JP6913266B2

JP6913266B2 - フコイダンともろみ酢とを混合した抗腫瘍方法又は物質

Info

Publication number: JP6913266B2
Application number: JP2018507462A
Authority: JP
Inventors: 哲渡嘉敷
Original assignee: TOKASHIKI,Asako; KUREI OKINAWA CO Ltd
Current assignee: TOKASHIKI,Asako; KUREI OKINAWA CO Ltd
Priority date: 2016-03-25
Filing date: 2017-03-25
Publication date: 2021-08-04
Anticipated expiration: 2037-03-25
Also published as: WO2017164411A1; JPWO2017164411A1; JP2021107450A

Description

本発明は、フコイダンともろみ酢とを混合する方法又は物質により、高価なアセチルフコイダンなどのフコイダンを減らして安価なもろみ酢で代用できる発明に関する。

特許文献１のように、飲み易いものであると共に、体内で吸収し易いもずくエキス入りの健康食品飲料を提供するべく、もずくを主成分とし、これにもろみ酢及び黒糖及び適宜の飲料水を加えて混ぜ合わせ、攪拌加熱処理すると同時に、これを静電誘導装置により、一定時間交流電圧を印加し、静電誘導作用により上記の溶液の分子を微細化し、その後殺菌処理して成る、健康食品飲料は知られている。もずくのエキス、即ちフコイダンを抽出するに際し、静電誘導反応装置を用いて交流高圧電界による静電誘導作用に加えて、電磁気的な交流磁場を同時にもろみ酢、及びもずくに作用させ、電子、原子、分子レベルでの作用を通じて、フコイダンを体内吸収し易い分子量にした発明も知られている。

また、特許文献２のように、アセチルフコイダンを有効成分とする消化管に発症した悪性腫瘍を治療するための経口投与用医薬組成物を提供することを目的に、養殖オキナワモズクを原料として製造されたアセチルフコイダンを水に溶かして経口投与することによって、マウス大腸癌由来の細胞ｃｅｌｌｌｉｎｅであるＣｏｌｏｎ２６細胞を腸に移植して大腸がんを発症させたマウスの、体重減少と悪性腫瘍の重量の増大を有意（Ｐ＝０．０５）に減少させた。

特開2008-22787号公報特開平2009-185009 公報

ところが、特許文献２のように、アセチルフコイダンが消化管に発症した悪性腫瘍を治療するための経口投与用医薬組成物として有望視されている。しかしながら、アセチルフコイダンは極めて高価なため、経済的な理由で実用化が困難と成っている。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、安価なもろみ酢を混合して投与することで、腫瘍細胞の増殖率をより抑制できることを究明した。

本発明者は、アセチルフコイダン、またはもろみ酢のみを添加した溶液と両者の混合液を添加した溶液を比較すると、両者の混合液の抗腫瘍活性が単独で添加したものに比較して予想外に高い減少率を示したことを見出した。そして、更に検討を重ね、本発明を完成するに到った。

すなわち、本発明は、下記記載の発明を提供することにより、上記課題を解決したものである。
（１）フコイダンともろみ酢を含有する腫瘍治療用医薬組成物。
（２）フコイダンともろみ酢を含有する腫瘍細胞の増殖率を抑制する医薬組成物。
（３）前記のフコイダンはモズク、ワカメ、メカブ、コンブ、ヒジキ、アカモク及び/又はホンダワラ科の海藻を由来としていることを特徴とする、（１）又は（２）に記載の医薬組成物。
（４）前記のもろみ酢は、もろみ酢原液及び／又は除臭もろみ酢及び／又はもろみ酢粉末及び／又は除臭もろみ酢粉末であることを特徴とする、請求項（１）又は（２）に記載の医薬組成物。
（５）フコイダンともろみ酢の比率が、フコイダン１重量部に対し、もろみ酢が１〜９重量部であることを特徴とする、（１）〜（４）のいずれか１項に記載の医薬組成物。
（６）フコイダンは、アセチルフコイダンである、（１）〜（５）のいずれか１項に記載の医薬組成物。
（７）海藻から分離したフコイダンともろみ酢とを混合した物質により腫瘍細胞の増殖率を抑制することを特徴とする腫瘍細胞の増殖率を抑制する方法である。特に、オキナワモズクから分離したアセチルフコイダンともろみ酢とを混合すると、高価なアセチルフコイダンを減らして安価なもろみ酢で代用できる効果が有る。
（８）海藻から分離したフコイダンともろみ酢とを混合した物質により腫瘍細胞の増殖率を抑制することを特徴とする腫瘍細胞の増殖率抑制物質である。
（９）前記のもろみ酢の配合量を３％〜95％とし、前記のフコイダンはモズク、ワカメ、メカブ、コンブ、ヒジキ、アカモク、ホンダワラ科などの海藻を由来としていることを特徴とする、（７）に記載の腫瘍細胞の増殖率を抑制する方法である。
（１０）前記のもろみ酢の配合量を３％〜95％とし、前記のフコイダンはモズク、ワカメ、メカブ、コンブ、ヒジキ、アカモクなどの海藻を由来としていることを特徴とする、（８）に記載の腫瘍細胞の増殖率抑制物質である。
（１１）前記のもろみ酢は、もろみ酢原液及び／又は除臭もろみ酢及び／又はもろみ酢粉末及び／又は除臭もろみ酢粉末であることを特徴とする、（７）又は（９）に記載の腫瘍細胞の増殖率を抑制する方法である。
（１２）前記のもろみ酢は、もろみ酢原液及び／又は除臭もろみ酢及び／又はもろみ酢粉末及び／又は除臭もろみ酢粉末であることを特徴とする、（８）又は（１０）に記載の腫瘍細胞の増殖率抑制物質である。

本発明のフコイダンともろみ酢を含有する医薬組成物（（１）〜（６）は、腫瘍細胞の増殖率を抑制する効果を奏し、フコイダンの使用量を減らして安価なもろみ酢で代用できること判明した。アセチルフコイダンでなく、多種のフコイダンでも足りるので、各種の海藻を使用できる。特に、オキナワモズクから分離したアセチルフコイダンともろみ酢とを混合すると、高価なアセチルフコイダンを減らして安価なもろみ酢で代用できる効果が有る。また、フコイダンともろみ酢の毒性は認められないので、従来の化学療法剤のような副作用はなく、患者の副作用の負担を軽減できる。さらに安価なもろみ酢を原料とするので、大量養殖が可能であり、安価に製造できる。
（７）のように、海藻から分離したフコイダンともろみ酢とを混合した物質により腫瘍細胞の増殖率を抑制する方法によると実験の結果、フコイダンの使用量を減らして安価なもろみ酢で代用できること判明した。アセチルフコイダンでなく、多種のフコイダンでも足りるので、各種の海藻を使用できる。特に、オキナワモズクから分離したアセチルフコイダンともろみ酢とを混合すると、高価なアセチルフコイダンを減らして安価なもろみ酢で代用できる効果が有る。

（８）のように、海藻から分離したフコイダンともろみ酢とを混合した物質によると実験の結果、フコイダンの使用量を減らして安価なもろみ酢で代用できること判明した。

（９）のように、前記のもろみ酢の配合量を３％〜95％とし、前記のフコイダンはモズク、ワカメ、メカブ、コンブ、ヒジキ、アカモク、ホンダワラ科などの海藻を由来としているので、もろみ酢の使用幅が大きく、またフコイダンは、オキナワモズク以外の海藻からも採取して使用できる。

（１０）のように、前記のもろみ酢の配合量を３％〜95％とし、前記のフコイダンはモズク、ワカメ、メカブ、コンブ、ヒジキ、アカモクなどの海藻を由来としているので、もろみ酢の使用幅が大きく、またフコイダンは、オキナワモズク以外の海藻からも採取して使用できる。

（１１）のように、前記のもろみ酢は、もろみ酢原液及び／又は除臭もろみ酢及び／又はもろみ酢粉末及び／又は除臭もろみ酢粉末及び／又はもろみ粕であるので、もろみ酢としての採択幅が大きく、原料も種々採択できる。

（１２）のように、前記のもろみ酢は、もろみ酢原液及び／又は除臭もろみ酢及び／又はもろみ酢粉末及び／又は除臭もろみ酢粉末及び／又はもろみ粕であるので、もろみ酢としての採択幅が大きく、原料も種々採択できる。

本発明による混合方法を示すフローチャートである。

特に言及しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いた用語は以下に述べる意味を有する。

フコイダン
フコイダン（英語名：fucoidan）は、硫酸化多糖の一種である。コンブやワカメ（一部位であるメカブを含む）、、モズクなど褐藻類の粘質物に多く含まれる食物繊維である。主に L-フコース（多糖体）が α1-2、α1-4結合で数十から数十万個も繋がった化合物で、平均分子量は約200,000。グルクロン酸を含む U-フコイダン、硫酸化フコースだけからなる F-フコイダン、ガラクトースを含むG-フコイダンなどに分類される。フコイダンとは総称であって、もろみ酢原液粉末その一部がアセチルフコイダンである。本発明では、金秀バイオ株式会社から購入したフコイダン粉末を用いた。

もろみ酢
もろみ酢とは、沖縄（琉球諸島）産蒸留酒である「泡盛」の製造過程で生じたもろみ粕を圧縮濾過した液体のことである。もろみ酢と称されているが、酢酸はほとんど含まれておらず、アミノ酸とクエン酸が豊富な清涼飲料水である。本発明では、合名会社新里酒造から購入したもろみ酢原液を粉末にしたものを用いた。

フコイダンともろみ酢を含有する医薬組成物
本発明の医薬組成物は、もろみ酢の原液から製造した濃縮粉末又は原液をフコイダンの粉末と混ぜ合わせて、製造することができる。フコイダンともろみ酢の比率は、腫瘍細胞の増殖率抑制効果を最大に発揮できるように調整することができる。フコイダンともろみ酢の比率が、フコイダン１重量部に対し、もろみ酢が１〜９重量部であり、好ましくは、１〜３重量部であり、より好ましくは、１重量部である。本発明の医薬組成物は、好ましく経口投与用医薬組成物である。また本発明の経口投与用医薬組成物は、粉末、練り物、錠剤液体又はであってもよく、好ましくは、粉末、練り物、又は錠剤である。本発明の固形製剤は、更にカプセル化されるか、表面にコーティング処理が施されることが好ましい。カプセル化製剤やコーティング製剤は公知の方法を利用して製造できる。

次に、オキナワモズク由来のアセチルフコイダンともろみ酢とを混合した結果の抗腫瘍効果を詳述する。実験の結果、アセチルフコイダンの収率は次のとおりである。オキナワモズクから分離したアセチルフコイダンの収率を表１に示した。湿潤藻体から2.3%の粗多糖を得た。この粗多糖を精製すると2.0%の収率で精製多糖を得た。これらの数字は従来の結果と比較して多い結果となった。しかしながら。オキナワモズクにはわずかのアルギン酸（1/10）が含まれるのみで、藻体中に含まれる高分子はほとんどがアセチルフコイダンと言って良い。

従って、一般的に藻体から抽出出来るのはオキナワモズクに存在するアセチルフコイダンの35％に留まる。他の褐藻類（コンブ、ワカメおよびヒジキ：これらのフコイダンの含量はアルギン酸の1/3 ）と比較すると、オキナワモズクは極めて高い含有のフコイダンを含む事が分かる。フコイダンの含有量の視点から見ると、オキナワモズクは極めて特異な海藻である事がわかる。

また、オキナワモズクの生育の北限が鹿児島県の奄美地方で、南限が沖縄県の石垣島である。これらの特性から、オキナワモズクは沖縄県が世界に誇る生物資源である事が理解できる。
アセチルフコイダンの収率を表１に示す。

アセチルフコイダンの全糖、ウロン酸および硫酸含量をフェノール硫酸、カルバゾール硫酸およびゼラチン懸濁法で分析した結果を表２に示した。本多糖の全糖、Ｄ- グルクロン酸および硫酸含量は、それぞれ66.9% 、14.1% および15.8％であった。
アセチルフコイダンの構成成分は次のとおりである。
アセチルフコイダンの化学構成を表２に示す。

アセチルフコイダンを2.0 Ｍの硫酸で加水分解（100 ℃、2 時間）を行い、炭酸バリウムで中和した後、濃縮して高速液体クロマトグラフ（ＤＸ500 ：ダイオネックス社）で構成糖の分離・同定を行った。液体クロマトグラムから、Ｌ- フコースとＤ- キシロースを同定した。ほとんどがＬ- フコースで構成される多糖である事が分かる。

この結果と他の化学分析の結果から、フコイダンの構成成分とその比は、Ｌ- フコース：Ｄ- キシロース：Ｄ- グルクロン酸：酢酸：硫酸＝4.0 ：0.1 ：1.0 ：1.0 ：1.0 であった。1996〜7 年に、酢酸基を置換するフコイダンはオキナワモズクのみであった。この点からみても極めて特異なフコイダンであることがわかる。また、他のモズク、コンブおよびヒジキには高い含量の硫酸基が存在（30〜35％）する。構成糖も多様で、オキナワモズクに含まれる構成糖の他に、Ｄ- ガラクトースやＤ- グルコースなどを含む事が知られている。

アセチルフコイダンの抗腫瘍活について：アセチルフコイダンのＵ937 細胞に対する増殖抑制効果を表３に示した。蒸留水のみを添加したＵ937 細胞の培養液の測定値を100 （コントロール）としてそれに対する％を表示した。添加量の予備実験を行い、下記の条件（３種類）で本実験を行った。
アセチルフコイダンのみ５００μg を添加した場合、腫瘍細胞の増殖率は80％に減少した。もろみ酢のみを添加すると、90％に減少した。両者を混合（250 ＋250 μg ）した培養液の増殖率は71％に減少し、有意に相乗効果が認められた。また、アセチルフコイダンおよびもろみ酢の添加量を２倍（総濃度1000μg/ml）に増大すると、腫瘍細胞の増殖率はそれぞれ70％、85％および55％となった。さらに、添加総量を2000μg に増やすと、増殖率は65％、78％および45％に減少した。同様の実験を３回行ったがほとんど同様の結果を得た。
アセチルフコイダンおよびもろみ酢添加による腫瘍細胞の増殖率（蒸留水のみ添加を100 ％）を表３に示す。

アセチルフコイダン、またはもろみ酢のみを添加した溶液と両者の混合液を添加した溶液を比較すると、両者の混合液の抗腫瘍活性が単独で添加したものに比較して高い減少率を示し、明らかな相乗効果が認められた。

オキナワモズクから分離したアセチルフコイダンともろみ酢とを混合した物質を投与すると、腫瘍細胞の増殖率を抑制することができた。しかも、もろみ酢はアセチルフコイダンに比べると、安価なため、入手が容易で実用化が期待できる。

１アセチルフコイダン
２もろみ酢
３混合物

Claims

アセチルフコイダンともろみ酢を含有し、
前記アセチルフコイダンと前記もろみ酢の比率が、アセチルフコイダン１重量部に対し、もろみ酢が１〜３重量部であり、
前記もろみ酢が、泡盛由来である、腫瘍細胞の増殖率抑制のための組成物。
前記アセチルフコイダンはモズク、ワカメ、メカブ、コンブ、ヒジキ、アカモク及び／又はホンダワラ科の海藻を由来としていることを特徴とする、請求項１に記載の組成物。
前記もろみ酢は、もろみ酢原液及び／又は除臭もろみ酢及び／又はもろみ酢粉末及び／又は除臭もろみ酢粉末及び／又はもろみ粕であることを特徴とする、請求項１に記載の組成物。
前記もろみ酢の配合量を３％〜９５％とすることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載の組成物。
食品又は医薬品である、請求項１〜４のいずれか１項に記載の組成物。
前記アセチルフコイダンと前記もろみ酢の総濃度が、１０００μｇ／ｍｌ以上である、請求項１〜５のいずれか１項に記載の組成物。