JPH10237103A - 養殖オキナワモズクを原料とするアセチルフコイダンおよ びそれの製造法 - Google Patents
養殖オキナワモズクを原料とするアセチルフコイダンおよ びそれの製造法Info
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- JPH10237103A JPH10237103A JP9285948A JP28594897A JPH10237103A JP H10237103 A JPH10237103 A JP H10237103A JP 9285948 A JP9285948 A JP 9285948A JP 28594897 A JP28594897 A JP 28594897A JP H10237103 A JPH10237103 A JP H10237103A
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Abstract
コイダンおよびそれを簡易に製造する方法を提供する。 【解決手段】 養殖オキナワモズク(Cladosip
hon okamuranus TOKIDA)から、
L−フコース,D−キシロース,D−グルクロン酸,酢
酸、および硫酸の構成比が、3.0〜4.0:0.1−
0.3:0.8〜1.2:0.5〜1.0:0.8〜
1.2のアセチルフコイダンをミキサー(ホモゲナイザ
ー)、酸(硫酸、塩酸、または修酸)、塩化バリウム
(または酢酸バリウム)、ケイソウ土濾過、連続遠心分
離機、電気透析装置、限外濾過装置、スプレードライお
よび凍結乾燥機等を使用して製造する。
Description
ら,低コレステロール剤,抗胃潰瘍剤,抗エイズウイル
ス剤,抗細菌付着防止剤,保湿剤,増粘剤,およびL−
フコースの供給剤として胃薬品,機能性食品,化粧品,
パイオテクノロジーおよびその他工業で利用が可能であ
る酢酸を含む新規の純度の高いアセチルフコイダンを簡
易に製造することに関するものである.
に利用可能な素材であるが,これまで工業的に製造・販
売されてない.その最大の原因はフコイダンを多量含む
海藻が発見されなかったことによる.フコイダンは褐藻
類にアルギン酸と共存している多糖の一つであり,これ
まで昆布やワカメ類から分離された物が知られている
が,これらの海藻類にはアルギン酸が多量存在すること
から,フコイダンを分離・精製する条件が複雑である.
一方,沖縄県では天然物に加え養殖によりオキナワモズ
クを生産し,年々養殖による生産量が増大しつつある.
養殖により生産されたオキナワモズクに大量のフコイダ
ンが含まれることを明らかにしたのは,発明者が最初で
ある.しかもこのフコイダンは酢酸を含む新規の多糖で
ある.これまで,酢酸を含むフコイダンは国内外で知ら
れてない.
(5g)の単位でアメリカ合衆国の化学薬品メーカー
(シグマ社)によって製造・販売(藻原:Fucus
vesiculosus,ヒバマタの一種)されている
が,日本国内にはフコイダンを製造・販売している会社
は存在しない.しかしながら,シグマ社が製造・販売し
ているフコイダンは色素(褐色)を呈していることから
精製条件が良好でないことが解った.従って,純白で高
い品質のフコイダンを製造する技術を発明し,全く新し
い素材として国内外に供給することが切望されている.
良く知られている.例えば,Nishideらによると
天然オキナワモズクから分離したフコイダンの構成糖比
はL−フコース:D−キシロース:D−ガラクトース:
D−マンノース:D−キシロース:L−ラムノース=9
2:2:1:2:2:1で,それらに加えD−グルクロ
ン酸(11.3%)を含み,硫酸は35.2%含まれる
と報告している(Hydrobiologia,204
/205巻,573−576(1990);日本水産学
会誌,53巻,1083−1088 (1987)).
また,Fujikawaらによるとイトモズクの構成糖
はほとんどがL−フコースで,わずかに(1%前後)D
−キシロースとD−ガラクトースを含み,ウロン酸は存
在せず硫酸は35%含まれると報告している(Agri
c.Biol.Chem.,39巻,1115−112
2(1975)).本発明で,養殖オキナワモズクに存
在するフコイダンは酢酸を含むものであることが明らか
にする.これまで,酢酸を含むフコイダンは国内外で知
られてない.また,構成糖比もNishideらの結果
と異なる.従って,新規のフコイダンである.一方,昆
布からフコイダンを分離する技術はすでに確立されてい
るが,オキナワモズクから分離する技術は確立されてな
い.オキナワモズクは昆布同様褐藻類に属するが,両者
は形態や生理学的に全く異なるものである.従って,昆
布にはフコイダンに比較してアルギン酸が多量含まれる
ことから,これからフコイダンを分離する条件は複雑で
ある.逆に,養殖オキナワモズクにはアルギン酸の含量
が極めて少なく,本藻がフコイダンの供給藻として最も
適していることを明らかにする.本発明の条件で分離す
ると,アルギン酸の混入が全くなく,且つ極めて簡易な
方法で純白で高品質のフコイダンを得ることが出来る.
本発明は,この様な新規のアセチルフコイダンを国内外
の市場に安価で供給する技術を確立することを目的にす
るものである.
討した結果,ミキサー或いはホモゲナイザーを使用して
細胞壁を破壊したオキナワモズクを酸(0.01−0.
2モルの硫酸,塩酸,修酸)で抽出後濾過を行うか,或
いは濾過を行う前にアルカリで中和して連続連心分離機
で処理した後,電気透析装置で脱塩を行うか或いは脱塩
を行わず,アルコール,又はスプレードライ,又は凍結
乾燥によりフコイダンを製造した.この様な条件で製造
したフコイダンにはアルギン酸の混入が認められなかっ
た.また,水で加熱撹拌(90−100℃)してフコイ
ダンを抽出したフコイダンにもアルギン酸の混入が認め
られなかった.しかしながら,このフコイダンは薄い褐
色を呈することから祖フコイダンと命名する.
検討した結果,凍結乾燥機を使用して製造した粗フコイ
ダンを塩化バリウム(又は酢酸バリウム)溶液に溶解
後,ケイソウ土濾過を行うことによって,白色の品質の
高いフコイダンを製造する事が出来た.この様に製造し
たフコイダンはバリウム塩型であるが,ナトリウム(或
いはカリウム)塩型に変換するには陽イオン交換樹脂
(IR−120)で脱塩後,水酸化ナトリウム(或いは
水酸化カリウム)溶液で中和することによって製造する
事が出来た.ナトリウム型フコイダンの化学分析値の1
例を表1に示した なお,収率は湿潤藻体に対して算出した.また,全糖お
よびウロン酸含量はフェノール硫酸およびカルバソール
硫酸法で求めた.さらに,硫酸含量はイオンクロマトグ
ラフQIC(日本ダイオネックス社)で定量した.精製
フコイダン(Na−型)を2N硫酸に溶解し,100℃
で2時間加熱により加水分解を行い,中和後,陰イオン
交換樹脂(IRA−450)でウロン酸を除去した後,
液体クロマトグラフSLC−6B(カラム,シンパック
ISA−07;島津製作所)で中性糖の分離・同定およ
び定量を行った所,L−フコースとD−キシロースを同
定した.また,両者の比をクロマトグラムの面積から求
めると95−97:3−5であった.さらに,本フコイ
ダンを水素化ホウ素ナトリウムで還元し,硫酸で加水分
解を行い,液体クロマトグラフィーでD−グルコースを
同定した.この結果から,養殖オキナワモズから製造し
たフコイダンに,D−グルクロン酸が存在することが明
らかになった.
し,1HNMR(500MHz;日本電子)を測定した
結果の一つを図1に示した.L−フコースのメチルプロ
トン(1.2−1.4ppm)の近く(2.2ppm)
に酢酸のメチルプロトンに由来する吸収が認められ,本
フコイダンは酢酸基を有する物であることが初めて明ら
かになった.両者の吸収の面積比からL−フコースと酢
酸は3.0−4.0:0.5−1.0の比で存在するこ
とが判った.養殖オキナワモズクから分離したフコイダ
ンは他のモズク類(イシモズク,フトモズクおよびイト
モズク)や昆布類(ガゴメ昆布,ナガ昆布,リジリ昆布
およびホソメ昆布),ワカメ,アラメ,ヒジキ,カジ
メ,イシゲ,アカモク,オオバモク,ウミトラノオ,お
よびヒバマタ等に含まれるフコイダンと糖組成や 硫酸含量が異なるのみならす,酢酸を含むことが明らか
になった.ここで,養殖オキナワモズクから分離したL
−フコースを主成分とする多糖を,アセチルフコイダン
と命名する.
および硫酸の構成分子比を算出して示した. この様な構成分子および比から成るフコイダンはこれま
で国内外で知られてない.従って,本アセチルフコイダ
ンは新規の多糖であることが明らかになった.次に,養
殖オキナワモズクからアセチルフコイダンを製造する実
施例をあげる.
業共同組合産)の乾燥体50gに0.1モルの塩酸2L
を加え,室温で3時間撹拌を行った後,ケイソウ土の層
を通して濾過を行い薄い褐色の透明な液を得た.この液
にアルカリ(1.0モル水酸化ナトリウム或いは水酸化
カリウム)を添加して中和を行い,2倍量のアルコール
を加えて沈殿させ減圧乾燥を行い22gのアセチルフコ
イダンを得た.また,アルカリで中和した後,電気透折
装置(徳山ソーダ製)で脱塩後,凍結乾燥或いはスプレ
ードライ装置を使用することによってもアセチルフコイ
ダンを多量に(20g)製造することが出来た.硫酸ま
たは修酸溶液に養殖オキナワモズクを分散させ,室温で
3時間撹拌抽出した場合も塩酸同様多量のアセチルフコ
イダンを得た(それぞれ20および19g).この様に
製造したアセチルフコイダンは薄い褐色を呈していた.
造するには,上記の条件の中で凍結乾燥機を使用して製
造したアセチルフコイダン10gを0.1モルの塩化バ
リウム溶液500mLに分散後,撹拌溶解(1時間)
し,ケイソウ土濾過を行い、アルコールで沈殿させるこ
とによって7.7gのアセチルフコイダンを得た.この
純白のアセチルフコイダンをNa−型に変換するために
は陽イオン交換樹脂のカラムを通して脱塩し,水酸化ナ
トリウムまたは水酸化カリウムで中和することによっ
て,ナトリウムまたはカリウム型のアセチルフコイダン
を得ることが出来た.この様な条件で製造したアセチル
フコイダンの分子量は500,000−600,000
であった.
3.0の塩酸500mLに分散させ45゜Cで1,2,
または3時間加熱撹拌することによって分子量の異なる
アセチルフコイダンを製造することが出来た.これらの
分子量はそれぞれほぼ200,000,100,000
または50,000であった.また,分画分子量の異な
る限外濾過膜(500,000,100,000,また
は200,000のポリスルホン膜)処理を行うことに
よって,目的とする分子量のアセチルフコイダンを製造
することが出来た.さらに,フコシダーゼ(シグマ社)
を作用させてアセチルフコイダンの部分分解を行い,上
記の分画分子量の異なる限外濾過膜で処理することによ
っても目的とする分子量の異なるアセチルフコイダンを
製造することが出来た.
これまで知られてない酢酸を含む新規のアセチルフコイ
ダンが多量存在することを発見した.本発明によれば,
養殖オキナワモズクのみならず天然オキナワモズクから
も高品質(純白)でしかも安価のアセチルフコイダンを
製造することが可能となり,医薬品や機能性食品,化粧
品のみならずバイオテクノロジーやその他の分野にも活
用出来るから,藻類の有効利用の面においても産業上極
めて有用である.本発明により,養殖オキナワモズクは
フコイダンの供給藻として最も適していることが明らか
になった.本発明により,沖縄県のモズク産業の発展の
みならず,新しい製造産業の創製が可能になる.
Claims (4)
- 【請求項1】 糖(L−フコース,D−キシロースおよ
びD−グルクロン酸),酢酸,および硫酸の構成比がL
−フコース:D−キシロース:D−グルクロン酸:酢
酸:硫酸=3.0〜4.0:0.1〜0.3:0.8〜
1.2:0.5〜1.0:0.8〜1.2であるアセチ
ルフコイダン. - 【請求項2】 養殖オキナワモズクをミキサー或いはホ
モゲナイザーで処理した後,酸(0.01−0.2モル
の硫酸,塩酸,或いは修酸)溶液に分散させ,室温(1
0−35℃)でアセチルフコイダンを抽出し,ケイソウ
土濾過或いはアルカリで中和して連続遠心機で処理後,
電気透析処理或いはそれの処理を行わず,凍結乾燥によ
るか,或いはスプレードライ,或いはアルコールで沈殿
させる製造法.ミキサー或いはホモゲナイザーで養殖オ
キナワモズクを処理した後,水でアセチルフコイダンを
抽出する場合は90−100℃で加熱処理することが望
ましい. - 【請求項3】 分子量の異なるアセチルフコイダンを製
造する場合は,pH3.0(硫酸,塩酸又は修酸を使用
して)に調製した溶液に養殖オキナワモズクを分散さ
せ,45℃で1−3時間加熱撹拌処理し,分画分子量の
異なる限外濾過膜装置で分画して製造する方法.或い
は、アセチルフコイダンを低分子に分解するフコシダナ
ーゼを作用させた後,限外濾過膜装置を使用して分子量
の異なるアセチルフコイダンを製造する方法. - 【請求項4】 凍結乾燥機を使用して請求項2および3
の条件で製造した薄い褐色を呈するアセチルフコイダン
を塩化パリウム溶液に溶解後,ケイソウ土層を通して濾
過を行うか或いは連続遠心分離機により不溶物を除去し
て脱塩を行い,凍結乾燥,或いはスプレードライ,或い
はアルコール処理により白色で高い品質のアセチルフコ
イダンを製造する方法.
muranus TOKIDA)から,L−フコース,
D−キシロース,D−グルクロン酸,酢酸,および硫酸
の構成比が3.0〜4.0:0.1〜0.3:0.8〜
1.2:0.5〜1.0:0.8〜1.2のアセチルフ
コイダンおよびミキサー(ホモゲナイザー),酸(硫
酸,塩酸,または修酸),塩化バリウム(または酢酸バ
リウム),ケイソウ土濾過,連続遠心分離機,電気透析
装置,限外濾過装置,スプレードライおよび凍結乾燥機
等を使用してアセチルフコイダンを製造する方法.
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