JPH10237533A - 耐hic鋼の製造方法 - Google Patents

耐hic鋼の製造方法

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JPH10237533A
JPH10237533A JP4325897A JP4325897A JPH10237533A JP H10237533 A JPH10237533 A JP H10237533A JP 4325897 A JP4325897 A JP 4325897A JP 4325897 A JP4325897 A JP 4325897A JP H10237533 A JPH10237533 A JP H10237533A
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molten steel
steel
treatment
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hic
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Mitsuhiro Numata
光裕 沼田
Yoshihiko Higuchi
善彦 樋口
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】HICの発生の起点になるような非金属介在物
の生成を防止することが可能で清浄性にも優れた耐HI
C鋼の製造方法を提供する。 【解決手段】精錬後の溶鋼に、脱酸処理および脱硫処理
を施し、下記(1)式を満足する量のCaを添加した
後、真空処理を施すことによる清浄性に優れた耐HIC
鋼の製造方法。 f1 ≦WCa≦f2・・・・・・ (1) ここで、 f1 ={(1.38[O]+1.92[S])×(0.017t+1)}/570 f2 ={(4.67[O]+6.53[S])×(0.017t+1)}/570 [O]:溶鋼中酸素含有率(ppm) [S]:溶鋼中硫黄含有率(ppm) WCa:Ca添加量(kg/溶鋼ton) t :真空処理時間(分)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラインパイプ用材
料等に好適な、耐水素誘起割れ性に優れるとともに、清
浄性にも優れた鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】油井用のラインパイプ材は、温度が低
く、鋼に対する腐食性が強い環境で用いられることが多
い。このようなラインパイプ材には、水素誘起割れ(以
下、HICと記す)と呼ばれる割れが発生することがあ
る。
【0003】ラインパイプ材などで発生するHICは、
鋼中の非金属介在物が割れの起点になるとされている。
通常、鋳片内にはクラスター状のアルミナ系介在物や粒
状のマンガン硫化物系介在物などが存在する。これらの
非金属介在物は、パイプの製造過程における圧延の際
に、破砕されて細かくなるか、延伸されて細長く変形す
る。アルミナ系介在物は細かく破砕され、破砕された介
在物が線状に並ぶ性質があり、マンガン硫化物系介在物
は細長く伸びる性質がある。このように変形した介在物
には、鋭いノッチ部が存在する。したがって、非金属介
在物の周囲に鋼中の水素ガスが拡散して集積し圧力上昇
が起こった場合には、ノッチ部に応力集中が生じる。こ
の応力集中部が割れの起点になりやすい。そのために、
この2種類の非金属介在物が、とくにHICの起点にな
りやすいとされている。
【0004】これらの非金属介在物がHICの起点にな
らないようにするためには、介在物の量を減らすか、鋼
材の圧延の際に非金属介在物が細かく砕けたり、細長く
伸びたりしないような対策が必要と考えられている。
【0005】したがって、アルミナ系介在物の性質を圧
延の際に細かく砕けにくい性質に変える対策、溶鋼中の
硫黄(S)を減らす対策などが講じられている。アルミ
ナ系介在物については、溶鋼中にCaを添加することに
より、Al23−CaO系の組成に変え、アルミナの形
態をクラスター状から粒状に変える方法が採られてい
る。この時に用いられるCaは、この作用のほかに、溶
鋼中のSと反応してCaSを生成し、このCaSがCa
OおよびAl23とともに、粗大なCaO−Al23
CaS系の反応生成物を形成しやすくする作用を持って
いる。したがって、粗大な反応生成物が、溶鋼中から系
外に除かれやすくなるという利点がある。このように、
溶鋼へのCa添加は、一般的には耐HIC鋼の製造にと
って効果的と考えられている。
【0006】通常、ラインパイプ等の耐HIC鋼はつぎ
のような方法で製造される。転炉等で精錬された溶鋼に
Si、Alなどを添加して脱酸処理した後、RH真空脱
ガス装置などを用いて溶鋼中の窒素、水素を除去する。
その後、必要に応じて溶鋼に脱硫処理を施す。つぎに、
溶鋼中にCa含有物質を添加することによるCa処理を
行う。
【0007】しかし、Caは溶鋼のような高温下では極
めて気化しやすく、添加しにくい性質がある。したがっ
て、Caの添加には様々な工夫がなされている。Ca添
加には、気化しにくく、取扱いが容易で比較的価格も安
いCa含有物質が用いられている。Ca含有物質として
は、Caを約30%含んだカルシウムシリコン(Ca−
Si)、カルシウムアルミニウム(Ca−Al)などの
Ca合金がある。
【0008】このCa含有物質の溶鋼中への添加には、
溶鋼中に浸漬したランスから不活性ガスとともに粉状の
Ca含有物質を溶鋼中に吹き込むインジェクション法、
粉状のCa含有物質を鉄で被覆し線材としたものを溶鋼
中に送り込むワイヤ−法などが採用されている。
【0009】このようなCa添加方法であっても、アル
ミナ系介在物の粒状化およびマンガン硫化物系介在物の
減少が達成できない場合がある。さらに、耐HIC性に
有害な塊状または群落状のCaSが生じることもあり、
耐HIC性に著しく劣る鋼となることも少なくない。
【0010】このような問題を解決し、耐HIC性の向
上を図るためにいくつかの方法が提案されている(例え
ば、特開昭61−179811号、特開昭63−417
号、特開昭63−7322号、特開平3−79713号
各公報)。
【0011】特開昭63−7322号公報には、Ca添
加量の不足が原因し、アルミナ系介在物が十分にAl2
3−CaO系介在物へ変化しないこと、Ca添加量が
過剰なために塊状等のCaS系介在物が生成することな
どの問題点を解決することを目的としたCa添加法が開
示されている。この方法では、取鍋内の溶鋼中にCaを
添加して溶鋼をCa処理する際に、溶鋼中のCa含有率
([Ca])と酸素含有率([O])の比([Ca]/
[O])が、溶鋼中のS含有率を考慮した計算式から求
められる所定の範囲内に収まる条件でCaを添加するよ
うになっている。
【0012】しかし、上記のような単にCaを添加し、
アルミナ系介在物の粒状化、MnSおよびCaS系介在
物の減少を図る対策では、HICの発生を十分に抑える
ことができなかった。
【0013】また、溶鋼中には、上記のような非金属介
在物のほかに、スラグ、耐火物などが溶鋼中に巻き込ま
れることに起因する外来の非金属介在物も存在する。こ
れらの外来の非金属介在物もHICの起点になることが
知られている。しかし、現状の方法では、外来の非金属
介在物も十分に減少させることができない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、HICの発
生の起点になるような非金属介在物の生成を防止するこ
とが可能で、外来の非金属介在物も少ない清浄性に優れ
た耐HIC鋼の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
清浄性に優れた耐HIC鋼の製造方法にある。
【0016】精錬後の溶鋼に、脱酸処理および脱硫処理
を施し、下記(1)式を満足する量のCaを添加した
後、真空処理を施すことによる清浄性に優れた耐HIC
鋼の製造方法。
【0017】f1 ≦WCa≦f2 ・・・・・・ (1) ここで、 f1 ={(1.38[O]+1.92[S])×(0.017t+1)}/570 f2 ={(4.67[O]+6.53[S])×(0.017t+1)}/570 [O]:溶鋼中酸素含有率(ppm) [S]:溶鋼中硫黄含有率(ppm) WCa:Ca添加量(kg/溶鋼ton) t :真空処理時間(分) なお、f1およびf2の単位は kg/溶鋼tonである。
【0018】本発明の方法は、つぎの(a)〜(c)を
特徴としているので、本発明の方法によって製造される
鋼は、耐HIC性に優れるとともに、極めて優れた清浄
性を備えている。
【0019】(a)本発明の方法によれば、アルミナ系
介在物を、下記のからの条件を満足する組成の非金
属介在物、すなわち、鋼材の圧延中に破砕されにくい非
金属介在物に変えることができる。
【0020】 CaO:40重量%以上60重量%以下 CaS:10重量%以下 残部:おもにAl23 本発明の方法では、Ca添加量の決定に、溶鋼中の酸素
([O])およびS([S])含有率を考慮した前記
(1)式を用いるので、上記からの条件を満足する
組成の非金属介在物を得ることが容易である。
【0021】(b)本発明の方法では、Ca添加前に溶
鋼に脱硫処理を施すので、CaS等の硫化物系介在物が
少ない。
【0022】(c)本発明の方法では、Ca添加後に真
空処理を施すので、Ca添加によって生成した非金属介
在物および外来の非金属介在物を真空処理の際に大幅に
減らすことができる。
【0023】本発明の方法では、上記の(a)から
(c)の特徴を持たせることによって、前述の課題を解
決している。
【0024】本発明者らの調査によれば、非金属介在物
の組成が上記からの条件を満足する場合には、鋼材
が圧延される際に非金属介在物の破砕がほとんど起こら
ない。そのために、HICの発生の起点となるような介
在物の発生を防止することができる。ただし、非金属介
在物を上記のような組成にするためには、Caの添加量
の適正化が不可欠である。
【0025】本発明の方法では、上記からの条件を
満足させるために、溶鋼に添加された時のCaの蒸発ロ
スならびに溶鋼中の酸素(O)およびSと反応するCa
の量を考慮した上記(1)式を採用しているので、Ca
の添加量の適正化を図ることができる。そのために、H
ICの原因となるCaOの割合の低いAl23−CaO
系介在物の生成、塊状等のCaSの生成、MnSの生成
などを防止することができる。
【0026】また、本発明の方法では、真空処理前にC
aを添加する方法を採っている。この真空処理の際に、
Ca添加によって生成した非金属介在物および外来の非
金属介在物を溶鋼中から系外に除くことができる。した
がって、図1および図2から明らかなように、鋼中の非
金属介在物の量は、本発明の方法(図1)の方が従来の
方法(図2)に比べて著しく少ない。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明の方法について具体
的に説明する。なお、化学組成の%表示およびppm表
示は重量割合を意味する。
【0028】本発明の方法が対象とする溶鋼は、転炉、
電気炉などで精錬され、脱酸処理された溶鋼である。
【0029】まず、この溶鋼に脱硫処理を施す。脱硫処
理は通常の処理方法でよく、例えば取鍋内の溶鋼表面に
CaO−Al23系などの脱硫用フラックスを投入し、
不活性ガスを溶鋼中に吹き込むバブリング法などを利用
することができる。脱硫用フラックスを直接溶鋼中に吹
き込むインジェクション法なども好適である。
【0030】この脱硫処理では溶鋼中のS含有率を15
ppm以下程度まで低下させるのが望ましい。溶鋼中S
濃度が15ppmを超える場合には、Ca添加量をそれ
に応じて増やさなければならないため、溶鋼の温度低下
が大きくなること、脱硫処理時間が長くなることなどの
問題を招く。また、非金属介在物の形態の制御精度が低
下し、MnSやCaSが生成しやすいという弊害を伴
う。
【0031】脱硫処理の前には、スラグ中のFeO、M
nOなどの低級酸化物を還元し、スラグ中のこれらの含
有率を3%以下まで低下させるスラグの改質を行うのが
望ましい。このスラグの改質処理は、脱硫の促進および
上記低級酸化物と溶鋼中のAl等との反応に起因する溶
鋼中の非金属介在物の増加の防止に有効である。
【0032】つぎに、大気圧下で取鍋内の溶鋼にCaを
添加する。Caの添加量は、前記(1)式を満足するよ
うに、つぎの工程の真空処理に処理時間ならびに溶鋼中
の酸素(O)およびS含有率を考慮して決定する。すな
わち、f1 式およびf2 式から求められる2つの値の間
の添加量とする。この範囲の中でも、商業規模の生産に
おいては、ほぼ中間の値を採用するのがよい。なお、f
1 式およびf2 式に用いる真空処理時間t(分)は、お
もに溶鋼中の水素等の脱ガスの程度によって決まる値で
ある。また、溶鋼中の酸素(O)およびS含有率は、取
鍋内の溶鋼から採取した試料の迅速分析によって得られ
る値を用いることができる。このうち、酸素含有率につ
いては、過去の蓄積データから推定される値を用いても
よい。
【0033】Ca添加量が(1)式で示される範囲に満
たない場合には、溶鋼中のCaが不足する結果となる。
すなわち、つぎの工程の真空処理中には、Caが蒸発す
るので、Ca含有率が低くなりすぎる。その場合には、
前述のからを満足する組成の非金属介在物を得るこ
とができない。一方、Ca添加量が(1)式の上限を超
えると、真空処理後の溶鋼中Ca含有率が過剰となるの
で、やはり前述のからを満足する非金属介在物を得
ることができない。
【0034】添加するCa源としては、カルシウムシリ
コン(Ca−Si)、カルシウムアルミニウム(Ca−
Al)等の合金、金属Caなどがある。その他のCa源
であってもよい。また、添加するCa源にAl23−C
aO系などの酸化物系フラックスを混合したもの、事前
にプリメルトしたものでもよい。
【0035】Ca源の投入量は、これらのCa源中のC
aの含有率を考慮して、Ca純分としての添加量が前記
(1)式を満足するように決定しなければならないこと
はいうまでもない。
【0036】Caの添加方法には、粉状の上記Ca源を
鉄材等で被覆したワイヤ−を溶鋼内に送り込むワイヤ−
法、Ca源を溶鋼に直接吹き込むインジェクション法お
よびその他の方法を適用できる。これらの方法のなかで
も、鋼の清浄性を確保する観点から、スラグの巻き込み
の少ないワイヤ−法が好適である。
【0037】なお、Caの添加場所は、真空処理前の大
気圧下の取鍋内等の溶鋼中でよい。真空処理には、通常
工業的に用いられている脱ガス法を適用することができ
る。例えば、RH脱ガス法、DH脱ガス法などがある。
この真空処理は、本発明の方法の場合には、非金属介在
物の溶鋼中からの除去のほかに、溶鋼の脱水素も兼ねて
いる。したがって、真空処理の際の真空度は10Tor
r以下の高真空とするのが望ましい。
【0038】Caを添加する前に、溶鋼の温度が低い場
合には、溶鋼に昇温処理を施すのがよい。溶鋼の昇温法
としては、アーク加熱法やAl、Si等を溶鋼に添加し
た後これらの元素を酸化させる酸化法などがある。経済
性の面からは、酸化法が有利である。ただし、酸化法の
場合には、溶鋼の清浄度を損ないやすいので、昇温処理
は脱硫処理の前に行うのが望ましい。
【0039】
【実施例】転炉で精錬した溶鋼250tを取鍋に出鋼す
る際、SiおよびMn源としてのフェロアロイ、脱酸用
のアルミニウムを投入することにより、溶鋼の成分調整
および脱酸を行った。試験数は、本発明例10回、比較
例各10回および従来例5回の合計25回である。これ
らの25回の試験は同じ材質を対象としたので、取鍋内
の溶鋼の化学組成ほぼ同じであった。表1に、試験に用
いた溶鋼の各元素の含有率を、25回分の範囲で示し
た。
【0040】
【表1】
【0041】本発明例の10回の試験は、つぎの工程お
よび試験条件とした。
【0042】まず、取鍋内の溶鋼の表面に、CaO−A
23−SiO2 系の脱硫用のフラックス15〜25k
g/溶鋼tonを投入した後、溶鋼中に浸漬したランス
から、Arガスを吹き込み溶鋼を9分間撹拌することに
よって脱硫処理を施した。その後、大気中でワイヤ−法
によりCaを溶鋼中に添加した。用いたワイヤーは、粉
状のカルシウムシリコン合金(Ca:30%、Si:7
0%)を薄い鉄で被覆したものである。
【0043】Caの添加量は、各試験に用いた溶鋼中の
酸素(O)およびS含有率ならびに予め定められている
つぎの工程の真空処理時間を基に、f1 式から最少のC
a添加量、f2 式から最多のCa添加量を計算し、両者
のほぼ中間の値とした。なお、溶鋼中の酸素含有率とし
ては、過去の実績値を基にした推定値を用い、溶鋼中の
S含有率には取鍋内の溶鋼試料の迅速分析値を用いた。
Caの添加量は、Ca純分で0.10〜0.35kg/
溶鋼tonであった。
【0044】Ca添加に引き続き、RH真空脱ガス装置
を利用し、真空槽内の真空度を5torr以下に保った
条件で、5〜25分間、溶鋼を環流する真空処理を施し
た。
【0045】真空処理後、連続鋳造機により溶鋼を厚さ
235mmのスラブに鋳造した。さらに、このスラブを
圧延して26.5mmの厚板とした。
【0046】得られた厚板の各位置から試料を採取し、
光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡により非金属介在物
の個数を測定し、エネルギ−分散型X線分析装置により
非金属介在物の組成を調査した。また、光学顕微鏡によ
り、JIS G 0555に規定されている方法に従っ
て清浄度測定を行った。
【0047】耐HIC性試験は、NACEに規定されて
いる試験条件で行った。また、耐HIC性は、下記の条
件で腐食試験を行った試験片に発生した割れを観察する
方法によって評価した。
【0048】 腐食液 5%NaCl−0.8%CH3COOH
水溶液 腐食液の温度 24.8±2.8℃ 腐食液のpH max4.5 浸漬時間 96時間 H2S濃度 H2S飽和 H2S流量 100〜200cc/min なお、比較例の試験10回の試験条件は、Caの添加量
が本発明で規定する(1)式を満たさないこと以外は、
上記本発明例の条件と同じとした。
【0049】従来例の試験5回については、Caの添加
時期を従来と同じ条件である真空処理後とした以外は、
本発明例と同じ条件とした。
【0050】表2に試験結果をまとめて示す。なお、耐
HIC性の良否は、HICが全く発生しなかった場合を
○(良好)、HICが発生した場合を×(不良)として
表示した。
【0051】
【表2】
【0052】本発明例の試験No.1〜10について
は、Ca添加量、Ca添加時期等の条件が本発明で規定
する条件を満足しているので、いずれも耐HIC性が良
好であり、また、清浄性にも優れていた。
【0053】表2に示されているように、比較例の試験
No.11、13、15および20は、いずれもCa添
加量が本発明で規定する量に満たない場合(f1 未満の
値)である。この場合には、耐HIC性が不良であっ
た。その原因は、表2から明らかなように、Al23
の非金属介在物中のCaOの割合が、本発明の方法が目
標としている40〜60%に満たないことにある。
【0054】また、上記以外の比較例の試験は、Caの
添加量が本発明で規定する上限を超える場合(f2 を超
える値)である。Ca添加量が過剰な場合には、耐HI
C性が不良であると同時に、本発明例に比べて清浄度も
悪く清浄性にも劣っていた。これらの試験で得られた鋼
のAl23系非金属介在物では、CaOの割合が過剰で
本発明の方法が目標としている40〜60%を超えてい
た。CaSについても10%を超えるものが多く、耐H
IC性不良の原因となっている。
【0055】従来例の5回の試験については、いずれも
Caに添加時期が真空処理後の例である。この場合に
も、耐HIC性、清浄性いずれも不良であった。
【0056】このように本発明の方法によって製造され
る耐HIC鋼は、耐HICはもとより清浄性にも優れて
いることが確認された。
【0057】
【発明の効果】本発明の方法によって得られる耐HIC
鋼には、鋼材の圧延時に変形しHICの起点となるよう
な非金属介在物が極めて少ない。また、外来の非金属介
在物を含む非金属介在物の量が少ない。このような本発
明の方法によって製造された耐HIC鋼は、耐HIC性
および清浄性に優れているので、ラインパイプ用材料等
として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐HIC鋼の製造過程における溶鋼中
の非金属介在物量の変化を示す図である。
【図2】従来の耐HIC鋼の製造過程における溶鋼中の
非金属介在物量の変化を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】精錬後の溶鋼に、脱酸処理および脱硫処理
    を施し、下記(1)を満足する量のCaを添加した後、
    真空処理を施すことを特徴とする清浄性に優れた耐HI
    C鋼の製造方法。 f1 ≦WCa≦f2 ・・・・・・ (1) ここで、 f1 ={(1.38[O]+1.92[S])×(0.017t+1)}/570 f2 ={(4.67[O]+6.53[S])×(0.017t+1)}/570 [O]:溶鋼中酸素含有率(ppm) [S]:溶鋼中硫黄含有率(ppm) WCa:Ca添加量(kg/溶鋼ton) t :真空処理時間(分) なお、f1およびf2の単位は kg/溶鋼tonである。
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