電子が効率よく注入される。この結
果、絶縁膜13中の電子の蓄積量が増大し、しきい値電
圧Vthが上昇する。
【0035】先に説明した図3は、トンネル膜厚が異な
るものを同一グラフにプロットしたヒステリシス特性で
あった。これに対し、図7には、トップ酸化膜厚を変化
させたときのヒステリシス特性を示す。この測定時のト
ンネル膜12は3.0nmとやや厚く、トップ酸化膜1
3bを6.5nmから0nmまで変化させている。しき
い値電圧Vthの測定は、図3と同様、プログラム電圧V
ppの印加時間を1秒に設定して行っている。このグラフ
からは、トップ酸化膜13bの膜厚を薄くすると、図3
とは逆に書き込み時のヒステリシスカーブが下方シフト
し、書き込み/消去でしきい値電圧差がとれなくなるこ
とがわかる。ただし、実用上、しきい値電圧差は、例え
ば0.5〜2Vは必要であることから、この図7からは
トップ酸化膜13bを全く無くすとメモリ特性上問題で
あることがわかる。また、実用上のしきい値電圧差0.
5〜2Vを確保するためには、トップ酸化膜13bの膜
厚が従来の4nmより薄くてもよいことがわかり、しか
も、その時のプログラム電圧Vppは同じしきい値電圧差
を得るためには低下できることがわかる。なお、MNO
S型の不揮発性記憶装置の場合は、窒化シリコン膜を更
に厚くしてトップ酸化膜がなくてもメモリ特性がとれる
構造としている。
【0036】このトップ酸化膜13bの薄膜化に伴うプ
ログラム時の最大しきい値電圧差の低下というメモリ特
性の劣化は、トップ酸化膜13bが薄すぎるとトップ側
にかかる電界がきつくなり、プログラム電圧Vppの上昇
にともなって注入された電子がトップ側から抜けていく
ことから起こる。また、リードディスターブ特性の点か
らは、トップ酸化膜13bの薄膜化によりトップ側の電
界がきつくなると、トンネル膜12側の電界は緩和され
て消去側のリードディスターブマージンは向上するが、
今度は、この書き込み側のしきい値電圧Vthの低下によ
って、書き込み側のリードディスターブ特性は低下す
る。次の図8および図9でこの点を示す。
【0037】図8および図9は、トンネル膜厚に対して
トップ酸化膜厚が最適に近いときのリードディスターブ
耐性を示すグラフである。ここで、図8は書き込み側、
図9は消去側を示す。この測定時のトンネル膜12は
3.03nmとやや厚くしている。この膜厚増加に応じ
て、トップ酸化膜13bを従来の4nmより薄く、さら
にトンネル膜12よりも薄い2.64nmにしている。
この両方の膜厚の和は、図6の場合よりやや薄いものの
さほど大きくは変化させていないため、書き込み電圧の
増加は起きていない。また、ストレス条件等は、図6の
場合と同様である。Vg =5Vで図6と比較すると、書
き込み側のしきい値電圧Vthが低下傾向にある一方で、
消去側のしきい値電圧Vth上昇が大幅に改善されてい
る。また、トンネル膜12を図6の場合よりも厚くした
こと、及び書き込み側のしきい値電圧Vthを図6の場合
よりも、実用的なしきい値電圧が得られる範囲で低くし
たことによって、書き込み側のデータ保持(Vg =0
V)が良くなっている。
【0038】図10は、データ保持時と読み出し状態の
エネルギーバンドを、書き込み側と消去側で対比させて
模式的に示す説明図である。なお、ここでは便宜上、消
去側の電荷を電子として説明する。トンネル膜厚に対す
るトップ酸化膜の最適化は、図10の読み出し状態のエ
ネルギーバンドに示すように、書き込み側のトップ酸化
膜13bにかかる電界強度と消去側のトンネル膜12に
かかる電界強度とを均衡させるように行なう。両者の電
界強度を等しくするのが好ましいが、より電界強度を近
づける方向であればゲートディスターブマージンがそれ
だけ大きくなる効果が得られる。
【0039】このときの消去側は、トンネル膜12を厚
くしたことによって、従来より電界が緩和され障壁電位
の高さと膜厚できまるトンネリング効果が低下し、消去
側の読み出し時の基板から窒化シリコン膜13aへの電
子の注入量が抑制され、ディスターブが改善される。こ
のとき、トップ酸化膜13bの膜厚を、電界がよりきつ
いトンネル膜12より薄く設定すると、注入された電荷
量とほぼ等しい量の電荷をゲート電極側に消失させるこ
とができる。また、書き込み側は、トップ酸化膜13b
を4nmより薄くしたことによって、従来より電界がき
つくなり、電子がゲート電極側に多少抜けていく。図8
のVg =5Vでの低下傾向は、この蓄積電荷がゲート電
極側に抜けることを反映したものである。このしきい値
電圧の低下と、ゲート電圧0Vでのデータ保持時の低下
の何れか低くなった方の特性でデバイスの寿命が決ま
る。このため、書き込み値でのゲート電圧0Vでの特性
と、実使用時のゲート電圧3V程度での特性劣化が一致
するまで、トップ酸化膜13bは薄膜化できることとな
る。また、トンネル膜12とトップ酸化膜13bの膜厚
合計を従来と余り変えないことで、プログラム電圧Vpp
の上昇は最小限に抑えられている。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の不揮発性
記憶装置によれば、MIOS型の不揮発性記憶装置にお
いてトンネル膜の膜厚を半導体基板中の電荷が当該トン
ネル膜をダイレクトにトンネリングする範囲でかつ2.
2nm以上にすることで、従来のMIOS型の不揮発性
記憶装置よりもデータの保持特性が向上する。これとと
もに、読み出しの際の低いゲート電圧では絶縁膜に電荷
が注入されにくくなることから、ディスターブの発生を
抑えることができ、回路を単一トランジスタ構成にする
ことが可能になる。したがって、セル面積の縮小化を図
ることができる。また、従来のModified F−N Tunne
lingのメカニズムにより、書き込み特性の劣化を少なく
できる。さらにホールの注入が抑えられるため、書き込
み消去の繰り返し特性の向上が図られる。
【0041】また、上記不揮発性記憶装置において、化
学量論比であるSi3 4 (Si:N=3:4)よりも
シリコンの含有比が多い窒化シリコン膜を絶縁膜に用い
た場合には、絶縁膜の導電性の向上を図ることが可能に
なり、動作電圧を低電圧化することができる。
【0042】トンネル膜を厚くすることに対応して、ト
ップ酸化膜を従来の4nmより薄くすると、両方の膜に
かかる電界を均衡させることができ、特に消去側のしき
い値電圧の上昇を抑え、リードディスターブに強いデバ
イスとすることができ、また、プログラム電圧を低下さ
せることができる。このとき、トップ酸化膜は、ヒステ
リシス特性(しきい値電圧の変化幅)が十分に確保でき
る範囲で、かつ、書き込み側のゲート電圧0Vでのしき
い値の低下と使用電圧をゲートに印加した際のしきい値
の低下とが一致する範囲で薄膜化できる。
【0043】以上より、データ保持特性およびリードデ
ィスターブ耐性を向上させた不揮発性半導体記憶装置を
提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかるMONOS型不揮発
性記憶装置の概略断面図である。
【図2】トンネル膜の膜厚に対するデータの保持時間を
示すグラフである。
【図3】トンネル膜厚を変えてプロットしたヒステリシ
スを示すグラフである。
【図4】窒化シリコン膜の組成を変えてプロットした電
圧印加時間としきい値電圧との関係を示す図である。
【図5】本発明が適用可能な他の形態の不揮発性記憶装
置(MNOS型)の概略断面図である。
【図6】トップ酸化膜が4nmと厚い場合のリードディ
スターブ耐性を示すグラフである。
【図7】トップ酸化膜厚を変えてプロットしたヒステリ
シスを示すグラフである。
【図8】トンネル膜厚に対してトップ酸化膜厚が最適に
近いときの書き込み側のリードディスターブ耐性を示す
グラフである。
【図9】トンネル膜厚に対してトップ酸化膜厚が最適に
近いときの消去側のリードディスターブ耐性を示すグラ
フである。
【図10】データ保持時と読み出し状態のエネルギーバ
ンドを、書き込み側と消去側で対比させて示す図であ
る。
【図11】従来のMONOS型の不揮発性記憶装置の概
略断面図である。
【符号の説明】
1,5…不揮発性記憶装置、11…半導体基板、11a
…チャネル形成領域、12…トンネル膜、13…絶縁
膜、13a…窒化シリコン膜(窒化膜)、13b…トッ
プ酸化膜、14…ゲート電極、T…トンネル膜の膜厚。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体のチャネル形成領域上に、トンネル
    膜、絶縁膜、ゲート電極を下層から順に積層してなる不
    揮発性半導体記憶装置であって、 前記トンネル膜の膜厚は、半導体基板中の電荷が当該ト
    ンネル膜をダイレクトトンネリングする範囲でかつ2.
    2nm以上とすることにより、1トランジスタセル構成
    とした不揮発性半導体記憶装置。
  2. 【請求項2】前記絶縁膜は窒化シリコンからなり、 当該窒化シリコンは、化学量論比であるSi3 4 (S
    i:N=3:4)よりもシリコンの含有比が多い請求項
    1記載の不揮発性半導体記憶装置。
  3. 【請求項3】前記トンネル膜は、その膜厚が3.4nm
    以上である請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
  4. 【請求項4】半導体のチャネル形成領域上に、トンネル
    膜、絶縁膜、ゲート電極を下層から順に積層してなる不
    揮発性半導体記憶装置であって、 前記絶縁膜は、前記トンネル膜上の窒化膜と、当該窒化
    膜上のトップ酸化膜とから構成され、 前記トップ酸化膜の膜厚は、そのトップ酸化膜を通過す
    るキャリアの遷移量が前記トンネル膜を通過するキャリ
    アの遷移量とほぼ等しいか多くなる膜厚に設定されてい
    る不揮発性半導体記憶装置。
  5. 【請求項5】前記トップ酸化膜は、前記トンネル膜の膜
    厚より薄い膜厚に設定されている請求項4に記載の不揮
    発性半導体記憶装置。
  6. 【請求項6】前記絶縁膜は窒化シリコンからなり、 当該窒化シリコンは、化学量論比であるSi3 4 (S
    i:N=3:4)よりもシリコンの含有比が多い請求項
    4記載の不揮発性半導体記憶装置。
  7. 【請求項7】前記トンネル膜は、その膜厚が3.4nm
    以上である請求項4記載の不揮発性半導体記憶装置。
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JP2003204000A (ja) * 2002-01-10 2003-07-18 Sony Corp 不揮発性半導体メモリ装置および電荷注入方法

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